PandoraPartyProject

シナリオ詳細

新年の酒をお届けに

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●道を塞ぐもの
 道の上に、何かが座っている。
 見た目は……巨大なウサギ、だろうか?
 鼻をヒクヒクとさせている様子は可愛らしく、白くふわふわした毛並みは気持ちよさそうだ。
 かわいい、とてもかわいいウサギ。
 問題があるとすれば……道を完全にふさいでしまう程度には大きい、ということだろうか?
 このフリアノン、その性質上「道から外れる」ことには相当な忌避感がある。
 しかも、この岩山に囲まれた道を塞がれ、そこを外れるということは命の危険が物凄く高まることを意味している。
 何よりもこのウサギ、此方に向かって座っている。
 香箱座りをしているその姿は更に可愛らしいが、だからといって近づけばどうなるか……それを試してみる度胸のある者は、中々いない。
 つまるところ、このウサギを刺激しないように……あるいは、力づくでどかして道を開けてもらうしか方法がない、ということになる。
 しかし、このウサギに関しては……実は、穏便にどいてもらう方法があるらしい。
 その方法を、フリアノンの住人はよく知っている。

●お酒の力は凄い
「つーわけで、フリアノンから繋がる道1つに『デザストルシロウサギ』が陣取っておってのう」
 『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)は、集まった面々にそう切り出した。
 デザストルシロウサギ。全長は10mほどの巨体で、真っ白でふわふわの毛を持つ、大きさ以外は可愛らしいウサギだ。
 しかしこのデザストルシロウサギ、1度期限を損ねれば自慢の脚力で大暴れする生き物でもある。
 並のモンスター程度なら簡単に蹴り殺すと言われるその脚力を、出来れば体験したくはない。
 ないが……フリアノンから他の集落に繋がる岩山の間の道に陣取ってしまっているのだから困ってしまう。
 ならば戦うしかないのか?
 そう聞かれれば、フリアノンの住人であれば「否」と答える。
 要は機嫌を損ねずにどいてもらえばいいのであって、それにはこの時期、とあるアイテムの力が必要になる。
「つまるところ……酒じゃよ」
 言いながら相賀は近くの甕を軽く叩いてみせる。
 古今東西の様々な伝承逸話にて酒の力で難問を解決した話は数多いが、それは何も飲兵衛が酔っぱらいながら酒を肯定する為に書いたわけではない。
 酒はいわゆる分かり合う、あるいは分かり合えない場合でも相手が受け入れやすい手段として知られており、それがそういう無数の話を生み出したのだ。
 という前置きはさておいて、デザストルシロウサギ……お酒が大好きである。
 お酒があれば上機嫌で、しかし知らない相手から突然お酒を出されて飲むほど無警戒でもない。
 ならばどうすればいいか? それは非常に簡単。
 デザストルオオウサギと共に酒を飲み、踊ったりして楽しい雰囲気を醸し出せばいいのである。
 敵対者ではないと全身で示すことによって、その警戒心を解くことができるだろう。
 ……勿論、真正面から戦っても構わない。そうした断固たる態度を示すこともまた時には大切だろう。
「どっちを選んでもええ。酒を使うなら……此処に並べてる甕、好きに持ってってええぞ」
 どちらを選ぶかはこれから決める必要があるだろう。
 しかし、どちらを選んでも全力で挑めば、きっとうまくいくだろう……!

GMコメント

はい、というわけでデザストルシロウサギに退いてもらいましょう。
現場はフリアノンから続く岩山に囲まれた道で、デザストルシロウサギがでんと座っています。

手段1:酒と踊り、宴会芸などで楽しませて退いてもらう。そう、宴会です。
手段2:正面突破。ぶちのめしてどいてもらう。

どちらを選ぶかは皆様の話し合いで決めてくださいませ。
なお、仕事にかこつけてお酒をたくさん飲みたい場合は「手段1」です。
デザストルシロウサギにお酒を捧げつつ、ワイワイやりましょう。
その場合の専用の樽(デカい)もあります。
なお、お酒は相賀がくれますし台車も貸してくれます。

●デザストルシロウサギ
全長10mの大きくてふわふわのシロウサギ。
相対した時の皆様への好感度はプラマイゼロくらいです。
攻撃方法は巨体と脚力を活かしたラビットキックと目から放つラビットビームです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 新年の酒をお届けに完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年01月19日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラズワルド(p3p000622)
あたたかな音
リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)
ラッキージュート
ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん

リプレイ

●デザストルオオウサギ
「んふふ。そうだよねぇ、こんなの宴会一択だよねぇ」
 『流転の綿雲』ラズワルド(p3p000622)が準備をしながらそう微笑む。
「いやぁ強行突破派がいなくてよかったよねぇいたら酒樽に詰めるしかないって思ってたからさぁ。お酒のための尊い犠牲ってヤツ?
まぁ穏便に済んだし、心置きなく飲めるってもんだよねぇそんじゃあ遠慮なくお酒は目一杯、馬車に積んでっと……」
「巨大兎と飲み会ね……そうだ、以前のローレットの飲み会で持ってきた超巨大酒樽があるわね。折角の機会だから、この兎との飲み会に持って行きましょうか♪」
 『巨大酒樽』稲荷酒造・桃源郷を『狐です』長月・イナリ(p3p008096)も積み込めば、中々に素晴らしい酒のバリエーションが揃ってくる。
 ラズワルドの馬車だけでなく、妖精の木馬を『陽だまりに佇んで』ニル(p3p009185)を、『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)も馬車を持ってきているので、運搬力は充分だ。
「酒だけならまだしも調理用の炉の材料だの料理の材料だの食器や酒器やを持っていくとなると相賀翁の台車ではかなり足りない。
それぞれ分散して載せていこう」
 それだけではなく『ドラネコ配達便の恩返し』ユーフォニー(p3p010323)も馬車を持ってきているので、総積載量はかなりのものになっている。
「卯年に大きなウサギさん、縁起がいいですね…! さてっ、現地で宴会の準備をしなきゃですよね。お酒の甕やおつまみ用の材料など、必要なものは馬車に積んでドラネコ配達便におまかせですっ」
 その近くでは、『ラッキー隊隊長』ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)が相賀を誘っていた。
「相賀のじっちゃん、お酒を提供するだけじゃなくて一緒に宴会、楽しもうぜ! いつも仕事忙しそーだけど、年始ぐらい楽しんでもバチ当たらないぜ?」
「ほっほっほ。どうしようかのう」
 そんな会話も弾む中、準備は完了していく。
「いざ行かん、ウサギの元(宴会会場)へ! 相賀さん、イイ仕事回してくれてありがとねぇ。いってきまぁす♪」
 そんなラズワルドの言葉と共に出発した一行だが、今日のフリアノンは快晴。宴会にはとても良い天気だ。
「デザストルオオウサギ……おっきなウサギさん……! おさけが好きなウサギさんなのですね? ニルも一緒におさけのみたいし、ごはんをたべたいし、なかよくなりたいし、もふもふしたいのです……!」
 ニルのそんな願いは、きっと叶うだろう。
「デザストルオオウサギ……うさぎまで巨大化するのか、覇竜という土地は。なんにせよ、穏当に道を開けてもらえるよう力を尽くそう」
「ウサギの方々を接待したらよろしいのですね? フフッ、お安い御用ですよ〜。もし戦う流れになったら顔や手に傷が付いたりして嫌ですし……何せ私は生きる至宝でございますのでね、宝石に傷が付いたら値打ちが下がってしまうでしょう?」
 エーレンに『たくさん燃えた』ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)がそんなことを言っているが、どうやら寝言ではなく本気らしい。しかし自信満々なのは良い事だ。
 そして見えてくるのは、道を塞ぐように座っている巨大なウサギの姿。
「いや、これは……覇竜ってなんでもおっきいんだね……亀はよく見たけど、こんどは兎……いや、これは……存分に楽しもっか!」
 『自在の名手』リリー・シャルラハ(p3p000955)の言葉が響き、全員が馬車から降り準備を始めていく。
「警戒とか、飲んでたら自然と解けるもんだと思うけどねぇ? まあ、やってみよっか」
 ラズワルドもそう声をあげ、デザストルオオウサギを見上げる。
 さあ、宴会だ……!

●おっきなウサギと宴会だ
 デザストルオオウサギ。
 全長10mにも及ぶ巨体は覇竜でもかなり大きい方だ。
 こうして実際目の前にすると、中々に威圧感があるが……今のところ敵対心のようなものは感じられない。
 そして可能であれば、こんな巨大生物と戦いたくはない。そう思わせる大きさだ。
「はじめまして、ウサギさん! ニルはウサギさんたちと、おいしいおさけを飲みに来たのです。猫のココアもいっしょです」
 ニルがそう挨拶すると、以前仕込んだ覇竜梅酒を出す。
「いつか大事なときに飲もうと思っていたもの。これはきっと、この日のためのものなのです。ウサギさんからしたらほんのちょっとかもですけどニルの作ったおさけが、ウサギさんの「おいしい」になったらきっと、とってもとっても嬉しいから」
 そんなニルの言葉と差し出した覇竜梅酒に、デザストルオオウサギが鼻をピスピスと動かしてニルの香りを嗅ぐ。友好の証だろうか? 僅かではあるが先程と比べると、雰囲気が幾分か和らいだのをニルは感じていた。
 だからこそラズワルドも、畳みかけるようにして蓋を開けた酒樽からの匂いで興味を引いて、動物疎通しようとする。
「うさちゃん、お酒好きなんだってぇ? 飲み比べしーまーしょー」
 デザストルオオウサギからの返答はないが、前足がぺしっと地面を軽く叩く。なら出せ、と言っているのだろうか?
「心配しなくてもお酒ならうんとあるし、足りなければもっと持ってきてあげちゃうよー? 味も折り紙付きのとっておきなんだよねぇ(僕わかんないけど)。好きなお酒あったら教えてよ、手当たり次第持ってきたからさぁ」
 言いながらラズワルドは運んできた酒を並べていく。
「えー、怪しいって……酒飲みに悪いヤツとかいると思ってんのー? ほらほら、いーにおい。あ、思わず飲んじゃった、んふふ……もうなんなら勝ち負け関係なく好きなだけ飲んでいいしさぁ。僕も酒好きのうさちゃんと飲んでみたいだけだしぃ?」
 通じていようといまいと構わない。敵ではないと知らせることが重要で、そんなラズワルドを見ていたデザストルオオウサギは酒をくいっと器用に飲み干す。
「はい、かんぱぁい♪」
 そうしてデザストルオオウサギの前に並べられた酒の中にはイナリの持ってきた『巨大酒樽』稲荷酒造・桃源郷もある。
「ほら、無農薬の大きくて美味しそうな高級ニンジンもあるのよ。このサイズは探すのに苦労したわ」
 イナリが並べたニンジンは、この時のために選んできた厳選品だ。デザストルオオウサギが早速ぼりぼり食べているところを見るに、気に入ってもらえたのかもしれない。
「昔はこの酒樽でローレットの宴会参加者の人達を全員を酔わせて地面にぶち転がしてあげたかったけど、酒が強い人が多くてあんまり撃墜出来なかったのよね……無念無念無念……」
 まあ、ローレット所属の連中は店ごと飲みそうな連中ばかりなので中々難しいものもあるだろう。さておいて。
「デザストルオオウサギよ、俺は鳴神抜刀流の霧江詠蓮。どうか仲良くしておくれ」
 大分雰囲気の柔らかくなったデザストルオオウサギにそう声をかけながら、エーレンはデザストルオオウサギ用の酒を注ぎ、お通し代わりにシャキシャキの葉物野菜を塩だれで和えたものを人数分皿に出していく。
「では、こちらをご覧くださいっ!」
 そしてユーフォニーが出し物を始めるべく、デザストルオオウサギの前に進み出る。
 お酒で雰囲気が柔らかい今だからこそ、こうしたものを受け入れてくれるとふんだのだ。
 いわゆる宴会芸……ユーフォニーが選んだのはマジック、つまり手品だ。
 大道芸とドリームシアターも組合わせればマシなものにはなるはず、と考えていたユーフォニーだが、いよいよ実践だ。
「ここに、なんの変哲もない普通の帽子があります。これをくるっと一回転させると……はいっ、ドラネコさんが出てきました! もう一回転させると……またドラネコさん!」
 帽子を回転させるたびにドリームシアターでいつもユーフォニーと一緒のドラネコが出てくるように見せていく。
 最後は大きな布を出し、ドラネコさんたち全員を覆って1、2、3……とカウントダウン。
「はいっ、みんな消えちゃいました。ドラネコさんたちはおうちに帰ったみたいです♪」
 ……マジックは種に仕掛けに幻影とかあるものですから、と小さく呟くユーフォニーだが、楽しそうに細められたデザストルオオウサギの目を見るに成功のようだ。
「ハァイ、うさちゃん元気? 俺はジュートだ。お友達になろーぜ★」
「こんな滅多にない機会、楽しまないとねっ。たまにはこういう依頼もありあり、だよっ」
 そしてジュートとリリーが場繋ぎに調子のいいリズムでダンスするが、これは次の出し物に関わっている。
(……というか、正直言うと話し合いもスムーズだったし、みんな意見一致してたし、ホントに楽しむだけだから、歌って踊って楽しむ、位しかやれる事がないんだよねっ)
 リリーはそんなことを考えながらも念のため周りにファミリアーを飛ばしていたが、デザストルオオウサギの存在ゆえか、近くに危険な存在は今のところいない。
 ちなみにイナリによる楽しげな雰囲気の音楽の演奏やニルによる「くるくるひらひら楽しい感じ」の幻影によるダンスも加わり、その間にエーレンはおつまみになる料理を準備し始めていた。
「ブタウシ鳥の部位をたくさん持ってきた。シンプルな串焼きの香ばしい匂いはきっとうさぎも期待してくれるに違いない」
 そう、シンプルながら満足度の高いもの……それが串焼きだ。
「メインは俺の一番得意なアテを作ろう。ブタウシ鳥の砂肝は一口大に切って塩コショウのとコンソメの下味を揉み込む。銀皮は取らないぞ。コリコリして旨いからな。ニンニクと大葉はそれぞれ刻んでおく。バターを熱して香りづけのニンニクを炒めたあとで砂肝を投入、いい焼き色がついたら大葉を投入して旨味と香りの砂肝の大葉バター炒めの完成だ。遠慮なく食べてくれ」
 バターとニンニクの合わさった香りは凶悪で、デザストルオオウサギも雑食らしさを見せて喜んでいる。
 さあ、そうして登場するはヴィルメイズだ。
 踊り子らしくまずはマスターダンスで舞やら軽業やら歌やらを披露していくが、本人曰く「本業ですので」とのことで、実に華麗だ。宝石と自称したのも伊達ではなさそうだ。
「そうそう、今回は野外なので飛行などと組み合わせて派手なアクロバットもご覧に入れましょう」
 炎も使った派手な芸は、サーカスの如き楽しさをも持っている。
(どれも宴会芸にするには勿体無いくらいの高クオリティでございますよ、骨が折れますねぇ。依頼じゃなかったら絶対やりませんよこんなこと)
 そんなことを考えながらもヴィルメイズは笑顔を振りまくのを忘れない。実にプロである。
 終われば拍手が巻き起こる程度には素晴らしい演目であり、デザストルオオウサギからの視線が完全に「好意」に切り替わったのもヴィルメイズは目敏く確認していた。これはもはや、成功と言っていいだろう。
「頑張ったあとはどんどんお酒をいただきましょうねぇ〜! これも立派な依頼でございますからね? 仕方ないですよねぇ?? ああ〜他人の金で飲む酒は美味しい〜」
 何やらデザストルウサギから謎のおつまみをもらって食べているが、乾燥した種っぽい何かのようだ。
 ウサギがおひねり持っているかは謎ですが……食べ物くらいは恵んでもらえるかもしれません。ニンジン……とか……? と事前に予想していたヴィルメイズだが、想像よりダンディなものが出てきた形になる。
「よし、今の後で披露するのは中々にプレッシャーではあるが……」
 言いながらエーレンも出し物を披露する。
「地上を走るイレギュラーズで俺より速い奴はそういない。脚力を活かして、他の皆の踊りとはちょっと違う軽業を披露させてもらうとしよう。手拍子とか貰えると嬉しいな」
 そんな前向上を終えると、エーレンはいきなりバク転を連続できめる。
 バク転バク宙は序の口、近くの樹に垂直に駆けあがって不安定な枝の上で片手倒立、さらに片腕の力で跳躍して宙返りしつつ着地。まさに軽業といった様子で、手拍子に合わせて動きを変える辺りは、エンターテイナーじみている。
「どうだ、結構なものだろう?」
 仲間たちからの拍手は勿論、デザストルオオウサギからの好感度も上がっているようで。そうして呑み会が進んでいくと、やがてラズワルドはデザストルオオウサギの毛皮に埋まってウトウトし始める。
「また一緒に飲もうねぇ。あ、もしあれなら相賀さんのとこに連れてって酒飲み仲間として代わりに交渉してあげるよ。荷運びとかお仕事の引き換えにお酒をもらったりとか、どう?」
 そんな提案もしているが、まあどうなるかは分からない。イナリの演奏も響く中、まるで町中のような安心感すらある。
「じゃじゃーん! ヴォードリエ・ワイン! 相賀のじっちゃんにもウサちゃんにも、覇竜の外の酒を楽しんで貰いてーから奮発してきたぜ。おつまみのチーズ盛り合わせと一緒にどうぞっ!」
 ジュートの出した酒もデザストルオオウサギは気に入って飲んでいたが、今のところ酔った様子すらもない。
「……ふわふわ……あったかい……もふ……ふふふ。ウサギさんはどこを触ってもらうのがきもちいいですか?」
 ニルもデザストルオオウサギに触れながら、そう微笑む。
「ウサギさんがうれしそうだったりたのしそうだったりするとニルもとっても嬉しいです!」
 この思い出も絵に描いて残しておきましょう、とニルは呟くが……そんなほほえましい光景とは別に、ヴィルメイズはちょっとそわそわしていた。
「ところで、なんだかユーフォニー様からの視線が怖いです……ど、どうして……?」
 そう、デザストルオオウサギをもふもふしながらお酒を飲んでいたユーフォニーだが、とある事件を思い出したらしい。
 それは何か……何処かの誰かが描いた「怪奇! 雑草を喰らう女」という絵画のことである。
 とある事情で雑草をムシャアしたユーフォニーがダイナミックに描かれた絵画だが、どうもこの世に複数枚存在しているようなのだ。場合によってはもっとばらまかれるかもしれないが、その原因となる話を持ってきたのがヴィルメイズである。まあ、雑草ムシャアする道を選んだのはユーフォニーなのだが。
「だって……えーきゅーほぞんされてかえってくるとおもわないじゃないですか〜……わたし、いれぎゅらーずとしてがんばっただけですもん……ぐすん」
「……ユーフォニー、詳しくは知らんがなんだ、その。強く生きてな?」
「あ……えーれんさんのこれ……すなぎも……? おいしいです。うぅ……すこしげんきでました」
「ユーフォニー様、ヤケ酒? ですか? ……いつも明るいユーフォニー様が元気がないと、ニルはとってもとっても心配なのです
おさけをのんだら元気になりますか? いっぱいいっぱいのみましょう! あ。でもお水もたくさんのんで、おつまみもたくさん食べなきゃですよ」
「そうですよ。ほら、サラダもありますよ!」
 そんなこんなでユーフォニーを励ましたりといった一面もあったが……やがてデザストルオオウサギが満足げに何処かに歩き去っていくのを合図に、この呑み会は終わる。
「ふふ、新年からいい思い出作りになったなぁ!」
 これで道の確保の仕事も終わったと、ジュートは楽しそうに声をあげる。
 血なまぐさいこともなく、お酒ともふもふを楽しむ。なるほど、それは確かに新年らしい思い出になる、そんな仕事であっただろう。

成否

成功

MVP

エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標

状態異常

なし

あとがき

とても平和に終わりましたね!
ご参加ありがとうございます!

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