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シナリオ詳細

<腐実の王国>神の侵食

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<腐実の王国>神の侵食
『仔羊よ、偽の預言者よ。我等は真なる遂行者である。主が定めし歴史を歪めた悪魔達に天罰を。我等は歴史を修復し、主の意志を遂行する者だ』
 天義に舞い降りた神託の一言。
 神託故に神から降りた言葉であり、それを真実であると盲目的に信じるのは天義国民の性質かもしれない。
 しかし国の屋台骨を揺るがしかねないその神託……箝口令が敷かれたものの、降りた神託を塞ぎ止める事は出来ず、神託はシェアキム自身や、騎士団達をその『偽の預言者』に投影する事により目の敵にされてしまう。
 そして、そんな目の敵にされた天義の国は……その目を逸らさせるが如く、新たなる作戦を発令し、それを関連付けるように画策する。
 その一つ……天義、ヴィンテント海域に面する美しい白亜の街『エル・トゥルル』。
 かの街の中央部にある『ガレサヤ・ピレア大聖堂』にある聖遺物の近くにあった銀細工物は腐食し、水が腐り始める。
 これら事象が先程の神託を決定づける者であると敢えて街中に触れ回る事で、神託は我等の事ではない、としようとしていたのだ。



「あの……集まって頂き、本当にありがとうございます……」
 ぺこり、と君達に頭を下げる『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174) 。
 天義の国を訪れて暫し経つが……そんな彼女の耳にも、かの神託の言葉は歪んだ所もあるものの、廻ってきていた。
 それと同時に、幻想との国境にある『ヴィンテント海域』に面する白亜の街『エル・トゥルル』に纏わる話。
「街の聖遺物や、聖書に触れた人が、理由不明の狂気に包まれ、殺人やら人攫いを始めています。そしてその殺人や人攫いを目の当たりにした人々も、更なる狂気に包まれて殺人や人攫いが増えていく……という事態が繰り返されている様なのです」
「これが……皆様が既に聞いている『神託』に関連しているかは分かりません。ただ……この狂気に侵された方々は、私達には理解出来ない言語を口走っている様です」
「何を言っているかは分かりませんが……この様な狂気の伝搬を黙って見ている訳にも行きません……被害に逢うのは、戦う力の無い一般人の方々なのですから……だから、どうか皆様の力を貸して頂きたいのです。どうか……宜しくお願いします……」
 深く頭を下げるルリア。
 原因不明の狂気の伝搬により、街が殺戮と人攫いの宴に晒されているという状況……早急に止めなければ、更なる狂気が拡がりこの街の外にも拡がりかねない。
 故に……今此処で止める必要があるのである。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 神託により巻き起こった事件は、天義国内を確実に蝕んでいる様です。

 ●成功条件
   『エル・トゥルル』にて伝搬している狂気を収める為に、狂気に狩られた者達を倒す事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   白亜の街『エル・トゥルル』は、美しい街並みの港町です。
   中央部に『ガレサヤ・ピレア大聖堂』があり、ここが街の中心部となっています。
   しかしそんな大聖堂にある『聖遺物』や『聖書』などから原因不明ながら狂気が伝搬しており、そこには近づけない状態(多数の狂気に侵された者達が居り、倒しても倒しても後から出てくる為切りが無い)です。
   故に皆様が出来る事は、街中に散らばってその狂気を伝搬させる行為(殺人、人攫い)をしている者達を倒す事が目的となります。


 ●討伐目標
 ・何か不明な言葉を口走り狂気を散蒔く一般人達
   狂気に狩られた者達です。
   多くは一般人ですが、その一般人に狂気を伝搬させられてしまった『騎士』の者達も少数ですが居る様です。
   一般人は戦闘能力はそこまで高く無いものの、数が多く何故か体力が多い(しぶとい)様です。
   少数居る騎士の者達は、姿形は騎士然しているので一目で分かりますが、こいつらは体力が高いかつ、戦闘能力も高いという強敵になります。
   彼等の狂気を治めるには、現状倒す他にはない様です。
 
 ・狂気に刺激されて生み出された『ワールドイーター』の獣達
   上記の狂気に刺激されたのか、ワールドイーターの獣たちも数体ではありますが出現している様です。
   姿形は漆黒の闇に包まれた狼の様な獣状をしています。
   全く知能は無いので、呼びかけても反応を返す事は有りません。
   また怒りも無効の様で、誰を集中的に攻撃する、という事は無く、近くに居たり目に付いた敵を喰らう、と言う行動論理だけで動いています。1

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <腐実の王国>神の侵食完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年01月24日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

志屍 志(p3p000416)
天下無双のくノ一
ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
同一奇譚
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)
航空指揮
ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)
微笑みに悪を忍ばせ
玄野 壱和(p3p010806)
ねこ

リプレイ

●神を騙る
 神託の言葉。
 宗教国家である天義の国においては、神託は神から齎された重要な言葉であり、それに従う事を是とされるもの。
 だが……そんな神託の言葉が、国の屋台骨を揺るがすものであったとしたならば……。
「……神託、ねぇ……それを鵜呑みにする神経は理解し難いのですが、『それ』を利用出来れば天義の愚民どもを都合良く操れる……確かにそう考えるのは、幻想貴族流ではありますねぇ……」
 不敵な笑みを浮かべる『微笑みに悪を忍ばせ』ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)。
 彼の言葉の通り、今回の依頼はここ、天義ヴィンテント海域に面する美しき白亜の街『エル・トゥルル』が舞台となる。
 この街の中央部にあるガレサヤ・ピレア大聖堂に収蔵されている聖遺物から不思議な瘴気が発せられており、その瘴気に触れた水は腐り始め、人々は……原因不明の狂気に陥ってしまうとの話。
 それこそが神託であり、我等は其れを防ぐ者だ、と言う神託を利用して自分達への悪の視線を拭い去ろうというのが、今回の天義の上層部の決定。
「狂気、ですか……まるで錬達で観た、B級ホラーの様相ですね」
「ああ、確かに。故郷に居た頃に観たゾンビ映画の亜種でもありましたねぇ、接触感染で人間が狂暴化するので、ゾンビと違って走ってくるのでしたっけ……?」
「そういうのもあるのですね……確かにゾンビ映画というのは、色々な種類がある、というのも聞いた事が有ります」
 『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)と『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)の会話。
 噛みつかれればゾンビとして増える映画もあれば、接触されて増える映画もある……でも、今此処で起きているのは映画ではない、現実での事。
「狂気の伝搬……か。まるで質の悪い疫病だな?」
「ええ。狂気の伝搬は、R・O・Oであればマルウェア等と判断が出来ましたが、現実でも同様となると、規模感がまるで異なりますよね。それだけにまだ個々の事象で減衰が効くのでしょうし、確実に止めませんとね」
「そうね。力無き人達を救うのは、戦う力を持つ者達の責務よ! 犠牲が増える前に、一刻も早く狂気を止めましょ!!」
「ああ。狂気に染まった人間がこれ以上増えると、街の被害も尋常じゃない。何としても、現状の被害だけで押しとどめねば。一般人を守るのが、義賊としての責務だしな」
 『航空指揮』アルヴァ=ラドスラフ(p3p007360)、『比翼連理・攻』桜咲 珠緒(p3p004426)、『比翼連理・護』藤野 蛍(p3p003861)の会話に、ウィルドも。
「まぁ皆さんの言う通り、十中八九裏に何かいるのは間違い無いでしょう。こういう悪巧みをする相手はジャマしたくなるのが私でして……ま、精々頑張ってこの場を収めるとしましょうかね」
 と笑う。
 ……ただ、そんな仲間達の会話に対し、首の後ろで手を組み肩を竦めるのは『ねこの料理人』玄野 壱和(p3p010806)。
「それにしても、集団ヒステリーかヨ……嫌だねェ。オレの『ねこ』の狂気とはこれ、フォーマットが違う以上、これに関しちゃ専門台。トーシロもいい所だしナァ」
 そんな彼の言葉に憤りを露わにしているのは『同一奇譚』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)。
「本当、私を差し置いて『狂気』を騙るとは如何様な所業か!」
「……如何様ってなァ……?」
 面倒臭そう、な視線を向ける壱和だが、オラボナは。
「まぁ、今は依頼だから仕方ないな。今更ながらレベル1、旅人として召喚された事を皮と肉、想うとはな。恩恵は十分に受けたが、やはり人間は脆い。つまり今の私も人間と謂うワケだ、Nyahahahaha!!」
 声高らかに笑うオラボナに、一度はきょとんとしている壱和。
 そして瑠璃が。
「まぁ殺人はともかく人攫いもしている様ですし……何処に運んで何をするつもりなのでしょうか。救助が間に合うなら、それに越した事は無いのですが」
「そうですね。戻るのなら『不殺』で倒せば良いですし……ですよね?」
「アア。大体そういう奴等の直し方ってのは決まってるもんサ。ブッ倒していいんだロ? だったら単純ダ。つまり、ド頭ブッ叩いて直ス! 『ねこ』の準備も万端だ、行くとしますカ!」
「そうですね。後はワールドイーター……此方は終焉獣でしたから、こちらはすぐに倒して仕舞えばいいと想います。それでは……皆さん、街の人達を救うためにも、確実に進めて行きましょう……!」
 フルール、瑠璃、壱和がそれぞれの気合いを込めて……そしてイレギュラーズ達は、エル・トゥルルの街に向けて急いだ。

●腐食の刻
『ウゥ……ガゥァアゥゥァァァ……!!』
『うわっ。な、何だ、来るな、来るなっ……!!』
 街に立ち入りしイレギュラーズ……立ち入るとすぐに、聞こえてきたのは何を言っているかも分からない呻き声や、それに恐れを叫ぶ悲鳴。
 突然の事態に街の中は混乱しており、人々が逃げ惑っている様な状態。
「これはこれは……中々に酷い状況ですね」
 瞑目するのは瑠璃……それにオラボナが。
「うむ。確かにこれは酷い。一般人どもは狂気に当てられ、混迷している様だ」
「ええ。取りあえずどこに誰がいるかを調べておく必要がありそうね。人攫いする者達が何処に連れて行くのかは調べておきたいし、ワールドイーターやら強力な騎士達が不意に現れられると厄介ですしね」
「そうだな。よろしく頼むぞ」
 オラボナの言葉に頷き、瑠璃はファミリアーの鷹を上空に飛ばす。
 そして上空から監視の目を光らせて……騎士然たる姿をした者や、漆黒の狼の形状の者がどこにいるか、を認識為た上でこのエル・トゥルルの街の地図と見比べる。
「……うん。こんな感じの様ね。勿論これが絶対に正しいという訳ではないけれど」
「いえ、ありがとうございます。一団になると戦いは楽かもしれませんが、市民の方々を助けるには後手になる可能性がありますし、複数班に分かれて動く事としましょうか」
「ええ。ではボクは珠緒さんと一緒に行動しますね」
「了解。オレは一人で行動させて貰う。一応、不殺の手は持っているからな」
「ンー。んじゃオレはオラボナの旦那と一緒に行くカ。旦那、宜しく頼むナ」
 そうイレギュラーズ達は各々の思いと共に、テキパキと隊を分割。
「それじゃ、皆、無理はしないで下さいね。生きて戻ってこない事には、意味がありませんから」
「ああ、分かった。それでは行こう」
 瑠璃に頷くアルヴァ……そしてイレギュラーズ達は、4班に分かれて行動開始。
 混乱の叫び響く中心部に向けて掛けて行く……そして。
『くるなぁーー!!』
 恐怖に戦く悲鳴……その声を聞いた蛍が踵を返し、その声の方角へ急ぐ。
 程なくして、地面に転ぶ市民と、それを追いかける……これもまた市民。
 ただ、追いかけている市民は。
『キャサァイアアア……クァウアア!!』
 もはや人語の理論が通じない、意味不明な言葉を声高らかに叫び続けている。
 ……そんな狂気の一般人と転んだ一般人の間に立ち塞がると、即座に蛍が。
「っ……吹き飛べーっ!」
 と全身全霊で吐き出す声。
 その声の衝撃により、後方に吹き飛ばされる狂気一般人。
「はぁ、はぁ……え、な、何……!?」
 と目の前で起きた事に対し、理解が未だ出来て居ない具合。
「助けに来たわ! この隙に逃げて!」
 と蛍が力強く市民に声掛けると、え、あ、は、はい……と頷き、どうにか立ち上がって逃げていく。
 勿論その後ろ姿に対し、狂気一般人は。
『ガァウガゥ! ガアアアアウウィガ!!』
 目を血走らせ、怒りを滲ませる。
 そんな彼等の言葉は理解出来ない……ただ、その声にあ、あ……と恐怖の表情を浮かべる周りの市民もちらほら。
「大丈夫。この場はボク達イレギュラーズが収めるわ! 皆さんは身の安全第一に、中央部から離れる様に避難して下さい!」
「ええ。さぁ、あちらの方向に逃げるのです。ここは危険です!」
 蛍の言葉に指さし逃げる方向を指示する珠緒。
 恐怖に囚われている一般人達は、その指示にただ闇雲に従い、逃げていく。
 ……獲物がどんどんと逃げていく現状に、狂気なる者は……一人から二人、四人……と周りの者達を呼び寄せてから、一気に攻撃を開始。
 幸いその中には騎士の者は居ないようで、数の暴力はあるものの、体力のみが高く、攻撃力はそんなに高くはない。
「攻撃の手数は多いけれど、これくらい……大丈夫よ。さぁ、みんな大人しく眠りなさい!」
 と敵の攻撃を蛍が引き付け、集まった所に珠緒が神気閃光を放ち、一網打尽に不殺で倒していく。
 偶然回避した者は蛍が更に。
「ここはアンタ達の居るべき場所じゃないのよ!」
 と更に怒りを呼び起こして自分にターゲットを集中させていく。
 不殺を持つ珠緒に倒す事を任せ、蛍は標的として敵の誘導をし続けていく。
 その一方、オラボナと壱和の二人は中心部に進む。
 ただ普通に進む訳で無く……所々にオラボナが。
「さて、と……この辺りにでも仕掛けておくとするか」
「ンー。何すンだ?」
「まま数が多いからな、トラバサミでも仕掛けておけばそれに掛かる間抜けなのもいるかもなってな。Nyahahaha!」
 笑うオラボナに、オー、と拍手する壱和。
「りょーかい。ンジャ、その最中は周囲の索敵はオレに任せてくれヨ」
「ああ、頼むぞ」
 そう二人は街に罠を幾つも仕掛けて廻る。
 勿論そうしている間、不意に登場するワールドイーターの獣。
『ガルゥゥゥ!!』
 獰猛、かつ漆黒の闇に包まれた獣の牙が素早く駆けて先手必勝を狙う。
 だが……その動きを見据えたかの如く、パッと回避するオラボナ。
「Nyahahaha! 早速現れた様だ!」
「アア。んじゃァ早速殺るとするカ!」
 オラボナの言葉に頷き、壱和はオラボナの後ろに立って攻撃。
 敵の攻撃をオラボナを盾にしつつ、ヒットアンドアウェイで攻撃し、ワールドイーターを倒していった。

 そうオラボナと壱和、珠緒と蛍が行動する一方、単騎で進むはウィルド。
「……さて、と……こっちか?」
 と狂気の声を聞き分けながら中心部に進んで行く。
 一人という事も有り、敵の動きを見据えて対峙を回避。
 ……そして、中心部である『ガレサヤ・ピレア大聖堂』の天井部が見える位の所まで来ると。
『キャァアア、助けてぇえ!!』
 一際悲壮感に溢れる悲鳴。
 その声の下には、騎士然たる格好をした者と、その脇に抱えられ、足をジタバタとさせている一般人の姿。
「やれやれ……これは骨が折れますねぇ……」
 深く溜息を吐きつつ、アルヴァは騎士を中距離から一撃。
 攻撃を受けた相手は、振り返ると共に……他の狂気一般人と同様、意味不明な言葉で威嚇。
 それに眦一つ変えず、ウィルドは。
「騎士は強敵だと言う事ですし、先ずはこれで行きますか。これで死んだら、仕方ありませんしねぇ」
 と言いつつ、敵の攻撃を返り討ちにする強烈な痛打を叩き込む。
 かなりのダメージを喰らうが、やはり騎士はそれで倒れる事は無い。
 ただ痛みはあった様で、抱えていた市民をその場に零す。
『痛っ……ひ、ぃぃぃ……』
 絶望の表情を浮かるが、それに。
「今すぐ逃げなさい。ここにいたら、危険だ!」
 強い口調でその場から逃げる様指示し、市民も恐怖の儘に逃走。
 ……攫うべき人を失った騎士は、ガッ、と足を何度も叩きつける仕草。
「悔しそうですねぇ……まぁ、その真意は分かりませんが、さっさと排除させて貰いますよ」
 とウィルドはニヤリ、と不敵な笑みを浮かべる。
 そして瑠璃、フルール、アルヴァの三人……上空の鷹の監視を活かし、敵の動静と、逃げ遅れている一般人達が何処に居るかの情報を踏まえた上で、手薄な所をピースを埋める様に移動していく。
 悲鳴が響きわたり、何が起きているのか理解出来て居ない一般人達を見かけると。
「いいか、街の中心部には近づくな。生きたければ外周を目指したまえ」
 と、外周に向けて避難する様に指示。
 他の仲間達の指示を受けて逃げてきた市民達にも、更に避難の方向を指示する事で、このエリアでまだ狂気に囚われていない人達を的確に避難させる。
 勿論、それを追いかけてくる狂気一般人も居るが、間に立ち塞がり構える。
 理解不能な言葉に、フルールが。
「……何を言って居るかは分かりませんが、一応記憶しておきましょう。倒して目を覚ましたのにも後で聞いておきましょうか。多分、覚えていないでしょうけれど」
 と言うと、瑠璃も。
「そうですね。その為にも、殺さないように細心の注意を払わなければなりませんね」
 と頷き、確実に敵を気絶させる。
 ただ……気絶した者達の様子を暫し観察してみるが、中々目を覚ます事は無くて。
「取りあえず、他の狂気人達に襲われないよう、彼等を見えない所に隠しておきましょう」
「ああ、分かった……っと」
 倒した後から、すぐに運び込み……また出てきたら不殺で対抗。
「……本件が片付くまでは、大人しくしていてくださいね」
 と、気絶為ている者達に瑠璃は届くかも分からないが、声掛け。
 塵も積もればの程に不殺者の数は増える……一方で、周りに現れる狂気なる人々の数は大きくは変わらないままであった。

●神舞
 4班に分かれて数時間が経過。
 ……狂気たる人と、ワールドイーター達を多数倒したイレギュラーズ達は、大聖堂の近くまで到達し、合流。
 ただ……大聖堂の方向からはかなりの数の狂気が蠢き、それに加えて黒き獣の集団も咆哮を上げて威嚇と警戒をしている。
「流石に数が多いな……」
「ええ。大聖堂が発生源とわかっているのに、そこには近付けない……それで周りの被害を食い止めようとするなんて、どうやって終息させればいいのかしらね」
 アルヴァとフルールの言葉に、瑠璃は。
「そうですね……とは言え分かった事もあります。狂気に包まれている彼等は、私達には理解不能の言葉を口にしている。そしてその言葉を持って、他の狂気の者達と意思を疎通している様な所があります」
 確かに今迄戦っていた狂気一般人達が狂気を叫ぶと、他の仲間達がその声に気付いたのか、追撃として現れてくる様であった。
 勿論、ただその声に反応して近づいて来た……という可能性は十分にある。
 それに加えて……大聖堂から止めどなく現れる敵は収まる事を知らない。
「元を絶たないと、これはキリがなさそうね……敬虔な人達の祈りの場を悪用するなんて、許せないわ!」
「全くだ。本来は人々を治める為の騎士達も狂気に包まれるとは……ミイラ取りがミイラになってどうする……」
 拳を握りしめる蛍に対し、溜息を吐くアルヴァ。
 しかしながら……今イレギュラーズ達に出来る事は、こうして街に蔓延る狂気に包まれた一般人達を倒し、正気を取り戻させる事。
「本当……幻想だけではありませんが、国の上層部の連中は、悪巧みをしてばかり。こうして私達の手を煩わせないで済む日は当分来なさそうですが……まぁ、仕方ありませんね」
 溜息を吐くウィルドの如く……まだ天義の腐った現実は、始まりを迎えたばかりである。

成否

成功

MVP

ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)
微笑みに悪を忍ばせ

状態異常

なし

あとがき

参加頂き、ありがとうございました!
天啓から来る天義の考え方もかなり突拍子も無いものでしたが、それに巻き込まれる市民の方々は不幸でしかありませんね……。

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