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シナリオ詳細

<咬首六天>生きる為、それは偽善の誤解

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<咬首六天>生きる為、それは偽善の誤解
「チッ……あいつら、ふざけやがってよぉ……」
 舌打ちする、眼に傷を負った男達。
 苛立ち気味な彼等の手に握られていたのは、様々な街中に張り巡らされている手配書。
 その一つの手配書で、そこに記されていたのは……『夢語る李花』フルール プリュニエの名が記されており、その表情も何か悪巧みしてそうに、人宗悪く描かれている。
「ああ、こいつよぉ……最近スチールグラードの色んな所で炊き出しとか称して食べ物を配ったり、他の派閥と協力しようと足掻いているみたいだぜぇ?」
「一つの罪だけでもつみぶけーってのに、更に周りに手を広げようってかぁ……かーっ、本当ふざけやがって! でもよぉ……俺達にはコレがあるんだ。コレがあれば、大義名分振るって奴等を殺す事が出来るんだぜぇ!』
 その胸には、帝国軍、新皇帝派の一派、新時代英雄隊のしるし。
 その風体はゴロツキの様なものではあるが、新皇帝派に属する事で彼等を殺せば懸賞金を手に入れられるし、新皇帝派に属さぬ者達にもその懸賞金をちらつかせる事で動員できるというモノ。
 ……そんな千載一遇のチャンスを活かし、彼等はイレギュラーズを殺すべくスチールグラードで大声を張り上げるのであった。


「もう……本当にあったま痛いわねぇ……』
 空を仰ぎ見て、深い溜息を吐くのは『Sクラスの番人』ビッツ・ビネガー。
 ラド・バウ近辺にこれ見よがしに張られた手配書を剥がしてきたものの、剥がしても剥がしても次々と貼られるので終わりがない。
 更にそんな手配書の中にはこのラド・バウに属する者の名もある訳で……フルールの手配書には、250万GOLDと記されている。
「ねぇ、フルール。貴方にも何も心当たりないのよね?」
「勿論。濡れ衣も良い所です」
「そうよねぇ……ま、新皇帝が目に付くイレギュラーズ達に手当たり次第手配書を仕立て上げてるって訳なのね。まぁ……している事は悪意ある書き方だけど」
 確かにその手配書にある罪状は『人々に毒入りの食べ物を食わす』『他勢力を手引きしスチールグラードに攻め入ろうとしている』と。
 人々に炊き出しをして、ひもじい思いをしている人々のお腹を満たし、更には他勢力との協力関係を築こうとしている彼女の行いは、どうやら知られている様である。
 勿論そんな彼女の行いを妬む輩や、懸賞金に目が眩んだ者達が彼女の首を狙いに来る可能性は十分ある訳で……ラド・バウの活動を一度止めてはと言う提案もあった。
 だが、フルールは。
『そんなの……新皇帝の狙いに嵌まるような事は出来ません。炊き出しは続けます!」
 苦しむ人々を見捨てられない……そんなフルールの言葉にそうね、とビッツは頷き。
「うん、続けて貰って構わないわ。それと……みんなも手伝ってくれるかしらね?」
 と、周りの仲間達に声を掛けるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 炊き出しをしているフルールさんの行いは正しいですが……それを妬む輩達が傷付けようと足掻いている様です。

 ●成功条件
   炊き出しをしている最中に襲撃を仕掛けてくる『新時代英雄隊』及び、彼等の言葉に寝返りそうな『街の人達』を倒すか穏便に済ます事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   部隊となるのは首都スチールグラードです。
   そのスチールグラード、ラド・バウの近くの区画でフルールさん主導で炊き出しを行う形になりますが、そこに突如襲撃を仕掛けてくる新時代英雄隊という構図になります。
   新時代英雄隊は『新皇帝派』である事をつまびらかにしつつ、フルールさん達が『罪人』であり『捕まえれば金が出る』と大きな声で言いふらして、炊き出しを受けている一般人達をも抱き込もうとします。
   皆様が炊き出ししているシーンは多少あるので、その内に一般人の人心掌握をしっかりしとけば、裏切る一般人は少なくなるかも知れません。


● 特殊ドロップ『闘争信望』
 当 シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
  闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
  https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

 ●討伐目標
 ・新皇帝派『新時代英雄隊』:12人
   『波瀾に道だ新時代こそ英雄が必要』と騙る鉄帝軍将軍『レフ・レフレギノ』の下に集い、動く者達です。
   とは言えその内実はゴロツキ上がりの懸賞金に目を光らせ、金に汚い行為を平気で行いますし、一般人達が命令に従わなければ『反逆罪』の名の下殺す行為を行いかねませんので、彼等を確りと抑えなければなりません。
 
 ・懸賞金に目が眩んだ『一般人』
   戦闘能力はありませんが、お金に目が眩んで『数の暴力』で足や手を押さえつけたり、取りまいて動きを制限したり……という行為を行います。
   どれだけの数が出るかは、事前の一般人達の掌握状態に寄りますのでどれくらいいるかは分かりません。
   ですが数が多くなればなる程かなり面倒臭い状況に成りますんどえ、その辺り注意が必要でしょう。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <咬首六天>生きる為、それは偽善の誤解完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年01月17日 22時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

武器商人(p3p001107)
闇之雲
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女
刻見 雲雀(p3p010272)
最果てに至る邪眼
フロイント ハイン(p3p010570)
謳う死神

リプレイ

●偽善とは何か
 鉄帝国の国中に張り出された『手配書』。
 殺人、暴力、人を騙す……等々、その手配書の手配内容は様々なものがあるが、それら全てに共通しているのは……イレギュラーズである、という事。
「ふむ……偽善、ですか……」
 己の手配書を手にした『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)の言葉。
 彼女の手配書には250万Gの記載と『毒入りの食べ物を振る舞い市民達を殺害した』という罪と『他勢力と手を組み国家転覆を謀ろうとしている』という罪状が記されている。
 無論、その罪は根拠のない濡れ衣。
 イレギュラーズ達の仕事を知らない市民達に良いように情報を流す事で、市民達をも利用しようとする……新皇帝派達の隠れた真意が見て取れる。
「ホント、困ったものだねぇ。プリュニエの方は、ムスメの番だからどうこうされるわけにはいかないんだよねぇ」
 と『闇之雲』武器商人(p3p001107)が苦笑すると、それに『高速機動の戦乙女』ウルリカ(p3p007777)も。
「全くです。それに250万Gって……たった一人に出す様な金額でしょうか……本当に首を獲ったとしても、その支払い能力にも疑問がありますが……はてさて……」
「まぁ……この手配書は鉄帝国の新皇帝から出されている訳で、国からすれば、別に250万Gを出す事くらいはそんな大きな問題ではない、という考えなのかもしれないわね」
 二人の言葉にフルールはくすりと自嘲気味に笑う。
 更に一呼吸置いたフルールが。
「まぁ……誰かのためと謳いながら、その根本的な解決には未だ至っていません。それに、誰かの気持ちを本当の意味では理解出来ません。私は喜ぶだろうと思ってやっていますが、相手の気持ちがわからない以上は、自己満足だと言われればきっとそうなのでしょう」
 と、己を蔑む様な言葉を紡ぐと、少し難しい表情を浮かべながら『最果てに至る邪眼』刻見 雲雀(p3p010272)が。
「まぁ、こういうのはよくある話だし、慈善事業を偽善だと言って嫌う人は一定数いるけど……まだ純粋に嫌悪感を抱く方がマシだよ。欲に目が眩んで、あることないこと言う人が、一番恐ろしいし厄介だもの。まあ、どの道放っておいたらロクな事にならないし、ここで片付けて仕舞うに限るね」
 と言うと、それにうんうんと頷く武器商人。
「そうそう。そういう訳だから、ゴロツキ共にはさっさとお引き取り願わねばならないって訳だネ。それと並行して、市民の方達に炊き出しを行い、ゴロツキ共を炙りだそうってな訳だ……ヒヒヒヒ」
 武器商人の言う通り、今回の依頼において重要なのは、ラド・バウ独立区に避難している一般人達への炊き出し。
 手配書を恐れて炊き出しを止めてしまえば、それはそれで手配書に屈しただとか、逃げ回っているだとか言われかねない。
 そして避難民達からも、本当は罪人なのでは……という疑いの目が上がる可能性は十分にある。
 だからこそ、炊き出し行為を止めるわけにもいかないのだ。
「本当、フルールちゃん、立派だよねえ。炊き出し、私も協力させてもらうよ!」
「そうだネ! 人様の食事のジャマをしようだなんて、世の中にはやってイイ事と悪い事があるってシラナイのかな? 食べ物のウラミはオソロシイ! 善良なヒトたちのメイワクになる前に、きっちり片付けてやっちゃおうか!」
「うん! そこを狙う浅はかな敵には、少しお仕置きが必要だもんね!」
「ええ。厄介な連中が例えやって来たとしても、自分が守ってみせます。卑怯な事をする輩達は、絶対に許す事はありませんから」
 『いにしえと今の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)と『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)、『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)が、互いに強い意志を口にする。
 ビッツが言うには、最近このラド・バウ大闘技場の近くに限らず、様々な所で手配書を手に市民達に懸賞金を声高にアピールする『新時代英雄隊』という者達が居るという。
 そして彼等は、今此処に在る手配書の他にも鉄帝国で名を上げている者の手配書があり、それらも同時並行的に賞金首である事を触れ回っているとの事。
「となれば、僕の懸賞金も掛けられているのかもね。僕はラド・バウのA級闘士……鉄帝は相応に名の知れた存在だろうから。だからこそ、僕がすべきことは、炊き出しの最中に、少しでも多くの人心を掌握出来るようにするよ」
 『ラド・バウA級闘士』フロイント ハイン(p3p010570)の提案に、イグナートが。
「うん! それじゃ避難している人達へのお話は、ハインにお任せするね! それじゃミンナ、準備はいいかナ? 早速だけど炊き出しの準備を始めるヨ!!」
 と元気一杯に拳を振り上げ、イレギュラーズ達は炊き出し会場を設営していくのであった。

●食と金の迷い
 そして、ラド・バウ大闘技場の間近にある大広場。
「さて、と……取りあえずこの場所だよねぇ。それじゃ、早速だけど始めるとしようかな」
 と会場に来るなり早速武器商人は、外側にバリケードや柵等をせっせと組み立てていく。
 そして一通り安全を確保したエリアを武器商人が作り上げた所で、その広場のド真ん中に炊き出し用の焚き火の火元を点火。
 その上に鍋を置いて、グツグツと煮立たせると、その中にイグナートが切った野菜やお肉をゴロゴロっと投入し、加えて研いだ米を入れる。
 更に調味料を入れて味を調えていけば……暖かい雑炊の様なスープの出来上がり。
 ……当然その鍋からは暖かそうな湯気が立ち、美味しそうな香りがその湯気に乗って周りに漂う訳で。
『……おいしそうな……かおり……』
『うん……ああ、おなか、すいたなぁ……』
 その香りに吸い寄せられるかのごとく、ラド・バウ独立区に避難してきている避難民達が続々と大広場に集まってくる。
「皆さん来ましたね。皆さんへの炊き出しです。あともう少しで出来上がりますから、こちらに並んで頂けますか?」
 と、お腹の空いた避難民達の列を作り誘導する事で、その場が混乱しないようにする。
 ……そして、お米がちゃんとスープを吸って柔らかくなった所で。
「お待たせしました。暖かい雑炊が出来上がりましたよ! 皆さんの分ありますから、押さないで並んで下さいね!」
 そうフルールが避難民達に呼びかけると、わぁぁ、と嬉しそうな歓声が上がる。
 オリーブと雲雀が列を整理し、イグナートが配膳し、足腰が悪い人には座れる場所、寒そうな服装の人達には。
「今年の冬はとても寒いらしいからね、ほら、これを使うと良い。我(アタシ)はラド・バウとは派閥は違うけれども、避難しているキミ達二は関係無いしね。それに、今の事態を憂慮している者は非常に多いんだ。少なくともイレギュラーズは、凍える民達の味方だよ」
 と武器商人が膝掛けなどを渡していく。
 そして暖かい雑炊にスプーン一掬い……口に運び、暖かくも素朴な味付けに……自然と笑みを浮かべる。
 ……そして、そんな避難民達が食事をする広場の中央で、アリアが。
「はいはーい、皆さん! 今日の炊き出しは炊き出しだけではありません。私の歌を、ちょっと聞いていって下さいね!」
 ニッコリ笑みを浮かべながら、アリアは声高らかに歌を歌う。
 その歌には、理不尽に立ち向かう民衆の凱歌……避難している今の状況に響くような曲を届ける。
 歌に耳を傾ける市民達の表情を伺うのは、雲雀やウルリカ、ハインの三人。
 かの手配書は、このラド・バウ独立区にも幾つか貼られており、それを見てしまった人達も居る筈。
 そして……自分達に炊き出しをしてくれているフルールこそが、その手配書の一枚に記されている似顔絵と同じな訳で……それを見た人が、よからぬ企みを企てる可能性はゼロとは言えない。
 ……そして、恐らくその類いであろう避難民は、炊き出された食事に手を付けようとするが、その手がどうしても止まってしまう人も居る。
「……」
 そういった人を見つけるとすぐに、ハインが。
「うん……先ずは食べよう? お腹が減ると、悪い考えは膨らんじゃうものだからね」
 優しい笑顔で声を掛ける。
 でも……どうしても逡巡し食べられない避難民には。
「一人の命を助けることは、無限の可能性を助けるコト。承認、建築家、料理人。戦闘力以外にも、国が必要としている人材はいくらでもある。それはある種の強さだ。そして僕達は、それを助ける為に動いている。だから、ね。まずはしっかり食べて、いったん落ちつこっか?」
 と声掛け。
 流石にそこまで逡巡している避難民に、ウルリカが。
「……いいですか? たとえお金が払われるとしても、今はこの国に売り物がなくては買えないのですよ?」
 と、確信を突いた一言。
 その一言に彼は。
『な、何を……言ってるのか……』
 と問い掛けるが、更にウルリカは。
「国を……越えてみますか? 移動手段も関所も、新皇帝派だったらどうしますか? 手配書程度のお金で足りますか? このままフルール様が炊き出ししていれば、少なくともご飯はあるのですよねぇ……?」
 敢えて不安に不安をぶつける事で、彼の迷いを打ち砕こうとしていく。
 ……と、その瞬間、バリケードがガシャンと壊される音と共に、大広場に踏み込む、ゴロツキ同然の容姿ながら、装備整いし者達が乱入。
『おうおう! そこの女よぉ! てめぇ、皇帝に刃向かおうとして懸賞金掛けられてる奴じゃねぇか!』
『そうだぜぇ、この手配書の顔の通りだ。ほーら、周りの奴等よ、これでもみろやぁ! ヤツを捕まえれば、てめぇらにも金が入るんだぜぇ!!』
 乱入するやいなや、手配書を散蒔き始める。
 風に乗って手配書が飛来し……フルールが手配されているのを知らなかった人達も、彼女の首に懸賞金が掛けられている事を知ってしまう。
 だが、フルールは毅然とした態度で、声高らかに隠れる事無く。
「ええ……貴方達の言う通り、私の手配書は国中に廻っている事は知っています。貰えるお金も、一般人が唆される程の高額、という事も。良いですね? 本当にそのお金が貰えるのだとしたら。ですが、絶対に貰えるものだと誰が保障してくれたでしょう? 貴方達、新時代英雄隊にそのお金があると皆さん思いますか? 英雄隊の背後に居る人が、そのお金を払っている所、見た事ありますか?」
『なっ……ふざけた事言ってんじゃねぇ!』
 一瞬ではあるが、ちょっと戸惑う彼等『新時代英雄隊』。
 そんな彼等の機微に、仲間達と頷き愛ながら更にフルールが。
「私はね、今は苦しくても必ず良くなると思います。新皇帝派必ず倒します。そうすれば、きちんとした皇帝が真っ当な治世をするでしょう。それに……私みたいな女の子を手に掛けてお金を貰ったところで、きっとあなた達は罪悪感と共に生きるでしょう。そうなって、本当に幸福になれますか? 優しい人は、ずっと心に病を抱えて生きて行ってしまう……誰かを犠牲にして、手に入れたものを誇れますか? 今は……私を信じて下さいな」
 毅然とした表情から、敢えて最後は笑顔を浮かべて呼びかけるフルール。
 ……先ほど迄美味しい炊き出しを行ってくれた彼女が、賞金首。
 避難民が徒党を組めば、数の暴力で一気に状況が不利になるのはまず間違い無い。
 そして、新時代英雄隊は。
『てめぇら! 俺達に反抗する様なら、お前達も犯人を匿った罪で同罪だぜ! それでもいいのかよぉ!! 寝返るなら今だぜ、今ァァ!!』
 叫ぶ彼等……避難民の一人が。
『……う、うるさいっ。オレは、おまえたちの仲間にならないっ!!」
 そう声を荒げ、フルールの方に駆け寄ると、堰を切ったかの様に、次々と避難民達はイレギュラーズ達の方向に駆けていく。
「どうやら……避難民達は我(アタシ)達の仲間になってくれたみたいだねェ……それじゃあ、侵入者を早々に退治するとしようか」
「そうですね。では、始めましょう」
 武器商人に頷くオリーブ……先陣を切って敵陣に斬り込み、出来うる限りを巻き込むように残忍なる掃射を放つ。
『ぐわぁっ!?』
 その一閃を暗い、その場に繋ぎ止められ動きを封じられた所へ、更にイグナートが。
「オレはイグナート! 懸賞金目当てって言うならオレの名前くらいは聞いたことはあるだろう? エンリョは要らない! ぶっ飛ばされたいヤツらから掛かって来なよ!」
 と意気揚々と口上を述べて、オリーブの隣に駆け込みターゲットを己へ集中させる様にする。
 武闘派二人の行動に新時代英雄隊は一時混乱しかける。
 だが、すぐに声を掛け合い。
『落ち着け! 兎に角あの女を殺せばオレ達は懸賞金を手に入れられる! 他の奴等は無視でいい!!』
『わ、分かったっ!』
 とフルールだけを狙おうとする姿勢を取る。
 そんな敵の動きを見た雲雀は、ハインにアイコンタクト。
「俺達で、英雄隊を取りあえず無力化するとしよう」
 雲雀は突撃戦術と、賢たる視座を伴いながら悪を貫く光で貫くと、更にハインも。
「さぁ、天罰の時だよ」
 と、罪を滅す光の雨を降り注がせる。
 四人が攻撃した後には、更に後衛からアリアとウルリカ、フルールは。
「避難民の方達は……居ない様ですね。ならば、遠慮する必要もありませんよね」
「ええ。所詮は金に物を言わせる程度のチンピラ達です。完膚なく仕留めれば良いでしょう」
「そう……ですか。本当は死なない程度に痛めつければ良いと思って居たのですが……」
「それもいいでしょう。ですが……彼等は万が一にも更生する事は無いと思います。所詮はゴロツキ上がりでしょうから、ね」
 辛辣な言葉が交わされると共に、容赦無い火力で燃え上がらせる新時代英雄隊。
 ……そして最後には武器商人が。
「さて……もう既にボロボロの様だけど、まぁ自業自得だよねェ、ヒヒヒ……ま、罪は罪。これで倒れれば死ななくて済むよ?」
 と、眩い光で敵を包み込み不殺で倒す。
 ……しかしそれで倒れなかった者達は、オリーブが。
「覚悟しろ。自分は甘くは無い」
 との言葉と共に、高威力の一撃で以て命を打ち砕く。
『ひ……ひぃぃぃ……』
 死と、不殺ながら昏倒している者達を横目に震え上がる彼等。
 しかしそれを許す事無く、新時代英雄隊達は死と昏倒に臥していくのであった。

●命紡ぐ時
 そして……襲撃してきた新時代英雄隊達を仕留めたイレギュラーズ。
「さて、と……倒した連中はオレ達に任せて。フルールは炊き出しとかを続けてくれて良いヨ」
「そうですね。自分も手伝いましょう」
 とイグナートとフルールが率先し、新時代英雄隊達を片付ける。
 その一方で、一旦は中断した炊き出しを再開するフルールと……アリア。
「フルールさんが炊き出しを続けるなら、私も演技、別のを演じるよ! さぁ、みんな見てって!」
 元気良く、今度はアリアが苦難を乗り越え、希望と夢をつかみ取るメッセージを込めた歌を歌う。
 心を討つ歌に耳を傾けながら、温かい料理に舌鼓を打つ……自分達を取り巻く苦難に思いを馳せれば、避難民達の瞳には涙が零れ始めていた……。

成否

成功

MVP

フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花

状態異常

なし

あとがき

依頼に参加頂き、ありがとうございます!
今回フルールさんの手配書という事ではありましたが、皆さんのプレイングを見る限り、避難民の方達が裏切られる心境にはなれないな……と判断しました。
一人でも、避難民達の弱った心を刺激するのがあれば、事態は変わったかも知れませんね……。

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