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シナリオ詳細

<革命の聖女像>狙われた難民キャンプ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 新皇帝バルナバス即位後、鉄帝は派閥に分かれ、混迷を極めていた。

 先帝ヴェルスの治世に戻さんとする帝政派。
 南部戦線の英雄ザーバ将軍率いるザーバ派(南部戦線方面軍)。
 我関せずと政治不干渉を貫くラド・バウ独立区。
 ギア・バシリカを中心に民の救済を願う革命派。
 ノーザンキングスに抗する戦力を持つポラリス・ユニオン(北辰連合)。
 空浮かぶアーカーシュに拠点を持つ、独立島アーカーシュ。

 そのうち、クラースナヤ・ズヴェズダーを軸とする『革命派』は鉄帝各所から逃れてきた難民達を受け入れるキャンプを建築していた。
 ただでさえ鉄帝は自然厳しい地域だが、冬が訪れただけでなく、未曾有の大寒波『フローズヴィトニル』に見舞われたことで、難民の数は急増した。
「鉄帝の現状は民にとってあまりに厳しいと言わざるをえません」
 『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)は後方のキャンプ内で寒さに身を震わせる人々の状況について語る。
 ただでさえ、物流が乱れて物資が行き届かない現状。避難民には満足な食料すらも行き届いてはいない。
 それ故に自暴自棄になって暴徒となる者も出始めているのだとか……。
「幸い、この難民キャンプは革命派の皆さんの尽力もあって、何とかなっていますが……」
 今も、ぽつぽつと避難民が流れ着いており、増え続けている。
 徐々に規模が大きくなることで、物資や食料の問題が発生し始めるが、それだけではない。
「釈放された囚人らにこの避難キャンプが目をつけられているようです」
 囚人の狙いは難民キャンプにある備蓄もそうだし、ローレットイレギュラーズにはかなりの懸賞金がかかっている。
 彼等にとってはこの場は宝の山に見えることだろう。
 加えて、その囚人を利用し、新皇帝派が革命派の力を削ごうとしている。
 この難民キャンプが壊滅すれば、多数の死傷者が出て革命派の求心力も落ちる。囚人達にこの場所を教えたのも新皇帝派の可能性が高い。
「今回、小隊を率いているのはヴェルクルス中佐の息がかかった者達です」
 マイヤという名の女性大尉と隊員は10名程度だが、オートンリブスという天衝種2体を連れ、さらにマイヤが集めた囚人が15名ほどが同行している。
 軍人と囚人の思惑が異なるが、いずれもこの難民キャンプを叩き潰そうとしているのは間違いない。
「囚人の狙いはある程度分かりやすいのですが、新皇帝派がどう動くかが読み難い状況ですね」
 囚人は食料かイレギュラーズを狙うはず。
 それらをけしかける新皇帝派は住居の破壊、それらを護る歯車兵の撃破、あとはイレギュラーズを叩く……といったところか。
 幅を持って戦略を立てているらしく、アクアベルの未来視でも見通すのが難しいのだとか。
「何を目的としてくるかは皆さんの動き次第です」
 新皇帝派としては、こちらの力を削ぐことができればなんでもいいのだ。だからこそ、あらゆる状況を想定の上で対処したい。
 そこで、うまく利用したいのがこの難民キャンプを護る歯車兵達だ。
「歯車兵も次々に戦力を増やしています。現状、50はいると見ています」
 それらを小隊へとぶつける戦力として利用してもいいし、避難民の避難誘導へと当てさせてもいい。
 考えることは多い。ただ、単純に考えれば、一気に敵小隊を撃退出来ればいいという見方もできる。
「後は皆さんの戦略次第です」
 ここでキャンプを護ることができれば、革命派の指示が増すかもしれないとアクアベルが語れば、メンバー達の戦意も高ぶっていくのである。


 難民キャンプから少し離れた場所では、新皇帝派の一隊が種撃準備を進めていた。
「よし、ぬかりはないな」
「「はっ!」」
 マイヤ大尉は小隊員に告げると、軍人らは声を合わせて返事する。
 軍人の傍には巨大なカブトムシ型の天衝種、オートンリブス2体がじっとしている。
 冬場とあって寒さに弱いのかと思いきや、鈍重そうな素振りを見せているのは元々のようだ。
 また、この場に集う囚人らもまたぐったりとしている印象がある。
「ああ、腹減った……」
「飯、メシが食いてえよ、大尉ぃ……」
「今から行くキャンプには馳走が大量にあるそうだ。遠慮なく食らうがいい」
 食料があると聞いて、目を血走らせる囚人らだが、さすがにまだエネルギーが足りていないのか、声を荒げるには至らず弱々しく返事するのみだ。
「さて、あのキャンプを叩けば間違いなく詰めている革命派、ローレットイレギュラーズ共が出てくるはずだ」
 改めて、マイヤ大尉は小隊員へと告げる。
「奴らの戦力を出来るだけ削ぐのだ。さすれば、ヴェルクルス中佐もお喜びになる……」
 ここで戦功をあげておけば、自分らの昇進にも影響するはず。
 力ある者が全てという鉄帝で階級は目安でしかないか、出世できればそれだけ力ある者に取り入ることができるし、何より力を得る手段も増える。
「この一戦は中佐の評価にも関わると知れ」
「「了解!」」
 揃った返事に、マイヤ大尉は満足そうに頷くのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 鉄帝内の国民が避難する革命派難民キャンプを狙う新皇帝派軍人とそれらが率いる囚人の討伐を願います。

●状況
 大型の難民キャンプを狙う一団の撃退を願います。
 集合仮設住宅となっており、多数の鉄帝住民が身を寄せ合って極寒の季節をなんとか過ごしています。
 2,3軒が連なる平屋建ての家屋が20棟程。300人あまり暮らしていると思われます。急造の為にかなりもろく、攻撃されれば倒壊は必至です。
 守るべき範囲が広すぎることもあり、歯車兵を駆使して避難、誘導を行います。
 並行して以下の敵集団と対します。

●敵
○新皇帝派軍人
・マイヤ
 鉄帝種。女性大尉。ヴェルクルス中佐直轄で部隊を率いる女性将校。20代と若いながらも将校にのし上がった実力派。
 ヴェルクルスに共感し、今の鉄帝の在り方こそ正しいと疑わぬようです。
 戦場の指揮をとりながら前方へと散弾やレーザー砲を放ち、近接戦になれば細剣を使った連撃、光を舞わせた乱舞を繰り出します。

・マイヤ小隊隊員×10体
 上記の大尉指揮下の軍人達。いずれも新皇帝派であり、力こそ正義と現体制が正しいと信じております。
 遊撃を得意とするものが多く、近~中距離から剣撃(+格闘)と銃撃を織り交ぜた攻撃を行います。

○囚人×15体
 前皇帝下の治世で詐欺、強盗、殺傷事件などを起こした者達。
 いずれも鉄騎種で、ガラの悪い男性多め。腹を空かせており、凶暴さを増しております。
 剛腕を振りかざし、火炎放射やマシンガンを発砲するなど、暴力で相手を屈しようとしてくる輩です。

○天衝種:オートンリブス(大暴兜)×2体
 巨大サイズのカブトムシ型の個体。
 動きは遅いですが、圧倒的な防御力と耐久力を宿しており、自重を活かした攻撃を仕掛けてきます。

○ヴェルクルス中佐
 元鉄騎種男性、30代。新皇帝派に属し、自らも憤怒の魔種となり果てています。
 今回対する部隊と囚人らをけしかけた張本人ですが、指示のみ与えてリプレイ内では登場はしません。

●NPC
○歯車兵
 キャンプには多数の歯車兵が配置されており、基本的には人的避難に当たってくれますが、一部を戦闘に組み入れることは可能です。
(その分、避難誘導の効率は落ちます。20体を越えると多少の支障が出る可能性が発生します)
 戦闘に組み入れる場合はどのくらいの数を使って部隊を編成して戦わせるのかを記述してください。
 なお、今回のシナリオではクラースナヤ・ズヴェズダーの教徒である僧兵は別所のキャンプの防衛に当たっており、登場しません。

●特殊ドロップ『闘争信望』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <革命の聖女像>狙われた難民キャンプ完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年01月09日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
武器商人(p3p001107)
闇之雲
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
シラス(p3p004421)
超える者
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
御子神・天狐(p3p009798)
鉄帝神輿祭り2023最優秀料理人
マリエッタ・エーレイン(p3p010534)
死血の魔女
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標

リプレイ


 鉄帝某所。
 そこでは、国内随所から避難してきた人々が暖を取り、身を寄せ合って暮らしている。
 その様子を、『闇之雲』武器商人(p3p001107)が険しい表情で見つめて。
「難民キャンプが襲われるというのは帝政派としても看過できない事態だね」
「平和な日常を、家を、家族や大切な人を失った人達がいるこのキャンプを襲うのか」
 『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)もまた、すでに災難に見舞われた人々を襲う輩の存在に、眉を顰める。
「難民キャンプですよ……? 力の無い者達ですよ?守るべき者だっていたはずではないのですか?」
「許せぬな。このような厳しい時期に難民を襲うというその性根、度し難い」
 信じられないと首を振る『未来への葬送』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)。傍では、『鉄帝うどん品評会2022『金賞』受賞』御子神・天狐(p3p009798)が怒りに身を震わせる。
「この国の実情と、現実を考えれば、綺麗事を言っている場合でも、余裕が無いのも理解はするがな」 
 一定の理解も示したかに見えた『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)だが、すぐにそれでも特徴を変えて。
「民間人を守る為の軍人が、民間人を食い物にする等、言語道断だろう」
 彼等が戸惑い、憤るのも無理もない。
 一嘉が言うように、難民キャンプを襲うのは鉄帝国の軍人なのだから。
「動乱が終わっても民の心が荒れたままだと治安の回復が遅れるし、しっかりと今のうちに根回しをさせてもらうとしよう。ヒヒ!」
 笑う武器商人に、皆同意して。
「力が無くても今日まで頑張って生きてきた人達からさらに奪おうとするのならば……、慈悲はいらないな」
「うむ、わしらと戦いならば、誘いに乗ってやろうではないか」
 民草の平穏をなおも侵す軍人に戦意を漲らせるウェール。天狐も臨むところと軍人らを迎え入れる準備を進めるのである。


 難民キャンプは集合仮設住宅となっている。
 300人ほどが住むその場所は、今なお難民を受け入れて規模を拡大しているという話もある。
「……防衛線か」
 住宅と人々を護る依頼に、『隠者』回言 世界(p3p007315)は不満どころか、ありがたさすら感じていて。
「俺ってばどちらかと言うとそっちの方が向いているっぽいからな」
 此方は待ち構える立場。即ち、敵が来るまで多少なりとも時間があると世界は前向きに捉えて当然と権利とばかりに備えに当たる。
「とはいえ、護るべき範囲が広すぎるからな」
 ウェールはファミリアーとして鴉を2羽呼び出し、1羽目を上空からの監視に、2羽目をキャンプ上空から仲間へとハイテレパスによる念話で情報伝達、各所の戦況確認ができるようにしていた。
 なお、ウェールの他、武器商人もハイテレパスを働かせている。
「可能なら、歯車兵にも手伝ってもらいたい」
「いや、全て避難誘導に当てる方が……」
 世界は事前準備に歯車兵を使おうとするが、『竜剣』シラス(p3p004421)が避難民を危機にさらさぬようにすべきと主張した。
 また、一嘉は一部を自身と共に戦わせたいと希望する。
 皆の意見の折衷させるべく、メンバー達は10体程度を事前準備の手伝い、そこから一嘉と共闘させる作戦に。
 事前準備としてはまず、武器商人が陣地構築でできる限り建物の補強と寒冷対策に努める。
「新皇帝派を退けたとて難民達が路頭に迷う様では意味がない」
 厚みの補強や隙間を埋めるだけでもだいぶ違うはずと、彼はここで歯車兵数体の力を借り、時短と建物の補強数を増やす。
 また、世界は罠の設置を行い、落とし穴を仕掛ける。一嘉も効率化をはかるべくこの判断に従い、歯車兵と作業に専念していた。
 進行妨害を目的としているのはもちろん、穴の奥に尖らせた木の枝を仕込む。
 雪は止んでいたが、周囲には多少積もっている。遮蔽するのは容易だ。
「後は、皆で罠の位置を共有せねばな。ああ、可能なら、簡素でいいからバリケードを設置してもらえないか?」
「了解だ、回言の旦那」
 世界は並行してバリケードの設置を依頼すると、武器商人は快く引き受ける。
 設置したバリケードを敵……特に囚人は極力楽をしようと利用するはず。そいつらはそこに仕掛けられた罠に釣られるという寸法だ。

 程なく、難民キャンプへと近づいてくる一隊。
 新皇帝派鉄帝軍人マイヤ大尉は堂々と正面から姿を現す。
「全体止まれ!」
 規律正しく上司の指示通り整列して停止する軍人、後方からついてくる天衝種オートンリブスもぴたりと指示通り止まって見せたが、同行する囚人達は唸りながら蹲って。
「ああ……」
「腹減ったよぉ……」
「直に目的地だ。たらふく食えるぞ」
 自隊の状態を確認したマイヤが囚人達へと告げる。
 やはり、キャンプを襲撃する気なのは間違いない。マリエッタは頭を振って。
「囚人達はわかります……救ってあげないといけない存在……しかし、軍人であるあなたたちは、違う」
 ――貴方達が居るから……いてしまうから……。
 自らの内なる感情に気付き、マリエッタは『ダメです』と自制して。
(この心を内なる感情に任せてはいけない)
 感情を押し殺しながら、彼女は自らを最適化して戦いに備える。
「ここに居るのは非戦闘員ばかりだよ」
 そこで、前に出た『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)が穏やかに呼びかけた後、拳を突き出して。
「ソレを分かっていて襲おうって言うのならヨウシャはしない! 死にたいヤツから前に出ろ!」
 自分達イレギュラーズを倒すのも目的の一つだと把握していたイグナートは、目立って相手の引き付けに当たる。
「やはり来たな、お尋ね者どものイレギュラーズ共め」
 マイヤは再び部下達の方を振り返って。
「奴らの戦力を削ぐのだ。戦功を立てれば、中佐も評価が上がってさぞお喜びになる。貴様らの昇進にも繋がるぞ」
「「ハッ!!」」
「昇進? 評価? 戦力を削ぐ? 随分舐め腐った事をほざくのじゃな」
 そんな態度の軍人達に、天狐が煽るように続ける。
「頭お花畑で口から花弁マーライオンか貴様?」
「我らを侮辱するか。ただでは返さんぞ……。小隊、囚人ども、突撃せよ!」
「「うおおおおおっ!!」」
 マイヤの指示を受けた小隊と天衝種は忠実に、囚人どもは目を血走らせてイレギュラーズへと近づいてくるのである。


 向かい来る新皇帝派マイヤ小隊。
 遊撃を得意とする物の多い隊員達も向かい来るが、それ以上に空腹でキャンプの食糧庫を襲撃せんと襲い来る囚人達が思った以上に速く飛びかかってくる。
「メシ、メシだぁ!」
「何か食わせろおお!!」
 よだれを垂らし、そいつらは狂ったように襲い掛かってくる。
(空腹は戦いにおいて最も重いデバフの1つじゃ。気力だけでどうにでもなるモンじゃないわい)
 天狐はそれらを冷静に迎え撃ちつつ、軍人達が囚人らを使い捨てのデコイ程度にしか考えていないのだろうと推察する。
 だが、放置すれば、キャンプに被害が出るのは確実。
「ならば、最速で潰しまわるのみよ」
 囚人狩りRTAの開始といこうと、天狐は誰よりも速く攻撃を仕掛ける。
 すでにブレイクリミットオーダーを自身に付与した天狐は全力で多くの囚人を捉えるよう位置取り、ミニペリオンの群れを召喚する。
(後手になりやすい以上、被害を抑えつつやるしかあるまい……)
 家屋を避けるよう、それらを囚人へとけしかけ、天狐はなおもミニペリオンを召喚して連射していく。
「おわあっ!」
「ぐわああ!!」
 同時に、囚人達は事前に仕掛けられた罠に引っかかり、落下する。
(長引かせると、何するか分からないからな)
 余裕のあるうちにと、世界は幻術で創造した武具に邪念を纏わせて撃ち込み、穴に落ちた囚人どもに呪いを振りまく。
 ミニペリオンも穴も避けた敵には、飛行する一嘉が歯車兵と向かう。
 彼が攻撃対象として最優先に定めていたのは、火炎放射器を手にした囚人だ。
(建物に引火されては、堪ったものではない)
 穴から逃れた囚人はそれほど多くないが、若干分散している状況。
 一嘉は歯車兵10体を5体一組とし、近場の敵に向かわせる。
 同時に一嘉自身も遊撃に当たり、名乗りを上げて囚人の抑えつけに当たっていた。

 並行して、数名が巨大なカブトムシ型の天衝種オートンリブス2体を相手取る。
(オレとマリエッタでゲキハするよ!)
 すでに軍人達へと別メンバーが向かっているが、それを尻目にイグナートがテレパスで呼びかけながらも戦いの鼓動を高め、遊撃に当たる軍人数体を巻き込んで気を引く。
 マリエッタも動いていたが、彼女より速くシラスもまた飛びかかって。
(こいつに突っ込まれたら仮設住宅なんて、下手したら一発で壊れちまう)
 難民はもちろん家屋の被害も防ぎたいシラスは、もう1体へと近づいて装甲の隙間を狙い、高速格闘術式を叩き込む。
 それでも、自身を無視して住宅を目指そうと動く敵に、シラスは偽物の住宅を幻影で見せつけ、囮にする。
(虫の知能なら引っかかってくれるかもしれない)
 実際、天衝種はそちらに引きつけられるように動いていたが、そこにマリエッタが待ち構えて。
(こちらを狙うのが、効率も良く……そして、私自身を抑えられる)
 こみ上げる怒りを抑え、マリエッタは天衝種へと近距離戦を仕掛ける。
 自らの血を媒介とし、彼女は強化した影で変幻自在に攻め、天衝種へと切りかかっていく。
 単独戦闘に自信もあったマリエッタだが、仲間も加わっていることに加え、この魔術が高い火力以上に効率的に攻めることができると確信する。
「戦うの何回目だっけかな? そろそろでっかいカブトムシとの戦いをマカセたらオレの右に出るヤツは居ないよ!」
 傍ではイグナートが引き寄せた天衝種に、超人的野生と鍛え抜かれたタックルで一気に破壊を試みる。
 通称「ボッ」とも言われるイグナートの一撃に、天衝種も溜まらずよろけてしまっていたようだ。
(竜剣の旦那達、うまくやってるな)
 武器商人もマイヤを中心とした軍人達を相手取って。
「ヴェルクルス中佐もくだらないねぇ。こんな作戦で我らを倒そうなんてねぇ」
「貴様、中佐を愚弄するか!」
 マイヤ大尉は思った以上にヴェルクルス中佐に敬意を抱いていたようで、罵倒に耐えられなかったのか、武器商人へと細剣で斬りかかってくる。
 彼女の部下達も数人、武器商人へと剣撃を繰り出すところに、ここまで戦況を見定めていたウェールが軍人達を見定めて高機動で攻め入る。
 メンバーがうまく敵を相手取っているが、フリーとなる軍人が多少残っていた。
 ウェールはカードを弓や銃へと実体化させ、それら目掛けて銀色の矢や弾丸を雨の如く浴びせかける。
 敵の勢いを削ぎながらも、イレギュラーズは一気に攻勢を強めていくのだった。


 交戦の間、戦場となる難民キャンプでは歯車兵達による避難民の避難誘導が続く。
 一部を除き、歯車兵のほとんどがそちらに当たっていたことで、ほとんどトラブルもなく人々は退避することができていた。
(後は……)
 シラスは目下、このキャンプを襲撃しに来た元凶である軍人らの排除に全力を注ぐ。
 囚人らは半数が武器商人、一嘉らが作った落とし穴にはまっている。世界の作ったバリケードを使った囚人がまんまと引っかかった形だ。
 食欲を力に変えていた囚人達だったが、天狐がミニペリオンの群れを連続して襲撃させて無力化する。
 一嘉もまた歯車兵と囚人をしっかり抑え、この場を通さない。
 手にする刃で乱撃を浴びせかけ、満足に剛腕を振るわせることなく気絶させる。歯車兵も5体一組で銃撃もさせずに卒倒させていた。
「囚人は総崩れだ。一気にいくぞ」
 号令を発して彼らをサポートしていた世界は他方の状況にも気を払う。
 見れば、天衝種も全身に亀裂が増えていて。
 数人の軍人と合わせて相手どっていたイグナートは再度「ボッ」で軍人達を沈め、天衝種目掛けて掌打を叩きつける。
 虎爪の構えから繰り出された一打は相手の体に爪を抉りこむ。
 堅い甲殻で覆われた敵もこれには悶絶してしまっていた。
 また、マリエッタの相手にしていた1体は2人がかりで相手にしており、文字通り虫の息。
 高速格闘術で相手を圧倒していたシラスがここぞと魔光閃熱波を浴びかける。
 裏返った天衝種は脚をピクピクさせた後に動きを止めていた野を確認し、シラスは一息つくのだった。
 
 軍人らも上司の命令もあって果敢に切りかかり、銃撃を浴びせかけてくる。
 時折破滅の呼び声を上げる武器商人がコンスタントに敵の注意と攻撃を引き付ける中、怒りの形相で光の乱舞を浴びせかけてくるマイヤへと魔力で想像した神滅の魔剣で鋭い一撃を見舞った。
 その武器商人を巻き込み、世界は呪念を籠めた幻術による創造武具を撃ち込む。
「なっ……!?」
 これはマイヤも想定外だったようで、呪いに蝕まれながらも同様を隠せなかった様子。
 その間にも、飛行していたウェールがヒント&アウェイで、軍人のみに銀の雨を降らせ、纏めて伏していく。
 程なく、イグナートが抑えていた天衝種を、マリエッタが追い込む。
 事前の準備もあり、魔力消耗を軽減させていた彼女は大鎌を模した血影で天衝種の体を真っ二つに切り裂く。
 囚人らもほぼ倒れ、残っていても落とし穴にはまったままとあり、残るは実質軍人達だけに。
「新皇帝派の軍人か? 強者だの何だの笑わせるなよ。テメーら口だけは一丁前で戦ってる相手は民間人ばかりじゃねえか」
 シラスは無数の見えない糸を展開し、残る軍人を切り裂いてから続ける。
「今の鉄帝が攻めてきても、何の脅威も感じないね」
「減らず口を……!」
 シラスの言葉に青筋を立てるマイヤに、イレギュラーズは次々に畳みかける。
 天狐がミニペリオンの群れを叩き込み、自身に従っていた歯車兵を避難誘導へと向かわせた一嘉が空中からマイヤを強襲。
 間髪入れずに、距離をとるウェールが雷のように速き銃撃を撃ち込む。ウェールは飛行し、次なる攻撃の位置取りの為に移動していたようだ。
(貴方達全てを殺せば、もう困るものもいないなんて、そんな邪な感情を抱いているなんて……)
 内なる怒りを表に出さぬよう、マリエッタは極力気持ちを抑える。 記憶をなくす前の自身が血の魔女で、未来と輝きを奪う者であった。その命を奪い去りたいという感情も沸き立ってくる。
(それでも、今の私は救いたい気持ちも強いのですよ)
 先程は天衝種を切り裂いた血影の一撃を繰り出すマリエッタ。
 ただ、その一撃を、マイヤは僅かに身を逸らすことで致命傷を避ける。
 だが、そこに傷つく武器商人が猛然と魔剣で追撃をとその体を切り裂く。
「ああっ……、こんなところで、負けられは……しない……!」
 全身が傷だらけになってなお、気力で動くマイヤは光を纏わせた細剣を突き出す。
 武器商人を狙った一撃だったが、そこは世界が前に出て庇いに当たる。
「お前なんかより難民達の方がずっと強い」
 シラスが魔光閃熱波と合わせ、破邪の結界を展開してマイヤを無力化しようとするが、なおも敵は抵抗する。
「オレたちはキミに勝つけれど、それは新皇帝の考えが正しいからじゃない!」
 なおも、イグナートが手首を旋回させながら掌打を繰り出し、その体へと爪を抉りこむ。
「く、ううっ……!!」
 それでも、地を這わぬマイヤは地面に散弾を放って雪煙を巻き起こす。
「覚えていろ、イレギュラーズ……!」
 雪煙が晴れると、囚人と天衝種は残されていたが、軍人の姿は1人残らず消えていた。
「どちらが正しいかは後世の歴史が証明してくれるさ!」
 この場から姿を消したマイヤへとイグナートが叫びかける。
「エゴロヴィチの旦那。今は避難民の対処が先だ」
 武器商人に促され、イグナートは事後処理へと当たり始めるのだった。


 無事、新皇帝派軍人小隊を撃退したイレギュラーズ一行。
「あれだけ傷めつけたというのに、逃げ足の速い連中だな」
 ウェールは上空に飛ばした鴉に軍人らを捕捉させていたが、残念ながらその行方は分からずじまいだった。
 ともあれ、イレギュラーズは難民キャンプと人々の命を守ることができ、革命派のメンツも保つことができた。
「……落とし穴を埋めとかないとな」
 面倒なもの掘るんじゃなかったと、世界は大儀そうにそれを埋めていく。同時に、歯車兵に力を借り、残された囚人達を拘束していた。
 しばらく、罠の撤去に動く仲間達と並行し、天狐が炊き出しを始めて。
「さて、キャンプに振舞うかの」
 彼女達は歯車兵の誘導によって再び難民キャンプの仮設集合住居へと戻ってきた人々へと、温かいうどんを配っていく。
 寒空の下、人々は幸せそうにその温かい一杯を口にするのだった。

成否

成功

MVP

イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは最終的に新皇帝派大尉を撤退へと追い込んだ貴方へ。
 今回はご参加、ありがとうございました!

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