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シナリオ詳細

サンタVSサンタ 〜奴らが街にやって来る〜

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●Side:赤いサンタさん
「サンタの服が、どうして赤いか知っているか?」

 幻想某所の田舎町デルーダ外周。双眼鏡を覗いて町の様子を観察していた赤服のサンタクロースが、隣に座る男へ問うた。
 応じようと隣のサンタが手にしていたものを下ろす。彼もまた白いファー付きの赤い服を纏っているのは確かだが、彼の手に握られているのは子供達へのプレゼントでも、ましてや麻袋でもない。
 猟銃だ。メンテナンスを終えたそれを担ぎ直し、仏頂面のまま答えに思考を巡らせる。

「……返り血が目立たないからっスかねぇ」
「ははは! そんな事聞いたら、ガキが泣くぞ」
「こんな酔狂な作戦を思いつくカリメロさんには、言われたくねぇっスわ」

 悪名高き大盗賊カリメロ。最近、このあたりを騒がせている盗賊団のお頭だ。
 小さな町や村を襲っては金品・食料を盗んでいくという部分においては、よくある盗賊と同じだが、厄介なのはその技能。
 魔人を操り、盗みを終えた場所に火を放つという悪趣味な性格から、人々に恐れられている。

「お前ら似合ってるぜ! 旅人から聞いたんだ。シャイネンナハト近くになるとよぉ、異世界じゃサンタクロースって奴がプレゼントを配る習慣があるってな」

 カリメロが立ち上がると、同行していたサンタ服の配下達が下卑た笑みを浮かべて得物を持って後に続く。ナイフに棍棒、クロスボウと寄せ集めらしく武器は様々。
 カリメロが腕を一振りすると、空に魔法陣が現れ炎の魔人が現れる。赤い肌にトナカイの様な立派なツノ。口から吐き出す息には火の粉が混じり、鋭い爪が己の力を誇示するように暗闇を引き裂いた。

「配ってやろうじゃあねぇの、この村に……死と絶望のプレゼントって奴をよぅ! ヒャーッハッハッハ!!」

●Side:黒いサンタさん
 時をほぼ同じくして、デルーダ町外周。物陰から赤いサンタ集団を見ていた冬越 弾正(p3p007105)は、わなわなと唇を震わせていた。

「なんという事だ……俺達以外にもサン活(サンタ活動)をしている集団がいるとはッ!」

 そう。今ここに集まっている特異運命座標は皆、依頼のためにサンタ服を身に纏い、トナカイのツノを頭に着けた量産型ハイペリオン様のソリに載って、デルーダ町の子供達へ配ろうと現場にやって来たばかり。
 黒いサンタ服を身につけたブラックサンタ・弾正に「プレゼント配りを手伝って欲しい」と頼まれて集まった、雇われサンタなのだがーー

「いや、しかし妙だな。不法侵入だと騒がれないよう事前にデルーダ町の町長へ許可をもらいに行った時は、ご同業が来るなんて言われなかったぞ」

 どうにも引っかかるなと考え込んだ弾正は、最近このあたりで悪事を働いているカリメロ盗賊団について特異運命座標に語りだす。

「奴らはこっそり家に忍び込み、金品や食料を根こそぎ奪ってから民家に火をつける。
 そうして慌てて家から出て来る人々を嘲笑いながら殺すそうだ。まったく悪趣味にもほどがある!」

……と、怒りで拳を震わせながら話していた弾正は、突然スン…と怒りを収めて特異運命座標へと向き直った。

「思い出して話はしたが、俺が心配性なだけかもしれないな。遠巻きにトナカイのような角も見えた事だし!
 念のため、様子を見て来てくれないか? 俺はここでプレゼントと量産型ハイペリオン様を見張っているから」

(-╹V╹)フ

 かくして、片翼を挙げて見送る量産型ハイペリオン様(トナカイver.)と弾正に見守られ、特異運命座標たちは偽サンタとぶつかる事になるのだった。

NMコメント

 今日も貴方の旅路に乾杯! NMの芳董です。
 サンタ同士は引かれ合うーー

●目標
・カリメロ盗賊団の討伐
・村人にプレゼントを配る

●状況
幻想の田舎町デルーダ。毎年いい季節にいい感じにサンタクロースが現れて、よい子のお家にプレゼントを配ってくれる不思議な町。そのからくりが町長の優しさだったのはさておいて、このままでは盗賊団に襲われてしまいます。

幸いな事に、盗賊団は視界の開けた中央広場で固まって、誰がどの家を物色するか担当を決めている真っ最中。家屋に浸入される前に一網打尽にしてしまいましょう!

街灯で視界は確保できる程度の明るさ。足元にはさらさらした雪が積もっており、少し滑りやすくなっているかもしれません。

●エネミー
『団長サンタ』カリメロ
 カリメロ盗賊団の団長。行事大好き陽キャのパリピで、盗賊団のメンバーがサンタ衣装なのは彼の指示によるものです。
 酔狂な人物ですが戦略は知能寄り。神秘の技で近~中距離へ【痺れ】を付与しようとしてきます。

『真っ赤なお肌の』トナカイ魔人
 トナカイのような角と鋭い鍵爪を持つ、近距離戦が得意な魔人。身体に火をまとわせる事ができ、【火傷】をともなう物理攻撃を仕掛けてきます。
 パワフルでタフですが、召喚者のカリメロが倒れると弱体化するようです。

『聖夜のスナイパー副長』ゼノン&カリメロの部下達
 カリメロの手下達。一様にサンタクロースの赤い服を着て、剣やら棍棒やらクロスボウやら、得意な武器を持っています。
 一人一人はそれほど強くありませんが、盗賊団の副長・ゼノンが部下に紛れて指示を出す事によりやや統率が取れているようです。
 ゼノンの特徴は猟銃使い。団長とは対照的にローテーションらしいです。

●味方
『ブラックサンタ』冬越 弾正(p3p007105)
 毎年この時期になると黒いサンタ服を着て、サン活(サンタ活動)に精を出している特異運命座標。音の精霊種です。
 町の外でプレゼントを守っていますが、指示があれば簡単な事は手伝います。

量産型ハイペリオン様(トナカイver.)
 頭にトナカイの角飾りをつけた量産型ハイペリオン様。弾正とソリのそばでお留守番です。もふもふしたまぁるい身体で魔法のソリを引き、飛行する事ができます。

●その他
 戦いが終わったらプレゼントを配りましょう。町の人に渡すもよし、ご参加された特異運命座標どうしで渡すもよし。
 サンタ活動を楽しんでください!

 説明は以上となります。
 よい旅路となりますように!

  • サンタVSサンタ 〜奴らが街にやって来る〜完了
  • NM名芳董
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年01月02日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
烏谷 トカ(p3p008868)
夜霧
ニャンタル・ポルタ(p3p010190)
ナチュラルボーン食いしん坊!

リプレイ

●異世界転生ばりにサン活しようと思ったらサンタ被りだった件
「表題の通りじゃ! 楽しみにしてたこの我――ニャンタル・ポルタのサン活ドリームが大クラッシュしたではないかっ!」
 おまけに活動の主目的が強奪とは言語道断!
『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)はオーナメントを飾り付けたランタン型の杖を振り、杖先でビシリとカリメロ盗賊団を指した。堂々とした名乗り口上が見事に敵の意識を引き留め、民家に侵入しようとしていた盗賊達の意識を奪う。
「なになに、オタクらどこの盗賊団? うわっ、激マブだらけじゃん!」
 真っ先に声をあげたカリメロがミニスカサンタ服のニャンタル、『しろがねのほむら』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)と視線を流して『蹂躙するキャラメルポップ』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)に目をとめる。
「そんなにサービスしたら親御さんが泣くぞぉ!」
「いや、これは弾正が手配して……弾正?」
 そもそも俺がミニスカートを手配されるのはおかしくないか?と宇宙猫顔をするアーマデル。
「いいじゃありませんか、仲がよさそうで」
 微笑む睦月の薬指にはぺかーっと輝く結婚指輪。自分より大人の階段を登った睦月を、アーマデルは眩しそうに見上げた。
「とにかく奴らが武器を持っている時点で、いいサンタでないのは確かだろう……くっ。ご結婚おめでとう」
「ありがとうございます。どうやらその様ですね。町民に被害が出る前に、悪いサンタの悪行はくい止めなければいけません。ところで……トカさんは何処に?」

ニャンタルとアーマデルが辺りを見回し、もしやと顔を見合わせる。

ーーその頃、特異運命座標のソリ置き場。
「ふふ。たまにはモフモフ達と戯れるのも悪くない」
弾正はお留守番でもご機嫌だ。量産型トナカイペリオン様に加え、ハイテンションで首を回しカラフルに光るGペリオン様。そしてミミズクに変化した『夜霧』烏谷 トカ(p3p008868)がーー
「いや待て、留守番枠にトカ殿がいるのはおかしい」
「僕もそう思ったんだけど、ナチュラルにモフ枠として選別されちゃったんだよね」
 Wペリ様に挟まれてふわっふわもっふもふな温もりに包まれていたトカは、羽を広げて仲間の元へと羽ばたいていった。

「とにかく仕置きが必要じゃな! 我の相手はお主で決まりじゃー!」

 サンタ風の赤いマントを靡かせ、ニャンタルが杖を振るう。標的にされたのは【怒り】でいつにも増して真っ赤なお肌の魔神さんだ。

「コヨイコソハァア!」
「変な鳴き声をしよるのぅ! そりゃっ、レッツぱーりー⭐︎」

 ポコポコぐちゃめちゃ! ぽこちゃかパーティーで周囲の敵を巻き込みニャンタルが奮闘。盗賊の群れの中に足止めをかける。

「厄介っスね。連鎖行動で奴らの射程から仲間を引きずり出せ!」
「っ、そこじゃあ!」

 ニャンタルの叫びに呼応する様に、空から真白き翼が急転直下。
 人の姿に変化したトカが鞭を振り下ろす。白いサンタ服のホワイトサンタが放つ一撃は凍てつく吹雪の如くカリメロの部下を打ち、群れの中に潜んでいたゼノンの姿を露わにする。

「子供の夢を壊すような悪い大人にはお仕置きが必要だね」
「……ッ! 冗談キツいっスよ。どうして俺の居場所が?」

ーー熱源感知。猟銃の火薬は長物全体を温める。カラクリに気付けず焦るゼノンは、はぁと深く溜息をついて肩を丸めた。

「……やべ、テンション上がってきたっス」
「とてもそうは見えないけどなぁ?」


「ははは! ゼノンがあんなに興奮してんのは久しぶりに見たぜぇ、お前らパリピだな!」
「それ、褒め言葉ですか?」

 増援が見込めないと気づこうが、カリメロは余裕を崩さない。その自信が実力による物か、現実を見ていないだけのただのチャラ男かーー見極めましょうと、睦月が先陣を切る。

「アーマデルさん、連携を取りましょう! 僕について来てください」
「承知した。頼むぞ恋愛の先輩」

 ついでに言えば、ミニスカートを翻さずに走る経験においても先輩である。真っ赤なサンタ服を色白の睦月が着ると、闇夜の中でもよく映えた。雪飾りのついたブーツで石畳を蹴り、カリメロが唱える呪文に被せてヴェノムジュエルを叩き込む!

「行きますよーーWe Wish You A Merry Christmas!」
「うぃー! うぃっしゃ!めりー!くりすます!」

 やや怪しい発音でアーマデルが睦月の言葉を繰り返し、致命をくらったカリメロの口へ何かを勢いよく捩じ込んだ!

「熱っむごぐぐ!?」
「味わうがいい……このキャラメルポップを…むせろ!」

 そう。今しがたカリメロの口を出来たて熱々のキャラメルポップコーンが支配したのだ!

(えっ、ちょ待っ!? これじゃ詠唱出来ないジャン!)
「食べ物を、粗末に! するなッ!」

 ポップコーンの欠片が床に飛び散り、ギラリとアーマデルの目が光る。理不尽なほど鮮やかに決まるデッドリースカイ!
 打ち上がり煙突にゴールするカリメロ。見事な散り際を見て動揺する魔人。その隙をトカは見逃さず、鋭く鞭を振り下ろす!

「なんッ……!?」
「遅いよ」

 前線の部下に気を取られていたゼノンが呻く。何処まで戦場を見渡せてんだよ、そんな視線を横顔に受けながらトカは鞭で魔人を強く縛り上げる。

「コ、コヨーイ!」
「これはチャンスじゃ!」
「させねぇっスよ!」

 身動きを封じられたなら、その元凶を断つまでだーーゼノンの指示でトカめがけて群がる手下達。再び引きつけようと杖を振るうニャンタルの隣で、アーマデルがスゥーと吸い込む。

「行くぞWペリ様、合体攻撃だ!」
 シャンシャンシャン!
「うおぉ、何だ何だ!?」

 鈴の音を響かせ、夜空を駆けるトナカイペリオン様とGペリ様。ソリに乗っている弾正は何故よび出されたのか分からない様子だ。ソリが睦月とニャンタルの前で急停止し、反動で弾正がソリの外へ投げ飛ばされる。受け止めるべく身構えるアーマデル。

「弾正が応援してくれるなら俺は100年は戦えゲッフゥ」

 どぐしゃあ!

「アーマデルさんが弾正さんの下敷きに!」
「犠牲を無駄にする訳にはいかん! 出発じゃ!」

 エグい音がしたなと後ろ髪引かれる思いで睦月は何度か振り向いたが、そうしてる間にもソリは攻めてきた盗賊を蹴散らしながら前進する。目指すは身動きの取れない魔人。ニャンタルと睦月はソリの上で力を尽くし、渾身の技をくり出した!

「聖なる夜を惑わすものは許せませんーー光翼乱破!」
「清きこの夜に打ち上がるがいいーークラッシュホーンじゃ!」
「コヨォーーイ!!」

 戦場に舞い散る光の羽。角で抉られた魔人は派手に爆砕し、主力を失った盗賊達は手にしていた武器を床へ放った。

「なんつー無茶苦茶な強さっスか、アンタら」
「一応これでも、無辜なる混沌の希望……という奴らしいからね」

 両手を挙げて降参するゼノンへと、トカは首を傾げて答えてみせるーーこうして、聖夜は守られた。


 すぅすぅと静かな寝息を立てる子供の枕元へ、リボンのついた可愛らしいプレゼントが置かれる。子供を寝かしつける最中にうたた寝したらしい母親の肩には、そっと毛糸のケープをかけて……家を脱したニャンタルは、殺していた息をぷはっと吐く。

「こっそり夜中に忍び込むのは、楽しい反面、込み上げる笑いを堪えるのが大変じゃな!
 プクク…こう、見つかれば即、死!のスリルが堪らん!」
「いや、死にませんからね?!」

 次の家へ向かう途中の睦月が、サン活死は聞き捨てならないとすかさずツッコむ。彼女が立ち止まった事に気づいた盗賊達は、チャンスとばかりに手にしているプレゼントを掲げて取り囲んだ。

「睦月ちゃん、こっちのプレゼントは向こうの民家でよかったか?」
「へへ、盗むより贈る方がこんなに楽しいなんてな!」
「コヨイコソハー!」
「ふふ、真っ赤なお肌の魔人さんもご機嫌ですね」

 魔人に持ち上げて貰い、するりと民家へお邪魔する睦月。眠け眼の少年がうっすら目を開けると、夜花の儚さと美しさをもって微笑みかける。

「僕と目があったあなたへ、すてきなことがありますように」

 夢のような出来事に、安心して再び眠りにつく子供。ずれた掛け布団をかけ直してやると、睦月は隣の民家に幸せを運ぶために窓の外へと飛びだした。部下達と打ち解けた特異運命座標を遠巻きに眺め、ゼノンはやれやれと息をつく。

「いやぁ、完敗っスね。戦闘だけでなく、こうもウチの荒くれどもの心を掴むたぁ」

 騒ぎが収まった後、カリメロ盗賊団は驚いた。気絶した者はいたものの誰一人として死人はなく、悪い事を償う一歩としてサン活を勧められたのだ。

「今宵は、魔種ですら戦いを止めるシャイネンナハト。
 誰も星になる資格など無かろうよ」
「アーマデルの旦那ぁ〜!」
「スゴイココロヒロイ弾正に感謝するのだな……」
「俺か? よく分からんが感謝するといい」

 おおっと盗賊団の中から歓声が上がる。実のところ弾正は事の次第を全て終わってから知ったのだが、アーマデルが嬉しそうなので全てよしとした。

「トカ殿、そのプレゼントは配らなくていいのか?」
「ううん。今から配るところだよ」

 指摘したアーマデルの手にプレゼントボックスが握られる。サン活から戻ってきたニャンタルと睦月にもだ。

 食べるのが大好きなニャンタルには可愛いマカロンの詰め合わせ。
 睦月には夫婦の幸せが実を結ぶ様にと髪をまとめる綺麗なリボン。

「トカ殿、なぜ俺は白い腹巻きなんだ?」

 不思議がるアーマデルとは対照的に、分かるぞって頷く弾正。冬場のヘソ出しには風邪がつきもの。守る物が必要だ。

「サン活が終わったらショコラ・フレースもあるよ」
「美味そう! よかったですねボス!」

 ボスは甘党だから、と盗賊が辺りを見回す。

「あれ、ボスは?」

 煙突に突き刺ささったままのカリメロが救い出されるまで、あと三時間ーー

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

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