シナリオ詳細
おいでよ、覇竜温泉
オープニング
●覇竜温泉「ドラゴニウムの湯」
温泉。
寒い季節になってくると、温泉に入りたくなってくるものである。
かの豊穣が温泉で有名なのはよく知られた話だが、世界中に温泉は存在する。
そのどの温泉も、様々な条件により変化し「1つとして同じものは存在しない」と言われるほどだ。
つまるところ、いろんな場所のいろんな温泉。
どれもが素晴らしいものであり、覇竜にも幾つかの温泉があるということだ。
さて、それを前提に……覇竜には、とある温泉がある。
覇竜の岩山と岩山の間、硬い岩盤の地面の大きな窪みに湧いているというその温泉は青く濁っており、何か未知の物質が混ざっているのではないかと予測された。
しかしながら調べても特に何か新しいものが出るわけでもなく「ドラゴニウムとかいう身体に良さそうなものが混ざっていることにしよう」とされた……まあ、そんな経緯で「ドラゴニウムの湯」と名付けられた温泉である。
そんなドラゴニウムの湯。
場所が場所であるがゆえに気軽に出かけられないし、なんとたまにワイバーンが入りにくるとされる……ますます行きにくい温泉であるらしい。
幸いにも温泉自体は入りやすい温度ゆえに加水の必要もなく源泉かけ流し。
その場所故に、空飛ぶモンスター以外は近寄らない。
そんな温泉が……覇竜には、あるのだ。
●ドラゴニウムの湯調査
「まあ、そんな温泉なんじゃが……結構人気でのう。それなりに整備はしてあるんじゃが、気楽に行けるわけでもないしの」
そもそもが危険だ。湯治に行って命を失ってはどうしようもない。
ないが……だからといって放置すれば折角整備した設備が台無しになってしまう。
設備というものは定期的にチェックしてこそであって、放置しても大丈夫というものではないのだ。
だからこそ、定期的に様子を見に行かなければならないのだと 『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)は言う。
「今年は夏になる前に確認に行ったんじゃがな。もう冬じゃし、そろそろ確認に行かねばならんのじゃが……」
しかし、相賀も年がら年中暇なわけではない。
特に今は色んな仕込みも忙しく、温泉にまで手が回らないのだ。
「そこでお主等じゃよ。手、ちょうど空いとるじゃろ?」
仕事としては簡単だ。
ドラゴニウムの湯に行き、設備のチェックと……あとはワイバーンの類がいれば軽く追い払ってくれればいい。
それさえ出来れば仕事は完了。楽な仕事である。
「まあ、せっかくなんじゃから温泉も楽しんでくるとええ。癒されるぞ?」
場所が場所なだけに貸し切りだし、男女もキッチリ仕切りで分かれている。
期待される効能は疲労回復に筋肉痛の緩和、美肌と基本的な温泉の効能を揃えている。
ちょっとお酒を飲んでみるのもいいだろうし、ゆったり温泉を楽しむのもいいだろう。
過ごし方はまさに自由自在。そんな癒しの時間が報酬についているとなれば……これは、やる価値のある仕事だと。
そう言えるのではないだろうか?
- おいでよ、覇竜温泉完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年12月13日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●覇竜温泉へ行こう
「覇竜の温泉なんて珍しそうね。どんな成分なのか調べてみるのが楽しみだわ♪」
「ドラゴニウムの湯、ですか。なかなか入る機会のない場所の温泉ということで楽しみです。まだお酒は飲める年齢ではないのが残念ですが……」
『狐です』長月・イナリ(p3p008096)と『中村ラケットの使い手』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)が、そんなことを言いあう。
イナリは事前に温泉採取用のビーカーや試験管などを用意しており、成分分析をする気満々である。
「温泉に行く道にもデミワイバーンさんが……せっかくの温泉、フリアノンのみなさんが気楽に行けないのは……」
『ドラネコ配達便の恩返し』ユーフォニー(p3p010323)もそんな声をあげるが、実のところイナリ並にしっかり準備してきている。
再現性東京のホームセンターで、人数分の浴衣やアメニティセット、卓球道具一式、コーヒー牛乳やアイス、保冷剤やクーラーボックス、温泉饅頭の材料と調理器具一式、電池式のドライヤー、ゴミ袋などを買い込み馬車へ積んでいたのだ。
フリアノン出発前に設備点検の方法を確認するのも忘れてはいない。
なんかもう、全力で楽しむ気が透けて見えるようだ。しかしその意気や良し、といったところだろうか。
ちなみに『初めてのネコ探し』曉・銘恵(p3p010376)も卵や瓶のコーヒー牛乳等を購入し馬車に一緒に積んでもらっている。
「覇竜温泉、ドラゴニウムの湯……あったかい温泉、いいよね。しゃおみーも入る……前に、ワイバーンを追い払うよ!」
そう意気込む姿は、多くの者が応援したくなってしまうだろう。
「温泉温泉っ……の前に、掃除しなきゃねっ。……デミワイバーンの。とはいえ小っちゃいワイバーンだから、さーっと追い払えるはずっ。難しい事考えずに、無理に倒そうとしないでがんばろっと」
「ちょっとワイバーンを追い払って温泉に入るだけの仕事か。そうそうこういうのでいいんだよ。役得とはまさにこのことだ。……まあ、谷より深い事情(せいべつふめい)で温泉には入らないんだけどな。あるいは貸し切りになるまで待つか」
『自在の名手』リリー・シャルラハ(p3p000955)に続き、『隠者』回言 世界(p3p007315)もそう言うが……人の抱える事情はそれぞれだ。誰かが何かを言える話でもない。
「まずはこのまま温泉に向かおう。移動しながら道の状態もチェックして、直せる所は直したいな」
銘恵に『鉄帝うどん品評会2022『金賞』受賞』御子神・天狐(p3p009798)も「うむ、そうじゃな!」と頷く。
「いざ行かん! 至福の桃源郷、もとい温泉へ!! 一仕事終えた後の温泉はいいぞぅ、カッチカチになった節々を湯で解し筋繊維を紐解いていく感覚! いやはや想像するだけでワクワクしてきたわい! とはいえ入る為には障害を乗り越えねばなるまい! さぁ最高の極上体験を勝ち取りに行こうぞ!」
天狐がそう叫び、全員の声が重なる。ちなみにデミワイバーンは速攻で逃げて行った。仕方がないね。戦力差が歴然だもんね。
「そら散った散った! その図体で温泉なんぞ入ったら湯が減ってしまうからの!」
「毎回ごめんなさい……!」
天狐に追い払われユーフォニーに謝られるその様子は……まあ、いつも通りの光景ではあった。
●おいでよドラゴニウムの湯
デミワイバーンは去った……が、ゲオルグは周囲を見回し仲間たちと頷きあう。
「皆で協力して設備の点検や清掃などをしておこう。余り来れない場所だから、手を抜くと後々苦労することになりそうだからな、次の点検まで困ることがないように念入りにやっておこう」
「そうだね! 汚れてる部分は綺麗にして、壊れてる部分はできる範囲で直したいかな。穴とかあったら木材や石で塞ごう!」
ちなみに銘恵としては「覇竜の外の温泉やお風呂、男湯と女湯等があるけどここのは分かれてるのかな……?」と気になっていたが、しっかり分かれているようなので安心である。
「温泉卵……温泉で作るゆで卵? もおいしいらしいから茹でるよ。どんなおいしさになるかな、わくわく」
「いいわね。高温の源泉でも近くにあればいいのだけど……」
「おお、いいのう! 温泉といえばやはり温泉玉、折角じゃし温泉の湯を沸騰して使ってうどんや茹で卵でも作ってみるかのう?」
イナリと天狐もそう言えば、銘恵と利益が一致し手を握り合う。
仕込みも今からしておけば、良い軽食になるだろう。
ユーフォニーもやる気満々でチェック箇所を確かめていく。
「教えてもらった手順でまずは設備の点検からですね! 全員で分担すれば効率よく終わりそうです。入念に丁寧にこなしましょう。あ、点検が終わって温泉に入る前に、温泉饅頭の仕込みもしちゃいましょう♪」
そうして点検整備が終われば、いよいよ温泉だ。
意外にしっかりと整備された温泉は壁もしっかりついており、脱衣場には屋根までついている。
非常時の避難所も兼ねているのかもしれないが、その為だろうか……調理可能な場所もしっかりと存在していた。
「入る前に温泉の事を色々と調べてみようかしらね? 事前に得られた情報以外にも、どの程度の湯量が噴き出しているのか、湯の温度は? 沈殿物は含まれているのか?湯の味は? 泉質は見た目ではちょっと判断出来ないし……用意した試験管で採取して、帰った後に調べましょうか」
イナリもワクワクした顔で泉質を調べ始めるが……見た目には茶褐色で、鉄分を含んでいそうな色をしている。
しかしこの強いイオウの香りも間違えようもない。中々調べ甲斐がありそうだが、少なくとも美肌の効果は確実であるように思えた。
「なんで調べるのか、って?そのうちこの狐印(きつねしるし)の世界の温泉マップ(温泉成分表付き)みたなのを作ってみたいのよね。せっかくの観光資源なんだもの、有効活用しないと♪」
そうして試料を回収すると、イナリの探究欲もいったん収まってくる。
「で、調べた後はのんびり湯に浸かりましょうか。野風呂になるみたいだから、大自然を堪能しましょう」
まあ、お風呂場に壁くらいは設置してあるが、基本的に露天風呂である。だからデミワイバーンも寄ってくるのだが。
「リリーにとっては深いからどうしよう? ……お風呂の桶とかは……うん、使えそう。それかリョクに乗って……というかリョクも入れるなら一緒に入りたいかなぁ……とは思ったけど、多分無理かなっ。……あとでリョクも洗ってあげよっと。最近ずっと一緒に戦ってたからねっ。ケアもちゃんとしてあげなきゃっ」
まあ、流石にワイバーンのリョクと一緒に入るのは無理があるだろうが……リリーの心遣いは力も分かっているだろう。
「それにしても、最近は海洋に練達に、色々あったから……ゆっくりしたかったし、ちょうど良かったねっ。他の人は色々用意するみたいだけど、リリーはシンプルに……だねっ。あったまるだけで十分、だよっ。休んだら気を引き締めて……次の戦いに備えなきゃ。明日からも頑張ろうねっ! ふぁい、おー!」
そんな女湯での声を聞きながらゲオルグは湯気が空に立ち昇って消えゆく様子を眺める。
「ここ最近すっかり寒くなってきたからしっかり温まっておきたい。男女別になっているし、お互いに気を使いすぎずにのんびり湯に浸かれそうだな」
ゲオルグの前には、酒の小瓶の入った桶が浮いている。
温泉に合うものを相賀に見繕ってもらった、安心安定の銘酒だ。
味も試飲した限りではゲオルグの好みだ……こうして温泉にも合う、素晴らしいものだ。
「温泉に浸かりながらゆったりと酒を飲む……なんという贅沢だろう。最近は鉄帝で忙しなく活動しているが、たまにはこんなふうにのんびりするのも悪くない。張り詰めっぱなしだと不意に切れてしまったりするからな」
「ニャー」
ゲオルグが振り返れば、ドラネコたちが桶から顔を出していて、思わずほんわかとした気分になる。
そう、ゲオルグは今日此処に来る間悩んでいた。
ドラネコ達を連れてきたのはいいが、どうやって温泉に入れてあげればいいだろう……と。
そのまま浸かれるならそれに越したことはないがドラネコって泳げるか分からないし。
ここは大きめの桶に別に温泉の湯を入れてあげて、その中にドラネコ達を入れてあげるのが安全かもしれん。
怖い思いをさせては意味がないからな……と。
まあ、そんなわけでそれを実行したわけだが……ゲオルグはこうも思っていた。
それにほら、木の桶の淵におててをぷらーんとしながら温泉に入るドラネコはきっと可愛いはず! と。
そしてその結果が今、この場にある。
「にゃあ」
5匹のドラネコが並んでにゃあにゃあしている様子は……実に良い、酒のつまみである。
さて、男湯がそんなことになっているとは女性陣は夢にも思わない……いや、思っているかもしれないが、さておいて。
リディアもゆったりと温泉に浸かっていた。
先程の点検ではKURNUGIA-P508で依頼終了後に点検画像を提出できるよう点検箇所と点検の様子を録画したし、もう懸念事項はないに等しい。
「美肌の湯ということなのでのんびりお湯に浸かって美肌に磨きをかけたいですね」
戦闘で重傷を負ったときなどにできた傷跡はどうしても残って消えませんけど、私だってうら若い魔法少女。お肌とか見た目はそれなりに気になります……ということであるらしいのだが。
「むっふっふー、いやぁこの時の為に生きていると言っても過言ではあるまい。源泉かけ流し最の高じゃの!」
天狐も正しく源泉かけ流しの風呂を堪能する。ありとあらゆる場面で源泉かけ流しが唯一至高というわけではない。
ないが……温泉成分をたっぷりと濃く楽しみたい場合は源泉かけ流しに勝るものはない。
たっぷりの温泉成分がリディアや天狐、仲間たちの美肌に貢献するのだから。
「温泉ってこんなに安らぐものなんですね……! やっぱり……覇竜のみなさんにもたくさん楽しんでほしいです」
ユーフォニーも温泉につかりながら、そう呟く。
「ドラネコ配達便、って今はまだソーちゃんと勝手に名乗っているだけなんですけど。でも恩返しの気持ちは本心ですから。だから次は、ドラネコ配達便の温泉ツアー計画です!」
言いながらおー、とユーフォニーは決意表明する。
「食べ物や消耗品などはその都度持って行かないといけませんが、今回色々揃えてみましたし、護衛をしっかりして皆さんをお連れすればいつでも充分楽しめるかなって」
「それもいいかもね」
銘恵も頬がホコホコしてきたのを感じながら、そう答える。
「温泉、気持ちいいね。しゃおみー、ゆっくり温泉に浸かるの初めてかも……ふにゅー……ドラネコさん達も温泉浸かるのかな……可愛いな……しゃおみーと一緒に来たドラネコさんも浸かる?」
その言葉にドラネコは温泉に手を浸し……ピピピッと手を振る。その内スイスイと泳ぎ始めたので、流石ドラネコといったところではあるだろう。
そうして全員が温泉からあがってくれば世界が「お、出たか」と手を振る。
休憩所もこれはこれで過ごしやすく、世界なりに充実した時間を過ごせてはいた。
「あっ、どなたか卓球ひと勝負しませんか? そういえば温泉ってなんで卓球なんでしょうね……?」
「そういうものだからだろうな。卓球の経験は然程ないし、なんとか無難に打てる程度だから他の奴相手にどれくらいやれるか疑問だが……まあ、相手をしよう」
「負けませんよ!」
そうしてユーフォニーと世界のラリーが始まれば、他の面々も自然と盛り上がっていく。
「今回はこのためにわざわざ私用の『中村モデル』も持参しましたからね。相手の方が卓球初めてなら『中村モデル』を使ってもらって私は普通のラケット使えばいい勝負になるでしょう。勝つことが目的ではなく、相手と楽しい時間を過ごせることが重要だと思います」
ピンポン中村こと、プロ卓球選手中村マサトも愛用するシェイクハンドラケットを取り出したリディアにその価値を分かっている者たちが感嘆の声をあげる。
「コーヒー牛乳、甘くておいしい……!」
銘恵がゴクリと湯上りの一口を飲めば、激戦を終えた世界たちもやってくる。
「風呂とか温泉ならやっぱりこれ飲まないとなー……まあ俺まだ入ってないんだけど。ふむ、美味いには美味いがやはり甘さがもう少し欲しくなるな。こうなったら自前のココアを淹れて飲むとしよう。さてここまですれば温泉も貸し切りに……なに? もう帰る時間か?」
世界が驚いたような表情をすれば、天狐が笑い声をあげる。
「そんなわけなかろう! 今からうどんを仕込むでな、入ってくると良い! 貸し切りじゃ!」
「天狐さんの温泉うどんも楽しみですね……!」
そう、天狐の温泉うどんも待っている。世界が貸し切りで入る時間くらいは、存分にあるだろう。
「覇竜温泉、これからも色んな人が入って癒されると良いな。しゃおみーもまた来たい!」
そう、きっとまた来る機会もあるだろう。
この寒い季節に温泉はこんなにも癒されることを、誰もが知ったのだから。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
温泉は良いものですよね。
GMコメント
覇竜温泉「ドラゴニウムの湯」に行きましょう。
デミワイバーンを追い払ったら温泉タイム。
お酒が欲しい場合は行く前に相賀がくれるので、バッチリ楽しめます。
忙しい今の時期、全部を忘れて覇竜で温泉に入るのもオツなものです。
●デミワイバーン×4
ワイバーンの中でも比較的小型種。
弱いわけではないが、デザストルに住むモンスターとしては比較的下位の実力。
火を吹くブレス攻撃、鋭い爪による攻撃を使用してきます。
分が悪いと感じたらすぐ逃げます。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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