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シナリオ詳細

<ネメセイアの鐘>生贄の雪

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 天義にありながら天義に矛を向け、異なる神を称える独立都市『アドラステイア』。
 天義本国は長らくこの敵の存在に悩まされ、また、本格的な討伐作戦を向けられずにいた。
 が、イレギュラーズとその協力者である探偵・サントノーレの報告から本格的な危機を嗅ぎ取り、この度本格的な討伐作戦を企図する。
 異なる神こと『ファルマコン』は、子供達から処刑対象として吊るし上げられた『魔女』、そして『プリンシバル』達からも贄として捧げられ続け、今や遅しと覚醒の時を控えている。
 イレギュラーズは上層部へと突入、その目論見を突破せねばならぬ。
 外は生憎の雪。
 この戦場で起きる血の宴を覆い隠すように、それは白く咲き誇っていた。


「宣誓ッ!」
「「「宣誓ッ!!」」」
「我等は、旅人を、それを擁するローレットを、神の敵と断定しここに断ずることを決定する! これは神(ファルマコン)の裁定である!」
「「「然り、然り、然り!!」」」
 そして襲撃当日。
 アドラステイア上層まで駆け込んだローレット・イレギュラーズ達を出迎えたのは、重厚な大剣と鎧に身を包んだ巨体と、フルプレートに身を包んだ一団であった。
 おそらく一際大きな男がプリンシバルとかいう強い聖銃士なのだろうが、それにしたって――子供と言っていいのか? という体躯。
 持つ剣も慮外のもので、鉄塊とまでは言うまいが、処刑用の剣というには冗談が過ぎた。あれは対象を血の霧に変えるだろう。
 そして、イレギュラーズはその場の状況……というか色が、明らかに他と違うのが見て取れた。

 赤いのだ。

 空を見よ。
 人狼というには獣に寄った姿をしたそれは、頭に異形の輪を備えている。そこから放出される赤い光は、一面の雪を赤いものに変えている。
 口元からこぼれた血と臓物は、ひとのものとは思えない……他の戦場か、それともそれ以前に死んだ聖獣。もしくはそのなり損ないを、食ったとでもいうのか?
「流石に、こんな状況に放り込まれるのは御免被りたかったですが……やはりやりましたか、そういうことを」
 その場で状況を理解したのは、新田 寛治(p3p005073)ただ一人。
 あれは以前、オンネリネンの子供達を贄に能力を強化した聖獣の発展形。
 聖獣を贄にした、聖獣だ。
「神に賜りし聖獣様に、まこと貴様等頭が高い! やはり討つべし!!」
「「「討つべし!!」」」
「……なるほど、聞く耳持たずということですか」
 その場の聖銃士達は、聖獣の惨憺たる姿を見て何も思わないらしい。
 もう語ることはないが……この状況で、死者が出た結果を寛治は直感的に理解していた。

GMコメント

 『生憎』を『生贄』と読み間違えたのがすべての始まりでした。

●成功条件
・聖獣『天ツ血候』撃破
・プリンシバル・ハスタフと聖銃士の撃退
・(努力目標)可能な限りの聖銃士の不殺による戦闘不能
└(まかり間違って殺すとして、聖獣からレンジ2は離しておくこと)


●聖獣『天ツ血候』
 アドラステイアで尊ばれる『聖獣様』の一体。皆さんはこれが『イコルを授けられ異形化した子供達の成れの果て』だと知っています。で、多分聖獣の死体とかあればそれを喰っている痕跡が見受けられます。
 ですが、戦闘中に子供達にそれを告げても同意や理解は示されないでしょう。心を揺さぶろうとするだけ、(この戦闘に関しては)無駄です。
 背中に天使のような翼を持っていますが、光輪にあたる部分は血液のチューブのような、というか血管の集合体のような外観をしています。
 この光輪(?)から放たれる赤い光は、フィールド効果『血雪蓮華』を発生させています。光輪はHP10%に該当する数値を部位狙い(命中減算1/2)で叩き込めば破壊できるようですが、破壊時に結構な未確認現象を引き起こします。
 それ以外の外見としては全身を濃い体毛に覆われた狼とひとの間の子といったところか。HP/抵抗/神秘攻撃力はかなり高く、常時低空飛行。
・宣誓咆哮(神特特、本人よりレンジ2以内。【副】【付与】):味方の攻撃力/回避/CT増
・光剣(神超単):【万能】【火炎系列】【出血系列】など
・雪雷陽炎(神中域):【痺れ系列】【混乱】【呪殺】
・血盟輪囲(戦場全体。AP消費ではなく極小の回数消費。『血雪蓮華』効果中のみ使用可):フィールド効果での減少値に比例し敵対者全員にダメージ

●プリンシバル・ハスタフ
 聖銃士のなかでも『大人候補』とされている聖銃士です。
 ハスタフはそのなかでも特に重戦士タイプで、斬馬断罪刀(エクスキューショナーズ・グレートソード)とも呼ばれる巨大な鋒のない剣を扱います。
 外見通り重く、固く、強いタイプで、語り口も厳か。本当に子供か? と思いますがフルプレートで見えません。
 剣が大きいため全ての攻撃がレンジ1まで届きます。
 また、剣による戦闘のほか、剣を地面に打ち付けることで自分を中心に【崩れ系列】の範囲攻撃を放てます。

●聖銃士×20
 ハスタフに倣ってガチガチに固めた聖銃士達。
 防技などが雑魚のわりに高めに設定されており、そう簡単に一掃できないので注意が必要です。
 不殺で倒せば聖獣が手をくださない限りは死ぬことは……激戦にならなければないでしょう。
 聖獣絡みでなくとも、可能な限り殺すべきではありません。
 基本は剣による連携攻撃。銃を使うケースは稀です(使えないとはいっていない)。

●戦場(フィールド効果『血雪蓮華』)
 アドラステイア上層部全体に雪が降っています。石畳への着雪は足場に不安を与えるでしょう。
 さらに、この戦場に限り聖獣の能力で『雪が赤いです』。この戦場においては『継続的に最も高いステータスが微減し続けます(最大限少量:元値の1/2)』し、『戦場全体のパンドラ減少量と死亡者数が聖獣の能力を強化します』。
 で、聖獣からレンジ2以内(19m迄)で聖銃士が死亡すると『ステータス減少量がやや増えます』。
 これは血の光輪(仮称)を破壊することで解消可能ですが、減少したステータスは戦場にいる間は永続です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <ネメセイアの鐘>生贄の雪完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年12月16日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
彼者誰(p3p004449)
決別せし過去
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
メイ・カヴァッツァ(p3p010703)
ひだまりのまもりびと

リプレイ


「……人の成れ果てがこんな姿だって言うのかよ」
「聖獣が人の成れの果てだと言っても信じないのでしょうね。もし信じたとしても、聖獣になるのは良いことだと思ってそうですよね」
「旅人、クロバ・フユツキ。お前らを刈るために参上した」
 『真実穿つ銀弾』クロバ・フユツキ(p3p000145)の苦々しい声音に被せるように放たれた『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)の理解は、アドラステイアの子等を正しく認識しているのが伝わってくる、なにぶん、目の前に居並ぶプリンシバルと子等の態度ときたら、聖獣を崇めているようにすら見えるのだ。クロバの声から感情の色が削ぎ落とされたのも、その下に激情を隠したのも。等しくこの状況への不快感でしかなかった。
「旅人だと言うだけで神敵扱いだなんて、其方の神は余程この混沌が生き難いのだろうね」
「組織としての政治的な理由ですよ。それより高尚でもなく。それより下衆である可能性は大いにありますが」
「貴様ァ! 聞いていれば神の御心を」
 『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)はプリンシバル・ハスタフの高らかな宣言に不快感を隠しもせずに指弾する。多様性の世界である混沌で、何某かに絞って糾弾することの愚かしさを、騎士の身分を冠しながら知ることができなかったらしい。哀れなことだ。『銀弾』新田 寛治(p3p005073)はその根底には信仰心よりもシンプルな、それでいて穢れた理由があることを疑わない。だからこそハスタフの怒りを尚更に刺激したのだろうけど。
「アドラステイア。天義という国で以前大きな出来事があって、その後で出来た都市……でしたか。メイと見た目が変わらない、もしくはもっと小さいこどもが沢山ここに来たと、報告書で読んだです」
 『ひだまりのまもりびと』メイ(p3p010703)の手元で鐘が小さく鳴り響く。聞くと見るのは、と言うけれど、ほんとうに彼女と変わらない、或いはそれ以下の姿をした子までもが武器を手に身構えている。背後に構える聖獣に対し陶酔しきった目を向けている時点で、子どもたちが来てから今日まで過ごしてきた意味がわかろうというものだ。
(必要があれば時に子どもが銃を手にするのが現実だ。……だが子ども「だけ」というのは、思ってた以上に危ういものだな)
 『天穿つ』ラダ・ジグリ(p3p000271)は『子供が銃を持つ』という事実自体はすんなりと受け容れられた。問題があるとすれば、大人が裏で糸を引き、子供のみを矢面に立たせている現状である。あまりに歪みすぎている。降りしきる赤い雪を何ら疑問も持たず受け容れているのもまた、狂気でしかなかった。
(燃えるような赤は、あたしの憧れの――ずっと見ていた人の色で。だから、赤は命の、活力の色)
 『ノームの愛娘』フラン・ヴィラネル(p3p006816)は聖獣の頭上から放たれた狂気の輝きを仰ぎ見た。その表情には色がなく、その呼吸は驚くほど静かだ。いつもなら、もう少し天真爛漫なところが見られるはずだが、言葉を止めてまで対象を見ている時点で常ならぬ感情が湧き上がっているのは明白だった。
「命を、みんなの活力を奪うこの赤は、嫌いだよ。だから……ここで絶対、止めてみせる!」
「……痛くしないとは、そうは言えなくてごめんなさい」
 フランの言葉にあわせるように、『肉壁バトラー』彼者誰(p3p004449)は小さく謝罪の言葉を口にする。かつてヒトであった相手。止めなければいけないけど、それは無慈悲に死を与えると同義である。死のみが終わりであり、相手は強敵の部類なのだ。聖銃士たちが誰一人信じなくても、イレギュラーズは聖獣(ひと)を殺す罪を背負う。それこそが使命である。覚えていることで報いるしかないのだ。
「クロバさん、フランさん。前線を頼みます。抜かれないようお願いしますね」
「まかせて! ……こっちだよ、かかってこーい!」」
「頼り甲斐のある二人と肩を並べるんだ、それくらいはするさ」
 寛治の言葉に、フランとクロバは力強く返答する。彼に背を預けるならば問題ない……そういいたげだ。だからこそ、フランの声はいつもよりよく響く。自分を狙わせる。ただそれだけの意思を持って放たれた声は、しかしだからこそ、聖獣の精神をざわめかせた。
 聖獣の、獣とヒトのあわいを行く声音にあわせ赤い波濤が地を舐める。それに合わせ光の剣がフランを貫いたが、さりとて彼女の肉体につけられた傷は驚くほど少ない。
 クロバは距離を詰めてきた聖獣の胴めがけ、連続した斬撃を叩き込む。鋒から放たれた分解の錬金術は確かな威力で以てその胴を薙ぐが、見た目以上の強固さが刃を拒絶する。クロバはそれに絶望したか? 弱音を吐いたか? 答えは否だ。
「やっぱり動き回る光輪よりも大きな胴体のが狙いやすいな。――恨んでくれてもいい、これから俺はお前を斬るぜ」
 当たるなら殺せる。その不敵な笑みはただただ、相手を倒すという一点にのみ意識を割いているのだから、何度斬りかかろうと何度弾かれようと、当たらないよりはずっとマシだ。
 だからこそ、『彼』が活きる。
「確かに『多少は』面倒ですが……この程度なら問題ないでしょう。私なら、ね」

「皆の回復はメイが受け持つです! でも、えとえと。フランさん。メイだけで回せなくなったらそのときは助けてくださいです!」
「まーかせてー……!」
 残された聖銃士達と対峙したメイは拳を握り、癒やし手としての実務を全うすべく身構えた。だが、戦闘は得てしておそろしいものだ。勇気を振り絞って求めた助けに、遠巻きながらフランの肯定が届いた。


「ちょっと燃えるけど、我慢してくださいね?」
「何を、この程度……だがその不遜、許してはおけん! 直ちに討つべし!」
「「「討つべし!!!」」」
 フルールの挑発的な言葉とともに一射閃き、ハスタフを含む聖銃士達を撃ち貫く。十分練りこまれた魔力からの一射はしかし、彼らはものともせず踏み込んできた。……そう、疑いもせずに「フルールに向かって」踏み込んできたのだ。
 この場面なら、聖獣を打倒せんとする三人を優先すべきなのに、数名は正確な判断を欠いている。感情に任せて動いているのが明らかだ。
「プリンシバル! 聖獣様に対してあの者等をぶつけるのは危険極まりないのでは!」
「銃士ヒューザ! プリンシバルの御聖意を疑うのか! 無理に引き止めず、我等でやるべき事を優先せよ!」
「はっ……!」
 フルールの初手を免れた者等はその矛盾に敏感に気付いたが、上意下達は世の常である。フルールの雰囲気からしてガチガチの近接系ではないのだから無理攻めは悪手、と冷静に判断した数名は、咄嗟に踵を返し聖獣と合流しようとした。
「旅人を憎むのも聖獣を信じるのも、ある意味君達の自由。だけど同情はしちゃうね!」
「聖獣には死んでもらう。君達には生きてもらう。十分な罰には感じないか?」
 だが、中途半端な賢しさは陥穽を生む。戦局は見れても、個々の戦力の強弱までは理解できなかったらしい。回り込んでいたカインの束縛魔術が正確に彼らの足元を打ち抜くと、顔を上げた視界を覆う如くにラダの斉射が襲い掛かる。それでも、痛打に至らないその鎧の強度、幾らかをはじく技量は見事。だからこそ、彼らは「戦えるのでは?」と誤解をしてしまった。彼我の力量差には、おそらく天地の差があると見抜けなかったのだ。
「邪魔、だッ――!?」
「悪く思わないでくださいね、これも『使命』なんですよ」
 およそ半数の銃士を伴い、力任せに押し切ろうとしたハスタフの剛撃。しかしそれを真正面から受け止めたのは、フルールの細腕ではなく彼者誰の守りであった。細身でありながら、四方から迫る暴力をものともしない姿は鉄壁の二文字が相応しい。終始受け続けるのは至難の業だが、聖獣が消えるまでなら、その呪いを彼者誰が甘受することも出来よう。
(少し怖いけど前をしっかり見て、メイは鐘の音を響かせるです!)
 攻撃術式を届けるには遠い位置へと、仲間達は聖獣を連れて行ってしまった。メイの位置から出来るのは、聖銃士対処役の回復のみ。彼らがもうすこし冷静なれば、浮いた駒である彼女を襲う選択肢もあっただろう。指揮官がフルールに翻弄され、カインとラダに聖獣への道を塞がれた状況にあってそのような賢しい選択が出来たかは明らかではないが……。
 兎角、彼者誰に食らいつくハスタフらの猛攻、カインとラダへ迫る聖銃士の特攻は、しかしメイの存在によりかなりの割合でその成果を出せぬまま終わりうる。

「ギ……」
 聖獣は、所詮は獣だ。人であった頃の知恵は個体差こそあれ、このケースに限って言えば有していない。
 力あるものとして新たな姿になり、壁として立ち塞がったフランを攻め立て、しかし成果を挙げられていない状況にこのとき、はじめて脅威というものを覚えた。光輪から放たれる紅い光は地面を染め、人々の感情を締め上げる。奪われた力を、奪う側から振るわれる。それだけで大抵の者の心と命はぽっきりと折れるはず。なのに、聖獣の瞳にははっきりと。
「駄目じゃあないですか。怪物が怯えては」
 嘲笑いにくる終焉の影が見えていた。


 血の色と肉を模した光輪が、爆ぜた。
 不協和音甚だしい苦鳴がその一帯に激しく響き、直下にいたフラン・クロバ・そして寛治をより強かに叩いた。フランを除く二人がパンドラを喪わずに済んだのは、彼女がそれまで身を挺して聖獣と対峙していたからに他ならない。
「まだっ……まだぁ!」
 フランはなおも足を踏ん張り、地に根が張ったかのごとくに耐えた。そして治癒の力を駆使して、仲間の傷を癒しにかかった。
「ありがとうございます、フランさん」
「助かったよ。しかし、あの調子じゃさっきまでの勢いは無いな。このまま四肢と羽根を刻んで死なせてやろう」
「大丈夫! だけどちょっとだけ落ち着いて! 二人とも、無茶ばっかりするからいつ倒れるかひやひやしてるんだから! んもー!」
 一気に飛び込んできた異常の波が押し流され、フランに頭を下げた二人。だが次の瞬間にはもう、命のやり取りを見据えている。フランの心労が絶えないのも頷けよう。

「可哀想に」
「何が可哀想なものか! 貴様、聖獣様と我々を愚弄するか!!」
「いえ、愚弄だなんて」
「私は、その信仰を知っています。けれど、同意はできません。だからせめて、生かしてあげなければ、とは思っています」
 ぽつりと漏れたフルールの言葉に、ハスタフは激しい怒りをもって叫んだ。だが、彼者誰の言葉に、その物言いに、一瞬だけ戸惑い、より激しい怒りを燃やそうとした。
 だがそうやって浮足立った踏み込みで何を倒そうというのか、彼者誰の一撃にバランスを崩したハスタフは、続く閃光に目を灼かれ、苦悶の声を漏らした。
「何かを信じるのは尊いことけれど、その『何か』に全てを委ねてはならないのです」
 メイは諭すように口にすると、聖獣へと視線を向けた。それが敵意だと認識した面々は妨害を試みようとするが、彼らは想定以上に状況がかき回されていた事実を認識する。
 半数に及ぶ「正常な判断をした者達」はフルールに誘導され、或いはカインとラダに阻まれ虫の息に至っていた。
 ハスタフ含む主力も、それらを打ち倒した二人に背後から狙われる形で抗する手段を持たなかった。
「子供相手だからね。手加減はさせてもらった。死ぬほど痛いだろうが死にはしないだろう」
「アレを『聖獣』とは呼びたくはないけど、すがるしかなかった気持ちもわかるだからというわけじゃないけど、君達は断固として殺さないよ」
 ラダとカインの言葉はある意味非常に残酷だった。今まさに、その命を燃やして不信心者を討つべく戦ってくださっている聖獣様を差し置いて、自分達が死ねないとは。光輪が爆ぜた光で『託されて』なお、外様の連中に打ち倒され、拘束される憂き目にあうとは。
「倒れた人達を引きはがすのです。絶対に死なせないのです!」
 メイの言葉に合わせ、五人のイレギュラーズは必死に聖銃士達と聖獣とを引き離しにかかった。
 ハスタフのヘルムの隙間から除くはしばみ色の瞳には、いままさに堕ちる獣の姿と、その断末魔が刻まれていた。
 哀れで、愚かで、そして儚い命の終わりが目の前で繰り広げられて。そして彼等は、アドラステイアから半ば強引に引き離されていく……。
「あの聖獣の子は、自ら生命を捧げたのでしょうか……?」
「そうであればとも、そうではないとも、考えたくはないな。どちらにせよ惨い結末だ」

成否

成功

MVP

新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ

状態異常

彼者誰(p3p004449)[重傷]
決別せし過去

あとがき

 開 幕 一 割 。
 ご参加ありがとうございました。皆さんいいプレイングでした。

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