シナリオ詳細
<大乱のヴィルベルヴィント>不凍港+学園+テロリスト
オープニング
●学園レジスタンス
不凍港ベデクトが帝国軍新皇帝派によって確保され、新皇帝派を除く鉄帝各派閥はある意味海路を経たれた状態にあった。常夏の島にして強力な生産地域となるフェデリア島の利点を活かすこともいまではできない。
そのためにも、不凍港ベデクトはなんとしても抑えたい拠点であった。
帝国の北辰連合と独立島アーカーシュは入念な調査のもと奪還計画を発動。
ローレット・イレギュラーズ全体にも依頼が入り、大規模な攻略作戦が実行されるのだった。
これは、そんな歴史の一ページでの物語だ――。
並ぶ学習机と大きな黒板。
窓は分厚く閉め切られているが、ひび割れたそれはやや煤けてもいた。
はるか遠くで爆発音が断続的に響き、学生服の少女はアサルトライフルを胸に抱えている。被ったヘルメットには、『メタリカ女学園』の校章が入っている。
「ごめんなさい。こんなことに巻き込んでしまって……」
隣では、同じくライフルを抱えた女学生が弱った顔をした。銀髪に泣きぼくろのある、整った顔立ちの少女だ。彼女はベデクト高等学校の制服を着て、胸にはクラスト学年、そして『メリッサ』という名前を記したバッジがついていた。
対して、メタリカ女学園の少女は苦笑する。
「仕方ありませんわニュービー。合同練習中におファッキン新皇帝派どもの占領作戦が始まってしまったのですから」
ここは不凍港ベデクトのやや南側にある学校。
メタ女サバゲー部との練習試合中に発生した新皇帝派による占領工作は非常に素早く、そして有無を言えぬほど強固なものであった。
元々港は鉄帝の要所。帝国陸軍施設と海軍施設がそれぞれ併設されている。漁港も勿論あるが、半分は軍港としての役割をもつのだ。当然その全てが新皇帝派だったわけではない。バルナバスの電撃的な『皇帝デビュー』を事前に察知し政治的に動けた者など、鉄帝にはそうそういないのだ。
よって新皇帝派と他派閥による激しい戦闘が一度は勃発し、そして新皇帝派側が勝利し、エリア内では彼らによる横暴な振る舞いが当たり前のように広がっている。
けれど……。
「ローレットが、百合子お姉様たちが立ち上がったんだわ」
「お姉様?」
メリッサの呟きに、サバゲー部の少女……『牟岐(ムギ)』は苦笑する。
「きっと、見れば分かりますわ」
●学園エリア解放チーム
「まって、ねえまって、僕なの? おかしくない? 僕がここの担当になるのおかしくないですか?」
帝国軍北辰連合において独特な雰囲気をもつグループ。通称『鳳圏グループ』。
鳳自治区に属する鳳圏、伎庸、鬼楽からなる彼らは北辰連合へと組み込まれ、今なお続くノーザンキングスへの抵抗や、同時に新皇帝派への抵抗という戦略的にも忙しいなかあっちこっちに散って活動していた。
そんな中で『今井 和彦』帝国陸軍准尉(鳳圏陸軍内の規律とは別に階級が割り当てられて本人もちょっと混乱している)はよりによって今回の激戦区である不凍港奪還作戦に投入されていた。
実際「中将どの(帝国陸軍的にはもっと低い階級なのでやっぱり混乱する)」によって物理的にえいやって放り投げられたので、今井くんに拒否権はないし拒否するパワーもない。
「どうしよう、遺書書き直したほうがいいかな……」
「落ち着くんだ」
加賀・栄龍(p3p007422)がポンと肩を叩く。
「然様。人はいずれ死ぬものであろ」
その横で腕組みをして経っている咲花・百合子(p3p001385)。
彼女は作戦書を開き、上から下まで読んだ後で……スッと栄龍にそれを渡した。
「『敵を屠れ』以外の意味がよくわからんのだが、要約してくれるか」
「えっ」
栄龍は困惑しながら受け取り、そして上から下まで読む。どこにも屠れとか書いてないけど。
「ベデクト高等学校の校舎内に生徒がレジスタンスとなって立てこもっているらしい。
これを解放すべく南方森林地帯から北上。丘陵地帯に展開してる新皇帝派のモンスターと兵士を撃破。学校の生徒を解放する作戦のようだ」
「なるほど……つまり、『敵を屠れ』と」
「解釈が修羅」
が、間違ってはいない。
今井は拳銃を手に取ると、百合子たちに突入の合図を出した。
- <大乱のヴィルベルヴィント>不凍港+学園+テロリスト完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年12月07日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●
「修羅だなあ……」
丘陵地帯を攻めるべく準備を整えていた『花に願いを』シャルティエ・F・クラリウス(p3p006902)は、聞こえてくる会話をそんなふうに纏めた。
「で、でも戦法としては間違ってないよね…多分。要救助者がいる以上、迅速に事を運ぶ方が得策だし。ともかく置いて行かれないようにしないと……」
「解釈、修羅。でも、間違ってない。つまり、敵、倒せばいい。
分かりやすくて、いい。新皇帝派、嫌い。狩り、思えば、楽しい。
レジスタンス、人達、どんな人か、楽しみ」
「こっちも修羅だなあ」
『新たな可能性』シャノ・アラ・シタシディ(p3p008554)がむふーっとした顔(?)で弓を手に取る。
「とにかく、丘陵地帯での索敵と突破をまずはしなくちゃだよね。まっすぐいって突っ切るだけじゃ、回り込まれて囲まれちゃうから」
シャルティエの言葉に、『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)がつい振り返った。
「えっ?」
「んっ?」
暫し見つめ合う二人。
「まっすぐ行ってぶん殴る! を全員分やればよかったんじゃ?」
「やっぱり修羅だなあ!」
ていうか君海洋民だよね!? と幻想住まいのシャルティエは頭を抱えた。
鉄帝に来ると誰もが鉄帝的になってしまうのだろうか。
「なんなんスか、皆修羅になっちゃって。
もっとこう、落ち着いていきましょうよ。
ほら、平和だった頃の鉄帝を思い出して」
小腹が空いたのかブロック状の携帯食をもふもふ食べていた『合理的じゃない』佐藤 美咲(p3p009818)が声をかけてくる。
水筒の水で携帯食料を流し込むと、ぷはあと安堵の顔をして続けた。
「いや、鉄帝もとからこんな感じだったわ」
「なだめることを諦めないで?」
「う、ううう……やっぱり僕ここで死ぬんだ……」
ふと見ると、今井が拳銃に弾を込めながら泣きべそをかいていた。
こうは言っているが度重なる激戦を普通に生き抜いてきているので、多分彼も結構な猛者な筈である。そうは見えないが。
「なんだか胃の痛そうな顔をしているな。頑張ってくれ」
「加賀さん、フォローになってないです」
『鳳の英雄』加賀・栄龍(p3p007422)に肩をぽんと叩かれ、更に青い顔になる今井。
「なんか最近中将殿に似てきてません? 榛名大佐殿にも似てるような」
「えっ!? そんなまさか……いやいや……」
なぜか照れ笑いのような表情を浮かべる栄龍。
『エータツくんちゃんと食っとる?』とかいって背中を叩かれ背筋を伸ばしていた頃とは、確かにだいぶ風格が違う。鳳圏の地を治めるようになって考え方が変わったのだろうか。
「ここからあの辺まで敵を屠りまくればよいとは初めてのお使いを思い出すであるな……」
『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)は物騒(?)なことを言って指を優雅にこきりと鳴らした。
「これより咲花・百合子! 修羅に入るのである!」
その左右からは女学生の服を纏った『女装バレは死活問題』トール=アシェンプテル(p3p010816)と『炎の守護者』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)がサッと展開する。
「新皇帝派に襲撃された学校ですか……。
いつぞやのメタリカ女学園防衛の依頼を思い出しますね。
メタ女で学び培った乙女力……そしていま再び修羅をこめて、全力でお力添えさせていただきます!」
ぎゅっと拳を握り、輝剣『プリンセス・シンデレラ』に手をかけるトール。
チャロロもチャロロで清楚で可憐な『ちゃろ子さま』スタイルである。ポニーテールである。
「メタ女と他の学校のご学友が危機だというのなら駆けつけますわ!
派閥は違えど、メタ女のお姉様方のことは見過ごせませんわ!
乙女ちゃろ子、参りますわ!」
ぱっと見わからないと思うけど、ここにいる女子三人のうち二人は男子である。混沌では、特にメタ女ではよくあることなので受け入れていただきたい。
最後に百合子たちはザッとまっすぐに整列すると、一様に90度振り向き丘陵地帯を睨んだ。
「行くぞ!」
●おかをこえゆこうよ
「全く、皆血の気が多すぎるな。諫めるのが大へ――祖国のために!」
栄龍が銃剣一本で特攻(ブッコミ)をかけた。
丘陵地帯に配置されていた『ストリガー』や『ラタヴィカ』たちはまさか急に突っ込んでくると思ってないので二度見。
栄龍は反応の遅れたストリガー一体を銃剣で突き刺し、零距離からライフルを発砲。更に刀を抜いて掴みかかろうとしてきたラタヴィカを切り捨てた。
「応、そこにいたか。一匹たりとも逃がすわけがねえだろう」
ギラリと目を光らせ、二体を蹴り飛ばして更に突き進む栄龍。
「次ィ! 全滅まであと何匹だ!!」
「あー、やっぱりこのスタイルになるんだぁ」
シャルティエは予想できていたとばかりに側面方向へ広がり、回り込みをはかろうとするストリガーの集団を相手取った。
「こういうとき、僕みたいなのが『仕事』しないとね」
シャルティエは片手剣をくるりと回し、騎士盾を前に突き出すように構える。これで剣が槍だったなら古代ローマスタイルである。
ストリガーはシャルティエめがけて突進をしかけ、それを盾で止める――とみせかけて斜めに受け流す。
くるりと身を転じて剣で回り込むような斬撃をいれ、ストリガーたちを切り捨てる。
「援護射撃を!」
「了解」
シャノは後方に伏せていたが、スッと頭を上げて弓を連続で発射。
残るストリガーたちの頭部を特殊に加工された矢が貫通していく。
「敵、見つけ次第、排除。見敵、必殺。ごーごーごー」
「はーい、了解ッスー」
美咲も身をかがめるようにしながら進み、両手でしっかりと構えた拳銃を連続して発砲した。
ストリガーやラタヴィカにはあまり戦術的思考はないらしく、わざと発砲音をさせた美咲めがけてウーアーいいながら走り出した。
「名乗り口上いらずッスねー」
何発かのヘッドショットによってストリガーを破壊。なんとか手の届くところまで接近したストリガーの腕を軽く掴むと、美咲は足を払って投げ飛ばした。ただ投げるだけではない。相手を水平に傾け敵集団に放り投げるという手段でもって相手の陣形を無理矢理崩し、そこへ片手で向けた拳銃を乱射。
「手慣れてるな」
「仕事でスんで」
イズマがその横を抜け、こちらの存在に気付いて集まりつつあるストリガーたちに身構える。
今日も鋼の手足で殴る蹴るの格闘をしかけようか……と思った所で、腰の後ろに金色のパイプ状をした道具を保持していたことを思い出した。それを両手で抜き、広げるように構える。
突進してくるストリガーの集団を――駆け抜けながらそれらをタイミング良く叩きつけていった。
本来なら鉄パイプで人間の頭部を殴ったようなひどく鈍い音がしそうなものだが、見事なことにチューブラーベルを撫でるようにならしたような美しい音階が響き渡った。
そしてすぐに広域俯瞰視点に集中して切り替える。丘陵地帯に散らばっていたストリガーたちがどうやら集まってきているらしい。あちこちの方向から走ってくる姿が確認できた。
「さて、どうするか……」
迷っているとトールが剣を構えてイズマの背後に立った。後ろ側をフォローしてくれるようだ。
「任せてく下さい! 『寄らば斬る』ですよね!」
「それちょっと違うけど今はあってる」
トールは行きますと叫ぶと突進してくるストリガーの一体を、掴もうとする腕をかわしながら斬撃をいれすり抜ける。二体目には大ぶりな斬撃を与えてあえて吹き飛ばすと、剣に力を込めた。
元々柄だけしかないこの剣は、戦闘時にはオーロラカラーに発光した刃が形勢される。場合によっては『しなり』や『のび』もするらしく、トールが気迫を込めて突きを繰り出すと延長された刀身がストリガーの頭部を貫通。すぐに長さを戻す形で引き抜かれた。
「ちゃろ子さま、今のうちに!」
「はい!」
炎の剣を握ったちゃろ子さまはストリガーたちの群れを次々に切り裂いて突進。
徐々にベネクト高等学校の校舎が見えてくる。
同時に、きらりと光るものも。
「双眼鏡のレンズ? こちらに気付いているようですわ!」
チャロロはあえて炎の剣を大きく振って敵意がないことを伝えると、残るストリガーたちを回転斬りでなぎ払っていく。
百合子はと言えば、高速美少女歩きによってストリガーたちへの距離を詰め、美少女らしく髪をふぁさりを払うその動きだけで真空を起こしストリガーたちを切り裂いた。
最後は握った拳を優雅に突き出すそのひとつで、ストリガーを粉みじんに砕いてしまう。
が、ここまではあくまで準備運動のようなもの。
「さあ、来るがよい――ブラックアーミーよ」
●ブラックアーミー
「私達? ブラックアーミー? ブラックアーミー! 私達! 私達! あはははは!」
笑いながら血走った目をして突進をしかけてくる黒い制服の男女達。
それだけをみればストリガーの群れと大差ないが、百合子は既に彼らの強さを見抜いていた。
踏み込みから加速。そして眼前に迫るまで。40mを一瞬で埋めると黒いオーラを纏った手刀を繰り出してくる。
それを美少女回避し、後者側へと走る百合子。
「よくここまで生き延びた皆の衆!今こそ反撃の時である!
貴殿等は、巣穴に逃げ込んだ兎か?庇護される子か?違うのであれば撃鉄を上げ証明してみせよ!」
「その子は、百合子さま!」
ムギが窓から顔を見せ、今こそ好機とばかりに窓ガラスを突き破り外へと飛び出してくる。
「メタリカ女学園サバゲー部、ムギ! 参戦いたしますわ!」
アサルトライフルを構え、ブラックアーミーたちへと打ちまくる。
「お姉様方、ローレットから参りましたちゃろ子と申しますわ。皆さまを助けにまいりましたのっ」
チャロロがそう呼びかけると、後者に残っていた生徒たちも顔を見せ、そして意を決したように援護射撃を開始した。
「ちゃろ子! ちゃろ子! あはは!」
ブラックアーミーがちゃろ子の顔面を掴み、校舎側へとぶん投げる。あまりの腕力に窓ガラスを割って廊下へと転がり込んだちゃろ子だが、すぐさま数人のブラックアーミーが窓ガラスをかちわって突入してきた。
腰にさげていた黒い刀を抜き、ちゃろ子の炎の剣とつばぜり合いをおこす者。一方で黒い花びら型のオーラを湧き上がらせてちゃろ子へ銃弾のように放つ者。
両方の防御は不可能か……と思った所で、割り込んだトールが花びらをオーロラの刃で切り払った。
「助太刀致します!
個々の能力が高いブラックアーミーに連携を取られると厄介です!
まずは牽制射撃で彼らの足並みを乱しながら、隙を見て一体ずつ火力を集中させてください!」
それまでこの二人は抑えます! そう叫ぶトールに、栄龍は頷いて仲間達を見た。
「聞いたな! 数の利を活かすときだ!」
栄龍の指示を受け集中砲火を浴びせたブラックアーミー。
攻撃をくらいながらも高速で再生する肉体を見下ろして、ブラックアーミーはげらげらと笑っている。
「何を言ってるか分からねえよ!」
栄龍は油断無く包囲を固め、萬式歩兵銃銃剣によって射撃を加えまくる。
ついに再生速度よりも破壊が上回ったのか、ブラックアーミーがどしゃりと崩れ落ちる。
栄龍は念押しにと剣で心臓部を突くと、イズマとシャノに連携の合図を出した。
「了解」
「皆、銃、使う?射撃、いい場所、教えてほしい」
シャノは素早く飛行し校舎の中へと入り込むと、高所から学園生徒たちと共に射撃を開始。
特にシャノが放つシタシディの矢は音もなく飛び、ブラックアーミーの心臓部へと見事に突き刺さる。
ガッと声を上げてよろめくブラックアーミー。
しかしすぐさま物理防御を無効化する結界をはり、集中砲火による銃弾をすべて空中でとめてしまった。ばらばらと落ちる弾頭。
「結界持ちか――!」
「あ、任せてください」
美咲は事もなげにそう言うと、腰の鞄からシリンジャーガンを取り出して腰だめ姿勢で発砲した。
撃ち込まれた注射器弾頭がブラックアーミーの結界に防がれて止まる――が、パキンと弾けて広がったガスが結界を強制的に中和、破壊してしまう。
「あ? あああ!?」
流石に驚きの様子を見せるブラックアーミー。
イズマはすかさず距離を詰め、交差したパイプでブラックアーミーを思い切り殴りつけた。
ドカンという派手な音に打撃音が変換され、撥ね飛ぶブラックアーミー。
イズマはそのまま走って校舎内へ飛び込むと、中で戦っている学生たちに呼びかけた。
「まだ敵がいるが、俺達もいれば倒せる。協力してくれないか。特にあのバリケード、良かったと思う。今にも活かしたいんだがまた築けるか?」
「簡単なのなら!」
「頼む!」
そうしている間にも戦闘の様子は流れいつのまにか校舎内に移っていたシャルティエは刀を繰り出すブラックアーミーの連続攻撃を盾によって受け流していた。
「一発ずつの威力が重いね。けど……!」
盾の隙間から突き込む剣によってブラックアーミーの上半身の動きを一瞬だけ制限させる。その間に相手の側面に回り込み、回転をかけた斬撃によってブラックアーミーを壁まで吹き飛ばした。
「さてと、この調子」
シャルティエは廊下まで下りてきた生徒達の一斉射撃によってブラックアーミーを破壊。それでも息のある相手に、片手剣で首を斬りさくことでトドメをさした。
それが最後の一体だったようで、トールやチャロロも戦闘をおえて合流してきた。
「怪我はありませんか?」
「チョットね。そっちは?」
「大丈夫ですわ」
ちゃろ子は完全に役に入っているのか、頬をぽっと赤く染める。
「無事に終わらせられたら久しぶりにお茶会でもしたいですわね、お姉様……。
お菓子でもあればよかったかしら?」
それに頷きつつ、トールは倒したブラックアーミーの肩にあった紋章をビッと切り取ってみる。
「そういえば、『黒百合の夜明け団』というものがありましたよね。関係があるのでしょうか」
「ふむ、見せてみよ」
百合子が手を出すので、言われたとおり手渡すと……百合子はハッと目を見開いた。
「間違いない。この紋章、アレイスター・クロユリーが使っていたものと同様……あの策謀家、メタリカ女学院だけでなくこの様な所まで手を出すとはどういう料簡であろうか?」
「単純に考えると、新皇帝派に与したってことなんだろうけど」
重傷者の手当やら応急処置やらを終えたイズマが戻ってきて会話に参加してくる。
美咲もこくりと頷いた。
「そのクロユリーというのも、百合子さんと同じく種族美少女なんでスよね」
「然様」
「こわぁ……」
ウォーカーとなれば元世界の異能はレベル1にリセットされて然るべき。今の百合子のように『どうかしてしまう』までレベルを上げたと言うことになる。
「『黒百合の夜明け団』……」
栄龍と(そっとついてきていた)今井がなにやら難しい顔をしてた。
シャノがどうしたのと首をかしげて問いかけてみると、二人は首を横に振った。
「いや、今は関係の無い話だ。また今度話そう」
「そうだね。今はこの港の制圧に集中しないと」
シャルティエは剣を収めつつも、次のポイントの移動すべく動き出した。
不凍港制圧作戦はまだ途中。成功するかどうかは、皆の戦いにかかっているのだ。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
――mission complete
GMコメント
不凍港ベデクト奪還作戦の一環として、学校のレジスタンスを解放し一時的な戦力に加えます。
この作戦に成功すると、丘陵地帯に展開している兵は勿論居住区や一般住宅街に兵を展開させやすくなり、奪還作戦をより有利に運ぶことができるでしょう。
作戦はざっくりと「モンスター部隊に突入する前半戦」「出てきたレジスタンスの戦闘部隊と、強敵相手に共闘する後半戦」にわかれます。
●戦闘前半
展開しているモンスターは全て天衝種(アンチ・ヘイヴン)。
ヘイトクルーという陽炎のようにゆらめく人型をとった怪物で、近接型と遠距離型を混ぜた部隊構成になっています。
かれらの役目は警戒と威嚇なので、突っ込んでなぎ払うのが妥当でしょう。
たまに『ストリガー』や『ラタヴィカ』といったゴースト系アンデッド系モンスターも混ざっていますが、全体的にとくべつ脅威ってほどにはなりません。
ただあとに残しておくとこいつらが組み付いてきて動きが鈍ったところを強敵にボコられるという非常にイヤな展開になってしまうので、ここで確実に減らしておきたいところです。
●戦闘後半
この辺に展開している新皇帝派の戦士が、手下の兵を使って応戦してきます。
ここまでくると学校に立てこもっているレジスタンスも一部戦闘に加わって助けてくれるので、射撃や治癒といった援護を得られるでしょう。
敵となるのは『黒百合』の紋章がはいった部隊章をつけた集団で、彼らは血走った目と暴力的な性格を特徴としています。
個々の戦闘能力は高いですが会話能力がだいぶ狂っており、ちゃんとお話できるひとにはとても見えません。
なので名前も分からないのですが、仮に『ブラックアーミー』と呼ぶことにします。
●特殊ドロップ『闘争信望』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
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