シナリオ詳細
<総軍鏖殺>ゴーレム修繕作戦
オープニング
●アーカーシュのゴーレムたち
誰も来ない小さな町……いや、かつては町だったと思われる廃墟の壁に、寄りかかるように何かが座り込んでいる。
人だろうか? いや、人ではない。それはアーカーシュのゴーレムだ。
どうやら壊れてから随分たつようだが、未だに回収も修理もされずに此処に在るようだ。
その頭にとまっていたグラド・グラニャルドが不可思議な声をあげて何処かに飛んでいく。
浮遊島アーカーシュ。そこは未だ未知の多い場所であり、未探査の遺跡なども多くあった。
そんな中で「かつての町」といったものの重要度が低いのは当然ではある。
そう、よく見ればポツポツと壊れたゴーレムがあるのが見える。
「ヴァリューシャ!」
レインボーVDMトラオウムが鳴き声をあげる木の下にも、ゴーレムが倒れているのが見える。
かつての魔王襲来時に戦ったゴーレムたちなのか、それとも何らかの事情で壊れたまま修理を待つゴーレムたちなのか。
そのどちらであるにせよ、長い時を経て未だ彼等は此処で眠り続けている。
しかし、しかしだ。アーカーシュの安定のため、彼等を修理できるのであれば是非修理したいと願うのは当然のことだ。
問題は……そこに至るまでには、それなりの苦労もあるということだろうか?
未だ危険のある場所も多い。未知も多い。この町の跡の状況もそういうことだろう。
それに気のせいか……その場所にはどうにも最近壊れたように見えるものも混ざっている、ような……?
●ゴーレム修繕作戦
「アーカーシュで使える機械はどんどん改修したいところだからね。その為の人手も確保したいんだ」
『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)は、集まった面々にそう語り掛ける。
独立島アーカーシュの面々の努力により、様々な施設や機械が復旧、再稼働を始めた。
しかしそれらの安定稼働には、とある存在が欠かせない。
それがアーカーシュのゴーレムたちである。施設の修繕管理を担当する彼等がいてこそ、施設は安定稼働できる。
アーカーシュゴーレムの中には近辺のゴーレムを修繕して回る修繕部隊もいるほどだが……そんなゴーレムたちでも近づけない場所がある。
それは様々な理由があるが……今回に限っては、その理由は単純だった。
天衝種(アンチ・ヘイヴン)。またしても奴等が入り込んでいるのだ。
それもどうやら、今回は作戦を変えてきたようで「目標となる町の遺跡」に近づく修繕部隊のゴーレムたちが行方不明になっているようだ。
最近確認された新型の天衝種(アンチ・ヘイヴン)のことも考えると、連中がアーカーシュで何かを企み準備をしていると考えるべきなのかもしれない。
そしてそうだというのであれば、そんなものは叩き潰さなければならない。
可能であれば修繕部隊を助け、町の跡にあるゴーレムや古代の機械も修理できれば更に良い。
それが出来るのはアーカーシュのゴーレムたちかもしれないが、彼等を導くのはルーキス、そして仲間たちにしか出来ないのだ。
- <総軍鏖殺>ゴーレム修繕作戦完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年11月26日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●作戦開始:B班
「ヴァリューシャ!」
「えっ? 今ヴァリューシャって鳴く怪鳥居た? アレって今回のゴーレムとはムカンケイ?」
そう、無関係である。
レインボーVDMトラオウム。とても凄い偶然だが、実在の人物とはたぶん無関係である。
『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)は飛んでいくレインボーVDMトラオウムを見送ると「ゴーレムに寄生したアンチ・ヘイブンよりも世にも奇妙な鳥の声してるのが気になるよね」と呟く。
確かに気になる。気になるが……気にすると負けな気もするのが不思議なところだ。
今イグナートたちがいるのは、アーカーシュにある町の遺跡。
壊れた建物やゴーレムが点在するこの場所は、アーカーシュの町の遺跡としては比較的普通に見える。
見えるが……此処には今、天衝種が潜んでいるのだ。
倒れているゴーレムにも、そうして乗っ取られたものが混ざっている可能性があるのだ。
「天衝種……ゴーレムさんたちの邪魔をするなんてひどいのです。ゴーレムさんたち、がんばっているのに……ニルは、いっぱいいっぱいゴーレムさんたちをまもりますね」
そう言う『おかえりを言う為に』ニル(p3p009185)とイグナートは、同じB班だ。
A班とB班に分かれて捜索することで、効率的に捜索しようというわけだが……ニルは2羽のファミリアーと一緒に周りを調べながら動いていた。
「アナザーアナライズで天衝種とそれ以外を見分けられないかな? できるだけ天衝種だけを狙いたいのです」
言いながら落ちているゴーレムを見てみるが、よく分からない。随分昔に壊れただろうことは確かだが……修理すれば動くだろうか?
「アーカーシュにはまだまだ未発見の遺跡や遺物が多いわね。個人的に興味深いものがまだまだ残ってるのよ、それを外的要因で怖されるのは面白くないわけ。ということで柄にもなく慈善活動と行こうじゃない」
ディープブルー・レコードを持ち込んだ『ゴーレムの母』ジュリエット・ラヴェニュー(p3p009195)も、言いながらアナザーアナライズを使用しながら周囲をニルたちと共に見回す。
「相手は壊れた機械やゴーレムに取り憑いているようね、黒い部品が目印になるのかしら」
そう、マッドアーマーと呼ばれる新型天衝種は黒い部品と化してゴーレムを乗っ取ることが分かっている。
それは完全に壊れたゴーレムの代替部品となることも可能で、技術力では鉄帝の中でも上位のポテンシャルを持つアーカーシュに実に「効く」攻撃方法ですらあると言えるだろう。
だが逆に言えば、壊れたゴーレムたちは修理が可能だという証明でもあるだろう。
「これでもアーカーシュの数多くのゴーレムを修復したり生み出してきたのよ。ゴーレム修繕出張サービスくらいはやってあげるわ」
「ゴーレムの修繕……良いね。それを邪魔する天衝種には、いらっとするけど……敵は殲滅して、ゴーレムを直しに行けたらいいな。みゃー」
『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)もジュリエットにそう頷きながらファミリアーで猫を召喚して五感共有しつつ付近を偵察してもらっていた。
(アーカーシュ・ブランチの各種知識も活かせたらいいけど機械系の知識がないから難しいかも)
そんなことも考えていた祝音だが、幸いにもこのBチームにはジュリエットもいる。ゴーレムの修理には苦労しないだろう。
そしてイグナートは、エコーロケーションで部品の音を探っていた。
具体的には「生きている部品の音を探る」ことが出来ないか試していたのだ。
「マッドアーマーが何か音を出していたらそこから隠れている連中を見つけてミンナに知らせるね!」
「おねがいします!」
ニルもそう言ってほほ笑む中……イグナートがピクリと反応する。
「そこ……」
その短い言葉に反応し、ニルは素早く保護結界を展開する。何を意味するかは分かっていたからだ。
「黒い部品……」
「マッドアーマーね」
僅かに見えていた黒い部品を発見した祝音とジュリエットが言うと同時、ゴーレムが急速起動して起き上がる。
「じゃあ、やるよ!」
「容赦しないのですよっ」
イグナートの名乗り口上が響けばニルのケイオスタイドが広がっていき、上手く初手をとる。
「これ部品からは離れてくれないかな? ちょっとムリかな? 出来れば寄生されている部品も持って帰りたいところなんだけれど」
「やってみないと分からないわね。でも、一通りのことは出来るから」
「その為にも、勝手に取りついて操る敵なんて殲滅する……!」
ジュリエットの夜葬儀鳳花が発動し、祝音の糸切傀儡が展開する。
4対1では、如何にアーカーシュゴーレムに取り付いていようと戦力不足は否めない。
分離したマッドアーマーにイグナートの覇竜穿撃がトドメを刺す。
「こうなると向こうも同じ感じかな?」
再び「壊れたゴーレム」に戻ったもの見ながら、祝音は呟く。そう、A班もまた……同じ状況だったのだ。
●A班の状況、そして
「アーカーシュの運営には精霊とゴーレムの共存共生が何より大切だからね。それを邪魔してくる天衝種にはお仕置きだぞ!」
『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)はそう言いながら、定期的に敵意を感じ取れるように気を配っていた。
こうしていれば相手が擬態していようと分かりやすい……はずだ。
「まったく折角安定してきたと思えばすぐこれだ。修復専門のゴーレム部隊も邪魔されるっていうなら仕方ない、一度大々的に大掃除をしてしまおう」
「ぶっ壊していい個体とダメな個体があると……うん、間違わないようにしないとな?」
『紅獣』ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)がそう言えば、ルーキスはルナールに信頼の目を向ける。
「さあちゃちゃっと片付けて次の仕事が待ってるぞー! 忙しくなりそうだから、今日はお手伝いよろしくねルナール先生」
「ん、ルーキスのカバーは俺の役目だからな。任せておけ」
これ終わっても仕事……? とユ部焼きながらだが、ルナールもルーキスへと頷き返す。
「ゴーレム案件は一難去ってまた一難、といった感じだな? うむ、実に厄介……だが仕事として受けた以上は可能な限り頑張るとしよう。まぁ、猫の手も借りたい程らしいし。それが頭に羽の生えた犬の手でも使えれば猫と大差ないだろう?」
そんな2人に何処か羨望の目を向けていた『紅矢の守護者』グリーフ・ロス(p3p008615)だが……警備スキルを併用しながら、周囲への警戒も怠らない。
「アーカーシュが戦禍にのまれそうなことも、それを守るために彼らの力を借りたいのも、こちらの事情にはなりますが。まだ、動ける。もう一度必要とされたい。そんな思いで眠っている方(機械)がいれば。共に行きましょう」
壊れたゴーレムを修復するのは、このアーカーシュでは普通のことだ。
此処に居るゴーレムたちも、この戦いが終われば修復に回せることだろう。
だからこそグリーフはこの仕事に一切の妥協をする気はなく、今も倒れているゴーレム、無機疎通で呼び掛けていた。
反応が曖昧な際には名乗り口上で、隠れて取り憑いているものがいれば炙り出しをするつもりなのだ。
「乗っ取られているパーツについても、できればあまりパーツ類を壊さずに対応したいところですね」
「ですね! 見つけ次第攻撃と行きたいところですが、極大火力をぶつけると、周りの機械やゴーレムが修理不可能なまでに壊れてしまう可能性がありますね」
配慮しなければ、と『友人/死神』フロイント ハイン(p3p010570)も頷く。
すでにハインたちも交戦していたが、ハインはその相手がマッドアーマーであると見抜いていた。
「今回の黒い泥のような天衝種とは交戦の経験があります。故に僕のモンスター知識は、擬態を見破る大きな助けになるはずです」
相手に取り付き操り、倒せば弱体化した状態で分離する。マッドアーマーとはそうした天衝種だ。
「しかし、この天衝種は更に大きな悪意の尖兵でしかない可能性が高いです。ゴーレム達から無機疎通で情報を得るのはもちろん、アナザーアナライズや鑑定眼も光らせて、未知のデータはなるべく走査しておきましょう。天衝種自体まだまだ謎の多い存在ですから、データを収集しておくのに越したことはないはずです」
「ええ、その通りです」
グリーフも頷き……瞬間、ルーキスの反応に気付く。何かを感知したように視線を向けたルーキス……その意味は。
「今、何か……」
グリーフが静かに近づいていき、そこにあった製氷機……アイス・スピリッツ製氷機に無機疎通で語り掛ける。
そして返ってきたのは、急に開いた扉から放たれた吹雪のような攻撃だ。
「なるほど黒い部品……!」
確かに製氷機の所々に黒い部品がくっついている。パッと見ではそうとは分からない分、実にやりにくい相手だ。
だがグリーフの名乗り口上が響き、ハインのゲネラルパウゼが発動する。
「単体相手なら……!」
ルーキスが禍剣エダークスを叩き付け、ルナールがデア・ヒルデブラントを発動させる。
元々製氷機であるだけに脆く、分離したマッドアーマーにグリーフの葬送曲・黒がトドメを刺す。
本当に不意を突くつもりだったのだろうか、結果としてはたいしたことはなかったが……そうして駆除を終えてB班と合流すると、互いに疲れたような笑顔を向ける。
「さあさあ直すぞー!アビスウォークで何処まで読めるかは分からないけど。アーカーシュのゴーレムなら修繕した経験があるし、同種であれば多少楽になるでしょう。まずは修復部隊も含めた、比較的新しい子達からかなぁ」
そう、あとは出来る限りの修繕だ。
「おーいルナール先生! 面白いアイテムあれば拾っておいてね」
ルーキスはそうルナールに声をかけながら「新しいものを見かけたらとりあえず弄ってみたくなる病気なのです」などと呟く。
「面白い素材……面白い……? 見慣れない物ならなんでもいいのか? 金属系とか、石材系で面白そうな物があるといいんだがなー」
「オレは出来ることが無いから部品の運搬を頑張るね! 体力には自信があるから頑張って部品を背負って往復するよ!」
そう言ってイグナートも早々に自分の役割を決めて、グリーフは同行していたアーカーシュゴーレムのサポートをしていた。
「元々純粋な人体ではない私が用いている、私に効果を発揮している回復スキルなら、多少の損耗程度なら回復も可能かもしれませんし」
そう、それも効果があるかもしれないから、やってみる価値はある。
「乗っ取られていない機械やゴーレムが確認できたら、私のヒンメルゴーレム・アーカーシュに安全地帯まで運ばせてもいいわね。
巻き込まれたりまた乗っ取られたりされるのも面倒だし、その方が修理に当たるアーカーシュゴーレムにも楽をさせてあげられるでしょう」
ジュリエットも修繕しながら、そんなことを呟くが……実際、此処で直せないゴーレムはそうやって運ぶことになるだろう。
その手伝いをしていた祝音も、ふと空を見上げる。
「かつて町だった、なら……少し頑張れば新しい町にもできるかな」
それは分からない。元々の住人はレリッカ村の住人くらい……というのもあるからだ。
「近くに鳥さん……グラド・グラニャルドとかも飛んでるかな? アーカーシュの皆も鳥さん達や動物さん達もゴーレムや色んな機械と仲良くできるといいな。みゃー」
「その為にも、皆さんで手分けして、迅速かつ丁寧に修復を済ませてしまいましょう」
「ハイン様も修繕ができるのですね。すごいのです!」
ハインとニルもそんなことを言いながら、修繕作業を進めていく。
「修繕部隊のゴーレムさんたちが行方不明ってことは天衝種に壊されちゃったりしたのでしょうか?そのゴーレムさんたちも直せたら、もっともっとたくさんの機械やゴーレムさんを直せるでしょうか?」
その最中、ニルはそう呟く。
「直してもらえそうな子たち、ニルもがんばって探します。便利な機械も、そうでない機械もここで出会ったなら、また動けるようになってほしいです。みんな直って元気? になったらニルはとってもとってもうれしいです」
そんな純粋なニルの言葉は、恐らくはこの場に集まった者たちと同じ気持ちであっただろう。
他と比べれば平和なアーカーシュだが、まだまだ油断はできない。
そんな事実を今日この日……誰もが、再確認したのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
壊れたゴーレムたちを修繕、レリッカ村へと連れ帰りました!
●運営による追記
本シナリオの結果により、<六天覇道>独立島アーカーシュの技術力が+10されました!
GMコメント
レリッカ村からそれなりに離れた昔の町の跡の遺跡に行きましょう。
壊れた町の中には昔の便利道具や壊れたゴーレムなどが落ちています。
修理すれば動きそうです、が。その中に天衝種が融合したものが混ざっているようです。
倒して見事成果を持って帰りましょう!
光の精霊灯やアイス・スピリッツ製氷機、暁の火などすでに発見されているものの他、自動で動く台車のようなものもあるようです。
他にもあちこちにゴーレムが壊れた状態で存在するようです。
……ですが、上記のものは乗っ取られている可能性もあります。油断すると襲ってくる可能性もあるので気をつけましょう
●敵一覧
・乗っ取られたもの×10
黒い部品のようなものがくっついた機械群。壊れた機械やゴーレムのフリをしています。
乗っ取ったモノの能力を使い襲ってきます。
・本性を現した黒い天衝種(マッドアーマー)×10
上記の敵から分離する黒い泥のような天衝種。引き剥がされて極度に弱っている状態です。
皆さんを真似て人に似た形をとり、「混乱」の効果を持つ叫び声を放ちます。
弱っているので、簡単に倒せるでしょう。
●友軍
・アーカーシュゴーレム×1
機械やゴーレムの修繕を手伝ってくれます。戦闘能力はそんなにないです。
●特殊ドロップ『闘争信望』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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