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シナリオ詳細

World Glitch? 神社建立RTA~わくわく分社建立編~ Any%

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●World Glitch
 World Glitch――。
 それは世界という呪文式(プログラム)に刻まれたバグ。
 巧緻なるプログラムにおいても、バグの発生は避けられないように、世界というプログラムにおいても、バグは必ず発生するのではないか――という仮説に基づく学説であり、それは一人の狂人によって提唱された概念であるといわれている。
 それをオカルト的な見方とするのは、あながち間違いではないだろう。例えばそれは、未解明の事象を『これはバグである』とカテゴライズして思考停止を行うにも等しい行為だと、私は感じている。
 例えば……気の遠くなるような年月に一度生まれる殺戮の刃は、はるか古代の魔術による呪いかもしれないし、
 世界を侵食する雪は、新種の魔物かもしれない。
 World Glitchとはすなわち、『わけのわからないものに対する応急の名称』――例えば、科学文明世界において、未確認飛行物体を全て『宇宙人の乗り物である』と断定するような行為に過ぎないのだ。
 とはいえ、それが『世界のバグ』か否かはさておきて、混沌世界において奇妙な現象は発生する。
 例えば――。

 ――リンドウ・D・コッフマン著、『混沌世界におけるオカルト考』より。

●分社建立RTA Any%
 うららかな、秋の日差しが境内に差し込みます。
 ここは神社。水天宮神社。先日のRTAでは大変酷い目にあったため、ちゃんと業者の方にお願いして作り上げた、ちゃんとした神社です。
 今日も近所のおじいちゃんやおばあちゃんが、散歩の途中に参拝してくれます。私――水天宮 妙見子 (p3p010644)――はゆっくりと境内を箒ではきながら、おじいちゃんとおばあちゃんに会釈をします。
 ちゃりん、ちゃりん、と、賽銭箱にお賽銭が投入される音がしました。おじいちゃんとおばあちゃんが、社に向かってなんかもごもごお祈りをして、にこにこと笑いながら去っていきます。 
 私は箒をほうりだして賽銭箱をひっくり返しました。ちゃりりん、と小銭が転がってきます。
 合わせて2ゴールド。現在の価格に換算して、2ゴールドである。
「はぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~つっかえ」
 私は嘆息しました。万札くらい入れろ――この世界に万札ってあったっけ? まぁ、1万ゴールドくらい入れろ。私は賽銭箱を元に戻します。そのまま箒を拾うと、また、さっ、さっ、と境内をはき始めました。
 あたりはすっかり秋で、はいてもはいても落ち葉は消えません。だんだんムカついてきました。燃やすか? この神社。いやいや、これも立派な収入源。この収入を断たれては、借金を返す当てがなくなります。
 しょう、私は借金をしているのです……あのリカ・サキュバス (p3p001254)からです。アイテムとかデザイアとかをお借りしているのです。速く返さなければ。返さなければ。返さ?
「……バックレるか?」
 そう呟いた刹那です。

「スッゾオラァァァァァア!!!」
 どぐわしゃぁあん、と本殿の扉を吹き飛ばして、境内に躍り出たのはリカ・サキュバスであった! 突然のエントリーだ!
「ああああいえええええええ!??」
 叫ぶ妙見子がサキュバス・ショックを受けながらも、しかし気絶することなくなんとかその場に立ち続けた。イレギュラーズの面目躍如である。
「今不穏な言葉が聞こえたけど?」 
 リカ・借金取り・サキュバスが言った。
「まさか借金を踏み倒そうとは思ってませんよね?」
「いえいえいえいえいえいえいえいえいえいえそんなまさかあはは」
 妙見子が目をそらしながら言うのへ、リカは怪しむような視線をむけて――ため息を吐いた。
「まぁ、いいです。それより、一回目の返却日から随分と日が開いてますが、いつ振り込まれるのですか?」
「それが」
 妙見子が言う。
「ちょっとお待ちいただけますか……?」
「いや、もう充分待ちましたよ?」
 リカはにっこりと笑うと、つかつかと妙見子の傍まで歩み寄った。そのままもう一度にっこり笑って、妙見子のこめかみをギリギリと握る。
「あがががががが!」
「もう! じゅうぶん! まちました! あとどれくらい待てばいいのですかねぇ~!?」
「ちょっとお待ちくださいですよ!」
 ばぐわっしゃぁあん、と音を立てて、賽銭箱が爆散した。中から飛び出したのは、ブランシュ=エルフレーム=リアルト (p3p010222)である! ブランシュは無駄に空中で四回転くらいしてから着地すると、びしっ、とリカに向って指をさした。
「ママが金を持っているわけがねーのですよ!」
「いや、堂々と言われましても」
 リカが目を細める。
「それじゃ困るっていうか……」
「待ってください! 待ってください!」
 妙見子がじたばたと暴れながらそう言ったので、リカはこめかみのロックを外した。べしゃり、と妙見子が地に落下する。
「お金を稼ぐ手段があるのです……」
「ほう?」
 リカが頷く。
「え、とうとう臓器を売るのですか?」
 ブランシュが目を輝かせて言うのへ、妙見子が頭を振る。
「売りません! 売りませんよ! ですが、手っ取り早くお金を稼ぐ方法があるのです!」
 妙見子はふふ、と胸を張って、こういった。
「分社を建立して、玉串料と拝観料で稼ぎます」
 と――。

「分社建立RTA~~~~~!!!」
 と、妙見子が言ったので、リカとブランシュ、そして残るイレギュラーズ達がうんざりした様子でそう言った。
 豊穣は、とある静謐な森の中である。何処か神秘さを感じさせる底に、イレギュラーズ達は集められていた。
「いやいや、前回のRTAは酷いものでした! というのも、普通の物理法則のものに則っていたからです!」
「ママは何を言ってるんですか」
 ブランシュが言う。
「物理法則とは、物理法則という意味なのですよ?」
「そんなことは分かっています!」
 妙見子がブランシュの言葉を遮った。
「この土地は、何かよくわかりませんが、物理法則が働かないのです!」
「はぁ?」
 リカが首をかしげた。
「何を言ってるんですか?」
 何を言っているのか――まったく意味が分からない。物理法則とは、絶対の法則ともいえる。例えば、スプーンを墜とせば、重力によって地面に落下する。それが働かないという事は、つまりどういうことなのか。
「ではですね! 試してみましょう!
 リカ様、そのお尻を……そう! ここの階段に、ぶつけるように座ってみてください!」
 きらきらとした瞳でそういう妙見子に、リカは胡散臭げな顔をしつつ、
「はぁ、まぁ、座れって言うならすわりますけおごっ」
 刹那、リカの姿が掻き消えた。おごっ、という悲鳴だけを残して。
「な――消えたですよ!?」
 ブランシュがぶんぶんと頭を振る。リカの姿はどこにも見当たらない。
「おっごぉぁ!?」
 途端、地面から何かが雄叫びと共に突き破ってきた。リカである! いつの間に地面に潜っていたのか!? いや、それにしては、服に汚れの類が感じられない。まるで、地面を物質透過したかのよう――。
「ケツワープです」
「ケツワープ!?」
 リカが叫ぶように尋ねた。
「はい! ここに、ケツをぶつけるように移動するとですね、ベクトルが蓄積し、最終的に凄い速度で打ち出されます!」
「何を言っているんですか?」
「それから、ここの画面端からは判定がなくなるので、地面につながっている状態になり、キャラは地面から出現することになります!」
「何を言ってるんですか?」
 リカがひたすら困惑するのへ、ブランシュが叫んだ。
「あ! ゲームのバグみたいなのですよ!」
「そう! いうなればここは、ゲームのバグみたいなことが起きる森! 落雷でフリーズしたり、特殊部隊に動きが読まれていたり! ナイスセーヌしたりするような場所!」
 妙見子がばぁっ、と両手を広げた!
「そして、ここにはガバガバ判定の土地がある……つまり、どんな違法建築でも、どんな適当なつくりでも、システム上分社と認められるというわけです! そこで! Any% 分社建立RTAを開催します!」
 ぐっ、と妙見子がその拳を握った。リカが頭をかいた。
「ええと……つまり。ゲームで起きるバグみたいな現象を利用して、いかに素早く分社を建立するか……ってコト!?」
「そうです!」
「わァ~~~~~」
 リカが頭を抱えた。とんでもない事に巻き込まれてしまったに違いなかった。
「やりたくない感じです?
 ま、でもママはローレットに正式な依頼として出してるので。今逃げたらハイ・ルール違反なのですよ」
 ブランシュがうんうんというので、他のイレギュラーズ達も嫌そうな顔をしつつ覚悟を決めた。
 なんにしても。
 分社を建立RTA、始まりである!

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 では今日はですね、分社建立RTA、Any%、走っていきたいと思います。

●成功条件
 分社を建立する。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はEです。
 無いよりはマシな情報です。グッドラック。

●状況
 分社を建立したい。なるべく早く。
 そのように、水天宮 妙見子 (p3p010644)からの依頼(リクエスト)を受けたローレットイレギュラーズ達。建立予定地に向かってみれば、そこは『ゲームのバグみたいな言葉起こる森』でした。
 例えば、落雷が落ちたらフリーズしますし、無を取得できますし、変な掛け声とともに変態みたいな動きで城を破壊することも出来たりします。
 そう、それはGlitchなのです。
 というわけで、皆さんは『ゲームのバグみたいなことが起こる』ことを利用し、思い思いの『分社』をかってに立ててください。
 例えば、『分社判定をメモリから呼び出して、きのこの残骸を分社判定させて強制的にクリアする』とか、『ケツワープで世界の裏側まで飛んで材料調達フェイズを飛ばす』とか。地面に落下したら空から落ちてくるとか。無を取得するとか。
 要するに、『バグっぽい挙動で遊ぼう!』というシナリオになります! ちなみにこれはROOシナリオではありません。現実のシナリオです。
 なお、当然のごとく『本シナリオで発生する物理法則は、この付近で一時的にのみ発生する現象』であるため。他のシナリオや世界設定で真面目にこのシナリオの事を持ち出さないでください。お願いします。このシナリオだけのことでとどめてください。じゃないと洗井落雲にマジの怒られが発生します。

 ちなみに、最終的にどのような分社が建立されたかは、皆さんのプレイングの総合と、適当にダイス振って決めます。
 

●作業工程
 ルール上、大体以下のような工程を踏むこととなります

 1.材料調達:材料を調達します。森の中なので、戦闘があるかも!?
   ↓
 2.設計図作成:設計図を作ります。カッコイイ分社の設計図を作りましょう!
   ↓
 3.作業開始:分社を立て始めます! 様々な知識を利用して、分社を完成させましょう!

 この全部を『バグっぽい挙動』で何とかできます。材料調達は無を取得して飛ばしたりできるという事です。変態的な挙動で移動速度を大幅に上昇させることができるという事です。というわけで、バグっぽい挙動を駆使して暴れまわってください。

 では、はい、よーいスタート。

  • World Glitch? 神社建立RTA~わくわく分社建立編~ Any%完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年11月28日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リカ・サキュバス(p3p001254)
夢の女王
※参加確定済み※
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
死神の足音
※参加確定済み※
水天宮 妙見子(p3p010644)
ともに最期まで
※参加確定済み※
フロラ・イーリス・ハスクヴァーナ(p3p010730)
お嬢様(鉄帝)
リヴィア=フォーレンティア(p3p010856)
堕ちた姫君

リプレイ

●はい、よーいスタート
「ガァ! ビンルバギギゼガシラグジョ!
 ? シンムシャンションアショデェエフェンオベリャミョデュフィ?」
 『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)がなんか言った。
 ムサシは少し苛立たし気にコンバットスーツのメットをとると、
「……ええい! ヘルメット被ってるとまともな会話にならないでありますこれ!!! スピーカーが故障してる!
 というかさっき三回変身して3回とも今とは全く別の姿になったんでありますけどどういう仕組み???」
 と、地団太を踏む。どうやら『バグ』が影響しているらしい。
「そうね、私もなんかケツでワープさせられたからね!」
 『夢の女王』リカ・サキュバス(p3p001254)が憤慨した様子でそういう。
「借りたもん返したい心意気は褒めたいけど……ホントに返す気ある?
 返す気ないなら最悪力づくで全身剥ぎ取るケド。
 で、なんで私まで働くの。たみこちゃんこの服(illust/72554)何。師匠って言うな。先輩後輩の兼ね合いで最低限の戦い方教えただけでしょ!?」
 がーっ、と一気につっこみだすリカに、しかし『宙より堕つる娘』水天宮 妙見子(p3p010644)は「あーあー、きこえなーい」とか言って耳をふさいだ。
「まぁ、そこは良いじゃないですか……これを上手くすれば早期に色々とお返しできるはずです!」
 うんうんと妙見子がそういうのへ、リカは胡乱気な表情を向ける。
「ほんとにー? これほんとに収益上げられるのー?」
「これは予言なのだけれど」
 『堕ちた姫君』リヴィア=フォーレンティア(p3p010856)が諦観の表情で言う。
「ここでの稼ぎはバグなので外には持ち出せない、っていうオチになると思うわ……。
 所持金・アイテム無限バグとかの産物を換金するようなものよね?
 玉串料と拝観料が見込めるのかも曖昧だし……」
 まったく仰る通りであろう。こんな所で無限金策を許可したら世界壊れる。
「まぁまぁ、試しにやってみるのですよ!」
 と、『後光の乙女』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)がにこにこと笑ってそう言った。
「ブランシュ達は、適当にバグで遊んでローレットから依頼料がもらえる。
 ママは借金を体で返す。
 とくに誰も損してないのですから!」
 おっしゃる通りであろう。少なくとも、参加メンバー(妙見子を覗く)は特に損していないのである。依頼料やら、その他もろもろは手に入る。妙見子は困るかもしれないが、それはそれ、これはこれである。
「世知辛いのでして」
 『ょぅι゛ょ』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)がにこにこしながら言った。
「でも、世の中そんなものなのでして!
 楽して稼げなければ、楽してレベルもあげられないわけでして!
 あ、話は変わるのですが、師匠は、ルシアのことも認知してほしいのでして!!」
「認知!?」
 『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)が思わず目を丸くした。
「そ、そういう事なのか……? た、確かに、目元とかが似ているかもしれない……?」
「違うわよ!」
 リカが叫んだ。
「こいつらは! なんか知らないけど私を師匠って呼んでるのよ! っていうか、ルシアちゃんに関しては本当に何も教えていないっていうか、私より強いじゃない! 何それ嫌味!?」
「いえいえ、ちゃんと師匠の方が強いのでして!
 ほらほら、このへんの https://rev1.reversion.jp/battle_settings/test/706659 ログを!」
「ログをはるな! というか、そのえいちてぃーてぃーぴーみたいなのどうやって発音してるの!?」
「これもバグか……」
 二人のやり取りに、錬はふむ、と唸った。多分バグではない。
「しかし、バグ、だったな。ROOのような挙動が起きる土地……というと、練達の連中には怒られそうだが。
 だが、そう言ったバグを利用したあーるてぃーえー? というのは、Ptubeで予習してきたよ。
 すごいものだったな。ROOよりすごいんじゃないのか?」
「そうですわねぇ、ROOってぶっちゃけ未経験なのですけれど。
 やっぱりバグって笑えると同時に、何かすごいものを見たって言う感動もありますわよね。
 そんなわたくしが走るのは、手紙バグチャートですわ!」
 ぐっ、とこぶしを握る『認知して!』フロラ・イーリス・ハスクヴァーナ(p3p010730)。
「ちなみにわたくしも認知してもらいたい勢ですわ!」
「認知……!?」
 錬が目を丸くした。
「た、確かに、目元とかが似ているかもしれない……?」
「殴るわよ!?」
 リカがキレた。
 閑話休題(それはさておき)。
「で、これってどうすればいいの?」
「それは……」
 リカの言葉に、ブランシュが頷く。
「やっぱりひとりずつ走っていく感じです?」
「そうですねぇ」
 妙見子が頷いた。
「こう、どうせならみんながたてた分社を見てみたいものですから。それに、8つもあれば集客に使えるでしょう」
「スナック感覚で建てられる分社って価値があるかしら……?」
 リヴィアが嘆息する。
「まぁ、でも。どんなバグを利用するにしても、『どんなバグがあるかを調査する』のは有益よね。
 せっかくだから、私が調べてみるわ。なんか……怪しいパトロンもそう言ってる気がするし……」
 そういうリヴィアに、錬は頷いた。
「ふむ……まぁ、確かにそうだ。RTAを始めるには、まずそのゲームを知り尽くさなければならないからな」
 納得したように言う。
「人生はゲームですわね!!!!」
 フロラがなんか頷いた。
「とは言え、一理ありますね。やはり現地調査は一番の課題です」
 ムサシがそういうのへ、
「ええ、そのとおりであります」
 ムサシが答え、
「一番槍と言えば自分が志願したい所でありますが」
「ちくわ大明神」
「ここはお譲りするであります!」
 ムサシとムサシが頷いた。
「じゃあ、その。デバッガーをお願いするのでして!」
 ルシアがそういうのへ、リヴィアが頷く。
「ええ! じゃあ、行ってくるわよ!」
 そう言って、何か意気揚々とリヴィアが前進していく。
「ああ、あれね。絶対ひどい目にあう奴よ」
 リカがすごく嫌そうな声でそう言った。
 数秒後に、リヴィアの悲鳴があたりに響き渡った。

 いやいや悲鳴の方に向かってみると、壁にはまって抜け出せずにいるリヴィアの姿があったのだ!
「どうして!? 何でいきなりこうなるの!?」
 じたばたと身体を動かすが、ちょうど胴体が壁にはまっていて抜け出すことができない。
「ふむ……多分ピクセルパーフェクトをとれなかったから失敗したんじゃないか?」
 連が言う。
「あー。侵入するポイント、ピクセルパーフェクトですものね」
 フロラが頷いた。
「難しい技でして。ここでピクセルパーフェクトをとっておけないと、後のバグも続かないのでいて」
 ルシアがうんうんと頷いた。
「ピクセルパーフェクトってなに!?」
 リヴィアがじたばたと悲鳴を上げる。
「しかし……すっかり特殊性癖ね……」
 リカがちょっと楽しそうに言う。
「特殊……!? いや、なんか嫌よ! そういうピンとか作られたくない!!」
 リヴィアが暴れ出すのへ、
「ヘッヘッヘ シンパイスルコトハナイデアリマス」
 なんかムサシが変な声で言った。
「とりあえずリセットボタンを押すであります」
「あー、この辺のボタンですかね?」
 妙見子が、その辺にあったボタンを適当に推す。リヴィアが「おごっ」みたいな悲鳴を上げて、そのまま壁からすっぽ抜けた。
「これは位置情報をゼロに戻すボタンであります。詰み防止でありますね」
「そんなもん実装する暇あったらデバッグしなさいよ」
 リカが突っ込む。
「なるほど、これがあればまずは調査も簡単なのですね!
 オラァ! さっさとデバッグするんだよ!」
 ブランシュがにこにことそういうので、リヴィアが半泣きになりながらデバッグを始めたのです――。

●本走
 さて、このゲーム、大まかに分けると三つのパートがあります。

 1.材料調達:材料を調達します。森の中なので、戦闘があるかも!?
   ↓
 2.設計図作成:設計図を作ります。カッコイイ分社の設計図を作りましょう!
   ↓
 3.作業開始:分社を立て始めます! 様々な知識を利用して、分社を完成させましょう!

 シナリオ詳細から丸コピペしました。さて、そんなわけで、まずは第一フェイズである材料調達から始まります。え? 普通設計図作ってから材料調達しないかって? うるせー! 僕のシナリオでは材料調達から始まるんだよ(逆ギレ)!

「モンスターを討伐するなら自分に任せるであります! ムサシ! ムサシ! そしてムサシ!」
「行くでありますよ保安官ムサシ!」
「応でありますとも保安官ムサシ!」
「ちくわ大明神」
「素晴らしい物を作るでありますよ保安官ムサシ!」
「あのベンツは僕のベンツです」

「わぁ、多重スクロールの弊害でムサシちゃんが大量発生してる!!」
 リカが嫌そうに言う。ついでに言うと、リカはさっさと逃げ帰ろうとしたら変なポイントを踏んで空中浮遊している。泳げないので、脱出は諦めた。
 ジェットストリームムサシがモンスターを重心している中、一方で妙見子もmonster(いい発音)と相対している。その最中、懐から取り出した変なバッジは戦闘中に使えないバッジなのだが、セレクトボタンを押しながら戦闘に入ることで使えるようになる。そのバッジを使用するとメモリエラーが発生し、目の前の怪物は『欠番』と呼ばれる怪物となるのだ!
「それにボールをシュゥゥゥゥゥゥゥッ!」
 妙見子が世界の金持ちネズミを捕まえるようなボールをぶん投げた。『欠番』がボールに入る。捕獲した。
「これを使います」
 ゆっくりしながらそういう妙見子。一方、『使用できないアイテム』を使ったバグを利用しているのは、錬も同様だ!
「そう、ここで魔改造キットを開ける。上から七番目のアイテムを選択して、すぐに戻す……この時心のBボタンとAボタンを同時押しして魔改造キットのふたを閉じる……!」
 すると、錬の視界にカーソルキーが浮いたままになるので、このままボタンを押さずにシンボルエンカウントする!
「そして! このカーソルで懐の呪符を選択すると、呪符がレベル100の杖に化けるので、これを装備して敵を殴る! すると敵がレベル100の素材に変化するんだ!」
 なるほど、つまりこれで素材収集を大幅に効率化したのである!
「わぁ~~~~、私の分社、どうなっちゃうの~~~~?」
 妙見子がそう言った。私にもわからん。そんな一方で、何故かグリッチレスでRTAに挑む猛者がいた。ルシアである!
「いいですか? ここは効率よく動くわけでして。
 基本的には直進で進んで、壁やエリア脇近くの素材の回収は避けるのです。
 戦闘も基本は被ダメージ上等で全無視ですけども、
 エリア移動の際に攻撃を受けてノックバックからのバグ挙動を避けるため、分社エリアに移動する前にトレインしてた敵を纏めてずどーんするのでして。はい、いまですね。ずどーん!」
 ずどーん、するルシア! 効率的にまとめられた敵が一気に蒸発する!
「ボタンを離すと自動回収するのでそれに任せるのでして。これをもうちょっと繰り返します……」

 さて、設計図パートである(唐突)。設計図パートとは、用意されたアイテムで規定(建築基準法とか)通りの建物を設計するパートなのだが、勿論建築士でもないイレギュラーズ達に、そんなものを作れというのは無理な話である。それにこれはバグを利用したRTAだ。設計図なんぞは適当で良い――!!
「xzoptgyaneaf0943ewadsssemxzi2p;asseiu1?」
 リカちゃんがなんか言っている。フレームパーフェクトにより特定のポイントに資材を置くと、画面とウインドウがバグって、壁抜けしママ何処かへ行ってしまうのである。さておき、他のメンバーは頑張って設計図を『回避』していた。
「魔改造キットを開ける……! 九番目の道具をとって、心のL1とZRボタンを押してしまう……! ウインドウを閉じると、設計図パートが飛ばされる!!」
 連は魔改造キットチャートを使い、見事に設計図パートを無視。一方、手紙パートを使ったフロラは、
「まず手紙の宛先を「りかたん師匠へ」に設定。
 我らが師匠ですが……今回は都合上「師匠へ」を消去。
 ここで宛名前後の空白を4文字分測って、次。
 次に宛先の空白の前を「たっ」という文字列で埋め尽くしますわ。
 上限に達したら何故か書けなくなりますわ。バグ空間特有のアレですわね。
 そうしたら末尾4文字分を消して空白に置換、続けて同様に上限まで書いたら封!」
 と、ゆっくりした顔で解説しつつ、呪いの手紙をリカに送りつける。これにより、手紙になぜかプレゼントが付与される。手紙を開けるとバグって大変なので、絶対にあけない事。さておき、これでそもそも「設計図を書かなくても建物ができる」のだ!
「ブランシュは飛行バグで設計図パートを飛ばすのですよ!!」
 と、ブランシュは飛行状態でスキルを使用することで、1マス強制的に移動することを利用した。本来はそれでも判定が残っているのだが、ドアタイマーを事前に利用することで、この判定を消すことができる。つまり、これにより設計図イベント発生を飛ばし、先に進むことができるのだ!!
「もう何を言ってるのか分からない!!」
 また壁にはまりながら、リヴィアが悲鳴を上げた。自分でも何を言っているのか分からない。
「設計図パートは必要最低限の設計をするのでして。
 まず、土台を支える最低限のパーツ、それに床と壁、これは一番安いので大丈夫。
 箱みたいな建物ですが、これが一番早いと思います」
 ルシアも極限状態の分社を設計している。多分ランクはEとかになるだろうが、今回はAny%のRTAなので、クリアランクは特に評価されないのである。
「わぁ~~~~! 私の分社、どうなっちゃうの~~~~!?」
 妙見子がそう言った。わからん。まるで分らん。

●日差しの中に立つ僕たちの分社
 ぽん、という音がすると、分社が立った。なんか得体のしれない分社が現れたのだ。破砕したポリゴンの塊のような物体。でも判定はしっかり分社になっているので、これでクリアです。
「待って! なんでできたの! 作ったの? 産んだの!? 私が!?」
 リカちゃんが困惑している。リカちゃんの身体からぽん、と出てきたのだから、リカちゃんが産んだんだよ?
「はい、ここでタイマーストップでして!
 分社はたった今崩れましたが既にクリア判定が出てタイマーが止まったので問題ないのですよ!」
 と、クリア、の文字が世界に大写しになっている中、なんか箱みたいなごみが崩壊している。でもクリア判定は出たので、ルシアの分社は建立成功です。
「完走した感想ですが、
 意外に真っ当に遊んでも楽しかったのですよ!
 それと師匠が頑張ってお腹を痛めて産んだ分社がおもしろ……可愛いのでして!!」
 言い方ァ!!
「ムサシ……」
 ムサシがムサシとムサシとムサシとちくわ大明神と相対している。そう、今この瞬間、バグによって生まれた友。バグが終われば消えていく友。彼らは涙を呑んでいた。
「これはRTA……? じゃあ自分達は……なんのために……生まれて……?
 そうか……自分達は……」
 ぱーっ、となんか光の中に消えていくムサシ達。ただ一人だけムサシが残った。ですが、貴方は本物のムサシなのでしょうか? 本物とは何が決めるのでしょう……?(怖い話風エンド)
「さて、付与タイマー持ち出し、分社建立イベントを強制発動します。なにも建っていませんが、エンディング画面が出たのでクリアです。これが一番早いと思います」
 ブランシュが満足げにそういう。なにも建っていない。
「わたくしはバグプレゼントを利用してデパートをたてましたわ!!!」
 めっちゃ胸を張ってそういうのは、フロラである。デパートではない。分社を建立しろ。でもクリア画面が出たのでクリアです。お疲れさまでした。
「でも、商業施設をたてた方が、お金に困っているみこちゃまもがっぽがっぽ稼げまして?」
 おっしゃる通りかもしれなかった……が、こんな最悪の立地に立っているデパートに客は来るのだろうか。
「よし、バグったスキルで作業時間を短縮して、『ねじ曲がった塔』を建設! これでタイマーストップだ!」
 錬が満足そうに言う。ねじ曲がった塔が、これでもかと存在を主張していた。
「……はっ」
 それらを見て、妙見子が正気に戻った。端的に言って、辺りは地獄だった。酷い建造異物が立ち並ぶ、バグの園である。
「私は、どうしてこのような……?」
 正気に戻ってみれば、もうわけがわからなかった。どうしてこうなってしまったのだろう。やはり勢いでやるものではないなぁ、と思った。
「えーと」
 リヴィアが声をあげた。
「どうかしら……この際、好事家に、脱いだ衣服とか身柄を売ってみるとか……練達の映像サイトで、デビューするとか。それで借金を返すのは」
「ワンチャン考えます」
 そう言った。
 さわやかな、メモリエラーの風が吹いていた。
 おわり。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 分社は建立できましたか?(震え声

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