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シナリオ詳細

<総軍鏖殺>総力叛皇<獄樂凱旋>

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<総軍鏖殺>総力叛皇<獄樂凱旋>
 新皇帝『バルナバス』就任によって、鉄帝国が変わった事。
 罪を犯し、牢獄に投函されていた者達は……新皇帝の気紛れか否かは解らないが、恩赦を与えられて世の中に解放される。
 恩赦を与えられしし囚人共は、人生を謳歌するが如く、市中その力を誇示するが如く乱暴を重ねている。
 勿論その矛先は統治される事も無く、各々の自由、かつ好き勝手に向けられる訳で……首都スチールグラードは囚人共の暴虐に苦しめられて居た。
 だが……最近、その無差別たる力の矛先は変わり始めていて。
『ヒヒヒ……あれが、ラド・バウかぁ? いけすかねぇなぁ……?』
『全くだぜ。力を持つ奴らが、市民達に傅いて憩いを届けるだぁ? ふざけてんじゃねえぜ。力は人々を跪かせるために使うもんなんだよぉ!』
『あいつらを『殺せ』っちゅー仕事だ。まぁ、あいつらがいい顔出来るのは後もう少し……さぁ、始めようぜ!』
 ゴロツキ連中の力を向ける矛先は、突如としてラド・バウ大闘技場に所属する者達へと向く。
 彼等の受けた『仕事』……その真意は分からないものの、少なくともラド・バウを襲撃する意思を持っているのは間違い無く持ち、今こそその力を向くとき、なのであった。


「もう~……ほんっとに信じられない! 何なのよあいつらは!」
 ぷりぷりと怒りを滲ませるのは、『Sクラスの番人』ビッツ・ビネガー。
 彼女の言葉に『スーパーチャンプ』ガイウス・ガジェルドは。
「どうした……何かあったのか?」
「そうなのよ~。ほら、バルナバスの恩赦によって解き放たれた囚人達がね、ラド・バウに襲撃してきてるのよ~。それも度々」
「ああ……そういえば、昨日も撃退していたよな。まぁ今の所は一端の囚人達ばかりだから、苦戦する様な事は無かったが」
「そうそう。でもねぇ……何か最近不穏な気配がしているようなのよぉ。ラド・バウに来てくれるイレギュラーズの皆に聞いても、何だか勢力を集中し始めているって話だしねぇ……」
「そうか……今後、大きな戦いがありそう、という事か。となれば……こちらも戦力を固めるしかないな。ラド・バウに集う市民達を守る為にも」
「うん。そうねぇ……色々とありそうだけど、やらなければならないわ。街の人達を守る為にも、ね」
 どこかふわりとした口調ながらも、真摯な表情を浮かべるビッツ……そして。
「さぁ皆。ちょっとやりづらいかもしれないけれど、みんな宜しく頼むわね!」
 と、ニッコリ笑顔で皆を送り出すのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回はラド・バウ大闘技場に攻撃を嗾ける囚人共の討伐依頼です。

 ●成功条件
   革命派を名乗り、ラド・バウ大闘技場に襲撃を嗾ける囚人共の軍勢を討伐する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●特殊ドロップ『闘争信望』
  当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
  闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
  https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

 ●周りの状況
   今回舞台となるのは、ラド・バウ近郊です。
   背後にラド・バウ大闘技場と、逃げ込んだ市中の人達がいる状況で、市街地の方から敵陣が攻め込んできます。
   元囚人の敵陣の他、彼等に力を貸す天衝種達も軍勢に同行し、攻め入ってきますので、何人たりともラド・バウへ信仰させないように防戦するのが今回のポイントです。
   敵陣としては、何としてでもラド・バウの内部に入り込み、市民を殺す事が出来れば御の字と思っているので、彼等を止めねば不意を突いて侵入される……なんて羽目になりかねませんので、それは万が一にもない様に注意して下さい。
   (依頼自体は例え市民が殺されても、多数が侵入されなければ成功判定ですが……かなり後味が悪い展開になるでしょう)

 ●討伐目標
 ・革命軍を名乗りし、恩赦を与えられし囚人達
   革命派を名乗り、市中で暴れ回る囚人達です。
   元々何らかの罪(暴力・殺人等)で投獄されていましたが、新皇帝の恩赦を与えられて今や街で暴れ回っています。
   彼等は暴力でもって戦場を駆け抜けており、一般人達を殺すが為に動き回っております。
   このままの力で進軍すれば、ラド・バウに逃げ込んだ一般人達もその被害に逢うのは間違い無いので、その勢いを止める為にもイレギュラーズの皆様で力を合わせて討伐する様お願い致します。
 
 ・革命軍の囚人達に力を貸す天衝種『ギルバディア』(狂紅熊)
   上記囚人達に理由不明ながらも力を貸す天衝種達です。
   姿形は大型の熊型の魔物で、その力で以て立ち塞がる者達を次々と薙ぎ払っていく様な者達になります。
   攻撃力及び戦陣突破能力が極めて高いので、彼等の突破を防ぐ為には一人だけでなく、数人の力を結集して対抗する事が必要となります。
   勿論彼等の体力はとても高いので、一人だけ討ち倒すにも結構時間がかかると思われますので、いかに戦力を分散しながら対抗するか……を考えて見ると良いかもしれません。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <総軍鏖殺>総力叛皇<獄樂凱旋>完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年11月17日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
シラス(p3p004421)
超える者
冬越 弾正(p3p007105)
終音
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
橋場・ステラ(p3p008617)
夜を裂く星
リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)
花でいっぱいの
暁 無黒(p3p009772)
No.696
柊木 涼花(p3p010038)
絆音、戦場揺らす

リプレイ

●罪たるや
 鉄帝国首都、スチールグラード。
 新皇帝『バルナバス』就任から少しの時が経過した街中には、彼によって恩赦を与えられた囚人共が我が物顔で暴れ回る。
 その状況を目の当たりにしたラド・バウ大闘技場に集う者達が、囚人共を討伐して暫し……それを気に食わないと自分勝手な思慮を持ち、彼等はラド・バウに叛逆の狼煙を上げる。
 ……そんな奴らがいる、という話を聞いたビッツにより、イレギュラーズ達に下るは……そんな囚人共を倒してきて欲しい、という依頼。
 そんな話を聞いた『牙隠す赤ずきん』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)は。
「うーん。いやぁ、罪に罪を重ねるだなんて。直情的だねぇ、深く考える事なんて、やっぱり無いんだろうね!」
 笑いながら囚人共を蔑む彼女……それに『No.696』暁 無黒(p3p009772)も。
「そうっすね。弱い者いじめしか出来ない不逞やつらには、きつ~いお仕置きをしなきゃっすね! 絶対に皆を護りきるっすよ!!」
 ぐぐっと拳を握りしめてて気合い十分。
 そんな二人の気合いの入りように対し、深く溜息を吐くのは『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)。
「はぁ……やれやれだな、まったく。学習能力が無いみたいだな、囚人ども」
 その溜息に『奏でる言の葉』柊木 涼花(p3p010038)と『夜を裂く星』橋場・ステラ(p3p008617)の二人も。
「ええ……どいつもこいつも奪ってばかり。どうしてこうも愚かなんでしょうか……呆れて言葉も出ませんね」
「そうですね。相も変わらず世情に疎い拙ですが、向かってくるのが碌な手合いでない事は解ります。ならばすべき事は実に簡単……ぶっ飛ばすのみ!」
「はい。いつもはわたしは皆さんの支援ばかりですが……今回はいつものように支援だけに集中していては、防御の手が足りなりそうですね……攻撃の意思を持ってこの力を振るうのは、今後の音楽活動に雑念が入りそうで、本当はしたくないのですけど、わたし個人の主義主張で無辜の民を犠牲にする訳には行きません。支援特化の看板を今日だけは下ろして、皆さんのお力になりたいと思います」
 常たる方針を今日だけは下ろす事で、このラド・バウの人達の力になりたい……そんな強い想いを抱く涼花。
 その言葉に『竜剣』シラス(p3p004421)が。
「いい心がけだぜ。ま、俺もそうだな。ラド・バウにも革命派にも思い入れがあるんでね。今回は胸糞の往復ビンタを貰った心地だぜ。本当、この俺の前で革命派を名乗るとは良い度胸をしてるじゃねぇか。待ってろよ、監獄から出たついでにテメーらの人生からも解放してやるぜ」
 ニヤリ笑みを浮かべると、それに『黄泉路の楔』冬越 弾正(p3p007105)と『黄泉路の蛇』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)も。
「そうだな。温情をかけてやる余地もない。彼等が二度と変な気を起こさないよう、徹底的にしばき倒してやろう。こういう輩は、痛い目を見せてやるのが一番良く効く薬だからな」
「そうだな……囚人と、紅い熊が居るとの事……黄色い熊じゃなくて良かった。あいつはやばい。取りあえず、俺は囚人対応へ向かう。くまは任せた」
「了解。そっちも無理はするなよ?」
「勿論だ。弾正……無茶はしてくれるなよ……無茶はするな。大事な事だから、二回言ったぞ」
 無表情気味なアーマデルの言葉、だがその機微を理解している弾正は。
「了解……んじゃ、お互いに無茶せず行こう」
 と笑う。そして。
「このラド・バウに向けて攻め入って来るという話でしたよね? この闘技場の周りって……広場のような物もあるから、真っ正面から当たることになりそうですね」
「そうだねー。まぁ奴らは深いこと考える事も出来ないだろうし、真っ正面から迎撃する、ってな感じかなー? そういう所は楽かもね」
 ニヒヒと笑うリコリスに、ステラが。
「解りました。取りあえず広場には遮蔽物を幾つか置いておくことにしましょう。後は……冬越さんからの情報が重要ですね、宜しく御願いします」
「勿論さ」
 手を振る弾正……そして涼花が。
「では……行きましょうか。街の人々を傷付ける罪悪人達を……確実に倒しましょう」
 彼女も小さく、拳を握りしめるのであった。

●目の敵
 そして、イレギュラーズ達がラド・バウの大広場に集い、暫し。
 ……喧騒騒がしき市街地の方向から、ドカン、と大きな音が鳴り響く。
「……あっちみたいっすね」
 その音の方角を指さす無黒……間もなくして、その方向から悲愴な顔をして逃げてくるスチールグラードの市民達と、それを追いかける集団。
『オゥオゥ、てめぇら逃げてんじゃねーぞ! 俺達『革命派』の言う事に従えってんだよぉ!!』
『グルゥゥゥ……!!』
 荒々しい声と、獰猛な鳴き声の狂騒。
 明らかにそれは、罪を重ねて収監された囚人達と、力を貸す天衝種に他ならない。
 そして、逃げ惑う市民達……。
「ほ~らほらぁ、狼が出たぞ~! 一般市民の子羊たちは、みーっつ数える内にさっさとこっちに逃げちゃいなよ! 逃げ遅れた子から、順番に頭から食べちゃうぞぉ~!」
 がおーっとポーズで市民達を驚かして避難を促すリコリス。
 平常時だったら分からないが……追い立てられている混乱状況の中では市民達も悲鳴を上げて、促されるままにラド・バウ大闘技場に向けて歩を早める。
 ……そんなイレギュラーズ達の動きに囚人共は。
『チッ! やーっぱり奴らが出て来やがったか! まぁいい、ついでだ、奴らもぶっ殺すぜぇ!!』
『イェエエェイイ!!』
 意気揚々と、囚人共は市民を追いかけ回す。
 ……そして、その間に割込立ち塞がるは貴道、シラス。
『あぁ? 邪魔なんだよぉ!!』
『てめぇら、とっととこの場から去れやぁ!!』
 目をつり上げ、怒りのままに罵倒する彼等。
 だが……そんな彼等の勢いに乗ることもなく、貴道、シラスは涼しい顔で。
「せっかく恩赦が出たってのに、ユー達は今もなお革命派を名乗る誰かさんに使われ、縛られている、って事か。なんだい、ユー達は? 縛られるのが好きなのかい?? ユー達の『プレイ』に、巻き込まないで欲しいんだがな?」
「全くだ。ああやって市民を追い立てて、てめぇら俺の領分で何しやがってんだ?」
 二人は静かながらも、並々ならぬオーラを纏う。
 そのオーラに幾人かは気付き、ビクッ、と一瞬足を止めるのだが……大多数は。
『うるせぇぞてめぇら! 市民の奴らはよぉ、俺達に搾取されるだけの存在なんだよぉ! 力ある者こそ統べて、あの新皇帝もそー言ってるじゃねぇか!』
『そうだそうだ! 邪魔するってんならよぉ、殺すまでだぜ、ホラァ!』
 何処からか奪ってきたのか、身長程の身丈をした剣を振るう囚人。
 しかしその攻撃を腕一本で防ぐ貴道。
『何っ!?』
「いい加減目障りで仕方ないんだ。大した実力も無いとくればフラストレーションが溜まる一方なんだよ。分かるか、ゴミクズどもよぉ!?」
 そのまま仕掛けてきた囚人を、力一杯で吹き飛ばす貴道。合わせる様にシラスも。
「ああ。まぁ俺達が相手してやるよ。市民達に手を出したいってんなら、俺達を倒さないとな!」
 と言い放ちながら、その拳に魔力を集中させ、放つ。
 それが強力な力の奔流が戦場を迸り、囚人達を数歩後退させる。
 だが、囚人共の動きの傍らで異なる動きを見せるのは、紅色を纏いし熊共。
『ガルゥゥゥ!!』
 と狂気を孕んだ声と共に、その鋭い爪を全身を使って振り薙いでくる。
 流石にその一撃は強力であり、防ごうとも貴道、シラスに中々のダメージを与える。
 しかし、その攻撃後の隙を突き、弾正とステラの二人は立ち塞がる。
『グルゥ……!』
 かなりの腕力だが、ギリギリ耐える二人……勢いが反発し、こちらも一端間合いを取る。
「これは確かにかなりの力の様だ。だが……貴様らには、蜘蛛糸ほどの慈悲もやるものか! ラド・バウ闘士の恐ろしさ、その眼に焼き付けるがいい!」
 と弾正は強い口調で熊共を断じ、熊との間合いを瞬く間に詰める様攻め立てる。
 同時にステラも、残像を伴う剣戟で仕掛け、熊共を囚人達から少し離すように立ち回る。
「良し。それじゃ囚人共の方、頼んだぜ!」
 更にシラスも熊退治の側に加勢し、熊に対峙せしは3人。
 残る5人でもって、囚人共を囲み対峙する。
『くそがよ! 俺達を舐める様なら、容赦しねえ!』
 囚人共は、イレギュラーズ達の挑発の言葉に怒りが頂点へ達している様で、熊との間合いが離された事を気付いていない。
 そんな彼等に、ニッ、と笑みを浮かべながらリコリスが。
「ふふっ。それじゃぁ美味しく頂いちゃうよっ!」
 満面の笑みを浮かべながら、囚人一人に飛びかかる。
 まるで獣の如きその動き……跳びかかられた囚人はそのまま地面に転倒。
「いただきまーす!!」
 と、文字通りかみちぎる。
 そんな無慈悲な攻撃を受けた囚人は、当然ながら悲鳴を上げて……其の声に、他の囚人達は本能的に恐怖を覚え、一瞬たじろぐ。
 しかし、更に連携してアーマデルが。
「……英霊の未練の音を聞け」
 と、心を乱す残響の音色を奏で、纏めてその足取りを鈍らせる。
 更に涼花も、神々しく響くメロディで囚人達の心を乱し、更に感銘に動きを堰き止めていく。
 二人の音色を伴う攻撃によって、囚人達の動きを大幅に制限。
 どうにか抵抗し、反撃の一閃を与えようとする囚人達も居るが。
「先程も言った筈だぜ? ミーを倒さないで、先には進ませないってな!」
「うん! ほらほら、俺の攻撃、躱せるもんなら躱してみろっすよ!」
 どっしりと構え、力強い一撃を確実に与える貴道。
 一方でひらひらと舞踊るように敵の動きを惹きつけ躱し、カウンターにて鋭い一撃を叩き込む無黒。
 囚人達は、そんなイレギュラーズ達の攻撃の前に、今迄市民達を蹂躙していたような、力押しの手法では太刀打ちは難しい。
 とは言え……罪を重ね、恩赦で出てきた彼等に新たなる立ち回り方を考える事等、当然ながら出来る訳もない。
『巫山戯た真似しやがってぇぇ……!!』
『殺す。ぜってーぶっ殺してやらぁ!!』
 そんな頭の悪そうな言葉を繰り返しながら、大きな動きで武器を振り回していくばかり。
 しかし、偶にその攻撃が当たりダメージを受けた場合は、すぐさま涼花が歌声に乗せて回復を行う。
 ……更に、その騒ぎを聞きつけて、不意の奇襲を仕掛けようとしてきた囚人達に対しては。
「……左から追加が来るぜ!」
 熊を相手しているシラスが大きな声で仲間達に知らせ、不意打ちを未然に防ぐ。
 そんな立ち回りで以て、囚人共を一匹ずつ確実に仕留めて行くイレギュラーズ。
 7割ほどが倒れた所で、更に貴道が。
「いいか。悪を断ち、善を生かそうというのが活人拳だ。貴様らは、さっさと死に晒せ」
 強い目力で睨み付け、更に敵を脅していく。
 明らかに、足がプルプルと震え始める数人の囚人……と、うるせぇと自暴自棄になる囚人。
「仕方ないねぇ……まぁ、ボクの餌が逃げないって言うなら、ボクは何も言う事ないよ!」
 リコリスは爛々と瞳を輝かせる。
 ……そして、囚人共を次々と仕留め、骸が点在。
 残る囚人は数人となった所で、その対処を涼花、アーマデルに任せ、未だ立ち続ける熊にシフト。
『グガァ……ウゥウ……!』
 獰猛な気配は失われることはなく……ただ純粋に、目の前に立ち塞がる者を餌とすべく、牙、爪を振るう狂紅熊。
「うんうん。いいねいいねぇ! さぁ、肉食獣同士、楽しく殺し合おうよ!!」
 とリコリスが熊に向けてもかみちぎりに飛びかかると、続いて貴道が。
「強力で獰猛な獣……ってのは間違い無い様だ。だがな……ミー達も、獰猛だぜ?」
 クイッ、と自分に指を立ててニヤリ笑う。
『ガルぅうぅ!!』
 両手を挙げ、攻撃態勢に入った熊。
 その懐に素早く潜り込み、数打の一閃を叩き込むと……その打撃痕が瞬く間に繋がり、内から身を破く。
『グ……ガァァア!!』
 断末魔を上げて、前傾姿勢で倒れる熊。
「熊たちには、もう容赦はしません。さぁ……こっちも一気に仕掛けます!」
 ステラの号令に合わせる様に、イレギュラーズ達の怒濤の攻撃が始まる。
 さすがの天衝種も、その猛襲には太刀打ちしきれずに、全ての熊も地に臥していった。

●命こそ罪
 そして……。
「さぁ……これでもラド・バウを襲う覚悟がありますか? この先には人であれ、何であれ通すものですか。進むというのなら相応の覚悟をもって……さぁ、どうぞ?」
 多数いた革命派を名乗りし囚人達を倒し、更にはギルバディアも倒れ……残る囚人共はほんの数人。
 ステラの言葉に唇をぐっと噛みしめると。
『チッ……お、覚えてろよっ! てめぇらなんて、いつでも殺せるんだからなっ!!』
 捨て台詞を残して、脱兎の如くその場から逃げ去っていく。
 勿論……その後を追いかける事も出来たが、痛い目に遭い仲間を大幅に減らした彼等がすぐに襲い掛かってくる確率は……そんなに高くはないだろう。
「……うん。取りあえずこの場は問題無さそうですね。後は彼等が次に襲撃を仕掛けてくる前に先手を打って置きましょうか。出入り口を一部を残して封鎖したり、バリケードを作ったり……と」
「んー……そうだねぇ! まぁ、また襲い掛かってきたら、学習する能力が無いって事になるし、事前に対処しておけば、ラド・バウの闘士の人達でも対処可能になるかな?」
「ええ……そうすれば、賊にまた取り憑かれても、間に合うかもしれませんしね」
 ステラとリコリスの会話。
 ともあれ敵軍を撃退出来た事には変わりは無い訳で。
「さて……皆さん。お怪我はありませんか? 私達がその傷を治しますから、手を上げて下さい」
 と涼花が護り切った背後の市民達に向けて振り返り、そう声を掛ける。
 幾つも手を上げる市民達……その下に駆け寄り、混乱の中に転んだりして負った傷などを、彼女は歌声に乗せて治療していく。
 その一方で、倒した天衝種の熊『ギルバディア』と、その周りに転がる、死した囚人達の下へとやって来るアーマデルと弾正。
「……くまの……毛皮……?」
 その手に、倒れた熊の皮を拾い上げるアーマデル。
 手に持った感触は、本当に何の変哲もない熊の皮。
 ただ……何だか魔力の様な物を感じ取る事が出来る。
「……何か感じるのか?」
「ああ……刺々しい、魔力を感じる。これが……天衝種の特徴、か?」
「どうだろうな。少なくとも、他の獣とは異質に生まれた存在だから、魔力の様な物を感じる可能性は十分にあるだろうさ」
 笑う弾正に、こくりと頷くアーマデル。
 そしてそんな天衝種と、囚人の亡骸を、ラド・バウの外れに穴を掘り、埋葬し、その死を弔う。
「……」
 声を発する事無く、冥福を祈るアーマデルに、無黒も。
「そうっすね……次に生まれ変わってきたら、今度は罪無く過ごして欲しいものっすね」
 と、ささやかな弔いを捧げるのであった。

成否

成功

MVP

リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)
花でいっぱいの

状態異常

なし

あとがき

ラド・バウ大闘技場を守って頂き、ありがとうございました!
囚人の恩赦による事件……恐らく彼等がまた牢獄に入っても、同じ事を繰り替えしそうですから、倒して正解だったのでしょう。
市民の方達の安寧の為にも、これからも宜しくお願いします……!

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