シナリオ詳細
<総軍鏖殺>国境なき医師
オープニング
●国境なき医師たち『オリーブのしずく』
世界は混迷を極めている。
おとぎ話にしか語られなかった冠位魔種たちは次々と表舞台に姿を現し、ついには鉄帝国の王にまでなったという。
一歩間違えば世界が破綻していてもおかしくない。そんな情勢の中でも人々は前を向こうとしていた。
そして、だからこそ。
「私達のような存在が、いつも必要になるのです」
医療団体『オリーブのしずく』のリーダー、クラウディア・フィーニー。
彼女とその団体の目的は人道的医療支援。つまりは、紛争や自然災害によってうまれた被害者たちの元へ駆けつけ治療を行う団体である。
この世界には病院が当たり前にない地域もあれば、医者が決定的に不足する紛争地帯もある。特に後者となれば危険ゆえに近づきたくても近づけないのが常識であり、そんな場所へでも乗り込んでいく彼女たちは、ある意味では歴戦の傭兵めいた風格を有していた。
「ユールラヴィア村。山岳地帯に覆われたこの土地は、新皇帝派の勢力によって封鎖されています。
当然医師はおろか商人や記者ですら立ち入ることができず、彼らは山岳兵に狩られていると聞きます」
クラウディア・フィーニーは地図を広げ、ユールラヴィアへの道筋を指でなぞってみせる。
その隣にはフラーゴラ・トラモント (p3p008825)が立ち、同じ地図を見つめていた。
「ワタシたちは、このルートを使って皆を現地へ送り届ければいいんだね?」
「はい……よろしくお願いします」
鉄帝国革命派。クラースナヤ・ズヴェズダーの革命派閥を母体としたこの派閥の目的は弱者救済。
『弱肉強食』の勅令が下されたこの鉄帝国に対して真っ向から反抗する姿勢をみせた彼らはしかし、宗教団体という側面もあって非常に広いハブを持っていた。
軍人から民間人、場合によっては他国の組織であっても素直に協力関係を結ぶことができるのだ。
そんな革命派閥にフラーゴラが紹介したのがクラウディア・フィーニーが代表を務める『オリーブのしずく』である。
『オリーブのしずく』は先述したとおり人道的医療団体であり、鉄帝国に入り分け隔てのない医療支援を行うことを考えていた。
そんな『オリーブのしずく』にとって国内に入ることや活動することが容易となるクラースナヤ・ズヴェズダーの後ろ盾はメリットであり、そして多くの人手を必要としているクラースナヤ・ズヴェズダー側にとってもこの医療団体の存在はメリットとなる。
要するにWin-Winの取引がなされるわけだが、それを確かめるためのテストともいうべき依頼が、今回の護送任務なのであった。
「この依頼を通して、クラースナヤ・ズヴェズダーに協力するかを決めさせて頂きます。
協力をとりつけた際には、私を含め数チームをクラースナヤ・ズヴェズダーとの協力のもと国内の医療支援活動にあたらせることをお約束します」
●ユールラヴィアへの道のり
山岳兵の恐ろしさは、やはりその手にかかった者こそが詳しい。
霊魂や現場の痕跡をたよりにあつめた情報を編集、再現したものをまずは語ることにしよう。
「この道であってるんだろうな?」
地図を片手に、大きなリュックサックを背負った男が歩いている。
夜の山中。ひとけのないその場所では、遠くから虫の声が聞こえる以外ない。
そんななかで、男の隣でもう一人の男がランタンを翳して道を照らしていた。
「そう道をいくつもつくらねえよ。それより、このへんには山岳兵が出るって噂だ。警戒しておけよ」
男の背にもリュックサック。
どうやら商人であるらしいが、わざわざこんな山中を危険を冒してまで進むのは、そうでもしなければ商品を売れない状況にあるからだろう。新皇帝即位による影響は計り知れず、そして根深い。逆に言えば影響の出ない鉄帝民などいないのだ。
「ケビング、やっぱり水くれ。歩きすぎて疲れたよ」
「なんだ? しょうがねえな。お前はすぐ――」
ランタンを地面に置いて、リュックサックから水のボトルを取り出そうとした……その時。プシュンという音と共に彼はその場に倒れた。続いてランタンが撃ち抜かれ途端に周囲が暗転する。
ハッとして周りを見回す。闇しかない。
立ち止まっていてはいけないと走り出した男の首に、冷たいものが当たった。
「あ――」
冷たいものが首の内側へとめり込んだと、そう感じてすぐ。
彼の生命は終わりを迎えたのだった。
- <総軍鏖殺>国境なき医師完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年10月18日 22時10分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●
「クラースナヤ・ズヴェズダー、現時刻を持って救援に来ましたですよ。
状況が状況、全力を持って護衛に当たりますですよ。
貴方たちの力が無いと、救援が足りないのは確かですから」
山岳地帯を覆う木々の上を、『航空猟兵』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)が単独で飛行している。
暗視能力をアクティブにしているとはいえ、木々によって遮られた山肌を見るのはなかなかに困難だ。
見回した限り他の飛行物体はナシ……かと思いきや、一瞬だけ木の間でキラリと光るものを発見した。
「これは……見られているですよ。攻撃こそされないものの」
このまま高高度から偵察を続けるメリットがどの程度あるだろうかと考え、ブランシュは同行していたスズメに向けて呼びかけた。
「このまま上空で偵察を続けるですよ。なにかあれば連絡を。急降下攻撃を行うですよ」
「――了解した。継続して狙撃に注意したまえ」
『61分目の針』ルブラット・メルクライン(p3p009557)はファミリアー化していたスズメを通してブランシュと連絡をとりあうと、すぐそばの『力いっぱいウォークライ』蘭 彩華(p3p006927)へと振り返った。
護衛対象である『オリーブのしずく』のメンバーは中央に固まるように集まり、その周囲を護るかたちでルブラットたちは配置されている。
ルブラットたちは暗視能力を多少なりとも確保しているが、『オリーブのしずく』の面々までそうというわけではない。彼らはカンテラをさげてこの山道を歩かざるを得ないという状況だ。
「彩華君、先の様子は?」
「悪いニュースと良いニュースが今同時に入ったんですけど、両方同時に聞きますか?」
「選ばせてはくれないんだな……いいだろう、話したまえ」
くいくいと手招きするルブラット。彩華は狐の耳をぴこぴこと動かすと、なんとも苦々しそうな半笑いを浮かべた。
「先行させていた『子狐』が消滅しました。危険があるのは確実なんですけど……」
「けど?」
「どこからどう攻撃されたのかサッパリわからなくって。かなり奇襲に優れてますね。この分だと、ステルスしてエネミーサーチにもひっかからないんじゃないですか?」
そこまで言うと、彩華は『オリーブのしずく』の面々にカンテラの明かりを消すように求め、自分だけが灯りを手にした。
先頭に立ち足元を照らす役割がどうしても必要だからだ。
「布をかぶせて下だけを照らすようにね。合図の役割も任せていいかしら?」
「はーい」
『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)が呼びかけると、彩華が手を振ってカンテラに細工をし始めた。
イーリンは予め、こちらから合図をしたら『オリーブのしずく』全員には地面に伏せるように言い渡してある。リーダーのクラウディア・フィーニーは、台所で料理でもしてそうな姿が似合う若く清潔そうな女性なのだが、その提案に一も二もなく了承した。
戦場を理解しているし、自分達が『無理を通している』ことを理解している人間の判断速度だ。
「苦労をかけるわね」
「いいえ。国外から今の鉄帝国に介入するのは、あまりにも危険なことですし、それに……」
クラウディアは続く言葉を言いかけて、半開きにした口をぱくりと閉じた。
「?」
『紅霞の雪』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)がその様子に首をかしげ、そしてイーリンに向けて「お師匠先生?」と問いかけた。
イーリンはそんなフラーゴラの頭をぽっふりとだけ小さく叩く、というか撫でる手前のような触れ方をして、小声で『あとで教えてあげる』とささやきかけた。
ここではあえて先に触れてしまうのだが――空中庭園の効果もあって世界中を渡り歩くローレット・イレギュラーズには当然世界中にコネクションが産まれ、イレギュラーズによっては世界各国にツーカー(死語)で動いてくれる人間が存在する。が、その友情や信頼とはまた別のハードルとして、国家間の壁というものがあった。ざっくり言うと、『助けてあげたいけど手を出すのは無理』という状況が山のようにあるのだ。
入り込むだけでも命がけになりかねないし、間接的に(経済や物資その他の形で)支援しようものなら政治的な攻撃を仕掛けられる可能性もまたある。国外への干渉というのはそれだけコストもリスクも高く、妨害された際のダメージも大きいのだ。
そこへ来ると、『オリーブのしずく』が国外の人間もそれなりに抱えているにもかかわらず鉄帝国へ参入したのはかなりのリスクを負っていると言えるだろう。そもそも彼女たちが『通常では介入不能な紛争地帯への突入』を目的とするような人々でなければ、たとえフラーゴラの願いであっても介入しなかったかもしれない。
そしてこの『願い』という部分も、実はとても大きいのである。
(この一歩が世界平和の……好きな人……アトさんの助けになりますように)
「みんな凄い気合いね。人助け……をしに行くのよね?」
こういうとき、理解が比較的浅い人間の視点というのものは重要である。
『妖怪・白うねり』ネリ(p3p007055)はモップを手に隊列の前方を進んでいた。
「そもそもなんで邪魔されるのかしら。この人達はお医者さんで、別に敵ってわけじゃないんでしょう?」
「『敵対するかどうか』を判断するのは敵側だから、としかそこは言えないですね」
『見たからハムにされた』エル・ウッドランド(p3p006713)がうーんと唸って後方や側面を警戒しながら歩いている。
銃は既に抜き、いつでも撃てる状態だ。
「私だったら、たとえ敵の本拠地で働いてたとしてもお医者さんとか子供とか、お手伝いさんとか清掃員とか、そういう人はまあ殺したりしたくないですけど……『関連する人間をひとりでも残した禍根を残すので全滅させよう』って考え方をするひとも確かにいますね。
今回のケースでいえば……革命派に協力しそうな『オリーブのしずく』は適度に打撃を与えて鉄帝国から撤退させたいって狙いもあるかもしれないし、新皇帝派はユールラヴィア村を自然消滅させたいって狙いがあって、医療や食料の支援をされると色々支障を来すからってことかもしれない。そこは私達には分からないトコロかな……」
「ふうん? せいじの話かしら」
「かも。『失敗したらお友達が困るから』て言い方したら分かりやすいです?」
「あ、それならわかるわ。私もフラーが困ったら嫌だもの」
ぱっと顔を明るくするネリ。
その一方で『二人一役』Tricky・Stars(p3p004734)がやれやれといった様子で首を振っていた。
「革命派の理念に強い共感を覚える。俺も、いい加減、家(幻想)の隣でドンパチやるのは止めて欲しいと思っていたところだ」
『こんなに頼もしい人たちが居たんだ! ユールラヴィアを助ける為に。それから、良い返事を貰うために。この依頼を無事に終わらせないとな!』
二人で一人のTricky Stars。稔と虚では感じ方が全然違うようで、それぞれわりと勝手に喋っている。そして、ひとりで会話ができるのも彼らであった。
『てかまって、鉄帝でドンパチしなくなったら幻想ってどうなんの? 平和?』
「そんなゼロサムゲームがあるか。さっきああはいったが、幻想も幻想で大荒れなんだ。貴族派閥がぐちゃぐちゃに動き回ってて、俺の家もいつ嵐に飲まれるかわかったもんじゃない。正直、鉄帝が荒れてるおかげで『攻め込まれない』から助かってるとすらいえる」
『じゃあいいじゃん』
「本当に『いい』状況と思うか?」
『……おもわねえ。鉄帝はこのままにしておけねえよ』
「だろう。こんなことなら、まだ鉄帝幻想間でじわじわ戦争もどきをやっていてくれたほうがマシなんだ」
●
「さすがは軍の山岳兵。殺気の殺しかたが虫並みね」
イーリンは周囲に鋭く警戒を配りながら、フラーゴラをちらりと見た。細かく首を横に振るフラーゴラ。
エネミーサーチをステルスした上、迷彩処理を施しているのか夜間の森では一切その姿が見えない。おそらく微動だにせずこちらの接近を待っているのだろう。
イーリンがわざと口に出したのは、もうこちらの存在が相手に感知されているとわかっているからだ。
この状況で、イーリンは考える。『自分が敵ならどうするか』。
まず先頭をすすむフラーゴラは絶対に狙わない。なぜなら彼女がブルーブラッドである確率が非常に高いからだ。奇襲を旨とする作戦で、ブルーブラッドを対象にする指揮官がいたらそいつは無能だ。
自分を含め部下は全員奇襲に優れたビルドに統一させ、行動はおそらく全く同時。一人だけ反応値を限界まで上げた人間を用意するはず。そして誰を狙って行動するか……。
「――!」
最初に気付いたのはTricky Starsだった。
『あぶねえ!』
僅かな物音が茂みのほうからしたことを鋭敏に察知した彼は、炎を纏わせた両腕を盾にする形でクラウディアと茂みを遮るように自らの身を挟み込んだ。
ざくざくと彼の身体に小さな矢が刺さる。注射器の形をした弾頭は、彼の全身から力を抜きがくりとその場に膝をつかせた。
「神経毒!」
「そっちじゃない、反対側と上!」
射撃があった方向を見た仲間達に、イーリンが鋭く叫んだ。
反応が早かったのは、やはりフラーゴラだ。
射撃とほぼ同時に飛び出してきた三人組。一人は反対側の茂みから、二人は上方の枝から飛び降りる形で襲いかかり、全員の狙いが見事にクラウディアであった。
フラーゴラは派手な跳躍とムーンサルトキックによって一人を撃退。と同時にはるか上空から急降下してきたブランシュがもう一人を『ブラスターメイス』による射撃で無理矢理撃墜した。
「助けることを、止める理由が何処にあるのか。諦めないで。神がそれを望まれる――!」
撃墜した兵士へ追撃をしかけるイーリン。
姿勢が崩れ地面に転落する二人。もう一人はクラウディアへ届くが、ギリギリのところでルブラットが伸ばした手が――黒塗りのコンバットナイフの刀身を握るという形で止めていた。
「これで全員ではない筈だ。頼めるかね」
「影からこそこそと! それでも鉄帝の兵ですか!」
彩華は最初に射撃があった方向へと覇気を飛ばし、一人だけがナイフを抜いて飛び出してくるのを確認した。
流石にあの射撃がたった一人のものだとは考えにくい。彩華は『火輪平三郎』を美しい装飾の施された鞘から一瞬で抜くとナイフによる攻撃を弧を描く軌道で弾く。
「エルさん、ネリさん!」
「任せて、見えた!」
エルは目を細め、両手でしっかりと構えた拳銃を三発、発砲した。
『ガッ』という小さく呻く声と共によろめく気配。ネリは即座に飛び込み、モップをまるで薙刀のように横一文字でふるった。
妖力が籠もったモップが茂みを真っ二つに切り裂き、そのまま先ほど呻いた兵の胸に浅い切り傷を作る。
見れば、モップの先端には光の刃ができており、さながら光の大剣である。
「この場合は強行突破だったわね、承知だわ」
ネリはそれ以上の深追いはせずに相手を突き飛ばすと、クラウディアに『走って』と呼びかけながら自らも走り始めた。
兵達が追いかけてくるか……と思いきや、そうではないようだ。ここで確実に殺せないなら追いかけても自分達が殺されるだけだとわかっているのだろう。もっと言えば、指揮官は『無駄な損耗』を避けたということだ。
エルは念のためにと前後反転。後ろ向きにスキップするようなかわった走法をとりながらリズミカルに銃撃を加え、念入りに追っ手を払った。
イーリンは剣を手にしつつ、仲間達に呼びかける。
「追いかけているような音はない」
と、Tricky Stars(稔サイド)。
「温度視覚にも変化無し。小動物が近づいているが、あの動きはファミリアーかな?」
とルブラット。
「エネミーサーチには相変わらず反応なし。だけど、たぶん大丈夫だと思う」
とフラーゴラ。
再び上空に戻ったブランシュからも『異常なし』の応答が帰ってきた。
ホッと胸をなで下ろし、一行はそのままユールラヴィア村へと進んだのだった。
●
クラウディア、もとい『オリーブのしずく』の手際は流石というほかない。
警戒心が限界を突破し寄らば斬るの姿勢を見せるユールラヴィア村にまず対話の機会を獲得し、瞬く間に治療と僅かな食糧支援を行った後部分的に信用を勝ち取っていく。
これは紛争地帯を中心に医療支援を行う彼女たちだからこその手際であり、踏んできた場数の違いなのだろう。
「『信用を得る』『好かれる』『愛される』『指示される』がそもそもの目的じゃあないってことよね……」
手伝いをしながら、イーリンはそんなことを考えた。
彼女たちは『医療の手をどこへでも届ける』というエゴイズムを全世界に対して通そうとしている集団なのだ。それは優しさとか慈愛とか善意とか、そういうものをおそらくは超越してしまった行動規則……いわば軍隊のそれに近い。
Tricky Stars(虚サイド)は人当たりのよさゆえか、早くも村の男性陣に溶け込んで荷物運びなどやっていた。
こちらへの警戒は、そうした諸々によって解けたらしく、奥に隠されていた女子供が表に出てきて日常的な作業をしたり軽い手当をしている様子を遠巻きに眺めたりしている。
「この人達、これからどうするんでしょう」
エルが何気なく尋ねると、彩華がハッとして振り返った。
医療支援の手こそ届いたものの、全員今から革命派の難民キャンプに加わりますよというわけにもいくまい。仮にできたとしても、彼らがこれまで住んでいた場所を簡単に捨てるかという問題も出てくる。
「紛争が早くにも終われば……」
「そういうことですよ」
ブランシュが空から降りてきて話に加わった。
「新皇帝を倒して紛争を終わらせるのは、なにも『悪いひととやっつける』だけのことじゃないのですよ。
こうして未来が閉ざされた人に日常を取り戻すためにも、ブランシュたちは勝利しなければならないのですよ」
「寝るわ。あー疲れた、ご飯の時間に起こして頂戴」
すやすやと眠りはじめるネリ。
ルブラットはわかったと頷くと、彼女を残して医療スタッフたちの手伝いを始めた。
彼と手医療の心得を持つ者。集団で連携する医術の大切さを知っているし、だからこそ素早く手を貸せるのだ。彼らの行動はそれこそ軍隊がテロ鎮圧の際に見せるコンマ単位の精密さに似ていて、ゾーンに入った彼らは集団で医療という行為を遂行するマシンとなる。当然、一人一人は人の形をしたパーツだ。
一通りの作業を終え、ルブラットは悪手を求め手を出した。
「今後ともよろしく頼む」
「ええ、こちらこそ……」
クラウディアは手を握り、そしてフラーゴラのほうを見た。
ハッとして、クラウディアは苦笑を浮かべる。
「そうです。はじめから協力はするつもりだったのです。皆を納得させるための、今回のこれはプロモーションのようなものだったのですよ」
「わかってる。もし『やめて』といっても手を貸しただろうから」
フラーゴラもまた苦笑を浮かべ、あらためて彼女たちは握手を交わした。
「革命派に逃れた難民たちはいま、苦しい状態に立たされているはずです。冬も近く、密集して過ごせば病気のリスクも非常に高まっているでしょう。力にならせてください。私達に、できることがあります」
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――mission complete
――医療支援団体『オリーブのしずく』が革命派の協力者として加わりました。
――これにより革命派の『求心力+10』のボーナスが加わります。
GMコメント
●オーダー
医療団体『オリーブのしずく』をユールラヴィアという村まで護送します。
夜の山中を通り抜ける必要があり、暗視能力をもつ山岳兵たちが待ち構えています。
彼らの奇襲や暗所での戦闘に対策し、このエリアを突破してください。
突破したあとは彼らの医療支援が始まりますが、それを見学してもいいし、ユールラヴィア村の現状を観察してもいいし、オリーブのしずくの手伝いをしてもいい。この時点での活動はおおむね自由です。
●エネミーデータ
・新皇帝派山岳兵
冠位魔種バルナバスに忠誠を誓う軍人たちで構成された山岳兵チームです。
暗所での戦いにもそこそこ優れており、奇襲能力に優れます。
明るいうちに通り抜けようとすると航空戦力その他諸々も加わってかなり無理があるので今回は夜間での決行となっています。
彼らはこの辺り一帯に強固な封鎖を仕掛け邪魔になる組織に対する壊滅作戦を展開しています。
ユールラヴィアはそんな戦いに巻き込まれる形で外部と寸断され、流れ弾(それも砲弾のような大規模なもの)によって多くの負傷者を出しています。
医療は既にまわらなくなっており、たのみの医者も多くが死亡してしまったとされています。
●特殊ドロップ『闘争信望』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran
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