シナリオ詳細
<総軍鏖殺>発進せよ、バジランテ
オープニング
●其の眠る場所に
かつて存在したという古代文明の全容を知る者はいない。
蒸気機関で動くものを主体としたそれらは、非常に様々なものがある。
その中には……空飛ぶ船やバイク、などというものも存在したという。
今となってはそれは想像するしかないが……今でも遺跡としてその痕跡は確認できる。
できる、のだが。その価値を正しく理解できる者がいるかといえば、話は別だ。
たとえば、最近鉄帝を乱舞する「表舞台に出てきた盗賊」などだ。
「いい場所見つけたなあ、オイ」
「ああ。どういう理屈か知んねえが、過ごしやすいったらねえよ」
地下遺跡の機能が生きていれば、空調設備が機能していることもある。
夏は涼しく、冬は暖かい。
そんな場所であれば、新皇帝の勅令を受けて大っぴらに活動を始めた連中が占拠するのもまあ、当然と言えるだろう。
そして……彼等は此処に来る探索者の類も皆殺しにして身包みを剥いでいた。
そういう意味でも、此処は彼等にとって理想の場所であった……のだが。
ゴシャリと、響く音。
叩きつけられた自分の仲間を見て、盗賊の男は即座に仲間を諦めて逃げ出す。
その仲間意識の低さは、彼等を今まで生き残らせた最大の秘訣であるだろう。
しかし、逃げられはしない。
新しい皇帝の勅令は、隅々まで行き渡っている。
弱い者は、死ぬ。そのあまりにもシンプルなルールが……行き渡っているのだ。
●古代飛行船を探し出せ
かのアーカーシュの事件を忘れた者は、少なくとも今はいないだろう。
特務派を初めとする非主流軍部は、鉄帝国が確保した古代遺跡である『浮遊島アーカーシュ』に集結しつつあった。
アーカーシュという巨大な空中機動戦力を活用し、国土を魔種の手から幅広く防衛することを主張しているのだ。
アーカーシュ最終決戦における、イレギュラーズと軍務派特務派共同戦線の活躍もあり、彼等の人気は向上しつつあるのだが……特務軍人の中でも旧パトリック・アネル陣営に居た者達は、イレギュラーズに救われた経緯から強い友好関係が築かれています。
その一方で、一部の非主流軍人達には、これを機会に自身の権勢を拡大しようというきな臭い動きも噂されていたりもする。まあ、その辺りは「鉄帝だからね」の一言で済んでしまうわけだが。
中心人物はアーカーシュのレリッカ村長アンフィフテーレ・パフと、鉄帝国の政治家たる歯車卿であり、今回の依頼も歯車卿から派遣された使者からのものであった。
「鉄帝国には無数の遺跡が存在していることは、ご存じだと思う」
使者の男は、そう切り出した。
そう、鉄帝の遺跡には古代文明による様々なものが今も眠っている。
それらが鉄帝の軍事力を底支えしていたのも、また事実だ。
「鉄帝国を魔種から守る為には、それらの力を大いに活用する必要がある」
今回の目標である遺跡にも「小型飛空艇バジランテ」と呼ばれるものが眠っているという。
小型飛空艇バジランテ。それは文字通りに小型の飛空艇であり、まるでゴツいバイクのような見た目が特徴だ。
恐らくは何らかの目的で大空を自由に飛ぶためのものであったと思われるが、何らかの理由でバジランテ本体がそこに残されたまま遺跡と化したようだ。
「最近見つかった資料によれば、バジランテはパイロットの能力を活かした騎乗戦闘も可能なものであるようだ。悪用される前に回収しなければならない。よろしく頼む」
- <総軍鏖殺>発進せよ、バジランテ完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年10月07日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●遺跡の奥底へ
「バジランテ! いやこれはマジでほしい、バイクめいた一人乗りの小型飛空艇とかもう浪漫そのものじゃあないっスかぁー!」
「飛行バイク、ですか。たしかに気軽に使える飛行手段があると、アーカーシュでも移動が楽になりますし、輸送の面でも役に立ちそうですね。余計な連中の手に渡ってしまう前に運び出してしまいましょうか」
遺跡の中に、『EAMD職員』キャナル・リルガール(p3p008601)と『燻る微熱』小金井・正純(p3p008000)の声が響く。
蒸気式の飛行バイク、小型飛空艇バジランテ。
古代文明の遺産であるバジランテは、個人用の移動手段としては最古にして最新の技術の塊とも言える。
その希少性からいっても、おかしな連中に回収されるのは避けたいものでもある。
「所長忙しそうだったからキャナルとアタシで来たよ。にしても飛行バイクだってさ! ワクワクするじゃんねぇ!」
「そうっスよねえ!」
EAMD職員『知勇兼備の女豹』アリディア・オルタニスにキャナルも頷き、互いに手を叩きあう。それほどまでに浪漫の詰まった品物ということだが……それについて異論のある者はいないだろう。
キャナルとアリディアもこういうのはまさしく生業である為、だいぶ気合が入っている。
「飛行バイク、ですか。たしかに、心無い方に使役されるのも避けたいところですね。それに、ここにも怒りに囚われてしまった方々がいるようですから。彼らを、解放してあげられれば」
『紅矢の守護者』グリーフ・ロス(p3p008615)が言っているのは、先程戦ったラースビットのことだろう。
この遺跡を守る役目だったのだろうビットに怒りが宿ったそれが1体だけとは限らない。
「鉄帝の面倒事がなければ、今頃はアーカーシュの遺跡を気ままに調べるつもりだったのだけれど。よりにもよって低俗な盗人連中がここにも蔓延るなんて許せる訳ないじゃない? お陰で珍しく今回の私はやる気十分よ。賊の退治も魔物の排除も、そして遺跡に眠る遺物達の回収も。本気でやらせて貰うわ」
『紅蓮の魔女』ジュリエット・ラヴェニュー(p3p009195)はギフト「原初の灯火」の力によるゴーレムを作成し、先行させることで罠や奇襲の警戒に使っていた。
「何だか宝探しみたいでわくわくしますね♪ バジランテ以外にも何か発見できたり……? なんて、つい欲張っちゃいました。ちゃんとお仕事頑張りますよ! アーカーシュには力になりたいひとたちがいるんです」
「そういえば闇市にも「飛空探査艇」ってのが出回ってまスが……バジランテってそれと比べてどんな違いがあるんでしょうね?
探す価値のあるものだと良いんスけど」
「うーん、どうなんでしょう?」
『ドラネコ配達便の恩返し』ユーフォニー(p3p010323)と『合理的じゃない』佐藤 美咲(p3p009818)がそんなことを言いあうが、かの飛行探査艇が最新であるならば、バジランテは最古のものであると言えるだろう。
古代文明によるバジランテは長い放置にも耐えうる安定性を持っており、そういう意味では攻撃的な飛空探査艇との差が大きいとも言える。
「それにしても古代の飛行バイク! いやはや、ロマン溢れるアーティファクトですね! まあ、自前で空を飛べる烏天狗たる私の方がすごいですけどね! とはいえ、小型飛空艇バジランテを回収するのが今回の依頼! ……幼馴染の友哉君も見てるし頑張りますよ!(借金返済的な意味で)」
『立派な姫騎士』雑賀 千代(p3p010694)も九頭竜 友哉にチラリと視線を向けるが、その友哉は軽く手をあげてみせる。
「よォ? イレギュラーズ諸君。一応、軍部非主流派の一人として貴方方の力量を見極める為、今回同行する事にした。まあ、お目付け役みたいなものだ。嗚呼、護衛などは結構。自分の身ぐらい自分で守れる。なので、どうか気にせずに思う存分依頼を遂行してくれ……ククッ。ちなみに千代……テメェ、足引っ張るんじゃねぇぞ?」
「というか、友哉君。足なんて引っ張りませんよ! ムムム! 見ていてください! 絶対活躍してギャフンって言わせてみるんですから!」
まあ、なんだか2人は仲が良いらしいことは空気から感じられるので、皆はそっと見守っている。
「それにしても……迷宮か。いいね。冒険者らしくてわくわくする。そして大空を飛べる飛行バイク……凄いね。古代技術はなんだってありだ。これを南部戦線にも使えないかなぁ。凄い移動楽になるんだけど。手に入れたらアーカーシュから貸してくれない?」
現時点ではザーバ派に力を貸している『だから、守るのさ』解・憂炎(p3p010784)もそんなことを言うが、まずはバジランテを手に入れなければならないだろう。
「来るわ、ビットと……たぶんパワードスーツよ!」
ジュリエットが叫び、通路の先からラースビットとラースドールがやってくる。
どちらも油断できない相手だが、負ける理由は何処にもない……!
●発進せよ、バジランテ
何度目かの戦闘の後、グリーフはラースビットやラースドールに無機疎通を試みていた。
しかし、残念なことにほとんど何も読むことは出来なかった。
唯一分かったのは「怒りの炎が宿った結果、人類排除の為に動き出すに至った」ということくらいのものだ。
パーツも怒りの炎の影響か、かなりボロボロになっていたが……回収できそうなものも幾つか存在していた。
「基盤やメモリといったものは……なさそうですね」
「恐らく件の魔種の影響でしょうけど、遺跡の出土品にまで影響が出る怒りとやらのプロセスがあればアナザーアナライズを交えて調べられれば、とは思ったけど……」
ジュリエットもアナザーアナライズを用いて調べてみたが、どういうプロセスで怒りが宿ったかは分からない。
パーツを集めれば、ジュリエットのギフト「原初の灯火」で残る部品からゴーレムを作成することもできるかもしれないが、全く同じものが出来るかは分からない。
ビットはともかくパワードスーツに関してはその性質上、何処かで完品を見つける方が良さそうだということも分かっていたし、それだけでも大きな収穫ではある。
「後々使えるといいね。これいくらか南部戦線で使っていい?」
憂炎もそんなことを言っていたが、こうした部材を各派閥でどう扱うかはさておき貴重なものである。
そして美咲も、ただ進むだけではなく色々と策を練っていた。
具体的には周辺に残された案内表記などを解読しながら進むべき方向に当たりをつけていたのだ。
(私らはココを地下迷宮と呼んでいまスが……稼働当時から迷宮にする目的で作られたとは限りませんからね。本来の目的は工場とか研究所だったとか、そういったこともあり得るでしょうし……ルート案内の1つや2つ期待してましたが……まあ、当たりってところでスね)
美咲の読み通り、此処は修理工場のようなものであったらしい。ビットは警備用、パワードスーツは修理を請け負った品だったのだろうか? 資料があったら資料検索でザザーっと漁っておきたいと思ってはいるが、今のところそれ以上の情報を示すものはない。
バジランテももしかすると、そうやって修理を請け負ったものだったのかもしれない……と思いきや、この修理工場で「製造」していたもののようで、奥に行けばパーツも見つかりそうであった。
(見つかったらそれも持ち帰りまスか。アーカーシュなら活かせる人もいるでしょ)
実際に進むにあたっても、ユーフォニーを筆頭に様々な工夫をこらしている。
「こういうところには罠もあるかもしれないんですね。気をつけて進みましょう!」
索敵と周囲警戒をしながら進み、発光で灯りの確保を行うのを基本に無機疎通も併用していっている。
「他にも遺跡とか何かが眠っていたりしませんか? 得られる情報の精度が悪くても、未知の場所では貴重な情報です!」
そう考え無機疎通で聞いてみるが、無機物たちはほとんど情報を知らないようだった。
しかし、それはそれで重要な情報だ。強烈なイメージとなるような情報を持っていないということが分かったのだから。
憂炎も穴掘七箇条の技術を活用して、安全に迷宮探索を進行できるようにしていた。千代も後光で照明を担当しており、少なくとも遺跡の中で視界の範囲内に何かの潜めそうな暗闇は存在していない……そんな状況だ。
地下2階、3階……戦いを重ね進んでいく中で、大型のクマ型の天衝種(アンチ・ヘイヴン)、ギルバディアと呼ばれる個体がその姿を現した……!
残ったラースドールを従えているところを見ると、このギルバディアが此処のボスということだろうか。
「大物登場でスね。いきましょうか」
ギルバディアが態勢を整えるより前に美咲が準備を終えると、アナイアレイト・アンセムを撃ち込んでいく。
「我が八咫烏が神威の一撃……とくとその身に刻め!」
続けて千代の神鳴神威が放たれれば、正純も『ステイシス』を発動させる。
「発生する呪力の沼は、敵の動きを停滞させる。あまり騒がれても面倒ですから、ここで止まってなさい」
「というか、さっさと焼き払っちゃいましょ」
ジュリエットの夜葬儀鳳花が発動し、しかしそれでも倒れないラースドールの機銃掃射が発動しダメージを与えていく。
「やはりタフだね……! でも此処まで来て足止めはされたくないかな!」
憂炎は竜の絶叫からのアイアースを叩き込み、キャナルのアビス・ロブが叩き込まれる。
強い、そして固い。けれど……負ける理由も、ない。
幾度かの攻防の後、ついにギルバディアが倒れ、その身体が怒りの炎の中に溶けるように消えていく。
そうして残されたパーツをキャナルも回収していたが……そして、その先。
辿り着いたその場所には広い空間と、滑走路のような場所に置かれたバイクのようなものがあった。
「これがバジランテ……? なるほど、このサイズで空を飛び回れるのであれば連絡が取りやすくなったり色々と便利そうですね。
私も乗らせていただきますね」
蒸気駆動式であると思われるバジランテは操作方法も簡単そうで、多少の騎乗に関する知識があれば充分に操れそうだ。
この辺りは鉄帝の技術の大部分が古代文明に起因しているからかもしれない。
「いやー、しかし頑丈そうっすねえ。あ、動くかどうかのチェックは任せてほしいす。まがりなりにもEAMDの遺物調律師すからね!」
キャナルもアリディアと共にバジランテを確認し始めるが、驚くべきことにバジランテのパーツには劣化がほとんど見られないのだ。
……ちなみにだが、キャナルが今日この場に居るのは、全ては軍部非主流派(仮称)のホームにバジランテのみならず、パワードスーツやドローン等をも持って帰る為である。
そも非主流派所属であるし、何よりEAMD(『極めて先進的な古代兵器』の発掘・解析・メンテナンス等を生業とする機関、所長ガスパーも非主流派にお呼ばれしている)の所属なのだ。せっかく”そういう拠点”に居るのだから、しっかりお持ち帰りして研究に役立てたいもの……! などと考えていた。
修理して島の労働力として役立てることも出来るかもしれないし、なんなら構造解析して新型作る際の参考にだってなるかも……だが、残念なことにパワードスーツはパーツしか今回は手に入ってはいない。やはり完品を何処かで手に入れたいところだが、それは今回は難しいだろう。
「此処にはバジランテのパーツもあるようですね」
グリーフも言いながら、積まれたパーツを見る。見たところ一通り揃っているようだが、組み立てればバジランテが複数台出来上がるくらいにはありそうだ。
「とにかく、まずは完品のバジランテから盗賊に奪われる前にヒンメルゴーレム・アーカーシュへ回収を指示しとくわね。誰が他人に渡してやるもんですかっての。まぁ正直に言えば今回の主なやる気の動力源はコレよ。こんな興味をそそる遺物、私だって欲しいんだから!」
「操縦は任せてください!」
ジュリエットと千代もそう言うが、場合によってはアーカーシュを複数のバジランテが走る光景も見られるだろうか。
「持ち帰りはドラネコ配達便にもおまかせですっ」
ユーフォニーもそう言いながら、ヒンメルゴーレム・アーカーシュに運ばれる手前のバジランテと疎通しようとしてみる。
「あなたが活躍していた時、他にも活躍していた機器などあったのでしょうか?」
答えは返ってこない。こないが……。
「しかしまあとんでもない装備だなこれは。技術差というのはとんでもなく大きいことを感じてしまうよ。矢といい、これといい……兵のレベルを簡単にあげてしまう物だ。使う者によって兵器はポテンシャルを変える。最終戦争を起こせるほどに……せめて、平和の為に使ってもらえるように考えるだけだ」
そんな憂炎の言葉は、誰もが同意するものであっただろう。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
小型飛空艇バジランテとバジランテのパーツを大量にアーカーシュに運び込みました!
●運営による追記
本シナリオの結果により、<六天覇道>軍部非主流派の技術力が+10されました!
GMコメント
蒸気式の飛行バイク、小型飛空艇バジランテを回収して非主流派に届けるお仕事です。
盗賊連中に回収されたら危ないですからね、今のうちにアーカーシュに収納しちゃいましょう。
と、いうわけで全4層の地下迷宮に挑みましょう。
最下層にバジランテがありますが、帰りは発進口が開くので簡単に回収できます。
●敵一覧
・ラースドール×5
天衝種(アンチ・ヘイヴン)。
古代遺跡から出土したパワードスーツに怒りが宿り、動き出した怪物です。
非常にタフです。ハンマーのような長い腕による高威力近接攻撃や、機銃掃射による中距離扇攻撃を行います。ハンマー攻撃にはブレイクを伴います。
・ラースビット×15
天衝種(アンチ・ヘイヴン)。
古代遺跡から出土した警備用ドローンに怒りが宿り、動き出した怪物です。
自由自在に飛び回り、高出力のレーザーによる攻撃を行います。
・ギルバディア(狂紅熊)×1
天衝種(アンチ・ヘイヴン)。
大型のクマ型の魔物であり、他の魔物と徒党を組んで現れる事もあるようです。
凄まじい突進能力があり邪魔な木々は軽く薙ぎ倒す程の性能があります。また、敵を吹き飛ばす様な一撃を宿している事もある模様です。
●特殊ドロップ『闘争信望』
当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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