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シナリオ詳細

<総軍鏖殺>隠れ拾う狼

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<総軍鏖殺>隠れ拾う狼
 『バルナバス・スティージレッド』が突如、新たなる皇帝として就いた鉄帝国。
 今迄も力優位の風潮はあった国の風潮はあったものの、彼が皇帝として就任してからというものの…自治機構は解体させられ、国は暴力と略奪の上に成り立ち、力厭わず振るう風潮に包まれていた。
 そして……街中においてもその暴力が形振り構わず振るわれていて。
「……や、やだよぉ……」
 と……街角で小さな身体を震わせているのは、幼い子供達。
 彼等が身を隠す先……スチールグラードの市街地では。
『はははっ!! こりゃぁいいぜぇ!! オラ、てめぇも腹空かしている様だしよぉ! 目一杯食べて良いぜ! なんならヒトもなぁ!!』
『ガルゥゥ……!!』
 目に傷を負った、片眼アイパッチをした荒くれ者の男と共に、咆哮を上げてその場にあった食べ物、そしてヒトを喰らい尽くす巨大な狼。
 無論、普通の狼よりも幾重にも大きな体躯は、普通の狼ではないのは自明。
 ……だが、今この鉄帝国ではそれを止める者は居ない……だから更に更に荒くれ者は己が欲望を顕わにしている訳で。
『さぁてと……おいよぅ。あっちの方で声がしたぜぇ? 若い奴の声だ。お前も喰い出があるだろう?』
『ガルゥゥ……!! ガゥウウウ!!』
 涎を垂らしながら頷く狼、そしてかの荒くれ者は……隠れている子供達の方へと向かうのであった。


「全くもう! アタシ達のシマでいちゃもんをつける不届きものがいるのよ! 本当にやんなっちゃう!」
 とスチールグラード、ラド・バウ大闘技場で声を荒げるのは、ラド・バウ大闘技場S級闘士、『Sクラスの番人』ビッツ・ビネガー。
 彼女が苛立つのも当然のこと……彼等の拠点である、ラド・バウ闘技場とその周囲において、新皇帝バルナバスが就いてからというものの、我が物顔で食料を強奪したり、訪れる観客から金品を巻き上げたりする者達が現れ始めていた。
 ただ彼等ラド・バウ闘技場の闘士達は、そんなバルナバスの勅命に従う事は無く、そのような事をした者達を闘士の力で以て制裁を加える。
 そして……その制裁を加えている者が居るという話はスチールグラードの市民達にも広まり、結果として市民の者達からして避難場所としてラド・バウ闘技場の近くに次々と避難してきていた。
 ……だが、それを快く思って居ないのは、ラド・バウの闘士になる事無く、欲望に身を任せた街の荒くれ者達。
 そして、彼等が目に付けたのは、ラド・バウに避難する者達を優先的に狙うというもの。
 避難している彼等の数を減らせば、街の人達も変な気を起こすことがなくなるだろう……という考えである。
 そしてビッツが苛立っているのは、その被害にあった市民の者からの懇願があったから。
「この不届き者達は、ラドバウに向かう途中で襲撃してきた様なの。幸いお母さんは逃げ果せてラド・バウに来れたんだけど、子供達が逃げ遅れちゃって、はぐれちゃったみたいなのよね。子供達はすっごく不安だし、お母さんも取り乱しちゃってて……」
「お母さんに子供達を送り届けて、安心して欲しいって思わない? アタシ達はここに手を出してくる奴らの対峙で正直手が離せなくてね……あなた達に頼みたいのよ。宜しく頼むわね!」
 と、ビッツはニッコリと笑みを浮かべつつ、皆の背を軽く押すのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 ラド・バウの闘士の皆様の心意気は本当に尊敬に値しますが……それを快く思って居ないのも居る様です。

 ●成功条件
  鉄帝国、スチールグラードの市街地の一角で逃げ遅れた市民の子供達を救出すると共に、
  彼等をラド・バウ闘技場まで避難させる事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  鉄帝国の首都スチールグラード市街地が舞台です。
  家々が立ち並ぶ地域なので、家の間の通りなど、隠れられる所は一杯あります。
  とは言え今回の相手である荒くれ者と魔物達は、家を壊す事などなんでもないと思って居るので、隠れている場所諸共ぶち壊しにされれば子供達(2人)は捕まってしまうでしょう。
  ただ、当然ながら子供達を探すのも皆様には必要になるので、荒くれ者達よりも素早く見つけなければなりません。
  子供二人の似顔絵と、名前(フルル、ルイース)と、その性格(二人共怖がりだけど、お兄ちゃんであるルイースは妹を護る為に頑張ってしまう)は皆様のみが持って居る状態になりますので、それを活かして彼等を探してあげてください。

 ●討伐目標
  ・皇帝の勅令によって暴れ回っている荒くれ者達:12人
    かなり腕っ節に自信が有る男達です。
    性格的になれなかったものの、その腕っ節だけで言えば十分ラド・バウ闘士としてやっていけた事でしょう。
    勿論その性格は他者を貶めて、力尽くでブチコロス……それが全ての短絡的な考えしか持ちません。
    基本的な戦術は拳に爪のような武器を嵌めて殴り掛かる格闘術になります。
    攻撃直と体力の二つだけに特化したような敵となります

  ・荒くれ者達の意志に従いし黒巨狼『グルゥイグダロス』:10匹
    荒くれ者が『美味しいのを食わせてくれる』事から彼等に従っている黒巨狼です。
    常にお腹を空かせており、対峙する人、食べ物を常に狙い澄ませています。
    子供は特に大好物で、イレギュラーズであっても15歳以下に『見える』方が居れば、そちらを優先して狙います。
    更に爪・牙の攻撃には常に『出血』の効果が付与され、とても素早い為、回避力も高いです。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <総軍鏖殺>隠れ拾う狼完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年10月07日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
オジヴァン・ノクト・パトリアエ(p3p002653)
民誘う勇猛
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
ティスル ティル(p3p006151)
銀すずめ
皇 刺幻(p3p007840)
六天回帰
ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)
微笑みに悪を忍ばせ

リプレイ

●涙零す時
 新皇帝の勅命に混乱に陥りし鉄帝国。
 ここ、首都スチールグラードの街角においても怒号と悲鳴が鳴り響き、国の平穏は今や影もなくなってしまった。
 ……そんな首都を、ラド・バウ大闘技場より駆けしイレギュラーズ……その胸には、子供達とはぐれた親の思い。
「やれやれ……弱肉強食を主張するのは結構な事です。ですが、やることがラド・バウに攻めるでもなく、子供を追いかけ回すだけだとはねぇ……」
 強面の中に感情を隠しつつ、蒼い空を見上げる『微笑みに悪を忍ばせ』ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)。
 ラド・バウ大闘技場の中心人物である、S級闘士のビッツから君たちに発出されたのは……ラド・バウに避難してきた母親からはぐれてしまった子供達を救出してきて欲しい……という物。
 逃げ惑う混乱の中、命からがら逃げてきた母親は、ビッツの紹介で依頼を受けた君たちイレギュラーズに涙ながらに助けてきて欲しい、と訴えかけてきたのだ。
 その涙に濡れた顔は……少なからずイレギュラーズ達の心に刻まれていて。
「全く! コドモが笑っていられない国に、未来なんて無いよ!」
「そうだな……二児の父親として、討伐対象は許せないな……」
 『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)が拳を強く握りしめて声を荒げると、『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)も唇を噛みしめ、頷く。
 特にウェールは……その生い立ちからして、生き別れになりかけている母親の心境は誰よりも理解出来ていた。
 そんな二人の言葉に耳を欹てながら、『六天回帰』皇 刺幻(p3p007840)が。
「まぁ……畜生はどこまで行っても畜生。そして英雄はどこまでも英雄、という訳だな」
 と、周りの喧騒を見渡しつつ言葉を零す。
 ……町の人を怒号で威嚇する様な輩やら、我が物顔で暴力を振るう者……そんな姿は、最早首都では見慣れた光景。
 ビッツの依頼を聞く限り、他の仲間達がそれらの対処をする事とは聞いているのだが……それらの事件、見逃そうにも、どうしても目に付いてしまう。
 だが、小さな子供達は恐怖に怯えながら身を隠しているのだ……時がかかれば、戦う力の無い彼等は真っ先に殺されてしまう。
 だからこそ、今日はそれに構って居る訳にはいかなかった。
「そうね……人が足りないなら、私たちで助けましょうか。力尽くで守ってやりましょう?」
「ええ、救出対象を待つ人がいるのです。何としても助け出しましょう。子供の前で殺し合いを演じるのは気が進みませんけど、状況が状況なので、仕方ありませんからね」
 『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)と『銀雀』ティスル ティル(p3p006151)の会話、そして。
「そうだね! だからオレは全力で守るんだ! この国の未来をね! ウォォォォオオ! コドモ達を助けて、ならず者は全員ぶっ飛ばすぞ!」
「ああ。小さな勇気ある者に、私たちは報いねばならん。案ずるな、誰一人として食わせなどせん。これだから嫌いだ、あれらは」
 オリーブの声に、舌打ち気味に苦慮の声を上げる。
 更に刺幻、一方で『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)も。
「うんうん。些か地味な仕事ではあるけれど、可愛らしい狼達と戯れられるのは嬉しいしね。あ、救出対象の捜索は仲間に任せて、私は敵対勢力の足止めに全力を割かせて貰うよ。正直、私が気に掛けているのは、愛すべき獣たちの方だし、ね」
 くすりと笑うマルベート、ウェールは。
「……怒りよりも人命優先。親が子を置いて逝く苦しみやその逆を知ってるのは……俺だけで十分だ」
 誰よりも真摯な表情で、愚痴をこぼす彼。
 そんな彼の肩を叩きつつ。
「奴らは自らを勘違いする弱者の果て……醜い。滅しに行かねばなるまい」
「そうだな、了解した。奴らは自分達で『私は闘士たちより弱くて子供位にしか勝てないんです』、と言っている様なものですからね」
「有無。力に覚えのある我等とて、童を守りながら殲滅するは難き事也。更に童を追い立てるに、十人単位でとは……げに度し難き輩共ぞ。彼等を逃す訳にはいかぬ。皆の情報を頼りに、捜索を以て童らを探し出し、確実に事を勧めねばなるまい」
 刺幻、ウィルド、『寛容たる傲慢』オジヴァン・ノクト・パトリアエ(p3p002653)が、並々ならぬ心境を吐する。
 そして。
「ええ、童達については私もお任せしましょう。私、どうにも子供には怖がられてしまうんですよねぇ……こんなに親しみやすい表情をしているというのに、です」
 とウィルドが強面に笑顔を浮かべる……其れを見たティスルは。
「……えーっと……あ、う、うん。そうだね! 大丈夫大丈夫、子供達は私達に任せて、ね!」
 苦笑為ながら自分の胸を叩く。
「まぁ、大丈夫です。自分の適性位は把握為ていますから。下手に子供達に私が接触して逃げるよりも、馬鹿な暴徒達を集めて、保護に向かう皆様を援護しますよ……ではマルベートさん、オリーブさん、参りましょうか」
「うん。それじゃ、子供達の方はよろしく頼むね」
 ウィルドにマルベートとオリーブは頷くと共に、母親に聞いたスチールグラードのはぐれた場所へと向かうのであった。

●命の欠片
「さて、と……先ずは子供の場所を見つけないとな」
 ラド・バウから離れた首都の一角に到着したイレギュラーズ……聞き耳を立てると。
『おい。見つかったか!?』
『見つかってねぇよ! クソッ……あいつら小せえからなぁ……ちょこまかしやがって。見つけたら、このワンコ達の餌にしてやるってのによぉ! なぁ、腹好かせてるだろう?』
『ガルゥゥゥ……!!』
 その会話内容からして、子供達に逃げられたゴロツキ連中といった所だろう。
 そんな彼等の言葉にぐぐぐ、と拳を握りしめながらイグナートが。
「アイツらより、先にコドモ達を見つけないと……! ウェール、手伝って貰える?」
「勿論……! イグナートさんも頼むな」
 ウェールは頷くと共に、聴覚を極限まで高めて、声を聞く。
 ……暫く気を張らしていると……ほんの僅か。
『……たすけて、よぉ……』
『だ、大丈夫……ここに、いれば……うん……』
 荒々しい男達の怒号が響きわたる中に……微かながらに聞こえてきた救いを求める声。
 その声の方向をウェールが直ぐに指を差すと、その方向に向けてティスルが飛行すると共に、ある程度エリアを絞る。
 更にその絞られたエリアからイグナートが広域を俯瞰し、子供達が隠れそうな場所をピックアップし、一つずつしっかりと確認していく。
 すると……数カ所目で。
『……ふぇ……?』
 人気の無い家の片隅で、身を寄せている子供達の姿を、偶然に発見。
『……な、なんだよ! ぼ、ボクたちを捕まえにきたのかっ!!』
 咄嗟にイレギュラーズ達から距離を取る子供達……かなり警戒しているのは間違い無い。
 そんな子供達に、できる限り柔和な表情でウェールが。
「……驚かせてすまないな。フルルくんと、ルイースちゃんかな?」
 と、その名前を呼びかける。
 ……見知らぬ人達が、自分達の名前を呼んでくるという事態に、え……なんでボク達の名前を知っているの、と。
「うん。俺達は君たちのお母さんからのお願いで、君たちを迎えに来たイレギュラーズだ」
「そうそう。間に合ったよね! なら安心して、もう大丈夫だからね!」
 ウェールに加え、ティスルも笑顔で声掛け……そしてオジヴァンはどこか神々しい雰囲気を纏いながら。
「アンドせよ、汝等が母より頼まれた。汝等を無事に親元まで届けることを約束しようぞ」
 その言葉に一片の曇りはなく、子供達は……ちょっと迷いを見せて。
『……ほん、とう? ほんとうに、ママが……?』
「有無。さぁ進むのだ。恐れる事はない童たちよ。汝等の安全は我等が保障しよう」
「そうだ。大人や狼に追われてて信用出来ないとか、外は怖いものがいるから出たくないかもしれない。けれど、わんわんさん達がお母さんが待ってるラドバウまで二人を守る! ほら、一緒に行こう!」
 取っつき辛い雰囲気のオジヴァンに対し、自分をわんわんさん、と言う事で、親しみやすく声掛け。
 三者三様の声掛け方法だが、真摯な言葉を投げかけてくる……故に、子供達は完全に警戒を解いたわけではないが。
『……う、うん……フルル、このおじちゃんたち、悪い人じゃなさそうだから……多分、大丈夫。一緒に、行こう』
『わ……解った……』
 頷き、立ち上がる子供達……そして、イグナートが。
「ありがとう! これ、お母さんからだよ!」
 母親に事前に聞いておき、準備した子供達の好きなお菓子を差し出すと……子供達は完全に信頼した模様。
「良し……そろそろ約束の時間だ」
 と、その瞬間……イレギュラーズから少し離れた所で、ウィルドが大きな音と光を鳴らす。
『何だ、あの音は!?』
『わからねえ、でも、もしかしたらいるかもしれねぇ……! あっちだ!』
 その音に近くまで迫っていたゴロツキ連中は、その音に呼び寄せられるが如く、集まり始める。
 そしてそこには、マルベートとオリーブも居て。
『おうおう! てめぇら……なーにしてやがるんだ!』
 と威勢良く声を荒げつつ、立ち塞がるイレギュラーズ達を見わたすと……宝飾品をジャラジャラと付けたウィルドにキラリと目を光らせる。
 そんな彼等の傍らには、ガルゥゥ、と獰猛な唸り声を上げる獣達……それに。
「ふふ……愛すべき友よ。幾ら好物の為とは言え、もはやこの狩りを続ける意味はないと思うよ? 私達を敵に回してまで得られる肉が、子供数匹分では到底割りに合うまい。餓えに耐えがたいならば……丁度十二匹程、程良く疲弊して狩りやすくなっt兄句があるのではないかな? ここは現実的な視点を持って、メニューの変更をお勧めするよ?」
 マルベートの言葉は、グルゥイグダロスに向けての言葉。
 しかしながら獣たちは、その言葉を理解しようともせず、イレギュラーズ達を美味しい餌だ、と今度は考えたようで。
『グガルゥゥゥ……!!』
 と涎を垂れ流しながら噛みつきに飛び跳ねる。
 そんな敵の攻撃を左へ、右へと回避しつつ、ゴロツキ連中も範囲外に行かない様に立ち回る三人。
 ……そう、仲間達が敵陣を惹きつけて居る間に、二人の子供を確保したイレギュラーズ達は、急ぎラド・バウ大闘技場へ。
 一人、二人と偶然に遭遇してしまったゴロツキについては。
「一分。手早く行くぞ……かの者に、力あれ」
「有無」
 幻刺とオジヴァンが子供達よりも先行し、オジヴァンの毒手に加えての追撃にて、時を掛ける事無く滅殺していく。
 ……そして大闘技場区画との境目まで来ると。
「……良し。ここまで来れば大丈夫だろう。子供達……あの闘技場に、母親が居る。あともう少しだ……頑張れるか?」
 と刺幻が子供達の肩を叩くと、ルイースは。
『う、うん……!』
 力強く頷き、フルルの手を握り、大闘技場に向けて走り始める。
 その後ろ姿は何処か頼りがいがありそう……まぁこの辺りの区画はラド・バウの闘士達が多く居るから、心配は要らないだろう。
「良し……子供達はもう問題無いだろう。後は、抑えてくれている仲間達の元に急ぐぞ」
「うん! さぁ、急ぐよ!」
 幻刺に頷くオリーブ、そして戦いの音が鳴り響く方角へと急行。
 ……数刻後、子供達を送り届たイレギュラーズ達も、ゴロツキと狼連中の下へと合流。
『チッ……こいつらの仲間か!?』
『クソが……しゃーねぇ、こいつら纏めてぶち殺す。ワンコ共よ、喰らい尽くせ!!』
『ガルゥゥゥ!!』
 ゴロツキ達の指示により、更に獰猛に蠢く黒巨狼。
 しかしそれに冷静にオジヴァンが。
「汝等の嗜虐心に構っておる暇はない……精々そこで苦しむのが相応しかろう」
 と言うと共に、容赦することなく享楽の毒を流し込む。
 既に足止めをしていた三人と長い時間戦っていたのもあり、躱す事は難しく、苦悶に呻くゴロツキ連中。
 そんな彼等の声を聞いて、ウィルドはククク、と笑みを浮かべながら。
「さぁ、哀れなチンピラたちに泥の味でも教えてあげましょうか? くくっ、大人しく警察が捕まえてくれた方が良かったかもしれませんねぇ?」
 と一番疲弊している敵に向けて、痛恨の一打を叩きつけ……地面にめり込み動かぬ骸へと帰す。
 更に、イグナート、ウェール、ティスルの三人も立て続けに。
「この期に及んでコドモをつけ回す下衆共め! 死にたいヤツから相手をしてやるからかかって来いよ!」
「ああ……俺は獣共を相手にさせてもらう。人の血を覚えた狼は駆除しなきゃな」
「そうね。子供達を追い立てて、怖がらせて……これ以上は許さないわ」
 真摯に言い放つイレギュラーズ達……狼もゴロツキ達も、逆上気味に反撃の狼煙を上げる。
 ……そんな敵の猛攻撃、決してウィルド、オジヴァン、イグナートが完全にカバー。
 一報狼達については、マルベートは己に種々の力を付与すると共に、一匹ずつ獣の爪と牙の応酬で、切り刻まれる前に斬り付けていく。
 刻の経過と共に、先に倒れていくのはゴロツキ連中。
 他の仲間と連携する事も無く、回復される事も無く……そして仲間が死ねば、驚愕の声を上げる。
 そんな奴らを、辛辣な表情で。
「狩りのつもりだったのだろうが、下らぬ事よ。畜生を伴って行うとは、それこそ畜生にも劣るな」
「ああ……弱肉強食? その身で感じ、後悔と共に果てよ!」
 オジヴァンや刺幻がこきおりしながらも、攻撃の手を緩めない。
 更に数十刻……ゴロツキ達がほぼ崩れ去ると共に、獣もいつの間にか、残り数匹。
 しかし獣たちはもはや立つのも精一杯といった状況に、マルベートが。
「同胞としての慈悲だ。命までは奪うまいが、同じ獣としての序列を教えてやろう」
 睨み付けると共に、放つ漆黒の雷撃。
 その雷撃は獣の息の根を失わせる……その獣の慟哭に、劣勢に立つゴロツキ達を動揺させる。
『っ……く、くそっ……!』
 周りを見渡し、どうにか逃げようと考えたのだろう。
 だが、狼達がいなくなり、イレギュラーズ達が全て包囲網を築いた状況下は、逃げる隙間もなく。
「もう逃がさないわ! 大人しく、倒れなさい」
 ティスルの宣告に皆が頷き、逃げ道無い状況での集中砲火。
 力無き者は……力ある者達の前に崩れ去るがのみであった。

●零れ拾う者
 そして……ゴロツキと魔物達を倒したイレギュラーズ達は、再びラド・バウ大闘技場へ。
『……あ、おにーちゃん、おねーちゃんたち!』
『ありがとう! おかーさんにあえた、あえたよ!!』
 嬉しそうなフルルとルイース、そして……そんな子供達の頭を撫でながら、母親は。
『本当に……ありがとうございました。イレギュラーズの皆さんがいなければ……子供達は帰って来なかったでしょう……ほんと、本当に……』
 感極まり涙を零す母親……そんな母親を左右でそっと寄り添う子供達。
 ……そんな親子の姿を見た刺幻が。
「……よく頑張ったな、少年。私たちより……君がヒーローだったぞ?」
 と声を掛ける。
 その言葉に子供達は。
『そ、そんな事無いもん……ボク達を助けてくれたのは、おねーちゃん達のお陰だもん!』
 と首を振るう。
 あの窮地を乗り切ったからこそ、その心も強く成長した模様……そして。
「何にせよ、このラド・バウにいれば、君たちを傷付ける者は近づいてこないわ。だから……安心して過ごしていいのよ」
 微笑む彼女にの言葉にやったー、と嬉しそうな子供達……その表情を見たイレギュラーズ。
 新皇帝の勅命による悲劇を繰り返さない為、首都スチールグラードの騒乱を止める為に……イレギュラーズ達は決意を新たにするのであった。

成否

成功

MVP

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼

状態異常

なし

あとがき

ラド・バウに集結した皆様、ありがとうございました!
子供達にとって、皆様はヒーローの如く見えた事でしょう……彼等が成長したら、皆様のようになりたい、と思ってくれるかもしれませんね。

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