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シナリオ詳細

<デジールの呼び声>響け、正義の号砲

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●竜宮の現状
 竜宮の危機を退け、新たな絆を結んだイレギュラーズ達。事態解決の糸口は見えど、しかし深怪魔たちは新たなる脅威『駄我奴子(ダガヌチ)』をけしかけ、攻撃を続けていた。
 そんな脅威と戦い続ける中、収集を続けていた『竜宮幣(ドラグチップ)』はほぼすべての回収完了を見られ、『玉匣(たまくしげ)』はその力を取り戻す。
 悪神ダガヌ封印の目処の付いた竜宮の乙姫『メーア・ディーネー』は、シレンツィオ総督府と協議を重ね、ダガヌ海域の悪神ダガヌの神殿たる『インス島海底領域』への一斉攻撃を提案したのだ。
 悪神ダガヌを、ローレットイレギュラーズ・シレンツィオ合同軍の攻撃により消耗させ、今度こその完全封印を狙うのだ。
 しかし、悪神ダガヌも、それを黙ってみているわけがなかった。合同軍がインス島近海へ布陣したころ、ダガヌは深怪魔たちを竜宮へと再度けしかける作戦へと出たのだ。
 また、先の襲撃の際に、内部に『深怪魔の種』を残していたダガヌは、竜宮内で深怪魔たちを次々と生成し、内部からの竜宮崩壊を目論む。そして『深怪魔の種』は、乙姫メーアの精神を強く蝕んでもいたのだ……。
 だが、その状況はインス島への攻撃をやめる理由になりはしない。
 竜宮へと急行するイレギュラーズを信じて、インス島へと突入する。
 それもまた、やるべき大切なことであるからだ……!

●インス島へ
「と、いうわけで今回の皆さんの割り当てについて説明するです」
 『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)は船上で、そう説明を開始する。
 ダガヌ海域に存在するインス島、その海上および海底に、一斉攻撃を行う今回の作戦。
 それは確かに分水嶺であるだろう。
 インス島は無数の『深怪魔』や『狂王種』が跋扈している他、彼らに手を貸すように『海乱鬼衆・濁悪海軍』と名乗る海賊たちもこちらを襲ってくる。
 此処に集まった連合軍で、巨大で恐ろしい深怪魔や狂王種、凶悪で凶暴な海賊たちなどを倒し、インス島近郊の制圧を目指すのが今回の作戦だ。
 海上、海中、そしてインス島そのもの。
 全ての場所へ進撃し、制圧を目指さなければならない。
 そして今回、この船に乗っているメンバーが目指すのは……『海乱鬼衆・濁悪海軍』の武装船の撃破だ。
 連合軍の仮拠点の1つのような形で運用しているこの大型船「ディーアール号」であるが、その性質上、当然連中に狙われる的になるだろう。
 勿論ディーアール号にも砲門はあるが、それだけで対処できるほど甘い相手ではない。
 そして、このディーアール号が沈んだとしても全体に及ぼす影響は限定的ではあるが、それは撃沈されることを許容していいという話ではない。
「だからこそ、皆さんにはこの船を守ってほしいです」
 今回の作戦の中では縁の下の力持ち的な作戦ではあるかもしれない。
 しかし、このディーアール号を守ることで確かにインス島攻略作戦に大きく寄与することができるだろう。
 それもまた、重要かつ大切な仕事なのだから。

GMコメント

襲ってくる『海乱鬼衆・濁悪海軍』の武装船からディーアール号を守りましょう。
ディーアール号には側面に砲門がついていますが、『海乱鬼衆・濁悪海軍』の武装船をそれだけで沈めるのは難しいでしょう。
最終的には相手の船に乗り込むことになるのは間違いなさそうです。

●敵勢力
・略奪船『我謝髑髏』
ガシャドクロと読むらしいです。あっちこっちに砲門のついている攻撃性の高い豊穣風の大型船です。
積極的に砲撃を行ってきます。

・『海乱鬼衆・濁悪海軍』構成員×30
かいらぎしゅう・だあくかいぐん、と読むらしいです。
頭領である濁羅(ダグラ)に率いられた、海乱鬼衆の巨大勢力の一つです。
海乱鬼衆の中でも特に凶悪・凶暴・残忍な集団であるとされています。
濁羅は悪神ダガヌと契約し、彼のしもべとなり果てました。必然、この濁悪海軍の海賊たちも、『深怪魔』などと共に、イレギュラーズ達に襲い掛かってきます。
見た目は豊穣風海賊。手に持つ武器で積極的に襲い掛かってきます。

・『■■■■侵食体』・間亜素(マアス)
 巨漢の男にして船長。非常に残虐で、弱い者をいたぶるのが大好きなクズです。
 大きな斬馬刀を使用しますが、何やら怪物じみた力があるような……?
 ディゴン、という単語を時折口にしています。

●友軍
・ディーアール号
砲撃で援護してくれます。攻撃力はお察しです。

・チーサ
オートマチック拳銃を今回持ち込んでるみたいです。
基本的にディーアール号にいます。居ないよりはマシ……かな?
どうだろう……。

●特殊ルール『竜宮の波紋・改』
 この海域では乙姫メーア・ディーネ―の力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができます。
 竜宮城の聖防具に近い水着姿にのみ適用していましたが、竜宮幣が一定数集まったことでどんな服装でも加護を得ることができるようになりました。

●特殊ドロップ『竜宮幣』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
 竜宮幣を使用すると当シリーズ内で使える携行品アイテムと交換できます。
 https://rev1.reversion.jp/page/dragtip_yasasigyaru

●名声に関する備考
<デジールの呼び声>では成功時に獲得できる名声が『海洋』と『豊穣』の二つに分割されて取得されます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はDです。
 多くの情報は断片的であるか、あてにならないものです。
 様々な情報を疑い、不測の事態に備えて下さい。

  • <デジールの呼び声>響け、正義の号砲完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年10月08日 22時06分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女
ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女
皇 刺幻(p3p007840)
六天回帰
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
トキノエ(p3p009181)
恨み辛みも肴にかえて
柊木 涼花(p3p010038)
絆音、戦場揺らす
ガイアドニス(p3p010327)
小さな命に大きな愛
大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)

リプレイ

●船上の戦いへ
 ギイ、ギイ、と船が揺れる。
 ディーアール号。今回の作戦に駆り出された大型船は人員輸送用ではあるが、決して戦闘用ではない。
 そういう意味では少しばかり不安点があるが……まあ、仕方がないとも言えるだろう。
 それに比べれば海上にいる……まだ射程外の敵武装船は、大分強そうだ。
「海賊のくせして良い船に乗ってるじゃないか。相手が相手ならうちの商会に引き抜きたい所だが、あの連中じゃな」
 ディーアール号の上でがんもを撫でながら、『天穿つ』ラダ・ジグリ(p3p000271)が呟く。
 此処はダガヌ海域に存在するインス島周辺の海域だ。
 インス島への一斉攻撃と制圧を目指すこの作戦においては、あらゆる可能性を否定できない。
 ディーアール号の作戦目標である『海乱鬼衆・濁悪海軍』の武装船とて、見た目は普通に見えるが何を隠し持っているか知れたものではない。
 そしてこのディーアール号はこの包囲戦における仮拠点の1つになっている。だからこそ、守らなければならないのだ。
「流石にこちら側の仮拠点の一つとなれば、向こうも放ってはおかないわよね。でも、向こうから来てくれるならそれはそれで好都合でもあるわ。ここで敵船を沈めて、敵戦力を削ってしまいましょう!!」
「シレンツィオ関連の問題ごともそろそろ大詰めでしょうか……。大人しく封印されないのはわかりますが、自由の身では破滅しかもたらさないのでは、仕方ありませんね」
 『銀青の戦乙女』アルテミア・フィルティス(p3p001981)と『高速機動の戦乙女』ウルリカ(p3p007777)もそう言い合うが、その為にはまずこの戦いを乗り越えなければならない。
 ウルリカは飛空探査艇を用意しているが、こういった飛行手段は相手の船に乗り込む為のものだ。
 何しろ、こちらの船と砲撃戦になっては少しばかり分が悪い。だからこそ、そんな作戦がとられたのだ。
「口々になにか唱えてるらしいが……おおよそ、碌でもない神様気取りの眷属って所か。いいだろう、本当に信ずべき神が私だと言うことをその冥土の土産にしよう。策はあるのだろう、最終的に……あのデカブツを切り伏せる策がな」
 『六天回帰』皇 刺幻(p3p007840)も呟き、唯我の一刀・婆娑羅『廻断』に手を添える。
「海賊と言うのも個人的に格好良いと思わないではないけど……僕達の敵になったのが運の尽きだね。盛大に返り討ちにしようか!」
「敵陣営の総戦力は未知数。島の周辺にはダガヌや深怪魔だけじゃなくて海賊もいる。攻め込むには万全の戦力が必要。拠点になるこの船を落とされるわけにはいかない。なんとしても防衛しないとだね」
 『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)に『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)も頷く。
「だな。ディーアール号が奴らに沈められちまう前に、とっとと敵船に乗り込むぜ」
「はい、頑張りましょう!」
 『劇毒』トキノエ(p3p009181)に『奏でる言の葉』柊木 涼花(p3p010038)も頷き、フライドポテトをパクッと口に入れる。
「まあまあまあまあ! 撃沈しちゃうかもだなんて、つまりディーアール号はか弱いのね! おねーさんが護ってあげなくちゃ!」
 『超合金おねーさん』ガイアドニス(p3p010327)もそんなことを言っているが、最初から戦闘目的で建造された艦艇でもなければそんなものだろう。
「というわけで! 相手の船に乗り込むまではおねーさん、操船のお手伝いだわ! おねーさんの操船技術と航海術、中々のものよ! 少しでも敵の砲撃を避けちゃいましょう! 奇襲技術も上々だから、可能な限り気づかせずに接近するのも有りね!」
 事実、敵船は目視できる距離にやって来ている。
「海戦である。つまり、この武蔵の出番というわけだな!! 海軍と名前が付いているが、その実は海賊に毛が生えたようなもの。そのような輩の船にこの武蔵が負けるわけにはいかないな」
 大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)もそう声をあげれば、ガイアドニスが「作戦開始よー!」と声をあげる。
 ディーアール号から放たれる砲撃と、武蔵の九四式四六糎三連装砲改が火を噴く。
「フライトユニット起動。オニキス・ハート、出撃するよ」
 そうしてオニキスたちが動き出す。戦いが今、始まったのだ……!

●倒せ、濁悪海軍
 オニキスのドリームシアターで幻影をダミー代わりにしながら敵船へと突っ込んでいく。
 対空迎撃はあまり厚くないだろうけど念のため……といったところだが、ある程度の効果はやはりあるようだ。
 事前に広域俯瞰で大砲の位置及びその周辺の敵構成員の位置を把握し、突入前に空中から120mmマジカル迫撃砲凍結弾を放つ。
「ぐわあー⁉」
「上だ、上を狙え!」
 艦砲射撃を阻害することで味方船の被害軽減を狙ってのものだが……そうなれば当然、弓を構えた構成員がオニキスを狙ってくる。
「大砲も巻き込んでまとめて吹き飛ばせればなお良し、だったけど……このくらいか」
「まずは敵船の力を削ぐのが最優先だ。1人でも多く倒す。大砲も巻き込めるなら狙っていこう。壊せずとも、弾幕でまともに撃てなくできれば上々だ!」
 ラダも芒に月からのプラチナムインベルタで構成員を攻撃していくが、いきなり乗り込まれた構成員たちの統制はいまいち取れていない。
 相手は歴戦の海賊のはずなのに、何故なのか。
 その理由は……この武装船の船長であるマアスの元へと向かったアルテミアが知っていた。
「……ディゴン。おお、ディゴン。俺は……いや、俺が……俺は? ああ、ディゴン……」
 何やらブツブツと呟いているこの男こそが『■■■■侵食体』・間亜素のはずだが……何処か上の空だ。
(見た目は巨漢だけれど何処か違和感を感じるわ。魔種とは気配が違うようだけれど……)
 油断なくロサ・サフィリスとプリゼペ・エグマリヌを構えながら、アルテミアはマアスを観察する。
 どうやらマアスがこの状態であることが、統制の取れていない状態の理由らしい。
(マアスの呟きに混ざる『ディゴン』という言葉が妙に気になるわ。何かの呪文なのか、はたまた祈りなのか……周囲の敵船員も似たような呟きや、マアスについて気になる事を口走っていないかも注意しておかないといけないかもしれないわね)
 どちらにせよ、アルテミアの接近にすら気付いていないこの状況を見逃す手はない。
 斬影千手を発動し、多重に残像を生じる圧倒的スピードで神域の手数を武器に攻め立てる。
「ぐあっ⁉ な、なんだテメエ! いつの間に来やがった!?」
 怒りのマアスは斬馬刀を振るい、アルテミアに凄まじい力で叩きつける。
「くっ……!」
 防御優先の立ち回りを心掛けていてよかった、とアルテミアは思う。
 急にマアスが正気に戻ったが、その様子は明らかに異常だ。
(巨漢にしても異常な怪力もそうだし、妙な気配が常に引っ掛かるからね)
 どうにも人間にしては気配があまりにも妙だ。魔種ではないようだが、何かがある。
 目や衣装の隙間から覗く肌をはじめ、呟きなんかにも常に気を配っておこう……と、アルテミアはそう心に刻んで。
 その頃、ウルリカはリコシェット・フルバーストからのラフィング・ピリオドを構成員に叩き込んでいた。
 この構成員たちは、どうにも普通に見えるが……アルテミアの向かった方角から、妙な気配が消えない。
「何か……いる?」
 分からないが、早めに構成員と船の武装を無力化する必要はあるだろう。
「誘爆してくれれば、話が早いんだがな……っと!!」
 刺幻が大砲に向かって婆娑羅・終刃を放てば、アッサリ大砲は壊れる。
 やはり特殊な武器ではないようだが……それでもディーアール号に積んでいるものよりは高性能だ。
「敵船なら壊しても問題ないしね!」
 カインの破式魔砲が構成員ごと大砲を吹き飛ばし、少し遅れてディーアール号から援護射撃が飛んでくる。
「ディーアール号はやらせない!」
 そう叫ぶカインだが、ディーアール号はまだ健在だ。今のところ、非常に良い戦況と言える。
 そのディーアール号だが……涼花がファミリアーで視界を確保し『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)にハイテレパスで遠隔で指示を出し補助にあたらせることで、適宜動けるようにしていた。
 具体的な方針としては「敵船の攻撃が苛烈な間はとにかく回避や防御優先、安全第一。敵船の攻撃が落ち着いてきたら、側面に回り込んで一斉砲撃」といったところだが……今のところは何の問題もない。
「わたしにできることは結局、誰かの支えになればと願って音を奏でることだけ。だから今回も、精一杯の支援を!」
 オールハンデッドからのアブソリュートグレイス。付与を切らさないように、回復も適宜に。
 わたしよりずっと強い皆さんが全力で戦えるよう、支援だけは最後の最後まで意地でも届けましょう、と。
 そう涼花は心に決めていた。
「お宝はここよ~♪」
 そんな中、アルティメットレアの極まった身体で目立ちに目立って敵を引き付けるガイアドニスの姿もあった。
「おねーさんにターゲットを集めさせて、ディーアール号への砲撃を弱めれれば良いのだけれど!」
 アッパーユアハートを発動させながら、とにかく自分に攻撃を集め味方を庇う作戦にガイアドニスはでていた。
「大砲、ちょっと悪さできないかしら? こうちょちょいのちょいっと物質透過とかも併用して、ネジを抜いて砲撃角度保てなくしたり、装填できないよう細工したり! 引き金を外したり固定したりとか! あら、意外と出来ちゃったわ! これもちょっとした罠設置かしら!」
「て、テメエ! 砲に何してやが……ぐはっ!」
 ガイアドニスを狙おうとした構成員を武蔵のプラチナムインベルタが撃ち抜き、構成員たちが倒れたその頃……マアスに吹っ飛ばされたアルテミアが、態勢を立て直し立ち上がる。
「いたた……」
「よくもまあ、暴れてくれたもんだ! 覚悟できてんだろぉな!」
 叫ぶマアスだが、その瞳にはギラギラと怒りが燃えている。
「よう船長、船の指揮とらなくていいのかい。立派な大砲もろくに当てられないんじゃ鉄くずだぞ。安くなかったろうに、勿体ない」
 そこに、ラダが更に挑発していく。
「とはいえ指揮には戻らせやしない。私とて2年前の大号令にも、海戦にも参戦している。あの時、船は人員の連携が大事だと学んだ。あの時はもうこんな海戦する機会なんぞないだろうと思っていたんだがね、分からんもんだよ」
 そんなラダに、マアスは斬馬刀で肩を叩きながら大きく溜息をつく。
「あー……ロクでもねえ。本当にツイてねえ。とはいえ……てめぇらみてぇなのと戦う羽目になったのも……ああ、そうか。ディゴン……」
 ディゴン。またその単語が出たと、アルテミアはそう思う。
「チッ……まあ、いい。ひとまずミンチになっとけやああ!」
 振るわれた斬馬刀が船の床を砕き、その凄まじい威力に刺幻が声をあげる。
「こいつ、何かおかしな類の呪いで強化されてるな。守りに回ったら終わりだ、詰めるぞ!」
 婆娑羅・終刃を放つが、マアスは怯まない。
「ああ、警戒は厳に……油断しないようにしよう!」
 カインも神気閃光を放ちながら、マアスの異常な膂力を確かに感じ取っていた。
 アルテミアが抑えていてくれたおかげで大分傷ついてはいるものの、それを全く気にした様子すらない。
 そして背後に回ったトキノエの『ハンターズ』が発動し、マアスにダメージを与えていく。
(マアスがたまに口に出す「ディゴン」って単語……呪文か何かの名前ってわけでもなさそうだ。名前……儀式……インス島に何か関係ある単語かもしれねえな。もっとマアスがどんなタイミングで「ディゴン」と口にするのか、それを口に出すことで周囲になにか影響があるのか、余裕があればマアスの言動から探ってみてえところだが)
 マアスがディゴンと呟く度に空気がおかしな緊張感を伴い、マアスの瞳孔が開く。明らかに何か「おかしなもの」であることは確実だろう。
 そして傷ついて尚、マアスは強い。一撃ごとが人間の限界を超えて重く、激しい。
「武蔵は……、沈まない!」
 武蔵もシャンパン・ゴールド!を使用し、九四式四六糎三連装砲改を撃ち込んでいく。
「フルパワーの砲撃を、ここで……!」
 そしてオニキスがウェルカム・竜宮を使用し、全力攻撃の破式魔砲を放つ。
 我が身さえも顧みず、より収束性を高め破壊貫通力に特化した魔砲のその一撃は、マアスを貫いて。
「が、あ……オ、ア……ディゴン……■■■ル■、■■■■■――ディゴン!」
 瞳孔の完全に開いた目で、マアスはそう叫んで……そのまま、倒れる。
「何か様子がおかしい感じだったし、ただの海賊にしては妙に強い。まだ油断は出来ないかな……それにしてもディゴン、っていうのは何だろう。ダガヌやダガヌチとは違うのかな……?」
 オニキスはマジカルゲレーテ・アハトをマアスに向けたまま、呟いて。
「■■ーーー■」
 マアスの身体から伸びたタコの足のようなものに跳ね飛ばされる。
「な、んだこりゃあ!」
 マアスの身体を突き破るようにして現れた巨大なタコの足。トキノエはそれへと向けてブラックドッグを放ち……しかし、それが届く前にタコの足はボロボロと砂のように崩壊していく。マアスの身体もそれにつられるように砂となって消えて、風に流されていく。
「ディゴン……今のが、ディゴン……?」
 アルテミアはオニキスを受け止め転がった身体を起こしながらも、そう呟く。
 先程オニキスを吹っ飛ばした一撃には、マアスから感じたものと似たような……いや、ほぼ同じものを感じた。
 つまり、マアスの振るっていた人間離れした力はディゴンのものだったのだろうか?
「ディゴン……船内から資料とか見つからないかしら?」
「ディゴン? ダガン以外の神を信仰しているのでしょうか? 封印が解かれたのはダガンのみと聞いておりますが……。いずれにしても海賊が神の名を口にしながら戦うのはかなり違和感がありますね。無法の略奪者ではありますが、同時に自由の人たちだと思ってましたので」
 言いながらウルリカは信仰という単語に自分で違和感を感じてしまう。
 信仰……信仰。今のは、あのマアスの有様は、信仰の一言で説明できるようなものなのだろうか?
 もっと何か。こう……ひどく悍ましく冒涜的であるような、そんな気がしたのだ。
「別々の神を信仰していたのに洗脳され戦に駆り出されているのか、それとも協力しているのか……」
 答えは出ない。あるいはその答えを知っていたかもしれないマアスは、すでに死体すら残ってはいない。
「この戦いを勝ったとして……海の魔種達が殲滅されたわけじゃない。ディーアール号の損害も修繕される必要があるわけだし……何より、飯の問題が片付いてないしな。……戻ったら釣りするか?」
 刺幻が冗談めかしてそう言えば、カインと武蔵は顔を見合わせ頷きあう。
「まあ、それはいいとして……脱出が先かな?」
「さっきのディゴンの一撃だ! 総員撤退ー!」
 どうやら先程の触手の一撃が船に何か致命的なダメージを与えていたらしい。
 全員が武装船を脱出し……ディーアール号に戻る頃には、武装船は海の藻屑になっていく寸前だった。
 敵は倒した。しかし「ディゴン」なる……間違いなく敵であろうモノの名前もまた、深く刻まれた。
 近いうちにまたソレと出会うような、そんな予感を誰もが感じていた。

成否

成功

MVP

アルテミア・フィルティス(p3p001981)
銀青の戦乙女

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!

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