PandoraPartyProject

シナリオ詳細

再現性アーカム:ケチャップ・アート

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性アーカム――ロンドン区
 再現性アーカム、それはとある旅人が故郷を、自らの世界を想い、創り出したひとつの箱庭だ。其処に広がるのは1920代のアメリカの光景、もしくは創作物の再現とでも謂うべきだろうか。駒形切妻屋根が並び、河が流れ、塔の聳える貌はなんとも雰囲気があって悦ばしい。そんな再現性アーカムだが、如何やら本来の国すらも曖昧なようだ。それ即ち、とある旅人のテキトウ具合が孕んだごった煮性なのだろう――言葉にするならば、そう、此処は再現性アーカムロンドン区、年代を揃えるならば193Xか。
 霧に塗れたロンドンの片隅で蠢いているのはおそらく、誰も知らない式典、福音と解せた。通常はただの『蝋人形屋敷』と噂されている建築物から、深夜、月の隠れる時、呻き声が聞こえてきたのだ。その原因を解明しようと住民達が押し寄せても一切が謎の儘となった。しかし君達、イレギュラーズは知る事となるだろう。
 地下に保管されていた芸術作品の群れが悉く『無くなっていた』現実を。

 蠟人形屋敷の主人であるジョージはひどく頭を抱えていた。今まで懸命に集めてきたコレクションが一夜にして消えてしまったのだ。確かあの台座には蛸と竜と人を掛け合わせた、とある民族の神を模した像が立っていた。そっちの円筒の中には七色に輝く、不可思議な、騒ぎ立てる球体が浮かんでいた筈だ。原因はまったく不明だが、嗚呼、このままでは私は気が狂ってしまう。如何にか回収出来ないだろうか。
 ――彼等を見ていないと、触っていないと、固まってしまいそうだ!

●蠟人形屋敷地下
「――結局のところは展示品の回収、その程度の依頼なのだよ。何、貴様等特異で在れば容易に、迅速に為せる内容だ。余った時間を有意義な『観察』に費やすのも悦ばしいと思うが――貴重な機会を逃すのは勿体ないのだよ、なあ、赤城」
 君達の面を眺めながら伽藍洞の中心でオラボナ=ヒールド=テゴスは嗤った。傍らにいる少女も眼球を忙しなく動かして応えている。君達の数人は『彼女等こそが展示品に相応しいのでは』と思うだろうか。
「にゃはは! せんせー、赤くしようよ。なんか虹色だとか言ってたけどそんなのカワイくないです。ほら、絵具ならたくさんあるじゃないですか!」
「貴様は赤から脳味噌をズラせと何度――いあ、失礼。そんな代物は最初から無かったな――兎も角、貴様等には『地下から消えた展示品の回収』をしてもらう。早くせねば館長が発狂する故、全力を尽くし給えよ」
 Nyahahahahaha!!!
 にゃはははは!!!

NMコメント

 にゃあらです。
 ウザ=イェイ!
 このシナリオは基本的に『PC一人での描写』を予定しています。

●再現性アーカム、ロンドン区
 この時点でかなり滅茶苦茶ですが、再現性アーカムの内にロンドンが作られているようです。このロンドンは再現性倫敦とは違うらしく表面上は普通と思われます。
 ただし此処も架空のロンドン『妙な事件』は起こるでしょう。

●目標
 蠟人形屋敷の地下から『消えた』展示物の回収。
 または、捕獲。
 展示物はPC人数分存在します。
 展示物は様々ですがどれもこれも『あなたを狂気に誘って』きます。
 生き物なのかも定かではありません。
 なお、プレイングに記載してくだされば『そのようなもの』に中れます。

●人物
 ジョージ
 蠟人形屋敷の主人です。
 展示品が『消えて』錯乱しています。

 赤城ゆい
 赤色が大好きな希望ヶ浜の生徒です。
 今回はせんせーと一緒に展示品を見に訪れました。

 オラボナ=ヒールド=テゴス
 イレギュラーズの一人です。
 赤城ゆいの先生、美術部顧問でもあります。
 あなたは彼女が普段以上に愉しそうだと気付いても良いでしょう。

●サンプルプレイング
「展示品の回収か、そういうのに興味はねーが、依頼は依頼だ」
 俺が見つけたのは化け物みてぇな彫像だ。
 蛸とも竜とも人とも思える、なんだかよくわからねぇやつ。
 しかし、こう、見つめていると少し動いているような。
 いや、気の所為だ。彫像が動くワケねぇ。
 とっとと回収して美術鑑賞と――。
 おい待て嘘だろ逃げるんじゃねぇ!
 回収ってそういう事かよ畜生!!!

●情報制度
 このシナリオの情報制度はLです。
 情報制度は低めで、不測の事態が起きる場合があります。
 カジュアルシナリオなので全て成功判定になります。

  • 再現性アーカム:ケチャップ・アート完了
  • NM名にゃあら
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年09月22日 22時05分
  • 参加人数6/6人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
毒島 仁郎(p3p004872)
ドクター・チェイス・ゲーム
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
鹿王院 ミコト(p3p009843)
合法BBA
アイス子(p3p010815)
冷たきもの

リプレイ

●赤色のドレスの女
 アーカム、旧くからの伝説に塗れたその街の名を、『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)は再現性東京、希望ヶ浜でも聞いた事がなかった。つまり、世界史、正史の類ではないのだと容易に、脳髄が判断してくれている。幾つかの段落に分けられていた倫敦の戯言も、いや、アメリカに含まれるとは思えない。毒にも薬にもならない、テキトウな考えをおいやってから数秒、アルコールにでも脳裡を浮かべると好い。パブでエールとジントニックと洒落込みましょうか。ところで、其方の下戸は何故に嗤っている。ええ、ええ、とっても手遅れみたいだけど。そんな当たり前をほじくり返すなんてラスト・ページを目次前に読むようなものだ。咀嚼してはいけない。
 嘘吐きな魔女は赤色の、不透明なガラスの靴に翻弄される運命だと謂う。ならば、探すべき真っ赤なドレスは如何様にして微笑すると異うのか。ふふ、私よりもあの女の子が喜びそう。蝋人形がたくさん囲んでくる中でピルエットごっこだ、もう、なりふり構っていられない。入った時から聞こえてくる、声――こっち。探しに来て、見つけて――クローゼットの中、机の下、本棚の隙間、バスルームのヴェール、カーペットの裏側。それで、今、オマエは何処を歩んでいる。
 鏡の中、壁の上、天井に張り付いた爬虫類、ダイニングに並ぶ銀色の右から三番目。あら、素敵じゃない。先程のフォークを投擲した。これは正しい、これこそが正しい。大きくなったドレスの声に手を伸ばして優しく扱ってみる。それで、如何してオマエは袖を通した?
 姿見――! 一滴も飲んでいないクセに鮮やかな髪色だ。そこにいるのは、だぁれ、などと訊ねて終えば出来損ないの悪夢。何かしらの啓示に巻き込まれてスーフィー・ダンスに耽っていく。皆さん私と一緒にどうぞ、罪から罰まで嘔吐すると酔い。
 人間様に対しておぞましい事をしてくれた。
 まぁ!
 ――身体が固まってしまう!

●ドクター・チェイス・ゲーム
 ミスト――白と塗りたくられた景色の狭間に、眩ませるかのような鋭利が這い寄る。切り裂きごっこが大好きな魔物の真似事や思考ゲームの探索に身体が縛られる。まるで、プロフェッサーとの戯れだと思わなくもないが、その次点でおそれが圧し掛かってくる。ところで本質的には『かみぶくろせんせー』毒島 仁郎(p3p004872)、興味深さに発狂寸前の紙袋なのだろう。そもそも最初から正気なのかも怪しいところだ。ええ、大変、気になる街ですとも。アーカムの内側に縫合された倫敦の嘆きが響いている――真逆、旗を振る術も忘却してしまったのか。動いている石像、宙を飛ぶ絵、降ってくる鮭の切り身。混沌世界では一切合切が日常茶飯事。臍で湯を沸かす事だって最早、当たり前の感覚なのだ。
 展示物のリストを貰い不明点をかるく記載していく。全てはLoveの招いた出来事だとも赤好きな誰かも宣っていた。それなら接吻でもしてしまえば元の場所に戻るのではないか。そんな戯言を巡らせていると彼方側に絵画、おや、極彩色とはなんとも綺麗ですね。或いはグロテスクと表現すべきだろうか、あれが理想郷、世界は副王の膝元で回転する――やれやれ。宙を飛ぶ絵画ならば予想していたが現実は如何だ、あの七色の姿形は前方、遠いではないか。まさか『転移』するとは思いませんでしたよ。極めて短距離ではあるが厄介なお相手だ、反芻で起こした運命的な大脱走。それで、意思・意志の類を有しているのだろうか。収容してくれ、気味の悪い顔面……。
 顔面、絵が『見ている』方向だけの転移だと理解出来たのは数分後だった。それなら話は明解に、先回りしてしまえば容易な事だろう。人も車も絵画も急には止まれないものだ。捕まえましたよ――明滅と共に変わる世界、触れたオマエ諸共に、小刻みに。
 何処へと往くのか解せる筈もなく、振り落とされたら危うい空間へと右往左往。若干ズレた紙袋を片手で抑えつつ、悪戯好きに溜息を吐く親父のような。気が付けば屋敷の中、遊んでほしい子供みたいな舌晒しのマーク。

●ハッピー・ハッピー・パーティ
 気落ちしているジョージの肩をぽんぽんとしたならばたわいもない言の葉を紡いでいく。行方知れずの展示品リストを眺めつつも『合法BBA』鹿王院 ミコト(p3p009843)、娘や孫の顔を思い出すのか。わかる、わかるぞ。わしもお気に入りの盃が見当たらないだけでしょんぼりするのでなあ。あの酒にはあの盃が必要不可欠、ワインとやらを呑む為に態々、まん丸いグロテスクの傍らを選択するようなものだ。この月見ではあの盃じゃの。いや、まったく、わしは定位置にしか置かぬと謂うのにあの娘は――鼠の仕業だと嗤うのならば、とっとと、彼等を捕らえてしまえば良いものを! さては子供のニソテソドースイツチを隠す母親か? そんな危うい台詞を書くんじゃない、第四の壁がバックスペースを叩いた。
 封空絶殺――何かしらを『必殺』しそうな、おっかない名称だが『これ』もれっきとした展示品、切子グラスのひとつで在った。ヤケに歪、崩れかかっている空間は『概念的』な酩酊を齎す逸品の所為に違いない。それにしても元はただのガラス、捕獲の際に攻撃しても良い『もの』かじりじりと近寄ってみたけれど如何して『これ』は逃走を試みない。いや、嗚呼、なんとも、魅力的な香り、甘く々くとろけそうなアルコールに近しい――ぐるりぐるり、忙しない眼球。いつの間に術式が表れていたのか。まあ、そんな些細は、のぉ……?
 見えました。無数の瞼に包まれた世界の真理と人間が有する心理の所以を理解出来ました。可愛らしい子供達がたくさんの儂を書き入れて、引き裂き、別の何かへとアドリブしていく。きっとごっこ遊びに飽きていたのだろう、パーティに参加する際は予約をお願いします――はっ!? 何を見ていた。わしは何を? 舐る程度で『あれ』とはおそろしい。
 気を取り直して展示位置に戻しグルリ観察する。この切子細工は見事じゃ、物事の本質を再現している。どうにかしてこれで『良い酒』が飲めないものか。あ、ジョージ殿、このグラス譲って――レプリカならある? ま、まあそれでいいじゃろ。
 幼女の見た目の所為なのか、狂気の兆しの所為なのか。
 イホウンデーの涎に浸かったオマエ自身……。

●アイス・クリームの産卵
 こつん、こつんと衝突してきた、アイス・クリームの頑強さは小豆を想起させる代物だった。分厚いアイス・キャンディの真似事をしていた脳味噌も失くしてしまえば消沈の極み、ジョージさんの貌が浮かんできて仕方がない。ああ、『特異運命座標』アイス子(p3p010815)もこの世からアイスが無くなったら発狂するのだろう。もう、戻ってこられない絶望の世界で蹲る他にないのだ。だからこそ全力で探し出してみせます。美術の事、芸術の事はサッパリだけれど、あたしにも任せてください――そんな意気込みの儘に灯台下暗し、いや、真逆、屋敷内部に残っているとは考えないだろう。わからないなら先生に相談だ、それで、何かしら切っ掛けを掴めたのか?
 かき氷のシロップはイチゴが絶対なのだとあの女の子は宣言していた。それならば手土産に真っ赤なアイスを用意するのが良識だ。ウイスキー用のアイス・ブロックに贈り物を与えて大当たり。これできっと正気に見えないあの女の子は親身になってくれる筈。あーね? ホントはヒントとかダメだってせんせー言ってたけど特別だよ? ちゃんと冷凍庫探した……? 日常が非日常なのだと彼女等は知っている、まったく個性的な人達だね。楽しい! それじゃあ折角だから葉っぱの裏側まで弄ってしまいましょう。
 蜷局を巻いた石像と謂うよりも脈動する縄とでも表現すべきか、絶対零度の空間に異常発達した真っ白がおひとつ。芸術って大人になればわかるんだろうか。頸を360度巡らせるような勢いでご挨拶の時間だ。アイ、スッ、スー! まるで鳴き声に応える一匹の鳥、それとも蛇に睨まれた蛙……? いや、ええと……何だろ、形容し難い……? 穴だらけの伸縮自在がぼたぼたと真っ赤な球体をこぼしている。ええい、ままよ。弱き人々を守る剣である事を忘れるな、イレギュラーズ、眼球光らせて『きみ』を投げる。
 勝った?
 パパとママの幻影に引っ張られて展示品の傍らに坐してみた。異常なほどの冷気に歓びつつマフラーごっこを成してみる。やった、これでオマエと展示品は永久の親友だ。何度目かのアイ、スッ、スーが口腔、満たしていく。甘ドロ具合はおそらく蛆虫の半壊だ。
 ベトベト大惨事の最中で僥倖にぬれる。

●トマト・ケチャップ
 混じり気のない鼻歌に一歩、必要そうな物事を注いでいく、逃避行と謂うやつだと『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)は認識することが出来たのだった。角を曲がったところで見つけたのは素敵な素敵なお姫様だ。寝っ転がっている展示品に眼球をやってみる、付属品は最後までとっておこうね。ほらやっぱり、俺が見つけたんだ。逃げようと身悶えしたところでそうはいかないよ。酩酊した演技が上手な展示品だ、あっちへヨロヨロ、こっちへヨロヨロ、本当に目を回しているんじゃないだろうね。回り道に街角に人混み。その所為で全部がお見通し。だって、ほら、このアーカムはオマエにとっての庭なのだ。好きなだけ疾走るがいいよ。遠回りが最も近いだなんて誰が宣っていたんだい? 俺はそっちから往くからね。いいよ、いいよ、何が起こったって、何に苛まれたって莫迦々々しいチェイスには変わりないんだ。パーティが終わるなんで帽子屋が余計に発狂してしまうではないか。じっくりと煮立てる時間が俺にはあるんだよ。そんなハットした感覚に横向けば鋭角の犬かき、溺死しないようしっかりと泳ぐんだよ、ブサイクな獣め。直線、曲線、双曲線――ヨグ=ソトホートの膝元ではじめて好きな方角を咀嚼出来た。同じところをぐるぐる回るといいよ。安堵、快楽、適切な鹵獲方法、与える蜜は熟成だ、喜びの粘性……。
 道順の描かれた地図を晒してしまおう。看板と案内人をつけて無料サービス、手取り足取り、ながい目で逃亡ツアーと洒落込んでくれ。アーカム観光の次はロンドン観光も如何ですか? 誰かの嗤い声に嫉妬のような感情を剥き出しにする。俺のものだ、それは僕のものだ。骨の髄までたのしんでいってね――靴の音、漿液のもれる音。
 疲れた高級娼婦の涎がロンドンとやらを描写していた、ぐずついた空が垂れこめてオマエの好みと一致したのだ。太陽光に中てられた日々を無碍にしてこんばんは暗雲。暗く湿った今、未来、過去――大英博物館、クリスマス・ツリー。
 ウザ=イェイ
 イカア・ハア・ブホウ-イイ
 詳細を理解する方が難しかったクセに、このザマは如何いう事か。実態のない悪夢にハテナ・マークを添えたなら誰かさんの愉し気な三日月を想う。まったく濡れるかのような虹色と水に浮かぶ油じゃないか、と、『しろがねのほむら』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)は色を忘れた花を手折った。よくわからないけれども騒ぎ立てる脳内が地道な努力を嘲ってくる。方向性に関しては隅っこに置いておいて抉るような言の葉を大胆に取り上げてみる。では、信じるものは報われるのか。そうで在ればダメだ。ねえ、かみさま、俺の言葉は届いていますか。いいえ、ひとりの女として届いています――ケチャップ塗れの翻弄、見つけた、否、見つかってしまった。
 セルロースの頁に見つけてしまったのは、そう、僕の信じていた地獄だった。何度も何度もこすった目の色が、誰も反応しない事に冷汗を溜め込んでいる。逃げる? 逃げられちゃう。いや、いかないで――あれは「僕じゃないよ、しーちゃん」
 追いかけて追いかけて、夜の明ける頃にはオマエが怪異。木乃伊取りの一言に騙された気分だ。俺が怪異? そんなわけないじゃん。やだなぁ、人間ですよ、人間。それならオマエ、何故に回収される側なのか。ホルマリンの大渦巻に捌かれている……。
 ぐるぐると、効果的な現実に曖昧な自我を合わせる。ここはどこ? 僕は睦月、大丈夫、まだ自分を見失っては居ません。ぐるんぐるん、撹拌した瓶詰の中身、ところで『これ』は何。ここどこだっけ。僕は――?

 ラーン=テゴス!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

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