PandoraPartyProject

シナリオ詳細

忘れられぬ花園

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●その天然の迷宮は
 暖かい日差しと、優しく肌にあたる春風が心地いい。
 運ばれてくる草木とほんの僅かな花の匂いは、今すぐレジャーシートを敷いてピクニックしたくなる衝動に駆られるが、辺りを覆いつくす蔦の壁を見るとそうもいかない気持ちになる。
 そう、ここは迷宮の中。深緑で新たに見つかった旧時代の遺跡は、既に大自然の中に囲まれ巨大な迷宮区と化していた。
 視界をどこまでも遮る蔦の壁は、壊すことが叶うならどんなに探索が楽になることか。しかしそれは依頼人から固く禁じられているから――というより、この迷宮区全体に不思議な力が働いているのか壊そうと思っても壊すことができなかった。
 そのうえ、耳を澄ますと猛獣の鳴き声。迷宮区に入り込んだのは貴方たちだけでなく、少々凶暴な獣も迷い込んでいるらしい。出くわせば戦闘は免れないだろう。
 油断すれば方角すらわからなくなってしまいそうな迷宮の中、貴方はどうしてこの迷宮にいるのか思い出す。

 ――始まりは一週間ほど前の話……。

「おい。これ、何かおかしくないか?」
 最初にその依頼を受けたのは、内陸の国から流れてきた一人の傭兵だった。
 内容は至ってシンプル。指定された区域の地形調査の筈だった……が、傭兵は資料として渡された地図と、目に映る地形を見比べて苦い表情を浮かべる。
 大陸西部に位置する迷宮森林は、大樹ファルカウの加護を受けた幻想種にとって、自身を護る重要な場所である。実際、過去に幻想種が誘拐される事件が起きたこともあり、迷宮森林の地図として用意された資料は実際の地形と異なることもあるわけだが、傭兵が目にしたものはあまりにも違い過ぎたのだ。
「こりゃ、一人でどうにかなる問題じゃない。一度持ち帰って、依頼主に話を付けるか……」
 何か嫌な予感を感じた傭兵は、来た道を引き返していく。
 そしてその数日後、ローレットへ一枚の依頼書が張り出された。

●あの日見た花園を探して
「ああ、どうも深緑で未踏の迷宮が見つかったらしい」
 依頼書を手に取った貴方に、黒ずくめの男が徐に話しかけた。
 どうやら依頼書にある直接の依頼人ではないが、その依頼についてよく知っている口ぶりだった。
「依頼主――まあ金持ちのボンボンな訳だが、その男の奥さんが昔深緑で迷子になったことがあると。そんで三日三晩、彷徨いまくった中で辺り一面に綺麗な花が咲く花園を見た……らしいんだが、これが何とも曖昧な話でな?」
 更に詳しく話を聞くと、深緑を彷徨った女性はその後無事に生還したわけなのだが、どうにもその時見た花園を忘れられなくなってしまったらしい。
 でも迷子だったから詳しい場所なんて覚えていないし、当時は生きて帰れただけでも儲けだったものだから諦めざるを得なくて、それでも諦めきれなくて。
「結婚してからある日、その女性は旦那に迷子になった時のことを話したんだ。その時は旦那さん、聞き流すフリをしてたらしいんだけど、女性にサプライズをしたくて当時彼女が迷子になったって場所に捜索依頼を出したんだ」
 それから男は、傭兵が飛びつくほどの報奨金を提示したのらしいが、遺跡と迷宮が入り混じった複雑すぎる地形にどの傭兵も匙を投げてしまったとか。
「で、巡り巡って依頼がローレットまで流れてきたってわけ。けど、行くなら気を付けた方がいいぜ。迷ってミイラ取りがミイラになっちまった傭兵もいるらしいからな……」

NMコメント

 いざ、遺跡迷宮へ。
 牡丹雪(ぼたんゆき)と申します。

●状況説明
 昔、深緑で迷子になった女性は、心を囚われてしまう程の花園を見たそうです。
 その女性は結婚後、自分の旦那へその花園のことを話したそうですが、話を聞いた旦那がその後こっそり花園の捜索依頼を出していたとか。
 リプレイは冒頭の後、つまり迷宮に足を踏み入れた直後から描写されます。

●目標『あの日見た花園を見つける』
 女性の話によると下記のことが分かっているそうです。

 ・黄色、白、赤の花が辺り一面に咲いた、少し開けた広い空間
 ・近付けば近付くほど、花の甘くて良い香りが強くなるらしい
 ・風が吹くと花びらが舞い、それはもう綺麗な景色になるとか

●仮称『遺跡迷宮』
 手つかずの遺跡を迷宮森林が飲み込み、巨大な草の壁に覆われた迷宮になっています。
 草の壁は深緑の掟により手を出すことを禁止されている他、遺跡に不思議な結界のような力が働いており破壊などの人的工作が封じられているそうです。
 上記から、穴を開けたり等の強引な捜索は不可能と考えられます。

●敵
 ・猛獣 × ???
  様々な猛獣が迷い込んでいるそうです。
  数はそこまで多くありませんが、出くわせば戦闘になるでしょう。

 ・モウマージ × ???
  大きな鳥の姿で常に飛行しており、鳴き声が聞こえます。
  獰猛かつ強敵で、飛行系非戦を多用すると見つかり襲い掛かってきます。

●罠
 歩いていると自然の罠を踏んでしまうかもしれません。
 迷宮では前だけでなく、下や上にも注意を払う必要がありそうです。

●味方?
 ・迷い込んだ傭兵
  迷って帰れなくなった傭兵です。
  何らかの形で帰り道を教えてあげると泣いて喜びます。

●サンプルプレイング
 必要であれば下記のテンプレートをご利用ください。

-----
◆心情
未踏の迷宮かあ、ワクワクするな!
迷ってる傭兵もいるらしいし、しらみつぶしにゴーゴー!

◆道中
花は匂いが強いみたいだし、超嗅覚で嗅ぎまわりながら進むよ。
途中で傭兵に会ったときに道を教えれるように念写で地図を作れないかな?

◆戦闘
猛獣に会ったら〇〇で攻撃するよ!
-----

●当シナリオについて
 当シナリオはカジュアルシナリオになります。
 結果は自動的に成功となりますので、一つの物語としてお楽しみいただければ幸いです。

  • 忘れられぬ花園完了
  • NM名牡丹雪
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年09月27日 22時05分
  • 参加人数6/6人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
綾辻・愛奈(p3p010320)
綺羅星の守護者
セス・サーム(p3p010326)
星読み
フーガ・リリオ(p3p010595)
青薔薇救護隊
レイア・マルガレーテ・シビック(p3p010786)
青薔薇救護隊
玄野 壱和(p3p010806)
ねこ

リプレイ

●ルインズ&ラビリンス
 聞こえる鳴き声は、十中八九出くわせば襲ってくるタイプの獣だ。
 壊すことができず登ることも難しそうな草の壁は、所々に花を咲かせ、見たことのない果実を実らせている所もある。迷い込んだ獣たちが餓死することなく活発なのは、この迷宮において食料に困ることが無いからなのだろう。
「かなり歩いた気がしますが、先が見えてきません……」
 見渡す限りの草の壁。進んでも進んでも同じ光景ばかりの迷宮に、正直見飽きたと言いたそうな『つまさきに光芒』綾辻・愛奈(p3p010320)はため息交じりに呟いた。
 猛獣や罠に出くわしていないのが唯一の幸いと言えるだろうが、同時に迷い込んだらしい傭兵たちとも出会えていないのが、まるで自身が全く見当違いの方向へ進んでいるのではないかという不安の気持ちでいっぱいになる。
 それこそ普段はインドア派であり、外の世界から来たウォーカーである愛奈にとってはこの迷宮全体が物語の世界の様に思えてしまうのは仕方が無いだろう。
「それにしても、今回のクライアントは……なんというか、浪漫に投資できる方なのですね」
 ぼちぼち歩いていた愛奈は、今回の依頼の内容をふと思い出す。
 いくら金持ちからの依頼とはいえ、傭兵の目が眩むほどの大金――イレギュラーズが命を賭して戦闘し受け取れる報酬をぽんと出されるなんてそうそう無い筈だ。
「愛する人のために私財を投ずることができる潔さといいますか。奥様を大事にされていますね」
 それだけの金持ちであれば、似たような花を探しプレゼントした方がいかに楽で、ここまでの大金を叩かずに済むだろう。男にここまでさせる原動力といえば、妻に対する純粋な愛に違いない。
「依頼のことは勿論だけれど、迷って帰れなくなった傭兵が心配なのだわ……」
 愛奈と偶然居合わせていた『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)は、いる筈の傭兵に一向に会えないことに一抹の不安を抱いていた。
 情報によれば傭兵がここに入り込んだのはおよそ三日前ほど。獣が自然の果実を食べて生きるように食糧には困らないかもしれないが、問題は一部迷い込んだ猛獣だ。
「何とかして助けてあげないと、何かあってから後悔しても遅いのだわよ」
「ええ、どうにかしないとですね」
 華蓮の言葉に、愛奈もコクリと頷き同意する。これから綺麗な花園を見に行くというのに、途中で力尽きた傭兵にでも出くわしたものなら後味が悪い。
 ここまでずっとずっと歩き続けていた二人は、ふと足を止めると精霊に耳を傾ける。
「精霊さん、聞こえるかしら? 私達以外の人を見かけたら、良ければ教えてくださいな。
 素敵な甘い香りのお花畑を知っていたら、良ければ教えてくださいな」
「この付近のことを教えてください。見どころ、危険なところ、それから……迷い込んだ人の事とか……」
 ふわふわと、雪が降るように二人の周りを小さなエレメントが飛び交い始める。
 まるで生まれて間もないような、精霊の幼体だ。それらは数えきれないないほどに集まると、それぞれが好きなように談笑を始める。

 ”傭兵さん、少し前に沢山ここに入ってきた!”
 ”遺跡を壊そうとしたから、森が怒って隠しちゃった!”
 ”森が怒るとね、みんな下にいっちゃうの!”
 ”お花畑も見れなくなっちゃうの!”

「……ふむ」
 それぞれがばらばらで纏まりのない話だったが、愛奈は釈然としない気持ちになる。
 断片的な情報をまとめると、『ここを訪れた傭兵で遺跡を壊そうとした者は、森の怒りを買ってしまいどこかへ隠されてしまった』らしい。
「下……下って何のことなのだわ?」
 妙な胸騒ぎがするのは華蓮も同じらしく、自然と視線は足元へ向く。
 しかしそこには何もなかった。自分の足と踏みしめた土、あとは壁から伸びた多くの草と蔓が視界に入るだけ。
「もう少し詳しく――」
 同じように視線を下へ向けていた愛奈が、エレメントへ向きなおそうとした時だった。
 気配もなく振り下ろされた鋭利な何か。辛うじて目の端でとらえたそれを反射的に避けようと身体が動くが、無情にもそれは彼女の綺麗な首筋に迫る。
「危ないのだわ!」
 咄嗟に華蓮が愛奈の身体を引かなければ、致命傷は免れなかったと抉れた地面が語る。
 忘れかけていた猛獣の存在。愛奈の首を刈り取ろうとした爪は人の手よりも遥かに大きく、それに比例した巨大な狼のような何かは獲物を見るような目で二人を睨んだ。
「詳しいことはこの猛獣を追っ払ってからなのだわよ!」
「っ、ええ。――魔弾よ、穿て。我が猟犬からは逃れられぬと知れ」


「花園、単に迷宮が入り組んでいて発見しにくいだけなら良いのですが」
 ふわり。地に足を付けることなく先へ進む『星読み』セス・サーム(p3p010326)は、花園が本当に存在するのか思考を巡らせていた。
 それは魔術的な守護や、聞いていた甘い香りによる幻覚作用――花園を見たという女性が何らかの形で幻を見ていたという可能性も考えられるからだ。
「今はそうでないことを祈ることしかできませんが……」
 あくまで男からの依頼は花園を見つけることだ。もし花園自体が存在しないのだとしたら、男から報酬は払われど満足いく結果にならないことは目に見えている。それでは駄目なのだ。依頼されたのであればそれを提供する、さながら完璧主義の様に。
 しかしその考察は、セス自身の透視能力により中断することになる。
「おや、あれは――」

「やれ、とんだ災難だ。貧乏くじ引いちまったかな?」
 『黄金の旋律』フーガ・リリオ(p3p010595)は戦慄した。
 迷宮に入り込んでしばらく歩き回り、風に流れてきた叫び声をたどり駆けつけてみれば、一人の負傷した傭兵と見るからに凶暴な熊。足も負傷していた傭兵は、放っておいては獣から逃げることもできず死んでしまう。そう考えて間に割って入ったのが今の状況だ。
「おいアンタ、大丈夫かよ。立てたりするか?」
 まだ意識のある傭兵は、力無く首を横に振った。
 ”果たして傭兵を守りながらこの巨体を倒せるだろうか?”。獲物を変更しじりじりと迫ってくる熊にフーガは、頭を掻いた。しかし悩んでいる暇はない。
「くっそ、今は逃げるぞ!」
 せめて傭兵の怪我を回復する時間さえあれば状況は変わっていたかもしれないが、それを待ってくれるほど自然の獣は甘くない。もたもた回復しようものなら、自分もろとも強打を食らい、傭兵も助からないことは目に見えていた。
 だからフーガは咄嗟に身体を翻すと、傭兵の身体を担いで走り出した。
「ひぃ……お前、うし、後ろ……」
 しかし、担がれた傭兵の情けない声にフーガはギョッとする。
 全長四メートルはあるのでは無いかと思う巨体は、その巨体に似合わぬ俊敏な動きでフーガの背後を捉えると、巨体にくっついた長い腕を振り下ろしてきたのだ。
 あまりにも不意すぎる攻撃に、フーガの回避は間に合わない。
「足元に御注意を。その床は踏むと痛いですよ?」
 絶体絶命のピンチかと思われたそこに現れたのはセスだった。
 いつまで経っても振り下ろされない熊の腕に振り返ってみれば、そこには氷槍が腕に刺さり痛みに悶えた熊がいた。
「向こう側から騒がしい様子が見えたもので、間に合って何よりです」
「ああ、助かったぜ。危うくおいらも帰れなくなるところだった」
 セスに言われなければ気付けなかった、目の前に広がる茨の床。
 傭兵の足の怪我は恐らくこの茨が原因だろう。このまま進んでいればなし崩しのように自分も同じ道を辿っていたと考えると、この遺跡迷宮の質の悪さが伺える。
「ひとまずあの個体の排除を。これでは治療もさせていただけませんから」
「同感だ。探索に支障を来たす前に、さっさと倒そうじゃねえの」


「術式起動 縺帙s縺ョ繝シ 限定行使 しゅうへんたんち」
 同じ迷宮内。地図が無いから座標は判らないが、一人を除いた別の気配を感じないことから、他のイレギュラーズとはそこそこ離れた位置にいるだろう。
 目を凝らし耳を澄ませ、用心深く辺りを観察する『けだま吐いた』玄野 壱和(p3p010806)は、そんなことを考えながら迷宮を進む。
「あるかも知れない場所を追い求めるとは、金持ちの遊びかはたまた単なる酔狂カ……」
「サプライズって素敵ですけど、懸賞金かけすぎじゃありませんの?」
 壱和の言葉にそう反応を返した『青薔薇の御旗』レイア・マルガレーテ・シビック(p3p010786)は、この依頼が内容に対し破格であったことを少し心配する。
 それは依頼主の財布事情の心配が半分。実力不足を感じる彼女がこれならと受けた依頼が、実は金額相応に難しいのではないかとの心配が半分。
「依頼報酬額すげぇよナ。あんだけありゃ一般人なら数ヶ月は遊んで暮らせる額だろうニ」
 レイアの言葉で報酬のことを思い出し壱和は、表情が少しほころぶのを感じた。
 マッピングすることが前提とはいえ、目標を見つけずとも大金が支払われるというのだから、思えば思うほど期待してしまうのは仕方のない話だ。
「そこまで期待されてんなら、さっさと見つけ出してやりますカ!」
 報酬金と比例するようにやる気を再認識させた壱和は、曲がり角の手前で足を止めた。
 壱和の深く耳を澄ませるような仕草に、レイアはキョトンとした表情で首を傾げる。
「そこを右に曲がったうんと先で何かが争ってるナ。ここからじゃ正確な位置が特定できないが、別の場所でも戦闘が起きてるらしイ」
 少なくともレイアには何も聞こえないが、聴力に優れた壱和がいうのだから間違いないのだろうと思う。
「帰れなくなった傭兵……でしょうか?」
「んー……結構激しくやってるし、別働してる仲間じゃねぇカ?
 んまぁ、加勢する必要はねぇと思うゼ。苦戦してるって訳でもなさそうだシ」
 足を進めることを再開し、戦闘が起きているという方向とは反対の左へ曲がった壱和にレイアは少し迷った表情を浮かべるが、少し考えれば納得した表情に変わる。
 同じ依頼に参加したイレギュラーズに柔な者はおらず、大人数で戦うには優れない狭い迷宮の中で戦闘に加勢するよりも、強力な猛獣を抑えてくれているうちに探索したほうが花園を見つける可能性はうんと上がるからだ。

 壱和が道を選定し、その後ろをついていくようにレイアが進む。
 辺りの様子を聴き分けることができる壱和と、猛獣の位置を大まかに感知できるレイアの探索相性が良かったのか、小動物とすれ違うことはあれど戦闘に発展することは一度も無く、足に軽い疲れを感じる程度には歩いた頃だった。
「……う、ン?」
 何かを感じ取った壱和がその場で足を止めると、徐に鼻をスンスンと鳴らす。
 後続のレイアは突然止まった壱和にぶつかりよろけるも、彼の様子を見てハッとした顔になった。
「甘い、香り?」
 微かに感じる花の甘い香りは、依頼の目的である”花園”が近いということだ。
 二人は周りの緑を傷つけないよう細心の注意を払いながら狼煙を上げると、匂いを辿るように駆け足になった。

●フラワーエンド
「これが、噂の花園なのだわ……!」
 辺り一面に広がる花の海に、華蓮は思わず目を見開いてしまう。
 足を踏み入れることすら憚られそうなその空間は、辺りに漂う輝かしいエレメントも相まって、幻想やおとぎ話のそれを連想するほどである。
「ええ、わたくしの方は茨地帯が多く、通るには少し難しいでしょう」
「こっちの道は比較的安全だったゼ?」
 セス、壱和、愛奈の三人は、それぞれが辿ってきた道を報告し合い、迷宮全体の大きな地図を作成していた。そして地図にしてみれば分かる、花園が見つかり辛い理由。
「位置としては遺跡の中央という所でしょうか。そして明らかに遠回りをしなければたどりつけず、彷徨えば同じ草の壁で方向感覚を失う。……”意図的に”迷わせるようとしている、そんな意思を感じます」
 セスが地図に描かれた道を指で辿りながら言うと、残る二人も同意する。
(そういえば、精霊の言ってたことは結局……)
 浮かない表情を浮かべる愛奈を他所に、フーガは花に埋もれて昼寝中だ。
 辛うじて見つけ出せた傭兵二人とそれを介抱するレイアを見ても、十分に休息を取り引き返す必要があるだろう。
 イレギュラーズの一行は、束の間の花園を暫し楽しむのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

PAGETOPPAGEBOTTOM