シナリオ詳細
夏はスイカマン
オープニング
●鉄帝の夏は良い夏だ
「やー、こうして来てみると良い場所だよなー、鉄帝のビーチもさ」
「そうよね。海も綺麗だし砂浜もサラサラだし。スイカも浮いてるし」
「そうそう、スイカも……ん?」
何か今おかしな言葉が出て来たな。
そんなことを思いながら男が海へ視線を向けると……巨大なスイカが浮いている。
全長はおよそ10mほどだろうか。
デカい、デカすぎる。なんだあのスイカ。
沖の方で揺れているが、一体何故あんなところに超巨大スイカが。
「見て、野生のスイカもあるわ!」
「野生のスイカァ!?」
彼女に言われて振り向いた先。そこには確かに砂浜の上に乗ったスイカ。
ああ、なんだ。誰かが置いてったスイカか。
ホッとした矢先。スイカがカッと目を見開く。
「!?」
ゾババババ、と砂浜の中から立ち上がるスイカマン。
全身スイカ迷彩の恐るべき何かだ。
「君……夏を満喫しているかい?」
「だ、誰だお前!」
「私か? 私は……スイカに宿りしスイカの精霊……スイカマンだ!」
「スイカマン!?」
きもい。そんな言葉が浮かぶ前に、スイカマンはクラウチングスタートの態勢をとる。
「さあ、やろうじゃないか。私が君を割るか君が私を割るかの熱い夏の戦い……もし君が勝ったなら」
「か、勝ったなら?」
「私の顔をお食べよ!」
「う、うわあああああ! やべええええええ!」
そんなこんなで現れた巨大スイカとスイカマン。
実のところ、それを予測していたイレギュラーズがいたのである。
●巨大スイカの話
シレンツィオリゾート。今年の夏アツいリゾート地だ。
しかし鉄帝だって負けてない。鉄帝にだって凄いリゾートは幾らだってあるのだ。
一部除いて脳筋ばっかりだからそういう方面に気が回らないだけで。
そう、そうなのだ。鉄帝にだって鉄帝の夏のリゾート事情を憂う者はいる。
どうすればかのシレンツィオに勝てるのか?
高級志向では勝てるはずもない。なら、どうする? どうすればいいのか?
簡単な話だ。夏の目玉を作ってやればいい。
そう考えた研究者が居たのだ!
「まあ、そいつはやらかす前に鉄帝式ブレーンバスターで監察官に沈められたのですが。実のところ、そいつが何かやらかすより先に今年の鉄帝のビーチにおかしなものが現れてまして」
「えーと……?」
なぜ自分が『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201) に呼ばれたのか分からず『特異運命座標』佐倉・望乃(p3p010720)が首をかしげていると、チーサは「巨大スイカが出たです」と口にする。
「えっ」
確かに巨大スイカが出るかも、と言ったことを望乃は思い出す。
まさか本当に出たというのか。
「どうにも鉄帝の海に巨大スイカと、その眷属と思われるスイカマンが現れまして。どうしたもんかと悩んでたところ、それを予測した人が1人いたな……と」
「ええー……それでわたし、ですか?」
「ついでに夏もエンジョイしてくるといいです。思う存分スイカ割りするです」
夏はスイカマン。
思う存分スイカ割りする機会が……此処に、訪れたのである。
- 夏はスイカマン完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年08月31日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●戦えスイカマン
「いろいろ言いたいことはあるんですけどなんで野生のスイカがビーチにいるんですか! 畑じゃなくて! まあいいです、折角の夏のビーチ、スイカ割りを思いっきり堪能してやります!」
夏の鉄帝ビーチに水着姿の『白銀の戦乙女』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)の声が響く。
ビーチにはスイカマンのせいか一般客の姿はなく、貸し切り状態になっているが……まあ、仕方のないことではあるだろう。
何しろこのビーチの沖には巨大スイカがあって、砂浜にはスイカマンが出るのだ。
こんな状況で遊べる強靭な精神を持つ者は、そうはいないだろう。
たとえ空が青くて太陽がまぶしくて、波が素敵な音を奏でていようと……だ。
ちなみにシフォリィとしては今年の水着は露出多いので他の人の目が気になるらしいので……この状況は逆に良いことではあるのかもしれない。まあ、確かに布面積の少ない今年の水着は少しばかりセクシー度が高くはあるだろうか。
「あ、あとお皿たくさん用意しておきます。スイカ食べたいので」
机は用意されているので、皿があれば問題はない。
「なるほど、割るか割られるかのスイカ割り勝負……熱いですわね! 私もお一つ頑張ってみると致しましょう♪」
桃色のちょっとセクシーな水着を纏うのは『悦楽種』メルトアイ・ザ・ベルベットムーン(p3p000674)。
なんともやる気満々なメルトアイだが……シフォリィも、他の女性陣も負けてはいない。
「夏と言えば! スイカ~~!!」
『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)も可愛らしい水着を身に纏い、コャーと声をあげている。
「コャー。海は苦手だけれども、スイカは好き。わたしなの。本日はいっぱいスイカが食べられると聞いてやってきましたの」
「いやー……巨大パイナップルが出たのですから、巨大なスイカも出るかもしれませんねー、ついでに、夏ですしビーチでスイカ割りしたいですねー……なんて、どこかで言ったような気もしますが、まさか本当に現れるとは。これはもう、全力でスイカをかち割ってスイカパーティーするしかありませんね!」
「とはいえ動くスイカとは面妖な……しかし割って食べれば普通のスイカと変わるまい」
『特異運命座標』佐倉・望乃(p3p010720)も気合を入れ、『力こそパワー』三鬼 昴(p3p010722)もそう何度も頷く。
そう、食べれば普通のスイカと変わらない。だからこそ『青薔薇の御旗』レイア・マルガレーテ・シビック(p3p010786)も夏の空を見上げる。
「夏もそろそろ終わりですね。今年はスイカを食べていない気がします。みんなでスイカをやっつけて美味しくスイカを食べる、これに限りますね」
その今年初のスイカがスイカマンでいいかどうかは疑問が残るが……まあ、本人がいいならいいのだろうか。
そんなレイアだが、夏用のワンピースに軽く羽織をかけて日焼け止めを塗っている。用意したグラスは、この後皆で楽しむためのものだ。
ちなみに望乃、ドレイク・チャリオッツのドレイク君の荷馬車に、食器や調味料、調理器具等を詰んで現地に持参してきていた。
勝つのを前提に美味しく食べる気満々である。
ちなみに、数少ない男性陣のテンションはどうか。『黄金の旋律』フーガ・リリオ(p3p010595)は大分余裕がありそうだ。
影を作るように日傘を差しているが、この辺りは気遣いといったところだろうか。
「スイカ割り、したことはないけど面白そうだな。望乃『姉ちゃん』達のためにもひと肌脱ぎますか」
言っていることにもちょっとイケメンが漂っている。
一方の『悪戯幽霊』クウハ(p3p010695)は……どうにも何か迷っているようだ。
「スイカマンのあのノリ、なーんか知り合いに似てんだよなァ。話通じなさそうだったり、拒否っても無理矢理顔食わせてきそうなところがよ。アイツの場合、スイカじゃなくて食パンだが。……思い出したらムカついてきたわ。憂さ晴らしにカチ割っとくか」
どうもクウハの人生、色々と闇が深そうである。頑張って生きて欲しい。
「君……夏を満喫できていないのかい?」
「ん? うおっ!」
気付けば、クウハの足元には野生のスイカが1つ。
それは目をカッと見開き、ゾババババと砂の中からスイカ迷彩のスイカマンが現れる。
「出やがったか……! 食い物の癖に襲いかかってくるとはいい度胸じゃねェか。あ゛? テメェらは大人しく食われときゃいいんだよ! 色んな意味で塩撒いてやる!」
ゾババババ、と現れるスイカマンたちは、夏の熱いバトルの合図だ……!
「チーサ、一緒にやろう!」
「ヤです」
フーガが『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201) に断られていたが……フーガたちの活躍を邪魔するまいという優しさである。たぶん。
●なんだこれは! そう、それは夏の風物詩、スイカマンである!
「スイカチョップ! スイカチョップ!」
「速ぇ!? しかも攻撃集中してやがる!?」
「そんな速さじゃ夏の太陽に置いて行かれちゃうゾ☆」
「ぐわー、うぜェ!」
奇しくも1人1体がノルマのような形になってしまった状況下で、クウハはスイカマン相手に立ち回る。
Bandersnatchを振るい斬り裂けば……スイカマンは、あっという間に真っ二つになって砂浜に落ちる。
凄い弱い。弱すぎる。そう思いながらも、クウハはスイカを持ち上げる。
「よく考えりゃこれ、倒した所で毒スイカになってそうだよな……デカイスイカが浮いてんのに、わざわざコイツらを食いたいなんて奴もおらんだろうし、別にいいか」
試しに叩いてみると中身が詰まった良い音がするが……ちょっと悩むところでは、ある。
そしてシフォリィは……こちらはちょっと倒し方にこだわりがあった。
「強力な力で割るのもいいですが私は出来ればスイカが多い方がいいと思うので……」
「フッ、夏を楽しもうというのだな!? いいとも、私を倒せば無傷でスイカが手に入るぞ!」
「なんと……」
ああ、なんと親切な仕様だろうか。シフォリィはちょっと感動しつつもスイカマンにオーラレイ・ピアースを放つ。
割れてしまったら世界は無常。そう考えていただけに嬉しい知らせだ。
「ぐわーっ!」
そして弱い。スイカマン、弱すぎる。ボトリと落ちたスイカをシフォリィは持ち上げて……見据えるは巨大スイカ。
「まずはスイカマンの皆様との戦いですね。とはいえ、どうやら一撃で勝負は決まるご様子……!」
「私たちはスイカの精霊! 一撃受けて倒れるはこれ礼儀なり!」
「ではこの触手の一撃でお相手致しましょう!」
なんだか知らずのうちに熱血な展開になりながらも、メルトアイが剣魔双撃でスイカマンを割れば、やはり無傷のスイカがゴロリと転がって。
回収したスイカをメルトアイは日陰に持って行っていく。幸いにもフーガが日陰を作ってくれていたので、その辺りは明確である。
「つまり、スイカマンを倒して割ってスイカパーティーをすればいいのね。果たしてスイカマンのマンの部分は食べられるのかしら~」
「君は恐ろしいな! ちなみにマンの部分は食べられないぞ! マンだからね!」
「コャー」
胡桃がちょっと怖いことを言っているが、食べられないらしい。
ちなみに食べられたら食べるのかはちょっと謎だが……あまりツッコまない方がいいのかもしれない。
「この勝負、分が悪いと言わざるを得ぬのはあるの。何故ならば、いつものように燃やすとスイカがただの灰になってしまうが故。美味しいスイカの為にも、ここは相手の土俵に乗ってスイカ割り勝負を挑むしかないかしら~」
「フッ、その意気や良し! さあ、勝負だ!」
先に動いたのはスイカマン。放ったスイカフィンガーソードは意外に強い。
強いが……胡桃を倒すほどではない。故に……すでに勝負は決まった。
「こやんぱんちからのこやんちぇすとなの」
「ぐわーっ!」
そしてフーガだが……チラリと自分の無名のトランペットに視線を落とす。
流石にトランペットでスイカマンを割ろうとする様はシュールだと分かっているので、挑むのは手刀でだ。つまり……。
「スイカチョップ、スイカチョップ!」
「そこだ!」
「ぐあー!」
レジストパージで手刀を放つが……意図せずしてのチョップ対決である。
スイカの果肉が直射日光で温まらないよう日傘の影に避難させ、周りを見回せば……どうやらそろそろ決着がつきそうだった。
「割るか割られるかの真剣勝負なので、手は抜きません!」
「ぐあー!」
望乃がギアチェンジからの魔砲でスイカマンを撃破すれば、昴もサイドチェストを決めて闘志を高めると共に筋肉の調子を上げていた。ちなみに何故かスイカマンはサイドトライセップスをきめていた。
「地獄みてェな光景だよなァ……」
クウハが思わずつぶやいたのも無理はないが、昴のサイドチェストはマッドネスアンカーの発動ポーズであり、スイカマンのサイドトライセップスは単なるポージングである。うん、やっぱり地獄だ。
「かかってこい……私が相手だ」
「いいだろう……モストマスキュラーで勝負……そういうことだな?」
何故昴の相手しているスイカマンだけムッキムキなのか。
何故互いにポージングを別のものに移行しようとしているのか。
鉄壁前髪のせいで昴がどんな顔をしているかは分からないが……筋肉が全てを語ってくれる。
まあ、結局昴の「安心しろ美味しく食べてやる」を想いを籠めたクラッシュホーンの一撃で勝負はついたのだが。
「……あとは任せた」
昴は巨大スイカとの戦いに参加する気はない。昴がポージングしている時にレイアもスイカマンをさっさと割っていたので、残るは巨大スイカのみだ。
「私は巨大スイカの行く末を見届けましょう。少なくとも私は「夏の戸惑いビーム」に当たってしまうと歩けなくなってしまうので、遠くから見届けます」
レイアがそう言えば、残った面々は顔を見合わせる。
「他にタイマンする人がいなければ腹を括ってわたしが挑みますけど……」
望乃はそう言うが、すぐに「その必要もなさそうですね」と付け加える。
フーガとクウハの男性陣2人も、同様だ。
「巨大スイカの方のタイマンはお任せしてしまっていいかしら」
胡桃もフレー、フレー、と応援体制に入っている。
そう、シフォリィとメルトアイが一番手を巡ってジャンケンしていたのだ……!
実に6度のあいこの果てにシフォリィが一番手を勝ち取れば、メルトアイはフッと微笑む。
「では一番手は御譲りいたします。私の場合、ビームを浴びせられても……もしかすると水着の色が変わるだけのような気が致しますし。下手をすると露出が減る可能性すらあるやも。なれば、此処はお任せするもまた悦楽種としての矜持……!」
「夏の戸惑いビームにあたったら私は水着がスイカビキニになるんですかね。誰ですかスイカが増えるとか言ったのは」
言ってない、とフーガとクウハが首を横に振る。さておいて。
「では参ります……ってうあー!」
巨大スイカから放たれた夏の戸惑いビーム。それは、しっかりとスイカを2つ増やして。
「必殺の一撃で割りたいところですがあえて千の技、斬影千手で……いきます!」
そうしてスイカ……もといシフォリィの攻撃が巨大スイカを多重に残像を生じる圧倒的スピードで叩き切れば、それはスイカパーティの始まりである。
「スイカパーティーですわ!」
メルトアイの言葉を合図に、フーガがどこでも簡易キッチンを展開する。
「スイカは焼いても美味しいって何かの本に書いてあった気がするんですよね」
「塩持ってきたんで使いたい奴は勝手に使ってくれ。スイカが余るようならタッパーにでも詰めて持って帰ればいいしな」
「スイカのアイスティーも美味しいですよ!」
「ちなみに私はスイカには塩をかけない派だ。他人の食べ方に口を出すつもりは全くないが、やはりそのまま食べるのが一番うまいと思うからな」
「夏場は水分には気をつけないといけませんからね。どうせならスイカジュースも作って皆さんで乾杯するのも楽しいかもしれません」
「スイカといえば、冷水で冷やしたのを食べたり氷菓子に加工したりするのは見たことあるけれども、まさか焼くレシピがあるのは知らなかったの」
「おいらそのまま食うことしか知らないから、いろんなスイカ料理、もっと教えてほしいな」
それぞれが、楽しげにスイカを楽しんでいく。何しろ巨大スイカの残骸を含め、スイカはたくさんあるのだ。
どんな食べ方をしたって、思う存分食べられる。
だから、皆でたくさんスイカを食べて、楽しんで。
「ふふ、素敵な夏の思い出ができました」
望乃が、そう言って笑う。
ビーチに人が戻るのは、もうちょっとかかるかもしれないけれど。
この日、ビーチには確かに平和と笑顔が戻ったのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
夏のスイカほど美味しいものはないですよね
GMコメント
はい、というわけでスイカ割りです。
皆さんの前に現れるスイカマンを叩き割って、巨大スイカに挑みましょう。
無事にスイカを割ったら、夏のビーチを楽しみ放題です。
いやー、夏はスイカ割りですよね!
●スイカマン×8
極上スイカに宿るスイカの精霊(自称)。
割るか割られるかのスイカ割り勝負を挑んできます。
割るとスイカに戻ります。まあ、割れてるんですが。
使用技はスイカチョップと輝くオーラみたいな剣で相手を叩き割るスイカフィンガーソードです。
●巨大スイカ
沖に浮いてる全長10mの巨大スイカ。
全てのスイカマンを倒すと割れるようになります。
ただしこのスイカ、相対する人数が多い程強くなります。
誰か【1人】がタイマンバトルするのが良いでしょう。
大丈夫、そんなに強くないです。貴方の必殺の一撃を叩き込みましょう。
使う技は相手の服や水着がスイカ色のちょっとセクシーな水着になる「夏の戸惑いビーム」です。
なお、水着は夜になると戻るらしいです。BSじゃないって……こと……?
今回、チーサも同行していますが、その辺のビーチベットでトロピカルしてます。
何かあればどうぞ。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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