PandoraPartyProject

シナリオ詳細

氷を求めて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●氷の入手法とは
 夏真っ盛り。
 世界的にかなりの暑さを見せる中、覇竜領域デザストルもまた例外ではなかった。
 これでもかという暑さの中、地下にこもって暮らしていようと熱気はやってくる。
 うだるような暑さの中で人々は自然と涼を求め、涼しい場所に集まったりする。
 フリアノンを歩くドラネコも自然と集まってダレているが、まあ仕方のないことではあるだろう。
 そんな中、氷をかじる人々の姿も見受けられるし、酒を呑んで僅かな涼をとる者もいる。
 そして……それを見ていた『黒き葬牙』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は、ふと気付く。
 氷。
 当たり前のように氷を使っている人々がいるが、何処で手に入れているのだろうか?
 水であればフリアノン水道があるが、氷が手に入るわけでもないだろう。
 ならば覇竜の人々は氷を何処で手に入れているのか?
 ある程度の安定した入手手段がなければ、あんな普段使いは出来ないはずだ。
「氷、か」
 ベネディクトも覇竜のことは大分知ってきたつもりだが、まだまだ知らないことは多すぎる。
 いや、むしろ知らないことのほうが多いだろう。
 それは自然なことであり、知らないと知ったからにはその疑問を解決してみたいと思うのも……また、自然なことであっただろう。

●知らないなら聞いてみよう
「ふむ、氷?」
「ああ、相賀翁。貴方なら知っているだろう?」
 今日も今日とて酒の仕込みをしている『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)に、ベネディクトはそう問いかける。
 何かあれば相賀に聞いてみれば、余程重大な機密の類でもなければ答えは返ってくるだろうという部分はあるのだが、今回も相賀は「あー、なるほどの」と周囲を見ながら頷いた。
 周囲であれだけ氷を使っていれば、入手場所が気になるのは当然だろうと、そう察したのだ。
「アレはな、ウェスタ方面から運んでくるんじゃよ」
「なるほど、ウェスタか」
 水と縁深いウェスタには無数の水源があるが、その中には氷の洞窟といったような場所も存在する。
 どういう理屈か一年中分厚い氷が張っており、大きな氷柱の類も切っても切っても生えてくる。
 ならばと氷をどこから切り出してあちこちに運んでいるが、なくなる気配もない。
 恐らくは水を凍らせるような「何か」があるのだろうが、今のところその「何か」については不明だ。
 別に害があるわけでもないし、むしろ役に立っているのだからわざわざ解明する必要もない。
 もし何かがあって氷が入手できなくなるようなことになっては、その方が問題だからだ。
「と、いうわけでの。教えたついでに氷を運んできてくれんか?」
「それは構わないが」
 快諾するベネディクトに、相賀はそっと耳打ちするように囁く。
「……実はの。ちーとばかし問題が発生したらしいんじゃよ。ま、お主等なら特に問題はないじゃろ?」
 そう、氷が出来ては削られるこの状況に刺激されたのか、氷のゴーレムじみた何かが氷の洞窟の中を歩き回っているのだという。
 どうにも暴れん坊なようで説得は通じないが、氷が手に入らなくなるのは困る。
 倒してしまって、使用量の高くなっている氷を運んできてほしい。
 つまりは、そういうことであるらしい。

GMコメント

ウェスタ近辺の氷の洞窟に向かい、アイスゴーレムを倒し氷をフリアノンまで運びましょう。
氷の洞窟は全面が厚い氷で覆われており、天井からは大きな氷柱がぶら下がっています。
好きな氷を削って持って帰りましょう。
無事に持って帰ったら相賀が未成年には果実ジュースを、大人にはお酒を氷を入れて出してくれます。

なお、敵のデータはこのような感じです。

●アイスゴーレム×1
全長2m。氷の結晶がクリスタルのようで綺麗な「一応人型」ゴーレムです。
冷たい氷の拳で相手を殴るアイスパンチや、極低温の波動を放つ「冷たい波動」などを使います。
凍結系統のBSを相手に与える事ができるようです。

●アイスビット×5
全長80cm。宙に浮く氷の塊です。アイスゴーレムの周辺にいます。
極低温の光線を放つ「アイスビーム」を使います。凍結の効果があるようです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 氷を求めて完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年08月27日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
越智内 定(p3p009033)
約束
秦・鈴花(p3p010358)
未来を背負う者
四(p3p010736)
特異運命座標

リプレイ

●氷の洞窟へ
「さて今回の仕事は、洞窟から氷を回収する事、だったな。現代にいりゃあなんてことない氷だが、こちらでは貴重だろうしよ。俺達が涼む為にも、邪魔は排除しねぇとな」
 『侠骨の拳』亘理 義弘(p3p000398)たちがそんなことを言いながら向かう先は、氷の洞窟だ。
 この暑い夏、そうした場所から氷が安定的に手に入るのはとても素晴らしいことではある。
「多少は落ち着いたとはいえ、まだ暑いからなあ。冷たい物はやっぱり欲しくなるよね。そう考えるのは誰しも同じ、そしてそこに守り手が出るのも当然と。それ自体に非はないけど氷は持ち帰らせて貰うよ! 何より覇竜のお酒は美味しいしね!」
 『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)も義弘にそう頷くが、今回は氷の洞窟に現れたアイスゴーレムを倒すのが仕事である。
「洞窟で不可思議に作られた氷かあ……楽しみだぜ。不純物が混じらない様にじっくりゆっくり作られた氷ってスゴい美味しいんだよね、口当たりが違うっていうか。それに溶けにくさも段違いだ。日陰に置いておけば真夏でも半日は保つぜ。それにしても……いくら涼しい洞窟に来るからってこの恰好はまだ早かったみたいだ」
 新しく依頼用に用意した服なのだけれど……あ、暑い! と、『なけなしの一歩』越智内 定(p3p009033)は呻く。
 そして、そんな定に同意する者たちもいる。
「夏もそろそろおしまいね、なんて思ったけど……あつーい! 氷よ氷、さっさと倒して氷を持ち帰って涼むわよ! あ、おちなんとか! 終わったら希望ヶ浜の美味しいお店教えるって約束忘れないでね!?」
「まだまだ暑い日が続くな……だからこそ氷は必要か。そのためにもまずはアイスゴーレムとアイスビットを倒さないとな」
『特異運命座標』四(p3p010736)と『パンケーキで許す』秦・鈴花(p3p010358)に、定はちょっと遠い目になる。
「あっ……ッスゥーーーおちないんとかスゥーーー……」
(秦さん、悪い人では無さそうなんだけどコワイんだよね……ギャルっぽいと言うか、押せ押せと言うか、イケイケと言うか……)
「あっ何も言ってないスゥーーー……」
 何やら大変そうだが、定には頑張ってほしいところではある。
「ふむ、ゴーレムが邪魔して氷を運べないのは今の時期には少し問題になるな。幸いにしてそこまで多いわけではないみたいだし今のうちに退治して安全を確保しておくとしよう」
 『優穏の聲』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)もそう言いながら地図を確認する。
「現場までは教えられた通りのルートを通れば危険は少ないだろう。ルートを外れないようにしなければな」
「そうですね。しかし、今のところ氷に繋がる要素はありませんが……」
 ゲオルグに『紅炎の勇者』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)が頷きながらも首を傾げる。
 色々と疑問はあるが、現地についたら解決するだろうか?
 『黒き葬牙』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)も色々と考えていたようで、今は相賀の話を思い返していたようだった。
「成程、氷はウェスタからか。確かに原理を解明して妙な事になっても困るな……好奇心が猫を殺すとも言うし、知らぬままのほうが良い事もあるのだろう。それに、この暑さでは使用量が増えるのも頷ける……里の皆の役に立てるならば、それで良しだ」
 そんなベネディクトは茶太郎に乗りながら進んでいるが、氷の洞窟に行くのは実際初めてだ。
「この先が氷の洞窟か、雪に覆われた場所には赴いた事はあるが氷の洞窟は初めてだな…」
 物珍しそうに周囲をきょろきょろする茶太郎を撫でるが、その気持ちはベネディクトとしてもよく分かる。
 覇竜に来るのは初めてだったはずだから、物珍しいのだろうか……と、そんな気持ちで自然と手つきもいつもより更に優しくなる。
「よし、ついたな」
「この洞窟内にはアイスゴーレムが居座っているらしい。まあ、アイスとついてるくらいだ、涼しい場所の方が過ごしやすいし溶けにくいんだろう」
 ゲオルグと義弘が頷きあい、そうして氷の洞窟の中へと進んでいく。

●氷の洞窟
「覇竜の土地は、やはり場所によって地相に随分と大きな偏りがある様子。この洞窟は氷……氷なのか、間接的に氷が発生しているだけなのかは分からないですね。気候に関係しない属性の偏りは精霊とも多分違う要因……何某かの原因はあるのでしょうけど」
 リースリットは周囲を確認しながら、そう分析する。
 見ても「断定はできない」というのがリースリットの見立てだった。
 まあ、確かに原因が何であるにせよそれを調べるには相当掛かるだろう。
 そうして歩いていくと……なるほど、確かにゴーレムとその周囲を浮遊するビットが居座っている。
 こんな歩いてすぐに出るのでは、確かに危険でたまらないだろう。
 アイスゴーレムは鈍い音を立てながら此方へと歩いてくる。どうやら戦意は旺盛、戦いは避けられない。
「先ずは、採集作業の邪魔になる敵を全滅させましょう!」
「だな。ともかくこいつには悪いが、ぶん殴って破壊しなければ氷は手に入らない。周りのビットごと砕くしかねぇな」
 リースリットに義弘もそう応え、拳を握る。
「今回はサポートに回る……! 氷を運んだ後のお楽しみの為にも、なるべく全員怪我なく帰りたいしな」
 ゲオルグも2丁の魔狼の咆哮を構え、まずは一撃とフルルーンブラスターを放つ。
「とにかく、邪魔な奴らをやっつけましょ! アタシは氷を美味しく食べるためにも、飛び回って動きまくって掻き乱すわ!」
「んじゃ行くとするか!」
 鈴花が叫び義弘の八岐大蛇が放たれれば、巻き込んだアイスビットに亀裂が入る。
 どうやらそんなに強くない。それを確信して義弘は太い笑みを浮かべる。
 続けてベネディクトが黒牙天墜を放ち四がプラチナムインベルタを放てば、アイスビットは甲高い音をたてて崩れ去る。
「よし、やった」
「後はアイスゴーレム1体、一気に終わらせよう!」
 ベネディクトが叫び、リースリットがシルフィオンをアイスゴーレムへと放つ。
 とはいえ、流石にアイスビットよりは硬い。傷つきながらもまだ暴れ回る。
「いやはやキミに殴られると痛そうだからねぇ」
 だからこそ、ケイオスタイドをルーキスが展開させていく。
「バッドラックとダンスのお時間だぞー」
 ただでさえ動きの鈍いアイスゴーレムであれば、充分すぎる嫌がらせになるし威力自体も充分だ。
「ほーらだんだん身体が重くなるー」
 そして、そこに定が一気に接近し鋼覇斬城閃を放つ。
「氷を切り出していい感じのかちわり氷にしてやるぜ!」
(実際は超怖いけれど! そりゃそうだろ、あんな手でブン殴られた日には氷嚢がいくつあっても足りないんだからさあ!)
 とはいえ、カッコつけるのは男のサガ。激しいひび割れを作ったアイスゴーレムに、鈴花が頭上から黒顎魔王を撃ち込む。
「頭上注意、って看板立てておけばよかったかしらね!」
 その一撃がトドメとなって、アイスゴーレムがガラガラと崩れ落ちる。
「よし、ゴーレム達を破壊できたし、氷の回収といくか。今更だが、どうやって運ぶんだ? クーラーボックスがあれば担いでいくがよ」
「そうだな……元々、こっちが本命の用事なわけだが。あまり多く持って行っても、帰るまでに溶けてしまうだろうから必要な分だけ手分けして持って帰るとしよう。いや……あるいは多めに切り出して必要量を届けられるようにする、か?」
 義弘にゲオルグがそう答えれば、全員が同意するように頷く。この氷の洞窟にある限りは溶けないだろうが、今は夏。時間がかかればかかるほど溶けてしまう。
 だからこそスピード重視か安定性重視かは、中々に悩むところだった。
 そしてリースリットも、この氷の洞窟を改めて見回していた。
「自然に発生したゴーレム……こういうものが発生するのなら、やはり何かある可能性が高そうですね、ここは。とはいえ、調べようも殆ど無さそうですし、気にしても仕方ないか。むしろ、此処で生成される氷の質の方を気にした方が良いですね」
 言いながらリースリットは周囲の氷を確かめる。
 氷の壁、氷の天井、つらら……どれも透明度が高く、非常に美しい氷だ。
「これまで長年利用してきているのなら特に問題は無いのでしょうが……良くも悪くも、何かしら霊的な影響を受けている可能性も無いでもない、か? 念のため、水と氷の精霊にこの地の氷の感触について尋ねてみましょうか。特に問題無く夏場でも高品質な氷が産出されるのなら……本当に凄い場所です」
 幸いにも近くに居た精霊と言葉を交わせば「美味しい氷だ」という答えが返ってくる。
 なるほど、理屈は分からずとも良い場所ではあるらしい……とリースリットにも納得できるシンプルな回答であった。
「これなら、氷室も安定して運用できますね……という訳で、ひとまず特に質の良さそう氷の切り出しと運び出しをしましょう。多めに持っていっても、持ち運びの手間はかかりますけど、多ければ多いほど喜んでいただけると思いますよ」
 そんなリースリットの一言で方針は決まり、全員で氷の切り出しを始めていく。
「問題無さそうだし、かき氷を作る為の氷を持って帰ろうか。多めに持って帰ると帰りが大変だが、頑張ろう」
 ベネディクトもそう言いながら、自ら切り出しに参加していく。
 そして定はその途中でアイスゴーレムの残骸にチラチラと視線を向ける。
「アイスゴーレムだったものも氷として使えるのだろうか? もし使えたら良さそうだよね」
 思いつくと、定は大きな氷をピックとかでくりぬいて器やコップにしてみようとし始める。
「氷に氷を入れて楽しむなんて面白そうだろう? 帰る時にはビニール袋に氷を入れて持ち帰ろう。これで帰る途中に溶けて来た氷を飲むと冷たくて美味しいんだ。皆の分もあるからね」
 つまるところ凍らせたドリンクの理論だが、確かに冷たくて美味しいだろう。
 そうして道中の楽しみも見出しつつ持って帰れば……いよいよ、報酬として用意された山のような氷の一部が、水と共に簡易プールに満たされて鈴花が水風呂……もとい水プールを楽しみ始める。
「うぅ、冷たい……! けど、戦って疲れた手足を浸すだけで疲れが飛んでいくの。皆もどうかしら」
 そんなお誘いがありつつ、酒やジュースも配られていく。
「暑い季節にこれは、気持ちいいですね」
 一口飲んでリースリットも、そう軽く微笑む。
「氷を楽しむならばやはりウイスキーのロックかね」
 義弘もいいながら、グラスをカランを鳴らす。輸入モノではあるだろうが、上物のウイスキーだ。
「ああ、飲み慣れない奴もいるようだから無理に飲ませるなんてしねえぞ。酒は飲んでも飲まれるな、だ。楽しくねえとな」
 一口飲めば強い酒精が冷たさと共に広がっていく。報酬としてはまあ、上々といったところだろうか?
 一方のゲオルグは、こちらはまた違う楽しみ方をしていた。
「この暑い時期には、氷を入れてしっかり冷えた酒を飲むのがうまい。とはいえ、やはり酒を飲んでいたらつまみが欲しくなってくるというもの。焼き鳥とか、唐揚げとか、刺身とか……美味い酒には美味い肴が必要なのだ。果実ジュースにはクッキーとかチョコなんかが合うだろう。折角だし、何か食材があるなら作ってしまおうか」
 相賀に聞いてみれば食材が出てきて「やはりか」と思いながら焼き鳥をゲオルグは作り始めるが……そこで「おっと」とゲオルグは声をあげる。
「いかんいかん。私だけ楽しんでしまってはいけないな。ふわふわ羊のジークにも果実ジュースを飲ませてあげよう」
 ギフト「ふわもこフレンズ」でジークを呼びだしたゲオルグの顔は、なんとも幸せそうだ。
 そしてルーキスは此方は相賀に直接絡みに行っていた。
「へーい! 雑賀さーん、良いお酒入った?」
「ほっほっほ。まあボチボチ、といったところかのう。ほれ」
 出された酒には丸い氷が入っていて、ルーキスは漂ってきた甘い香りを感じながらグイッと呑む。
 これも酒精は強いが、甘くて飲みやすい。
「簡単に酔うような身体の造りはしてないからね。とはいえ飲み慣れない子は居るだろうから、つぶれちゃった子は介抱しておかないと」
 言いながらルーキスは見回すが、今のところ潰れている者は……いなさそうだ。なら、まだ吞んでいい。
「……なんだ? こんな姿だがちゃんと成人だぞ」
 四も問題は無さそうだ。なら、何も心配はいらないだろう。
「もう一杯!」
 さて、ベネディクトだが……なんと相賀に頼んで静李を読んでいた。
「君が呼んでいると聞いた時は何事かと思ったが……そうか、氷か」
「相賀翁から聞いていなかったのか?」
「話さない方が面白いと思ったんだろう。あの爺様はそういうところがある」
 言われてベネディクトは「確かに」と苦笑する。今も聞こえているだろうに、飄々と酒を注いでいる。
「君の分も氷を持って帰って来たんだが、どうだ?」
 そうして差し出したのは、ベネディクトが自腹で買った酒やジュースをシロップにしたかき氷だ。
 全員に振舞う為のものだが……静李に差し出したのは、果物のかき氷だ。
「ウェスタに来たのだし、君に挨拶もしておくべきかと思ってな。そう言う訳でお土産のかき氷だ。それと新しいうちの仲間を紹介しておこうかと思ってな」
 静李は茶太郎を見て「大きいな……」と呟くが、すぐに慣れたようだった。
「ん、美味しい。あの2人にバレたら何か言われそうだ」
 この場にいない2人のことを思い浮かべている静李に微笑みながら、ベネディクトは「さて」と呟く。
「俺はやはり先ずは酒をかけた物から食べてみようか。茶太郎は果物の物を食べような」
 鈴花は、こちらも中々に楽しんでいる。
 今はただ氷を飲み物に入れるだけじゃ味気ないし、細かく砕いた氷を使ってかき氷に……と、ベネディクト頼りだけではなく自分でも作ろうとしていた。
「相賀、とっておきのフルーツシロップとかもあるんでしょ! 出しなさい!」
「ほっほっほ。酔っとるのう。ほれ」
「酔ってないわ! てんこもりの氷にフルーツシロップとお酒とでスペシャルなかき氷! 何杯でも食べられ……んん? れぇ、らんらのよこりぇ、氷なのにあついんらけど!? ひょっとどういうことなのよ、きいてる!?」
「知らないですスゥーーー……」
 定が絡まれている。可哀想に。あ、定がポイされた。
「なによこのまあるいの!? 茶太郎……あっもふもふ……ねえアンタなんでこんなまあるいのよ!? おにく!? 食べられるの!?」
「食べられないぞ」
「ああいう大人にはなるまい……」
 ベネディクトに方向転換され、静李に教材にされているが……そんな鈴花の向かった先はまたしても定だ。
「そうだわ、ちょっとおちなんとか! 約束覚えてるわよね、ぜーったい今度美味しい店紹介してよね!? おちなんとかはおちなんとかよ、えーとなんだっけ……そう、おちない! おちないよ! 覚えたわ、多分もう忘れないはず……ぐう」
 そのまま寝た鈴花をそっとそのままにしつつ、定は周囲に視線を向ける。
 そこには義弘とゲオルグが居て。2人は、大人の余裕の笑みを定へと見せる。
「大丈夫だ。しっかりオチたぞ」
「ああ、オチたな」
「あ、そうですねオチですかこれスゥーーー……」
 一連の漫才劇として見られていた定は遠い目になるが……まあ、それもまた夏の楽しい思い出では……あっただろう。

成否

成功

MVP

秦・鈴花(p3p010358)
未来を背負う者

状態異常

なし

あとがき

はい、綺麗にオチました!
ありがとうございました!

PAGETOPPAGEBOTTOM