PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<深海メーディウム>小さな鎮魂儀式

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●フリーパレットとの出会い
 ダガヌ海域のエリアの1つ、シピシュの咆哮。
 突如襲い来る嵐により、天候が読めないエリアとして知られるダガヌ海域のエリアの1つである。
 そして深怪魔(ディープ・テラーズ)と呼ばれる連中が現れる海域でもあり、謎の海底神殿などが発見されることもあった。
 そんな中で『青き鋼の音色』イズマ・トーティスは今一番ホットな「竜宮幣(ドラグチップ)」関連の仕事において謎の海底神殿に行く機会があった。
 ほとんど海底神殿を探索する機会はなかったが、遺跡やその周辺を調べたいという気持ちはあったのだ。
 だが相手は行方不明者を多く出したダガヌ海域の難所の1つ。中々行く機会も掴めなかった。
 しかしイズマはこうも思ったのだ。
 かのダガヌ海域はそれほどまでに行方不明者や死亡者を出した海域。
 ならばフリーパレットもまた其処にいる可能性があるのでは……?
 そう考えたイズマは自ら船を出しダガヌ海域の周辺へと出かける事にした。
 ダガヌ海域に入るには並々ならぬ操船技術が必要としても、周囲であれば問題はない。
 そしてフリーパレットがいるのであれば……。
「……ん?」
 そして、そのイズマの考えは結果としては正解であった。
 波間を漂うようにして流れてくるソレは……フリーパレットと呼ばれる存在、そのものだったからだ。

●鎮魂儀式
「ぼくらは、皆を悼まなければならないんだ」
 フリーパレット。
  そう呼ばれるモノは、幾度もそう繰り返す。
 海を漂っていた不思議な幽霊である「フリーパレット」はどうやら思念の集合体であるらしく、記憶などは持ち合わせていないようだ。その為か、故人そのものと見做すのは恐らく間違いであるのだろう。
 想いや未練、あるいは願いといった思念が形をもったもの、と考えるのが良いのだろうが……ともかくこのフリーパレットも、その1つであるのだろう。
 故に、どちらかといえばフリーパレット自身が「悼まれる」側であるはずなのだが……フリーパレットは思念の集合体であるため、そういう小賢しい理屈などとは無縁であるようだ。
「悼む……というが、具体的には?」
 イズマがそう聞けば、フリーパレットはイズマへと振り向く。
「ダガヌ海域には犠牲者を悼む石碑があるんだ。小さな島の真ん中に、それはあるんだ」
 座標を聞けば……前回イズマが探索した海底遺跡の近くにあるようだった。
 なるほど、それ故にフリーパレットの思念の「元」となった者達は、恐らくは深怪魔(ディープ・テラーズ)の手にかかり死ぬことになったのだろう。
 それ自体はもうどうしようもないが……その鎮魂の願いは、叶えてあげるべきなのだろう。
 しかし問題としては、フリーパレットが更に発した言葉だった。
「鎮魂の石が奪われたんだ。きっと、あのばけものたちがもってる。取り戻して。そして備えて」
 鎮魂の石……というのは海洋の一部に伝わる簡易儀式であり、海のように青い石を捧げることで鎮魂とする、といったような意味を持っている。
 常に時間のない海洋の船乗りには適した儀式であるが、なるほど。どうやらそれを取り戻すのが最優先であるようだ……!

GMコメント

鎮魂の石を取り戻し、小島の中央にある石碑に捧げましょう。
ダガヌ海域の犠牲者を悼む為のものであるようですが、本当に簡素なものです。
恐らくは船乗りの誰かが設置して他の船乗りに伝えたようなものなのでしょう。
ですが、祈りに貴賎なし。何か一言など添えてもいいかもしれません。
フリーパレットはその様子を見届け、成仏し竜宮幣をドロップします。
なお注意事項として【フリーパレットは故人の記憶などは保有していません】。
集合体としての願いだけを抱えて漂っていた存在ですので、その辺りは期待しないであげてください。

今回、下記のような特殊ルールも存在します。

●特殊ルール『竜宮の波紋・改』
 この海域では乙姫メーア・ディーネ―の力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができます。
 竜宮城の聖防具に近い水着姿にのみ適用していましたが、竜宮幣が一定数集まったことでどんな服装でも加護を得ることができるようになりました。

●特殊ドロップ『竜宮幣』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
 このアイテムは使用することで『海洋・鉄帝・ラサ・豊穣』のうちいずれかに投票でき、その後も手元にアイテムが残ります。
 投票結果が集計された後は当シリーズ内で使える携行品アイテムとの引換券となります。
 ※期限内に投票されなかった場合でも同じくアイテム引換券となります

敵の情報は下記の通りです。
目的となる小島には恐らく居ないと思われますが、
近辺にある海底神殿、あるいは島の付近に沈んでいる沈没した大型船などは怪しそうです。
探索の場合は水中行動系の能力があると有利になりますが、最新型の潜水装備を借りる事も出来ます。

また、現場に行く為の船は借りる事も出来ますが皆様の所持している船で行くことも可能です。

●出てくる敵
・悍ましき死を穢し喰らうもの×1
人の髑髏を取り込み頭部のように使っている、スライムにも似た何かです。
しかし、断じてスライムではないと誰もが本能で理解できます。
こんなおぞましいものがスライムであるはずがないからです。

・水の中に在りて溶けぬ汚泥のごときもの×5
スライムにも似ている、しかし確実に違う何かです。
しかし、断じてスライムではないと誰もが本能で理解できます。
スライムに、こんな吐き気を催すような嫌悪を覚えるはずがありません。

●フリーパレット
 カラフルな見た目をした、海に漂う思念の集合体です。
 シレンツィオを中心にいくつも出現しており、総称してフリーパレットと呼ばれています。
 調査したところ霊魂の一種であるらしく、竜宮幣に対して磁石の砂鉄の如く思念がくっついて実体化しているようです。
 幽霊だとされいますが故人が持っているような記憶や人格は有していません。
 口調や一人称も個体によってバラバラで、それぞれの個体は『願い事』をもっています。
 この願い事を叶えてやることで思念が成仏し、竜宮幣をドロップします。

●名声に関する備考
<深海メーディウム>では成功時に獲得できる名声が『海洋』と『豊穣』の二つに分割されて取得されます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はC-です。
 信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
 不測の事態を警戒して下さい。

  • <深海メーディウム>小さな鎮魂儀式完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年08月26日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
シラス(p3p004421)
竜剣
ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを
バルガル・ミフィスト(p3p007978)
シャドウウォーカー
ハリエット(p3p009025)
暖かな記憶
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ルリア・エル・ヴァディス(p3p009953)
氷華
裂(p3p009967)
大海を知るもの

リプレイ

●船の上で
 『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)の運転する小型船。
 ダガヌ海域のエリアの1つ、シピシュの咆哮を進む小型船は、仲間たちとフリーパレットを載せて進んでいた。
「クルージングって感じで良いじゃねえか」
 『竜剣』シラス(p3p004421)は甲板の上でビーチチェアに寝転んでジュースを楽しんでいたが……そんな緩急のつけ方もまた、プロの証というものだろう。
 今回の目的である鎮魂の石を見つけられなかった場合に備え、事前に土地勘の長けた知人に他に魔物が隠れ潜みそうな場所がないか知恵を借りておくなど、そういった事前準備をしているからでもあるが……まあ、つまるところ「やることはしっかりやっている」ということだ。
「慰霊の物を奪われるとはまた難儀な……いつも奪う存在が何か言っているって? ははは。ま、財宝探しとでも思って楽しみつつ探しますかね」
「しかしまあ、海で死んでいったやつらを悼む場所を荒らすとは見過ごせねぇな。フリーパレットの願いが無くたってそんなことになってるって知ったら飛んでってるとこだぜ。きっちり元通りにして手を合わせようじゃねぇか、俺たちに任せな!」
 『酔狂者』バルガル・ミフィスト(p3p007978)と『大海を知るもの』裂(p3p009967)がそんな会話をしながら、フリーパレットに視線を向ける。
 ふらふらふよふよと、どうにも頼りないフリーパレットだが……そんな彼、もしくは彼等が依頼人なのだ。
 『暖かな記憶』ハリエット(p3p009025)もフリーパレットを見ながら、少し興味深そうな視線を向ける。
「フリーパレット、だっけ? 不思議な存在だね」
(まぁこの世界に不思議な生き物は多いし、自分が知らない存在を『不思議』の一言で片付けるのは失礼かな。知らないなら知っていけばいい、そういうことだ)
 とはいえ、不思議な存在であることに変わりはないだろう。
 死んでしまった人たちとは明らかに違うモノでありながら、その想いを伝える存在。
 それがフリーパレットなのだから。
「『犠牲者を悼む』という思いや行為は、どの世界でも共通なんだね。そうだね。亡くなってしまった人にはもう会えない。未来を一緒に作れない。だからその人との思い出を大事にするために、忘れないために。大切なことなんだろうと最近わかるようになってきたよ」
 だから、とハリエットは言う。
「時間はある。ゆっくり調べていこう」
 そんなハリエットの前をフリーパレットはゆらゆらと揺れながら移動していき、『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)にぶつかって止まる。
「鎮魂の手伝いなら何度かやってきたが、「悼まれる」側から直接依頼されるってのは中々ねぇ経験だ。どうせなら豪勢に弔ってやる方がいいんじゃねぇかと思っちまったが……ま、「本人」が望んでるやり方があるんなら、それを叶えてやるのが礼儀だろうさ。変に気をきかせるのは、それこそ生きているモンの“余計な世話”ってやつだ」
 そんな縁にフリーパレットはニコッと微笑んでまた何処かにゆらゆらと歩いて行って。
「さーて、鬼が出るか蛇が出るか……簡単に見つかってくれりゃぁ、楽でいいんだがねぇ」
 鎮魂の石。それが簡単に見つかれば話が早い、それは確かなのだが。
「鎮魂の石……というものが、あるのですね」
 『とべないうさぎ』ネーヴェ(p3p007199)もそれを思い出しながら、何度か頷く。
「世界には、まだまだ、知らないことばかり。簡素なもので、あったとしても。ちゃんと、鎮魂の場と認識されているのですから…石を取り戻して、あげましょう!」
「そうですね……奪われてしまった石を取り戻して、石碑を作った方の想いを、守らなければ……」
 ネーヴェに『氷華』ルリア・エル・ヴァディス(p3p009953)も頷き、船の縁に手を置く。
「船に乗るのは、初めてです。あまり揺れないのですね……でも足元に地面が無いのは落ち着かない……」
 そんなルリアは海の中が覗けるのが気になって、つい見てしまっていた。
「深くなると、暗くなっていくのですね」
 光が届かないが故だが、それがルリアには何とも楽しかったのだ。
「よし、着いたな。此処からは全員で一緒に動く。フリーパレットは安全な場所で待っててね」
 事前に調べた通りの場所に小島があり、イズマは小型船を泊めるとフリーパレットにそう言い聞かせる。
 バルガルもこの辺りで伝わっているおまじないをしながら、潜水装備をつける。
 身体の動きを阻害しない最新の潜水装備は、バルガルを含む仲間の動きを妨げることはないだろう。
「時間制限なども無いですからねぇ、慎重に調べましょう」
 ……ちなみにバルガルの頭に後付けうさみみが着いていることは、誰もツッコまない。
 アレが水中でも息が出来るぐらいの加護を得られる、というコンセプトの装飾品であることを知っているからだ。
 バルガルの頭にかわいいうさみみがついていようと、誰も直視しない。
「……ぴょん?」
「くっ!」
 真顔でバニるバルガルに全員が顔を背けるが、どうやら大当たりだったようだ。いざという時の一発芸に昇華できそうではある、さておいて。ちなみにイズマは妖精たちの青林檎を吹き出す前に食べられたらしい。よかったよかった。
 そうして潜っていくシラスたちを……フリーパレットは手をヒラヒラと振って見送っていた。

●鎮魂の儀式
 海底神殿はどういう経緯で出来たものかは分からないが、何かを祀っていた神殿であることだけは明らかであるようだった。
「しっかしまた気色悪い敵と当たっちまうもんだぜ、今流行りの深怪魔ってやつか? 見た目だけでおぞ気が走るってのは相当だな、おい」
「対象はスライム紛い、いやそんなものではない様子。はは、なんとも」
 裂とバルガルは倒した水の中に在りて溶けぬ汚泥のごときものの残骸を見ながらそう呟く。
 海水の中に急速に溶けていくそれは、元からそうであったかのようだが……見た瞬間のゾワリとするような悪寒を裂は忘れてはいない。
「……こいつら、海に放っておいていいものか? 海を汚してるようで、掃除した方がいいのではと思わされるな。とはいえ、これじゃ回収は無理か……」
 イズマがそう溜息をつくが、まあ海の中に溶けた残骸がおかしな影響をもたらさないことを祈るしかない。
「フリーパレットの話じゃ、深怪魔のどれかが持っているらしいが……飲み込んじまってねぇことを祈るばかりだ。石の他に、深怪魔の連中にやられちまったやつらの遺品も見つかりゃぁついでに回収しておくか。どうせなら纏めて弔ってやるとしようや」
「そうだな」
 縁にシラスもそう答えながら、海底神殿の中を見回す。探索における視界の確保の重要性を知っているシラスは発光で辺りを照らしているが……そのせいか、浮かび上がる神殿の光景はどうにもこちらの正気を掻き乱してくるかのようだ。
「おどろおどろしいな」
 そんなシラスの言葉が、全員の心を代弁していたと言えるだろう。
 何を祀っていたかは分からないが、あまり長くは見ていたくない代物だ。
(海底神殿や沈没船と聞けばロマンがあるけれど今日のこれは不気味さが勝る雰囲気だ。その分だけなんとなく『当たり』を想像させる)
 とはいえ、当たった結果何が飛び出してくるか分からないのは恐ろしいところではあるだろうか。
「それにしても……水中で、いつものように、動けるだなんて。少し、不思議です。御伽噺の、登場人物みたい」
「移動は歩くよりも楽な気がします……飛んでいるようで一寸だけ楽しいです」
 ネーヴェとルリアもそんなことを言うが……その辺りは、まあネーヴェに関しては海洋の最新技術の賜物だろう。
「さて、ばけものが奪って行った、となると其処ら辺に落ちているとは考えにくい。何処か住処らしきものに後生大事に隠している可能性も想定し調査しなければなりませんねぇ」
 そういった物が行くとしたら見えにくい場所、海底神殿や沈没船等の奥まった箇所やかなり狭い箇所の可能性もあると、バルガルは周囲をしっかりと探索していく。
「青い石。光ってくれてたりしたら見つけやすいんだけどな」
 ハリエットも広域俯瞰を発動させながら探すが、やはり簡単に見つかるものではない。
「潜水装備のお陰で泳ぎは問題ない。丁寧に探していこう」
「そうですね……」
「海底神殿……こんな場所にどうやって作ったのでしょうか……凄いと思います」
 ルリアは言いながら、調べた場所に何もないことを確かめる。
「がらんとしているので、探すのは早く終わりそうですね。とはいえ……ばけものたち、とフリーパレットさんは言っていました。単体ではない色々がいるかもしれない、という事です」
 そう、この神殿には水の中に在りて溶けぬ汚泥のごときものが最終的に3体いたが……目的の鎮魂石は見つからず、そのまま沈没船となった大型船へと移動していく。
 船底が溶かされたように壊れているその船もまた、神殿程ではないが陰惨な雰囲気が漂っていた。
 そして……そこにいたのは2体の水の中に在りて溶けぬ汚泥のごときものと、何処かの犠牲者の髑髏を取り込んだと思しき悍ましき死を穢し喰らうものだ……!
「この、敵……なんて悍ましい姿、なのでしょう役目では、ありますけれども。あまり近づいて頂きたく、ない気持ち。早々に、片付けたいところ、です」
 ネーヴェの言葉通り、悍ましき死を穢し喰らうものは他の個体を凌ぐ悍ましい空気を放っている。
「邪魔しないでくれる?」
 ああ、それとも、とハリエットは考えながらヒット&クライを構える。
「こいつらも元々は海で散った何かの命だったのかな? だとしたら。そろそろ安らかに眠りなね」
 まあ、そんな可愛らしいものでもなさそうだが……あまり理解したくもない代物だ。
「まあ、さっさと倒すとするか。あまり長く見ていたい敵でもねぇからな……!」
 幸いにも船倉にあたるこの場所は広く、戦闘には不自由しない。盾役として攻撃を引き付ける縁に合わせ、シラスがケイオスタイドを発動させる。
 そうして始まった戦いは人数の差もあり、然程掛からず終わり……バルガルが「ありましたねぇ」と青い石を拾い上げる。
 どうやら、今の連中が吞み込んでいたようだが……水上に戻ればフリーパレットが「わあ、鎮魂の石」と声をあげる。
 そのまま楽しげな様子のフリーパレットに導かれるまま、小島の石碑に辿り着けば……それは「犠牲者を悼む」とだけ書かれた、なんとも簡素なものだった。しかし、そのくらいで良いのかもしれない。
 ルリアとハリエットはその石碑を軽く綺麗にするが……それを見てフリーパレットが喜んでいるのを見ると、やはりやってよかったのだと思う。
「……これでよし」
「何か、石を捧げるのに、手順など、あるのかしら。あれば、あらかじめ、聞いておきたいんです」
「ないよ」
 ネーヴェにフリーパレットはアッサリ答えるが、それはなんとも海洋らしくはあるだろう。
(そうですね。だいじなの、祈る心。しっかり、心を込めて……亡くなった方に、お祈りを捧げましょう)
 頷くネーヴェに続き、イズマがフリーパレットへと話しかける。
「この海は少し前まで踏破不可能な絶望の青だった。狂王種に廃滅病、海の危険で数え切れない船や人が藻屑になった。俺は直接関わってはいないが……相当激しく戦って踏破したわけだ。そして今も危険は変わらずあるし、船乗りや海軍ならば仲間が突然死ぬ事もあるだろう。その犠牲の後に俺達はいる。だから海に挑んだ人々に敬意を表し、追悼を捧げるんだよ……ということでどうだろう? フリーパレットも一緒に、鎮魂の石を供えよう」
「そうだね」
 フリーパレットも頷き、全員で小さな石を石碑に捧げて。それで何が起こるわけでもないが、それぞれが祈りの言葉を捧げていく。
「祈りの言葉? 行動? ははは、自分がやっても、ではありますので」
 バルガルはおどけるようにそう笑ってはいたけれども……。
「どうか安らかに」
 そんなハリエットの祈りを合図に、各自がそれぞれの祈りを捧げていく。
「この場所を大切に思う方が、フリーパレットさんが安らかに眠れますように」
 そうして……フリーパレットは「ありがとう」と透き通るような声で言い残し、消えていく。
 フリーパレット自身が祈られる側になったのはなんとも皮肉だが……それでも、フリーパレットは満足したのだ。
「これで願いが叶ったわけ、か」
 シラスがそう呟く。終わってみればなんともあっけなく、そして儚いものだろうか。
「俺は死んだ後とかそういうのは考えない主義なんだが、かつて生きていた奴らの生きてた証までもが亡くなるのはやっぱり悲しいことだとは思ってる。たまに思い返して死んでいったやつを思うってのもこっちに残ったやつには大事なことなのよ」
 裂の言葉に縁が「そうだな」と呟いて。
「この海で確かに誰かが生きて、そして死んだ。そのことは忘れねぇよ」
 そんな裂の祈りが、空へと広がっていく。なんとなくではあるが、そんな気がして。
 石碑に捧げられた鎮魂の石が、微笑むように光っていた。

成否

成功

MVP

イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!

PAGETOPPAGEBOTTOM