PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<深海メーディウム>六難四苦特盛セット遺跡

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●大体悪い奴一人しかいねえわ
「エイラ号 深海 探索希望。竜宮幣 回収 早道」
「そうですね……水中での行動は最低限なんとかなるので、海底の方もさらっておきたいですね。思わぬ形で竜宮幣が転がっていたり、潜んでいる場所があってもおかしくありません」
 シレンツィオリゾート、その波止場。
 フリークライ(p3p008595)は『エイラ号』の整備を終えるなり、次の探索を求めて仲間達に提案する。水月・鏡禍(p3p008354)はその言葉に大仰に頷くと、かつての屈辱を思い返し顔をしかめた。あの時は水中戦用の装備がなかったため、とんだ水難に遭ってしまった。だが、今回は違う。海中探索のための装備が与えられている状態ではもう水難は克服したも同然。もう何も怖くはない。
「僕はもう、ちょっとやそっとの困難には負けません。艱難辛苦どんとこいです!」
「ン、自信 大事。無理無ク」
 なんていうか凄いフラグ臭の漂う『自信』に、フリークライはしかし、深く突っ込まずに同意を返した。
 ここでちょっとなんとかしておいた方が良かったのでは? と思ったのは割合、なかったというのは嘘になるだろう。兎にも角にも彼等は海底探索の果てに迷宮を発見し踏み込み……。

●ヒャッハー! 羅刹難・鬼難・怨賊難のよくばりセットエネミーがオメーを枷鎖難に陥れてやるぜェーッ!
「ウワーッ! なんか賊みたいな格好した角持ち半魚人みたいな海種ですら無い奴らが幽霊みたいな半透明網で僕を捕まえに来たーッ!」
 ダンジョンでいきなり現れた、まあそういう外見の敵がそういう謎の装備でもって鏡禍を連れ去ってしまったのである。
「鏡禍 危険。敵 多数 屹度 殺ス技 在リ」
「つまり必殺でパンドラもっていかれて最終的に波間に漂って戻ることになるってことかゆ。きれいなフラグ立てだと思うけど、あいつも貴重な戦力ゆ。是非にでも助けてえゆ。それと……フリックでいいかゆ?」
「ン」
 たまたま気になってついてきていた『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)はあまりの早業に即応できなかったが、追撃するにあたってフリークライを指差ししばし考える。
「おまえとわたちで治療に回れば多分少しの罠くらい押し通れゆ。遺跡だから気は抜けないけど、竜宮幣の回収のためにも……ああ、あと一つ、おまえたちにも注意しとくゆ」
 ひとまずの策を考えてから、残りの居並ぶ面々に水を向けた。『なんか難しいこといってたけど』、と前置きをして続ける。
「連中、悪鬼による『羅刹難』、死霊による『鬼難』、悪人による『怨賊難』を名乗ってあいつを投獄する『枷鎖難(かさなん)』に陥れるって宣言してたゆ。だから連中、いろんな武器による『刀杖難(とうじょうなん)』でもって火にまつわるなんやかんやをしてくる『火難(かなん)』が得意とか言い出す気ゆ。それで四苦八苦……のうち、ええと『生苦』『病苦』『死苦』『怨憎会苦(おんぞうえく)』? とか与えて来るかもしれないゆ」
「パパス 凄ク 詳シイ。知識 何処」
「素人知識ゆ」
 それはそれとして言葉は難しいんだけどヒントとしてあまりにふわっとしてるよねパパス、とは誰も言えなかった。

GMコメント

 六難よくばりセットを求めたのは鏡禍君だから全部彼が悪いんだよ。

●成功条件
 遺跡最奥部まで到達し、『六難業衆』を全滅させて竜宮幣を全部せしめて帰ってくる

●注意事項
 水月・鏡禍(p3p008354)さんが優先ついていますが、入っていない場合「同じ傾向の人」が一人人質になります。わかってるな。

●海底遺跡
 ダガヌ海域周辺の海底で発見された遺跡です。規模は大きくないようで、そこそこの罠と継続的にAPを消耗させてくる謎の構造物による設計、迷い込んだ者を全員確実に殺しにかかっている牢獄と番人などなど、まあそれなりヤバめの場所ではあります。なお、遺跡内には空気があります。
 最奥部には鏡禍さんが檻に囚われた状態で拷問を受けています(行動はある程度可能ですが、単独で逃げ出せるような環境ではありません。また、拷問のみで重傷に追い込む、ということはありません。六難業衆は苦しめるプロです)
 罠に関してはダメージ系、(シナリオ中で)永続BS系などがあります。

●六難業衆×15
 OPにもありましたが、整理すると「鬼人種と海種の特徴を併せ持った(というか中途半端なキメラみたいな)連中」です。分類は深怪魔に該当します。
 鬼難要素はどこかというと、一部の個体が持つ『霊網(神中扇:【不吉系列】【麻痺系列】)』です。
 『怨憎会苦(おんぞうえく)』要素は、そもそもこいつらが挑発がうまくて【怒り】付与とかも使ってくるので存在自体が憎たらしいためです(強引)。
 個体によって弓、槍、剣そして槌など様々な攻撃手段を有しており、総じてデフォルトで【火炎系列】BSを有していることです。
 なお、行動にある程度の制限を設けた場合(溜だの移動不可だの)のみ、【必殺】込みの攻撃を仕掛けてきます。逆に言うと、必殺撃つ為には多少なりリスクがあるということです。

●檻
 鏡禍さんが捕らえられています。
 到達までの時間によって残HP/APに幅があります。なお、檻を攻撃すれば最終的には壊れますが、どんな原理なのか檻を挟んだ攻撃は【識別】が効かなくなります。檻から離れて。ステイ。

●『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)
 口は悪いですが当たり前のように皆さんを大事にするタイプの幻想種です。殴れるヒーラーですが、今回はOPの通りヒーラー専業に回ります。

●特殊ルール『竜宮の波紋・改』
 この海域では乙姫メーア・ディーネ―の力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができます。
 竜宮城の聖防具に近い水着姿にのみ適用していましたが、竜宮幣が一定数集まったことでどんな服装でも加護を得ることができるようになりました。

●特殊ドロップ『竜宮幣』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
 このアイテムは使用することで『海洋・鉄帝・ラサ・豊穣』のうちいずれかに投票でき、その後も手元にアイテムが残ります。
 投票結果が集計された後は当シリーズ内で使える携行品アイテムとの引換券となります。
 ※期限内に投票されなかった場合でも同じくアイテム引換券となります

●シレンツィオ・リゾート
 かつて絶望の青と呼ばれた海域において、決戦の場となった島です。
 現在は豊穣・海洋の貿易拠点として急速に発展し、半ばリゾート地の姿を見せています。
 多くの海洋・豊穣の富裕層や商人がバカンスに利用しています。また、二国の貿易に強くかかわる鉄帝国人や、幻想の裕福な貴族なども、様々な思惑でこの地に姿を現すことがあります。
 住民同士のささやかなトラブルこそあれど、大きな事件は発生しておらず、平和なリゾート地として、今は多くの金を生み出す重要都市となっています。
 https://rev1.reversion.jp/page/sirenzio

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <深海メーディウム>六難四苦特盛セット遺跡完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年09月03日 23時30分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
鏡禍・A・水月(p3p008354)
鏡花の盾
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
結月 沙耶(p3p009126)
少女融解
ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)
温もりと約束
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官
シャールカーニ・レーカ(p3p010392)
緋夜の魔竜
フォルエスク・グレイブツリー(p3p010721)
燼灰の墓守

リプレイ

●六難四苦ってそれはないでしょう?!
「なんで僕がこんな目に遭ってるんですか?! なんでも来いって言いましたけど本当に六難プラス四苦なんてことあります?! 増えてますけど?!」
「ヒヘヘェ!! お前はこれから俺達にさんざん嬲られて老いる以外はイイ感じに苦しんでもらうぜェ! そんな装備は剥がす価値がねえーなァー!?」
(あ、装備剥奪まではしないんだ……やさしい……)
 『守護者』水月・鏡禍(p3p008354)は檻に放り込まれ、なんか六難のために強引にこじつけられた連中からチクチクと嫌がらせを受けていた。だが、このまま受け続けたらなんか殺されそうだなっていう危機感だけは凄くある。いきなり拉致されてこの状況に放り込まれたのはどうにも納得がいかないが、多分自分がいらんこと言ったからだろう。解せぬ。
「待タセタ。捲土重来。目ニモノ見セヨウ」
 だが、そんな理不尽に命の危機を直感した鏡禍はしかし、フロアの入り口がぶち壊され、『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)の固い声ながらもフランクな調子になにか救われる気がしたのは事実である。
「よく頑張ったな、その勇気に応えて私も勇気を出すとしよう。……即ちこの敵の数いる中で堂々と解錠を試みる勇気を!」
「な、何ィー!? いつの間に此処にたどり着いたお前ェー!」
「残念だったな。私だけではないぞ」
 囚われの鏡禍のもとに現れた『表裏一体、怪盗/報道部』結月 沙耶(p3p009126)は、しかし気付かれたとしても動じない。すかさず攻撃に入ろうとした者達の視線を引き付ける影があったからだ。
「君達の相手はこの私だ。簡単に殺せるとは思わないことだな」
「さぁ来い悪鬼どもっ! 古の武人シーカノスケ曰く、願わくば我に七難八苦を与えたまえ! であります! そのすべて、宇宙保安官が打ち破って見せるでありますとも!」
「「「何だァ手前ェ!!」」」
 『緋夜の魔竜』シャールカーニ・レーカ(p3p010392)の静かながら堂々たる敵対宣言と、『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)による闊達な身振り手振り(ある意味型にハマっているので闊達の真逆だが)を聞きつけた彼等は割とあっさりと遺跡を突破された事実に驚愕しきりである。だが、それ以上に圧倒的劣勢であろう彼等の余裕綽々の態度が気に食わない。
「……すごい今更だが、艱難辛苦を望んだ張本人以外も艱難辛苦に巻き込まれているような気がするな……!?」
「問題ありません、仲間を痛めつけられた怒りがあればその程度、苦でもありません」
「俺達の仲間に手出ししたんだから、覚悟は決まってる筈だからね。味わうのは奴らの方」
 現状のカオスぶりに動揺を隠せない『燼灰の墓守』フォルエスク・グレイブツリー(p3p010721)だったが、仲間をあれやこれや好き勝手されたことに『千紫万考』ジョシュア・セス・セルウィン(p3p009462)と『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)は静かに怒りを噛み締めているため、多分止まりそうにない。
「フリック、ちょっとあいつら無理しない程度に治すゆ。倒れるやついたらごめんゆ」
「仕方ナイ。覚悟 決メテル」
 『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ (p3n000172)はフリークライの傍らで、なんていうか凄い申し訳無さそうな顔で顔を伏せていた。イレギュラーズの暴走をここまで読めなかった彼女による。極めて珍しい「しおらしい謝罪」である。なんとも言い難いあれこれがあるが、フリークライは特に気にせず首肯した。
 目下最大の問題は、沙耶と鏡禍だと思うが。

●という感じで突破してきた理由なんですけど
「鏡禍さんなにやらかしちゃったの? 洞窟の奥で拷問受けるなんてマニアックな趣味はもちあわせてないはずだよね? っていうかセンサーに引っかからないんだけどめちゃくちゃ奥に連れ込まれてない?」
「素人知識と前置きして話してくる者は大概がその道のプロだろう。騙されんぞおい」
 史之とフォルエスクは連れ去られていった鏡禍を呆然と見送ってから、パパスの唐突な語りに思わずツッコミを入れた。素人知識とか詳しくないって詳しいやつの枕詞だよね定期。
「六難四苦だか艱難辛苦だか知らないが、よくもまああれだけ集まったものだな。まるで何かの意図があるかのように……」
「ン。作戦目標 鏡禍 奪還。六難業衆 打破。意図 可能性 要考慮」
 考えすぎなのか何なのか、とちょっと悩んだレーカであったが、フリークライはその可能性を是とした。そのうえで、目標を見誤らぬように一同に促す。意図があったとすれば……それはそれでなんだか非常に悪意を感じざるを得ない。
「なぜ こんなことに なってしまったでありますか……えっ、同じ傾向の人が捕まってたってことはもしかしたら自分があの場に……」
「なぁ、その……なんであの敵たちは難しい漢字を使いたがる……? それに難とか苦って文字を使いたがる……? アレか? 中二病って奴なのか?」
「わたちが考える限りでは、龍宮幣の力みたいな不思議サムシングでアレしたやつだと思うゆ」
 あまりの事態の急変にムサシは完全に固まっていた。鏡禍が捕まらなかったら彼がこうなっていたのだろうか。酷い話だ。一方、沙耶は六難業衆が現れた理由もなんもかんもがわからなかったので、悪い冗談で現れた奴だと考えているらしい。それが普通のリアクションだと思うけど、再現性東京とかに深く関わってる身として七難八苦を知らないのは割とアレだと思う(個人差はあります)。
「ひ、ひとまず鏡禍さんを助けよう! センサーまで反応しないとなると相当な道のりになるよ!」
「フリック 罠発見・対処 トラップサーチ&クリア」
「私は透視を駆使して隠し罠を探していこう。見つけたらフリック、よろしく頼む」
 史之は気を取り直して仲間達に告げる。沙耶とフリークライは遺跡の道を凝視し突破の道筋を話し合っていた。フリークライと史之、そして沙耶やレーカは特に状況を突破する技能に長けているといえるだろう。
「あ、今更ですがその節はどうも、パパス様」
「ジョシュアがいるなら毒関連の判別とかは大丈夫そうゆ。治療に手間じゃないのは大助かりゆ」
 ジョシュアはアーカーシュの調査の一件でパパスと縁があり、まあそれなりに友好的だ。パパスも当時の彼の人となりを理解しているので、毒系の罠はなんとかなるんじゃないかという根拠薄めの確信がある。
「少なくとも、暫く真っ直ぐなのは間違いないな。ところどころ反響音がおかしいから罠があるのは確定だが」
「自分、多少の無茶ならやり過ごせるであります! 問題ないでありま」
「あ、そこ」
\ギャーッ/
「……明らかに何か『噴射』しそうな罠があるって言おうとしたんだが」
 ムサシはこの状況の混乱から立ち直ると、持ち前の死ににくさや頑強さを盾に向かおうと意気揚々と一歩を踏み出し、餌食になった。しまった火炎放射トラップだ! 炎の中からさらっと生還したムサシだが、痛くないわけでも熱くないわけでもないのでかなり つらい! 沙耶も告げる前になんか飛び込んでいったからこれはもうダメかもわからんねって諦めの境地だった。
「……フリック、盾たのむゆ」
「ン」
 そんなわけである。

●ダイジェストってやつでお送りします
「……というかむしろ、ここまで罠があるというのなら逆に敵も引っかかりそうな気がするんだが」
「スイッチの場所を把握しているんだろう、でなければこの数は可笑しいだろうが!」
「隠し通路っていうか隠しスカ通路を用意してるのは趣味が悪いと思うんだけど?」
「危なかったですね。この鏃の毒は……ええとまあなんて言うか、はい」
「毒の精霊種を口籠らせたんだけど何が塗ってあったんゆこれ。絶対やべーやつゆ」
「何故 そんな罠を 用意していたでありますか」
「罠 可能ナ限リ 排除完了 慎重 大事」
「反響である程度把握できて……蝙蝠のようだ? 誇り高き赤竜の一族に何たる……と思ったが、翼と相まってそう見えるのも事実だな」
「誰も思ってねえゆ。実際レーカいなかったら被害もうちょっと多かったゆ。よかったゆ、フリック『とムサシ』が肉壁で」
「自分はそんなものに名乗り出た覚えはないんですが!?」
 ……とまあこういう感じで。罠をなんとかできる連中が猛威を振るったり、ムサシはなんかずんずん前に出ていってガンガン罠にハマってパパスの魔力をガンガン吸い上げていく辺がすごい、ムサシって感じがする。
「まぁ痛みは慣れてるのでどんな拷問だろうが怖くないんですけど。悪人はともかく、悪鬼も死霊も元の世界では同胞みたいなものですし、だからちょっとぐらい手加減……してくれないんですね、ハイ」
「ヒヘヘェ! 容赦なんてしねえぜ! 俺達の名前はァ~~~~??」
「……なんでしたっけ?」
「よっしゃ死ねェ!」
 裏でこんなことになってるなんてわからないじゃないっスか。


「悪いな、お姫様は盗ませてもらう!」
「誰がお姫様ですか?!」
「鏡禍 男。オ姫様『風』」
「ま、まぁ、うむ……」
 沙耶はなんやかんや苦労したけどなんとか牢を開け、鏡禍の救出に成功する。おもわず怪盗然とした言葉が漏れてしまったが本人含め否定されては立つ瀬がない。
「よくも彼を苦しめてくれましたね。その分の苦しみは与えてあげます」
「自分に対して、殺せる技を持っているだけで勝ち誇るのは少々甘く見られたものでありますね! 今からその認識を後悔させてあげるであります1」
「堂々と解錠しにいって襲われないっていうのが凄いな。全員の成果なんだろうが……」
 フォルエスクは沙耶の解錠が堂々と成功したことに驚きこそすれ、そこに至るまでの全員プレーじみた戦いぶりは不思議にも思わなかった。足を止め、注意を引き、範囲攻撃で蹂躙し、治癒で一秒でも長く戦局を保たせる。それ自体はオーソドックスな戦い方だと、仲間達の猛威をまえに理解していたからだ。それにしたってチームプレイで片付ける話じゃないのは確かだが。
「至近距離のほうが得意なんだよなあ、俺」
「僕も近付いてぶちかましたほうが楽なんですよね……」
 史之は六難業衆に意思を上書きされながら、しかしやることが何一つ変わらなかったためずかずかと踏み込んでは一撃のもとに反撃を封じていく。鏡禍も助け出されたことで気持ちが大きくなった……というより音に報いようという一心で、近場の敵から次々と蹴散らしていくではないか。
「なんていうか、なんだ……こう上手くいっているのはちょっと不思議な感じがするな。解錠できたのも意外だけど」
「此処に来るまでの惨状を『上手くいってる』って言い切るのはちょっとどうかと思うけど、上手くいってるから実際なんとも言えねえのがアレゆな……こいつら出てきた時強敵感丸出しだったのに雑魚すぎゆ……」
「強敵 罠ノ活用 疑問」
「「……ああー」」
 レーカは群がってきては仲間に蹂躙される敵の姿に、あまりにも『楽』に見えていた。いたのだが、考えてみてほしい。山盛りの罠でボコボコにされるのは決して楽って言っちゃいけねえのよ普通。
 だもんで、このあたりはフリーくらいの意見が正しいのかもしれない。納得である。
「これが僕の受けた痛みのごく一部ですぅぅぅ!!!」
「これで決まりでありますっ! ブレイジングマグナァァァァムッ!!!」
「「ギャーッ!!」」
 よし、悪は滅びた!


「それじゃあ街に戻って打ち上げ……の前に、一杯飲んでおこうか。疲れたもんね」
「ではアイスティーをお願いします。喉が渇きました」
 史之が一同に飲み物を配って周り、ひとまずその場で乾杯を交わす。色々と想定外ばかりだったが戦いは終わったのだ。あと、なぜか敵は消滅して竜宮幣だけが残った。ジョシュアはアイスティーに口をつけ、静かに息を吐く。
「……今度はきっといいことがありますよ! 災い転じて福となす、であります!」
「何がとはいわないが大丈夫だろう」
「竜宮幣も頂いた、鏡禍も頂い……じゃなかった戻ってきた。万々歳だな!」
「今頂いたって言おうとしましたね? モノ扱いですか!?」
 ムサシの凄い取ってつけたかのような、しかし誠意あふれるフォローは鏡禍の涙を少しだけ引っ込めた。が、フォルエスクは若干彼をモノ扱いし始めていた自分に驚愕する。人ってのはろくなもんではない。
「怪盗としては、狙いのものが盗めたなら成功だ。よかったな、鏡禍」
「ですからモノ扱い……!」

成否

成功

MVP

フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守

状態異常

なし

あとがき

 メインヒロインじゃん?

PAGETOPPAGEBOTTOM