PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<深海メーディウム>美味しいバーベキューと夏の思い出

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 青い海とスカイブルー、砂浜の白にカラフルなパラソル。
 押しては返す波に足を遊ばせる者もいれば、のんびりと浜辺で過ごす者も居る――そんなシロタイガー・ビーチは、昼時にレンタルバーベキューセットで楽しく過ごす者たちも多い。
 堤防の上にちょこんと座ったフリーパレットがひとり。その賑わう様子をジッと見ていたから、偶然通りすがった劉・雨泽(p3n000218)は「どうしたの?」と声を掛けた。
 このフリーパレットと言う存在は、竜宮幣を依代として実体化した思念の集合体である。現在ローレットでは彼等の願いを叶えて成仏させてあげることが推奨されていた。それは迷える魂を救うことであり、竜宮幣を入手する機会でもあるからだ。
「ぼくも、みんなでバーベキューをしてみたい」
「したこと、ないの?」
「ない。……たぶん」
 うんともそっかともつかない曖昧な相槌を打つ。
「野菜は好き?」
「すき」
「肉と魚は?」
「おさかなのほうがすき」
「それじゃあ少し待っていて」
 雨泽は堤防からひらりと飛び降りた。
「君の願いを叶えてくれる人たちを連れてきてあげる」


「と言うわけで、今からバーベキュー出来る子たちはいるかな?」
「今から?」
「お腹と心を空かせた子が待っているんだ」
 急だねと口にしたあなたに幽霊の子だけれどねと肩を竦めてから、雨泽は指をゆっくりとひとつずつ折っていく。
「場所と機材の手配はしたし、食材も一応。ああでも、君たちが沢山食べると不安かな。だから現地調達や持ち込みも歓迎。あと必要なのは――」
 指先がピッとあなたたちに向けられる。
 必要なのは、『皆で』と望むフリーパレットのための人数だ。
 フリーパレットはバーベキューをしたことがないようだから、焼き方等をよく心得ている人が居てくれるとありがたい。
「我こそはバーベキューマスターって自負のある子や、魚や肉の美味しい食べ方を知っていたり……そんな子が一緒に来てくれると助かるかな。……あ。僕、シーフード焼きそば食べたい」
 自分の願望をさり気なく告げてから、「フリーパレットは魚の方が好きみたいだけれど、肉も好きだって」と付け足した。
 勿論、調理が出来なくったって、一緒に楽しんでくれさえすれば歓迎だ。
 どうかなと首を傾げた雨泽はあなたたちに集まってもらいたい場所が記された地図を手渡すと、フリーパレットを待たせているからと慌ただしくローレット支部から出て、真夏のシレンツィオの街中へと消えていった。
 待ち合わせ先は三番街(セレニティームーン)シロタイガー・ビーチ。
 それぞれの準備を整え、現地集合だ。

GMコメント

 BBQで食べるスモアが好きな壱花です。

●シナリオについて
 フリーパレットの願いを叶え、竜宮幣を得ましょう。
 今回の個体のお願いは『皆で楽しくBBQをしたい』です。フリーパレットのために、BBQをしましょう。
 時間帯は昼間。楽しくBBQをすればフリーパレットは夕方前には満足します。

●フリーパレット
 カラフルな見た目ですが、死んだ人たちの未練であったり、思念の集合体です。
 竜宮幣に砂鉄のように結びつくことで実体化しているため、願いを叶えて未練を晴らしてあげることで成仏し、竜宮幣をドロップします。
 野菜と肉類は、2:1で食べるタイプ。

・好きなもの
 トウモロコシ、南瓜、玉ねぎ、シーフード、ソーセージ

●BBQ
 基本的な調理器具と一般的な量の食材は揃っています。焼きそばの麺やシェラスコ用の串等の用意もされています。
 新鮮なお肉やお魚を狩ってきても良いです。一般的から外れるくらい沢山食べる方は自分で用意しておくと量が安心ですね!
 野菜は、ピーマン、玉ねぎ、パプリカ、南瓜、トウモロコシ、人参、じゃがいも、キャベツ、ズッキーニ、ブロッコリー、なす、さつまいも、トマト、アスパラガス……等があります。リンゴやバナナと言った果物もあります。
 炭水化物は焼きそばの他にはうどん、ご飯もあるので焼きおにぎりやチャーハンも作れます。
 BBQコンロは三台。使うタイミング等、譲り合いの精神で使用して下さい。
 また、各種飲み物もあります。大人用に麦酒もあります。

 現地に到着した人たちから先に始めている感じになります。
 先に調達しにいっても、途中で足りないなぁと調達しても、俺は食べ専だ! していても、ご自由に。あなたらしく楽しんでくださいね。

●EXプレイング
 開放してあります。
 文字数が欲しい、関係者さんとBBQを楽しみたい、等ありましたらどうぞ。
 可能な範囲でお応えいたします。

●特殊ドロップ『竜宮幣』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
 このアイテムは使用することで『海洋・鉄帝・ラサ・豊穣』のうちいずれかに投票でき、その後も手元にアイテムが残ります。
 投票結果が集計された後は当シリーズ内で使える携行品アイテムとの引換券となります。
 ※期限内に投票されなかった場合でも同じくアイテム引換券となります

●NPC
 呼ばれれば、弊NPC『浮草』劉・雨泽(p3n000218)がご一緒します。
 話し相手が欲しい等、お気軽にお声がけください。
 BBQは肉類ばかり食べ、焼き待ちするお客様タイプ。野菜も好き。

 それでは、素敵なプレイングをお待ちしております。

  • <深海メーディウム>美味しいバーベキューと夏の思い出完了
  • GM名壱花
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年08月22日 22時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
寒櫻院・史之(p3p002233)
若木
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
メイメイ・ルー(p3p004460)
ひつじぱわー
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
嫉妬の後遺症
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
メイ・ノファーマ(p3p009486)
大艦巨砲なピーターパン
囲 飛呂(p3p010030)
点睛穿貫
ガイアドニス(p3p010327)
超合金おねーさん

リプレイ

●じゅーじゅーバーベキュー!
 太陽は燦々と輝いて、寝そべる人をジューシーな色に染める夏。
 海辺には肌を焼く人も多いけれど、お肉を焼く人だって多いのだ!
「バーベキュー、バーベキューっ♪ 皆でバーベキュー♪」
「あなたがフリーパレット? 何だか可愛い子ですね」
 ビーチチェアにちょこんと座って待っていれば、『自在の名手』リリー・シャルラハ(p3p000955)の明るい声とともに『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)がフリーパレットを覗き込んで笑んだ。一緒に覗き込んできた赤い様々な生き物めいたものたちはフルールの精霊たちだ。興味を示した様子に、彼等にすぐにフルールが「食べちゃダメよ」と告げたが、その言葉に反応してかフリーパレットは僅かに身じろいで距離を空けたため、大きな巨人と翼ある蛇は『大丈夫だよー』のポーズを示した。
「待っててな、フリーパレット。今買い出しに行ってるやつもいるから」
「たのしい、バーベキューにしましょう、ね」
 人数はもっと増えるし、もっと楽しくなるはずだ。『点睛穿貫』囲 飛呂(p3p010030)は「一緒に夏休みの思い出ってやつ、作ろうぜ」と明るい笑みを見せ、『ひつじぱわー』メイメイ・ルー(p3p004460)も両手をぎゅっと握って大きく頷いて見せた。
「ビーチパラソルを立てるよ~!」
 夏らしい水色の大きなビーチパラソルを手にした『大艦巨砲なピーターパン』メイ・ノファーマ(p3p009486)はぐさりとビーチパラソルを浜辺に立てる――が、実はこれはビーチパラソルレーザーという列記とした武器である。しかし道具というものは使い方次第。今日はレーザーの出番はなさそうだから、太陽から皆を守る役目に着任だ。
 さて、と飛呂は置いてある設備の確認をした。
 使えるコンロは三台。一台は常に何かを焼いて皆が食べられるようにした方がいいから、個人で料理をするために使えるのは二台となるだろう。
「時間の掛かる料理は皆さんに任せるとして、基本的なことから始めるのだわ」
 飛呂の隣から覗き込み、状況把握を済ませた『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)はクーラーボックスに用意されていた肉を取り出し常温へ戻すことから始める。リゾート島の気温は高めだから傷まないように注意が必要だが、そこは料理が得意な華蓮は慣れたもの。
「フリーパレットさんのためにお野菜も多く切らないとだわ。誰か手伝ってくださいな」
 はぁいと明るい声が響き、メイメイはピーマン等の小さな野菜、小さなリリーは玉ねぎ等の皮むきなどを手伝って。皆で分担し、火の通りに時間が掛かるものから早速焼き始めていく。
「フリーパレットさん、手伝ってもらってもいいかな」
「うん」
 イレギュラーズの皆がワイワイと動いているのをビーチチェアに座って眺めていたフリーパレットは『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)に呼ばれ、彼にちょこちょこと近付いた。組み立て式の作業用テーブルの上で先程から何かを切っている様子だったが、何を切っていたのだろう?
 フリーパレットが背伸びをして覗き込めば、視界に入るのは白と赤。
「これを交互にお皿へ並べてくれないかな。そうそう、円形にね」
 皿に合わせて円形に白と赤を並べ、オリーブオイルを掛ければ、モッツァレラチーズとトマトのサラダの完成だ。
「やっているか?」
 フリーパレットの好みに合うように野菜を多めに並べ、焼けた肉を頬張り始めた頃、『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)が大きな肉塊と酒を手にやってきた。麦酒はクーラボックスに用意されているが、酒はあればあるだけ縁は嬉しい。海洋で名の知られている縁は市場でも大人気で、あら噂に違わずイイオトコと花を咲かせた酒屋の奥さんを遮って、店主から「コレが一等上物さ」と勧められた洋酒の瓶を揺らした。
「あら。助かるのだわ」
 肉塊を笑顔で受け取った華蓮はチラリ、フリーパレットを見て――網の上に沢山の野菜と肉を載せているコンロは飛呂とメイメイがひっくり返しているから大丈夫そうだと確認し、早速肉を捌いていく。筋を切って、美味しいところを美味しく戴けるようにトリミング。勿論、この取り除いた部分も他の料理をする時の脂に使ったりチャーハンに使えるから出来るだけ無駄は出さない。
「大量なのだわー!」
「わっ、なになに!?」
 どーーーーーん!
 海に水柱が上がった。驚き視線を向ければ、キラキラと煌く水滴が散る中に『超合金おねーさん』ガイアドニス(p3p010327)が沢山の魚を抱えたガイアドニスが笑顔で立っていた。
「あら、お魚がたくさんね。それならクラーケンには追加で獲ってきてもらわなくても大丈夫でしょうか」
 何と言ってもガイアドニスは290cmもある。その大きな腕で鯛にエビにホタテと沢山の海鮮たちを抱えており、その上元々一般的な量の野菜も肉も魚も用意されているのだ。少食であるフルールが自分が食べきれない量を穫るのは得策ではないだろう。……水に入らないで済んだ火の精霊が少しホッとしていたのはきっと気の所為ではないだろう。
「ヒャッホー! 大量だぜー! イカ! イカはあるかー?」
「勿論あるのだわ! おねーさんはりきっちゃったのでっす!」
「ぼくたちもイカたべたい」
「待ってろ、フリーパレット! オイラが今から焼いてやるからな!」
 自分用の生イカもちゃっかり確保した『生イカが好き』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)はガイアドニスから受け取ったイカの下処理をしていく。その隣では史之が鯛の鱗の処理をして、塩でコーティング。こうすることによって網にくっつかなくなるのだ。
「こっちの半分使うね」
「それじゃあ残りの半分で串焼きでも作るか」
 正直な話、酒を飲みながら大人しく肉を食べていたいが――せっせと料理をしたり肉や野菜をこまめにひっくり返している面々を見ては、肩身が狭いと縁は肩をすくませた。30cmしかない小さなリリーだって、フリーパレットに食べごろの野菜や肉を勧めたりしているのだ。ただの酒飲みになる訳にはいかない。
 大きな鉄串を手に取った縁が野菜と肉とを挿していけば、メイメイも彼に倣う。お手伝いをするのは大好きだ。小さな村で育った時から、自分に出来ることが増えていくこと、自分がやれることを見つけた時は嬉しさが胸に溢れてくる。耳を揺らして、皆が食べてくれる時の笑顔を想像して……それから、あっ、と思い出す。
「あ、あの、一緒にやってみます、か?」
 串に刺してどうするのかなと見つめているフリーパレットにも串を差し出して、串打ちに誘った。やったことのない事に挑戦して、そこから得られる喜びをメイメイは知っている。
 上手にできなくったって、大丈夫。
 失敗も笑い合えば、全て今日の思い出だ。
「焼くのもやってみるか?」
「焦がさないか心配? 大丈夫なのだわ、見ていてあげるから」
 縁がフリーパレットに肉と野菜が刺さった串を手渡せば、肉塊を切り終えた華蓮が手を拭いながらフリーパレットの隣についた。切った肉は野菜の載っているバーベキューコンロの方で飛呂が鶏肉と一緒に焼いてくれているし、メイが美味しそうに食べている。
「鶏肉も美味いぞ」
「イカも焼けたぞー! 焼きまくるからなー!」
 シンプルに胡椒を振っただけでも、新鮮な肉は美味しい。ジッと真剣な面持ちで串焼きの番をするフリーパレットに口を開けさせ、軽く冷ました鶏肉やイカを差し出せば美味しいともぐもぐ咀嚼した。
 ワモンが焼いたイカはちょっとだけ焦げてしまったけれど、お外ご飯ならぜんぜん許容範囲! 香ばしい醤油味が美味しくて、鯛をひっくり返しながら史之が「お酒が恋しくなるな」と口にすれば、縁からグラスが差し出される。揺れる黄金色は上等な酒。
「そういえば、乾杯がまだでしたね」
 南瓜やズッキーニをこくんと飲み込んだフルールが、はたと気がついた。
 調達に行っていたりで一緒に始めてはいないから、そういえばとイレギュラーズたちが顔を見合わせる。
「かんぱい、したいです」
「ボクお酒飲む~。もう飲んでるけど!」
「おねーさん、カクテルも作れちゃうのだわ!」
 クーラーボックスを開けて、思い思いに好きな飲み物を手にとって。
 大人たちの手には麦酒や縁が買ってきたいいお酒。希望があればいつでもカクテルも作るから気軽に言ってねとガイアドニスが笑い、未成年者の手元の紙コップにはジュースが注がれてふわりと甘い果実の香りが薫る。
「フリーパレットさま、も、どうぞ」
 わたしと一緒のジュースですと差し出すメイメイに、フリーパレットがありがとうと受け取った。
「音頭は誰が取るのだわ?」
「かんぱーいってするやつだよね?」
「お前さん、どうだ?」
「ぼくたち?」
 華蓮の言葉にリリーが首を傾げれば、縁がフリーパレットに促して。メイメイも良いと思いますと傍らで微笑んでくれるから、背を押された気持ちでフリーパレットはそれじゃあ……と紙コップをえいっと持ち上げた。
「えっと、か、かんぱーい!」
「乾杯」
「乾杯、なのだわ!」
「かんぱーいっ」
「乾杯、です」
「わーい、かんぱ~い!」
「ん、乾杯」
「乾杯でっす!」
「ええ、乾杯」
「乾杯だぜー!」
「うん、乾杯」
 おっかなびっくり。ちょんと持ち上げての乾杯の声に続く、人数分の乾杯の声。弾けるたくさんの笑顔たち。
 目をまぁるくしたフリーパレットは幸せそうに笑って、紙コップに口をつけた。その一口はきっと、今までで一等甘く感じたことだろう。
「そろそろ食べ頃だね」
 自分で焼いた串焼きに一生懸命かぶりつくフリーパレットの前で、史之が焼いた鯛を開いていく。パリッとした皮を開いていけば、真っ白な身からホカホカと美味しそうな湯気と食欲の湧く香りが立ち上った。
「わ、ホカホカで美味しそうねっ」
「ご飯に混ぜておにぎりにしても美味しそうなのだわ」
「それもいいね」
 史之が鯛を香りつけの大きな葉っぱの上に移せば、空いたスペースで飛呂が小さなスキレットをいくつか置いていく。中には白いカマンベルチーズ。野菜は別で焼いているから、チーズさえ解ければチーズフォンヂュになる。
「おねーさんの方もできたのでーす!」
 大きなフライパンを用いて作った、大きなお魚まるごとのアクアパッツァをどーん! 貝類も一緒に、そして縁が購入してきた酒も調味料に使わせてもらったから、スープまでコクがあって美味しいはずだ。プチトマトとパプリカの色合いも目を引いて、フリーパレットのみならず野菜と海鮮が好きなイレギュラーズたちの顔に笑みが灯る。
 飛呂が温めているスキレットの隣にはまだ置ける隙間があるから、お次はそこに小さなフライパンにたっぷりのオリーブオイルとローズマリー。香りが立ってきたらニンニクをいれ、タコとブロッコリー、マッシュルームも入れればアヒージョの完成だ。
「おいしいものいっぱい、うれしい、ですね」
「お肉も食べていかないと焦げてしまうのだわ」
 次々と料理は出来るし、縁が大きな肉塊を買ってきてくれたしで、食べる側も大変だ。料理をしている人たちも途中途中で口にはしているが、暫く料理の手を休めたほうがいいかもしれない。
「そういえば、フリーパレットっておにーさんとおねーさん、どっち?」
「ぼくたち? どちらでもあって、どちらでもないの」
 魂の集合体だから。
 個もないから、名前だってない。
 残っているのはただ、皆でワイワイと楽しくバーベキューがしたいなぁという願いだけ。集まった魂たちがどうしてそう願っていたのかさえ、当のフリーパレットにはわからない。
 ちょっぴりしんみりとした空気が流れかけ、けれども「それならね」とフルールが続ける。
「呼ばれたい名前はある? なんて呼ばれたい?」
「わからない」
 バーベキューのことしか願いはなくて、その願いも叶おうとしていた。
「じゃあ、呼び方を皆で考えるのはどうでしょう?」
「おねーさん、お名前つけるの上手ですよ!」
 すぐにはいはいっと手が上がって、フリーパレットの『今日だけの名前』の候補が上げられていく。
 どれもすてきと口にしたフリーパレットはたくさんの候補からひとつをすぐには決められないから、のんびりと皆が作ってくれた料理や焼いてくれた肉や野菜を楽しみながら選ぶことにした。
「ちっちゃい頃にさ、肉ばっか食うなって言われてこれ出された事あるんだ」
 プチトマトにベーコンを巻いて塩胡椒を振ったベーコントマトを差し出しながら、飛呂が笑った。そう口にするということは、小さな時でもコレなら食べられたのだろう。
「昔は野菜嫌いだったんだよ、今は好きなのも多いけど」
「ごはんがたくさんないとね、すききらいできないよ」
「……ああ、そうだな」
 嫌いな物を避けて食べるというのは、きっとそれだけで恵まれている証とも言える。死してなお心残りがバーベキューなフリーパレットは飢えて死んでしまった魂たちなのかもしれないと、何人かのイレギュラーズたちは思ったかもしれない。
「お? 手が止まってるぞー。ほれほれ、くいねぇくいねぇ」
「海老が、プリプリで。とっても、とっても、おいしいです、よ」
 焼きたてだぞっとフリーパレットのお皿にワモンがポイポイとシーフードを載せていき、海老が大好きなメイメイは頬に手を当てて耳を震わせながら「フリーパレットさまもめしあがって」と勧めた。因みにガイアドニスは『おねーさんが獲ってきました』のドヤ顔である。持ってきたものや料理したものを、皆が美味しいって食べてくれるのは嬉しいね。
「はふ。おいもにバターも、美味しい、です」
「餃子の皮のピザもどう?」
「はい、いただきます」
「パリパリするね」
「そろそろご飯物も用意しようか」
「どれ。焼きおにぎりでも作ってみるとしようかね……」
 上手に出来るかは解らないがと口にする縁には「お手伝いするから大丈夫なのだわ」と華蓮が付き添えば、上手なおにぎりの握り方から火加減まで何でもお任せあれと胸を張る姿に、縁は頼もしい先生が就いたと片頬を上げた。
「よーし、シーフード焼きそばが出来たぞー!」
「イカに海老に、ホタテ。いい匂いがして美味しそうなんだよ~」
 お酒とお肉で食べ専なメイもまだまだ食べられる。ソースの焦げる良い香りにつられて早速舌鼓を打ち、フリーパレットも美味しい美味しいとニコニコ笑った。
「名前は決められました?」
 そう問うフルールは、もうお腹いっぱい。あまり食べられないから色んな物を一口ずつ食べていたのに、胃を共有しているアルミラージが勝手に食べてしまうものだから正直つらい。フィニクスに怒ってと告げてからフリーパレットへと顔を向けていた。
「ぼくたちね、『リーフ』がいい」
 フリーから取ったと候補に上がった名前は、葉っぱ。
 リーフもフリーパレットと一緒で『たくさん』なのが気に入ったのだそうだ。
「いい名前ですね。リーフ」
「うん。すてきななまえ、ありがとう。きょうはね、ぼくたちとってもうれしい」
「もっと楽しみましょう、リーフ。……って。ちょっとラタトスク! 私のフォークをどこやったの!?」
 精霊を7体も連れているフルールは慌ただしい。そんな姿も楽しいのか、フリーパレットはくすくすと笑った。
 縁の大きな焼きおにぎりと、華蓮の形の良い焼きおにぎり。
 ガイアドニスの夏野菜たくさんペスカトーレ。
 どれも美味しいねと笑い合っている内に、お腹の中へと消えていく。
「そろそろデザートはどうかな?」
「わ、わあ……!」
 史之がメイメイのリクエストで作ったのは、芯をくり抜いてバターを詰めた焼きりんご。甘い香りがプンと漂って、メイメイの五感が釘付けとなる。
「焼きバナナもあるぜ。焼くと甘みが増して美味いんだよな」
 皮ごと焼くだけだから簡単。だけれど皮を剥く時に火傷しないように注意が必要だ。チョコレートや砂糖をまぶしたり、生クリームを載せて食べるのもお勧めだと、飛呂はフリーパレットのために皮を剥いてやった。
「おいしいね」
「リーフ、楽しんでるかい?」
「うん、たのしい」
「楽しくてジュースも進んじまうよなー」
「ふふ、そうだね」
 楽しくて幸せ。
 美味しくて幸せ。
 皆と過ごせて幸せ。
 甘いものも沢山で、幸せ。
 バーベキューの甘いものと言えば、大定番の焼きマシュマロだって欠かせない。
 串に刺したマシュマロを焼けば、甘い香りに甘味好きは胸を満たすことだろう。
「お。いい感じに焼けたな。ほら、お前さんもひとつどうだい――」
「あら……」
「おっと」
「……楽しかったみたい、なのだわ」
 焼きマシュマロを手にした縁が振り返った先に、フリーパレットはもう『いなかった』。白いビーチチェアの上にはいくつかの竜宮幣と、フリーパレットが使っていた皿があるのみだった。
 楽しくて幸せで、満たされているけれど皆がたくさん料理を用意してくれるから、きっと『もうちょっと』と頑張っていたのだろう。
 だからフリーパレットは、ありがとうもさよならも言えずにふわりと消えてしまった。
「楽しい思い出をありがとうございまし、た。また、いつか。……いってらっしゃい、ませ」
「リーフ。『貴方達』の名前、覚えておきますね」
 フリーパレットが居た場所に、イレギュラーズたちは優しい笑みを向けて。
 しっかりと最後まで作った料理を食べきって、後片付けもしっかりとしてからビーチを後にした。
 皆で楽しくバーベキューをした思い出を、お土産に。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

フリーパレットはたくさんのバーベキューを楽しんで満足しました。
フリーパレットのために楽しいひと時をありがとうございます。

皆さんにとっても素敵な夏の思い出になりますように!

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