シナリオ詳細
再現性東京202X:夏の刻と共に
オープニング
●再現性東京202X:夏の刻と共に
平穏なる日常が繰り広げられて……いた再現性東京。
ジャバーウォックの襲撃により一度街は破壊され、人々は今迄の平穏な生活とは別れを告げて、新たなる生活を始めていた。
流石に過去の日々とは同様にという訳には行かないが、建物はプレハブ小屋などで何とか復旧しており、資材なども決して充足しているとは言えないが、何とか間に合いつつある状態。
そんな中、この事件を体験した小学生達は……再開した学校にて通い、勉学に励む。
……そして、8月となり、学校は夏休みの時。
「なーなー。折角の夏休みだし、みんなで海にいかねー?」
「んー……いいけど、危険じゃねーのかなー?」
「大丈夫大丈夫。そんな遠くに行かなきゃいーんだし。ほら、『奥梶浦』町ってさ、そんなに離れてないじゃん。自転車で30分くらいだしさー」
「たしかになー! 海に入って泳いで……そーいやあの町って、怪談話なかったっけ?」
「ん、あー……あれかー。深夜、丑三つ時に海に引き釣り込もうとするよーかいが出るってヤツだっけ?」
「そーそー。でもよー、よーかいなんて居る訳ねーじゃん! そーだそーだ、夏休みだし、きもだめしもいかねー?」
「おもしろそーじゃん! いいぜいいぜー!」
無邪気な小学生達は、あの事件を経て怖い物知らずになっているのかもしれない。
……そして、子供達は親たち、先生達に話を付けて、『奥梶浦』町へ。
昼は思う存分海水浴を楽しみ、そして夜。
「よーし。それじゃーみんな、いくぜー!」
『『おーーー!!』』
声を合わせ、意気揚々と深夜の海岸線へ。
……そして、数刻の後。
『……う、うわーー!! な、なんだよこれぇええ!!』
その子供達の悲鳴が、深夜の人気の無い海岸線に響きわたるのであった。
●
「ん。あ、もうみんな集まってくれてたんだ! 夏休みなのに悪いねー! ま、時間は取らせないからさ! ほら、こっちこっちー!!」
綾敷・なじみは、カフェ・ローレットを訪れてくれていた君たちに満面の笑みを浮かべながら手招きする。
彼女の言葉に一抹の不安を覚えつつも、カウンターに座った君たちになじみはふふん、と笑みを浮かべながら。
「今日はね、みんなに子供達を助けてきて欲しいんだよねー! どうもこの子達、ジャバーウォックの事件を経て、怖い物に対する耐性が強くなってる見たいでねー、怖い場所もなんのそのって感じみたいなんだよねー」
そう言いながら、なじみは再現性東京の地図の内、海に面した所を指さす。
「ここ。『奥梶浦』町って言って、海水浴場のある町なんだよねー。例年の夏なら、ここからそんなに遠くないから、結構な海水浴客達が訪れるような場所なのさ。でも、あの事件があったからか、あんまり海水浴客達も訪れる事は無くて、町はすっかり寂れ始めちゃってるんだ」
「で、そんな町に、どうも悪性怪異の影が迫り来ている様でね……その噂話を聞きつけた小学生達が、怖い物見たさでこの町に行っちゃった様なんだよね」
「この悪性怪異は、深夜の刻、海に近づいて来た人の脚を掴んで、海の中へと引き釣り込んでしまう……と言う事を繰り返してて、その被害に遭って仕舞った人も多数なんだ。子供達もその被害に逢うのは、まぁ十中八九間違いないだろうね。そこで、皆に小学生達を救出に向かって欲しいって訳なのさ!」
「子供達からすれば、怪異が起こるだなんて思ってないし、まぁ……あんまり聞き分けの良い子達じゃないみたいでね。事前に注意したりしても、まぁ聞き入れてくれないと思うんだ。だから、少年達の後を付けて行って、襲われる瞬間に割り込んで、悪性怪異をパパッ、と退治してきて欲しいんだ!」
うんうん、と頷くなじみ。
君たちが言葉に迷っている間にも、さっさと彼女は。
「という訳でみんな、受けてくれるよね! うん、大丈夫大丈夫。それじゃー、宜しく頼むね!」
と、皆の肩を叩くのであった。
- 再現性東京202X:夏の刻と共に完了
- GM名緋月燕
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年08月18日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●夏風に
八月、夏。
再現性東京において言えば、夏本番であり、学生達は夏休みの時期。
過日の事件は様々な影響を再現性東京の人々に齎しはしたが……棲まう人々は強いもので、できうる限りの日常を取り戻すべく、普段の生活に戻りつつあった。
だがしかし……そんな日常の傍らにそっと近づいてきているのは、怪異の影。
「ンフフフフ! 子供故の無謀さと冒険心……人の子の時に愚かとも言える行動力もまた愛おしいですな!!」
どこか尊大な口調ながら、嬉しさを隠しきれない丑三 縁(p3p010789)の言葉。
そんな彼女の言葉に『黄金の旋律』フーガ・リリオ(p3p010595)と、『特異運命座標』佐倉・望乃(p3p010720)の二人も。
「ああ。恐れを知らずに冒険してみたい気持ち、おいらもよーく分かるぜ」
「そうですね。仲良しの友達と、夜の冒険……ふふ、わくわくする気持ちは、とても分かります」
勿論人畜無害にただ化け物が出て、子供達を驚かすだけだったのなら、見逃して良かったかもしれない。
ただ今回は、その怪異が子供達を襲う……というなじみからの依頼。
海に潜む海坊主が深夜の刻、肝試しに来ている子供達を襲うとなれば……この事態を放置する訳には行かない。
「まぁ……子供達の気持ちは分からない事も在りません。この様な夏で海にお泊まりで怪談……とかは、良くある夏の風物詩ですし、僕自身としても歓迎したい所ですから。でも……本当に襲われてはいけません」
「そうだねぇ。誰にもレベル1の頃があるし、子供は冒険させていいと思う。だけれど今回はデンジャー過ぎたかもね? 子供達にこれで学びがあるとイイネ?」
「ええ。本当は痛い目を見て、理解為てもらう……というのは、あまりやりたくない所ではありますが……でも、なじみさんが言うには、先に説得しても無駄だ、という話です。ならば……怖い目に遭った所を助ける他にありませんし、ね」
『守護者』水月・鏡禍(p3p008354)と『元心霊機械第十三号』岩倉・鈴音(p3p006119)の言葉に、テンション高く『ハイテンションガール』郷田 京(p3p009529)が。
「そうだね! まーったくこの夜妖って連中はろくでもないわねー? 夏休みったらねー、限られたー夏なのよー? 青春なのよー? それを邪魔するだなんて、京ちゃん的にはちょーっと許せないわよねー?」
「ええ、そうです。素敵な夏休みの思い出が悲しいものにならないようにしなくては……わたしも精一杯、頑張ります、ね」
ぐぐっと拳を握りしめる望乃の仕草、それに腕組みをしていた昴が。
「つまりは今回の仕事は、子供達の護衛及び危険の排除だな。了解した」
ぶっきらぼうに言い捨てる昴、更には余り気乗りしていない雰囲気の『旧世代型暗殺者』水無比 然音(p3p010637)も。
「そうですね……子供は苦手なのですが、依頼とあっては仕方ありません……それに、既に夜妖<ヨル>の被害が出ている以上は、早急に排除しておく必要もありますし……」
「ああ。子供達の気持ちを否定させないためにも俺達が守らねぇとな。海坊主はいつどこから襲い掛かってきてもおかしくないって分かってんだし、この程度で悲鳴をあげたりするもんか!」
「ええ……恐怖は伝搬するとも言います。子供達には、僕達が気丈に振る舞うことで、元気付けてあげられれば……と思います。幸い僕は守ることは得意なほうですし、護り切ってみせますよ」
フーガと鏡禍の力強い言葉に、含み笑いを湛えた縁も。
「ヌフフフ! そうですな、本来なら見守るだけですが……依頼を受けたのも何かの縁。小生も微力ながら、守る戦いというモノを致しましょう! それでは皆殿、準備は宜しいですか? では……向かいましょうぞ!」」
高らかなる縁の言葉に皆、各々の覚悟を決めると共に、イレギュラーズ達は子供達が向かった『奥梶浦』町の海水浴場へと向かうのであった。
●海より引き摺る手
そして……。
『よーっし。夜だー! それじゃーさっそく、きもだめしにいくぞー!』
『『『おー!!』』』
威勢の良い、子供達の声が響く海水浴場。
当然深夜の刻なれば人影は彼等の他には無く、静けさだけに包まれている……そんな状況。
「おーおー……元気な子供達の声だねぇ……まぁ、怖い目に遭うだなんて思って居ないんだから当然と言えば当然なんだけどね」
と苦笑する鈴音らイレギュラーズ達は、建物の影に隠れながら、少年達の動静を観察。
その横には……子供達を確保する為の馬車。
「……馬車に気付かれはしないのでしょうか?」
「大丈夫大丈夫。だって子供達、暗視を持って居る訳じゃないしね? 懐中電灯の明かりくらいしか視界が無いだろうから大丈夫さ」
鏡禍の言葉に笑う鈴音。
確かに子供達は一般人……暗視能力を持つはずもない。
大きな音を立てなければこちらに気付く事も無く……肝試しは進む事だろう。
そして子供達は意気揚々と懐中電灯の明かりを元に先へと進み、かの海岸線へと近づいていく。
深夜の海は、何をも飲み込むが如くに不気味な雰囲気を醸し出していて。
『っ……ち、ちょっと怖いなぁ』
『なんだよー、びびってんのかー?』
『び、び、びびってなんかねーし!!』
恐怖を囃し立てたり、それに強がってみたり……と、子供達は日常と変わらぬ風景を繰り広げている。
とは言えその歩みを止める事は無く、更に、更に……海へと近づいていく。
そして……その後を、できる限り足音を立てないように忍び足で追跡するイレギュラーズ。
……数十メートルほどの距離を保ち、子供達が海岸線に足を踏み出して、数歩。
『ほ、ほら、なんにもねーじゃん!』
『まだだって、ほら、もっといってみろよー! よわむしかー?』
『うるせー!』
仲間達の囃し立てる声に、更に海の方へと歩を進めて行く子供達。
踝位まで、波がさざめく所まで歩を進めて行った……その瞬間。
『……っ!! な、なにかさわったってー!!』
一番海側まで出ていた少年が、大きな声で叫ぶ。
勿論周りの子供達は、びびってるだけだと思った要せ、余り気にしていない。
ただ……次の瞬間、少年の足首は海の方へと引っ張られ……その場に転倒。
『わぁっ!! っ……た、たすけ……っ!!』
恐怖に混乱しながら、海に向けて引き摺られて行く少年、その状況にえっ、と固まる子供達。
「現れた様ですね……割り込みます……」
と短く仲間達に告げると共に、然音は素早く海辺の子供達と海岸線の間に割り込む。
そして、引き摺られている子供の手をぎゅっと握りしめて。
「大丈夫……ですか……?」
『な、何何何ぃいいい……!?』
涙目の少年は、藁をも縋る様にその手をぎゅっと握り帰す。
だが、引き摺られる強さは更に強くなり、少年の身体も引っ張られていく。
その勢いは一人だけでは耐えきれない程……更に鏡禍も後に続き、然音と共に少年を引っ張り、それ以上海へと引き釣り込まれないように抵抗。
そんな子供の足下には、ぼんやりと……髪の長い人型の影が。
「これが……海坊主……皆様、こちらです」
そう仲間達に合図を送る然音……それに頷き、京が先陣を切り到着。
「どいつでも構わないわ! 蹴り飛ばしてあげるから、かかってらっしゃい!」
威風堂々と叫び、少年の足下の影に向けて光輝の一蹴を叩きつける。
『っ……』
ほんの僅か聞こえた呻き声……それと同時に少年の足下に絡みついていた手と髪はシュッと解ける。
すぐに然音が少年の身を引っ張り上げて、海から抜く。
『うわぁぁ、な、何なんだよぉ……』
すっかり弱気になった少年に向けて、フーガ、鈴音、望乃の三人で。
「大丈夫! おいらたちはアンタ達を助けに来たんだ! ほら、すぐに海カラ離れて! 傍に居る子と離れないようにして、あっちのアイパッチしている女性の元へ向かうんだ!」
「そうそう! ほら、こっちだこっち! みんな早くこっちに来ーい!! この馬車の中に入って大人しくしてるんだ! いいかッ。あたしがいいって言うまで、外を覗かずじっとしているんだぞっ!!」
「ええ! みんなもう大丈夫……心配しないで、馬車の中に、ね!」
そんな三人の言葉に混乱しながらも、次々と馬車の中に入っていく子供達。
ただ、子供の中にもまだ一部冷静な子も居た様で。
『……お、おねーちゃんたちは、だいじょうぶ、なの?』
と心配そうに声を掛けてくる。
そんな少年には、望乃はニコッ、と笑みを浮かべながら。
「大丈夫です、おねえちゃん達は強いので!」
子供達の声に励まされると共に、己のヤル気も充填。
『わ、わかったよ……きをつけてね……』
そして8人の少年達が、馬車の中に駆け込んだ所で、仕切りを引き視界をシャットアウト。
「子供達、みんな……逃げたようですね。それでは……始めましょう。子供達は、絶対に……手に掛けさせません……!」
強い意志と共に言い放つ鏡禍……海の中の海坊主達の視線がギロリ、と向けられる。
だが、その視線に笑みを浮かべた縁が。
「ンフフフ! 小生の姿は少し刺激的ですからね!」
いつの間にやら、海坊主を挟撃する海側に回り込んでいた縁は、闇の月を照らし海坊主達を災厄に包む。
「ンフフフ! 海坊主もまさか海側から攻撃されるとは思うまい? さぁ、異形同士仲良く殺し合いましょうぞ!」
災厄の訪れに苦悶しながら、海坊主達はむくり、と身を揚げる。
髪の長い、奇っ怪なヒトガタの夜妖がイレギュラーズ達の間に立ち、敵対心を顕わにする。
そして……次の瞬間、またその長い髪をシュッと射出し、イレギュラーズの腕、脚に絡みつかせて拘束しようとする。
……しかしその一閃絡みついても、とてつもない力で強引に解くは昴と京。
「……この程度、拘束になどならん」
「そうね! さぁ、何処だろうと付き合ってあげるわ! アタシは陸空海どこでもサイコーなんだから!」
二人闘争心を剥き出しにすると共に、素早く京は腕から勢いよく大火炎を迸らせ、海坊主一体に狙いを定め焼く。
とは言え簡単には倒れない海坊主……別の海坊主達が、京を一番の脅威と感じたのか、更なる攻撃の手数で集中砲火。
流石に拘束に拘束が重なり、耐えきれずに動きを一旦止めざるを得なくなる、だが。
「一人に寄ってたかって攻撃して、まぁ海の外に出たらそこまで強いって訳じゃねーのかね?」
「そうだねぇ。それじゃあこっちも思う存分やらせてもらうな!」
フーガが一体の海坊主をマークした上で、そこに鈴音が接近。
「ハゲてないけど海坊主! 漁ったど~!」
と元気いっぱい鈴音が敵をハゲしく縛り付ける魔術を展開。
そこにフーガの特殊格闘術式にて痺れを付与し、動きを大幅に制限していく。
その二撃により大ダメージを負った海坊主……しかし留まる事無く昴と望乃、然音が。
「ふん……!」
「絶対に、子供達には近づかせません……!」
「ええ……あの子達は、あなた達の手で気安く触れていい存在ではありません。ここから離れなさい」
強力な一撃で更にダメージを重ねる昴と、四体の敵の位置を見た上で、後方に控える馬車へと近づかせないように立ち回る望乃。
更に然音は、不吉なる囁きで敵を惑わる。
そして鏡禍は、一番最後の行動にて、全ての敵の行動と体力を観察した上で。
「……まずは一人、確実に仕留めさせていただきます」
と強い覚悟と共に、鏡禍が渾身の竜撃の一閃を叩きつける。
『グゥ……ォゥゥゥゥ……』
流石にその一撃には耐えきれず、そのまま海に向けて倒れ……そのまま影の如く消えていく海坊主で、残るは三体。
『……ウゥゥ……ォォォ……』
仲間達に向けての悲哀か、それともイレギュラーズ達に対する怒りか、どちらとも取れるような咆哮を三匹がそれぞれ奏でる。
しかしその声に耳を貸すことはない。
「さぁさ、どんどんとブチのめしていくよー!」
「……ああ」
鈴音の言葉に頷く昴……更に京、縁と共に、容赦すること無く超火力で以て海坊主一体に集中砲火。
周りの海坊主達の邪魔については、望乃、然音、フーガの三人が確実にマークする事で、彼等の思い描く支援を身を呈して塞ぎ止める。
そんなイレギュラーズ達の立ち回りにて更にもう一匹、二匹、と仕留めていき……残る海坊主は後一匹。
『ォォウゥゥゥ……』
明らかに悲哀の叫びを上げる海坊主……そして次の瞬間、その身を海の中に隠し、逃げようとする。
だが……それよりも素早く動く縁。
「ンフフフ! 簡単に逃げ出せると思わない事ですねぇ? ここで出会えたのも何かの縁。小生に最後まで付き合ってもらいますぞ、海坊主達!」
と敵を陸側へと弾き飛ばす。
海辺へと打ち上げられた海坊主、そこに然音と京が。
「貴方に聞こえているかは不明ですが、最早あなた方に勝ち目はありません。お覚悟を」
「そうだね! アタシにコレを使わせたんだから、覚悟しなさい? 言っとくけどアンタたち……カケラも残さず蒸発するわよ!」
然音の悪意の弾丸と、京の灼熱の光蹴がその頭上から叩きつけられ……砂浜の上に叩きつけていく。
そして……。
「……これで終わりだ」
近づきし昴は、全身の力を右手へと集中させ、爆裂一閃。
その一手に、最後に残る海坊主も、影形も消え失せるのであった。
●行く末は平和
「ふぅ……どうやら全て倒し切った様だな」
汗を拭い、息を吐くフーガ。
海坊主4体全て消え失せ、海岸線は再び静寂に包まれる時……後方の馬車の中から、子供達の泣きじゃくる声だけが聞こえてくる、そんな状況。
「ん……みんなお疲れお疲れー。と言う訳で……子供達を迎えに行くとしようか?」
ニコッ、と笑いながら、馬車の方へと向かう鈴音。
開けばひぃっ、と怯えた声の後に……きょとんと虚空を見つめる彼等。
『……っ……え、あの、あの……ほんとうに、倒した……の?』
「ええ……倒しました! 言ったでしょう? 絶対に護る、って」
笑顔を見せる望乃に、ほっと胸をなで下ろす子供達。
……とは言え彼らにきつく叱りつけなければ、また同じ事をしかねないわけで……。
「さて、と……今回は無事で良かったですけれど、僕達が来なかったらどうなっていたと思いますか? 夜野海は、こういう危険な事も多いのです。だから、もう近寄っては駄目ですよ?」
と鏡禍が言い含めると、更に鈴音も、そんな子供達の頭をわしゃわしゃと乱暴に撫でながら。
「そうだぞ! 子供たち、レベルが低いうちは、安全に気をつけながら冒険するんだぞ! 夜の海は、まだまだ君たちには早いんだからな!』
そんなイレギュラーズ二人の言葉に対し、子供達はしゅんとなりながらも、こくりと頷く。
「うん……分かってくれたのなら、それでいいんです。ほら……泣き疲れたでしょう? 宿舎まで連れて行って差し上げますね? あと……はい、これ。お菓子もどうぞ」
望乃が差し出してくれたお菓子に手を伸ばし、甘い味に……緊張の糸が途切れる子供達。
そんな子供達を背負いつつ、イレギュラーズ達は深夜の海を後にするのであった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
久しぶりの再現性東京でした。
子供達の夏休みは、ある意味忘れられない一夜となった事でしょう。
彼等の冒険心を汲んで声を掛けてくれた事……ありがとうございました……!
GMコメント
皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
世間はもう夏休み期間ですね……子供達の大切な夏の一時が、大惨事になるのを防ぐ為にも、皆様のお力をお貸し下さい!
●成功条件
小学生達(8人)を追跡し、襲撃される瞬間に間に割込み、颯爽と救出すると共に悪性怪異:夜妖<ヨル>を仕留める事が目的になります。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●周りの状況
都内から少しだけ離れた田舎町『奥梶浦』の海水浴場が舞台となります。
ジャバーウォックの事件の前は、海水浴場も賑わっておりましたが、今はもはや寂れた海水浴場といった具合です。
その為、人気は少なく、海水浴場自体も最低限の整備だけして放置気味な状態になっています。
怪異が現れるのは深夜の刻故、周りに全くの灯りがないまっ暗な状態です。
子供達は懐中電灯等々を持って居るので灯りの心配はありません。
とは言え海の方から迫り来る怪異には無防備な状態(というか妖怪に襲われるだなんて考えて無い)なので、不意打ちを必ず食らう状態です。
それを防がないと、子供達が引き釣り込まれるのを防ぐ事は出来ませんので、皆様の行動でどうにかそれを止めなければなりません。
ただ、最初から皆様が近くに居ると、子供達は嫌がり、逃げようとします……その辺りはご注意下さい。
尚、戦闘中は子供達の守護行動も必要です。
●討伐目標
・海より這い出ずる夜妖『海坊主』:4体
悪性怪異:夜妖<ヨル>の一つで、髪の長い人型の夜妖です。
基本的には海の中に潜んでおり、誰かを引き釣り込もうとする時だけ、腕を伸ばして出現します。
足首を掴む事で、拘束効果を付与します。又、腕力がかなり高く、掴まれるとその拘束を脱出する事は容易ではありません。
また、身の危険を感じると再び海の中に隠れてしまいますので、彼等をどうにかして引き釣り出さないと、討伐すらままなりません。
尚、海の上に出てきた場合、彼等は怨嗟の声を呻き、攻撃してきます。
この声は防御力無効の攻撃となりますが、攻撃力自体はそこまで高くは無い様です。
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
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