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シナリオ詳細

悪たるに至るのは

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●悪たるに至るのは
 天義(聖教国ネメシス)の首都、フォン・ルーベルグより離れた海沿いに存在する独立都市『アドラステイア』。
 偉大なる神『ファルマコン』を信じる事のみが是であり、異なる神を信じる事は悪とされる、歪んだ奉の独立都市。
 ……とは言えそんな街中には、本当にこんな神様を信じても良いのだろうか……と、アドラステイアとしては歪んでいる、しかし他国においては正しい考えを持つ、純真たる子供もちらほらと……。
『本当に……ファルマコンさまは、いるのかなぁ……?』
 とぼんやりと呟いたのは、中層に棲まう年の頃まだ小学生位の少年。
 中層の一角、人気の無い広場のような所で、神を信じぬ言葉を紡ぐ。
 勿論そのぼやきは、誰にも聴かれないだろう……と、思っていて、ぼんやりと呟いただけのこと。
 ……しかし。
「……おい、おまえー、かみさまをしんじないとかどーいうことだ!!』
 姿を隠して居たのだろうか、それとも偶然通りがかったのだろうか?
 真実かどうかは関係無い……ただ明らかなのは、彼がファルマコンを信じぬアドラステイアの罰当たり者である、という事。
『え? そ、そんんあ事言ってないって!』
『いーや、このみみでたしかにきいたぞ!! せんせー、はんぎゃくしゃだ、はんぎゃくしゃがここにいるぞー!!』
 大きく騒いだ少年……その身なりは整っており、『プリンシパル』なのはすぐに解る。
 勿論プリンシパルの子供という事は……ファルマコンを信じぬ者を突き出す事が使命。
『っ……!!』
 声を上げられ、早々に逃げようとする信じぬ子……そしてプリンシパルの要請を受けて、近くのティーチャーは要請を受けて加勢。
 彼の逃げ道をなくしながら、彼を捕まえようと動き始めるのであった。


「あの……すいません……ちょっと……お話を聞いて貰っても……宜しい……ですか……?」
 天義首都フォン・ルーベルグ。
 人気の無い広場にて、街にひっそりと佇むのは、10歳位の幼げな少女、ラヴィネイル。
 そんな彼女に気付いた君たちが足を止めると、彼女はこくり、と頭を下げて。
「ありがとうございます……今日もまた、数人が渓へと落とされてしまいました。恐らく……明日も、明後日も……同様の現象が起きることでしょう……」
 瞑目する彼女の言葉には、悲しさ……の様な事は感じない。
 とは言え彼女の言葉は真実であり、ほぼ毎日……アドラステイアにおいては、叛逆者を疑惑の渓へと叩き落とされている。
 しかしながら、その様な事態を看過し続ける訳には行かない……救える命を救うのは、イレギュラーズとして出来る事。
 そしてラヴィネイルが君たちを集めたという事は……救える事件がある、という事。
「どうやら……アドラステイアで、神を信じる事に、疑問を抱いた少年がいる様なのです。ですが……その発言を熱心な信徒であるプリンシパルの少年達に聞かれてしまい、叛逆者として惨殺の凶刃に倒れそうな方が居るのです……」
「……少年一人に対し、徒党を組んで殺しに来ようとする彼等を許す訳にはいきません……皆様の力で、どうにか彼を救ってきて戴けないでしょうか……?」
 不安気な視線を向けるラヴィネイル。
 それに頷きし君たち……そして。
「……ありがとうございます……彼は中層の何処かで隠れてしまっている様で……彼女を探す必要が有ります。ですが、その周りには彼を見つけ出そうと、プリンシパルの者達がおり、その周りにはティーチャー等も居る事でしょう……彼等より早く少年を見つけ、彼を守りながらアドラステイアから避難させて戴ければ、と思います……」
 と、ラヴィネイルは深く頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回の舞台はアドラステイア中層。
 神を信じなければ殺すまでという極端な考えを持つ者達とは、決してわかり合う事は出来ないでしょう。

 ●成功条件
  アドラステイア中層、神を信じぬ少年『フリードリア』を救う事です。
  アドラステイアに居たままでは彼が生き残る術は無いので、彼を安全にアドラステイアの外まで連れて行くことが必要となります。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  アドラステイア中層が舞台となります。下層については、下手に騒動を起こすような事をしなければ無事に通過出来ます。
  中層の中世ヨーロッパの街並みのどこかに彼は隠れており、その近くにはプリンシパル等が声を上げて追い立てていますので、その声に耳を欹てれば場所に近づく事は簡単です。
  とは言え皆様も、アドラステイアの者達からすれば叛逆者と同様の扱いなので、彼等に見つかれば先んじて戦う事になり、時間の浪費にも繋がりかねないので、そこはご注意下さい。
  少年は追い立てられており、声を掛けられても自分から出てくる事はありません……なので彼を安心させるような説得もポイントになります。

 ●討伐目標
  優秀たる『プリンシパル』の子供達。
   ティーチャーの教えに基づき、優秀な成績を上げた為に将来のティーチャー候補とされた子供達です。
   聖銃士の監督も務めており、アドラステイアの模範となる為に行動を行うのが基本原則となっており、叛逆者を見つけ出すのもその行動の一つとして自信を持って努めています。
   ティーチャー、そして洗脳兵含めて今回の敵は説得はほぼ不可能なので、倒す他ありません。
   このプリンシパルの子供達は体長と同じ位の大きい槍と鎧を装備しており、攻撃力・防御力どちらも高い様です。

  教え導くティーチャー
   プリンシパルの少年を指示指導する大人達です。
   プリンシパル、更には薬物で完全に洗脳した洗脳兵達に指示を与えて、救出対象の少年及び皆様を殺す事を指示します。
   攻撃能力はそこまで高くは無いものの、仲間達を補佐する様な能力(回復魔法や支援魔法など)を様々に使用してきます。
   勿論自分が怪我を負わない様、子供達を盾にする、性根腐った奴らなので殺しちゃって構わないでしょう。

  自我を失いし洗脳された子供達。
   元々は神を信じる事に敬虔ではなかった子供達です。
   捕まり、ファルマコンを信じる事を強制され、様々な薬物で自我を失わせることで、今では洗脳されてしまいました。
   彼等は最早自我ある言葉を発する事も出来ず、ただ指示に従い殺すだけの殺戮人形と成り果ててしまっています。
   攻撃力が極めて高い相手で、防御は捨てて攻撃してきますので、一撃必殺の攻撃を喰らわない様ご注意下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 悪たるに至るのは完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年08月15日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
黒鎖の傭兵
マリカ・ハウ(p3p009233)
冥府への導き手
ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)
微笑みに悪を忍ばせ
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
航空猟兵
刻見 雲雀(p3p010272)
最果てに至る邪眼
リエル(p3p010702)

リプレイ

●命の価値たるや
 天義フォン・ルーベルグより離れし海沿いにある独立都市【アドラステイア】。
 かの国は、独自の神【ファルマコン】を信じる事を強制し、強い導きを行いしこの国に於いては……信じぬ者は鬼の首をとったかの如く騒ぎ立てられる。
 そんな国の姿は、正しいとは思わない……だが、アドラステイアに棲まう人々はそれに疑念を抱く事も無く、更には叛逆者は殺しても良いという触れ込みすらする始末。
「全く、宗教の悪い所を煮詰めた国……と言うのも言い飽きてきた所だな。自分らの屋台骨を揺るがす愚行……連中も良く飽きないものだ」
 深い溜息と共に瞑目するは、『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)。
 それに呼応する様に、『微笑みに悪を忍ばせ』ウィルド=アルス=アーヴィン(p3p009380)と、『黒鎖の傭兵』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)が。
「ええ……本当、アドラステイアも学習能力が無いですねぇ……狂信者という便利な手駒を造るのに、こういった洗脳教育が有効なのは認めますが……既に綻びが出始めているのにもかかわらず、現状維持ですか」
「ああ。確かに信仰とは、無垢に信ずる事こそ、最高の神への奉仕である。さてコレは、誰が言っていた事だったか、な」
 肩を竦めるマカライト、更に『ゴミ山の英雄』サンディ・カルタ(p3p000438)も。
「本当に神に守られてんなら、取り締まりなんていらねーはずなのによ。ま、皆薄々感づいてるんだろーけどな?」
 肩を竦めるサンディに、うんうんと強く頷くのは、『最果てに至る邪眼』刻見 雲雀(p3p010272)と『航空猟兵』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)。
「ああ、全くだ……本当に懲りないよね、ここの連中は。悪があるとするならば人の心、という言葉の意味を毎度思い知らされるよ。盲目的に狂信することの恐ろしさもね……」
「そうなのです! アドラステイア滅ぶべし。こんな狂った街、いつまでも放っておくのがまずいですよ。正直、火を付けて燃やしません?」
「……いや、流石に街を燃やすと、こっちが罪人になりかねんぞ?」
「そうですね、冗談なのですよ」
 一瞬眉を顰めた雲雀に、苦笑するブランシュ。
 勿論二人も、今迄幾度となくファルマコンに纏わる依頼を熟してきたからこそ、言える冗談。
 しかしその冗談に、いたずらな表情で『トリック・アンド・トリート!』マリカ・ハウ(p3p009233)は敏感に反応して。
「えー? 街を燃やさないんだー、残念……って、大丈夫大丈夫、解ってるよー。でもさー、神様って何? おやつの時間のケーキよりも大事なの? 好きな物を好いて、嫌いな物を嫌って何がいけないの?」
 首を傾げるマリカに、エーレンが。
「勿論、好き嫌い言うのは自由だ。だがこの国においてはそれを認めないという異常な状況……ってな訳さ」
 と言い捨てると、リエル(p3p010702)も。
「そう……その様な事態になっていたのね。アドラステイア……天義の目から長く離れていたとは言え、どうしてそこまで過激になれたの……?」
 首を傾げるリエル……対しウィルドとマカライトは。
「過激になれた、と言うよりかは、ならざるを得なかった……という感じですね。まぁそういった異常な状況を是とし続けていたからこそ、こうなってしまった……自分たちで用意した火種が予想以上に燃え上がってしまった感じですか」
「ああ……非常に下らん。それで思考を放棄して魂すら干涸らびさせ、破滅したヤツが何人居ると思って居る?」
「ええ。そんな馬鹿どもは置いておいて、こちらはお仕事と行きましょう」
 そしてマカライトの言葉にブランシュが。
「そうですよ! 早くフリードリア少年を救出するですよ!」
 一際元気良く、強く声を上げるブランシュ。
 そしてサンディ、ウィルド、雲雀も。
「そうだな。今回の目的は、こんな哀れな国に取り囲まれた少年の救出! ってわけだ」
「ええ。自力で馬鹿どもの洗脳教育から逃れた褒美です。この少年には、少しばかり助けがあっても言いでしょう。個人的に、この都市から逃れてどうするかを見て見たいですしね」
「ああ。味方になってくれる人もいなくて彼も心細いだろうし、助けてあげないとね」
「そうだな。取りあえず敵の手勢の抑えは皆に任せる。俺は少年に接触し、保護するのが役目、っと……んじゃ、宜しく頼むぜ!」
 ニッ、と笑みを浮かべたサンディの手には、アドラステイア中層へ侵入するのを用意にする通行手形。
「これがあれば、楽に侵入出来るって訳ね……助かるわ。皆も準備は……良さそうね」
「ああ。ふたりとも、健闘を祈る」
 リエルに続き、エーレンがサンディと雲雀の肩を叩き、こくりと頷く雲雀。
 そしてイレギュラーズ達は、逃げ惑いし少年の居るアドラステイア中層へと向かうのであった。

●涙の価値と
『おい。みつけたか!』
『いや、こっちには居なさそうだ。くそー、どこににげてやがるー!!』
 アドラステイア中層、ラヴィネイルに指定された区域に辿り着いたイレギュラーズ。
 区域内では大きな声で逃亡者を追い立てる声が響きわたり……ドタドタと走る足音が聞こえる。
「全く……そこまでして、叛逆者を捕まえてどうするって言うんでしょうね」
 とウィルドが小さく溜息を一つ。
 叛逆者を捉えたいという意識だけで突き動かされている子供……いや、プリンシパルの子供達と、それを先導するティーチャー達。
 外から見れば滑稽な光景ではあるが……かれらからすればそれだけが行動理念であり、譲れない事。
「兎に角、彼等より先にフリードリアを見つけなければならないわね」
 そうリエルは言うと共に、目を閉じて、感覚を欹てる。
 ……周囲に漂う荒々しい気持ちの声の中に……ほんの僅か漂う声。
『……助けて……助けてよぉ……』
 救いを求める声を鋭敏に感じ取り、その方角を探る。
 ……少し時間を駆けて、その方角を指さすリエル。
「あっちの方なのですね! だと、そっちの方にプリンシパルの子供達が行かない様に注意しないとですよ!」
「そうだね~。それじゃーマリカちゃんは陽動に回らせて貰うよ!」
 ブランシュの言葉にニッ、と笑みを浮かべたマリカ、それにエーレンも。
「ああ。それじゃ、ここでも手分けをするとしよう」
「了解!」
 そしてマリカとエーレンの二人は一旦その場を離れ、残るイレギュラーズ達で、リエルの案内と共にフリードリアの隠れていると思しき鳳閣へと移動。
 段々とその気配が強くなってきた所で、更にサンディが創作能力を強めることで、最後の決め手の如く、隠れている場所を見つけ出す。
「……こっちか?」
『……ひっ!?』
 壁に身を潜めるようにして、隠れていた少年……聞いてきた特徴ともピッタリ合致しており、彼がフリードリアだと確信する。
「居たか……大丈夫。俺達は君を助けに来たのさ!」
 笑顔一杯でサムズアップするサンディ……少年はえ、えと……と混乱している模様。
「大丈夫。俺はサンディ・カルタ! なぁ少年。この街に居るのは危険だ。この街の外に行ってみねえか?」
『え……? で、でも……』
「ん……だって気付いてるんだろ? 『ファルマコン』に疑問を感じたら追いかけられたんだろ? 大丈夫、俺も『ファルマコン』なんて信じてねーし」
 ははっ、と笑うサンディ……勿論その間、雲雀は広い目で周囲を観察、警戒し、プリンシパル達の接近状況を確認。
「……少し近づいて来てるのが居るようだ。そっち、頼める?」
「ああ、了解」
 雲雀に頷きつつ、ブランシュ、ウィルド、マカライトの三人は近づきつつあるプリンシパルの方向へ。
『っ……なんだ、おまえたちは!!』
 見慣れない格好のイレギュラーズ達に対峙し、プリンシパルの子供達は武器を構える。
「すみませんが、ここから先には行かせられないのですよ!」
 そうブランシュは声高らかに宣言すると共に、威嚇射撃。
 足下を撃ち抜かれたプリンシパルの子供達は、咄嗟に一歩下がりつつ。
『こいつらも、はんぎゃくしゃだ。ティーチャー! はんぎゃくしゃがここにもいるよー!!』
 と大きな声を上げてティーチャーを呼び寄せるプリンシパルの子供達……だが、ほぼ同じタイミングで、フリードリアとは逆の方の遠くの方からも、ドカーン、と大きな音が響く。
「あははっ! ヒトに自分の好きを押しつけるのがあなたたちの好きなコトなら、マリカちゃんもマリカちゃんの好きを押し通してもイイってコトだよね♪ なら、みんなみんなみ~~んな……『お友達』になっちゃえっ!!」
「……ま、そういう事だ。ほら、叛逆者はこっちにも居るぜ? 捕まえるものなら捕まえてみな」
 マリカとエーレンが遠くにて更なる陽動の動きを見せて、二箇所同時に煙りが上がる。
『な、なんなんだよこれ!!』
 今迄に経験が無かったのか、驚きの表情を浮かべて慌てるプリンシパルの子供達。
「ほらほら、ついてきてみな?」
 と更にマカライトが言葉を加え、フリードリアの隠れている方向と離れる様に走る。
 プリンシパルの子供達は、大声を上げて追いかけ始める。
 ……そしてプリンシパル達の声がしなくなった所で、更にサンディが。
「お前が怖い気持ちは解るが、明日はこっちだ。ほら……ついてこい」
 アニキカゼを吹かせて彼の手を握るサンディ……そして、雲雀もその後を憑いて、彼の脱出をサポートする。
 そう二人が逃亡している最中、二箇所にて起きた戦いは。
「ほらほら、こっちですよ!」
「あはは! そんなんじゃつかまらないよー! もっともーっと、いたずらしてきてほしいのになー♪」
 ウィルド、マリカどちらも追撃してくる敵に挑発を加えながら、合流出来るように逃亡。
 中層の街中の追尾劇をこなしながら合流すれば……敵陣は、追い詰めたと思った様で。
『おいつめたぞー! もーにげられないぞ!!』
 声を上げるプリンシパル……その背後にはティーチャーと、虚ろな表情でううう、と呻く洗脳兵の子供達。
 しかし意気揚々とする敵陣に対し、努めて冷静に。
「それではここで始めようか。鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。――お前たちに子供の人生を歪める権利はないぞ」
 との言葉と共に、雷を帯し居合斬りの一閃を放つエーレン。
 しかし次なるステップですぐに仲間達の元へと舞い戻り……ティーチャーは斬られたことに気がつかぬままに、傷に苦しむ。
『っ……ぐはっ!』
 吐血したティーチャーに、プリンシパルの子供達は驚きの表情を一瞬浮かべる。
『気に……するな……行けっ、殺せ、殺すのだっ……!』
 しかしティーチャーは矢継ぎ早に指示を与えプリンシパルと洗脳兵達に攻撃を指示。
 一瞬の戸惑いを見せるプリンシパルと、従順に指示に従う洗脳兵達。
 その対比にブランシュは。
「プリンシパルの子供達は、少しだけでも両親は残っている様なのですよ。でも……無傷で、という訳には行かなさそうなのです。ならば、油断せずに行くのですよ!!」
 自分に言い聞かせるようにして、敵陣に纏めて重圧の一撃を叩き込む。
 更にウィルド、マカライトの二人は、ティーチャーの指示を受けて刃を嗾けてくるのに対し。
「いやはや、プリンシパルに洗脳兵諸君、お勤めご苦労様ですねぇ……ですが、あなた達はこの場から逃れる事は出来ません。ええ、挟み撃ちされたのではありません。行き止まりにブチ当たったのですよ? クククッ……」
「ああ。人間性を放棄した肉人形が「邪神」に殺されて曖昧な神のお膝元に行けると思うなよ?」
 闇の月の一閃と、凍てつく氷の鎖で敵を足止め。
 行動を封じられた所へ、リエルは辛辣に。
「神は罪発見器じゃないってことを、教えてあげるわ」
 と神々しい光で敵陣を次々と包み込んでいき、更にはマリカも。
「身体が朽ちても魂だけになっても、ずっとず~っとマリカちゃんと踊り続けてよ♪ トリック・アンド・トリート! キャハハハハ!!」
 陽気に笑いながら、大鎌持ちし骸骨の鎌の一閃で、確実に敵一人を殺……ではなく、不殺の一撃で叩き落としていく。
 さすがにそんなイレギュラーズ達の手練れた動きは、プリンシパル達を戸惑わせる。
 ……だが、背後のティーチャーからは。
『お前達! 怯むな! ファルマコンはお前達の戦いを見ているぞ! 逃げようものなら、お前達も叛逆者と同罪だ!』
 ティーチャーの言葉に、はっ、とした表情を浮かべて……更に攻撃の勢いを強める。
「全く……本当何度も侵入と攻撃を受けている割には、その考えは全く変わってない様ね? 子供達に責任転嫁して……仕方ないわね。覚悟しなさい」
 とリエルは零すと共に、子供達を殺す……訳で無く、できうる限り不殺にて、気絶させる。
 他の仲間達も、できうる限り子供達には痛い目に合わさせない様にしつつ、倒して行く。
 十数刻経過……子供達は撃退され、最早残るはティーチャーのみ。
『っ……な、何だとっ……覚えてろっ……!』
 驚きの表情を浮かべ、踵を返そうとした彼等。
 その背中に向けて、リエルが撃ち抜くは不可視の刃。
「……腐った教導官。貴様あはそぎ落とす!」
 とティーチャー一人を惨殺。
『ひぃっ……!』
 否応なく殺されし仲間の骸に悲鳴を上げ、逃げ足速く逃げていくティーチャー。
 そして、敢えて全てを殺す事無く、彼等を逃す事により、フリードリアを追いかけないように仕向けるのであった。

●道程の先に
 そして……アドラステイアを離脱したイレギュラーズ達。
「ふぅ……ここまで来れば、もう追いかけてくる事は無いだろう……大丈夫かい?」
 と、雲雀はフリードリアを背中からおろし、振り返りつつ声を掛ける。
 その言葉に対し、少年はおずおずと頷く。
 そんな彼の様子を伺いつつ、戦いし仲間達との合流を暫し待機。
 そして数刻の後に彼等が戻ってくると。
「いやぁ……無事だったようで、本当に良かったのですよ!」
 笑みを浮かべたブランシュが、フリードリアに笑顔で語りかけると、それにフリードリアは。
「えっと……その……ありがとう……」
 まだ状況が理解仕切れていない様で、おずおずと頭を下げる。
 その頭を軽く撫でながら、ブランシュは。
「それでフリードリア君……一つ聞きたいのですが、いいです?」
 と問い掛ける。
『え……? ええ、何ですか……?』
「うん……フリードリア君は、あの場所にまた戻りたいですよ?」
 アドラステイアの方を指さしながら、ブランシュがフリードリアに問う。
 それに対し、彼は。
『えっと……その…………パパも、ママもいるから……戻りたくない……と言えば……嘘に……なる、かな……』
「そうなのですね。でも、止めといた方がいいですよ?」
 とのブランシュの言葉にリエルも。
「そうね。神様がいないと言うだけで、こんなに怖い目に合わされるのよ? 確かに神の実在証明は難しいわ。ワタシたちイレギュラーズでさえ、代役や信仰対象になるくらいの長命者にしか遭ってないもの。まぁ……いるかどうかを信じるより、もしも神様に会った時に、胸を張れるように過ごす指針こそが、信仰なんだと思うわよ?」
「そうなのです。不安なら、練達のブランシュの領地に来るですよ! 同じように、アドラステイアから逃げてきた子もいるです。きっと、仲良く過ごせると思うのですよ!」
 彼の目をじっと見つめながら、手を握るブランシュ……そして、マカライトも。
「そうだな……考える事を忘れるな。盲信は愚の骨頂だ。多少いるかどうか位で神様は膝を曲げない。其れくらいの方が『人間』として優しく守ってくれる筈だからな? ま……俺は無宗教なんだが、な」
「そうなのですよ! 信じる自由、信じない自由があるのですよ!」
 そんな二人の言葉に、少し迷いつつも……こくり、と頷く少年。
 そしてエーレンとウィルドが。
「良し。それじゃ生きる場所は見つかった様だし、そこまで連れてってやるとするかな?」
「そうですね。乗りかかった船ですし……そこまでつきあいましょう」
 と頷き合うと共に……イレギュラーズ達はアドラステイアを後にするのであった。

成否

成功

MVP

ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
航空猟兵

状態異常

なし

あとがき

アドラステイア依頼、お疲れ様でした。
悲劇に見舞われる少年を無事救出し、彼の行く末の面倒を見る事までプレイングに記載頂けたので、彼も一歩を踏み出せたのでしょう。
勿論、父母と別れることになってしまうので……彼がしっかり乗り越えるまで、多少時間は掛かると思います。

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