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シナリオ詳細

<潮騒のヴェンタータ>蘇るゴーストシップ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 海洋、フェデリア島。
 かつて絶望の青と呼ばれたこの地域は静寂の青と呼ばれるようになり、人々の行き来が活発になり始めた。
 海洋と豊穣、そして鉄帝。それらの貿易もあり、中継地点となるこの島は今や世界最大級のリゾート島となった。
 シレンツィオリゾートと呼ばれるようになったこの地域で、各地から有力者、富豪などを集めてクルーズツアーが開催されようとしている。
 ……しかしながら、その航路は【ダガヌ海域】と名付けられた三角形のエリアを必ず通る必要がある。
 そこへ入った船が高確率で遭難、難破、行方不明になってしまうのだとか……。
「全く、物騒な話さ」
 『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)は呆れながらイレギュラーズに現状を説明する。
 深怪魔、狂王種、様かい、海乱鬼衆……。
 ダガヌ海域に出没する脅威は数あり、これらの掃討が強く望まれている状況だ。
「まあ、討伐に協力しておくれよ」
 クルーズツアーを決行させたいなら、この海域での事件を是が非でも終息させておきたいところ。
 やる気を見せるイレギュラーズへと、オリヴィアはこんな依頼を紹介する。
「なんでも、この海域に幽霊船が出るって話があるのさ」
 静寂の青と海の名が変更された時期には確認がされなかったが、死者の怨念が集まり、幽霊船を象ったという話もある。
 ガレオン船はかつて存在した船を思わせる姿をしているが、詳細は不明。船長を始めとした白骨化した乗組員が船内をさまよっており、この幽霊船に拘束されているようだ。
 また、実体化していない亡霊の姿もあちらこちらに存在している。
 顔だけであったり、上半身だけであったりと様々だが、いずれも生者を羨んでおり、近づく者の体温を奪おうと取りついてくる。
「それらの亡霊を呼び寄せているのが、幽霊船を具現化させていると思われる狂王種さ」
 巨大な真珠貝の口が開けば、現れるのは人魚。
 狂王種マーメイドシェルは歌声を使って亡霊を呼び寄せる。
 さらに、歌声によって戦場を凍える空気で包み込み、船に乗り込んできた者を死に誘うのだ。
「乗り込んでからも危険だが、接舷するまでの間に砲撃もしてくるから、うまく近づくんだよ」
 この幽霊船だけでも脅威だが、こうした存在がダガヌ海域には多数存在しているからゾッとする話だ。
 だが、人々の安全の為、脅威は一つずつ取り除いていかなければならない。
「皆もクルージングに興味あるんだろ? なら、あるべきでない幽霊船は消し去っておかないとな」
 白い歯を見せ、オリヴィアはこの依頼を引き受けたメンバー達へと託し、背を向けて去っていったのだった。


 船へと乗り込んだイレギュラーズは準備を整え、フェデリア島を出港する。
 時間は夜。霧が立ち込めてくるダガヌ海域。
 目的以外の対象と遭遇することは避けつつ、目的の幽霊船を捕捉する。
『来たわね。私と一緒に船旅をしたい船乗りが……』
 その女性の声は聞くだけで寒気が走り、底冷えがするような感覚を抱かせる。
 こいつこそ、幽霊船を具現化させているというマーメイドシェルだろう。
『挨拶代わりに……、受け取って頂戴』
 直後、幽霊船の砲台が火を噴く。
 勢いよく飛んでくる砲弾は水面に当たると、激しい爆発を巻き起こす。
 それによって起こる荒波で煽られる船体をなんとか立て直しつつ、一行は幽霊船へと近づいていくのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 <潮騒のヴェンタータ>のシナリオをお届けします。

●目的
 幽霊船の消滅

●状況
 ダガヌ海域の海中に現れる幽霊船を消し去ることが目的です。
 イレギュラーズは自分達の所有する船で、あるいは海洋で船を借りて幽霊船に近づき、乗り込みます。
 幽霊船はガレオン戦で、全長50mほど。
 3層構造の船で、その船倉に幽霊船を具現化させている存在がいます。

 発見から接敵時は砲撃を行ってくる為、上手く避けつつ接舷する必要があります。
 船内通路では亡霊や白骨化した乗組員が数体単位で現れることがあります。
 船底にある船倉を巣窟としている狂王種を討伐することで、幽霊船は消滅します。
 海に投げ出される形となる為、何らかの対策が必要でしょう。

●敵
 略称はプレイングの字数軽減などにご利用くださいませ。

○狂王種:マーメイドシェル(略称:人魚貝)
 巨大な真珠貝の中身となった人魚となった怪物です。
 貝は全長3~4m。中身となっている人魚は人間種一般成人女性と同等の大きさ。
 怨嗟の歌声で亡霊を呼び寄せ、凍えるような空気を展開し、対する相手を死へと誘おうとします。

○亡霊×無数
 幽霊船に引き寄せられるように集まる亡霊達です。
 敵対者に触れて体温を奪い、取りついて動きを止め、運気を下げてきます。

○乗組員×30名
 全てが白骨化、船長と思しき存在でも実力差はありません。
 甲板から船内通路に登場。マスケット銃とカットラスを使ってきます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <潮騒のヴェンタータ>蘇るゴーストシップ完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年08月06日 22時11分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
矢都花 リリー(p3p006541)
ゴールデンラバール
ハッピー・クラッカー(p3p006706)
爆音クイックシルバー
Meer=See=Februar(p3p007819)
おはようの祝福
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
ファニー(p3p010255)
燦火=炯=フェネクス(p3p010488)
希望の星

リプレイ


 出港するイレギュラーズ一行。
「霧晴れないかなぁ?」
 夜に航行することもあり、暗いのは仕方ないと考えていた『おはようの祝福』Meer=See=Februar(p3p007819)は絡みつくような霧にうんざりとする。
 メンバー達の乗る改造小型船『紅鷹丸』は見た目こそただの漁船なのだが。
「あのシュペルが片手間に作った魔法の船。性能はちょっと丈夫で速いのだ」
 赤い鷹のシンボルが帆に掲げられたその船の持ち主、『太陽の翼』カイト・シャルラハ(p3p000684)は鼻を高くする。
「夏場で暑かったから幽霊船で肝出し的な任務はちょうど良いわね」
 『狐です』長月・イナリ(p3p008096)はびっくりどっきり肝が冷える様な事はあるかしらとワクワクする。
 傍に、いつの間にか、『スケルトンの』ファニー(p3p010255)が立っているのに気づけば、ちょっとした納涼感があるかもしれないが、それはさておき。
「幽霊船とは、せっかく踏破したこの海に縁起の悪いものが現れたものだね」
 『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は数年前にこの海で繰り広げられた戦い、そしてかつての冒険を懐かしそうに思い返す。
 イレギュラーズによっては文字通り命を張って戦い抜いた闘いの記録は早くも伝説とすら語られている。
「こうもあっちこっちに幽霊船が出てくるとはね。ほんと、よくこんな海域を開拓出来たものだわ……」
 比較的、イレギュラーズになって日の浅い『希望の星』燦火=炯=フェネクス(p3p010488)ら亜竜種からすれば、こうした話は全て伝え聞く話。
 見渡す限り水平線という状況すらある海で、豊穣までの海路を以前のローレットが開拓したという事実は、燦火にとってにわかに受け入れがたいものであったらしい。
「こういう時はね、幽霊仲間がすみませんねって感じになるよね!!!!」
 自身も幽霊だという『爆音クイックシルバー』ハッピー・クラッカー(p3p006706)はそう言ったものの、自分が悪いわけではないけれどと手を軽く振って。
「悪人が出た時に人間仲間がすみませんねとはならんだろうしな!!!」
 けらけらと笑うハッピーは実にフリーダムだ。
 ただ、幽霊船に住まう狂王種マーメイドシェルは歌声で呼び寄せた獲物を決して逃さず、死へと誘おうとするという。
「悪い人魚の退治かぁ……うん、いろいろ思うところはあるけど、歌をそんなふうに使う子はほっとけないよね!」
「……ふーん……、貝に入った人魚で人魚貝ねぇ……。……、……、ギルティ……」
 素直に自分の感情を口に出すMeerに続き、『ゴールデンラバール』矢都花 リリー(p3p006541)がいきなり逆切れしていて。
「何勝手にヤドカリパクってるわけ……?」
 ヤドカリの海種であるリリーとしては、二枚貝を使う敵などヤドカリマナーを大きく違反して許しておけないそうだ。
「……そんなにヤドカりたいなら、まとめて三途の川で来世までクルージングならぬクレンジングされてこいだよぉ……」
 覚悟……と狂王種へ並々ならぬ敵意をむき出しにするリリーだ。
「ふふっ、あの頃より腕を上げたことだし、ココは1つ懐かしい海戦と行ってみようか」
 ともあれ、海の平穏の為に、ゼフィラもまたこの事件の解決に意欲を見せる。
「海洋の平和のためにもがんばらなきゃ」
 気合いを入れるMeerのおまじないの効果もあってか、周囲の霧が少し腫れて視界が幾分開けてきていたようだった。


 船がダガヌ海域に入ってしばらくして。
 遠方に見えてきた不気味なガレオン船をメンバー達は捕捉することに。
「……んでまずアレに突入だねぇ……」
 リリーがちらりと操舵手であるカイトに目を向けると、彼はテンション高く舵輪を操って。
「紅鷹丸をこの俺、海洋の船乗りのカイトが動かすんだ。そこんそこらの砲撃じゃ捉えられねえぜ!」
 幽霊船が大砲を放ってくるという情報があったが、カイトは砲撃上等とばかりにその船へと直進していく。
 無論、乗船するメンバーは皆了承済み。それぞれが自らの役割を開始するタイミングを待つ。
「気になるお船、暴走突撃となりの鳥さん、始まるぜ!」
 愛用の船征誌と合わせ、カイトは最大限に己の航海術の知識を駆使し、高い操船技術を活かす。
 直進しているように見えて、彼の船は飛んでくる砲弾を見事に避けてみせる。
「砲弾が飛んでくるんだったか。あー……」
 カイトの操船はさすがだとないはずの目を見張るファニーだが、さすがにそう何度も砲弾が外れるはずもない。
 完全に命中すると思われた次弾を、ファニーは魔砲で玉を空中で爆破した。
「流石に無茶だと思ったが、できるもんだねぇ」
「砲撃してくるとか煽り運航にはしっかり理解らせてやんないとだよねぇ……」
 この状況でもマイペースなファニーに対し、リリーは凶暴性を隠すこともなく露わにする。
 すると、何処からともなく聞こえてくる背筋が凍るような歌声が。
『来たわね。私と一緒に船旅をしたい船乗りが……』
 幽霊船内部にいるはずのマーメイドシェル……人魚貝が聞くだけで体力が奪われかねぬ歌声を響かせる。
 すると、幽霊船の周囲へと目に見えるほど濃く亡霊が姿を現す。その数は徐々に増えていた。
「歌には歌を!」
 Meerが負けじと金のベル「Flüstern」を鳴らして歌い始める。
 ――波の間に間に揺蕩うたましい♪
 ――霧の向こう、星の音色頼りに♪
 ――眠れ、眠れ、細波を子守唄に♪
 人魚貝の声を払拭するように響くMeerの歌は、さながら天使のそれを思わせ、清らかで聞きほれてしまう程だった。
 その歌声の中、カイトの船は止まらない。
「船旅に誘うのはこの俺だぜ! 航路を作る航海士相手に旅路を誘えると思うなよ!」
 ファニーは主砲目掛けて魔砲を放つが、さすがに砲弾の数も増えてくる。
「そろそろかな」
 そこで、ゼフィラが魔力の翼で飛翔する。
 機械の四肢も使い、彼女は海風に乗って一気に幽霊船へと乗り込む。
 イナリもまた風に乗って飛び、敵船の甲板目掛けて高速移動し、砲手と思わせる白骨化した乗組員を吹き飛ばしていく。
 当然、次はイナリが敵から狙われることとなる。
 予め状況を想定していた彼女は乗組員の死角へと回り込んで木製の小刀で一撃を打ち込む。
「あったわね。これなら……」
 その最中、近場に積まれてあった砲弾や炸薬を発見したイナリは遠方から通り過ぎるように一撃を見舞って爆発させ、誘爆によって近場にいた乗組員を倒していた。
 傍では、ゼフィラが別の大砲の砲手に光撃を与えて撃破。
 時間稼ぎは十分だと悟ったイナリは自分達の船が迫ってくるのを物陰から視認する。
 さて、カイトはお構いなしに速度を上げ、幽霊船と称されるガレオン船目掛けてアンカーを射出しつつ突撃する。
「まっ、正面からぶっつけて強襲かけるよぉ……」
 いつの間にか、リリーは自身の小型船に移っており、カイトに追随する。
 立て続けに敵船へと衝突する2隻の船。
 満を持して幽霊船の甲板に立ったリリーは早速稼働する砲台を乗組員から奪取する。
「後はやりたい放題じゃん……」
 幽霊船の方へと方向を向けて一発ぶっ放したリリーは暴発させて周囲の亡霊ごと消し飛ばす。
 しかし、乗組員も亡霊も数は多く、侵入してきたイレギュラーズを死へと誘うべく近づいてくる。
「こっからは私達の仕事だね!!」
 大きく胸を張るハッピーは喧しく音を立てて周囲にいる敵の気を引く。これぞ、クイックシルバーとも言われる彼女の真骨頂である。亡霊である彼女に骨はないのだろうが、それはさておき。
 オオオオォオオォオォオォ……。
 白骨も亡霊も、ハッピーへと近づいて体力を奪い取ろうとする。

 なんとも姦しい彼女はこれでもかと移動しつつ、多数の冷たい手や乗組員の刃や銃弾を引き付ける。
「まったく、こんな可愛い子がとんだ無茶をするものね」
 そのハッピーを燦火が援護する。
 とはいえ、圧倒的多数に囲まれる彼女の状況はあまりに無茶だ。
 それでも、自分からそれを行おうとする彼女に燦火は好感を抱きつつ。
「さておき! やる事は二つ、火力支援と回復ね」
 そう言っている間にも、ハッピーは甲板の端から端へと移動していて。
「……って、ハッピーちゃんはっや!?」
 こりゃ、駆けずり回っている間は全力移動だと、燦火は苦笑いしてしまう。
「すぐに歌を止めてくるから、それまでがんばって!」
 Meerはハッピーや燦火らに少しでも幸運が巡ってくるようにとおまじないを残し、「ゴーゴー!」と掛け声を上げて船倉を目指す仲間を追う。
 なお、ファニーはこの場に残って。
「乗組員は白骨化してんのか……随分と長い間操られてるんだな」
 骨になってもまだ眠れずに操られる、なんとも滑稽な骨達。
 人魚もこんなのを侍らせて何が楽しいのかとファニーは理解に苦しむ。
 なにせ、ファニーはアンデッドではない。それ故にこの場の敵対者の気持ちなど想像することしかできない。
「でも、ま、同じ骨のよしみだ。俺様が直々に葬ってやるよ」
 前方へと彼の放つ魔砲が次の瞬間、乗組員達の体をバラバラにしていった。


 マーメイドシェルがいるはずの船倉へと向かうのはゼフィラ、カイト、Meer、イナリ、そしてリリーだ。
「直接穴を開けられれば良かったんだがな」
 仕方ないとカイトは考えを切り替え、立ち塞がる道中の亡霊や乗組員を圧倒的なスピードで切り伏せていく。
 この先待つ相手は狂王種。消耗はできる限り抑えたいところ。
 先頭を走るカイトを後続メンバーが援護する。
 この海洋でラサを思わせる熱砂の嵐を巻き起こすMeer。
 多少亡霊が蹴散らされるが、人魚貝の歌声に突き動かされ、幽霊船に囚われた魔物達はイレギュラーズの命を奪わんとその手を突き出す。
「させないよ」
 通路の横から突き出される腕。聴覚、嗅覚を研ぎ澄ましていたイナリが素早く敵を遠くへと突き飛ばす。
「アシストするよ。今は前へ」
 イナリの呼びかけに頷く面々の前に、またも数体の乗組員。
「無視しようかと思ったけど……邪魔……」
 それらをリリーがどこから持ってきたのか砲弾を投げつけて爆風で吹き飛ばす。
 それでもしつこく残る相手へ、彼女は思いっきりバールを投げつけて乗組員達を粉砕していた。

 船底にある船倉。
 Meerの支援によって態勢を整え直した面々はその内部へと突入する。
『わざわざ自分からやってくるなんて』
 口を開く巨大な真珠貝の中には一見すれば美しい人魚がいたが、その視線、存在感、放たれるオーラは底冷えするような寒気を抱かせた。
「狂王種マーメイドシェル。歌声を聞かせた相手を死に至らしめ、多くの死霊を従える恐ろしい魔物……だね」
 ゼフィラは持ち前の狂王種知識をそらんじる。
「伝承では人魚の肉って不老不死の薬になるのよね……こんな化け物でも効果あるのかしら?」
「いや、美味しそうではないがな」
 イナリはその人魚部分に着目するが、カイトが即座に一蹴する。
「真珠姫ってほど可愛らしくも真珠らしい綺麗さもないのがなー」
 外見だけは美しくとも、醜悪な中身が外へと漏れ出しており、全くもって惹かれないとカイトはげんなり。
「まあ大きい真珠だと恋人……今はお嫁さんだが……に合わないからな。期待はしてなかったぜ」
『結構よ。その意志ごと全て奪ってあげるから』
 人魚貝は早速声量を上げ、この場の面々へと怨嗟の歌声を響かせる。
 前線に立つカイトは仲間達の盾となり、人魚貝の攻撃から仲間を護ろうとする。
「長期戦は不利だね。一気に行こう!」
 ここでもMeerがカイトを優先的にサポートし、仲間達へと号令を放って力を与える。
 ただ、人魚貝の周りにも亡霊が一斉に集まってくる。
 ゼフィラはそれらを無視し、一直線に人魚貝を狙って激しい弾幕を展開していく。
「歌声は中身の人魚だ。相手が歌えないよう畳みかけよう」
 幾度も狂王種と交戦経験のあるゼフィラは実に頼もしい。
 亡霊へと視線を巡らすリリーだが、彼女もまたそれらを無視して人魚貝へとバールを投げつける。
 ここでも手を伸ばしてくる亡霊がうっとうしいが、リリーはすかさず反撃も与える。
「とりあえず、肝を引きずり出して確認してみましょうか!」
 人魚貝が食用として見られない仲間達に対し、イナリはなおも食べる気満々で攻め込む。
 敵が人体と同じ姿であれば、弱点となりそうなのは首筋や頭部。
 敵の死角へと回り込んだイナリはそれら目掛けて小刀を叩き込む。
『抗う必要なんてない。受け入れなさい』
 人魚貝の声はそのまま、この場に凍てつくような空気を展開するが、カイトは相手が姿をさらしている間にと自らの赤い翼を大きく広げて見せつける。
「船旅に誘うのはこの俺だと言ったはずだぜ」
 凍えるような空気に対抗した狂乱の緋色。
 人魚貝も両目を真っ赤にし、凝視するカイトへとなおも凍える空気で包み込もうとしてくるのである。


 徐々に亡霊が集まる幽霊船の船倉。
 イレギュラーズとマーメイドシェル……人魚貝の戦いに飛び込んで来たのは、ハッピーと燦火だ。
「必殺だけは勘弁な! マジ勘弁な! ネタ振りじゃねぇからこれ!!!」
 船内を必死に走り回っていたハッピーは船倉にも姿を現すが、仲間達とは距離があり、共闘という状況にはやや遠い。
 ただ、この場の亡霊も引きつけられそうだと判断したハッピーはなおも走り回る。
「思った通り、おしくらまんじゅう大会になるな!!!!!」
「バトルスタート? OK!」
 ハッピーが引きつけていく亡霊の群れへ、燦火はひたすら蒼い光を直線状に放つ。
 亡霊数体が消し飛ぶが、人魚貝はなおも新手の亡霊を呼び寄せてきた。
「亡霊は無限に沸いて出てくると思ったほうがいいな」
 ファニーもそちらの支援を続け、魔砲を撃ち込む間に、燦火は術式を展開して。
「ハッピーちゃんの天敵だもの。纏めて凍り付かせてあげる!」
 必殺持ちと思われる多数の亡霊を凍り付かせ、霧散させていく燦火。
 引き付け、纏めて撃破という連係プレイを見せる2人だが、やはり傷も深まってきていて。
「ハッピーちゃん、大丈夫!?」
 燦火の手当を受けるハッピーは実に嬉しそう。まだまだ彼女は走り回る心づもりのようだ。

 気づけば呼び寄せた亡霊がほとんどいなくなっていたことに気付く人魚貝。
『力ずくの方がお好みかしら』
 歌声はあらゆる者に対する妬み辛みを感じさせる。
 人魚貝は長らくこの海で、何を思っていたのか……。
 身の毛もよだつ歌声によって急激に冷えていく身体。
 ゼフィラは攻撃の合間に仲間の状態もチェックして聖体頌歌を歌い上げ、仲間達の状態を万全なものとする。
 ただ、そこから敢えて外れた位置にいたのはリリーだ。
「あたいに攻撃するとか復讐されたいってことだよねぇ……」
 体力を大きく削られたリリーは、ブチ切れて猛攻撃を仕掛ける。
 これでもバールで殴り掛かっていく彼女は見た目以上のパワーで人魚貝を殴打する。
「めっ!」
 たまらず貝を閉じようとした敵に、Meerは大声を上げて。
 ――寂しさの風じゃ船は進まない♪
 ――積荷には恨み辛みは要らない♪
 ――どうせ歌うなら月明かりの下♪
 ――船旅の安全を祈る歌にしよう♪
 態勢を崩す人魚貝が不意に視線を向けたカイトが圧倒的な速力をもって近づき、人魚部分を貝から引き剥がしてしまった。
『う、うそ……』
 信じられないと言わんばかりに表情をこわばらせた人魚は乗組員と同じく白骨となり、崩れていく。
「……来世があるなら、あなたも素敵な船旅ができるといいね」
 その末路に同情したMeerは、最後に優しく人魚へと呼びかけたのだった。


 人魚貝を倒すと、亡霊達と合わせて幽霊船までもが徐々にその姿を消していく。
 その前に、リリーは人魚貝の外殻となっていた大きな貝を収奪して。
(ニセヤドカリのでもまあ、バール試し投げの的か、泳げない人乗せる即席イカダぐらいには活用できるっしょ……)
 抱えつつ海中へと投げ出される形となった彼女はすぐに海面へと浮き上がる。
 ただ、仲間達は予めその対策を講じており、例えばファニーは深い蒼色のカクテルを口にして水中行動できるようにしていたし、飛行する燦火は仲間のフォローに当たっていた。
「水に沈むよりは空に飛んでたほうがいいだろう」
 水竜の加護を得ていたカイトは空中から仲間達へと白い羽を舞い散らせ、空中へと浮き上がることができるよう祝福をもたらす。
「空飛ぶクリオネだねっ」
 水中を漂っていたMeerは変化を解き、笑顔で子守唄を歌い始める。
 ――たくさんの魂が浮かばれるように。
 人魚貝の束縛から逃れた多数の魂が空へと立ち上るのを、水中から空中へと飛び上がったゼフィラが見上げて。
「うむ、今回も素晴らしい冒険だったね」
 彼女はまた一つで来た思い出を胸にし、この場の仲間達と共に陸地まで帰還していくのである。

成否

成功

MVP

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽

状態異常

なし

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは自前の船を使って幽霊船突入の機を作り、狂王種を討伐した貴方へ。
 今回はご参加、ありがとうございました!

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