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シナリオ詳細

<光芒パルティーレ>三の呪い奏で

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<光芒パルティーレ>三の呪い奏で
 大海原広がる海洋。
 その国の一角に浮かぶリゾート地の如き島『フェデリア島』は、富裕層を楽しませる様々な施設が建てられ、朝から夜まで、心の底から楽しませるイベント盛りだくさん。
 しかし……そんな島にほど近いダガヌ海域は、そんな煌びやかな島とは真逆の……暗い噂が絶えない。
『本当かよぉ? そーんな……噂話の様なものが起きるわけねーじゃん』
『ほんとーだって! ほら、昨日もこの海域で海難事故があったって言ってただろう? やっぱり俺達の与り知らぬ所で、本当に事件が起こってるんだって!』
 フェデリア島の港で会話しているのは、最近この島にて事業を興し始めた船員。
 つい最近来たばかりの船員に、先輩船員がそんな事を告げる。
 だが……彼の言う通り、この『ダガヌ海域』では、日に日に事故が起きている。
 ……その事故とは、フェデリア島の近くの島3つを頂点として結んだ三角形の海域内において、船が消息を絶つというもの。
 そしてその消息を絶った船は、幽霊船に襲われただとか、魔種の生き残りに殺されたとか……根も葉もなさそうな噂話が大量に渦巻いている。
 しかしながら、今このフェデリア島にて富裕層に向けて企画されている『海洋・豊穣クルージングツアー』においては、この海域を通らなければ平穏で特徴もない島を巡るがのみであり……この島を巡る事は不可避なる状況。
『でもよ。この噂話を聞いたアクエリアの総督府がよ、イレギュラーズ達に調査を命じたって話しなんだってよ! ま、イレギュラーズに任せればきっと大丈夫だろ。という訳で、クルージングツアー開始に備えて航海訓練始めんぞー!』
『お、おー!』
 先輩船員に拳を振り上げる海員達。
 そう……この『タガヌ海域』に平穏を取り戻すことが、アクエリア総督府『エルネスト・アトラクトス』総督の指令であり……イレギュラーズ達への依頼なのであった。


「……って訳だ。全く……面倒な話を持ってきて、指示を出して後は任せるとか、本当困るんだがな……」
 髪を掻き、溜息をつきつつ『黒猫の』ショウ(p3n00005)は、集まったイレギュラーズに振り返る。
 やれやれといった雰囲気の表情……だが、総督からの指令が命じられたとなれば、断るわけにもいかない。
 ともあれショウは、肩を竦めながら。
「ま、発端はどうであれ、今回の依頼は一般人の船が被害に遭っている訳で、どちらにせよ俺達が解決しなければならない事件だったしな……という訳で、まぁ説明させて貰うな」
 と言いつつショウが見せる海域図。
 アクエリア島の周域を記した海図だが……その地図上、赤い丸が三箇所に付けられており、その丸同士を繋ぐ線が引かれている。
 ……その線は、三角形の形を形作り……その三角形の中には、多くの小さな島が点在していた。
「ここが『ダガヌ海域』という所だ。この大三角形の中の海域で、多くの船が行方をくらましている」
「船が前兆もなく行方をくらますという事は、恐らく……一般人では対処する事が出来ないような脅威がこの海域で現れているって事だ。それにこの海域は『海洋・豊穣クルージングツアー』においても、必ず通る海域でな……安全が確保されない限り、それも開始する事が出来ないって訳だ」
「恐らくだが……この海域に棲みついている、巨大化した海の生物がこの自体を引き起こしているのだろう。どういった奴らがいるかの情報も無い……正直かなりの危険が伴うだろう」
「だが……のうのうと情報収集している暇も無いのが事実だ。という訳で……皆にはこの海域に向かってもらい、その脅威を排除してきて欲しい……って訳なのさ」
 詳細不明、敵の姿も不可解に包まれているという状態……しかしイレギュラーズならば、この事件を解決出来るであろうというのは、アクエリア総督府の認識。
「ま……油断する様な奴はここには居ないと思うし、しっかりと警戒して、海域の謎を解き明かしてくれ、って訳さ……んじゃ、宜しく頼むな」
 とショウは、ニヒルに笑いながら皆の肩を叩いて送り出すのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回はフェデリア島近くの『ダガヌ海域』の安全確保の依頼です。

 ●成功条件
  『ダガヌ海域』に現れる、船を襲う怪物(深怪魔)を討伐する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  今回の舞台となる『ダガヌ海域』は、かなり海流が激しい為、普通に船を航行するのも大変な海域です。
  船は貸し出しも可能ですが、皆様の船を持ち込む事も可能です……ただ厳しい運航になるので、操舵する能力が低いと、不安定な足場で戦う羽目になるかもしれません。
  又この海域の一角『ディンギル岩礁地帯』が今回の航行する舞台となりますが、ここは見えにくい岩礁が多く、それだけに船の事故が多い場所です。
  そんな荒れ狂う海の底から敵が突如として現れますので、荒れ狂う波に負けずに敵の討伐をお願い致します。

 ●討伐目標
  ・海のギャング『グロウル・シャーク』
    鋭い牙が特徴的なサメです……ハンマーヘッドシャークの様な風体をしています。
    一体だけでなく、数匹の群れでこの海域を周回しており、船を見つけ次第体当たりで船に穴を開けて、船が半ば沈没した所で攻撃をしかけてきます。
    何故かその頭頂部から雷鳴を迸る事が可能で、その雷鳴に掛かると長時間『マヒ』の効果が付与されます。
    また海中では動きがとても素早いです。
    ただ海中に来なければ、海を蹴って海上に跳びはねて、ボディプレスアタックを仕掛けてくる事もある様ですので、海上・海中どちらにおいても攻撃が可能です。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <光芒パルティーレ>三の呪い奏で完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年07月15日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
シラス(p3p004421)
超える者
ライハ・ネーゼス(p3p004933)
トルバドール
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星
フロイント ハイン(p3p010570)
謳う死神

リプレイ

●海原を走る
 蒼き広大な海が拡がる国、海洋。
 その一角に拡がる『フェデリア島』は、今やリゾート地として開発の手が入り、富裕層を喜ばせる為に様々な企画が動き始めていた。
 ……そして、今回イレギュラーズ達が集められたのも、その企画の一つに強く関係している訳で。
「……要は、そのクルージングツアーとやらを安全に開催できるように、俺たちで何とかしてくれって話な訳か」
 肩を竦める『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)。
 ショウから聞いた話……このフェデリア島の近くに拡がる三つの島を頂点にして結んだ三角形の海域『ダガヌ海域』において、度々船の難破事件が起きているとの事。
 そんな危険な海域なのに、この海域をクルージングする企画が出ており……その企画を成功に導くために、その脅威を討伐してきて欲しいという事である。
 そして今イレギュラーズ達は『太陽の翼』カイト・シャルラハ(p3p000684)の船、『紅鷹丸』に乗船してその海域に差し掛かった所である。
 左へ、右へと大きく揺れる船体……そう、この海域の一番の特徴であるのは、この荒れた波。
「……ととと、みんな、しっかり捕まってろよ!」
 その波の勢いを打ち消すように、操舵輪を回し続けるカイト……その傍らで『自在の名手』リリー・シャルラハ(p3p000955)は。
「うわぁ、凄い波……これが続くとなると、操船技術だけじゃどうにもならないよねっ。今こそカイトさんの為にーって、リリーが勉強した航海術、活かせるかな? ……とにかくやってみるしかないよねっ。がんばろっ!!」
 えいえいおー、と拳を振り上げるリリーに、カイトが。
「ん、ありがとうな。でも、無理はしないでくれよ?」
 笑みを浮かべたカイト……と、その瞬間、また大きな波が左から。
「っ……!」
 慌てて操舵輪を回し、転覆を回避するカイト……。
 そんな操船に手一杯な二人を横目にしながら、『トルバドール』ライハ・ネーゼス(p3p004933)が。
「ふむ……ダガヌ海域とやらは……中々難儀そうな場所だな」
 と息を吐くと、『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)とカイトが。
「うん。ダガヌ海域……最近色々ときなくさいね。あの有能なショウさんが情報収集も難しいだなんて……どんな危険が待って居るんだろうね」
「ああ。今も昔ももこの『ダガヌ海域』は、船乗りとして寄りたくも無い海域で有名なんだ。軍人としては、絶望の海を踏破するのに邪魔な場所でもあったしな」
「そうだね。でもまぁこれも海洋のためと思えばヤル気が出てくる。断じてヴェルスの為じゃないからな? 個人的な恨みは置いといて、海洋に忠誠を誓う身として頑張ろうか」
「はは、そうだな。ここで次に出てくる曰くは何なのか……まぁ楽しみだぜ!」
 海洋に忠誠を誓いし一人の男として強い決意を胸にする史之と、船乗りとして、そして軍人としての二つの面の顔を見せるカイト。
 ……そんな仲間達の言葉に、『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)が。
「えーっと……ルシア、ちょーっと良く解って無いのですけど、安全な方に回ると、船旅がつまらなくなるから、何とか安全なルートを開拓してほしい、ですよー?」
 小首を傾げるルシアに、『竜剣』シラス(p3p004421)が。
「そうだな。折角苦労して切り拓いたここ、絶望の蒼なんだ。大いに栄えて貰わないと困るって訳だ」
「そうなのですよ? うーん……仮にできたとして、そんな荒れる場所を通ってお客さんの安全は保障されるのでして……? 取りあえず……そこはカイトさんに頑張って貰うとして、せめてそれ以外の要因はなるべく排除するのですよ!」
 満面の笑みを浮かべたルシア。
 そしてシラス、縁、ライハも。
「そうだな。ローレットの仕事はアフターケアも万全ってところを見せてやらないとな」
「うむ、危険があるのであれば排除するのもまた英雄譚よな……皆の英雄の道筋の一助とならせてもらおうか」
「……まぁ、な。簡単に言ってくれるのは溜息もんだが、ま、イレギュラーズとしての仕事を横着する訳にもいかんしな。でも、無事に解決した暁には、ツアーの売り上げで最高級の酒でも奢って貰うとしようや」
 とイレギュラーズ達が言葉を零す中、『友人/死神』フロイント ハイン(p3p010570)は……今迄閉じて居た眼を開く。
「ん……どうした?」
 とシラスが声を掛けると、ハインは。
「……声が聞こえます。時化た海域の波濤も相俟って、周囲全域が唸り声に包まれている様です」
 その言葉にライハも目を閉じ、耳を澄ます。
 波が荒れ狂う音の間に、確かに……僅かに聞こえる咆哮の様な声。
「……確かに、この近くに居る様です。一層警戒を深めていく事としましょう」
「了解! ま、荒れまくってるから船から振り落とされない様にな!」
 ライハに頷き、更に強く操舵輪を握りしめ、更に荒れた海域へと進んで行くカイトなのであった。

●風を読みて
 そして……暫しの時が経過する。
 次第に波飛沫は大きくなり、左へ、右へ……と船は揺れる。
「これは凄いな……さっきまでの波がさざなみの様だぜ」
「ああ。本当凄ぇ荒波だな。何も出なくても、船が沈むんじゃねぇの?」
「そうだな! 普通の船だったらひとたまりもないだろうな!」
 シラスの言葉に、とカイトは苦笑しつつ、操舵輪を機敏に操作。
 波の勢いを反発で受け止めながら、『ダガヌ海域』の『ディンギル岩礁地帯』へと針路を取る。
 ……借りた船なら、かなりの苦難の道程であっただろう……だが、自分の手足の如き『紅鷹丸』は、その操舵に的確に答えてくれる。
 勿論、その傍らで航路図を見ながら。
「えーっと……うん。あっちだねっ! 見えにくい岩礁が多くて、それだけに船の事故が多い場所、だから注意して行かないとねっ!」
 とリリーが確りサポートしているのは、言うまでも無い、そしてカイトも。
「そうだな! この海域、俺達の力で乗り切ってみせようじゃねえか!」
 と自信満々にサムズアップ。
 そんな二人に。
「……とっても仲が、良さそうでしてー」
 差し入れの茶菓子を用意していたルシアだが、仲良い二人にあらあらと言った感じで笑う。
「ほら、邪魔するんじゃないぜ?」
「あ? そうなのでして。お二人の茶菓子はここに置いておくのでしてー」
 そっとちょっと離れた所にお茶菓子を置いて、そしてルシアは他の仲間達と共に息付く一時を過ごす。
 そして……荒れた海域を小一時間程すすんでいくと…多くの船が沈没していると言う記録が残る、『ディンギル岩礁地帯』へ差し掛かる。
「さて、と……ここから先は一際注意していかないとね」
 と史之の視線が少し厳しくなり、縁も。
「ああ。まぁ……カイトの操船の腕前なら、大丈夫だろうさ」
 快活に笑う。
 ……そして。
『……ウゥォォォン……』
 先程よりも近くから響いてきた、獣と思しき咆哮。
 その鳴き声の主が何処から鳴らしているのかは分からないが……。
「……うー……さすがにちょっと気持ち悪くなってきたのです……海でも眺めて休んでおくのですよ……」
 流石にちょっと船酔いしかけてきた様で……ルシアは船縁に捕まりながら、薄暗い海をぼーっと眺める。
 強く波飛沫が上がる中……不意に見える光。
「……んー……? あの光ってるの何、でして?」
 とルシアが仲間達に呼びかけながら指を差す……と、確かに薄暗い波間に、何かが鈍く煌めいている。
 そして……その鈍い光は、段々と紅鷹丸へと近づいてくる。
「何だか近づいて……? はっ! 来たのですよー!!」
 慌てて声を上げ、仲間達を呼び寄せる。
 イレギュラーズ達がその船縁の方に到着すると同じ位のタイミングで、海の仲からばしゃぁぁん、と跳ね飛ぶ影。
 雄々しき身体に、鋭い牙が鈍く輝くサメ。
 ……それが一体だけでなく、数体の群れでもって船の上を跳びはねたり、その周りをグルグルと包囲するかの如く泳ぎ回る。
 更に飛び上がった一匹は、稲光を迸らせて……船に雷鳴を轟かせる。
「電撃を操るサメとは奇っ怪な。迸る雷鳴も、叫ぶかのように轟きますね」
「確かに……雷鳴を操るサメとは、今迄に伝承で聞いてきたことはあるが、実際に目の当たりにするのは初めてだ」
「そうですね……唸り声も上げていましたし、彼等をGrowl Sharkとでも呼ぶ事に致しましょう」
 ハインの言葉に皆頷く。
 だが、勿論グロウル・シャークがイレギュラーズ達の言葉を聞いている訳も無く……咆哮と雷鳴を更に迸らせる。
 その雷鳴に耐えつつも、敵の動きを暫し観察し続けるハイン。
 飛び跳ねたら直ぐに海の中に潜り、別の個体がまた飛び跳ねて雷鳴を轟かせる。
 何匹ものグロウル・シャーク達が立て続けに攻撃を行うが……そこまで海上に居続けようという事は無さそうである。
 そんな敵の動きを見据えて。
「このモンスターのデータは、しっかりと持ち帰って今後の被害の減少に努める事にします。もっとも、今はこの場を切り抜ける事が最優先事項ですが……僕達はあなた達を狩りに来ました。どちらが狩るもので、どちらが狩られるものか、雌雄を決する事にしましょう」
「ああ。船に穴を開けさせる訳にはいかねぇんでな。悪いが、沈めたいんなら俺にしておいてくれや……沈められるモンなら、だがな」
 ハインと縁の言葉に頷きつつ、シラスが。
「船の上にいるだけじゃどうしうようも無さそうだな……という訳で皆、海中もしっかりやってくれよ!」
 とシラスは仲間達に水中であっても活動できる術式を展開し、仲間達の水中行動を補助。
 そして術式を受けた史之が海中へと飛び込んで行く。
 何匹ものグロウル・シャーク達が、海に潜ってきたイレギュラーズ達に一直線に向かい、その鋭い角での突進攻撃を嗾けてくる。
 そんな敵の動きを史之は。
「猪突猛進の突進攻撃とか、海の猪か、ってね……まぁ、こっちも力尽くでやらせてもらうよ」
 と言いながら、突進してくる鮫を迎撃するように、大喝の一撃を叩きつける。
 強力な一撃は、かなりのダメージ。
 ただ、巨躯の鯨は流石に一撃程度ではさほど聞いている様でもない。
「ふん。中々しぶとい様だな。だが、こっちも其れくらい想定内さ」
 と言いつつも、船の衝撃を最小限に抑えるように操作するカイト。
 下手に操舵から手を離せば、一発で転覆しかねない……だからこそ、カイトはしっかりと操船に傾注。
 と海中から攻撃する一方で、縁は敢えて船上で行動。
「さぁ、てめぇらの相手は船本体じゃないぜ? 俺に仕掛けてみろよ」
 と海中の鯨に向けて、怒りを呼ぶ攻撃を放つ縁。
 そしてその攻撃に誘い出され、再び海上に飛び出してきた鯨を狙い済まし、シラスが確実なる一撃を叩きつける。
 その攻撃で勢いを削ぎ、落下軌道をずらした所に更にリリーが呪いを纏いし魔法の弾丸を放ち、更にルシアも。
「その様にすいすいと海上を飛び跳ねるのはずるいのでして! ルシアの砲弾でどかーん、なのですよ!」
 と全力全開の魔砲を放ち、撃ち落とす。
 更に大きな水飛沫を建てて、深い海の中へ沈むグロウル・シャーク。
 その一匹は……再び浮上してくる事は無く、どうも海底へと沈んだ模様。
「ふむ……中々ですね。ですが、まだまだ息を吐く暇はありません。さぁ……皆の英雄の道筋を見せてくれ。私はその助力となろう」
 とライハは言うと共に、周りの仲間達に魔性の黙示録を奏でる。
 更にハインも、先程の雷鳴で仲間達の痺れの有無を確認し、的確に治療の言霊でその痺れを解き、五体満足に復帰させていく。
 そんなイレギュラーズ達の連携動作は乱れる事無く、先ずは鯨一匹を海底に沈めていく。
 だが……鯨達がそれで警戒心を強めたり、逃げるような動きを取ることは無い。
 目の前のイレギュラーズ達をエサであると認識し、その船諸共沈めてやろうという……そんな統一された意識で鯨達は暴れ回る。
 波飛沫が上がり、船体にも少なくない被害が生まれかねない……だが。
「ふん、この船をお前達に沈められてたまるかっての! お前達の動きなんて、お見通しだぜ!」
 豪語しながら船の操船に集中し、被害を最小限に抑えていく。
 そして、その間に海中から史之が攻撃し、鯨達の体力を総じて削りつつ、海上に飛び出した鯨には集中砲火をする事により、確実に一匹ずつを海の底へと沈めていく。
 十数分の刻が過ぎると……飛び上がる鯨の数も大幅に減少。
「後2匹……みんな、一気に仕掛けるよ!」
 一旦海の中から顔を出して、仲間達に呼びかける史之。
「ええ、分かりました。それでは……私も攻撃に回るとしましょう」
 頷いたライハが、精神力を弾丸に変えて打ち出すと、更にリリーも計算され尽くした射撃を貫く。
 二人の攻撃で、史之が傷付けていた一匹を確実に仕留め……残るは後一匹。
「さぁ……後はこの鯨のみ。一斉に仕留めましょう」
 ハインの言葉に頷き、そして……イレギュラーズ達の猛襲が続く。
 鯨もその巨体で暴れ、雷鳴を轟かせるが……痺れも常に回復されてしまえば、他に取りうる手段はなく……鯨、いや『グロウル・シャーク』達は、イレギュラーズ達に、それ以上太刀打ちする事は出来なかった。

●呪いし海の先
 そして、グロウル・シャークの沈みし後。
 ……平穏無事な海……が取り戻される訳はなく、未だに荒れ狂う波は収まる事はない。
「いや……この荒れ狂う魔の海域を、本当にクルージングツアーに使うつもりなのか? まぁ、俺位ならやれるだろうけどよ」
 と溜息を吐くカイトに、リリーも。
「そうだね! こんな荒れ狂った波、もう既にリリーたちは超えてきたから、もう怖くないよ! とにかくこの海も乗りこなしてみせよっ、ねっ!」
「ははは! そうだな! んじゃぁもう一波超えつつ、クルージングしやすくなるように情報を集めて行くとするか! こういうことを頑張っておけば、あとでソルベ様ニ褒められる気がするしな。鳥種の立場向上の為に頑張るぜ!」」
「うん! この海域を平和にすれば、もっといいリゾートになるはず! がんばろー、えいえいおー!!」
 そんな二人の言葉に史之が笑いつつ。
「そうだね。それじゃもうちょっと頑張ろうか。海図を取るのはリリーさんに任せて、操縦はカイトさんに任せるとして……俺はさっきの鯨についてもうちょっと調べておくとしよう。幸い切り落とした体躯の破片はあるしね」
 と、鯨の肉片をまじまじと眺める。
 ……まぁ、見た目だけでは、他の鯨と大きな違いは無さそうではあるが……詳しく調べれば、きっと何かが分かるかもしれない。
 そして、数時間波に揉まれながら調査を継続し……そして、取りあえずこの『ディンギル岩礁地帯』を一通り調査し終わる。
 荒れた海域から脱出すると共に、史之が。
「ここまでくれば大丈夫かな? みんな、お疲れ様。簡単だけどドリンクを用意してきたから、好きなのを取ってってね」
 とギフトで作り出したドリンクを振る舞う。
 喉の渇きを潤しながら、ライハは。
「しかしダガヌ海域か……やけに不穏なる気配を感じる海だ。何g亜潜んでいる事やら、な」
 と……奇妙な荒れた海域を一瞥するのであった。

成否

成功

MVP

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽

状態異常

なし

あとがき

海洋リゾート開発、皆様お疲れ様でした。
こんな荒れた海域をリゾートにしようとしているのは、ちょっと恐ろしい所ではありますが……まぁ、きっといいリゾート地になるでしょう……多分。

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