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シナリオ詳細

どう足掻いても絶対に爆発オチしてしまう依頼 in ラサ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●※この依頼は必ず爆発オチします!
「よーし! じゃあイレギューズ、この荷馬車を『玉髄の路』まで頼んだぜ!」
 ――ラサの首都ネフェルスト。
 相も変わらず商売による熱気で和気藹々たるかの地は、今日も盛況であった。そしてその一角では商人がイレギュラーズに依頼を頼んでいる……それは物資運搬の依頼だ。ただし――ラサ国内にではなく『玉髄の路』にだが。
 玉髄の路とは、覇竜領域フリアノンへ向かう途上に建設された交易所である。
 イレギュラーズ達の尽力により開拓されといえるかの地は貴重な、フリアノンと外界を繋ぐ行路となり。隣国と言えるラサの商人達が商売の好機であるとばかりに参入している者もいる程だ。
 ただ、全く危険がないわけでもない。
 強力な亜竜が出てくる可能性は常に存在しているのだ。
 故にこの商人も、強力な戦力たるイレギュラーズ達に物資の護衛を依頼して……
「ふー。とりあえず今日の仕事はこれぐらいかねぇ。
 アイタタタ。荷物を色々積んでたら腰が痛くなっちまったぜ……」
 そして商人はイレギュラーズ達を見送り、一息つくものだ。
 彼らに託したのはラサ地方だけで獲れるとされる希少な香辛料である。ゴールデン・パウダーとも言われる黄金色の、味は岩塩に近いソレはきっとフリアノンの亜竜達にも好かれるだろうと期待して……

「オヤジ~! 玉髄の路へ運ぶ香辛料が届きましたッス~! 荷馬車に積んどきますね~!」

 …………しかしその時、妙な声が聞こえた。
「えっ、何言ってんだ? パウダーならさっき荷馬車に積んだろ?」
「ハハハ何言ってんスか! そこの荷馬車のは幻想方面に運ぶ予定の」
 一息。

「めちゃんこ大量の――『火薬』ッスよ!」


「よ~し。結構な距離進めたな……ちょっと休憩するか」
 イレギュラーズ達がネフェルストを出発して暫く。
 順調な旅路を進めていれば、休憩出来そうな遺跡を見つけた――照り付ける太陽から身を隠すように一旦影へと入れば、水を飲んで休息を果たすものである。しかし……
「しかし聞いてた香辛料にしては、随分と重量がある様な……
 こんなに大量に運ぶのか……?」
「ラサの商人だからなぁ、きっと一発で大量に運んだ方がいいと思ったんだろ」
「ハハハきっとそうだな! なんだっけ? たしかゴールデンパウダーとかいうんだっけ? ちょっとぐらい味見してみてもよくねぇかな――」
 おいおい依頼物に手を出すなよ――
 冗談交じりに会話しながらイレギュラーズの一人が荷を確認してみれ、ば。
 其処に在ったのは黄金色の粉……ではなく。真ッッッッッ黒な粉であって……
「……んっ。ちょっと待っ……これどう見ても火薬……」
「……いやまさかそんな筈は。これってこういうモノなんじゃ……」
「でもどう見ても『ゴールデンパウダー』って感じはしないよな……」
 なんか、おかしくね? と。気づいた――その時。

「ヒャッハ~~! 臭う、臭うぜ、お宝の匂いだ~~!」
「そいつを寄こしな~~~! 怪我したくなけりゃあなぁ~!」

 ――山賊どもだ! うわあああコレを何か金目のモノと誤解してるのか!?
 止めろ馬鹿! コイツは火薬……うわあああ連中なんでか全員タバコ吸いながら来てるぞ!?
「まずい、まずいぞ! こんなクソみたいな量の火薬に火種を近づけたら……」
「わー! 向こうの方からは、火を吹くサソリがー!!」
 同時。別の方向からは魔物もやってきてるうううう! どうしてええええ!!
 まずい、まずいぞ! もしも奴らの火種がこの火薬にちょっとでも掛かったら……!
「これ捨てて逃げるのはどうだ!?」
「馬鹿! これがちょっと火薬に似てるだけのゴールデンパウダーだったらどうすんだよ!」
 一応、この依頼は『荷馬車を護る事』であり、放棄は許されない……!
 でも中身が違うのなら無効なのでは? え、どっちなの? 大丈夫じゃない?
 ――わかんない。でもひとまず敵を全てちゃんと退ける事が出来れば同じだ!

「うおおおお絶対に爆発はさせないぞ!!
 絶対に爆発オチだけは――回避してみせるぞ――!」

 堅い決意。抱いた意思の強さは正に天を突くが如く……!
 絶対に爆発オチ出来ない戦いが――今始まろうとしていた!!

GMコメント

●重要な備考
 さぁ! 依頼の説明をする前に重要な事ですが、この依頼は――
 絶 対 に 爆 発 オ チ に な り ま す !
 何かの呪いか? と言うレベルでそれは確定された事項です!!
 完全に火を防ぎ切ったと思っても最後にはどっからか火の粉が飛んできます。或いは敵を防ぎ切った事に安堵してうっっっかりタバコに火をつけてしまうとか……なにか超神秘的な理由により絶対に爆発オチになります。
 よろしくお願いします!!

●依頼達成条件
 敵勢力を全員ぶちのめす事!
(※一応、この依頼『荷馬車を護る』という内容なので守ってあげてください。まぁ最後には爆発するんですけど)

●フィールド
 ラサの砂漠地帯、その一角に存在する遺跡です。
 時刻は昼。燦燦とした太陽の光が降り注いでいます。

 皆さんはとある物資の運搬依頼を受けていたのですが……なんと敵の襲撃を受けてしまいました! 敵を退けつつ荷馬車を守ってあげてください――! まぁその荷馬車の中身は手違いで全然違うモノが入ってるんですけどね!

●盗賊×6
 ひゃっは~! 金目のものの匂いがするぜ~!
 ……と言うテンションの儘に突っ込んできている賊達です。戦闘能力はチンピラ以下です。が、何故か全員めっちゃタバコが好きで、全員身に付けてます。どうして。

●魔物『フレイム・インデクト』×6
 サソリ型の魔物です。人と同じぐらいのサイズがある巨大なタイプなのですが、その堅牢そうな外皮や逞しい肉体は見かけだけであり、めっちゃ弱いです。でも何故か突っ込んできて火を吹いてきます。

●護衛物
 荷馬車です。中身は貴重な香辛料……
 とか言われてたんですが手違いで大量の爆薬でした! うわー!!!?
 手違いの品なので別にこれを護り切れなかったからって依頼失敗にはなりませんのでご安心を! 全部ラサの商人が悪いもんね! ローレット、悪くないもんね! しかし大量の爆薬だ……これは爆発しないように気を付けないといけませんね!!

●『玉髄の路』
 玉髄の路とは最近イレギュラーズの活躍により建設された、覇竜領域のフリアノンへ向かう途上の交易所の事です。今回はあくまで名前が出てきているだけですので直接の関係はありません。
(『玉髄の路』のシナリオに関してはこちら『https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/7900』)

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。絶対に爆発オチになります。
 想定外の事態は絶対に起こりません!!!!!!!!! よろしくお願いします!!!!!

  • どう足掻いても絶対に爆発オチしてしまう依頼 in ラサ!完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2022年06月30日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

フニクリ=フニクラ(p3p000270)
歪んだ杓子定規
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
マリカ・ハウ(p3p009233)
冥府への導き手
レナート=アーテリス(p3p010281)
きっと平和のために
アンリ・マレー(p3p010423)
亜竜祓い

リプレイ


 なるほどコナモノの運送依頼――まぁそういう依頼も稀にあるなと『冬隣』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は思うものだ、が。なんとなし粉を見て不穏にもなるものである。
「ゴールデンパウダー……所謂『ハッピー粉』というヤツだろうか。そうか、ラサでしかとれないのか……あんな中毒性の高いブツを輸出して大丈夫か……? これはもしやラサの商人はハッピー粉による覇竜侵攻でも考えているのでは……」
「ゴールデンパウダー……! ラサのごはんは『おいしい』です。
 『おいしい』を運ぶの、ニルはとってもとってもがんばります!
 それにしても、名前と違って、随分とまっくろなんですね……」
 なんで不安になるのだろうか? 首を傾げて考えるが分からない――中で『陽だまりに佇んで』ニル(p3p009185)は目を輝かせていた。瑠貴様たちもよろこんでくれるでしょうか? 何故か『真っ黒な粉』であるのがちょっと不思議だが、そういうものなのかと思考しつつ。
「ん、まぁとにかく……調味料だか香辛料だか火薬だか分からないけど、守らないと」
「全く――ものを考えてなさそうな魔物はともかく、盗賊はどうして……
 大丈夫なの? 凄く辛いんじゃない? お腹空いた? 喉が渇いた? でもこの荷物は駄目よ」
 ともあれ。『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)や『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)の言う通り賊や魔物が迫ってきている――まずは其方から対応するのが先決かと準備を進めるものだ。
 ニルが保護結界を張り、破損がない様に気を付けて。
 オニキスはマジカルミサイル装填完了。いつでも発射完了で迎撃準備はヨシッ――
 しかし、なんだろう。こう、なんか嫌な予感がする。
 そういえば香辛料にしてはさっきから匂いが全くしないのも妙だし……うーん?
 ま、いいか! とにかく敵を倒してしまえば解決解決! なのでドドーンと何も気にせずに――

「…………いや誰も突っ込まないから突っ込むけどよ、これって完全に火薬だよなぁ!?」
「どうして……どうしてこんな、荷馬車一杯の火薬が……どうして……」

 とはいかなかった! 『歪んだ杓子定規』フニクリ=フニクラ(p3p000270)が荷馬車の中の正体に気付き、さすれば『ヒーラー見習い』レナート=アーテリス(p3p010281)も知りたくなかった真実に絶望の言葉を零してしまうものである――!
 本当にどうして。どうしてこんな事に?
「これ、積み荷は正しくて亜竜が出てくるのと果たしてどちらがマシだったのでしょう? というか、これ万一爆発しても本当にローレットや私たち(の名誉とか主に命とか)は大丈夫なんでしょうか?」
「うーん……着火さえしなければこっちの方が、マシ、かな?」
 あんまり自信はないが、とにかく『亜竜祓い』アンリ・マレー(p3p010423)は近付く賊の影を見据えれば迎撃の一手を紡ぐものである。敵が見えたら撃つ――近づけたらマジでヤバそうだから。
「はいこんにちは、マリカでございます。
 というわけで今回の食材はこちら、サソリっていうことでね!
 それではこちらを、さばいていくぅ! まずは捕獲作業から始めましょう、とぉー!」
 さすればサソリの方は『トリック・アンド・トリート!』マリカ・ハウ(p3p009233)が対処に当たっていた。まるでお料理番組実況風の演出を挟み込みつつ彼女はサソリをかっ捌く――! うわなんだこの鱗! めっちゃバターみたいに斬れる!
「弱いならサクッとっ捕まえて料理にしちゃえばいいのよ。と言う訳で覚悟ー!」
「いや待て待て待てよ。一応慎重にやれよ? 分かってるよな? これ火種がちょっとでも来たら終わりだからな? 分かってるよな――? そうだね、バーニングだね」
 炎吐くサソリ共を、そのままの勢いで狩らんとするマリカ。
 そして――なぜか此方側も火力マシマシ編成な事を疑問に思うフニクリ!
 大丈夫だよな? 大丈夫なんだよなぁこれ!!? ォォイ!!?
 なんだか壮絶にフラグが積み重なっている気がしている――フニクリだったとか。
 へへ、ワクワクしてきたぜ。クソがなの。


「えっ積まれているのは香辛料じゃない? って、それどころじゃないのです……! はわわ、あっちからもこっちからも! だ、だめなのです! 香辛料……香辛料じゃないみたいですけど、とにかく渡せないのです!」
 大事な大事な荷物。渡せないのだとニルは強い決意と共に賊らに立ち向かう。
 壊されたり、奪われたりは、だめなのです。でも、香辛料でなければなんでしょう?
 疑問はあれど今はとにかく、と戦闘態勢を整えて……
 そういえば、香辛料にしては匂いがしないなぁ。
 そんな事には気付いていたアーマデルなのだが――しかし『ああそうか。包みの上から香るようではあっというまに香りが飛んでしまうものな』と言うぽじてぃぶな思考が彼からコレが火薬であるという選択肢を奪い取っていた。
 或いは目を逸らしていたのかもしれないが、まぁとにかく。
「さて――野盗が来るのならさっさと倒しておかねばな。野盗の類は1グループ見かけるとアジトにその数倍はひしめいていると聞く……後の憂いを絶つにはしかるべきところにしょっぴいで情報を搾り取った上、残すことなく掃除をしなくては」
「台所の黒い悪魔かな? あっちこっちで見かけるし、あながち間違いでもなさそうだけど」
「そればかりか、隠れ家に何処かから拐かしてきたおっさんを飼ってたりする可能性も無きにしも非ずだ。おっさんも一匹見つければ、十匹はいるとされるからな……見つけてやらないと不味いだろう?」
 山賊やら野盗はそこらへんの畑から取れるのかな、ってぐらい数が多いし――と。アンリも紡げば、ともあれアーマデルは賊へと即座に怨嗟の音色を展開。命だけは助けてやる撃と共に賊らを迎え撃ち、アンリもまた周辺を制圧するかのような攻勢を仕掛けるもので。
「ニルは……あんまり傷つけたくないのです。
 どうしても来るというのなら、しかたありませんけど……
 怪我をしないうちに、かえってほしいのです……!!」
「百歩譲って来てもいいですが、火気厳禁なんですよ此処は!! ていうかタバコ禁止ですタバコ!! 命が惜しければすぐにタバコの火を消しなさい――貴方達の身体自体が消し飛んでも知りませんよ!?」
「ヒャッハ~! 下手な言い訳だなぁ、黄金でも積んでやがるのかぁ~!?」
 ガチなんですよこっちは――!!
 心優しいニルは賊であろうと傷つけるのに躊躇いの気持ちはあるものだが……しかし火薬! 火薬が在るんだって此処には!! と、レナートは必死。火種がちょっとでも至ればどんな大爆発が生じるかもしれないのに――あの賊、いや馬鹿たちは突っ込んでくる!
 やむを得ず冷気の魔力を放出するニル。続け様レナートも魔力を天より叩きつけ賊らを追い返さんとするのだが……
「うぉぉ停滞しろこっち来んな馬鹿! せめてタバコの火を消せ――!!」
 それでも彼らは何故か止まらないので、フニクリも熱砂の嵐をぶちこんだ。
 はぁ、はぁ。なぜだ? 戦闘中にタバコ吸う意味あるのか? マジでやめろよ戦闘だけでも忙しいのにツッコミにまでかまけろと? 嘘だろ? 神様私が何をした。しかも――
「あぁしかもサソリも来ますし……こっちは言葉で止まる可能性すらないですよね!」
「うんうん肉厚で美味しそうね! まずは食べやすいようぶつ切りにしてやるぜ――!」
 逆方向からはサソリもいるのだ。ひぇ~!
 レナートが見据えた先。そちらの方ではマリカが引き続き意気揚々とクッキング・タイム! くらぇい大玉ビックバン――!! えっ、殻……? だって鎌じゃ調理しづらいし……これぐらいの勢いでいかないとね!
「蟹とかだとソフトシェルなら殻ごと食べられるし? まま、ええわ。はっ文句? ほならね、自分が作ってみろって話でしょ? そうマリカちゃんはそう言いたい。ゴチャゴチャ抜かすなら、バラバラに引き裂いてやろか?」
「はわわキンッ、と冷やしてみるのです? もしかしたら『おいしく』なるかもしれないのです」
 妥協の精神は大事である! でもマリカちゃん、今日の口調どうしたんですか?? ともあれニルもまた出来るだけ沢山のサソリ達を冷凍保存せんとするものであり。
「後ろには下がらない様に……前に飛ばせば大丈夫、大丈夫……
 八十八式重火砲型機動魔法少女、オニキス・ハート。出撃するよ」
 そしてどうしても後方に位置する火薬が無事か気になるオニキスだが、とにかく爆発させないようにすることを大前提に。引火しない、はず。きっと。たぶん。と信じて往くのである……! サソリ共が荷馬車に近付く前に撃ち貫けば問題ないだろうと。
 魔砲射出。吹っ飛ばせばサソリ共は空を舞う――
 あれ、なんかめっちゃ堅そうな外見してながら全然強くないな……?
「ふむ。だが後学のための練習台として手頃な個体達だな……試してみるか」
 更にはアーマデルも往く。負の要素を撒き散らす神酒を投じ、試すのははたして炎の要素が通るか否か。火を吹く魔物には通らぬことも多いが――しかしサソリ達は全てにもだえ苦しんでいる様に見える。この連中はどうやら耐性はないようだ。
「むっ、いかん。毒だらけにしてしまったな……まぁいいか十分に加熱すれば喰える。大抵は」
「ふふ。ならちょっとね。試したい事があるのよね……
 うんうん大丈夫。荷物には当たらない様にするから」
 その光景を見据えていたフルールも参戦。
 折角だから精霊達とも融合しようか――彼女の祝福が超常を可能とする。フィニクス、ジャバウォック、クラーケン、ククルカン、アルミラージ、ラタトスク、キャスパリーグ――行きましょう。
 そして紡ぎあげるは紅蓮なる焔。
 まるでソレは大きな華の様に咲き乱れ――そして優しく、包み込む。
 万物を。何もかもを。或いは、美しく咲き誇るままに……内部では食い散らかす様に。
「ひぃぃ~なんじゃこりゃああ!! 花が、花が~~!」
「あら。ふふ盗賊さん達は大丈夫よ――命だけは助けてあげるわ。
 尤も。ずーっと抵抗し続けるなら、どうなるかは分からないけどね?」
 同時。響き渡るは巻き込まれた賊達の悲鳴か。
 まぁそのまま倒れ伏すならば見逃そう――本気でやるのはどちらかと言えばサソリさん達。
 然らば爆発する様な気配は見える限りの範囲においては(多分)なく。
 イレギュラーズ達は順調に賊やサソリを討伐し続けるものであった――
「ヒィィ~! おた、おたすけぇ!! こ、このタバコやるから! ほら!」
「やめろ近づけるんじゃない! まぁタバコだけは貰っておこうかな」
 さすれば降伏の意思を指し示す賊達。
 なんかあったら困るので『止めろよ、絶対止めろよ』と紡ぎながら、ついでにぶん殴って気絶させておこう――ふぅ。流石に動かないようになっていれば火種もクソもあるまい……! そして見かけだけは立派なサソリ達相手に無双するマリカ――さー味付けの時間だとばかりに甘くておいしいチョコレートを……えっ?
「そーこれよこれ♪ 甘くておいしいチョコレート味ね♪
 真っ黒でドロドロでツヤツヤで安くて早くて安心ね」
 ちょ、ちょっとマリカさ、ん……?
「――何を勘違いしてるんだ? まだマリカちゃんのバトルフェーズは終了してないぜ! 砂糖にミルクにハチミツに生クリームを倍プッシュだ……! ククッ……後先なんて考えるだけ無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」
 ドラが捨てられたら何も考えずポンチーカン!! 同じ牌が揃ったらとにかくカン! カンはするだけで楽しいんだよぉ~! 勝ってる側ならやる理由はない? 知るかボケェ~!
「――偉大なる打ち手はカンをするものだヨ!
 あっ。丁度良くそこに味見役が。ほら。遠慮しなくていいのよ――ホラホラホラ♪」
「や、やめろ悪魔――!! こんなの食えるわけが……ぎゃああああ――!!」
「わぁ、わぁ……! 『おいしい』んでしょうか? あれは?」
「いやとてもそういう代物ではない気が……あと、なんだろうね。そろそろ何か嫌な予感がしてきたね」
 言も行動も暴走するマリカ。強引に捉えた賊達を毒見役……ちがう。味見役に任命し、その口に流し込んでいく――さすればニルはなんともオロオロしながら事の成り行きを見守るものだが、アンリは背筋を撫でる様な『予感』がし始めていた。
 ――魔物はほぼ討伐し。賊達も動けない。
 だというのに、胸の鼓動はむしろ加速する勢いなのだ……

 この後、何か起こるという確信があった。

「火種は無いね? 消火だよ消火! 隠し持ってるマッチとかないだろうね?
 今差し出せば許してあげよう――さぁどうなんだ!」
「お前たちのアジトは何処だ? 浚ったおっさんの生産地は――何処に在る?」
「な、何言ってんだアンタら???」
 同時。賊達を尋問するオニキスにアーマデル。
 威嚇の射撃をオニキスは紡げば、マジカル薬莢が排出されるものだ――しかしちゃーんと気を付けてる。反対方向に排莢するよ。ふふふ、これなら絶対にだいじょ……ん?
「モグッ!」
「――はっ? 砂漠モグラ?」
 刹那。偶然地面から出てきたモグラがヘッドバットで薬莢を反射し。
「うわー! パカダクラの群れだ――!! 走ってきてるぞ――!!」
 更に何故かたまたま走ってきたパカダクラに弾き飛ばされ、薬莢が空を舞い。
「はぁ、はぁ、ありませんよね? 火の気は……万一でも火の事か、タバコとかあったら大変ですし――はっ! もしや既に火薬の所に何かまぎれていたりとか――!」
 更に。偶然にもレナートが馬車周辺をチェックしている最中に。
 荷馬車の様子を確かめんと火薬を覗き込む為に――掛けられていた布を外せば。
「あっ」
「あっ」
「あっ」
「ふー。さーてもう安全だろうしここらで一服、あっ」
「ああじゃあこの灰皿でも使ったらど――あっ」
 誰もが見た。熱を帯びたマジカル薬莢が――まるで吸い込まれる様に火薬に――
 更にはフニクリも安堵の吐息を零しながら、さっき賊達から奪ったタバコに火を付けんとして……うっかりライターが手を滑って転んで、いつの間にかアンリの懐にあった灰皿を差し出せば、それにあたって跳ねてどうしてか宙を舞って――あっ、あっ、あっ――!
「あ、そうだ! 幾らマリカちゃん特製チョココーティングしたといっても、生のままだとさすがにヤバイわよね! それでは火を通していきましょうね――誰か火、持ってな――うわ、この火力は流石にいらな」
 直後。ニッコニコ顔のマリカが馬車の方を振り向いたと同時。
 其処には超絶の爆風と爆炎を伴っていた――大爆発が生じていたとか。


 激しい爆発音。激しい衝撃。天にまで届く爆炎は物凄くて――

「はわ……ほのおが……きれいなのです……」
「…………これが……爆発オチ、と言う奴なんでしょうかね」

 体育座りしながら燃え盛る荷馬車を見ているニルとレナート。
 ……そういえばニルは最近も、似たようなのを見た事がある気がした。なんだろうか。御屋敷を燃やしたことがある様な……なんにせよこれがシャームロック様達の所で起きなくて良かったと思考して……と!
「はっ! 怪我した人はいませんか? みなさま大丈夫ですか?」
「爆発? ふふ、甘いわね私は火に耐性が問題は……あれ? いえ、そう言えば火に強くても爆風とかの威力はそのまま食らうんだったわ……? ええっと、つまり、その――」
 きゃぁぁぁぁっいたいっ!? 慢心していたフルール。なぜか痛みが遅れてやってきたが……うう、どうしてこんな事に! 幸いに重症と言える様な傷ではないので、ニルが治療してくれれば傷は塞がるのだが……というか、そもそも。
「これ雇い主は虚偽の申請をしたって事よね! ううう、なら奪われたり爆発したとしても文句は言えないわよね……! ていうかこっちが文句を言いに行っても良いわよね!」
「あぁ……しかしこの量。何事も無くとも道中で発火していただろうな、輻射熱で」
 同時。地に倒れ伏すアーマデルは色んな意味で起き上がる気力がない。
 太陽の熱がああ眩しい――くそう。こんな場所を運んでいくのは無謀だろうと思いながら。
 更にアンリもまた思うものだ。
 爆発する事はなんとなくわかっていた――故にアンリは空飛んで安全なところから大変なことになったなあって爆発した様子を眺めたい気持ちがあり。しかし同時にどんな高い所、どんなに遠いところでもみんなで燃えよう? って思ってる後ろもいたのである。結局、離脱タイミングを逃して皆で燃えるルートに言った訳だが。
「心に僕は2人いた――これが、俗にいう多重人格の始まり……?」
「いや絶対それ違うと思うぞ」
 フニクリ、最後の力を振り絞ってもツッコミの業務は忘れない。
 ……さて、まぁこれからどうしたものだろうか。
 とりあえず覇竜方面に行く理由はない。ネフェルストに一度戻るとでもしようか。
 色々と……疲れた所でもあるし。

「よし! じゃあ今度は依頼主を材料に、クッキング・タイムかしらね!」

 故にマリカは言う。
 サソリに続いて、此度の真なる元凶である依頼主もサクッと――やっちゃおうかななんて。
 …………冗談よ? 冗談!

成否

成功

MVP

ニル(p3p009185)
願い紡ぎ

状態異常

なし

あとがき

 依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ! はい!
 依頼成功(???)です! いやーとんでもない依頼でしたね……!
 MVPは馬車を護ろうとしたり、爆発の後の治癒など頑張っていた貴方へ。

 ありがとうございました!!

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