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シナリオ詳細

覇竜でビールとBBQを楽しむ話

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●酔っ払いが来るぞ
「夏だ! BBQだ! ビールだイエエエエエエエエエエエエエエエイ!」
「……お主、そこまで来ると凄いのう」
 丁度飲み頃になっているビールの樽を抱えている『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)に、『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)が本当に感心したように呟く。
 外の酒に倣い相賀が仕込んだビールの樽が幾つか此処には置いてあるが……アーリアは何かに誘われたかのようにふらりとやってきたかと思うと、丁度飲み頃の樽を見つけて貼り付いたのだ。
 その酒を見極める感覚たるや、超人の域と呼ぶしかない。
「ね、ね! これ吞んでいいのかしらぁ!」
「まあ、試作じゃから呑んでもええがのう。BBQってなんじゃ?」
「お肉を焼いて楽しむお祭りよぉ? これがビールに最っ高に合うのよね!」
 言われて相賀は考える。
 肉を焼いて食うのは覇竜ではまあ、比較的一般的な光景ではある。
 しかしまあ、ビールと合わせて楽しむ祭りとなると……現在ある酒とは違う性格を持たせることも出来るかもしれない。
 その結果如何によってはビールの生産量を今後増やす事にもなるだろうが……ここはビールとバーベキューを良く知る、イレギュラーズにちょっと実演してもらうのもいいかもしれない。
「なるほどのう、そのBBQとやら……ちょっと仕事として依頼するかのう」

●え、肉食べて酒呑んで仕事として成立するんですか!
「まあ、そんなわけでBBQとやらに必要な肉を獲ってきてもらおうと思うんじゃよ」
 バーベキューの肉といえばなんだろうか。
 基本に従い牛肉?
 ちょっと捻って豚肉?
 身体の事も考えて鶏肉?
 魚とか野菜とかはさておこう。ビールに合わせるんだから。
 ともかくどの肉を選ぶかは永遠の課題だろう。
 人の好みとは千差万別であり、だからこそBBQで持ち寄りなどが常態化しているのだから。
 しかし今回は仕事なのだ、最高の笑顔をもたらすようなものでなければならない。
 つまり牛派、豚派、鶏派の全てを考慮しなければならない。
 ならば三種の肉を外から持ってくる?
 否、否、否。
 覇竜のビールには覇竜の肉が一番合うに決まっている。
 たとえ他の物を外から持ってくるにしても、肉だけは覇竜産でなければならない。
 ならばどうする?
 牛、豚、鶏。それに類するモンスターを狩りに行く?
 時間がどれだけあっても足りそうにはない。
 おお、なんたることか。八方ふさがりなのだろうか?
 いいや、諦めるには早い。
 覇竜には「ブタウシ鳥」がいる。
 ブタウシ鳥。それは覇竜に存在するモンスターの1種である。
 豚のような外観と牛のような模様と頭部、そして鳥のような羽を持つ生き物だ。
 その肉は部位によって豚、牛、鳥の特徴をそれぞれ持っており、外でいうそれらの生物が持つ部位を全部持っているという、意味の分からない生き物だ。
 しかし、ファンキーにしてフリーダムな覇竜式を代表する食材であるとも言えるだろう。
 そして……そう、このブタウシ鳥を確保すれば、全ての肉が揃うというわけだ。
 さっさと捕まえてバーベキュー。それが唯一の正解だろうことは間違いない……!

GMコメント

アフターアクションありがとうございます。
地図に従って「岩山の近くにある草原」に行き、ブタウシ鳥を狩りましょう。
ブタウシ鳥はザコなので「俺ブタウシ鳥狩って運ぶ」で済むくらいに雑魚です。
それよりも調理とBBQにプレイングを割いた方が楽しいかもしれません。
皆様のプレイングの割合次第ですが、場合によってはブタウシ鳥を持ち帰った後からスタートになるかもしれません。

じゃあ何相談するんだって?
サイドメニューのメニューが被らないようにする相談……とか?

以下、必要情報です。
●ブタウシ鳥
全長5m。
豚のような外観と牛のような模様と頭部、そして鳥のような羽を持つ生き物。
その肉は部位によって豚、牛、鳥の特徴をそれぞれ持っており、外でいうそれらの生物が持つ部位を全部持っているという、意味の分からない生き物。
全然強くないですが、ワサビのような強烈なツーンとする刺激臭を放つことで外敵から身を護る術をもっています。
基本行動は「匂いを放つ」「逃走」です。
匂いを放つ攻撃は目、鼻、口、皮膚などから入り「ツーン」とした感覚を呼び起こします。結構辛いでしょう。
ただし、全然強くないです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 覇竜でビールとBBQを楽しむ話完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年06月18日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

志屍 瑠璃(p3p000416)
遺言代行業
ラズワルド(p3p000622)
あたたかな音
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
笹木 花丸(p3p008689)
堅牢彩華
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
ムエン・∞・ゲペラー(p3p010372)
焔王祈
ライオリット・ベンダバール(p3p010380)
青の疾風譚

リプレイ

●ブタウシ鳥は倒した!
\夏だ! BBQだ! 食べ放題だーっ!/
 びーるー♪
 らららびーるー♪
 きんいろーくろー泡がーふわふーわー♪
 ぐいっといったらーのどごし爽快ー泡のおひげは―御愛嬌~~~♪

 ――ビールの歌/アーリア・スピリッツ(28)

 夏だから『竜交』笹木 花丸(p3p008689)が叫び、『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)が酒瓶をマイク代わりに歌っていても仕方がないね。
「はっ私は何を……ああ歌っちゃってたのね。そろそろ夏、つまりBBQ! 戦闘?えっ今日私こんな格好だし……よし、いくのよ花丸ちゃん! 花丸すーぱーぱんち!きっく!びーむ……は出ないの?そう」
 (´・ω・`)な顔をしても出ないものは出ないのだが、花丸もテンション高く拳をブンブンと振り回す。
「噂に聞いてたブタウシ鳥さんは超必殺花丸パンチでえいや! ってぶん殴って倒して、皆でBBQ会場まで倒したブタウシ鳥さんを運んでいくよっ!」
「体長5mの推定鳥類を仕留めて精肉にして焼いて食べる、ですか。落ち着いて考えると結構おかしい気がしますが、これも『郷に入っては郷に従え』という事でしょう」
 『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)が冷静にそんなことを言うが、チラリと視線を向けた先にはゴーグルに使い捨てマスクを装備した『流転の綿雲』ラズワルド(p3p000622)の姿がある。
「匂いかぁ、匂いはちょっとなぁ。まぁご褒美があるならやるけどねぇ。でもゴーグルに使い捨てマスクって不審者っぽくなぁい? お酒のためだからガマンするけどさぁ」
 そう、ブタウシ鳥はワサビのような香りを放ち外敵を妨害するのだ。そう聞けば、誰でもラドワルドのような防御策を用意するだろう。
 そうすれば後は弱いお肉がそこにいるだけなのだから。
「お肉ー! 実質戦闘もないに等しいイージーな難易度でお肉とお酒がいただける素晴らしい依頼ー。アーリアありがとねー!」
 だからこそ、『灰雪に舞う翼』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)も喜んで。
「ブタウシトリ狩猟…また、コイツらとまみえる時が来るとは思わなかった。まぁ…初めての依頼の事を思い出して……」
(・∞・)
 ギフトの効果でしかめっ面になった『剣に誓いを』ムエン・∞・ゲペラー(p3p010372)が気合を入れ直す。
「よし、さっさと狩ろう。へんな匂い出す前にさっさと狩るぞ。ショウ・ザ・インパクトで足止めしたらさっさと切り飛ばして血抜きだ。同じ轍は踏まないからな!?」
「バーっとやってガーっとやって大量に肉をゲットするっス!」
 『青の疾風譚』ライオリット・ベンダバール(p3p010380)も合わせてフラグ一本……といったところだが。
「というわけで、ここに少し前に倒されたブタウシ鳥の亡骸があります」
「いやー、ブタウシ鳥さんの匂いを放つ攻撃は中々に強敵だったねっ! 花丸ちゃん、まだツーンってする感覚がちょっと残ってるよ……でもでもっ! それもこれも皆でBBQを楽しむ為、この位へいき、へっちゃらッ……だよっ!」
 なんか瞬く間にブタウシ鳥を狩った後には皮膚からワサビのツーンを感じたムエンとライオリットが倒れていて、ラドワルドもちょっとキツそうだった。目と鼻、口をどうにかしていなければ倒れていたかもしれない。
「とにかく、これを運ぶか」
「さて。狩ったお肉を運ぶよー。ワサビ味抽出とかするなら、希少部位は繊細な運送が必要だと思うからみんなにお任せかな」
 『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)と鼻がツーンとしているアクセルも頷きあって瑠璃がブタウシ鳥に軽く手を合わせる。
「あらかじめ村で捌き方は調査していましたので、手早く解体していきましょう。これは推測ですが、ブタウシ鳥の体内にはワサビの匂いのする物質をため込んで外部に放出するための臓器が存在すると考えられます。匂いを放出する前に不意打ちで仕留めたブタウシ鳥なら、臓器からワサビ臭が体内にも回ることなく、臓器を傷つけないよう丁寧に捌けばワサビ臭のしない肉になると考えております。この地域の名物に名物になった暁には需要が出るかもしれません、余裕があればきちんと調べておきたいものです」
 ちなみにその該当部分と思われるところはあまり人気がないようなのだが……瑠璃の考え通りにいけば、確かに新しい名物になる可能性もあるだろう。
 ともかく、そういうわけで……コレを運べばビールとBBQである。

●BBQだ! ビールだ!
「相賀さぁん、一汗かいたから水分(お酒)ちょーだい! ちゃあんと獲物は獲ってきたからごほーびごほーび♪ 労働したらまず喉を潤さなきゃでしょ?」
「ほっほっほ。まあ、ええがのう」
 ラズワルドは『フリアノンの酒職人』黒鉄・相賀(p3n000250)から酒を受け取ると、ぐいっと飲み干す。
「ぷっはあ、カラカラの喉に刺激がびびびっと効くぅ……」
 そうすれば気合も自然と入っていくが……そう、此処からは調理のターンだ。
「それじゃあ、次はおつまみを用意するターン……って言っても、僕、料理はわかんないんだよねぇ。舌がバカだからさぁ。サバイバル技術はあるから解体はお手伝い出来ると思うよぉ」
 というわけで、解体しきれず運んだブタウシ鳥の解体も終わって。
「さて、肉質ごと切り分けましたら一旦練達製の冷蔵庫にしまいまして、食べる分だけ出して【料理】しようかと」
「……余るかな?」
「なるほど?」
 瑠璃とアクセルがそんな事を言い合うが、ビールが進めば肉も進む。当然の理論だ。
「冒険を始めたころはお肉の処理もままならなかったのに、いつの間にかそれなりにこう言った事も出来るようになってるんだもん。花丸ちゃんも成長したなー……何て、思ったり思わなかったり」
 花丸の提案により、切り分けたお肉は皆でそれぞれ調理をしていくことになっていた。
 花丸は定番の串焼きとハンバーグの作成だ。
「ハンバーグはBBQではちょっと変わり種かもだけど、美味しければ兎に角ヨシっ!」
 確かに変わり種ではあるかもしれないが、ジュウッと焼いて美味しい肉である事に変わりはない。
 実際、アクセルもサイドメニューのことを考え始めている。
「サイドメニューに焼きおにぎりをしたいところだけどまずはお肉。そう、焼きおにぎりを作る時に大事なのは、それ自体の味付けもさることながら網や鉄板に残存した脂がいい感じに焦げて風味をつけるんだよ……!」
 そう、BBQに使う網や鉄板は余程のことがなければ取り換える事はあまりない。
 そしてお肉の脂は食材に更に風味をつけていく。だからこそ、ブタウシ鳥はそういう意味では完璧だ。
「しかも牛・豚・鶏の3種ときたら焼く順番で脂の調合を狙うもよし、バーベキューを楽しんだ後のランダムな混ざり方の綾を楽しむもよしなんだよ! あとお酒があんまり飲めないヒトとか、舌の味を変えたいヒトにも適してていい感じのはず。焼かなくても、固めに炊いて小さめのおにぎりを作っておけば合間につまむのもOKだよ!」
 そう、BBQのおにぎりはそういう意味でも人気メニューだ。
「あとはバーベキューのタレや薬味を変えて味変! どれが覇竜ビールに合うかを色々な肉の種類部位と組み合わせて試そうよ! さっぱりとレモン塩コショウは定番の牛豚のタンや脂身の多い豚肉部分に合うだろうし、鶏部分におすすめなのはバジル、ローズマリー、ニンニクでちょっと強めの香りづけ。定番のタレに蜂蜜を少し入れて甘口と照りを出すのもいいし、お肉を焼いた後にネギのみじん切りをちょっと散らして辛味と香りをつけるのもよし。あっゴマもね!」
 胡麻と胡麻油で香りをつけたり、唐辛子で辛みを付ける。そういった手法もアクセルは考えていた。
「……ばーべきゅー、なるものは練達に行った時に見た書物で知ってはいたが、いざやるとなると準備が必要だな。火種……火種は……」
 ムエンは言いながら魔剣グリーザハートに嵌めた魔炎のデザイアから噴き出す守護の魔炎を見て、ズボラだが火には変わりない、などと思ったのだ。
 グリーザハートを丸太に突き刺し、スウェーデントーチ風に着火しようとしてみる。
「すまんグリーザハート……今だけおまえは便利な着火用具になってくれ……」
 グリーザハートを撫でながら柄に頬擦りしているが……誰も見なかったフリをしてくれたので優しい。
 とにかくブタウシトリレシピ集を周りに共有しながら火加減を調節していく。
「肉を焼くのは……前にブタウシトリを狩った時は、骨つき肉にして丸焼きにしていた仲間がいたな。骨つき肉にかぶりつきながら酒を飲む、さぞ美味いだろうに。あと酒に漬けた肉を焼くのも良さそうだ」
 そんなお腹の減りそうなことを言うムエンだが、ブタウシトリレシピ集はエーレンの役にも立っているようだ。
「さあ、俺の出番は此処から本番。【料理】を最大限活用するぞ。ムエンのレシピも大いに参考になる、ありがとう」
 レシピ集を読めば、大体のところは理解できる。あとは実践するだけだ。
「まずはササミ相当部の筋を取ってさっと湯にくぐらせ、香草とノリとワサビを添えた鳥わさが前菜だ。……匂い袋の中身が活用できればそれで野趣を添えよう」
 今のところ活用方法は分からないので、大人しくワサビを使っておく。
「牛豚鳥、それぞれ部分ごとに串を打って遠火の強火でじっくりと焼き上げる。俺の方はシンプルな塩コショウにしておこう、味変はアクセルに任せた……焼いている間に下味をつけた鳥部分に片栗粉をまぶして低音の油でじっくり、さらに高温でカラッと揚げた唐揚げはどうだ? ビールの友として最高だぞ」
 唐揚げ、ビールに合う食材のTOP10に必ず入るものだろう。
「そうそう、ハンバーグも忘れてはいけないな。せっかく新鮮な肉で作るんだ、つなぎを使わずどこまでも肉の旨味を味わってもらおうじゃないか。ひき肉を捏ねる前に塩と砂糖を溶かした少量の水を馴染ませて保水性を上げ、ついでに細かく刻んだ豚部分を加えて捏ねれば十分ジューシーになるぞ。ビッグサイズで作る分、きちんと蓋をして遠火の蒸し焼きでしっかり火を通さねばな」
 いわゆる100%ハンバーグだが、これが中々に扱いが難しい。
 ふっくらさせる「つなぎ」を使わない分、技が必要になるからだ。
「肉を余さず使うからといって骨をムダにしていいことにはならない。3種部分全ての骨を弱火でじっくり煮込んでおき、とった出汁を塩コショウで味を調えてスープをこさえよう。テールスープ風だな。あえて吸い口はシンプルにネギだけにしておこう。さらにシメにはこのスープの中に白飯を投入、溶き卵を回し入れてノリを散らして雑炊といこうじゃないか。肉とビールで疲れた胃にも優しいぞ、アーリア。滋味を味わってくれ」
「いいわねぇ! でも私だって負けないわよぉ!」
 そうしてアーリアもまだ酔っていない手つきで調理を進めていく。
「調理はじゅっと高火力で外こんがり、脂を落とすやつ! いいわねぇ、一匹で鳥も豚も牛も味わえるなんて。昔は豚とか牛とかのロースが食べられたけど、今はもう鶏むね肉が最高よね……ふふ。もともと刺激臭が強いってことはワサビとか香草とかも合いそうだもの、その辺をすりおろしてソースに入れてちょっと大人の味わいに! とはいえね、もうね、お肉だけじゃつらいし、サイドメニューはお野菜をたっぷりめに。最近はもう塩舐めながら飲むくらいで丁度いいのよ。居酒屋に行っていつものように唐揚げと卵焼きともつ煮を頼んでも食べ切れずに冷えて硬くなって、枝豆と浅漬けがちょうどよくてやめましょうこの話」
 お肉の脂がダメになって赤身やタンが好きになる現象に似ているが、28にしてちょっと臓器が疲れすぎではないだろうか。
 湯治とかに行くべきだ。さておいて。
「ブタウシ鳥を細かくミンチにして、味噌と和えて肉味噌に! 覇竜のお野菜や野草につけて、いただくわぁ。肉味噌を作りすぎちゃった気がしないでもないけど、まぁよし! 余った分でまた飲むもの!」
 そうして出来上がっていく調理メンバーたちの料理が揃えば、いよいよBBQの始まりである。
「まずはロースのとこをシンプルに塩コショウで頂いてみますか。あ、ワサビの香りがあるからおろし醤油もいいですねコレ。ローストビーフは身の赤い部分にワサビの香りが残ってて好きかな。作って頂いたとりわさもなかなか。【特別純米大吟醸生原酒天之翡翠】が進みますね」
 瑠璃が早速パクパクと進めていくが、中々に健啖だ。
「ビールは試作って言ってたっけ……じゃあ酒類があるのかなぁ? 飲み比べとか、いっぱい飲むのに最適だよねぇ。んふふ……」
「まあ、今後はのう」
 ラズワルドもおつまみを食べながら、ビールを飲んでいく。しっかりと冷えたビールを喉に流し込めば、まだ荒々しくも深い旨味が染み渡る。
「ビールは苦いとか甘いとかはわかんないけど、それ以外の感想を伝えて、好みのもの作ってもらいたいなぁ。麦の香りがぐっと抜けるやつとか、炭酸強目でびりびりするやつとかぁ……あ、喉越しなんかはわかるよぉ」
 また相賀さんにお願いしてお土産持って帰ろー、などと呟くラズワルドだが、それなりに楽しんでいるようで。
「準備がちょっと大変だったけど、これもまた覇竜式って感じだよね? 落ち着いたら棕梠さん達も誘ってまた色んな事をしてみたいな……棕梠さんはいつの間にか寝ちゃってたりしそうだけど、えへへ。って、ダメダメ! 今日は楽しむって決めたのにしんみりしてる場合じゃないよねっ! ビールの代わりにジュースを持って、カンパーイっ!」
 花丸はまだ未成年なのでジュースだが、なんとなくフリアノン3人娘の1人のことを思い出しながら花丸はハッとする。
「そういえば花丸ちゃん以外は皆大人…これは、大変な事になる予感っ!? お酒で大変な事になりそうな人たちも居るし、そうなったら介抱出来るようにはしておいた方が良いかも……?」
 確かにお酒が進むと凄いことになりそうな面々もいるだろうが……。
「先の心配をしてても仕方ないし、今は兎に角沢山食べよう! あ、カレーもあるの!? だったら花丸ちゃんが用意したハンバーグと合わせてハンバーグカレーも美味しそうっ! アーリアさんの肉みそもいただくねっ!」
 やっぱり皆でするBBQはとっても楽しいねっ! と笑う花丸を見て相賀も頷くが、そういうのを見たかったのだろう。
「俺は出されたものなら何でも食べるっス! 揚げ物、煮つけ、丸焼き……どれを見てもワクワクするっス! やっぱりBBQなら丸焼きとがいいっスねぇ。でかい塊肉を焼いて丸ごとかじる。これに酒を合わせたらもう最高っス。とりあえず皆さんの準備した奴も一回り……」
 ライオリットもそうして食べ進めていくが、こちらも楽しそうだ。
「相賀の爺さぁん、酒もうないの……? ないのぉ〜? 本当に? あるんだろぉ〜? 知ってるんだぞぉ〜……! もっとちょーだい、ちょーだい。なんか作ってあげるからさぁ……♡ それとも、今食べたいものあるって感じぃ? いぃよぉ、作ってあげるからぁ…♡ だから、お酒、ちょーだい。みんな欲しがってるよ、ホラ、ちょーだい、お酒ちょーだい♡」
「おお、こりゃまたダメになっとるのう……ほれ、花丸の嬢ちゃん。そっちを持って……よしっと」
 泥酔してダメになっているムエンを相賀が花丸と協力して空いた樽に入れると、ムエンはスヤリと寝始める。きっと酔いが覚めれば全部忘れているだろう。
 そして意外にもアーリアは今回、ダメになっていなかった。
「いいわよねぇ、こうやって外で肉を焼いてビールを飲めるって幸せなことなのよ。ほーらほら、相賀さんも食べてる? 飲んでる?」
 賑やかな皆を眺めながら、どこか遠くを見るように相賀の隣で独り言をつぶやいていた。
 誰に聞かせるつもりもなく、しかし口に出したい気分だったのだろう。
「こう見えて私、人生で最初に飲んだお酒は暗い部屋で、現実から逃げるように俯いてウィスキーを流し込んでいたの。だからこうして、空を見上げて楽しく飲めるって……とっても幸せね」
 そう呟くアーリアに、相賀は答えずに静かにビールを注いで。
「だーかーら、のこりのビール全部持ってきてちょうだい!」
 一気にテンションを上げたアーリア、そして仲間達が全員ビールを飲み干して。
 そうして、覇竜でのBBQは見事成功したのであった。

成否

成功

MVP

アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯

状態異常

なし

あとがき

上司のお世話をしなくていいBBQは最高だぜ!

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