シナリオ詳細
死角? ありません、無敵です。
完了
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
オープニング
●純白を黒に染めるべく、這い寄る影
「ウギャーーー!!! わが社の優秀な人事部が体育会系どものMPを18点も使用する超・強・極大呪文を食らって消滅しただとーーーッ!!!」
某ホワイト企業オフィスにて──。
その日、パリッしたジューシーなスーツを纏った人事部長である中年男性は、膝から崩れ落ちた。
説明は省くが、最近の魔物どものトレンドとして、ホワイト企業を内部から破壊し、会社まるまるブラック企業へと染め上げるために就活生に混じって面接を受けに来るのだ!!
筆記試験、書類選考、面接……などなどでモンスターどもを弾けなかった企業の悲惨さたるや、それはもう恐ろしいことだ。
ミスしても責任転嫁しまくる、会社のトイレで絶対に流さない、社用車を痛車にする、名刺交換時、渡された名刺をその場で投げ捨てる、日々のタイムカードを絶妙に改ざんする、夜の店で遊びまくって経費で落とそうとする(しかも存在しない店)、会社のPCをそのままネットオークションで売り捌く、組合費を少しずつちょろまかす……かわいいものから激ヤバなものまで、やらかしにやらかしまくり、周囲のストレスを溜め続け……いよいよ会社を崩壊させるのが魔物どもにとって何よりの娯楽であるらしく──こんな事は日常茶飯事だ。
なお、もちろん超武闘派な魔物もいる。そういう奴らは体育会系って呼ばれてる。
今回はそういう血で血を洗う体育会系のみなさんに人事部が謀殺されたらしい。
「まずい……私だけでは捌ききれん……ッ!!」
カチカチカチ──ガラガラケーを取り出して、電話口にて叫ぶ人事部長。
「もしもし!! あもしもし派遣会社ローレット!? たのむ、誰でもいいから早く連れてきてくれーーーーっ!!!」
●詳細は省くが、お前らは今から面接官です
急遽呼び出されたイレギュラーズたちは、この状況に困惑するだろうか。それとも──。
見渡せばカチコチに固まった緊張を隠せない初々しい就活生に混じって、目玉だけのヤツとか触手のヤツとか、こうもりっぽいヤツ、骨だけのヤツ……どっからどう見てもヤバそうなモンスターどもがパイプ椅子にどっかりと座っているだろう。面白いね。いや面白くない。
こういうあからさまなヤツは簡単に落とせるだろうが、人への変身がうまい魔物もいるという話を人事部長から聞いている。
油断してはいけない。魔物どもを弾き飛ばし、緊張に震える就活生をやさしくすくい上げろ!
この会社はホワイトなので魔物以外なら全員採用だし初任給もスンゴイぞ。やさしいせかい。
「魔界大学、田中デス・アイです。資格? ありません。無敵なので」
「洞窟大学、佐藤ローパーです。データ入力、書類整理、シュレッダー、コピー、全て一度にこなせますよ」
「洞窟大学、松尾バットです。超夜型なので夜勤得意です! あと飛べるので出張もイケまっす!」
「墓地大学、石井骨次郎です。24時間年中無休で働けます。もう死んでるので。コッコッコッ(笑い声)」
「漆黒大学、山田ピエールです! 学生時代はラグビーに打ち込みました。バイトではリーダーとしてみんなから慕われてました。
私を物に例えるとスポンジです! あと超・強・極大呪文が特技です! 敵全体に80~120程度のダメージを与えられます!
よろしくお願いします!」
さっそく魔物どものアピールタイムだ。
アラを探してつっつきまくり、ホワイト企業をその手で守れ!!
- 死角? ありません、無敵です。完了
- NM名りばくる
- 種別ラリー(LN)
- 難易度-
- 冒険終了日時2022年06月30日 22時20分
- 章数1章
- 総採用数5人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
『墓守』絶刃(p3p010648)が見据えるのは──年中無休スケルトン、石井骨次郎。
「えーーっと。石井骨次郎ちゃん、お聞きするのですが、本当に休まず寝ずに働けるのですか?」
「もちろんです。年中無休、それが私の長所ですから!」
「すごいのです!」
(好感触! ちょろいぜ、このガキ。この面接、もらった──!)
笑顔を見せるこども面接官にほくそ笑むスケルトン。
しかし、面接はそう甘くはない。
「──それって、骨が折れても砕けても?」
「え?」
固まる骨。
「だって。たとえ全身の骨が粉々に砕けても会社に来れるはずですよね?」
「ッスゥー……ええと」
言いよどむ就活生石井。
絶刃とアイコンタクトを取る人事部長。
「先程の言葉は嘘だと? 石井さん」
「いやっ全身骨折しても出勤しろって流石にねーよ! 魔物でも引くわそんな……あっ」
しまった、とばかりに口を手で覆う就活生石井。もう遅い!
「面接は以上です。今後の活躍をご期待申し上げ破ァーーッ!!」
人事部長の手からものすっごい光線が放たれた。必殺お祈りビームだ。
「ァーーッ!!!」
サラサラと砂になって消えていく石井。
わあー、とぱちぱち拍手する絶刃。
「ありがとう、絶刃クン。よくぞ見抜いてくれた」
「はい。よかったのです……本当に」
墓を守る絶刃のことだ。
きっと、この会社を守りたい人事部長の気持ちもよく分かるのだろう。
『年中無休』石井 骨次郎
【不 採 用】
成否
成功
第1章 第2節
パリッとしたスーツ姿で対面に座る『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)はなるほど、面接官としての貫禄を確かに漂わせる。
就活生たちの息を飲む仕草を一瞥し──では、と前置きしてその曇り無き眼鏡をすいと押し上げた。
「佐藤さん。履歴書の提出は確認していますが、何やら破損してしまったようですので、今この場で記入願います。書き損じは3枚までとさせて頂きます」
「なっ……こ、こなくそ!」
紙もペンもねとねとにしてしまい超苦戦していたローパーだが、なんとギリッギリ3枚で収めた。
緩い条件にしたのは間違いだったか、と瑠璃は端正な眉を顰ませる。
しかし本命はこちらだ。
「そうそう。田中さん。履歴書は拝見しましたが、代筆の疑いがありますので、こちらに同じ内容で記入願えますか? 今、この場で」
「え?」
矛先が向いた田中が目を剥いた。
「ご自分で記載されたのでしたら、至極容易な事と思いますが」
目玉ボールの前に履歴書を突き出す瑠璃。圧が強い。
「くそ、何もできない目玉だとバカにしやがって! 就活サイトで御社の評価をサゲまくっ……ギアァーー!」
正体を表したデス・アイ、しかし忍ばせていた短刀による瑠璃の目にも留まらぬ抜刀術がその通知(こたえ)だ。
不意打ちに驚いた目玉の化け物は、恨み言を残して窓から逃げ去った。
「お疲れ様でした。今後のご活躍をお祈りしています」
『死角無し』田中デス・アイ
【不 採 用】
成否
成功
第1章 第3節
──オォ、と唸る『汚れた手』ビジュ(p3p007497)は、そのどろりとした腕のような躰を持ち上げた。
ぼたぼたとオフィスの床を汚すソレは、相対するローパーの零す粘液と混ざる──否。じわじわとビジュの黒液が侵食するように。
「佐藤、さん」
「はひ……」
明らかに格上だ。眼の前の相手は。
佐藤ローパーはビジュの風貌にすっかりビビリ散らかし、消え入りそうな声で返答した。
こんなバケモノがいるなんて聞いてねーぞ!
「貴方の技能は素晴らしい、ものです。しかし……その『特性』は、弊社に、そぐわないでしょう」
佐藤がべとべとにした履歴書を、ビジュがつまみ上げるように持ち上げた。
ぐるりと無数の眼球が一身に注がれ──彼の履歴書はビジュの汚泥に溶かされ、終いには何も残らない。
「別の道を探してみては」
「……はひ……」
すごすごと退室していく佐藤ローパー。
それを見届けたビジュは、ふうとため息をついた(表情こそ誰にも分からないものだが!)。
「面接官……果たして私に務まるものかと思いましたが……うまく行ったようですね」
社会を破壊し、その様を笑うなど。
彼にはきっと自身の力を試せる場所と機会がある。
粘液で汚損させる程度など生易しい。己は、触れるものを腐食させる混沌の泥なのだから──。
だからきっと、魔の者に近しいと言われ続けたであろう、彼の優しさだった。
成否
成功
第1章 第4節
その巨大な単眼を光らせる『おおめだま』ダーク=アイ(p3p001358)は、天井の梁にぶら下がる蝙蝠を見据えた。
「ふむ」
唸るように。その眼を光らせる。
「成程、夜行性」
「はい!! 夜勤超余裕です!! なんならオールも楽勝ッス!!」
どうすか、とアピール激しく翼を羽ばたかせる。
「吾輩が求めているのは営業職だが」
「は……」
パリピ蝙蝠すら黙らせる鋭い一撃。
「貴殿が起きている時間帯に、貴殿の話を聞いてくれる企業が何処にあるのかね」
「いや……あるかもしれねえんで……ワンチャン……」
「無い。で。昼勤でやるかね」
「いや昼はムリすね。寝てるんで」
「では此処に貴殿の居場所はない。出直してくると良い」
「いや納得いかねーんですけどォ!? 先っちょだけ! 先っちょだけだから入社させて!!」
食い下がる蝙蝠に、アイの眼がきらりと光った。
「出直してこいと言ったのだ。二度はないのである」
「ンだとお……圧迫目ン接野郎! ボイレコで録音させてもらうからな!!」
それはいけない、とばかりにアイの眼前に光が集約される。
で、無音で放たれるアイビーム。
「アァーーーッ!!!」
ガッツリ壁に穴まで開けてしまったが、まあそう言うこともある。
何にせよ、ボイレコごと蝙蝠もお空にバイバイだ。
「証拠隠滅である」
雑すぎる……が、結果オーライだ。
『こうもり』松尾バット
【不 採 用】
成否
成功
第1章 第5節
スーツを着せられた『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)が、誰にも聞こえないようにつぶやいた。
「皆さん、こんな適当な企業にはお似合いに見えますけれど……」
シーッ。本音マズイよ! 人事部長はヘッドホンでなんか音楽聞いてたからセーフです。面接中に音楽を聴くな。
仕方ないとばかりに、好青年就活生に向き直るエルシア。
「さて、山田さん」
「はい!」
「特技は超・強・極大呪文とありますが」
「はい! 敵全体に120ダメージを与えられますよ!」
釣れた。エルシアの狙いは、それを使わせる事だ。
「では見せていただきましょう」
「え、今すか。今はちょっと……」
ガラガラと木人を台車に乗せて運んでくる人事部長。
「私も似たようなものが使えるんです。2366ダメージは出せますよ」
「はぁ??? ハハハ、ご冗談を」
「実際にお手本をお見せしますね」
指を組み、祈る。
その強かな愛を受け止めきれない木人が弾け飛んだ。
「はい、ではお次どうぞ」
そのヤバすぎる始終を見て覚悟を決めた山田が、印を結ぶ。
「くっ……うおお!!」
山田は呪文を唱えた!
しかし何も起こらない。
「……虚偽記載、ですね」
「いや今回は調子が悪くてちょっと……」
「ちなみに、4232ダメージも出せますが……」
「すみませんでした」
土下座をかまして、就活生もどきは敗北宣言をした。
『就活生もどき』山田・ピエール
【不 採 用】
成否
成功
NMコメント
りばくると申します。
よろしくお願いいたします。
●成功条件
就活生に混じって面接を受けに来る魔物すべてにお祈りメール(物理でも可)を叩きつける。
●今回面接を受けに来た魔物ども
見た目からして落とせそうですが、書類選考で通ってしまっています。
この会社の人事部は無能。
弊社は手広くやってる総合商社みたいなよくわからんアレっぽい会社だからテキトーな商品名とかウソッパチの業務とか出してもいいよ。
へ~弊社そんなのも作ってたりそんなこともやってるんだ、知らなかった~って人事部長が隣で頷いています。
あと魔物どもはマジでテキトーな受け答えをしてきます。
・『死角無し』田中デス・アイ
目玉がびっしりのボール型の魔物。手も足も脳みそもありません。
目玉がたくさんあるので死角も隙もありません。でも何もできません。目玉しかないから……。
・『ねっとり粘液』佐藤ローパー
鍾乳石のような体で、ぬめぬめした触手を持つ魔物。また足がないのでその場から動けません。
触手がたくさんあるのでマルチタスクができることをアピールしてきます。PCも書類も粘液でダメになります。
・『こうもり』松尾バット
夜型を生かして夜勤できます! 翼あるので遠方の出張もやれます! が強味。
弊社夜勤ないよ。なお日勤だと絶対遅刻する。
・『年中無休』石井骨次郎
365日間休まず寝ずに24時間働けますよ。この中ではかなり強め。
法を振りかざして誘惑に打ち勝て。ウチの会社を深夜でも煌々と明かりの灯る会社にしてはいけない!
・『就活生もどき』山田ピエール
パッと見、体育会系なサッパリとした短髪の好青年に変身しています。
何らかの非戦スキル(どんなものでも、いいように解釈します)があるといい感じに見抜けます。
非戦スキルがなくてもよくよく問い詰めれば見抜けます。
この中ならこいつが一番手強いと思います。なにせ落とす理由があんまりないです。魔物ってこと以外。
テキトーな理由で突っついても人事部長からダメ出しを受けるでしょう。どうすればいいんだ……!
ん? 特技は極大呪文とありますが……?
●章について
1章予定。
●文字数について
300文字すべて埋める必要はありません。
魔物一匹に絞って、気楽にアラを探してつっつきましょう。
魔物どもは受かる気があるのかないのかテキトーな受け答えをします。
ある程度プレイングに沿うような返しを都合よく喋ったりもします。
テキトーにそれっぽいことを並べてみてください。
●サンプルプレイング
「田中デス・アイさん。御社を志望した理由は?
そうですか。なるほどなるほど。
あ、弊社のトップ商品で光堕ち芳香剤(大嘘)っていうのがあるんですが、印象などはどうですか?
ぜひお聞かせください。まさか、弊社の商品を知らない……とは言いませんよね?」
以上。
皆様の参加をお待ちしております。
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