PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<チェチェロの夢へ>遺跡に棲まう半魚

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 鉄帝国南部の町ノイスハウゼンの上空に発見された浮遊島「アーカーシュ」。
 この調査は現状、鉄帝国軍とローレットイレギュラーズの合同で行われている。
 レリッカの近隣には帝国軍の基地が築かれ、ワイバーンを駆るイレギュラーズも使うことのできる翼止場(はとば)、そして、竜宿が設けられている。
「状況は至れり尽くせりといった印象だが、アーカーシュの探索はそう甘くない」
 『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)はノイスハウゼンに集まるイレギュラーズへと依頼内容について告げる。
 オリヴィア自身は情報屋として各地を飛び回る為、ワイバーンはレンタルして乗ることが多かったが、卒なく乗りこなしていたのはさすが海賊女帝である。
 話は逸れたが、オリヴィアは実際にアーカーシュでレリッカ民や鉄帝国軍とも話をし、現状探索を託されている場所について説明する。
「以前、探索した湖では目ぼしい成果はなかったが、どうやらその近くにもまた湖があるようでな」
 その湖は前回のよりもやや小さいが、非常に澄んだ水は飲料としても適しており、さらに淡水魚も生息していているのだそうだ。
 ただ、この湖はレリッカ民もほとんど近寄らない。
 なぜなら、そこは殺人魚の生息域。加えて先述の湖にもいたヤドカリの見た目をした古代獣ワイズクラブ。そして……。
「そのヤドカリと同じくらいの大きさをした別の古代獣がいるって話さ」
 名前は、マーマディアンと呼ばれる。半魚人を意味するマーマンと合わせ、その後半は守護者を意味するガーディアンではないかとレリッカ民に噂されている。
 この古代獣が守っているモノ。それは、アーカーシュ内に眠る遺跡なのではないか……?
「相手はほとんど水中から出ないらしい。推論に信憑性も増すだろう?」
 別所では、地下部に遺跡が発見されているという話もちらほら入っている。
 それだけに、できるなら遺跡を発見したいものだが、この古代獣や殺人魚は避けて通れない。
 オリヴィアは鉄帝国軍やレリッカ民から得た情報を纏め、イレギュラーズへと手渡す。
「アーカーシュの謎を解く一歩となるかもしれない。手堅く地固めをしていこうか」
 オリヴィアの言葉に頷き、イレギュラーズはワイバーンを駆って浮遊等へと飛翔していくのである。


 浮遊島アーカーシュへと上陸したイレギュラーズは翼止場、竜宿、レリッカを経由して目的地へと向かう。
 一度、前回キャンプを行った湖を立ち寄った面々は特に変化がないことを確認し、そのまま近場にあるもう一つの湖を目指す。
 何か新しい発見がないかと生息する動植物を眺めながら、湖へと至ったメンバー達は先程と比べて小さな湖を見回す。
 先程の湖はレリッカ民が立ち寄っているからか草が刈り取られていたり、土が踏み固められたりしていたが、こちらはほとんど人の手が入っていない。
 それもそのはず。湖内からは近づけば噛みついてやろうと魚群がゆらりとこちらへと近づいてきていたのだ。
 それだけではない。ゆらりと近づいてくる巨大ヤドカリ。さらに、湖底から目を輝かせる半魚人。一見すれば、魚群もヤドカリもそいつが操っているようにすら感じられる。
 湖の水質はかなり良く、湖畔からでもその様子は丸わかりだ。
 こんな状況ではレリッカ民が近寄らないのも無理はない。
 湖をしっかりと調査するなら、古代獣も殺人魚も邪魔な存在でしかない。
 それらを排除すべく、イレギュラーズは湖へと近づいていくのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 浮遊島『アーカーシュ』にある2つ目の湖に生息する古代獣を討伐の上、探索を願います。

●目的
 全ての古代獣の討伐

●状況
 アーカーシュ、レリッカから程ない場所にある湖に潜む古代種討伐の依頼です。
 「<Celeste et>ハンティング&キャンピング!」の続編にあたりますが、前回の経緯を知らずとも問題なく参加できます。

 現場は先日探索した湖から程ない場所にある別の湖です。
 楕円形、500m×300m程度、水深は3~40m程の湖で、水質はかなり澄んでおり、飲み水としても適しているようです。よくよく探せば、見たことのない魚がいるかもしれません。
 敵はほとんど湖から出ない為、水中、湖上での戦いを想定すべきでしょう。その動きから何かを守っているようにも見えますが……。
 無事討伐できれば、湖内の探索ができます。

●敵
 古代獣3体を倒せば依頼達成ですが、キラーフィッシュを出来るだけ多く討伐しておくといいことがあるかもしれません。

〇古代獣:マーマディアン(略称;半魚人)×1体
 全長4m。全身に灰色の鱗を纏う半魚人。
 水中を自在に動き回り、遠距離から水ブレスや水大砲を。近距離からは鋭い爪や食らいつきと大柄な見た目以上の俊敏さで攻めてきます。

〇古代獣:ワイズクラブ(略称:宿借獣)×2体
 巨大なヤド込みで全長4mほど。基本湖底を歩いていますが、泳いで獲物を捕らえることも。
 2本の鋏を使って叩きつけてきり、斬りかかったりするほか、強烈な水ブレスを放ってくることもあります。

〇魔物:キラーフィッシュ(略称:殺人魚)×生息数不明
 全長5~60cm程度。数で押し寄せて獲物を喰らう殺人魚。
 魚群となって行動しており、20体はいるとみられます。
 これが生息する場所へと落ちれば、命は助からないとレリッカ民にも伝えられているようです。

●特殊ルール『新発見命名権』
 浮遊島アーカーシュシナリオ<Celeste et>では、新たな動植物、森や湖に遺跡、魔物等を発見出来ることがあります。
 発見者には『命名権』があたえられます。
  ※命名は公序良俗等の観点からマスタリングされる場合があります。
 特に名前を決めない場合は、発見者にちなんだ名が冠されます。
  ※ユリーカ草、リーヌシュカの実など。
 命名権は放棄してもかまいません。
  ※放棄した場合には、何も起りません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <チェチェロの夢へ>遺跡に棲まう半魚完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年06月17日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

イリス・アトラクトス(p3p000883)
光鱗の姫
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ロゼット=テイ(p3p004150)
砂漠に燈る智恵
黒星 一晃(p3p004679)
黒一閃
トスト・クェント(p3p009132)
星灯る水面へ
アンリ・マレー(p3p010423)
亜竜祓い

リプレイ


 アーカーシュへとワイバーンを飛翔させるイレギュラーズ。
 レリッカ村付近へと降り立ちつつ、『砂漠に燈る智恵』ロゼット=テイ(p3p004150)はアーカーシュを見渡して。
「緑が豊かなのはいいことだと思う」
 色彩豊かなこの浮遊等。それだけで、この地は見る人間に慰みを与えるとロゼットは感じる。
「空なんて飛んでいたら、砂漠より雨が少なくてからっからになりそうなものだが」
 実際、砂漠の景色は黄色一色なのでかなり見飽きる。
 一方、アーカー種は鉄帝にあって、緑も水も溢れている。
 そうなっていないのは、精霊の力が環境を保護する方向で働いているからではないか。ロゼットはそんな推論を立てていた。

 程なく、メンバー達は目的の湖へと近づく。
「よし、今回も湖の調査だね!」
 『微睡む水底』トスト・クェント(p3p009132)は澄んだ湖が見た目だけでもとても気持ちよさそうに感じる。これなら、水中からの景色もさぞかし綺麗だろうと期待する。
 すでに新種を持って帰るよう約束した相手もおり、トルトのやる気はうなぎのぼりだ。
「よし、頑張るぞ」
「さーてと、今日は水の中かー!」
 『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)も湖を覗き込む。
 半魚人らしき相手は視認できないが、底の方に大型のヤドカリらしき個体が見える他、中央に水上を気にする魚群も確認できる。
「メインは古代獣を討伐、あわよくばキラーフィッシュの数を減らす、ですか」
 『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)もまた、倒すべき相手を見据えつつ、さらに言葉を続ける。
「その際だから、徹底的にキラーフィッシュを絶滅させても良いのではないでしょうか?」
 湖にレリッカ村の人々が近づかぬ原因故に、余力あれば行いたいところ。
「水は命を栄えさせる」
 徐に、ロゼットが口を開く。
 それは……、水は必ずしも人間にとって都合の良い生命だけを育むわけではなく、恐怖する対象を育ててしまうことだってある。
「今回も平たく言えば、そういう事なのだろうなあ」
 アーカーシュに住む古代獣や魔物達も、この自然あってこそ育った存在。この地に潜む別の存在も……。
「さて、アーカーシュも魔王だの何だので、きな臭い部分も出てきたけど」
 『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)も湖底をじっと見つめると、『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)がふむと唸って。
「なるほど、この湖の底に遺跡があるかもしれない、と」
「表面に出てる遺跡なんかはすぐ目につくけど。水の中になると結構手付かずのヤツが残ってたりするからね」
 ルーキスもその可能性は高いと見ているが、仮に存在する遺跡がどういうものかは調べないと分からないとイリスが続ける。
「何も出ない、って可能性も十分あると思うし、気楽に行きましょうか」
「ふふっ、ならばやることは一つだろう?」
 ゼフィラは小さく笑い、端的に語る。
 最速でガーディアンと思われる半魚人を倒し、アーカー種の遺跡を調査。冒険者にして探検家であるゼフィラの探求は例え水の底という障害があれ止められないのだ。
「邪魔者はきっちり排除、オマケにレリッカ民の脅威も綺麗に払って楽しく探索したいね」
 ルーキスの意見に皆同調し、この澄んだ湖の掃除を開始するのである。


 改めて、イレギュラーズは水中にいる魔物どもの掃討に当たるのだが。
「昼間でこの水質なら、発光で光源確保する必要は薄そうかな」
 そうは言いつつ、イリスは底の方まで光が届くかどうかにもよると付け加える。
 ただ、捜索するにせよ、2種3体が生息するはずの古代獣との戦いは避けられない。複数との遭遇は避けたいのはイリスだけではないだろう。
「頑張るぞ」
 仲間に先立ち、トストは変化を解いてサンソウウオの下半身を露わに。
 ゼフィラも【エクステンド・エーオース】を使用し、2人は水の中へ。
 続いて、ルーキス、フルール、イリスと水中行動できる面々が湖内へと飛び込む。
 直前、念の為とルーキスは目薬を差す。ゼフィラも装備していたヘッドライトを点灯させていた。
 いくら澄んだ湖とはいえ、深くなれば日の光が届きづらくなる。いわゆる暗視対策だ。
「未知の場所はほんの僅かな手がかりでも惜しいものさ」
 こちらは、精霊天花で精霊と融合したフルール。衣服もなくなったことで濡れる心配はない事を再確認してから、水中を眺める。
「それにしても半魚人にヤドカリ、でしょうか?」
 この湖は間違いなく淡水。ヤドカリは基本、海水で生息する生き物だが、独自の進化を遂げたのか、あるいは……。
「あ、たまに古代獣は意志疎通ができるものがいますが、彼らはできるでしょうか?」
 もっとも、できたところで討伐は必須だろうと、フルールも察してはいたが。
「いるわね」
 湖底を闊歩する宿借獣ワイズクラブを発見するのは容易だった。
「珍しいのを斬れると聞いて来てみれば、なるほど、これは確かに面妖だ」
 『黒一閃』黒星 一晃(p3p004679)は近場に潜む半魚人の存在を視認する。
 全身を灰色の鱗を持つ半魚の姿をとった古代獣、マーマディアン。
 そいつはじっと動かない。やはり、この湖底には何かが眠っているのは間違いなさそうだ。
「なれば、古の史跡の道は俺が切り開くとしよう。後に続く奴らがあとはやってくれる」
 ただ、それらばかりに気を取られてもいられない。
 湖中を泳ぐ無数の魚。
 ギラリと瞳を輝かすそれら殺人魚は文字通り、対する者の命をも食らいつくそうとする。
 水中へと飛び込むメンバーが多い中、『亜竜祓い』アンリ・マレー(p3p010423)は水上飛行して。
「あんまり深いところまで通るか分からないけど」
 携えたクロスボウを構え、彼女は水の中へと向けて矢を射放つのである。


 古代獣複数と戦うのはイレギュラーズにとっても避けたい状況。
 ただでさえ、水中には殺人魚の群れが泳いでおり、相手にせねばならない敵は多い。
「排除するのならば、手加減せずともいいな」
 水中でも地上と同様に動き回る一晃は仲間達の対処を待つ。
「できれば多めに倒しておきたいし、古代獣との戦闘に乱入されたくもないよね」
 先に仕掛けるイリスが名乗りを上げると、すぐさま多数の殺人魚が彼女の方へと群がってくる。
 鋭い牙で食らいつき、強靭な顎で獲物を離すまいとするキラーフィッシュ……殺人魚の群れ。
 少し引いて、その光景を目の当たりにしていたロゼット。
(実際問題、あんなんにじゃれつかれたら……)
 殺人魚に絡まれる状況では、底にいるワイズクラブ……宿借獣への攻撃すらもままならないとロゼットは考える。
 ともあれ、今は足止めをと、ロゼットは水中で熱砂の嵐を巻き起こす。
(多分魚は体温低いので、結構効くと思うのである)
 まさに、熱々の砂による包み焼き。ほとんど体感したことがない熱さに、殺人魚達も苦しんでいたようだ。
 ある程度敵が集まったのを見計らい、一晃も攻撃に出る。
 真下のワイズクラブも合わせ、一晃は妖刀を振るう。
 仲間達も魚群へと攻撃していることもアリ、一晃は味方の位置には十分に気を払い、広範囲に斬撃を飛ばしていた。
 その一部を受けていた宿借獣もジャンプしてハサミを叩きつけてこようとしてくるので油断はならないが、やはり、殺人魚の群れの方が脅威と捉えるメンバーは多い。
「さすがにこちらも襲ってきますよね」
 数もあって、全ての敵の気を引き続けるのは難しい。
 腕を突き出したフルールは紅蓮の鳳凰を放ち、それらを纏めて穿ち、貫く。
 息絶える殺人魚もさすがに出始めるが、なおも活動を続けるのはさすがアーカーシュ生息の生物というべきか。
「水の中だろうが、手加減も手抜きも無し」
 最初、魚群から大きく距離を大きくとっていたルーキスは黒銃による狙撃を行い、さらに血を好む何かを召喚してけしかけ、攻撃を行う。
 しばらくは近場の仲間達が気を引いていることもあり、ルーキスはそのまま範囲攻撃できるタイミングをはかっていたようだ。
「あの半魚人、動く気はないのかな?」
 水上飛行していたアンリは現状維持を続ける古代獣に気を払いながらも、殺人魚の狙いについて考察も行う。
 主に名乗りを上げていたイリスに集まっていたが、出遅れた敵は他のメンバーにも寄っている。おそらく、食欲を満たすのが最優先なのだろう。
 アンリは事前に購入してきた肉を敵陣へと投げ込むと、獲物を見定めようとしていた敵が我先にとその肉にかぶりつく。
 さらに、彼女はもう一つ試し、矢の先で自らの手に傷をつけ、血を水中へと落としていく。
 その血を飲み込むように口をパクパクさせて水上へと近づいてくる殺人魚数体。さほど多くはないが、集まってきたそれらに対してアンリはクロスボウを連続射出して制圧攻勢を仕掛けていく。

 思ったよりも数の多いキラーフィッシュの群れ。
 傷つく仲間の手当てにと、ゼフィラはヒーラーとして立ち回る。
「戦線の維持は任せるよ」
 彼女はできる限り多くの仲間を範囲に収め、聖体頌歌を謳う。
 ――ルリルリィ・ルリルラ。
 基本的にゼフィラはその歌を絶やさぬようにすることで、仲間達の体力の維持に努める。
 ただ、多くの殺人魚を集めるイリスへと攻撃が集まっていたこともアリ、ゼフィラは時折大天使による祝福を彼女へともたらして危機から救う。
 メンバーの多くが殺人魚をメインに相手する中、トストは湖底へと向かっていて。
「さて、まずは……ちょーっと邪魔な古代獣にどいてもらおうか!」
 一直線に近づいていく巨躯のヤドカリはトスト目掛けて鋏を振り上げてくるが、彼も狙いづらい湖底とあって、少しでも引っ張り出すべく全力移動で後ろ側へと回り込む。
 そして、トストは多量の水を使って一気に敵を押し流す。
 !?!?!?!?
 激しい水流に巻き込まれる宿借獣はじたばたともがく。
 2体ともが巻き込まれる形となったのは、果たしてよかったのかどうか。ともあれ、トストの思惑通り敵を湖底から引き上げることはできた。
 後は、仲間達の範囲攻撃に巻き込まれる形で、体力を削ることができそうだ。
 ただ、その水流によって、動き出した者も。
「古代獣が……」
 敵の攻撃にさらされていたイリスは、湖底の方から勢いよく浮上する半魚人の姿を目の当たりにしたのだった。


 イレギュラーズは群がるキラーフィッシュに絡まれながらも、その討伐数を増やしていく。
 イリスが集める敵複数を、フルールは複数を紅蓮の鳳凰で貫く。
 牙を剥く敵へ、イリス自身も三叉の棒で乱撃を浴びせかけて敵陣を蹴散らしていく。
 アンリはというと、自律自走式の爆弾「SADボマー」の使用も考えていたが。
(水の中で爆発すると、普通に爆風浴びるより酷いことになるから……)
 アンリはそれで、父親が乗り物の修繕費に悩んでいたという話を思い出し、仲間に当てぬよう気を払う。
 仲間達は底の方にいる宿借獣も含め、水中の中央から下部に集まっている。
 ルーキスは最初水面近くにいたが、少しずつ潜っていたこともあって、アンリはしばらく水面近くの敵を吹っ飛ばす。
 そのルーキスは適度に距離をとって狙撃を行っていたが、自身にも魚群が近づいてきたことで、攻撃パターンを変える。
「近寄ってくれてありがとう、それじゃさようなら!」
 大きく口を開いて群がってきた魚を見て、ルーキスは羽毛に覆われた左手で術式を展開し、彼方からの呼び声を聞かせて殺人魚に衝撃を与えていく。
「数が居ようが問題ないね? その為の範囲魔術だ!」
 念入りに駆除すべきと、さらにルーキスが術式を展開する間、弱った相手を、一晃が1体ずつ妖刀で切り裂いていた。

 シャアアアアアアアッ!
 マーマディアンの動きは速く、キラーフィッシュの討伐を優先する面々を強襲する。
 イリスが抑えに当たろうとするが、半魚人は並々ならぬ機動力で水中を動き回り、ロゼットを狙う。
 熱砂の嵐を放った直後だったロゼットは鋭い牙と食らいつきを浴びせかけられ、瞬く間に体力を削がれてしまう。
 ロゼットがパンドラを使って意識を保つ間に、半魚人は癒しを振りまくゼフィラを敵視し、水ブレスを吐き出す。
 ゼフィラも回避しようとするが、自身への水中行動付与のタイミングと重なり、続けて放たれた水大砲を喰らってしまう。
「やるね……」
 だが、ゼフィラもまたパンドラを使ってすぐに戦線復帰し、ロゼットの回復へと回る。
 トストもそれを横目で見てはいたが、ワイズクラブも水を噴射しつつ近づき、ハサミで斬りかかってくる。
 それらの動きを止め、トストは氷の術式を展開。
 身体の一部を凍らせた宿借獣は動きを鈍らせてしまう。そこにトストは真下から青い衝撃波を浴びせて水面近くまで吹き飛ばす。
「確実に仕留めないとな」
 一晃は大きな黒い顎を現し、じたばたと暴れるその古代獣へと食らいつかせた。
 ハサミと脚をばたつかせていた宿借獣だったが、程なく止まり、湖底に沈んでいく。
 その間にも、マーマディアンの猛攻が続く。
 水面近くから水中の敵を狙っていたアンリを捕捉した半魚人は彼目掛けて鋭い爪を薙ぎ払う。
 一度は堪えたアンリだったが、さらに食らいついてくる敵に対応できない。
 半魚人はアンリをくわえたまま水中へと引きずり込み、その意識を奪ってしまった。
 アンリを離した半魚人は、そのままフルールを狙う。
 応戦しようとするフルールは残る殺人魚と合わせて半魚人へと紅蓮の鳳凰を放つ。
 半魚人だけを狙えば少しは違っただろう。殺人魚数体は見事に焼け焦げていたが、半魚人はすぐさま水ブレスを吐き出し、フルールを穿つ。
 彼女が怯む間に敵は近づき、その鋭い爪で追撃してきた。
 フルールもまた運命の力を使い、さらなる戦いに臨んでいたようだ。

 殺人魚をあらかた掃討した面々。
「さあ、おまたせ、加勢するよ」
 仲間と共に残る宿借獣へと攻撃を集中させるメンバー達。ルーキスは全身傷だらけの敵へと近づき、神秘の力を籠めた一撃を見舞い、宿借獣を完全に沈黙させた。
 シャアアァァ……!!
 残る半魚人、マーマディアンは激しくイレギュラーズを威嚇してくる。新たな湖の支配者にでもなるつもりだとでも言いたげだ。
 イリスがそんな敵の動きを止めるべくブロックするよう気掛ける。すでに満身創痍の面々も多く、これ以上攻撃させるわけにはいかないと感じていたのだろう。
 高い防御力を活かしてイリスが半魚人へと痛打を与えれば、トストが呪術によって拘束し、霧氷魔を浴びせかけて凍り付かせようとする。
 半魚人はそれでも鋭い爪を振るうとイリスがしっかりと防御し、大きな口で齧られたトストが歯を食いしばって堪える。
 ここまで交戦した半魚人は、やはりイレギュラーズを脅威と感じたのだろう。水底に向かって逃げていく。
「墨染鴉、黒星一晃、一筋の光と成りて湖中の古代獣を斬り捨てる!」
 逃げるマーマディアンを一晃が追い、その速力を活かして敵の体を切り裂く。
 だが、相手の体を覆う粘液がその威力を和らげる。
 横穴へと逃げていった手負いの半魚人はその内部で水ブレスを放ったようで、落盤を起こして通路を封鎖してしまったのだった。


 落盤の向こうは気になるが、メンバー達は現状でできることを進めていく。
「海洋の古代都市もそうだけど、こういう水の中って浪漫があるよね!」
 折角の機会だからと、ルーキスは奥まで潜って探索を行う。
 ゼフィラも一緒になって何か見つからないかと湖底を探すが。
「うーん……」
 アナザーアナライズで念入りに調べるゼフィラ。
 人工物と思われる岩の塊と合わせて、埋まった横穴が気になるようだ。
「他に敵意を持つ存在はいませんか?」
 フルールも小精霊に横穴に入口があることを確認した他、別に何か敵対者がいないか問いかける。
 キラーフィッシュを始め、そうした捕食者がいなくなったことで、物陰に隠れていた魚等が姿を現し、泳ぎ出している。
 水深がさほど深くない上、澄んでいた湖で、倒した古代獣や魔物はどうやって食料を調達していたのかとフルールは気にかけていた。
 古代獣は湖の外に出て何か食べていた可能性が高い。
 キラーフィッシュはプランクトンの他、同じく生息する魚、飛んでくる鳥などを食らっていたようだ。
 目を覚ましたアンリも珍しい魚がいないかと探していたが、その最中に半魚人が移動したと思われるゲル状の物質の残りを確認していた。
「ともあれ、これを運ばないとね」
「なにかの役に立つかもしれん」
 この骸によって何か入手できる可能性もあると、一晃はアンリの力を借り、湖水の中のワイズクラブの骸を引き上げていく。
 また、キラーフィッシュの死骸の周囲で、トストは見たことのない魚に目を見張る。
 体がやや横に長く、光沢を持つ青い体表をした美しい魚。これまで、底の方でキラーフィッシュの脅威に怯えながら隠れていたのだろう。
「お仲間は食べられてしまったのかな」
 新種と思われるその魚の仲間がいればいいなと考えつつ、トストはさらに湖の捜索を続けるのだった。

成否

失敗

MVP

なし

状態異常

黎明院・ゼフィラ(p3p002101)[重傷]
夜明け前の風
ロゼット=テイ(p3p004150)[重傷]
砂漠に燈る智恵

あとがき

 リプレイ公開です。
 今回はこのような結末となりました。ご了承願います。
 ご参加いただき、ありがとうございました。

PAGETOPPAGEBOTTOM