PandoraPartyProject

シナリオ詳細

白紙の権化『ハクッシー』の逆襲~同胞『ハツゲン・キャラミース』を添えて~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●帰って来たハクッシー
 亜竜ハクッシーという存在をご存じだろうか?
 それは人々に『白紙』の恐怖を齎す存在――
 一部の方々に痛烈に刺さる能力を持つとされる、大いなる亜竜である。

「そやつが……また現れたのじゃ!!」
「またぁ?」

 亜竜集落ウェスタ。そこである老亜竜種から説明を聞いている一人が鯤・玲姫(p3p010395)であった。
 亜竜ハクッシーと言えば玲姫が以前、退治したことがある亜竜でもある。あの時は誰一人『白紙』の恐怖に屈する事なく、文字を埋め尽くしてハクッシーを迎撃していたか……いや文字って何? と思う人もいるだろうが、まぁそういう細かい所はともかくとして。
 あのハクッシーが現れた? また? ていうか他にもいたの?
「うむ! ハクッシーとは個体名ではなく種族名じゃからな……
 しかもそれだけではない。奴は同胞たる――ハツゲン・キャラミースも連れてきおった!」
「ハツゲン・キャラミース……!?」
 なんだいその不吉なる響きは!!? と紡ぐのは霞・美透(p3p010360)だ。
 彼女もまたハクッシーと激闘を繰り広げた一人――
 だが、どこか心をざわめかせる名が彼女の魂の背筋を撫ぜる。
 なんだ? 一体なんですのそれは……ハッ!!?
「むぅ、気を付けよ! 既に奴の力が及んでいるのか……!? 奴はの、人格を少しばかり変貌させる能力を宿した亜竜なのじゃ!! それは時として……自らがよく知る、しかし知らぬ者の言を口から紡いでしまうという……! それこそまさに『誤爆』の力!!」
「……??? なんだそれ? そんな事あるのか……?」
 説明を聞く十夜 縁(p3p000099)だが、よく分からない。何十回聞いてもよく分からないが――もしかしたら『分かる』人もいるかもしれないなぁ。そこの貴方はどうですか? ハツゲン・キャラミースに出逢った事は在りますか?
 まぁとにかく――そのハクッシーとハツゲン・キャラミースが再びウェスタの近くに来ているらしい。里の近くをうろつかれ、予期せぬ被害が出るのは御免だ……
「故に頼んだぞ……! あの亜竜達をなんとか倒しておくれ!!」
 ハクッシーは前回に引き続き、人々を白紙の恐怖へと叩き込む恐るべき亜竜。
 人々のやる気と力を奪う能力を宿した存在だ――奴の前で決して白紙をしてはならない。白紙の者が多ければ多い程に奴は力を増すのだから……!
 そしてハツゲン・キャラミースは、君達の人格に干渉を与え、普段通りの動きをさせぬ呪いを齎してくるだろう。思わず口調がいつも違うモノになったりして『ハッ!?』という感覚を味わう事もあるかもしれない……!
 だが負けられぬのだ。
 白紙の恐怖? 誤爆の恐怖?
 そんなものを恐れてイレギュラーズが出来るか――ッ!

 そしてイレギュラーズ達はかの亜竜に対峙する。

 ウェスタの郊外。そこで待ち構えている二匹の影があった――
 片方はリベンジに燃えるハクッシー・マークⅡ。
 もう片方は同胞ハツゲン・キャラミース。
 どちらも恐ろしい気配を醸し出している亜竜だ。へへ、嫌な汗が出てきやがったぜ……!
『カッ――!!』
「チッ……!? いきなり先制攻撃か!!?」
 と、その時。縁が見据えれば、ハツゲン・キャラミースが撃をなすもの。
 まるで爆弾を投じる様に。不思議なモノが飛んできたと思えば――炸裂する。
 皆が躱す。が、なんとなし感じるものだ。
 これを喰らってはまずいと。きっと人格が変貌してしまうかもしれないと――!
 だがこの恐怖必ず乗り越えるのだ。
 人類は必ず白紙と誤爆の恐怖を乗り越えられると信じて。

 ――今、地を跳躍し根源的恐怖に挑まんッッ!!

GMコメント

 AAが白紙だとは思わなかった!!!!!
 本シナリオには「根源的恐怖存在『ハクッシー』襲来」(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/7363)の続きな面がありますが、読んでおく必要はありませんのでご安心ください。それでは以下詳細です!!

●依頼達成条件
 『ハクッシー・マークⅡ』&『ハツゲン・キャラミース』の撃破!!

●フィールド
 亜竜集落ウェスタ郊外に存在する、開けた場所です。
 周囲に戦いの邪魔になりそうなものはありません――
 ハクッシー達と戦い合いましょう。ええ、心の儘に!

●ハクッシー・マークⅡ
 大いなる亜竜(???)とごく一部の人達が呼んでいるワイバーンの一種です。
 純白の美しい体を持ちます。もしかしたら皆さんもコイツに遭遇した事はあるかもしれません……この亜竜はプレイングを埋めれば埋める程に弱くなり、プレイングが白紙に近ければ近い程、尋常ではない強さを持つようになるそうです。

 前回の依頼(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/7363)で敗れましたが、リベンジに戻ってきました。新必殺技『マダマ・ニアーウ』を携え皆さんを倒す気満々です――!

・『マダマ・ニアーウ』(A)
 まだ間に合う。だから後で作業をしても大丈夫。
 ハクッシーから放たれる光には、そんな感じに全身から力を抜く感覚を皆に齎す力があります――0時を超えた? まだロスタイムがあるから大丈夫。7時を回った? 後1時間あるから大丈夫。ダイジョーブ大丈夫。

●ハツゲン・キャラミース
 まるでカメレオンの様に己が体の色を変える事が出来る亜竜です。
 この個体の攻撃を受けると、なぜか口調とかが変わったりします……まるで『人格(キャラクター)が変わった』かのようです……! もしかしたらコイツにも出逢った事があるのでは?

・『ゴバック』(A)
 範囲型の物理攻撃です。まるで爆弾が爆発したかの様な衝撃を与えます。
 ――しかしこの攻撃の本質はダメージではありません。そう……一瞬頭が混乱し、口調が何者かのモノに切り替わってしまうのです。これこそがハツゲン・キャラミースの本領!!

 メタ的に言うと別キャラクターで間違えて発言する事とかありますよね? アレが発生するみたいな感じです。え、ない? 一回ぐらいはあるでしょう!!? ねぇ!!? ちなみに一時的なモノなので、永続じゃないのでご安心ください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度は

  • 白紙の権化『ハクッシー』の逆襲~同胞『ハツゲン・キャラミース』を添えて~完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年05月31日 23時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
すみれ(p3p009752)
薄紫の花香
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
霞・美透(p3p010360)
霞流陣術士
ラビット(p3p010404)
弱さゆえの強さ
アンリ・マレー(p3p010423)
亜竜祓い
熾煇(p3p010425)
紲家のペット枠

リプレイ













「おおっと! まさかリプレイが白紙だと思いましたかしら!?
 おーっほっほっほごめんあそばせ!! ちゃーんと記入済みです事よ!
 ハクッシー、また引っ掛かり遊ばれましたわね!」
 おハーブですわ! と高笑いを行うのは『白霞』霞・美透(p3p010360)――ハッ!!?
「なっ……何、だと。まさか今のは……私のブラフに合わせて『ゴバック』を……!?
 くっ! ハツゲン・キャラミース……想像以上に『やる』奴だ!!」
 気付かなかった――刹那の間に叩き込まれたゴバックによる衝撃が美透を襲いて、その人格に変貌を齎していたなんて……! そう。今一瞬冒頭の彼女の様子が変だったのは、奴の仕業だ!
 彼方の方で口端を吊り上げ笑っている――『ハツゲン・キャラミース』!!
 恐ろしい。一瞬、背筋が凍りつくかのようなあの感覚……
 もしも常人が味わえば危険だ! こんな奴をこれ以上集落に近付けてなるものか……!

 イレギュラーズ達が展開する――各々の意思を抱きながら。

 ハクッシーもキャラミースも倒すのだ……絶対、絶対に……!
「……でも正直な事を言うと、白紙もキャラミースもあまり縁がないんですよね、私。
 おっと、こほん。ともあれ……さぁ、イレギュラーズになって初めての戦闘です!
 まさか初めからこんな亜竜とは思いもしませんでしたが……私の敵ではありませんね!」
 頑張りますよ! と告げるのは『弱さゆえの強さ』ラビット(p3p010404)だ。
 ええい! 白紙だのキャラミースだの謎の単語は捨て置こう。とにかく目前、現実だけを見据えるならば……彼らの攻撃を回避し続ければ問題ないように思える。要は彼らの能力の影響下に置かれなければいいのだろう――?
 なんだか向こうの亜竜達はこちらの様子を窺う様に大人しいが、さて。
「それにしてもまっさらで綺麗な亜竜さんですね!
 うーん友好的ならドラネコさん達と乗せてもらって、空を飛べたら気持ちよさそうです……うーん想像したらなんだか……ふわふわぽかぽかしてきました……ふぁあ……これは二度寝の時の様な……むにゃ……はっ! だめですだめです! 最終確認しないと!」
「というか思ったんだけど。マダマ・ニアーウとかは光なのだから……
 鏡とで反射したら効くのだろうか。相当に大きい鏡を用意しなければダメか?」
 と、思っていたらいつの間にやら『ためらいには勇気を』ユーフォニー(p3p010323)は少しばかりハクッシーの影響を受けてしまっていた様だ。馬鹿な、いつの間に攻撃を……!
 頭を振って眠気を吹き飛ばさんとする最中『亜竜祓い』アンリ・マレー(p3p010423)はどうにかアレを防げぬかと思案を巡らせるものだ。超巨大鏡でもあれば完全反射可能だろうか……?

 ……というかまだ間に合うじゃありません。相談がギリギリになってもまとまらずにめいめいに好き勝手宣言してるとか、なんか関係ない惚気とか語り始めた人のせいで相談がメチャクチャになってわかんないとかじゃないのならかけると思ったら書く、せめて頑張るとか下書きくらいは入れる。病気とか地震があったら困るでしょう――ん? なんでしょう、今どこかの人からの啓示の様な声が聞こえたような。

「……しまった。これがハクッシーの攻撃。
 いつの間にか思考が次元の壁を越えたような――」
「なん、で……? ハクッシーにキャラミース……
 ニルは、はじめて……はじめて見るはずなのに……
 どうしてこんな……『知っている』気がするの……?」
 更には――『陽だまりに佇んで』ニル(p3p009185)にも、言いようの知れない不安が何故か突如襲い掛かって来た。おかしい。両方初見である筈なのに……震えが止まらない……!
 ところで震える感情で思い出したんですけれどロスタイム突入時点で白紙ってこわいですよね。本当はちゃんとしたプレイングを書かなきゃってわかっているのですけど、なんかこう気が乗らないときってあるじゃないですか。どうしても指が動かない時。眠っても朝ちゃんと目が覚めてからやればいいのです。頭の中では何をするか考えているんですもの。あ、横になってる間に考えるってのも出来ますしね。あとほら夜中って効率下がるじゃないですかむりに夜書くプレになんの意味があるでしょうかないんですだって朝やればいいんだから……zzz ハッ!!?
「はっ。うっかり寝そうになりました!
 ニルは寝なくても大丈夫なのに、なんていうか、すごい無責任な安心感に襲われて……!
 こわい、こわいのですハクッシー……! あと一歩間違ってたら、どうなってたか……!」
「? ??? みんなどうしたんだ? いきなりなんか凄い、違和感のある心情を吐露したりしなかったか? いやていうかなんだ? なんで俺もこんな事叫んでるんだ!!?」
 考えるな、感じろ『紲家のペット枠』熾煇(p3p010425)よ!
 理性的に考えては駄目なのだ。ハクッシーやキャラミースはそういう所攻撃してくる敵だから。普通に戦うんだ。普通に戦えば、きっとそう強くはない敵だから……! さぁ魔砲をドーンってするんだ! 急げ! じゃないと、あぁ!!

「…………ハッ! 朝の7時!!?
 あやうくすやすやと寝落ちして、白紙してしまう所でした!!
 プロ花嫁だからって行動計画書まで純白はいけません――純白なのはドレスだけに留めねば」

 駄目だ『花嫁キャノン』すみれ(p3p009752)も影響下に置かれてしまった――!
 いざプレイング執筆RTA? 駄目だよそんなの! プレイングはRTAするものじゃないんだ! それに焦った状況での執筆だなんて、キャラミースが一体どこで介入してくる事か……!
 駄目だ。明らかにイレギュラーズ達の行動が鈍い。というかおかしい。
 ハクッシーの攻撃がいつの間にか届いている――まさか、進化している……!?
「成程……やっぱり復活。いやこりゃあ……進化してやがったかよ」
 が。その時。
 全ての事態を理解した『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)が――不敵な笑みを浮かべながら、ハクッシー達へと対峙するのであった。


 縁は直感していた。
 ――どおりで懐かしい気がしねぇ訳だ、つい最近も出くわしたような覚えがある、と。
 んっ? 出くわした事がある……? ま、まぁともかく奴との戦いは一度限りで終わりではないという事だ。この世にプレイングが残り続ける限り……現れるのだろう。
 だが。こんな事態を予見していなかった縁ではない。
 こうもあろうかと――とっておきの必殺技を編み出しておいた。
 それでは、お聞きください。

『超高速のテロップ弾幕が敵陣を蹂躙する(確定ロール』


 そもそも発言キャラミスというのはすべてのキャラに等しく愛を注いでいるが故に起こる現象でありミスなどとんでもないこれはまさしく愛ですとはいえ普段と違う話し方は恥ずかしいよね~わかる~と同意も示したいだがしかしよく考えてほしい普段と違う一面を見ると生じるトキメキもまた確かに存在するのではないだろうか例えば清楚な眼鏡の委員長が放課後は派手なメイクして露出度高めの服を着て乱暴な口調で喋っている姿を目撃してしまったとか生意気なショタが数年後礼儀正しい物腰柔らかなジェントルマンになっていたとかそれはそれとして絶対腹黒だと思うこの人まあそれはさておき特に隠していないが何を隠そうこのレイジーなおっさんと魂をシェアしているのはいい香りのするオネエなので発言キャラミスが起こるとイケボで一人称がアタシのイケオジオネエというレイジー通り越してクレイジーな生き物が爆誕するという訳ですがそれはそれでいいキャラに仕上がると思うので何が言いたいかというとハツゲン・キャラミースなどこの呪文の前には無力――(※原文ママ)

 ――『ギャップ・モエ』!!!

 ノンブレス。思いの丈が吐き出されれば――あぁ!
 いつのまにかキャラミースに大量の傷が! い、一体何が起こったんだ!! ところでそれはそれとしてギャップ・モエは至高の一端だと思います。ハイッ!
「縁さんのシャウトなのです! わー! ペンラぶんぶんしなきゃ!」
「成程! このシャウトに続けと言う事ですね――!
 流石。前回の報告書を見て用意しておいた甲斐がありました……
 コホン。か゛弱゛い゛乙゛女゛え゛え゛!!」
 そして縁の言と超テロップに感激したニルはベンラをぶんぶん振り回し、まるでコンサート会場の様に! 同時にすみれはこの機を逃さず拡声器を使いて……って、あれ。何故私は今、グロウルを……?
「わぁ、凄いです……! アレが、前回の報告書であった歌唱なんですね!!
 え、今回のはちょっと違う? どっちかと言うとシャウト?
 構いません! 合いの手部隊、出撃です! みなさ~ん!!」
 刹那。ユーフォニーもまた目を輝かせるもの――故に繰り出すは今井さんと山口さんと六匹のドラネコです!

 ฅ^•ω•^ฅ ฅ^•ω•^ฅ ฅ^•ω•^ฅ ギャップモエッ!
 ฅ^•ω•^ฅ ฅ^•ω•^ฅ ฅ^•ω•^ฅ ギャップモエッ!

 わぁ可愛いドラネコ達! よ~しよしよし。
 ――って、待つんだ。まだキャラミースにダメージを与えただけで、撃破には至っていない! まだハクッシーも残っている……! 気を抜いてはいけないぞ、ユーフォニー!
「えっ!? あ、た、助けて係長……!!
 文字が埋め尽くされてる書類持ってきてください! はやく!」
「ハクッシー……どうやら君は強くなったようだが、強くなったのは君だけじゃないさ!」
 慌てて係長に小声で助けを求めるユーフォニー。
 貯めて貯めて! 早く、隙間なく埋め尽くされた書類が多分特攻効果を持つから!
 ……ところでそれはそうとハツゲン・キャラミースさんはキャラメルとティラミスを合わせたようなお名前ですね♪ なんというかお会いしたのは初めてですけれど……『ハイゴノス・ガデル』さんとお知り合いという噂は本当でしょうか……?
 悩むユーフォニー。その間に――美透も独自の動きを。
 展開される魔法陣が味方に加護を齎す。それは他者を強化しうる支援の術式。続けざまに邪を祓う光をもってしてハクッシー達に攻撃すれば、おお見ろ! プレイングを埋め尽くしているイレギュラーズに怯んでいるみたいだぞ!
「後は受けだが……ハクッシー、私は防技を鍛えてきた。新たな技とはいえ簡単にやれると思うな! ……ん? いやそういえば当たったら痛いというより、精神攻撃の類だったか。回避は……鍛えてないね。不味いですわよこれは!! あっ! また口調がとんでもない事になっておりますわ――!!」
 が! ここで同胞キャラミースの支援が行われる――
 イレギュラーズ達に対するゴバック攻撃による人格変動だ。
 肉体的なダメージは少ないが――しかし。
「総員、とにかく攻撃を仕掛けるぞ……奴らを倒してしさえしまえば、こんなの何も問題は――って何言ってるんですか。くぅ、度々思考パターンが変わってしまうのが、面倒ですね……!!」
「この誤爆効果の方は、なんだか新鮮な事になりそうだよね。だって普段しない口調を平然としてしまうんだよね―――凄いよね! 経験がある人ほど沢山の人を世話して平等に愛して依頼とか散歩に出したりしてるのかなって……んっ? 今一体何を……」
「――くっ! しまった、そうか、さては先程のもこれもゴバックの力ですか!
 いけません人格が……別のモノに……!! しかし、もう出発の時間が……!!」
 ラビットやアンリ、そしてすみれの記憶と言動の混濁が著しい。
 それ自体に肉体的なダメージがなくとも――戦闘の最中において生じれば致命的な隙となりえるやもしれぬ。それが深刻だ。ハクッシーが亜竜の身体を活かして突撃して来れば、それを躱せぬだけである程度の傷にはなってしまうだろうから……!

 ――しかし傍から見ると、これは如何なる事態なのか熾煇にはもう疑問で仕方なかった。

「みんな……なにやってんだ? これはなんだ? 本当に戦ってるのか?
 ハックシーやキャラミースもこれは真面目にやってるのか?
 というか一番真面目になるべきなのはGMだろおおおお!」
 空に向かって遠吠え。ひぃ!
 が。なにはともあれ熾煇はハクッシー達と倒さねばならぬと往くものだ。ワイバーンを駆りて魔砲一閃。ついでにがぶりと口を大きく開いて奴らを喰らわんとする勢いで――突撃するものである!
 さすればハクッシー達は、弱い。
 いや或いはこれで白紙者でもいればハクッシーの戦闘能力が跳ね上がっていたりしたのだろうが――誰も彼もが狂気のプレイングを埋め尽くした結果、ハクッシーは大きく弱体化しているのである!
『ガアアアアア!!』
「うるせぇ! ていうか俺、腹減ったんだけど。あと眠い。マジホント……
 Zzzzzzzzz、Zzz、Zzzzzzzz……
 んぁ!? あれ、まだ終わってなかったのか? そろそろ朝食の時間だから終わらせよーぜ!」
 ハクッシーとキャラミース、怒りの咆哮。が。熾煇はそんな大声物ともせずに眠りにつくものである――マダマ・ニアーウの効果だろうか。しかし何よりお腹が空いている彼にとってそれは然したる問題にはならず。
 むしろ問題なのは他の面々だ。特にすみれぇ! 違う『すみれ』になっちまってるよぉ!
「くぅ! このままではミステリアス美女の私がただのやべーやつになってしまいます。こんな惨事になってしまうぐらいなら……こうなったら……奥の手です!」
 今『ただのやべーやつ』って認めました? えっ?
 ともあれ彼女は決意する。PPPの発動――そう。

 (Psyche Profile Projection)の発動をッッ!

『グルァアア!?』
「ふふっ。説明しましょう! これは同じ魂を宿す者(のステシ)をざっくりコピーし、ゴバックを無力化し、更にほぼ同名で同一概念設定とくれば、誤爆もドラマチックな演出となりなんだかエモい感じになるといいなぁ、というモノです!」
 キャラミースが『何を言ってるんだコイツ?』と言う風に首を傾げているが――もうすみれも完全にやりたい放題である。なぁにギャップモエ使いの縁様と真逆の戦術を同時に浴びせキャラミース様を葬るだけですから安心ですよ。
 そしてそのために――出でよナガーイスキルメー! ト・クシュカもとい旦那様!
 旦那様・試作品(右腕)と旦那様・改良版(左腕)を装備し、キャラミースに吶喊ッ!
「うう、なんだかニルは、また眠くなってきちゃったのです……
 でも、もうちょっとだけ頑張るのです! 回復を、回復を……!!
 あれ? 今隣にいたの、いまここにいる筈のない人がいたような……?」
『ンンンンギャップァモエッ!!!!!(シャウト継続中)』
 そして。すみれの反撃の光を見たニルが寝ぼけ眼をこすりながら治癒術を降り注がせるものだ。皆の体調を整え、反撃の一手を紡ぐために……! ハクッシー達も所詮普通の亜竜なのですから、氷結の魔法で動きを止めれるかもしれません、と続けざまに魔力も収束させて――
「さ、準備できました! 今井さんと山口さん準備してもらったよく分からない書類の山……! これできっとハクッシーを倒せるはずです……!」
「みんなー! 気分上げていくよー!
 あとちょっと! あとちょっとでハクッシー達を倒せるんだから! もうちょっとだけ頑張っ……また混乱してしまいましたね。はぁ。まぁプレイングは二日前に提出してたからマダマ・ニアーウの効果は受けずに済みましたが……」
「はぁ、はぁ……まさか、そんな対策方法があったなんて……
 いや大丈夫だ。まだダラダラしていても間に合うはず……!!」
 その動きに呼応する形でユーフォニーもラビットも最後の死力(というか正気)を振り絞ってキャラミースへと撃を成すものだ。さすれば美透――は、ハクッシーからの干渉によりダラダラモードに入っちゃってる。
 ……いや、駄目だ。これじゃハクッシーの思う壺じゃないか。
 奴にだけは屈しちゃいけない、私の中の何かがそう言っている!
 『まだ間に合う』じゃない!
「間に合わせるんだ!!」
 届けチキンレースの誘い! 魂魄鳥競争陣!!
 皆に焦燥する様な加護を齎すもの――!
「唐突に思ったんだけど。これって次元の壁を突き抜けてリプレイ書いてる人にも何かありそうだよね。可愛い女の子とシリアスな男の人間違えたら空気が凍りそうだし、ちょっと時間に余裕があるからって色々眺めてたら納期さんが玄関け破ってくるとか」
 アンリ! やめて、次元の壁を越えてこっちに攻撃してこないで!!
 ま、まぁまぁまあとにかく! さぁ今こそ。

「よくあなたの夢を見る気が……でもどうか、どうか二度と来ないでぇ……!」

 すみれが魂の叫びと共に――全てを薙ぎ払う。
 ハクッシーもキャラミースも。きっとこの世に存在してはならぬ生物なのだから。
 一切合切の容赦なく捻じ伏せてやるのだ。

 ……こうして戦いは終わった。

 白紙の恐怖たるハクッシーは撃滅され。
 誤爆の恐怖たるキャラミースもまた撃破されたのだ。
 だが人類よ、忘れるな。奴らは君たちの傍にいるかもしれない事を。

 奴らを本当に滅ぼせるのかは――分からないのだという事を。

成否

成功

MVP

すみれ(p3p009752)
薄紫の花香

状態異常

なし

あとがき

 うわああああああああああああああああ、ハッ! 白紙だったのは夢か……
 と言う訳でありがとうございました!!!!!!!

PAGETOPPAGEBOTTOM