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シナリオ詳細

聖剣伝承ワカラセイバー

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●聖剣伝説
 かつて、世には悪が満ちていた。
 鉄帝が今の形になるよりも遥か昔、伝説の時代。
 ありとあらゆる悪が世に溢れ、誰もが分からせてやりたいと願った。
 選ばれし者達がその願いを一振りの武器へと鍛え、わからせの願いを込めたという。
 1度振り抜けばあらゆる悪を分からせるという、その凄まじい威力を秘めた武器は全ての悪を分からせた。
 しかしその力が悪しき者に利用されることを恐れ、いつか必要になる時まで封印したという。
 
 ナンデコンナモンツクッチマッタカナ・サケノセキノノリッテコエーナ

 選ばれし者達は、そんな未来の平和を願う言葉を遺し……再び分からせなければならない時が来た時、聖剣は目覚めるとシュエンの刻に告げたという。
 そして今、鉄帝は未曽有の混沌に満ちている。
 伝説の浮遊島アーカーシュ、それに伴う様々な動き……あらゆる事象は渦を巻き、わからせの願いを呼び覚ます。
 おお、これぞ聖剣伝承。
 ワカラセイバーの物語である。

●ぶっちゃけ迷惑
「というわけで、古代文明の遺物が起動しようとしてるらしいです。鉄帝のど真ん中で」
【旅するグルメ辞典】チーサ・ナコック (p3n000201)は古文書を読み上げると、大きな溜息をつく。
 伝承の聖剣ワカラセイバー。
 その詳細は不明だが、「約束の時」に岩に刺さった状態で出現し、わからせの願いを持った「わからせの聖戦士」を選ぶという。
 それを引き抜いたものはわからせの力を手に入れ、邪悪な敵を一撃のもとに分からせるのだという。
「……ちなみにコレがわからせの聖戦士の壁画の写しです」
 チーサが見せたのは、カッコいい柄のついた……ハリセンを持つ女の絵だ。
 そう、ハリセンだ。見た目は剣っぽいが、確実にハリセンだ。
 これでスパーンとやられれば、どんな屈強な悪も「わ、わからせられちゃうううう!」となるらしい。
 ひどい。何がひどいかっていえば全部酷い。
 しかも一番酷いのは、この世情的にめんどくさいタイミングでこんなめんどくさいものが蘇ろうとしている点だ。
 まさかこれで鉄帝の中枢に乗り込んで特務大佐を分からせて来いとでもいうのだろうか。冗談じゃない。
 あのイケすかないグラサンがわからせられちゃう絵面もひどくて見たくないが、大問題が過ぎる。
「というわけで、ワカラセイバーが満足して封印の眠りにつくように自作自演をかまそうってのが今回の仕事です」
 そう、まさか一般人にご迷惑をかけるわけにもいかないし、こういう時に限って鉄帝の変人たちは出てこない。
 なので……今回集まった8人のうちの1人が「わからせの聖戦士」となり、他の7人扮する「とんでもねー奴」をワカラセイバーでわからせるのが今回の仕事だ。
 流石にそれだけやれば問題ないだろうという計算に基づくものだが……そうなると、誰が「わからせの聖戦士」になるのか。
 それはここに集まった8人で話し合わなければならないだろう。
 何せ残りの7人はわからせられる役なのだから。恨みっこ、なしである。

GMコメント

蘇りし伝承の聖剣ワカラセイバーが今、鉄帝の悪をわからせる……!

というわけで「わからせの聖戦士」役の人がなんかそれっぽい事をほざけばワカラセイバーが岩に刺さって現れるので、引き抜きましょう。謎の金属で出来たカッコいいハリセンを持つ貴方こそがわからせの聖戦士!
残りの7人は、如何にもわからせなきゃいけないタイプの悪人になってください。
ワカラセイバーに自作自演とバレると面倒なので、ある程度本気で戦いましょう。
一発くらって「わからせられる」と、その場で強制ノックアウトです。
7人全員を分からせると、ワカラセイバーは光になって消えるでしょう。そうすれば依頼成功です!

●わかんねーよ馬鹿一言で言え
7人が敵のヒーローショーです。好きに舞え。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 聖剣伝承ワカラセイバー完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年05月21日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
八重 慧(p3p008813)
歪角ノ夜叉
リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)
花でいっぱいの
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤
フォウリー(p3p009811)
災厄( ‘ᾥ’ )少女
シャールカーニ・レーカ(p3p010392)
緋夜の魔竜
フロイント ハイン(p3p010570)
謳う死神
朱雀院・美南(p3p010615)
不死身の朱雀レッド

リプレイ

●聖剣の目覚め
 かつて、強大なる悪をわからせた聖剣ワカラセイバー。
 昨今のわからせなければならない風潮と願いが最大限に高まったせいだろうか。
 鉄帝の町には、何処となく不穏な風が吹いていた。
 そんな町を歩くのは『不死身の朱雀レッド』朱雀院・美南(p3p010615)。
 美南は今日この場に、とある目的を持ってやってきていた。
 その目的とは何か……ひとまず少し時間を戻してみよう。
 なんか美南が「今日初めてこの町にやってきた」感を出す、ほんの少し前のことである。
 鉄帝の町のとある一室で、8人の男女がブリーフィングを行っていた。
「わからせの聖戦士に聖剣ワカラセイバーねぇ。私、元居た世界だと魔王の娘で生粋の悪なのよねぇ。だからそういうのって全く相容れないのぉ。だから悪の方やるわねぇ。と・は・い・え。ただやられるのは癪だからぁ、全力で抵抗させてもらうわぁ。よろしくねぇ☆」
「妖刀の間違いでは? いや刀剣ですらないっすけど……依頼ならこなしますが……割りと丈夫で、目つきも悪めっすし、俺は「わからせられる側」やるっす」
 『厄災少女』フォウリー(p3p009811)と『歪角ノ夜叉』八重 慧(p3p008813)がそんな事を言っているが、一体どうしたのか。
 こなすと悪名を得てしまう系の依頼なのだろうか。違う。これはれっきとした「胸を張れる」系の依頼のはずだ。
 聖剣ワカラセイバー。
 この最悪なタイミングで呼んでもいないのに現れようとするわからせの聖剣。
 それを引き抜いた者は「わからせの聖戦士」と呼ばれるが……妙な奴が「わからせの聖戦士」になって鉄帝の中枢に突撃されても困る。
 だからこそ、適当に用意した悪をわからせてワカラセイバーには帰ってもらわなければならない。
 その為の生贄が7人、そして「わからせの聖戦士」になるのが美南ということなのだ!
「ふふ! 良いだろう! 完璧な分からされ役という物を見せてあげようじゃあないか!!!」
「とらぁ……」
「ところで、どうしてとらぁ君がいるんだい?」
「ちょっと、こいつアタシをめっちゃ見てるんだけど?」
 とらぁ君と『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)がじりじりと距離を測っている間に『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)が入って仲裁するが……とらぁ君はコルネリアに何をしようとしていたのだろうか。
 愛に満ちたハグかもしれない。大地に相手を叩きつける系の。さておいて。
「わからせ」っていう概念はあまりよくわかってないけど…つまり「悪」として「邪悪」をお仕置きすればいいんだね! 任せてよ! 悪の秘密結社「シュヴァルツァーミトス」所属、怪人「不死身の朱雀レッド」! 今、この時ばかりは「わからせの聖戦士」として皆をわからせちゃうよ☆」
「分からせる、という概念に少々疑問を抱くところではあるが……要するに悪を屈服させる、という事なのだろう。慣れない事をすることになるが、やるからには精一杯演じようじゃないか」
 美南に『ベンデグースの赤竜』シャールカーニ・レーカ(p3p010392)も頷くが……まあ「わからせ」は概念的な話なので深く考えたら負け系の、鉄帝によくあるアレである。
「とりあえず悪そうな感じで強がってイキった後にキャンキャン言わされたらいいんだね! わかった! ボクも強くてカッコいい狼の端くれ! 依頼を成功させるために負け犬になることも辞さないよ!」
 『( ‘ᾥ’ )』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)の言っていることが概念的にはたぶん一番近いだろう。
 もしかしてちゃんと理解しているな?( ‘ᾥ’ )と言われそうな感じである。
「剣? そのものが意思を持っているとのことでしたか……つまり剣? そのものを侮辱するような言葉を連続的に投げかけ、慇懃無礼に挑発すれば……」
 『友人/死神』フロイント ハイン(p3p010570)が「剣?」と言っているのは話に聞くワカラセイバーの見た目がどう考えても剣ではないからだろう。
「よし、とにかく行くわよ! このままだと仕事の前にわからされそうだわ!」
 壁際に追いつめられ始めたコルネリアが必死にそんな声をあげるが……すでにマリアはコルネリアが辿るだろう末路に優しい表情を浮かべていた。
 とにかく、楽しいわからせ劇場の始まりである。
 別名、茶番劇ともいう。

●鉄帝わからせ劇場
「我、人々の笑顔を守りこの世全ての邪悪を憎むもの也。故に汝の力を借りて全ての邪悪に鉄槌を下さん……いでよ! ワカラセイバー! 僕にその力を貸してくれ!」
 美南の声に応え、ワカラセイバーが出現する。
 光とアシカールパンツァーで無駄に光って派手な音をさせる美南が「あれ、演出いらなかった……?」と思う程度には派手なエフェクトと共に。
 だが派手になる分には特に問題ない。美南がどっから出てきたか分からない岩に刺さったワカラセイバーに手をかければ、抵抗もなく抜ける事が分かる。
「聖剣抜刀! 今この一時、わからせの聖戦士ミナミ! 邪悪をわからせる!」
 ピカーッと輝くワカラセイバーの刀身に通りすがりの人達が拍手をするが……なんかこう分かってない感じである。
 だがそこに7人の悪党じみたのが現れれば誰もが理解する。あ、これヒーローショーだと……! そんなに間違ってない。
 そしてその先頭には……何やらダンボールがいる。一体どこの32歳だろうか。
「アタシはあーーーーーーーーーーくっ!!!!」
 そうして爆音と共に現れるダンボールを被った謎のダンボール妙齢(32歳)は何やら大声で叫んでいる。
「このダンボールはグランドステルス装甲を備えた鎧……不意打ちで一般人を襲ってやるわい!!!!」
 ダンボールがシュバシュバ素早い反復横跳びをしながら悪いこと宣言をしているが……一体どこのコルネリア(32歳)なのだろうか……!
「やめるんだ!そのような邪悪な所業は君達の人生を曇らせる。やっちゃいけない事だ!」
「わからせの聖騎士……? ふ……ふは……ふはははははは!!!!! 愚か! 愚鈍!! 愚妹!!! うぬにこの悪神をわからせることなぞ不可能! わからせカウンターでわからせてくれるわ!! 覚悟せい!!」
「くっ、仕方ないのか!」
 わからせの聖騎士に向かって叫びながら不意打ちの組技を仕掛けにいくコルネリア32歳。
 意味は無いが名乗り口上で自らの悪行を述べながらアタックしに向かうが、述べている悪行は本当だろうか。
 ちょっと見物人に官憲が混ざってるけどきっとフィクションに違いない。
 やらせに見えないように加減しながら声量で補って悪役するコルネリアの姿はダンボールな見た目を除けば熟練の戦士そのもので。
「ええい!! アタシのステルスを突破するとは中々やるわね……仕方ない、本気を見せてやるわ……!」
 ダンボール姿だと組技ができないことに気づいて脱いだ辺りはちょっとアレだが中から出てきたのがバニーガール姿の妙齢(32歳)な辺り、「おおー!」と「うわキツ」の2種類の歓声が混ざっている。
「これが第二段階ってワケ……アタシの進化は後一段階残してある。負けるはずがないのよ!」
「なんて邪悪……!」
「おいコラ!」
「今なら分かる。わからせの、その意味が……!」
 なんかとらぁ君がやってきてファイナルとらぁバスターを仕掛けていったが、大丈夫。まだわかってない。
「や、やるじゃない……アンタの名前を教えなさい、アタシのなま……あぁぁぁぁぁぁぁぁ最後まで言わせてよぉぉぉぉぉ!!!!!」
 高速ケツバットドラムと、その合間に混ざるとらぁ君の自覚せぬ新技、ファイナルとらぁインパクト。
「わ、わからせられるぅぅぅ!!」
 見事わからせられたコルネリアが倒れるが……慧がそこに進み出る。
「その程度の攻撃、俺に効くわけがないっす。お前ごときに止められるか!? 悪行は……えーとえっと…怪人「木をめちゃくちゃに切り裂く鬼」っすよ!」
 鬼血を頑張って鋏っぽくした慧は、そろそろ剪定の時期になりつつある街路樹をチョキチョキとやり始める。
「木を切り裂(いて整えて)くの楽しくて止めらんねぇ!」
 ああ、なんたることか。ガーデナーたる慧によって街路樹が整えられていく!
 ……が、その隙に美南がスパーンと頭に一撃をくらわせたのだ。
「わ、わからせられるっすうううう!」
(……わからされるじゃなくて、やっつけられるって言い方にしたい…ああ……ムリっすか……そう……)
 ワカラセイバーの効果なのだろう。わからされた慧もぱたりと倒れて。しかし、そこにリコリスが飛び出す。
「あお〜〜〜〜〜〜ん! ボクは! 強くて! カッコいい! 人喰い狼のリコリス! はい復唱! 強くて!! カッコいい!! 人喰い狼!!」
 観客がリコリスの言葉を復唱しているが、なんかもう完全にヒーローショーだ。
「ふふん、その眼差し、ボクの勇姿におそれおのののいて(言えてない)尻尾を巻いたと見る! 吠えていられるのも今のうちさ三下ァ! ボクの猛攻を喰らって只で済むと思わないでよねっ! 負け犬の遠吠えを聞くのが今から楽しみだよっ!」
 元気に挑発するリコリスだが実のところ、ブリーフィングの時に「( ‘ᾥ’ )朱雀院さんごめんねええええ!!! お詫びにボクのしっぽ好きなだけ触ったり吸ったりしていいからね? はい、ぎゅーっ!」ということを美南相手にやっていたりする。
 ともかく、そんなリコリスの悪役ムーブや奇襲が炸裂する中で……ついに美南の一撃が炸裂する。
「わからせられるうううう! ( ‘ᾥ’ )クゥーン……」
 そうしてリコリスが退場した辺りで、いったんハケていたフォウリーが愛車スウィートをカッコよく走らせてドリフト決めて登場、扉を開いて脚を魅せながらゆっくりと降り立つ。随分と慣れた動きだ……鍛錬の跡がうかがえる。
 そして『自分は何やっても見た目の美しさですべて許されると思ってるような世の中舐め切ったメスガキ』のような笑みを浮かべながら、そこら辺に居た人に無理難題を吹っかけて困らせて回り始める。
 そう、これが今週の怪人『メスガキJKバニー』なのだ!
 「わからせの聖戦士」である美南相手にメスガキJK煽りをしながら距離を取りつつ二丁の銃でバンバン☆シューティングするフォウリーだが……怪人ムーヴが物凄く板についている。
「ざぁこ♥(バァン!)ざぁこ♥(バァン!)武器がハリセン♥(バァン!)聖騎士っていうよりコメディアン♥(バァン!)再現性東京の大阪街でコメディやって♥(バァン!)ほぉら、がんばれがんばれ♥(ガチッ、ガチガチッ!)」
「なんて悪……ワカラセイバー! これより……わからせを執行する!」
「あ、あれ?弾が出ない……? ……ア――――ジャムったぁー!! え、いやあのね。ホラ見てこれ弾が出ないの。これじゃあ戦えないわよねぇアハハ☆ え、ちょ、ま……キャア―――――――!! わ、わからされちゃうううううう!」
 そうしてフォウリーことメスガキJKバニーもわからされて。
「覇竜軍、シャールカーニのレーカである。竜種との戦いのため、貴殿の持つ物資を全て徴発する! 従わざれば……無理矢理にでも持って行くだけだ」
 そう言いながら馬車を引かせた陸鮫に乗って登場したレーカは……観客に絡むのが躊躇われてとらぁ君に絡む。
 民衆から無理矢理に物を収奪していく悪い軍人のようなキャラクターを演じているのだ。
(できているかは……できているといいなあ)
 そんなちょっと自信なさげなレーカだが、馬車の中身は無辜の民から奪った、という設定の私物を満載にしてある。
「ほら、お前も全財産喜捨するんだよ! 全部竜との戦いで有効に使ってやるから!」
「とらぁ……」
 そんなこんなで始まった戦いがどうかといえば。
「馬鹿な、こんな所でやられる訳にはいかんのだ……。そうだ、私の物資を半分譲るからここは見逃してくれないか」
「ダメだ!」
「おのれえ、わ、わからされるうううう!」
 スパーン、と響く音でレーカもわからされて。
「わからせる……ボクを? そんな紙切れみたいなふざけたオモチャにできるはずがないでしょう?」
 続くハインはブリーフィング通りにワカラセイバーを侮辱し挑発する方向で動いていた。
「そもそも、そんな情けない見た目の伝説の武器なんてあるわけがないです。あったとしても不様を通り越して不憫です」
 そんなハインの口撃に美南は頷きそうになるが……なんとか、耐える!
「その武器の歴史が何百年あるのか何千年あるのか知りませんケド、文化の長さを誇るなんて時代錯誤も甚だしいです。人類は数万年は石斧を振り回していましたが、そんなことを自慢する輩は滑稽でしかないでしょう?」
 全部正論である。というか観客も頷いているが。
「あむがばっ、わ、わからされたああああ!」
 やはりワカラセイバーの一撃でわからされて。
「主観的な感想ですが、思っていたより悪くなかったです。ああ、勘違いしないで下さい。『悪くない』であって『良い』ではありませんのでへべしっ、わからされるううう!」
(ああ、これが、「恥ずかしい」という感情なのですね)
 観客の前で2回もわからされたら、大抵の人間はハインと同じ感想を抱くに違いない。
 そして残るはマリアだけだ。しかし、マリアは悪役名物三段笑いを見事にきめる。
「ふはははは! 私は究極無敵最強の虎! マリア・レイシス! 私は私を猫扱いする世界を! ヴァリューシャを出禁にし、牢屋に入れる世界など決して認めない!!!! こんな世界めちゃくちゃになってしまえばいいんだ!!! いや!めちゃくちゃにしてやる! ワカラセイバーだとぉ!? 私を分からせられる物なら分からせてみたまえよ!!!」
「そんなことはさせない……! 君達が! 反省するまで! わからせるよ!」
「やってみたまえ!」
 ワカラセイバーを構える美南に、マリアはなんかよく分からない構えで強そうに動きつつ、必殺のみ使わず雷装深紅を纏い雷閃葬華でフルパワーで殴りかかる!
 通常であればどうしようもない力量差があるはず。他のメンバーもそうだったが、しかし美南は負けていない。
 それはワカラセイバーの力なのかもしれないが……まさに「わからせの聖戦士」ということなのだろう。
「ふははは! ワカラセイバー! 君の力はその程度かい!? 我が雷速必中の蹴りに手も足もでまい!!!」
 それが分かるからこそ、マリアの演出もはかどっていく。
 リニアドライブで空を駆け、バーバ・ヤーガでド派手な幻影を生み出し場を盛り上げていく。
 たとえワカラセイバーの力で能力で互角になろうと経験だけはどうしようもない。マリアの優位は何も変わらない。
(ワカラセイバーの逆転劇こそが重要なのさ! 分からせとは、分からされるまでの過程こそが最も重要なのだ!! イキリにイキっていこう!)
 そんな寸劇も、段々と終わりへ近づいていく。
「な、なに!? なんだその力は!? ワカラセイバー!? 貴様! 力を隠していたのか!? い、痛! なにそのハリセン!? 普通に痛い! こら! やめないか! ぐわぁ!? わ、わからされる!?」
 ワカラセイバーの一撃を受けて倒れたマリアはしかし……「とらぁ……」という声に顔を上げる。
「ん? あれ? とらぁ君? どうして私を掴むんだい? 待ちたまえ! プロレスごっこで遊んでるんじゃないんだ!? ぎゃー!?」
 まりあはほろびた!
「わからせ完了……これで邪悪はいなくなったんだね」
 そんな地獄かプロレスリングかストリートファイトか処刑か……そんな光景を見なかったことにしつつも、美南は締めの演技に心を籠めていく。
「ありがとう。ワカラセイバー……またいつか邪悪が蘇った時はまた一緒にわからせよう」
 そう言って美南が手を離せば、ワカラセイバーは光の中へと消えていく。
 きっとまたいつか、わからせの願いが集った時に姿を現すのだろう……迷惑なことに。
 そうして万雷の拍手で終わったワカラセイバーの物語は最終的に美南と皆の互いへの謝罪で綺麗に終わったそうである。
 遺恨もなく、後腐れもなく。
 めんどくさい聖剣伝承は、こうして「いつかの未来」へと引き継がれていくのだ。

成否

成功

MVP

朱雀院・美南(p3p010615)
不死身の朱雀レッド

状態異常

なし

あとがき

わからせに混ざるとらぁ君。
ええ、重傷ですね。
ご参加ありがとうございました!

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