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シナリオ詳細

<覇竜侵食>一人のための屍山血河

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●彼女だけはと誰かが言い、彼女だけかとソレが嗤う
 亜竜種は勇敢だ――そんな言説は正確ではない。皆が皆勇敢とは言い難く、それこそ他の種族同様『個体差』で片付いてしまう。
 だが、覇竜に生きるという環境の後押しがあるがゆえに、彼等は数多くの受難を以て他の国家に棲まう者達よりも強靭な精神構造をしているのは明らかだ。
「その娘だけはやらんぞ、蟻ン公共。その娘『も』、だがな」
「ああ、蟻にくれていい命なんて一つも無えが、その娘は特に駄目だ。俺たちの集落にとっちゃ――」
 人間たちがなにかを言っている。
 何れも劣らぬ頑健な肉体は、食糧として申し分なし。アレを持ち帰っても十分喜ばれることだろう。
 だが、それ以上に『そそる』食糧がその後ろにある。全身から立ち上る気配は前に立つ者達と比べても無類のものであり、あれ一体を持ち帰ったときに得られる喜びは他のものより遥かに上回ることだろう。
 だからというわけでもないが。ぐいと持ち上げられたアダマンアントの顎は、一息の後にその二人の首を撥ね、ついで吐き出した粘液で頭部を除いて固めてしまった。ごろりと転がったそれはさっきまで喚いていて邪魔だったので潰した。
「酷いことを。お前たちには親子の情や兄弟愛もないのだろうな。嘆かわしきことだ」
「…………?」
 ギチギチと音をたてて首を傾げたその個体は、亜竜種の女が口にした言葉の意味がわからなかった。
 だが、そもそも今まで理解できたためしがない。だから理解しようという気持ちはなかった。
 ただ――これは殺さず持ち帰らねばならない、とアダマンアントは強い決意を抱いた。
 だから、女の周囲に強烈な匂いを纏った蟻酸を打ち込んだ。より多くの仲間を呼び出さんとするために。
「お前たちの所業は看過できぬ。絶対に生かして返さぬぞ、蟻共」
 ゆっくりと立ち上がった少女は、この集落の……というか、『神殿集落』なる、神殿そのものが集落の体をなす場の巫女にして集落の長である。
 然るに、放たれた術式は通常種のアダマンアント、その関節に痛打を放ち動きを鈍らせ、その頭部を二発目の術式が打ち据える。
「…………っ!!」
 ギリ、と歯噛みした少女はその頑丈さは想定外だったのだろう、次の詠唱までがワンテンポ遅れた。
 襲い来る粘液を躱そうとした彼女は、判断の遅れゆえに腕を縫い留められ、その衝撃で頭を打つ。
 悔しさと無念が胸に渦巻くが、恐怖は不思議と湧いてこなかった。
 怖くないというより、諦めというより、多分……察していたのだ。
「おっと、人攫いとはいただけないね。その娘はここに置いていってもらおうかな」
「オレ達の目が黒いうちに、あちこちで好き放題できると思ってたんならちょっと考えが甘いんじゃねえの? 正直腹が立つな」
「ともあれ、間に合ったのなら重畳じゃ。……死人を見て間に合ったなどとは言いたくないのじゃが。そやつらは返してもらうのじゃ」
 のんびりとした、しかし有無を言わさぬ口調で話しかけた伏見 行人(p3p000858)。
 怒りを隠しもせず、アダマンアントに対し烙地彗天を向けて威嚇する新道 風牙(p3p005012)。
 そして、自分で言った言葉に帯びた非常さに顔をしかめた一条 夢心地(p3p008344)。
 彼等三人にくわえ、各々に武装したイレギュラーズがそこにいた。


 亜竜集落イルナークを滅ぼした脅威、アダマンアント。
 それらは統率種である『クイーン』を擁し、来るべき侵略の日へ向けて着々とその勢力を増しつつあった。
 イレギュラーズの調査によりクイーンの出現、上位種である『戦闘種』の存在も判明したことでその驚異は明白なものとなり。
 そして、彼等はイレギュラーズの想定よりも早かった。
 各地の小集落をはじめとした亜竜集落へと、相次いで侵攻を開始したのだ。
 この状況を座視すれば、過去の類例からして今後想定される脅威は凄まじいものになる。
 そして、イレギュラーズが向かう先にいる俗称『巫女姫』は、神秘に長けているがアダマンアントとは極めて相性が悪いのだとも。
 彼女を食糧とした末路がどうなるかはわからない。が、碌でもない事態が待つことだけは自明だ。
 イレギュラーズは、なんとしてでも彼女を救出し、可能であれば彼女を守ろうとした衛士の亡骸も確保すべきだろう。
 全ては、悪意あふれる未来の回避のために。

GMコメント

 蟻だ。そして私だ。

●成功条件
 『巫女姫』の救出
 巫女姫奪還状態を維持した上でのアダマンアントの全滅or撤退
(オプション)衛士の亡骸の奪還

●アダマンアント×5
 覇竜に現れた侵略種のようなものです。非常に堅固な外殻を持ち、牙による攻撃と強酸を吐く攻撃が基本となります。
 が、1~2体ほど非常に殺意の高い個体がおり、それらは肉体の堅固さを利用した押し潰し、地面や壁へと押し込む、打擲などを行い、また撤退しません。
 巫女姫ほかを捕獲している個体は口から速乾性の粘液を出すため、こちらは動きを大きく鈍らせ、または行動不能に追い込む可能性があります。
 これらの目的は『食糧の確保』であり『勝利』ではありません。彼等から巫女姫を奪還できなければ全滅させたとしても依頼失敗となります(その場合、多分一匹には確実に逃げられる計算になるので)。

●巫女姫(+衛士)
 集落、というより神殿に近い場所で、ここの巫女と少数の衛士の代替わりにより回っていたような場所です。巫女姫以外死亡し、固形化した粘液で囚われています。
 ちょっとやそっとで壊れたり中身が死んだり(巫女姫)しませんが、奪ったとしても相手が健在なら奪い返される可能性があります。
 奪う工夫、奪い返されない工夫が大事です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <覇竜侵食>一人のための屍山血河完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年05月02日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
白き寓話
エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)
竜穿刃
新道 風牙(p3p005012)
よをつむぐもの
一条 夢心地(p3p008344)
殿
イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)
含牙戴角
ジン(p3p010382)
祭・藍世(p3p010536)
桜花絢爛

リプレイ


 アダマンアント、その数5体。うち3体はそれぞれ、雁字搦めにした巫女姫と衛士ふたりの遺体を自らにくくりつけるようにして担ぎ上げていた。アリという特性、その体躯から逆算すればその程度の重量は『荷物』と呼ぶことすら温いものだろうと分かる。突如として現れた邪魔者達を無視して持ち帰ることも、可能だった筈だ。
 だが、それをしなかった。前に出た2体、戦闘種と呼ぶには矮躯だが戦闘意欲旺盛な個体達なら、或いは新たな餌として役立つかもしれぬと察したのだ。
「ぬおー! これ以上アリどもの好きにはさせぬ! 『ここまでしてくれるのかと驚きました!』『丁寧な仕事に感謝しています!』『即日対応して頂き助かりました!』『やっぱりプロに任せて良かった!』等等、お客様からの感謝の声も多数! アリ駆除検定一級を持つ、この麿が来たからにはな……」
「虫けら風情が人食いとは舐めた真似を。返り討ちにしてくれる」
「ともあれ仕事だ、やろう。……巫女姫ちゃん、呼吸はできてるのか? 奥のヤツが抱えてるみたいだけど」
 『殿』一条 夢心地(p3p008344)の(何処で賜ったのか)高い評価を口にしつつ握り拳を突き上げる姿は、自信満々で且つ戦意旺盛だった。『含牙戴角』イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)は殺意の高い個体から視線を切って、余裕すら感じるアダマンアントを潰す気で睨めつける。大型ライフルを担いだ姿は、勇ましい、としか形容しようがない。『北辰の道標』伏見 行人(p3p000858)の周囲から漂う肉の香りは、前衛のみならず捕獲側の蟻の機を引いている……ようにも見えた。行人の、そして一行の最大の懸念は巫女姫の捕縛が命を脅かすものなのかどうかという点だが、少なくとも粘液から断続的に細かな気泡があるのを見るに、即時に危機的とは言えないだろう。
「悲しいことね……間に合ったことを喜ぶべきか、それでも間に合わなかったことを嘆くべきなのかはわからないけれど」
「たった一人、されど0ではない。散っていった同胞達が繋いだ命、決して奪わせはしない」
 『白き寓話』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)の複雑な表情に、ジン(p3p010382)は努めて冷静に、そして心からの決意を含め返した。死んだ者がいる。まだ生きている者がいる。どちらに思いを馳せても、ままならぬ心持ちはある。であれば、死んだ者が守ろうとした意思を確り受け継ぐのが筋ではないかと、ジンは感じたのである。
「まだ取り返せるモンがあるなら、これ以上は毛の一筋すら蟻ん子どもにゃくれてやらねえ……!」
「ああ。奴らには衛士も巫女姫も、何も与えやしない。実利面でも、感情的にもな!」
「あたし等に喧嘩売ったんだ、生きて帰れるなんて思わねぇこったな! あたしが『強くなる為の餌』として叩き潰してやるよ!」
 『桜花絢爛』祭・藍世(p3p010536)は同胞が襲われた事実は自然の摂理の一端と捉えながらも、しかし生々しい状況を目の当たりにして割り切れるものではないらしい。『嵐の牙』新道 風牙(p3p005012)や『一ノ太刀』エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)は、手当たり次第に略奪を繰り広げるそれらの生態を理解した上で、最も有効に、且つ確実に勝利することを心に決めた。……即ち、相手からなにもかもを奪うこと。
「仲間の生死を無視して集団の為に持ち帰る。個を犠牲にすることを厭わない特性……厄介極まり無いのじゃ。伏見君、手筈通りに頼むのじゃ」
「前の2体が食欲で殺意旺盛なら有り難いのだけどね……こっちは請け負った。夢心地、風牙、そしてみんな、そっちは任せた」
 言葉の端々に奇異な点こそあれ、夢心地は一線級のイレギュラーズだ。敵の意図、仲間の強みを重々理解している。行人は彼の言葉に頷くと、無作法なほどに真っ直ぐに前衛の個体に突き進み、攻めてみろとばかりに挑発をかけた。
 先程から干し肉の匂いやらを撒き散らし、そうでなくとも一行の中でトップクラスに捕らえ所のない佇まいに、2体のアダマンアントは即座にその牙を向けた。
「意地汚いアリども! ここにもっと栄養満点のエサがあるぞ! お持ち帰りにいかがっすかー!!」
「巫女姫サンが最優先だ、一気に行くぜ!」
 風牙が声を張り上げ、捕縛に回ったアダマンアントを自らへと引き付ける。最優先は巫女姫を担いだ個体、ほかは可能であれば、の範囲だ。藍世は風牙を狙うべく向きを変えた隙に割り込み、接近戦へと持ち込む。浅くはあれど、たしかに届いた。相手の身動ぎの合わせスウェイした頭を掠める勢いで、イルマの一射が敵の頭部を揺さぶった。


「頑丈でも、熱は内部まで届く筈よね。逃げられるのはことだから、確実に動きを止めていきましょう」
 ヴァイスの短剣から飛んでいった術式は、アダマンアントの肉体に衝撃を与え、炎を巻き上げつつ動きを鈍らせた。昆虫のようなたぐいは外部の頑健さにすべて振り分けているきらいがあり、内部の頑丈さは一段劣る。彼女のやり方は間違っていないといえる。
「倒すよりは奪うことが先決だ。少しでも隙を作れれば……というか燃えても大丈夫なのだろうか……?」
「すべて斬ってから考えるのじゃ! わざわざ生け捕りにした巫女姫が巻き添えで死ぬなど考えられんのじゃ! しからばこの粘液は熱に――のぅぁぁぁぁ溶けてる溶けてる弱いのじゃあああ!?」
 ジンは炎を噴き上げたアダマンアントの熱に懸念を示した。背負う形になった巫女姫が熱で死ぬことはないと見るのが正しそうだが、さりとて溶けたりして意図せず開放する可能性はないのか、どうか。そんな短慮ではあるまいと夢心地は思っていた。考えがド甘かった。熱が回った背に張り付いた粘液層はどろりと溶け、傾いた拍子に巫女姫の体が転がり落ちる格好で地面に倒れたのだ。流石にこの状況には風牙含め救出に回った者達の顎が地に落ちそうな偶然であった。
「てめぇ等が『餌』として持っていこうとしてる『者』は返してもらうぜ」
「よ……よし、一気に叩き潰すぞ! お持ち帰りしようとしたお代はお前等の命だ!」
 エレンシアが滑り込むように巫女姫にとびつき、彼女を抱えて飛び退ったのを見て、風牙は槍を構え直す。
 残っているのは死体を背負った個体群だが、これらも同じように強制解除できるのなら取り戻す『だけ』なら容易いと思われた。
「外骨格が硬いなら中を直接狙える場所を撃てばいい。簡単な話――」
 イルマはここぞとばかりに巫女姫を取り落とした個体の頭部を照準し、引き金をひく。が、あろうことかそれは頭を振って彼女目掛け……というより風牙と彼女を射線に入れた上で粘液を散弾状にして放ち、同時に当てにいったのである。
 銃弾は中空で溶け落ち、アダマンアントの顎に届かない。が、イルマの手元は粘液で固められ、指の動きが鈍化。狙いを定めて撃つ、それだけのモーションが酷く鈍くなる。これでは、撃った時点で大きく避けられる。
「こっちはぼちぼち蟻の動きが読めてきた。できるだけそっちに向かわないように努力するけど……お姫様を殺す気で来られたら自信はないね」
 だから無理をせず対処してくれ。行人は仲間達に叫ぶように告げると、前衛の2体の猛攻を正面からふたたび凌ぐ。体を反らせてから覆いかぶさるように動くのを身を捻って躱し、脚の一本から生えた棘に服を引っ掛けられないように引く。
 脚2本を束ねた打撃は刀で受け、精霊の声に助けられる形で不意の噛みつきをスウェイで躱す。なにしろ恐ろしいのはその視界の広さと首の可動域だ。周辺視を絶えず行うことで俯瞰的に敵を観察しているが、連携の巧みさと速度で生まれる一瞬の隙の繰り返しは洒落では済まない。なにより、無機質に狙いを変えて彼の許を離れられるのが一番困る。
「怪我の功名、って自分で言うのもどうかと思うけど、全部火にかければ最低限餌は与えなくて済むのよね……?」
「そういうことになるな。後送しないと奪い返されることに……なる、がっ!」
 ヴァイスは不思議そうな顔をしつつ、左右に術式を飛ばして回る。二体目、炎上。最後の一体はあたりこそしたが、表面に焦げ跡が僅かに残る程度。ジンは衛士の死体とアダマンアントの間に割って入り、それを押し返す。相手の敵意を束ねる仲間がいたとして、万能であるわけではなく。後送を仲間に任せようにも、連携、実力の程度、どこまで相手が許すかの見極めが重すぎる。必然、彼は他者を助けるより敵に身を投じたほうが効率的に戦えるのである。
 必定、宙を舞えるエレンシアや戦闘のテンポが乱れたイルマが巫女姫達を引っ張っていくことになる。なるのだが、それでもエレンシアは隙を見て一撃叩き込むのだから胆力が凄まじいというか。
「仕留めきれず逃げ帰られるなど、アリ駆除検定一級の名折れ。麿の剣、軽々に避けられぬと知るがいいのじゃ!」
 夢心地は猿叫じみた声を上げつつアダマンアントに飛びかかり、足を薙ぎ払うように振り抜く。硬質な脚部を一撃で切り落とすのは難しいが、同じ位置に繰り返し叩き込むのなら問題ない。彼の剣捌きは、彼が思っている以上に達人の域に達しているのである。
「倒れそうな奴は確実に倒す。アタシは無理しねぇ。だが全力は出させてもらうぜ……!」
 藍世は夢心地の攻撃でバランスを崩した個体に只管に攻撃を叩き込み、あらん限りの気力を振り絞る。肉体を巡る魔力は瞬く間に削れていくが、戦意は反比例するかのように燃え上がる。もう少し、後少し気力や魔力が続くのならば。彼女の心に灯った意思は、技量を尽くした最後の数撃の威力を殊更に引き上げた。
「お前も……逃さねえって、言ってんだろ!」
 最後の一体が逃げるような動きを見せたのを、風牙は見逃さなかった。ヴァイスの放った術式で剥がれ落ちた首なしの死体と粘液との間に烙地彗天を割り込ませるように振り下ろすと、アダマンアントの胸部から内部へと気が迸る。続けざまに体を沈めた風牙は、突き上げる動きでその胸部を貫くため、全力を籠めた。咆哮、気の爆発、そして仲間達の援護射撃。すべての歯車が噛み合った瞬間、最後の捕縛側の個体は風牙の槍先で爆散した。
「伏見さん!」
「ああ、ちょーっと……というかかなり厳しいけど、巫女姫さん達は無事みたいだね。手伝ってくれると助かるかな」
 行人は仲間達の声を受け、かなり安堵した様子の声をあげた。少なくとも、彼を差し置いてこの中であの二体をとどめ置ける者はいなかっただろう。彼でさえ運命の力に頼らざるを得なかったのだ。
「生きるためにこういうことをするんですもの、私たちが命のために全力で抵抗するのも当然よね」
「あたしはまだ戦い足りねえからな、最後まで餌として叩き潰す!」
「顎もとや首周りが有効だと、イルマの射撃が示してくれた。なら、狙わないのは失礼というものだろう」
 ヴァイス、エレンシア、ジンはいまだ戦い足りぬといった風情で好戦的な個体に向き直ると、個々の全力を以て撃破にかかる。風牙は行人と手分けするように割り込み、夢心地は逃さぬ為ではなく純然たる殺人……否、『殺虫剣』を見舞うべく二振りの東村山を持ち上げた。
 その戦いの熱量たるや、半分しか溶けていなかった巫女姫達を包む粘液を完全に溶かし尽くす勢いで。寸暇をおかずして叩き込まれる猛攻は、多少の被害を与えたとはいえ、一方的にアダマンアントを叩き潰す結果と相成ったのである――。


「もう大丈夫だよ、お嬢さん。俺は伏見行人。君の名は?」
「わ……わたしは遥花(はるか)と、お呼びください。優しい外の方」
 行人に名乗りを促された巫女姫、遥花は胸に手をおいて名乗ると、死体となった二人の衛士を鎮痛そうな面持ちで見た。その瞬間を、見ていたのだ。巫女姫として尊厳ある姿であらねばと振る舞ってきた相手は、もうここにはいないのだ。
「気持ちはわかる、なんて言えねえけどよ……アンタがこうして無事なのが、衛士にゃ最大の名誉だろうよ。だから、労ってやってくれよ」
「弔うなら、蟻の手が届かぬ場所で弔いたい。仲間が運んでくれる筈だ」
「任せよ! 麿の亥勢海老にご遺体を載せればよい! 丁重に葬らねばの!」
 藍世が気遣うように声をかけると、ジンが促し、夢心地が己の胸を叩いた。そして咳き込む。
「ここにいなきゃいけないなら別だけど、一度安全なところまで送ってくよ」
「弔いも手伝うからさ、ここで助けたのに死なれちゃやりきれねえ」
 風牙とエレンシアは、巫女姫にいちどついてくるよう告げた。新たな衛士もおらぬまま、少集落でひとりきり……では蟻のいい餌なのだから。
 遥花は逡巡したのち、重く、しかしはっきりとした動きで頷く。一行は一路、亜竜集落へと向かうこととなった。

成否

成功

MVP

伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標

状態異常

イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)[重傷]
含牙戴角
祭・藍世(p3p010536)[重傷]
桜花絢爛

あとがき

 幸いにも衛士ふたりの首と肉体は残置されたため、『弔う』という意味では十分に成功といっていい成果でしょう……損傷がありますが、巫女姫は無傷なのでセーフ。
 MVPは2~3名まで絞った上で、敵の分散と乱戦具合の縮小という点で行人さんが相応しいかと存じます。
 とはいえ、皆さん十二分に活躍したため上下があるとも思えません。引き続きの活躍を大いに期待します。

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