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シナリオ詳細

窃盗団壊滅作戦~港ごと壊滅させればヨシッ!~

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 鉄帝国の東に存在する港町バルガス――この地には、一つの窃盗団が潜んでいた。
 その名をモーティー窃盗団。
 彼らは何も恐れない……例え強者の集う中、多くの警備が待ち構える場であろうと侵入し事を成す。その結果多くのモノが盗まれてきた――例えば宝石の類や黄金の数々など。そして……

「なぁにぃ!? 軍の新型兵器の設計図が盗まれただと!!?」
「はっ!! 現在情報部が捜索中の模様です!!」

 この度、遂に鉄帝国軍部にまで手を伸ばしたのだ――
 彼らが今回盗んだのは、とある設計図。鉄帝国は大地に眠る古代兵器などを利用して練達とは異なる高度な技術を保有している事がある……が。それが盗まれたという訳だ。他国に持ち込むか、或いは犯罪組織にでも持っていくか。
 どうするかは知れぬが高値で売ろうと目論んでいるのかもしれない――
 だが許せぬ。元々の窃盗行為自体許せるものではないが、軍部の機密情報まで手を出すなど。
 よって奴らの拠点がどこかと徹底的な調査が成され――そして――
「艦長ッッッ!! 窃盗団の拠点が分かりました!!
 港町バルガスの倉庫に奴らの拠点があるそうです!!」
「でかした!! 全軍急行ッ!! 窃盗団を壊滅させてやれ!!」
 遂にその拠点の位置がバレる事となる。
 そして最も近くにいた鉄帝国海軍に指令が下されたのだ……
 窃盗団を壊滅させよと――


 同じ頃。港町バルガスの倉庫街にはイレギュラーズ達の姿があった。
 依頼である。モーティー窃盗団に被害を受けた者達から、彼らを討伐してほしいと……
 そして様々な調査活動を得てイレギュラーズ達もまた此処にあった――そして。
「よし。どうやら中にまだいる様だな……」
「こっちには気付いていないみたいだ。一人ずつ仕留めていくか、一気に突入するか」
 内部に目標の窃盗団メンバーがいるのも確認済みである。
 一、二、三、四……全部で十人だろうか。
 そこそこの数がいるが、しかし奴らの本領は戦闘向きではない筈。勝算は十分にある――
 後はどう攻めるか。その思案だけを巡らせていた――その時。

「目標、照準合わせ――!! 全弾装填、よぉ――い!!」

 なんかどっからか声がした。
 海の方からだ。ん、なんだろうか……あまり騒がしいと窃盗団に気付かれる、と。
 イレギュラーズの一人が視線をそちらへと向けてみれ、ば。
 おや? あそこにいるのは軍艦では……
「一斉射撃――ッてぇ!! 撃て撃て撃て撃て――!! 撃ちまくれ――!!
 窃盗団を一人も生かして帰すなァアアアアア!!」
 ――刹那。その軍艦から大量の砲撃音。
 約数秒のタイムラグの後には炸裂音。
 そんでもって生じるのは――まごうことなき大爆発。

 ――鉄帝国海軍による窃盗団壊滅作戦が始まったのである!! どうにもイレギュラーズの依頼行動とバッティングしたようで……って、いやちょっと待て待て待て待て、ここって自国の港だよね!!?

「わぁ……わぁ……っ!! やめろ、撃つな!! だ、だめだ声が届かねぇ!!」
「うわああああなんだこの乱れ撃ちは!! まずいってこれ、港壊滅するだろ!!」
 当然の疑問がイレギュラーズ達に湧くのだが、砲弾は止まぬどころか激しさを増す。
 何考えてんだ連中は――!! あっ、倉庫から窃盗団が出てきてる!
「くそ! 軍部に嗅ぎ付けられたか!? オイ、撤退だ逃げろ逃げろ!!」
 さすれば貴重品を手に持てるだけ持って逃げ出さんとする窃盗団。
 ま、まずい。砲撃の雨あられでは全員を討伐出来るかはかなり微妙だ! そして一端姿を隠されれば、また見つけるのにどれだけの時間が掛かってしまうことか……! くそ! やむを得ない、この砲弾の雨の中でだが――戦うしかあるまいよ!
「ガーハッハッハッハ! 見たか窃盗団共め!!
 こぉーれが鉄帝国海軍の力だ! 全船砲撃を続行せよ――全て平らにしてしまええ!!」
 同時。そんなイレギュラーズ達の苦労を知らぬ船の方では。
 高笑う鉄帝国海軍艦長の姿があったとか……

GMコメント

●依頼達成条件
 モーティー窃盗団を全て逃さず壊滅させる事!

●フィールド・シチュエーション
 鉄帝国に存在する港町バルガスの倉庫街です。自国は昼。
 周囲は似たような倉庫がずらりと立ち並んでいる場所です。
 窃盗団が潜んでいた倉庫は特定できていますので皆さんは倉庫に突入するなり、倉庫から逃げ出そうとしている窃盗団を討伐してください!

 倉庫内は様々な資材が置かれていたりとゴチャゴチャしています。
 障害物的に扱う事が出来るかもしれません。

 なお、後述の海軍の砲撃だけだと確実に窃盗団の中には逃げ切れる者が出てきます。なので確実に壊滅させた事を確認する為に皆さんが早急に壊滅させて――逃げましょう! 砲弾に吹っ飛ばされる前に!

 ちなみに一般人の類は砲撃の音を察してすぐに逃げました。「おっ、まーたおっぱじめやがったか!」と何故かテンションが上がってる住民が遠目から様子を伺っていたりはしてます。流石鉄帝国民。

●モーティー窃盗団(討伐対象)
 鉄帝国内で活動している窃盗団です。人数は10人。

 武装はナイフなどの動きやすいモノが主体の様で、重武装ではありません。
 また、窃盗が主体のグループなので戦闘向きの面子は少ない事でしょう。
 逃がさない様に立ち回る事の方が重要になると思われます。

 国内で宝石や黄金など価値のあるものを狙っていた窃盗団でしたが、調子に乗ったのかなんなのか軍部の設計図にまで手を出したとか。それが故に砲撃の雨あられが降り注がれているようです……まぁいくら何でもこんな事するとは思ってなかったのかもしれませんが!

●鉄帝国海軍×5隻
 軍部の機密書類を盗み出した窃盗団を撃滅しにやってきました。
 海の方からこれでもかという程砲撃してきています――! 自国の港の筈なのですが、滅茶苦茶撃ってきます! もう港ごと壊滅させる勢いです。巻き込まれる前に窃盗団を確実に壊滅させてくださ……ぎゃ――!! 流れ弾が――!!

 毎ターン戦場のランダムな地点に範囲攻撃が飛んできます。
 またこの砲撃はターンが経過するごとにより激しくなっていきます……
 当然、イレギュラーズも窃盗団にも例外なく被害がありますのでお気を付けを!
 なおイレギュラーズ達がいるとは微塵も思っていません!!

 頑張って接近してなんとか説得すれば砲弾は止むかもしれません。
 でも彼らは港には敵しかいないと思ってます。
 もしも近づいてくる影があらばすぐに敵だと思って大量の砲弾やら銃弾やらぶち込んでくるでしょう……!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 窃盗団壊滅作戦~港ごと壊滅させればヨシッ!~完了
  • GM名茶零四
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年04月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
エルシア・クレンオータ(p3p008209)
自然を想う心
ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)
人間賛歌
ガイアドニス(p3p010327)
小さな命に大きな愛
煉・朱華(p3p010458)
未来を背負う者
クラリス・クロシェット(p3p010545)
Cavaliere Rosa
スティール・ダンソン(p3p010567)
荒野の蜃気楼

リプレイ


 ――悪党は大胆不敵な方が対峙していて楽しい。
 『陽気な歌が世界を回す』ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)は心底そう思うものだ。各地を存分に暴れまわる窃盗集団? 結構結構と――今回もご機嫌な活劇を繰り広げる予定だったが……

「何か話が違うんだがおい。
 ほうれんそうが萎れるどころか灰になってないかこの国!
 百万歩譲っても自国の港ごとぶち抜くとか普通考えるか――? 全く最高だな!」

 天より降り注ぐは陽光――ではなく砲弾! 最早こんなの笑うしかないのだ!
 あー! またイレギュラーズ達の頭上に新しい砲撃が――!
「い、幾らここが盗賊団の拠点だからといっても、お互い、周辺の顔役か誰かに事前報告くらいなさらなかったんですか!? あぁ、なさってないからこうなっているんでしょうね!? ひゃあ!!」
「まあまあまあ! 大変だわ、大変なのだわ!
 本日の鉄帝天気予報! お天気快晴、時々砲弾の雨あられ!!
 元気よく降り注いでくるわね!」
 激しき衝撃。直撃こそしなかったが吹き飛ばされそうになるのは『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)であり、そんな空を眺めながら笑うのは『超合金おねーさん』ガイアドニス(p3p010327)だ――いやはや全くどう動いたものか!
「閉鎖的な深緑でだって符牒なり使者なりくらいは出しますのに……こんな初歩的な報連相不足のせいで死んだら鉄帝を呪ってやります。ああやはり未開なる地に住まう蛮族という事でしょうか……!」
 過激たるエルシア。いやしかしこれだけの状況、窃盗団側も大層な混乱がある筈だと……思考すれば今の内にと動き出すものだ。策を巡らせ今この時にしか出来ぬ事をする為に。
「い、いったいこの世の何処に港ごと盗賊団を退治しようとする者たちが……此処にいましたか! くっ、なんとも外の世界というのは、かくも広いものですね……!」
「……規模が大きくなりすぎたならず者共が始末されるってのは、どこの世界でも変わらんが、しかしそれにしても今回はいつもの仕事場よりも騒がしいものだな……」
 同時。『Cavaliere Rosa』クラリス・クロシェット(p3p010545)や『夕陽のガンマン』スティール・ダンソン(p3p010567)も、あまりのぶっ飛んだ海軍の状況に困惑している――が。止まっていれば砲弾の餌食となってしまうだけだと駆け抜けるものである。
 こんなもの窃盗団を片付けて、さっさと帰れば問題ないのだ! 故に――
「――なるほどね。以前参加した確定申告の依頼辺りからなんとなく思ってたけど、今回の依頼や他の国の依頼を通してハッキリと理解したわ――鉄帝ってネジが十本ぐらい飛んでない!?」
 当然の疑問も抱く『炎の剣』朱華(p3p010458)も倉庫へと突入する――! 跳躍し、炸裂する衝撃を躱しつつ思うのは――自国の港に軍艦から砲撃を加えて窃盗団を壊滅とか頭おかしいという事!
 あっ。もしかして頭が筋肉で埋まってしまいましたの――?
 ちょっと鉄帝(トンチキ)キメすぎではなくって?
 ご自慢の鉄帝酸素(トンチキ・CO)吸ってたらこうなるんですの――?
 思わず脳内で変わる口調。咳払い一つして朱華は思考を取り戻せば。
「んんっ! ……まぁとにかく。いつまでもグチグチ言ってても仕方がないわね。
 朱華達は朱華達で窃盗団を壊滅させてさっさとおさらばしちゃいましょ!」
「な、なんだお前ら! 鉄帝国の者か――!」
「朱華達をそんな目で見ないでもらえるかしら!!
 ――イレギュラーズよっ!
 朱華達や海軍の砲撃で壊滅させられたくなかったら大人しくお縄につきなさいっ!」
 ええい! 鉄帝国海軍の一部と見られれば思わず憤慨しかけるものである! ともあれ朱華だけでなくガイアドニスやクラリスなども一斉に中へと。
 中の状況や敵の人数に関しては既に情報収集により確認がとれていたのだ――故に出入口の数に合わせて逃げ道を塞ぐ様に。分散させて中に閉じ込める様に布陣すれば……

「ふっふっふ、見つけましてよコソ泥め!
 私達が来たからには、もう逃げられませんわっ――観念なさい!」

 更にその時。倉庫の入り口の一角をものすごい勢いで蹴り開いたのは――『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)だ。登場に合わせて『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)が近くで紙吹雪を撒いている。ヴァリューシャ、かっこいい~!
「待てぇ! お前、その背中に確保してる大量の酒瓶はなんだこらぁ!!」
 ――が。同時に目についたのはヴァレーリヤがなんか背負っている袋……から大量にはみ出している酒瓶だ! 待て! 明らかに踏み込みの場に不釣り合いなソレはなんだ!
「えっ、これですの? これはちょっと依頼人である軍部の酒保から寄付を……おほほほ」
「嘘つくなソレ絶対この辺りの倉庫から盗っただろ!」
「はっ!? 今ヴァリューシャを嘘つき呼ばわりしたね!!? 絶対許さないよ!!」
 怒れるマリア。鉄帝国海軍が砲撃する=この港はいらない=港に置いてあるのは放棄されたもの=ヴァリューシャのものにしても問題ない! だからお酒くらい貰ったって平気なだけさ!
 凄まじい計算式が組まれ、同時にヴァレーリヤを誹謗中傷した窃盗団に闘志を向けるもの――さぁ覚悟するんだね! 窃盗団に容赦はしないよー!


 砲撃が屋根に直撃。損壊物が地へと落ちれば窃盗団は逃げんとする、が。
 扉が開かない。なんだと!? どうも何か重いものがあるようで……
「ふっふっふ。言ったでしょう? もう逃げられませんわと!」
 それはヴァレーリヤの工作の一環だ。あちこちからかき集めた物資でバリケードを展開し、更には簡単に解けぬ様に鉄条網などで縛りて防護を。マリアによる幻影による隠蔽工作もあらば相手は気付けず……つまり抜かりはなし!
「ふふ! 流石はヴァリューシャ! 天才だね!!」
「これもマリィが手伝ってくれたからこそ……! さぁ! 後は彼らをぶちのめ……教育的指導を行うだけですわよ! 行きましょう、マリィ!」
「うん! さぁ――卑怯な窃盗団め! 虎の戦いぶりを見るがいいよ!」
 そして準備が整えば攻勢へと転ずる。
 ヴァレーリヤがメイスにて一閃し、マリアは己が身に紅雷の力を纏えば塞がれた扉の前で四苦八苦している敵を瞬き穿つのだ――自身を弾丸とする程の超速の行使。
「ぐああ! ほ、他の逃走ルートは……なに!?」
「無駄ですよわ! こんな事もあろうかと準備しておいたのですわ――!」
 であればと。窃盗団が他の道がないかと、式神をもってして探さんとするものだが……ヴァレーリヤの妖精殺しの秘儀が機能を奪うもの――予想外の事態に慌てふためく窃盗団。その直後には。
「聞け、賊どもよ! 例え悪事を働こうと無駄に命を散らす選択が賢くないことはわかる筈。このまま私達に討ち取られるか、それとも船からの砲撃で消し飛ぶか……死にたくなければ、大人しく降伏なさい! 一刻も早く! そうしなければ――手遅れになるぞッ!」
 主に鉄帝国海軍からの砲撃によって――!
 窃盗団へとクラリスが行うは降伏勧告。今なら被害も少なく間に合うと……
 彼らの注意を引き付ける様に。声を張り上げ注目を浴びんとして。
「う、うるせぇ! おい! 早く金目のモノを手に取って持ち出……なんだこいつ?」
 その時、保管庫の隅にいたのは……エルシアであった。
 その手は縛られている。まるで囚われた戦利品であるかのように――
 麗しき幻想種。くっ、奴隷売買を行わんとするとは……なんて窃盗団だ!
「……あれ? 俺達ってこんな幻想種まで奪ったっけ?」
「なにをお忘れですか! よよよ。あれほど乱暴に攫っておきながら……
 はっ! 砲撃が来ますよ――危ない!!」
 記憶にない幻想種の姿に窃盗団は困惑するも、涙と耳チラで誘惑し有耶無耶に存在しない記憶を作り出さんとするエルシア――の直後。風の精霊の声を聞いた彼女が、砲弾が近くに至る事を感ずる。
 故に警告。同時に戦利品を庇わせんとするのである……! 高く売れそうな代物と見れば愚かな短命種であればコロッとその気になるでしょう? そう、これがエルシアの策だ――短命種如きに身を委ねるなど些か恥辱であるが。
「くっ……! しかし背に腹は代えられません。
 高貴なる幻想種がこのような地で死する訳にはいかないのですから――!」
「おい、この幻想種ホントに戦利品か!!? おい!?」
 愚かな短命種が何か喚いているが、また砲弾が来ますよ! 早く庇って!
 場に広がる混乱は時間が経つ事に酷くなっていた。が、その渦中においても。
「逃げようとしても無駄よ! 朱華達は絶対ッ見逃してあげたりしないんだから!」
「……小悪党共。姑息の限りを尽くし今まで逃げ延びてきたのだろうが――ここまでだ」
 朱華やスティールは立ち回る。ええい、こんなハチャメチャな状態で吹っ飛ばされた溜まるものかと朱華は天より降り注ぐ風切り音を察知しながら、窃盗団に『逃げ道はない』とばかりに注意を引き付け――動きが乱れた所にスティールの一撃が飛来する。
 狙い定め穿つものだ。彼らの身を。
 朱華やクラリスが積極的に立ち回り、エルシアが囚われたふりをしながら敵を乱し。
 マリアが敵陣を打ち破りヴァレーリヤが窃盗団をぶちのめしては辛みオイル。ぶちのめしてはその瞳に辛みオイル――ぎゃあああ! としていれば、スティールが敵を狙う狭間があるもの。
 容赦はしないし侮りもしない。奴らは狡賢さがあるからこそ――これまでやってこれたのだろうから。敵を次々と精密なる射撃にて貫いて……

 ――が。直後に戦場全域に爆発と衝撃が広がった。

 やっぱり来る砲弾だ。く、くそー!
「まぁまぁまぁ! やっぱりだめね、これ! うー、うー……
 こうなったら……仕方ないわ! ちょっとおねーさん、行ってくるわね!!」
 故に。その時動いたのはガイアドニスだ。
 窃盗団達がクラリスや朱華に成す一撃をガイアドニスが庇いて防いでいたのだが……やはり飛び交う砲弾がアレに過ぎると。本来ならば敵陣の中で動くエルシア先輩の事も気掛かりだが――やむなし。
 海軍側へと往く。己に懐くワイバーンの背に乗りて。
「ワイバーンくん、お願いね!」
「ぴきー!」
 飛翔。目立つようにしながら、砲弾を受け止めんとするが如く――往く。
 皆を護るにはおねーさんの身長(290cm)が足りないのだわ! だからこそ、出来る事の最善を選ばんとおねーさんは立ち向かいて……そうすれば先には既に初めより動いていたヤツェクの姿もあった。
 リトルワイバーンをかっ飛ばして。弾道を見据えながら全速力で突撃している。
「えーいこの歌声が耳に入らんか! 砲撃による爆音なんぞに負けるとでも――!」
 その彼は己が身にあらゆる加護を纏っている。
 同時に声を。楽器の音を張り上げ海軍の船へと一直線。ええい聞け。聞けよ馬鹿共。分かるだろうこの音が! そこの甲板上のお前! こっち見ろ馬鹿!
「なにをしているか、敵が近づいてきてるぞー! 撃ち落とせー!」
「見境なしかよ!! ええい、くそ――!!」
「撃たないでー! こっちは窃盗団じゃないのよー! おねーさんはイレギュラーズよー! ほら! 鉄帝でゆーめいな人達もいるでっす――! お願いだからおねーさんの話をきいてー!」
 しかし艦長指示の下、砲撃の勢いを強めんとしている勢いである――
 ヤツェクにガイアドニスの影を見据えて一斉射撃。声を張り上げ手を挙げ無防備アピールするガイアドニスだが距離が遠いのか今一つ届いていない様だ。くぅ、せめて近くに寄る事が出来れば!
 両名辛うじて撃ち落とされない程度には回避しつつ――さすれば先に動いていたヤツェクの方が先に傷を負いながらも遂に艦の近くへと。飛び降り、天より甲板上へと降り立てば。
「はぁ、はぁ……よし。オイ、そこのアンタ! 以前、おれに呑み負けたよな――?
 アンタはこの間飲み代足りなくて貸したよな? 勿論おれの曲は知ってるよな?
 て事はだ。俺の事は――分かるな?」
 俺の名前を言ってみろ。ヤツェクはざわめく鉄帝国軍人へと声を掛け。
「とにかく砲撃をやめやがれ! 倉庫の方にはバッティングしただけのローレットもいるんだよ! 誇り高い鉄帝軍人なら、どんな選択が正しいか魂でわかるはずだろ!」
「そうよ! ねぇとにかく一度砲撃を止めてほしいのだわ! そうしたら分かるから!」
 次いで到着したガイアドニスも言を投げかけるもの。
 さすれば彼女の姿を知っている者もいる様で、やがて話は艦長にも伝わり……
「むぅ! なんと――よーし! 砲撃停止! やめやめーい! あっ」
 であれば脳筋……もとい気高き鉄帝軍人は指示を翻して停止せよと紡ぐものだ、が。
 その刹那。指示が届く前に――最後の大砲撃が、倉庫へと放たれてしまった。


 倉庫での戦いは砲弾の音をBGMに、未だ繰り広げられていた。が、やはり戦闘向きではない者が多い為か明らかにイレギュラーズ側が押していて。
「――もう一度言うわ。朱華達と諸共吹き飛びたくなかったらお縄につきなさいっ!
 それとも爆撃に巻き込まれたい願望でもあるのかしら!?」
「ぐあああ! 分かっ、降参する――!」
 同時。朱華の、炎の剣が首筋寸前へと向けられれば遂に観念する者も出始めるものだ。
 更にはスティールの銃撃が放たれ足に命中すれば転げる者もおり……
「……お前達は調子に乗りすぎたな。ここまでだ。逃さんぞ、とッ!」
 それは難を逃れんと遠くへ走り去らんとしていた者だ――これで良しと思えば、直後。やはり海の方から至る砲撃がスティールの近くへと炸裂。やはりこの砲撃が厄介で……
「くっ――しかし困難を乗り越えてこそ騎士の務め。
 これもまた、進むべき道の途上に至る苦難と思えば……!」
 だがクラリスは折れぬ。自らに課している防の構えが致命傷を防いでいるのだ――まぁ鉄帝国の行いが。はたして苦難カウントして良いかは心中にて疑問が浮かびそうになるのだが……深く考えると負けな気がしたので止めた!
「最後です! 降伏を是としなさい――でなくば痛みを持って受けて頂くッ!」
「そうです……反省して頂きましょうか。自責の念があらば、自傷してくださっても宜しいんですよ?」
「はっ? お前何をいって――ぐあぁ!」
 クラリスにる再三の警告の後に呟いたのは――エルシアだ。
 にっこりと。微笑む彼女より至りしは祈りの一端。
 自然の摂理に反する者達よ……愛に目覚め、そして己が所業を悔いるのです、と。
「ふふ。そうです、全ては私をこんな目に遭わせた貴方達が悪いのですよ……? 短命種の分際である事を自覚なさってください。さすればその魂も少しは救われるでしょう――んっ?」
 周囲の窃盗団全てを巻き込む彼女の力が満ちた――正にその時。
 ヤツェクらの説得がギリギリ間に合わなかった大砲撃が倉庫に一斉到来した。
 かつてない程の衝撃が倉庫を襲う――! うわー崩れるー!
「わわわ! これはまずいね、ヴァリューシャ! 脱出しないと!」
「仕方ありませんわね、マリィ――あ、ああ! しまった! しまりましたわ!!
 わわわ、私のお酒が――! あ”ッ――!!」
 瞬間。落ちてた防災頭巾を被るマリアがヴァレーリヤへと声を掛け――れば。
 砲弾の衝撃が背負っていた袋の隅を破いて……一斉にお酒が落ちていく!
「あ”あ”――!! 私のお酒! せっかく、せっかく苦労してちょろまかしましたのに!
 こ、こんな……こんな非道が許されていいんですの!!? 私が一体なにをしたと!!」
「か、可哀想なヴァリューシャ……でも今はとにかく逃げないと!」
 遂に倉庫も限界だ。このままでは崩落か爆発に巻き込まれてしまうと。
 縛り上げた窃盗団達を連れ扉に手を掛けれ――ば。

「……あっ。これ、私が閉じてしまったヤツですわ」

 見上げれば。頑張って組み上げた、突破に時間がかかりそうなバリケードが鎮座していた。
 なんとヴァレーリヤ此処で自爆――! あちこち閉じてしまったが故に脱出路も封じてしまったのだ! 頑張りすぎて出入口を封鎖し過ぎてしまっていたなんて……そんなヴァリューシャも天使可愛いなぁ♡ ふふ、おっちょこちょいなんだから――
「ふふ。やむを得ませんね――ならば私達だけ朽ち果てるのもアレですし……
 海の精霊達よ。軍艦のいる辺りに巨大渦でも作って沈めて頂けませんか?」
「まぁこの事態の何が悪いかと考えてみれば――海軍としか言いようが」
 エルシア、天を見上げ祈りの姿勢と共に過激な発言。
 でも確かに責任は海軍にありそうだとクラリスは思考し。
 やがて至る最後の砲撃の風切り音。それを朱華は聞きながら……

「最後にどうしても言いたいんだけど――やっぱり鉄帝って頭がおかしいんじゃないかしら?」

 鉄帝国の軍事機密に相当する真理を、口にしてしまうものであった。
 ――着弾。爆発。港壊滅。酒瓶全滅。
 ヴァレーリヤの嘆きが天に轟くも――イレギュラーズと窃盗団(捕縛済み)は奇跡的に無事であり。
 此処に窃盗団壊滅作戦は成功に終わったのであった。

 ……終わりよければ全てヨシッ! だよね! うん!!(by言い訳する海軍艦長)

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 依頼、お疲れさまでしたイレギュラーズ!
 ひー! 色んな意味で大変な一時でした……ですが皆さんのおかげで窃盗団は逃さず果たすことが出来ました! 鉄帝国海軍には反省してもらいましょう! めっ!

 ありがとうございました!!

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