シナリオ詳細
春の幸、喰らう者
オープニング
●春の幸、喰らう者
春の薫風が香り始める、3月の末。
海洋王国もそんな春の風は漂いつつ在り、所属する島々もそんな春先の風を感じながら日々の生活を過ごしている。
そんな海洋の人々がこぞって集まっていたのは、『トレストラ』島に広がる砂浜。
『ねーねー、おかーさん! これ、すっごいでっかい貝がとれたよー!!』
『あらあら。本当に大きいわねぇ……』
海洋に棲まう一般人達の、春先の定番レジャーの一つは……潮干狩り。
特にこの『トレストラ』島では、潮の満ち引きが大きい為に、毎夜毎夜砂浜は海水に覆われる。
そして……そんな砂浜に押し流されてやって来た貝達は、潮が引くと共に帰れなくなり、砂浜の中へと潜り込む。
そして砂を掘り起こせば……前日に隠れた貝や小魚等々……海の幸が豊富に満ちていた。
だからこそ、春のお休みの日ともなれば、周りの島に住む一般人達は、一時のレジャーとばかりに島へと押し寄せる。
……だが、そんな平穏な日常を過ごしている一般人達の下へ、海から躙り寄る影。
『……グゥゥォォン』
『ん……あれ、何か音がしたけど……あれ?』
と子供がきょとんとしながら海の方を見つめるが……何もなさそうには見える。
だが……暫くすると、海の中から腕が一つ……パタン、と飛び出る。
『……あれ、ねえ、おかあさん。あれ、何ー?』
『え?』
子供に指を差された母親も、その指を指した先を見つめると……次の瞬間。
『ウォオオ……ォォォォンン……!』
奇っ怪な鳴き声を上げながら、海から這い出てきた……大っきな大っきなタコの集団。
『わ、うわぁっ! 海獣が出たわ!! 逃げて、みんな、逃げてっ!!』
母親が周りの子供達を逃がそうとする……勿論周りの一般人達も、混乱の境地に陥り、我先にと逃げようとする。
タコの海獣集団は逃げ惑う一般人達を美味しい餌と感じたのか……彼等が持つ貝やらに、エサの匂いを感じ取ったのかは分からないが。
『オォォォン……!!』
と、一般人達を追いかけ始めるのであった。
●
「ん……もう来てたのか」
と、『黒猫の』ショウ(p3n00005)は、集まっていたイレギュラーズ達に軽く手を上げて、挨拶も早々に。
「今日皆に集まって貰ったのはな……『トレストラ』島で不穏な気配を感じたんでな。ちょっと皆に力を貸して貰いたいと思ったんだ……詳しくはイズマ、良いか?」
ショウの言葉にイズマは頷き。
「このリッツパークからちょっと離れた『トレストラ』島って、皆知ってるかな? この島って潮の満ち引きが大きくて、毎夜毎夜砂浜が海水に覆われてしまうんだ」
「そのお陰もあって、この島の砂浜には海の幸がたっぷりと詰まっている。丁度春先のこの時期だと……アサリやハマグリとかの、貝の類いが豊富に砂浜に残される。そして島は砂浜を開放して、潮干狩りの道具を貸し出したりする事でお金を稼いだりしているんだ」
「でも……どうやらこの砂浜に豊富に残された海の幸の匂いを嗅ぎ付けて、海に棲まう海獣達が最近活性化している様でね……先程も言った通り、この島は潮干狩りを一つの観光資源としてるから、潮干狩りしている人達のところに海獣が現れたら大惨事になりかねない……そこで、みんなにも付き合って貰って、海獣が出て来たら退治したいと思うんだ」
とイズマの言葉にショウは頷きつつ。
「ま……万が一海獣が出て来なくても、それはそれで皆に一足早い春の薫りを感じてくるといいさ……みんなにはいつも世話になっているし、そういう時があってもいいんじゃないかってね。勿論……海獣が現れたら、ちゃんと退治してきてくれ。宜しく頼むな?」
と、ショウは皆の肩を任せたぜ、とばかりにポン、と叩くのであった。
- 春の幸、喰らう者完了
- GM名緋月燕
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年03月28日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●春の風
春風が薫り、人々の心も浮き足立ち始める3月の末。
海洋王国にもその春の足音が聞こえ始めてくる頃で……人々は春の風に気を躍らせる。
……そして、イレギュラーズ達が訪れたこの『トレストラ』島においても、そんな春の足音と共に訪れる一大レジャー、『潮干狩り』。
「潮干狩り、ええやない。お味噌汁にしても、酒蒸しにしても美味しいもんやし。そしてそれを横から奪おうとしているタコさん、と」
「うむ、タコ! 海産物! シーフード!! いやぁ、春先の風に、たくさんの美味しい物が押し寄せてくるのぅ! 飛んで火に入る何とやら、食材が向こうからやって来るとはお行儀が良いタコもいたもんじゃな!」
「お行儀……は良いのでしょうか? 人の物取ったらあかんよって、お母さんに教わらんかった悪い蛸さんな気がするんやけどな」
『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)と『善なる饂飩屋台』御子神・天狐(p3p009798)が、楽しげに笑い合いながら、言葉を交わす。
それに『若木』寒櫻院・史之(p3p002233)もちょっとした笑顔を浮かべながら。
「潮干狩りにタコか。どっちもおいしいのに、どうして仲良く出来ないんだろうね?」
潮干狩りで獲れる貝類と、それを横から掠め取ろうとするタコ。
まぁ、タコが海底で貝類を捕食しているのは良くある話であろうけれども……今回は海より海獣のタコが這いずり出て来て、海水浴場のお客さんを含めて傷付けようとしているとのショウからの予想を受けて、イレギュラーズ達はこの潮干狩り場へとやって来たのだ。
「やれやれ……この時期は海獣連中にとっても潮干狩りシーズンなのかねぇ……獲るのが貝じゃなく、人間らしいってのが厄介だが」
「うむ……この手のは静寂の青で見慣れているとは言え、こうして……タコが集まるとなると、あまり気持ちよくないものじゃのう」
「ああ……黒猫の旦那は『万が一』海獣が出ないとか言ってたが……『万が一』ってのは、起こる確率が限りなく低いからそう言うものだ。つまり……ま、海獣達が出てくるのはほぼ間違い無いだろうさ」
寄せては返す、穏やかな波を見つめる『海淵の祭司』クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)と、肩を竦める『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)。
イレギュラーズ達が到着しているとは言え……まだ、特に事件が起きる気配はしない。
当然砂浜には多くの潮干狩りに来た周りの島の観光客達が大勢詰めかけていて。
「潮干狩りは、この辺りの島の人々にとって春の風を感じる風物詩みたいなメジャーなレジャーなんだ。そんなレジャーを台無しにする海獣を許してはおけないな。海の幸を楽しむ為に、平穏を護らないと」
と『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)が言うと、それに『激情の踊り子』ヒィロ=エヒト(p3p002503)と『あの虹を見よ』美咲・マクスウェル(p3p005192)の二人も。
「そうだね、潮干狩りの観光地を護れれば、僕達の潮干狩りタイムも守れるってことだよねー。おっけーおっけー、やる気出て来た!!」
「人助けをして、その後に現地の美味しい物を頂く、実に良い意味でシンプルな依頼よね! 環境云々とか生態系どうこうとかはこの際考え無い事にしてさ!」
生態系というのは、クレマァダがここに来る前に。
「ヒトの娯楽も確かに大事じゃが、ここは来奴らにとっても大事なエサ場なのじゃろうて、それを奪う事は罷り成らぬぞ」
と苦言を呈していたから。
勿論、自分達が楽しいならそれでいいというのは、人間のエゴかもしれない。
海の生物たちと共存するのも大事だし……自分達の生活を豊かにするのも大事な事。
潮干狩りをレジャーにした事で、この海域に住む水棲生物達に影響が出ている事は十分に考えられる。
どちらも正しいけれど、どちらも両立させる事は出来ない……そんな、難しい問題。
「まぁ深く考えるのはやめじゃ。タコは海中のハンターとも言われとるし、それも人間大ともなれば脅威ではあるから狩らねばならぬ。皆の潮干狩りの為にもな!」
「そうだね。そして仲良くさせてやろうじゃないか……俺たちの胃袋の中でな」
天狐と史之がそんな一言交わし、そしてヒィロが。
「それじゃ、美咲さん、一緒に行こうか! 砂浜を警戒しないと、仕事だから!」
「うん。警戒仕事と自分らの楽しみ、両立できてこその一流よね」
笑い合う二人に、蜻蛉が。
「ふふ……仕事、というよりかは、デートの様やね?」
と茶々を入れると、ヒィロは。
「そ、そそそそそんなことないよ? ちゃんと海と一般人の中間で監視してるんだから! 美咲さんの隣に居るのはホラ、ボク達二人の連携が海獣撃退の要だから!!」
と顔をちょっと紅くしながら精一杯否定するヒィロ。
そうしていると。
『……ウゥウォオンン……!!』
突如、その海域に響きわたる咆哮。
その咆哮にレジャー客含め、声のした方向へと皆が視線を配すと……ビタン、ビタンと触腕を砂浜に叩きつけながら、海から姿を表す海獣蛸たち。
『……う、うわーー! 何か出て来たーー!!』
『に、逃げろ逃げろー!!』
突然の襲来に、レジャー客達は大混乱。
「……ま、やっぱりこうなるわな」
「そうじゃな……と、言うておる場合ではないか! 行くぞ!」
「そうね。お腹が空いているんかもわからんけど、この場所は譲らへんよ。そう易々と蛸さん達のええようには、させませんよって!!」
縁、クレマァダ、蜻蛉三人の声が上がると共に、イレギュラーズ達は混乱の境地に陥る砂浜へと急ぐのであった。
●幸が薫
『な、何だあれは! あんな蛸、見た事ねえぞ!!』
『しらねえって!! おい、に、にげるぞっ!』
混乱し、叫び声を上げる観光客達。
子供達を抱き上げ、砂浜を逃げ惑う夫婦や、完全に腰を抜かしてその場に座り込んでしまう老齢の方。
怖がる……というよりは、目新しい巨大蛸というのに面白半分で走り回る子供達なんかもいたりする。
そんな様々なレジャー客達に向けて、イズマが大声で。
「あれは……蛸だ! 海獣が出たぞ!!」
と、警鐘を鳴らすと、それに応じるように美咲とヒィロも。
「出たわね? よしいこうかヒィロ。しっかり動いてお腹へらしてからご飯よ!」
「うん!」
頷きながら、ヒィロは空にでっかく。
『海より海獣出現! ローレットが迎撃中です。付近のみな様は落ちついて下さい』
と警告メッセージを表示し、視覚情報での避難を促す。
とは言え、警告メッセージをただ単に出しても、レジャー客達で気付く人はそんなに多く無い。
そうしている間にも、蛸たちは逃げ惑う一般人達に砂浜から躙り寄ってきて……その触腕を伸ばし拘束しようとする。
『わ、わぁああっ!!』
流石に逃れらず、目を閉じた彼を咄嗟に庇うは史之。
『え……あ、あ……!?』
「もう……大丈夫だよ。俺たちが来たからね。道具は一先ずおいたままにして、人命優先。あわてずゆっくり落ちついて避難してね」
そしてイズマと蜻蛉が更に。
「落ちついて、海岸から離れてくれ! 大丈夫だ、ここはローレット・イレギュラーズがいる。あの蛸はすぐに倒すから安心してくれ!」
「こっちなら安全です。海カラ出来るだけ離れた場所へ! ……大丈夫、皆の楽しみにあしとる潮干狩りが出来るように護りますからな」
スピーカーボムで声を伝搬させ、蜻蛉が優しい言葉で避難を促す。
二人の動きを俯瞰するよう史之が少し高所に飛ぶことで、蛸と一般人達の配置を確認しつつ、避難する方向を指示していく。
残る一方は、砂浜で暴れ回る蛸の下に駆けていく。
……襲い掛かる蛸の触腕を振り解いたり、力尽くで引き剥がしたりしながら……海より押し寄せる蛸に隊列を組んで退治。
『ウゥォォォンン……』
どこから発しているか判らない鳴き声で威嚇する蛸陣に、縁は不敵な笑みを浮かべながら。
「全く、苦労しねぇで海の幸を味わおうってのは、ちっと虫が良すぎるんじゃねぇかい? ほら……あんたの欲しいのは、コレだろ?」
足元にあった、貝を入れた袋を見せびらかすと……蛸は。
『ォォォン……!!』
と一寸興奮した雰囲気を見せる。
そんな蛸たちに、クレマァダは真っ直ぐな視線で。
「……お主達は、元々この地い住んでいた者達なのかの? 自分達の狩場を奪われて……怒っているのかの?」
と問い掛ける。
しかし……その声に特段の反応を返す事は無い。
触腕を伸ばし、反撃の攻勢を見せるがのみ。
その敵の攻撃を敢えて受けることで、一般人達に被害が行かない様に立ち回るヒィロと美咲。
そして、蛸陣の攻撃を一先ず一通り受け流したところで、イレギュラーズ達の攻勢開始。
「それじゃ、始めるとするかね? ……ほら、俺達が相手してやる。こっちに来いよ」
縁は、伸ばしてきた触腕に鋭利な乱撃を散蒔く事で、腕の幾つかを切断し、手数を減らす。
更にヒィロと美咲の二人も蛸の陣容に突っ込んでいき、そしてヒィロは。
「さぁ……君達の相手は、このボクだよ! 潮干狩りの成果が欲しいなら、ボクを倒さないとあげないんだから!」
笑顔で言い放つヒィロに、蛸たちが次々攻撃。
美咲はそれを補助するように気糸の斬撃を放ち、蛸を縛り上げて動きを大幅に制限。
縛り上げられた蛸……その足がぷっくりと糸によって膨れ上がるのを見た天狐が。
「……ふむ。もちもちでプリプリに身が詰まっておる様じゃ! これ……何人前くらいなんじゃろうな?」
じゅるりと涎……いけないけない、とすぐに涎を拭きながら天狐が。
「取りあえず、今日はタコパじゃ! タコパの具材になってもらう為にも、倒れて貰うのじゃ!!」
己へ気合いを入れて強化しながら、屋台を呼び出しひき逃げの一撃。
更にクレマァダは、深淵に眠り待つ神を言祝ぐ歌を奏で、蛸を次々と魅了していく。
そんなイレギュラーズ達の一巡目の行動により、多数の蛸の触腕はかなり切り刻まれて、砂浜へと転がっていく。
ただ、腕を幾つか失ったとしても、海獣達の動きは変わらず、残った触腕で攻撃を繰り返す。
移動せずに触腕を伸ばすだけなら、彼等にとって優位に戦況を進めることが出来ただろう。
更に戦う力の無い一般人ならば、彼等に敵うことも無かったはず。
……しかしこうして、手練れのイレギュラーズ達が相手ともなれば、蛸海獣達にはかなり不利な状況。
そして……数刻の後には、一般人達を避難させていた蜻蛉、イズマ、史之の三人も戦列へと合流。
「お待たせ……って、今の所は大丈夫の様やね?」
「ああ……ま、ただ蛸が大きくなった様な奴らに痛手を喰らう訳には行かないだろう? ほら……それじゃ、さっさと倒して行こうぜ?」
「そうやね」
縁に頷きながら、蜻蛉は蛸に向けて。
「その体力、ちょーっとだけ頂きます」
と、蛸の体力を奪う一撃を放つ。
更にイズマは無双の一閃で蛸の身体を一刀両断にし、更に史之も竜撃の一手を放つ。
渾身の一撃を叩きつけながら、確実に蛸一匹ずつを行動不能に陥れていく作戦。
対しての触腕、更にそこから放たれる雷撃での痺れ攻撃に対しては、敢えて攻撃を受けて触腕を惹きつける。
そして。
「蛸さんと仲良おする趣味は、生憎持ち合わせがあらへんの。からむ相手を選んだ方がええんやない?」
と、麻痺効果無効の力と、抵抗力の高さで痺れを無効化。
そんなイレギュラーズ達の抵抗力の高さで痺れは余り効果を為さない。
……そして。
「ほれほれ! タコパの為にも、活きの良い形で仕留めてやるのでな! 大人しくするのじゃよ!」
「そうだね! みんな! ぐちゃぐちゃにしないように注意だよ!! 全ては終わった後のタコパの為にー!」
天狐とヒィロの言葉に、勢い付くイレギュラーズ……そして、蛸共が砂浜に打ち上げられてから、十数分。
殆ど全ての触腕をもがれ、満足に動く事が出来ない彼等に。
「さぁ……それじゃ、そろそろ終わらるとするかね?」
と縁の言葉に頷くと共に……残る蛸海獣達を、全て砂浜の上に仕留めていくのであった。
●春の幸
そして、蛸海獣達が全て動かぬ状態となりし跡。
「……終わった様じゃな」
瞑目し、死した蛸たちの冥福を祈るクレマァダ。
彼等もこの地に生きていた訳で……そんな彼等の生きた証を、その心の中に刻みつける。
更に蜻蛉も、クレマァダの一歩後ろで。
「これに懲りて、もう……襲ってきませんように」
と、祈りを捧げる。
……そんなクレマァダと蜻蛉の弔いを、一先ず皆が見守った上で。
「……さて、と。それじゃあ始めるとするかの! 蛸と貝のパーティーをな!」
と目をキラキラさせる天狐に、縁が。
「ああ……と言いたいところだが、折角だしよ、レジャー客達にも振る舞わないか? 倒したからって、ここは俺達専用の場所じゃないしな」
と提案、それに蜻蛉も。
「そうやね。大人子供達が楽しんで居た潮干狩りやし、蛸も一杯あるから、うちらだけでは食べ切れへんもん。それじゃ、みんな呼び戻してくるやね」
と言って、避難させていたレジャー客達の下へと向かう。
巨大蛸の足が砂浜に散らばっており、物珍しそうに目を光らせる子供達。
そんな子供達に披露するように、タコ足を蛸焼きに入れる用にぶつ切りに切り分けていく史之。
「みんな、この蛸の足が食べられるか心配かな? でもね、さっきまで戦っていたから俺はよーくわかるんだ。俺達がよーく叩いたから、身が柔らかくなっていると思うよ?」
『へー、そうなんだ!!』
興味津々に目を光らせる子供達。
そして、そんな子供達に縁が。
「でも、蛸焼きだけだと飽きちまうからな? せっかくだしみんなが獲った貝も一緒に食べたいと思うんだ。という訳で、だ。不器用なおっさんにもできるよう、採り方を教えてくれや」
と縁は腕まくりをして、目を光らせている子供達の頭をぽん、と叩きながら、一緒に潮干狩りをしよう、と提案。
『あ、うん、いいよー!!』
と、とっても嬉しそうな子供達は、縁に潮干狩りを我先に、と教える。
勿論ヒィロと美咲は、二人仲良く潮干狩り。
「場所柄他のも手に入りそうだし、まとめて網焼きにしたら美味しそうね!」
「そうだね! 頑張って一杯とって、みんなでお腹いっぱい食べよー!」
そんな仲睦まじく潮干狩りをしている二人には、何だか邪魔し辛い雰囲気。
……ともあれ、各々思い思いに潮干狩りを楽しみ、……沢山の貝類を獲ったところで、一部をお土産に確保しつつ、いざに……タコパ。
網焼きの貝にバターと醤油をかければ香ばしそうな薫りが漂い、食欲を誘う。
勿論主役の蛸が入った蛸焼きは大振りの蛸が入って居て、中はホクホク、かみ応えの在るプリプリの蛸が存在感を示す。
そんな料理が並べられた席上で美咲が。
「……ヒィロ、準備はおっけー?」
「うん。それじゃーみんな、今日は思いっきりお腹いっぱいにしていってね!」
「うん! それでは乾杯ぃ!!」
美咲の音頭に、周りの仲間達とレジャー客達が声を合わせる。
多くの料理に舌鼓を打ち、語らい楽しむ一時……それを彩るは貝、海産物、蛸焼き……と色々。
「今日は特別だな。貝じゃなくて蛸も食べられる……と」
「そうじゃな。まぁ皆で食べれば、あっという間に全部胃袋尾の中じゃろうて! それに……ほら、夕焼けに染まる海も美しいじゃろう? 綺麗な景色が一番じゃろうからな」
「確かに、景色もいいスパイスになっているよね? ……うん、思いっきり楽しむぞ!」
天狐の言葉に笑うイズマ。
そしてイレギュラーズ達は、レジャー客達と共に夕焼けに染まり行く砂浜で、沢山の海産物料理に舌鼓をうつのであった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
タコパ……いや、海洋以来に参加頂き、ありがとうございます!
今回の蛸さんは美味しかったみたいです。
最近……コンビニのタコヤキしか食べてないので、本当に焼きたてのタコヤキを食べたく鳴ってしまいました。
GMコメント
皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
今回は海洋依頼……潮干狩りの時期というのもあるので、潮干狩りを巡る海獣退治となります。
●成功条件
海の方から押し寄せてくる海獣軍団の退治と共に、周りに居る多くの一般人達を護る事です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●周りの状況
舞台となるのは『トレストラ』島。
レジャーを主な産業としている島で、ちょうどこの時期は潮干狩りシーズンで売り出している島です。
なので、砂浜には老若男女様々な人達が潮干狩りに興じており……そこに海獣が海の方から出現するといった具合になります。
海獣自体は単体ではそんなに強くありませんが、大量の数で襲撃してきます。
なので一般人を守る行動を取らなければ、逃げ遅れた一般人達が被害に逢うのは間違いありませんので、海獣との戦闘と併せて街の人々を護る作戦を考えていただける様御願いします。
●討伐目標
・獲物の匂いを嗅ぎ付けて海から這いずり出て来た『蛸海獣』
大きさは中学生の子供位に巨大化した蛸です。
海の中では自由自在に動き回る事が出来ますが、砂浜の上ではそんなに素早く動く事が出来ません。
とは言え彼らの攻撃手段はその触腕です。
腕をびよーんと伸ばして身体に巻き付かせて動きを奪った上で襲い掛かるのを常套手段としており、一腕だけでなく複数の腕で巻き付けることで拘束力を強くする事が出来ます。
一般人なら一腕で巻き付かれただけでほぼ動く事が出来なくなってしまうでしょうが……皆様なら力に任せて数腕巻き付かれても振り解く事は出来ます。
ただこの蛸さんは、自分達より強そうな相手だと、腕を通じて雷撃を迸らせて麻痺させる事が可能なので、痺れさせた上でぐぐぐっ、と更に締め上げて、呼吸困難にさせて殺す……という行動を取ります。
ちなみに今回のシナリオは、出発まで期間短めなので、ご注意下さい。
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
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