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シナリオ詳細

<spinning wheel>水没孤島

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再びのヘイムダリオン
 『大迷宮ヘイムダリオン』。妖精郷と深緑を繋ぐルートのひとつであるそれは、平時であれば訪れる者はいない。
 理由は単純明快で、そんなものを通らずとも深緑に向かえること、通るとなれば多大な労力と危険が待ち受けるからである。
 『妖精郷の門(アーカンシェル)』と呼ばれる、双方を繋ぐ移動ルートは便利で且つ通過に労を要さない。そして、深緑側は今、『茨』や種々の脅威が跋扈する危険地帯と成り果てていた。
「要するに、『妖精郷の門』を開けば妖精郷にまで悪影響が至る可能性があり、しかし現状、深緑へ行くにはラサに開いた妖精郷の門、そして妖精郷から深緑内部へと向かうしか無い、ということです。このジレンマを回避するには、大迷宮ヘイムダリオンを経由することで『茨』などの脅威を妖精郷に近づけさせない、という手段が考えられます」
 『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦 (p3n000097)はラサ、妖精郷、深緑を簡易表記にして眼鏡越しに投影し、『妖精郷の門』と『大迷宮ヘイムダリオン』をそれぞれの間に矢印として投影した。勿論、妖精郷の門にはでかでかとバツ印が写り込んでいる。
「ご存知のとおり、大迷宮は常にその姿を変えます。しかし今回踏破する領域は出現サイクルが絞り込めており、踏み込めばその領域へと到達、条件を満たせば深緑への道が拓ける……といった、『迷宮』というより『ミッションフロア』とでも言うべき場所になっております」
 三弦はそう続けると投影表示を切り替えた。簡素な図示だが、どうやら全面が海か湖のような広い水域で、中央、初期位置にそこそこの広さの足場があるようだ。
 内側への矢印がついていることから、この足場が小さくなっていく……と言いたいらしい。
「このフロアでは、小さくなり続ける足場を頼りに四周から襲い来る魚型の魔物を打ち払う……というのが本来の形だったと思われます。が、現在は迷宮に入りこんだ邪妖精達がその代わりを担っているようです」
 ここにもともと居た魔法生物として、試練を与えるための魚類などはそれらが狩り尽くしてしまったのだそうだ。
 出現するとされるのは、ウォーターリーパー、つまり翼の生えた蛙型の邪妖精と、水かきを持った水棲の馬、ケルピーの2種。いずれも強烈な食欲を有し、ウォーターリーパーはその体表の粘液により物理攻撃に耐性を持ち、ケルピーは巨体を使って押し潰しにくるという。
 少なくとも有限ではなく、また、巨体が邪魔をして追加が入ることもないだろうと三弦は語った。
「曲がりなりにもヘイムダリオンは『迷宮』ですから、ここから妖精郷に侵入される見込みはありません。とはいえ、これらを撃滅しなければ我々もアンテローゼ大聖堂に到達することができません。それと――」
 未確認情報ですが、と彼女はことわりを入れた上で、「このフロアにも『茨』が出現する可能性があります。十分ご注意を」と言い添えた。

GMコメント

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 イメージは増水する川の中州に取り残された感じのアレ。
 でも状況は此方のほうが遥かに悪いと思う。

●成功条件
 敵戦力の殲滅
(オプション)陸地消滅前の条件達成

●ヘイムダリオン・沈む孤島のフロア
 大迷宮ヘイムダリオン内部。ここを攻略することでアンテローゼ大聖堂へのルートが拓けます(飽くまで多数のなかのひとつ)。
 ここでは初期サイズが「四方60m程度」の足場が3ターンごとに10m四方ずつ周囲から削れていきます。
 初期位置は足場中央、3時方向からウォーターリーパーが足場に上陸し攻撃してきます。逆方向、9時方向にはケルピーが群れをなして獲物が水に飛び込むのを待ち構えています。飛び込む獲物がいればそちらに向かいます。
 なお、足場すべてが水没したあとはランダムな確率で『茨』が足に絡みつこうとしてきます(後述)。

●ケルピー×6
 みんな大好き(?)水かき馬。形状的に陸上行動はできませんが、馬の機動力と体躯で水中を追い回されるのはかなりの危険が伴います。
 体躯に違わずHP多め。守りが固く、水かきによる水鉄砲や不快な鳴き声による精神撹乱、高い威力を持つ体当たりなどを得意とします。結構でかいので、水上からの飛行戦闘を行おうとしても体当たりの高度にぶち当たるので注意が必要です。
 初期位置9時方向。

●ウォーターリーパー×10
 蛙に羽根が生えています。両生類のため水陸何方でも戦えます。3時方向から上陸し追い詰めてきます。
 【飛】を有すタックルや貫通・防無を持つ舌による突き他、蛙だから多芸。体躯は成人男性を横に二人並べたくらい(縦横ともに)。
 なお、体表は粘液でぬめっており物理攻撃の威力が大きく落ちます。

●水中の『茨』
 足場消滅後、ないしは水中で連続3ターン以上行動するイレギュラーズが居た場合出現します。
 足に絡みついてきた場合、「水中行動」「水中親和」の効果が制限される可能性があります。つまり溺れやすくなるし身体能力に制限が受けたりもします。
(水中でムリに戦闘しようとした場合相応にはペナルティが発生します)
 なおこれは余談ですが、「水中〇〇」は「水中で行動する能力」ですが、「水泳」は「泳ぐこと全振り」なので並行して戦闘を行えるスキルではないと解釈されます。
 準備の際は十分注意するのが善いと思われます。

  • <spinning wheel>水没孤島完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年04月06日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
シラス(p3p004421)
超える者
只野・黒子(p3p008597)
群鱗
ミヅハ・ソレイユ(p3p008648)
天下無双の狩人
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ヴィリス(p3p009671)
黒靴のバレリーヌ
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女
ウテナ・ナナ・ナイン(p3p010033)
ドラゴンライダー

リプレイ


「やっとお家に帰れる! やっとお家に帰れる!! まぁそのまえにやばやばな新緑を何とかしなければですが! 帰れるという安心感は何よりですね!!」
(アンテローゼ大聖堂までのルートが確保できなきゃ何も始まらないんだ……焦るな俺!)
 『ワクワクハーモニア』ウテナ・ナナ・ナイン(p3p010033)は封鎖された深緑への道筋が掴めたことに、強い喜びを覚えていた。茨に遮られた現状を憂慮するがゆえに、故郷の同胞の無事を知りたいのは当然であろう。そのテンションの高さが周囲に与える影響は大きい。
 『ヤドリギの矢』ミヅハ・ソレイユ(p3p008648)は自身に深緑のルーツはないにせよ、警備隊などの縁深い者の憂慮は我が事のように心が痛むのだろう。解決への道を示されても、根本からの解決がいまだ遠いのも含めて。ウテナの狂喜乱舞を見て自分もあれくらい安心できれば……と、思う気持ちがあってもおかしくはない。
「うわぁ……増水する川の中州にいると危ないって話、実感するよ……事前に聞けてたからまだいいけど、この状況は怖い!」
「ちょっと絶体絶命って奴じゃない? これ。私泳げないのよね……」
 『希う魔道士』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)は緩やかに崩れ始めた孤島の外縁をちらと見て、分かっていても襲いくる恐怖を身をもって味わっていた。とはいえ、彼含め数名はワイバーンに騎乗し低空飛行の準備を整えている。そうそう直ぐに窮地に陥ることはあるまい。問題は『黒靴のバレリーヌ』ヴィリス(p3p009671)のように飛べず泳げずの類の者だ。水没した場合の最悪のケースは茨による阻害と邪妖精達による蹂躙なのだが、ヴィリスは不幸中の幸いか、泳げはしないが行動は出来るらしい。油断はできぬが、一先ず危険性は僅かに減ったか。
「幻想の迷宮は階層によって全然違うダンジョンになってたけど、ヘイムダリオンも凄いのね……!」
「足場が狭まる中で挟み撃ちにされようとも対策を打つし、負ける気はない。迅速に敵を撃破し、アンテローゼ大聖堂に辿り着くぞ!」
「そうだな、効率よく行こう。イズマと俺とが手を貸せばこんな状況、なんてことないぜ」
 『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)が周囲の状況にしきりに驚きを示す傍らで、『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)と『竜剣』シラス(p3p004421)は冷静に術式を展開し、仲間達を強化する。純然たる戦闘強化というより、行動力強化の類だが……この状況に最も噛み合ったものであることは語るまでもない。ヴィリスはその力を自覚し、安堵の息を漏らした。
「効率良くやろう。短期決戦前提なら望むところだぜ」
「では、ケルピーは私達で優先して撃破しましょう。蛙は他の方々にお願いしたいところで」
 意気揚々と戦闘態勢を整えるシラス、そして孤島の中心から駆け出したイズマに視線を向け、『群鱗』只野・黒子(p3p008597)はウォーターリーパーの接近を油断なく視認していた。当然、それらが放置されるはずがない、という事実にも。
「うちだって茨くらいだせますからね! しかもこれは結構嫌な感じになる茨ですよ!!」
「ルシェ達がカエルさんを相手すればいいのよね!」
「水に落ちる心配がないなら、怯える必要はないわね!」
 ウテナがリーパーの一体を術式で捕らえると、キルシェは果敢に前進し亡霊の慟哭を撒き散らし、ヴィリスはそれに重ねるように悪意の籠った足取りで不調の種を撒き散らす。数で勝るリーパー、体力と水中戦闘で優位に立つケルピー。何れも油断ならぬ強敵であるが……イズマはリーパーを蹂躙する仲間を一顧だにせず、まっすぐ孤島の縁へと駆けていく。中心から見て5時方向、ややリーパー寄りの位置へと飛び込んだ彼が、岸に近づかぬ者に比べて「どう見えたか」など語るまでもあるまい。
「足場が完全に崩れるまで90秒って激流すぎるだろ! そんな中に飛び込むか普通……ええい! グレイテスト・オブ・オールタイム!!」
 イズマの行動は、事情を知っている者でも驚くもの。状況の危険性を知り、且つ事情を知らなかったミヅハが驚くのも無理はない。が、彼は理解したら動きが早い。即座に彼を追う形で岸まで向かうと、移動を始めたケルピー目掛けて己はここに在りとイチイバルを掲げアピールする。
 波音を立てて動き出したケルピー達を見るイレギュラーズの目は鋭い。その間も飛び跳ねて向かってくるリーパー達も無視できないが……その方向転換を、ヨゾラの放った気糸が遮った。
「糸で切り裂いて、僕等を落とさないカエル肉にしてやる! ……いや、食えるかわからないけど!」
「蛙肉なら食べられそうですが、邪妖はどうなのでしょうね」
 ヨゾラの気糸で足を止めた個体へ呪術をばら撒きつつ、黒子は冷静に(そして事実を重ねるように)呟いた。真面目に返されるのは予想外であったのか、ヨゾラはきょとんとした表情を見せていたが……。


「こっちに来い、ケルピー。食えるものなら食ってみろ」
「そっちに誘導すりゃいいんだな!? 結構ゴチャゴチャすると思うけど……!」
 水中に飛び込んだイズマ目掛け、挑発に耐えきったケルピー達の目が向けられる。リーパー達は目の前の絶好の餌――キルシェらを視界に捉えた以上はそちらを向くもとはない。ミヅハはそんな彼に向かって駆けていき、合流すると振り向きざまに矢の乱射で迎え撃つ。唐突な反撃を受けたケルピーは唸り声を上げ、近寄れぬことを察すと銃弾もかくやという勢いで水鉄砲を叩き込む。十字砲火よろしく乱射されるそれを素早く身を捻って躱すと、その背後を飛び越えるように影が降りる。
「でかしたイズマ、ここは俺が相手だぜ!」
 イズマの周囲を取り囲むように跳ね回るケルピー目掛け、シラスがうち一頭の頭部に手をのばすと、いきおい足を旋回させ次々と蹴り飛ばす。宛らメイアルーア・ジ・コンパッソの如き足技は、その鋭さ故にケルピー達の血を水面に撒き散らす。
「蛙の次は馬ですね。……実に忙しない」
 シラスが飛び退ったあとに降りたのは、黒子の呪術。リーパー達相手に猛威を振るったそれが、ケルピー達の動きを瞬く間に歪め、僅かな行動すらも窮屈なものへと孵る。奇跡ともいえる偶然でそれを耐え抜いた個体もいるが、仲間の失敗に巻き込まれる様相では自由もあったものではない。
「水に落ちないのは助かるけど、それだけで大丈夫な相手でもないわね……」
「でも焼いたら美味しそうですね! ほら焼けたらいい匂い! 夜ご飯に丁度いいですね!!」
 リーパー達へとじわじわと、しかし確実に不調を齎すヴィリスのステップは確実にその効果を発揮しつつあった。最外縁が崩れ落ちるまでに2体程度を仕留められたが、まだまだ数は多い。多対一にはやや不利な戦闘スタイルではあるが、そこは仲間が有能なせいで全くマイナスに転じていない。竜の吐息を僭称して炎の術式をバラ撒くウテナの姿はコミカルでこそあれ、炎の勢いは全くもって可愛くない。彼女しかり、炎に忌憚ない幻想種があまりに多すぎる。
「イズマお兄さん、大丈夫ですか!?」
「なんとか! だからそっちに集中してくれ!」
 キルシェはリーパー達へと攻撃の手を緩めず、しかし彼等の動向もつぶさに観察していた。治癒術を修める彼女でなくば出来ぬ役割がある。それを持つがゆえの義務がある。時間の猶予、有限の体力。一方的に見えたイレギュラーズの攻勢も、数と耐久度の暴力を前にすれば陰りだって見えるというもの。
「糸よ、糸よ……敵を切り裂け!」
「舌でつついてくるなんて汚いですね! 先輩達のところに突き飛ばしてあげますよ!!」
「一体ずつ確実に倒す……だからといって悠長に踊るほど私のステップは温くないわよ!」
 ヨゾラの気糸が通ったあとをウテナの炎が焼き払い、生焼けの様相になった個体の脳天へとヴィリスのステップが突き刺さる。彼女はそのまま軽やかな足取りでもう一体を踏み潰すべく飛び立つ。水をも物ともしないステップは、白鳥のようでもあった。
「ミヅハお兄さん、傷が……!」
「ストップ! ……ここからが俺の本領発揮ってやつだぜ!」
 キルシェは、ケルピー達を引き付けたミヅハの傷がじわりと深さを増していることに気付いていた。故に、何にも優先して治癒を回そうとした。……だが彼はそれを手で制す。
 傷つくことを恐れない。血が抜けて体が軽くなったとばかりに宙を舞った彼は、イチイバルを引き絞ると瞬きのうちに9本の矢を斉射する。
 地面に降り立った彼は、しかし己が立つのが今しがた仕留めたケルピーの背であることに遅れ馳せながら気付くのだった。


「水の上も水の中も、空だって歩けるんだ。この状況で手加減も遠慮も必要ないだろ?」
「全くもって同感です。足場に頼るのは望み薄ですし、選り好みもしていられませんしね」
 イズマは水中と水上、そして空と縦横無尽に駆け回り、仲間を巻き込まぬ位置取りに陣取り次々と魔砲を叩き込んでいく。旋律に乗せて放たれるそれは魔力をごっそり奪っていくが、それも気にならぬ程度には彼も熟達の術師ということだ。
 黒子はここぞとばかりに魔力を変換し、ケルピー目掛け振り下ろし、振り上げる。双つの軌道を描いたそれを、不調と不幸に見舞われたケルピーが避けられる道理もなく、頑丈な肉体がなお引き裂かれていく。水面に轟音を立てて横たわったそれは、しかし次の瞬間、唐突に水中に引きずり込まれて消えていった。
「……おいおい、敵も味方も無しってか?」
 シラスは三連続の蹴りで跳ね飛ばしたケルピーの首ごと巻き付いてきた茨を慌ててはねのけると、水上を跳ねつつ次の個体へと飛びかかる。リーパーは半分を割り込み、ケルピーもあと1体といったところ。効率は上々ながら、時間は無情であったらしい。……それにしたって、この茨だ。
 水上を跳ねていたイズマ達は足をとられ水に引きずり込まれたが、水中での行動は辛うじて支障が無い。これが水中で迎え撃っていたら、そして水中での行動以外の選択肢がなかったら。想像するだに恐ろしい話であった。ヴィリスが一連の茨の暴挙に肝を冷やしたのも無理からぬところだろう。
「良くない茨ですね!! 茨の品格が下がるからやめて欲しいです! 茨の品格ってなんでしょう!!」
「た、多分ウテナさんが使う魔術が品格が高い……のかな!?」
「それは嬉しいですね! でもこの茨に巻き込まれるのは勘弁です!!」
「大丈夫……ルシェが誰も倒れさせない、溺れさせないんだから!!」
 テンポ早く、空中でハイテンションに語りつつ攻撃を続けるウテナの姿は気が抜けるほどの余裕があった。が、それが虚勢混じりであることは同じく冗談めかして返したヨゾラが重々承知している。それでも語ることをやめないウテナは、やはり心根が強い少女なのだろう。その姿に気力を奮い立たせ、仲間への治癒を全力で行使するキルシェもまた同様だ。
「手負いの獣も恐ろしいが、手負いの狩人はもっと恐ろしいことを教えてやるよ!」
「蛙のほうが数がいますね。これ以上あなた達の相手をしている場合じゃないのですが……」
 ミヅハは治癒を受けたことで改めて全力で弓を引き、ケルピーの眼球を貫き沈める。それとほぼ前後して、黒子はウテナ達に群がるリーパーへと呪術を放ち、ダメ押しとばかりに動きを止めにかかった。
 イレギュラーズの勝利がそのまま深緑への道を作ることは明らかな事実、そして茨が現れた目的は言わずもがな、その阻止だ。最後の最後で勢いを増した茨が水中から飛び出し、宙を舞う者達すらも引きずり込もうとその蔦を伸ばすが……。
「残念、俺のゴールが先だ」
 すんでの差で茨を躱し、空中に現れた光に手をかけたシラスが不敵な笑みを漏らす。彼の『全力』はもう尽きている。が、『絶好調』であることは誰の目にも明らかだった。だからこそ、文字通り生き馬の目を貫くような選択ができたのだから。
 フロアを攻略されたことで急激に広がる光の渦に包まれ、茨は四散して何処かへと消えていく。それに伴い、傷ついていた者達は(運命の灯火は取り戻せずとも)急激に傷が癒え、万全の体勢で深緑へと足を踏み入れられる喜びを胸に抱く。
 光の向こうから流れてくる緑の濃ゆい匂い、そして得体のしれぬ不安感。期待と不安、そして使命と敵意を一身に背負い、イレギュラーズはヘイムダリオンをあとにするのだった。

成否

成功

MVP

イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

状態異常

なし

あとがき

 ギリギリ水没しましたが、皆さんはほっっっっとんど水に落ちてません。なんでさ……。

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