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シナリオ詳細

不穏なる影を見て

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●不穏なる影を見て
 天義(聖教国ネメシス)の首都、フォン・ルーベルグより離れた海沿いに存在する独立都市『アドラステイア』。
 下層はスラム街の様な様相を呈しているものの、中層であるここは整然とした街並みが広がり、棲まう人々も食う、寝る等の極々普通な生活を過ごす事が出来ている。
 ……だが、そんな生活の影においては、この様な考えを持つ者も。
『全く……最近、このアドラステイアを訪れる冒険者達の所業は何だ? 我等の邪魔ばかりしおって……』
『ええ。彼等は正義の名の下にこれら行動をしている様ですね……ですが、我等の信じる『ファルマコン』様こそ、絶対の正義。彼等の正義は、決して我等の正義ではありません」
『その通り……しかしこのまま冒険者の者共に粛清を与えず、のさばらせておくわけには行かんだろう……ここらで子供達やらに指示を出し、一網打尽にするのは如何か?』
『ほう……それは面白そうな話だ。子供達に加え、我等の忠実な僕達も伴わさせる事にしよう!』
『宜しい。では今日は解散とする! さぁ……冒険者達を炙り出そうぞ!!』
 それは、中層のどこかで躱された会話。
 その会話の主は誰かは分からないが……少なくとも冒険者達が潜入してきている現状を理解しており、それを排除したいという明確な意思を持った者達。
 ……そして彼等が裏で糸を引く形で、次の日から、アドラステイア中層の一角では家々を回り、冒険者を匿っている者はいないかと言う、裏切り者捜しが始まるのであった。


「あー、もう……またなのですよ……」
 と、ギルド・ローレットにて『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、深い溜息を吐く。
 いつも明るく朗らかな彼女だが、そんな彼女が顔をしかめたり、溜息を吐くなど珍しい……と思ってしまう。
 そして君達が声を掛けると、ユリーカは。
」あ、ちょうどいい所にイレギュラーズの皆さんなのです! あのですね、またアドラステイアで潜入捜査をしている探偵さんの方から、お手紙を頂いたのですが……ちょっと探偵さんでも、裏が取れてない中々難しい状態の依頼らしいのですよ!」
 そう言いながらユリーカが開いた手紙には、今のアドラステイアでおきている現状が記されている。
 そしてその現状の中に、最近アドラステイアの街に住んでいない、外の街から来た冒険者達を探し出して処刑する、という流れがごく一部で起きているという記載。
「探偵さん以外にも、皆さんのお話を聞いている限り、これはアドラステイアで暗躍している『新世界』の者達の手引きによっておきているらしい、というのが分かったのです!」
」この『新世界』の人達は、言わば『ファルマコン』の教えを強く信仰し、叛逆する者には死を与えるのが妥当、と考えて居る人達の集まりの様なのです。イレギュラーズの皆さんの様な外因分子が入り込む事で、その信仰が脅かされる、ならばそれを徹底的に排除すればいい、と考えて居る人達の様なのです!」
「ただ、この『新世界』の人達は余り表舞台に出てくる事は無くて、彼等の手引きによってアドラステイアの子供達……薬とかで他のことを考え無くさせた可哀想な子供達を、ティーチャーの指示の元に動かしている様なのです」
「彼等をこのまま放置しておくと、この探偵さんを初めとして今潜入している人達はとっても動き辛くなって仕舞うのです。まだその流れが小さい内に、皆さんの力で未然に防いで欲しい、って訳なのですよ!!」
 とユリーカは君達に期待の眼差しをギラギラと向け……キミ達が頷くのをうんうんと頷いて。
「本当、ありがとうなのです! それじゃ、どうか宜しくなのです!!」
 と、ぶんぶん手を振り送り出すのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 アドラステイア中層における、『新世界』の者達に手引きされた『冒険者達』の魔女狩り作戦。
 このままだと、アドラステイアの活動もやりにくくなるでしょう……。

 ●成功条件
  アドラステイア中層で冒険者を見つけ次第討滅しようとする、『新世界』の洗脳兵の子供達とティーチャーらを倒すことです。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  アドラステイア中層が舞台です。。
  整然とした街並みの中、新世界の者達により指示を受けたティーチャーが、薬で自我をほぼ失わせている子供(洗脳兵)達と共に、街を巡回しています。
  当然彼等の考えには、中層の人達は表だって反発する事は無く、協力姿勢をとります。
  なので、街中で下手に自分達は冒険者だ、と言えば周りの子供、大人や、アドラステイアの騎士達にも目を付けられてしまい、相手する事にもなりかねませんのでご注意下さい。

 ●討伐目標
  自我を失わせた洗脳兵の子供達
    ただ冒険者達を見つけ、殺す事だけを考えている、薬によって自我を失った子供達です。
    彼等は最早救う事も出来ず、自分が死んでも相手を殺そうという考えの下に動いてきます。
    子供故に体格は小さいですが、その分素早く、ちょこまかと動き回りながら様々な護身用の武器で攻撃を仕掛けてきます。
  
  子供達を指示するティーチャー
    新世界の者達と繋がっているティーチャー達です。
    彼等は、新世界とは繋がっては居ますが下っ端ランクのレベルなので、詳しい情報は尋問されても答えられないでしょう。
    とは言え子供達を利用して、冒険者達を根絶やしにしろという指示は受けていますので、その任務遂行の為には子供達は利用出来る駒位にしか考えてませんので、肉壁にする可能性もあります。
    なので、彼等を倒すには、子供達もしっかりと倒す必要があります。
    
  上記の他、皆様の行動次第でアドラステイアの騎士の子供達が敵となり仕掛けてくる可能性があります。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 不穏なる影を見て完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年03月27日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

志屍 志(p3p000416)
天下無双のくノ一
サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)
神殺し
エクレア(p3p009016)
影の女

リプレイ

●不穏なるアドラステイアの影
 天義、フォン・ルーベルグより海沿いに離れし独立都市『アドラステイア』。
 各層毎に隔てられた街並みは、棲まう人々に言いも知れぬ威圧感を、常に与えてくる。
 そして……その威圧感に加えて、このアドラステイアで暗躍するのは『新世界』という組織に所属する者達。
 彼等の目的は、このアドラステイアで活動する、外部から訪れし招かねざる『冒険者達』を排除する事……そしてその旨手紙で連絡を受けたイレギュラーズ達。
「ふむ……噂には聞いていたが、ここ、独立都市『アドラステイア』の内情は、かなり闇が深そうだね」
 と、どこか嬉しそうな『影の女』エクレア(p3p009016)の言葉。
 彼女の言葉にこくりと『うそつき』リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)が。
「うん……アドラステイアのやみ……すごいひどい。こどもたちをイコルでかえるばかりか、せんのうしたこどもたちをりようする……ぜったいに、許せないよ……」
 と悲しげに呟くと、それに『純白の聖乙女』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)も。
「そうだね。薬を使って操り人形にするなんて……そんな酷い事を平気でするなんて許せないよ!」
 と呼応するように、苦しみを叫ぶ。
 二人が言う通り、今回の『新世界』の者達は、配下に並ぶティーチャーに指示を与えて冒険者達を炙り出そうとしている。
 それもただ単に捜索する訳では無く……薬やら何やらで自我を失わせた子供達を尖兵として利用していたのだ。
「……子供の自我を殺し、武器や護衛として扱う、そういうものをひとでなしと私は認識しています。忍びの里の師達と同じ。個人的に存在を許す道理はありません」
「そうだな。子供らを食い物にする連中を、叩き潰してしまいたい、というのに……そんなマリア達を殺すのに、子供らが使い潰される。全く以て、ままならない、な」
「ああ。普段のアドラステイア絡みの仕事ならば、子供達を無力化して連れ帰る所なんだが……今回は難しいな。魂が壊れてしまったなら、安らかな死を与えるしか救う道は無いのだろうか……」
 『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)、『金色の首領』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)、『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)が溜息を吐く。
 とは言え……このような事件が起きてしまったのは避ける事が出来ない事実。
 そして、それらの全ての原因は……彼等が信じる神『ファルマコン』を信じない者を拒絶しているのを、受け入れられないから故の事。
「……神様ってやつに試されてる気がしたんだよな。俺はいつか、アネモネの悪行を止めなければならない。だが、天義の悪を暴くって言うのは綺麗事だけじゃ為せない事だ。清濁併せ呑む覚悟が必要。罪無き子供に、死を以て安らぎを与える事も……誰かがやらなければいけないのなら、この手でするしかない……!」
 と『鳥籠の画家』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)はぐっと拳を握りしめる。
 それに瑠璃が。
「ええ。その上で彼等を排除する事が出来れば、冒険者の方々がもう暫く潜入を続けられるのですから、仕事にも身も入ろうというものです」
 と、一際強い口調で声を上げると、それにエクスマリア、スティアも。
「そうだな。止まる訳にはいかない、が……報いは、与える。必ず、だ」
「今は後手に回って対応するしかないけれど、いつか非道な行いを止めて見せる!」
 そんな仲間達の決意を耳にしたエクレアは
「……ふ、ふふふふふ。面白い。興味が尽きなさそうだ。まぁ……ともあれ、今回は捜索部隊を潰すことが優先。後衛の支援は任せて存分に暴れ給えよ、盟友諸君」
 と言うと、サンディが。
「ああ、思いっきり暴れてやるさ! 今回は……とりあえず、ティーチャーの居所を掴む! 巡回ルートを掴む! からの、巡回ルートで待ち伏せて撃破! って所だな。取りあえず中層に辿り着かなきゃならない訳だが……手形とかは誰かが用意してたか?」
 『横紙破り』サンディ・カルタ(p3p000438)が確認する様に問うと、ベルナルドが。
「俺が準備してきた。後は馬車もな。取りあえずこれで、緊急避難の対策もバッチリだろうさ」
「了解……皆も準備は良いか? なら……始めるとするか!」
 サンディが皆に確認するように問い、頷くイレギュラーズ。
 そして……イレギュラーズ達は、アドラステイア中層へと潜り込むのであった。

●中層の巡回者
 そして、ベルナルドの中層通行手形を利用してアドラステイア中層へと潜り込んだイレギュラーズ。
 下層のスラム街の様相とは違い、整然とした街並みは……この中層に棲まう人々が、ある程度裕福な生活をしているのが良く判る。
「さて、と……それじゃ、目立たないようにしないとな」
 と言うモカの服装は、このアドラステイア中層の大人達が着ている、極々ありふれた服装。
 外から来た者と判る姿をすれば、早々に『新世界』の者達には発見して貰える事は間違いない。
 ただ、下手に見つかれば、新世界に繋がるティーチャーや、洗脳された子供達に加え……中層で普通に行き交うアドラステイアの騎士の子供達ですら戦列に加わってしまう。
 だからこそ住民を装うことで、必要以上の戦闘を避けようと言うのが今回の作戦。
 勿論……それだけでは、件のティーチャー達を見つける事は難しい。
 町の人に紛れ込みつつ、イレギュラーズ達は……息を潜めて暫し生活を装う。
 すると……。
『……そこの者! 止まれ!』
 威圧的な口調で呼び止めるのは……齢40代位の壮齢の男性。
 この辺りに棲まう人達と同様の服装に身を包んでいるが……その周りには、ウウ、ウウ……と低く呻きながら、後を吐いていく少年達の姿。
「……ん? 私に何か御用かな?」
『お前……見ない顔だな? どこから来た?』
「見ない顔、と言われても……私はこの街に昔から住んでいますよ?」
『むぅ……そうか。お前は、この辺りで、他に不審者を見かけなかったか? そうだな……この街の者で無い者とかな』
「そうだな……記憶にないな」
『ふむ……判った。ただ、不審者を見つけたら、すぐに連絡を上げる事! 最近この中層に、『冒険者』とかいう輩達が紛れ込んでいる様だ。奴らは『ファルマコン』を信じぬ不届き者の集まり……必ずや殺さねばならん!』
「そうか、判った……お努め、ご苦労様」
 とモカと短く会話を躱し、彼等は離れる。
 ……そして、仲間達に合図を飛ばしつつ、モカは見つからないように離れた所から、彼等を追跡。
 アドラステイア中層の街の一角を、順々に巡回していく彼等……当然、他の仲間達の下にも巡回が回り、疑われつつも解放されて、また次の家へ。
 自然にイレギュラーズ達も段々と合流していき……時間を掛けて彼等の巡回するコースを割り出していく。
 そして、その地図を元にサンディが立地条件を含めて指し示したのは……中層の街中での、一番端の辺り。
 人家は周りにはそんなに多く無い……勿論戦えば被害は免れないだろうが、最小限に収められそうな場所。
「ここだね……了解。そしたら、明日に襲撃をするとしましょう」
 スティアに頷くイレギュラーズ達。
 そして次の日になり……更にファミリアー達も伴い空からつぶさに彼等の動きを観察し、皆に共有。
 定めた待ち伏せ場所へと彼等が足を踏み入れた……その瞬間。
「……みんな、いくよ」
 とリュコスの号令一下、一斉にイレギュラーズ達は差し掛かったティーチャーと洗脳兵の子供達を取り囲む。
『……む? お前達……冒険者だな!?』
『ウウゥ……ボウ、ケンシャァ……殺ス、殺スゥゥ……』
 ティーチャーの言葉に、周りの洗脳兵達は恨み辛みが籠もった声を上げる。
 しかし、そんなティーチャー達に対しエクレアが。
「ミイラ取りがミイラになる、と……この言葉、知ってるかね?」
 不敵な笑みを浮かべた彼女に、ティーチャーは。
『なんだと!? その言葉、お前達にそっくりそのまま返してやる! 子供達よ、コイツ等を殺せ、今すぐにだ!!』
『ワカッタァ……コロス、コロス……ゥ!』
 洗脳兵の子供達は、目を血走らせると共に、咆哮を上げて次々とイレギュラーズ達の下へと掛けて行く。
 そんな洗脳兵達の動きに対し、真っ先に正対するのはモカ。
「こちらの世界に来てからは初めてだな。人を殺すのは、もう殺しはしないつもりだったのだがな……」
 と悲しげに呟きつつ、攻撃してきた洗脳兵へ反撃の一閃。
 ただその攻撃は、殺さない様に細心の注意を払いながらの一撃……万が一にでも、彼等を助ける事が出来るのなら、の思いを抱いた上での行動。
 しかし洗脳兵達は、モカの反撃に対し容赦無く追撃の猛攻。
『シネ……コロセェェ……!!』
 その言葉には正気の影は全く見らない……そんな状態。
 そしてモカが洗脳兵達を惹きつけて居る間に、他のイレギュラーズ達は、ティーチャーに回り込んで攻撃しようとする……だが。
『クソどもが! こいつらは必ず殺さねばなるまい……!!』
 怒りに振るえたティーチャーは、自分の身を守るが為に洗脳兵達の間に割込み、子供達に前後を護らせる。
「そこまで……こどもたちをりようして……ほんとうに……ひどい、ゆるせない……」
 とリュコスが怒りに震えるが、ティーチャーはそんなのいざ知らず。
『お前達! 絶対に私には近づかせるんじゃないぞ! お前達は死んでも良い!! 勿論、こいつらを殺すのも忘れるな!!』
 との言葉を吐き捨てる。
 そんなティーチャーに向けて、リュコスは踏み込み足蹴からの死を与える攻撃を仕掛けようとする……が、洗脳兵達に阻まれる。
「じゃま、しないでっ……」
 と辛そうに叫びながら、リュコスは手を変え周囲を乱れ打つ乱撃で攻撃する。
 そして、ティーチャーの極悪非道な言葉にベルナルドは遮るように大きな声で。
「どんなに未来がなくたって、殺められていい子供の命なんて無ぇさ。判って居るから俺は君達を忘れない。その罪の十字を背負ってでも、前へと進んでやるさ、アドラステイアを潰す為に!」
『アドラステイアを潰す、だと! その様な事、させる訳にはいかぬ!!』
 敏感に反応するティーチャー。
 とはいえ、そんなティーチャーを護る洗脳兵達を倒さない事には、ティーチャーを倒す事は出来ないのは間違いない。
「仕方ありませんね……ちょっと痛いかもしれませんが、やるしかありません」
 と瑠璃は一旦瞑目して意識を切り替える。
 そして、子供達の攻撃を左へ右へと交わしつつ、攻撃後の隙をついて、虹の如く煌めく雲を彼等の周りに展開し、不殺、かつ痺れを満たす攻撃を行う。
 更にスティアは、神聖たる光に包み込む事で更なる不殺のダメージを積み重ねる。
 続くサンディは、洗脳兵達への反撃効果を活かして攻撃を行い、ベルナルドはノーモーションから放つ、敵を弾き飛ばす衝術で押せ押せとしかけてくる洗脳兵達の流れを押し返していく。
 加えてエクスマリアからは、魅了の歌を奏でて敵を魅了する事で、狂気に狂う子供達の動きを一人でも多く減らすように動く。
 そう、仲間達が次々と攻撃をしていく一方で、エクレアは敢えて攻撃せず、仲間達の体力の回復だけに注力。
 そんなイレギュラーズ達の洗練された動きは、新世界の下っ端であるティーチャーには予想外だった様で。
『な、なんだと? 中層に、こんな強い奴らが紛れ込んでいたというのか!?』
 と驚愕の表情を浮かべる。
 そんな驚きのティーチャーに、瑠璃が。
「所詮あなたは、新世界の者達に、有無を言わさずに冒険者を殺してこい、とか言われたのでしょう? でも残念ね……貴方達の様な下っ端に負ける様な弱い私達じゃないのよ」
 と冷たくこきおろす。
『ぐ、ぐぬぬぬ……!! 煩い、煩いっ!! お前達、速く殺せ、殺せ、殺すのだ!!』
 痛い所を突かれたのか……躍起になって叫ぶティーチャー。
 そんなティーチャーの指示に従順に従い、洗脳兵の子供達はイレギュラーズ達を殺しに動く。
「子供達を殺したく無いという仲間の声も判る。だが……マリアに向かってくる限りは、容赦は出来ない。救えぬなら、せめて苦しまぬ内に、ひと思いに、だ」
 と、洗脳兵達の動きに、辛辣に言葉を紡ぐエクスマリア。
 現に、不殺で倒した子供達は再び目を覚ます事は無く、気絶したままの仮死状態。
「そう、だね……卑劣な大人に利用された無垢なる魂よ、安らかに眠れ。絶対にアドラステイアは滅ぼす!」
 とモカは、纏わり付く洗脳兵らに、スズメバチが如くの乱舞脚で次々と襲撃。
 その頸椎に蹴りを流れる様に食らわせていく事で……ひと思いに倒して行く。
 そして……全ての洗脳兵達を倒し、肉壁もなくなり、残るはティーチャーのみ。
 当然前後共に封鎖され、逃げ道もない状態で、満足な攻撃手段もない彼に。
「残念……逃がさないよ、特に君はね」
 とエクレアが宣告すると共に、その精神に干渉して狂気を誘い……そして。
「それでは、長引かせずに終わらせましょう……遺言なら、後で幾らでも、ね」
 瑠璃の死の宣告と共に、放たれる精神力の弾丸。
 それにティーチャーは、発狂の中に死を迎えるのであった。

●影を討つべく
 ……そして、ティーチャーと洗脳兵達を倒したイレギュラーズ達。
「……おわったみたい……だね」
 と息を吐きながら、倒れた者達から死線を外すリュコス。
 洗脳された子供達と、それを扇動するティーチャー。
 どちらも救えることはないとは理解していたし、それが正しい事であるのは理解為ていたのだが……どうしても、それを受け入れる事が出来ない。
 そんなリュコスの心の機微を認識為たのか、スティアは不殺で昏睡状態のままの子供達の身を抱き上げ、一人一人……状況を確認。
 うっすらと呼吸はあるし、眠って居るだけのようにも見える。
 しかし……彼等が目を覚ます事は無い。
 残念ながら、他の子供達はウウ、うう、と呻き声を上げ続けているばかり。
 だが……そんな子供達の中、呻く事無く呼吸を重ねている子供が、一人。
「……この子は、洗脳度合いはそこまで高く無さそうかな。この子だけでも連れ帰って……どうにか出来ないか、探してみようか」
 とスティアの言葉に、リュコスは。
「え……? あ、うん……そうだね。たすけられるのなら……どうにかしたい。ぼくも、手伝わせて」
 と自分から手を上げ、少年を背負う。
 自分よりも、ちょっと幼げな体格の少年故、どうにか背負う。
 そして。
「さて……余り長居していると、別の者達がやって来るやもしれん。急いで離れるべきかと思うが」
 とエクスマリアが言うと、瑠璃は。
「そうね……本当は、こいつに話を持ってきた新世界に繋がるのの尻尾を掴みたかった所ですが……仕方ありません」
「ああ……まぁ、続けていればいつかは機会があるだろうさ……新世界の者達と直接正対する時が、な」
 と二人頷き合い……そしてイレギュラーズ達は骸を簡単ではあるが埋葬し弔いを捧げ……その場を早々に後にするのであった。

成否

成功

MVP

リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)
神殺し

状態異常

なし

あとがき

アドラステイア依頼に参加頂き、ありがとうございました!
苦しむ洗脳兵の子供達と、それを利用する『新世界』の者達という、アドラステイアの暗部が如実に出てきた依頼ですが……これで一歩ずつ確実に進められていく事でしょう。

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