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シナリオ詳細

再現性東京202X:救いを求める光明を求め

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性東京202X:救いを求める光明を求め
「……はぁ……」
 息を吐くのは……小学校3年生位の子供達。
 練達の一区画『再現性東京』は、極々普通で、平和な日常が繰り広げられている場所……だった。
 今となってはその見る影もなく、倒壊したビルやアパート、そして……学校などが、死屍累々な形になって立ち並んでいる。
 そんな悲劇に見舞われた再現性東京だが、子供達は子供達で変わらず生きている。
 だが……彼等の憂鬱な溜息は、それだけを憂いた物ではなかった。
「あいつ……元気にしてるのかな……」
「ああ……連絡取れなくなったもんな。いつもは遊びに行くときに、おれがおれがって言う様なヤツだったのにさ……」
 生き延びた彼等は、この悲劇が襲う前までに良く訪れていた、小高い山の上でぼやく。
 ……連絡が取れなくなった彼は、恐らく……その戦災に巻き込まれてしまったのだろう。
 連絡が取れなくなって、そう……朧気に感じているのと同時に、それを信じたくないという気持ちも押し寄せる。
 そして、暫しの静寂がその空間を包んだ後。
「……なぁ。あの時さ……俺達を守ってくれた、すっげー人達がいいたじゃん? あの人達に御願いすればさ……見つけてくれるんじゃね?」
 ひらめいた、とばかりに声を上げた少年に、周りの三人の子供達もはっ、とした表情を浮かべる。
「そうだな! ……でも、連絡先とかも知らないしさ……こんな世界じゃ、一緒にしんじゃったかも……」
「……いや、ぜったい生きてるって! だって、俺達を助けてくれた強い人だもん!! そうだ……あの時のお寺に行けば、また会えるんじゃ無いかな!?」
「そ……そうだよな! うん……きっと、会えるよな!!」
 この様な状況だからこそ、誰かに救いを求めたいというのはあるのだろう。
 そして子供達は……あの時恐怖の目にあった廃寺へ。
 戦災の結果か、お寺自体もほぼ跡形も無く、荒れ果てた状態。
「……ほ、本当に……来るのかなぁ……」
「し、し、しんじろって……!!」
 恐怖に身を強ばらせながら、お寺を進む子供達。
 ……そんな子供達に向けて……低く呻き声が上がる。
「「ひ、ひっ!?」」
 悲鳴が折り重なると共に……その悲鳴を聞いた『何か』は、地面を蹴って子供達に向けて駆けた。


「みんなー! ちょっとこっちこっちに来てー!!」
 カフェ・ローレットでぶんぶんと手を振るのは、綾敷・なじみ。
 彼女が人を集めているという事は、妖怪絡みの人助け事件だろう……と思いつつ、彼女に声を掛けられ集められた君達。
 そしてなじみの横には、『激情の踊り子』ヒィロ=エヒト(p3p002503)が、ちょっとだけ厳しい表情を浮かべて立っていた。
「今回ヒィロさんから、以前の話を聞いてたんだよね。勿論、この災禍が起きる前の話なんだけどね?」
「そうなんだ。その時に助けた小学生の子供がいたんだけど……あの時の子供達は今頃どうしているのかな、ってね」
「みんなも知っての通り、再現性東京はジャバーウォックの襲来で大きな被害が出てしまったんだよね……そんな戦災を生き延びた人達が頑張って生きてるんだけど、こういった少年達もまた生き延びているんだよ!」
「でも……何だろう。確信ではないんだけど、あの子達が何だか困っている様な気配を感じたんだ。これがただの悪寒であればいいんだけどさ……子供達が危険な目にあってたら、どうにかして助けてあげたいって思ったんだ。雲を持つ噛むような感じで申し訳ないんだけど……手伝って貰えないかな?」
 頭を下げるヒィロに、なじみも。
「うんうん。これが杞憂であればいいんだけどさ、事件が起きてからじゃ遅いからね! という訳でみんな、宜しく頼むね!!」
 と、イレギュラーズ達の背中を力強く叩くのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 再現性東京依頼……子供達に更なる悲劇を起こさない為にも、皆様のお力を貸して下さい。

 ●成功条件
  小学三年生の子供達4人を保護し、襲い来る夜妖達を倒す事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  前回少年達を救出した廃寺が今回も舞台です。
  とは言え戦災に見舞われ、ボロボロでも建っていた廃社は最早見る影もありません。
  また戦災の結果、周りの木々もかなり薙ぎ倒されており、前よりは視界はいいものの、足場が極悪になっています。
  又、時間は深夜の刻になりますし、少年達は突然の襲撃に驚き慌てふためいている状態です。
  彼等を落ちつかせるような事をしないと、恐怖のままに逃げ回ってしまい、それで被害拡大なんて羽目にもなりかねないので、ご注意下さい。

 ●討伐目標
  漆黒の獅子夜妖『血濡れ獅牙』
   ライオンの様な姿形を象った、漆黒の身体をした夜妖です。
   当然暗闇の中ではその姿は見辛いですが、口元の牙は暗闇の中でも鈍く煌めくので、それが頼りになるかもしれません。
   勿論彼の武器は、その鋭い牙……首元に噛みつき、一般人にとっては致命傷、皆様にとってもかなりの大ダメージとバッドステータスを与える攻撃が軸となります。
   それに加え、四肢の獅子なのでとても動きが素早く、荒れた足場を物ともせずに戦場を駆け回りますので、翻弄されない様にご注意下さい。
 
 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 再現性東京202X:救いを求める光明を求め完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年03月26日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)
炎の守護者
ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃
美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
山本 雄斗(p3p009723)
命を抱いて
暁 無黒(p3p009772)
No.696
イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)
生来必殺
ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)
ラッキージュート
荒御鋒・陵鳴(p3p010418)
アラミサキ

リプレイ

●繰り返される救いの声
 錬達の一区画に広がる、再現性東京。
 極々平穏な日常が繰り広げられていた筈なのに……今となっては見る影もない。
 倒壊したビルやアパート、学校などの建物に加え、横転した車等など……日常はもはや異常な光景へと変わってしまう。
 そんな異常な空間に棲まう人々の心もまた……それに大きな影響を受けていて。
「うん……子供達はこんな厳しい環境の中でも、頑張って生きているんだ……」
 と、『激情の踊り子』ヒィロ=エヒト(p3p002503)が複雑な表情を浮かべると、更に『あの虹を見よ』美咲・マクスウェル(p3p005192)と『炎の守護者』チャロロ・コレシピ・アシタ(p3p000188)も。
「こういうの、よく察知でき……る人もいるか」
「うん。錬達では災難が続いたもん。だからやっぱり友達のこととか心配になるよね。それでも夜妖達は容赦してくれない……か」
「そうだね。危険な夜妖だっていうなら、そうなのよね。それこそ再現性東京じゃ、秘匿されてる神秘ってやつなんだろうけれど」
 そう言う二人の言葉に、ヒィロは更に。
「うん。そんな秘匿されている夜妖に襲われ頃は、再現性東京がこんな状態になるだなんて思ってなかったんだ。その時の子供達が夜妖達に襲われたけど……頑張って耐えてくれた。そんな子供達が、ボク達に救いを求めているような気がしたんだよね」
 そんなヒィロの言葉に『ラッキージュート』ジュート=ラッキーバレット(p3p010359)は。
「確かに……こんな世知辛い世の中になっちまって、心細くなるのは当然だ。それで何かに頼りたくなるって気持ちってのは分かるぜ。俺も人生、生きるか死ぬかをコイントスで決めた事があるからな」
 ヒュー、と口笛を吹くジュートに、『アラミサキ』荒御鋒・陵鳴(p3p010418)が。
「ああ。更に暫く会えていない友の事……友の無事を願い、自ら動くその志は立派だ。だが……既に刻も遅い。子等が彷徨くには些か遅い時刻だ。何より時期も場所も悪い。この不安定な世に帰りを待つ親の心を思えば感心はせんな」
 と言うと、『含牙戴角』イルマ・クリムヒルト・リヒテンベルガー(p3p010125)も。
「ああ。この夜妖、子供を狙うしか能が無いわけじゃないだろうが、この程度で粋がっている雑種ごときなど、跡形もなく粉砕してくれよう」
 と辛辣かつ、強い口調で気を込める、そしてチャロロも。
「そうだね。とにかく子供たちを助けなきゃね!」
 と言うと共に、なじみに言い渡された廃神社への階段を上りきるイレギュラーズ。
 ……と、丁度その瞬間。
『う、うわーー!! や、やめろっ、来るな、くるなぁあああ!!』
 静寂に包まれた廃神社に響きわたる、甲高い悲鳴。
 その悲鳴に聞き覚えがあるのは、前の依頼に参加したヒィロと美咲。
「この声……あの子達……あそこだよ!」
「うん……あの子達だ!」
 見覚えのある子供達が鳴き叫ぶ姿に、一気に緊張高まるイレギュラーズ。
 そして『No.696』暁 無黒(p3p009772)と『故郷の空を守れ』山本 雄斗(p3p009723)の二人も。
「駆けつけたらいきなりピンチっすね!」
「うん、半信半疑だったけど、本当に子供達がピンチだ。なじみさんの勘凄い……って、そんなこと言ってる場合じゃなかった!」
「あの子達、どうやら恐怖で動けなくなっているみたいっすね。ならまずは救助っす!!」
「うん、夜妖から守らなきゃ!!」
 そしてチャロロが。
「子供達を助けなきゃ……みんな、急いで!!」
 と叫び声を上げると共に、即座に臨戦態勢を取るのであった。

●闇の帳
『や、やめろぉぉ……く、くるなよぉぉぉぉ……!! う、ううわぁああん……!!』
 なきじゃくりながら、その場に座り込んでいる子供達。
 そんな子供達の悲鳴を聞いてかは分からないが……明らかに目前の夜妖は子供らをターゲットしているのは間違い無い。
「あーもうやっぱり! 間に合えぇぇえ!!」
 ととるものとらずして、地表スレスレに浮遊し足場の悪さを物ともせずに高速で子供達の下へと飛行するヒィロ。
 夜妖との間に割り込めば、すぐに己の身体を光らせて辺り一面を光に包むと共に、子供達にニコッ、と微笑んで。
「やぁやぁ少年達、久しぶり!」
 笑顔で笑い掛けるヒィロの声……子供達は、過去の記憶を呼び起こされて。
『うう……あ、あれ……あのときの……おねー、ちゃん……?』
「そうだよ! 何でまたこんなとこにいるのかわからないけど……あれを倒した後で、ちょこーっとお説教……OHANASHIが必要かな? かな! くすっ!」
 イタズラっぽく笑うヒィロの声に、本当に助けに来てくれた、と言う嬉しさを滲ませる子供達。
 ……とは言え、目前の夜妖は消える事無く、ウウウ、と唸り声を上げてヒィロを威嚇している状態。
 そして先行したヒィロに続き、他の仲間達も子供達の近くへと到着。
「久しぶり。一年ぶりくらい? 約束、ちゃんと守ってくれてたみたいね?」
 と聞き覚えのある美咲の言葉に、涙は流しつつも顔を明るくさせる少年達。
「深夜にここに来た理由……あるんだよね?」
 と美咲は子供達に向けて一言加えると、あ、うん……と少し辛そうに頷く。
『あの、あのね……あの時一緒に居た、ともだちが……いなくなっちゃったの……』
 悲しげな言葉に、美咲はそう、と頷く。
 そんな子供達の肩を励ます様に叩きながら、陵鳴と無黒が。
「ふむ……其処な少年、友を思う勇気、実に見事。だが、使い所を違えるなよ? 助け呼ぶ所に特異運命座標在り。鬼を払うのはオレ達の仕事でね?」
「そうそう。もう大丈夫だ! だから後は俺達に任せて、安全な所まで下がれ!」
 華麗に、かつ彼等を言い聞かせるように言葉を連ねる二人……それに夜妖が。
『ガルゥゥウ……!!』
 更なる咆哮を上げ、邪魔なるイレギュラーズ達へ先手の一撃を嗾ける。
 だが、その攻撃に。
「フォーム、チェンジ! 暴風!」
 とヒーロースーツに身を包んだ雄斗がどこからともなく現れ、渾身の蹴撃を一発食らわせると、更にジュートも加わり。
「ああ、ラッキーキッズども! 俺達が来たからにはもう大丈夫じゃん? ほら、特異運命座標のお出ましだぜ!!」
「そうだぜ! 僕達があいつをバシッ! と倒しちゃうから、そこのイケボな無黒に従って避難するんだ!」
 と力強い言霊で、少年達を不思議な高揚感で包み込んで安心させながら、無黒に引き継ぐ。
「わ、分かった……!!」
「ああ、こっちだ!」
 そして無黒について、その場から避難していく無黒。
 ……夜妖は追い立てようとするが、雄斗、ジュート、更にイルマに前方三方を抑えられてしまい、追いかける事が出来ない。
『グガァァァ……!!』
 獰猛な咆哮で威嚇する夜妖達だが、チャロロは涼しい顔を維持したまま。
「みんなの事は、オイラたちがぜったい守ってやる!」
 と防御を固め、子供達を守るべく盾を構える。
『グガァ……!!』
 対しの夜妖は怒りの咆哮と共に立ち塞がるイレギュラーズを突破しようと、地面を蹴って鋭い爪を振り薙いでいく。
 ヒィロが光を照らしてくれているのもあり、漆黒の身体の夜妖の動きは判別しやすい状態。
 とは言えライオンの如き素早い獅子の動きは、一歩間違えばすぐに突破されてしまいかねない。
 また、光を放つヒィロが邪魔だとばかりに、夜妖達の攻撃の半数以上はヒィロと、ヒィロへの路を切り拓く為に費やされる。
 勿論、そんな夜妖らの動きを見越した雄斗が。
「させるかっ!」
 背中に背負ったジェットパックを噴射させ、素早い夜妖を追跡……その脚を狙った遠距離からの狙撃を撃ちこみ、その足元を凍結させて回避力を低下させ動きを制限。
 そして動きを制限された夜妖に陵鳴が近接し。
「ほれ、遊び相手なら此処に。弱気を弄ぶのでは手応えがなかろう?」
 そんな陵鳴の言葉に夜妖は唸りで返してくる。
 というよりは、食うのを邪魔されたイレギュラーズは、全てくらい尽くしてやる……とばかりの怒りが孕んでいる様な、そんな気もする。
「全く……夜妖とは言えど、その本質はエサを取り上げられて怒ってるだけか?」
 イルマは夜妖にそう吐き捨てながら、更に。
「とはいえ、わざわざ廃墟を戦場に選ぶとは少しばかり知恵は回るようだ。だが……この程度の障害ならいくらでも対策の立てようがある。イレギュラーズの能力を舐めないことだ」
 怜悧な言葉の刃と共に、迅速な抜き撃ちで相手の弱点を貫いていく。
 続いて美咲とヒィロの二人が。
「闇に黒とか、コソコソと……小賢しいっての!」
「そうだね! 美咲さん、あいつの動きを下げて貰えるかな?」
「うん、分かった!」
 息のあった二人の連携が、夜妖一体を確実に狙いを定めて……脚、腕などに一撃を食らわせ、その動きを制限した所にヒィロの怒濤の如き一撃を更に叩き込んで行く事で、ダメージを更に積み重ねる。
 更にはジュートは、仲間達から一歩に歩離れた所で全体を俯瞰……怒り等のターゲッティングが上手く言っていない相手に攻撃し、惹きつける為に虹色の軌跡を残す小さな星を降り注がせて、怒りを付与。
 無論、敵の攻撃を惹きつければ相手の牙がその身を裂く事になる訳で……夜妖の一撃はかなり痛い。
 しかしジュートは。
「多少痛くても、子供達には指一本ふれさせねー! ラッキージュートに関わる人は、皆ラッキーにしてやるんだ!!」
 と並々ならぬ思いを口にして、ジュートは決して夜妖を先へは通さない。
 そんなイレギュラーズ達の進路妨害に、獣たる夜妖達は満足に子供達に牙を向けることは出来ない。
『グガァ……! グルゥ!!』
 怒りに震える咆哮を上げ続ける夜妖……それを一匹ずつ、確実に仕留めて行くイレギュラーズ。
 イレギュラーズ達が間に割込んで数分の後、子供達を避難させていた無黒も合流。
「本当、足場は最悪っすね……みんな転ばないように注意っすよ!」
「ああ!」
 無黒に雄斗が頷きつつ、雄斗は更に凍結を付けて回り、無黒は雷撃で感電させる。
 鈍った奴らから一匹ずつ、確実に集中攻撃。
 光を纏う作戦もあり、夜妖は確実に数を減らして行く……そして、数十分の後。
『グゥゥ……』
 瞬く間に残るは手負いの一匹のみ。
 そんな最後の一匹に、ヒィロが。
「よーっし、最後の一匹、一気に攻めていくよー! 美咲さん、準備はいい!?」
「うん!」
 頷く美咲……そして、先んじるはヒィロ。
「これで終わりだー! 美咲さん、御願い!!」
 とヒィロは怒濤の攻撃を行い、敵に恍惚を付与する……そして。
「虹の光って結構太陽なわけよ……ちょっと遅い夜明けを喰らえ!」
 と美咲が放つは紅鏡の魔眼。
 その魔眼に縛られた夜妖は……獰猛なる悲鳴と共に大きな傷を斬り裂かれ、咆哮と共に崩れ墜ちるのであった。

●夜妖と、異能と
 そして……イレギュラーズ達はどうにか夜妖を仕留める。
 煙のように姿を消した夜妖達は、最早跡形もなく消え失せており、この廃神社に残っているのはイレギュラーズと……あの子供達。
『う……うぅぅ……』
 しゃくり上げるように涙を零す子供達だが……怖さ半分ながら、あの時助けてくれたイレギュラーズと再び会えたことに対する嬉しさも半分位ある。
 とは言え、再び夜妖に遭遇した事の怖さは何よりも大きかったのは、その鳴き様から見れば明らか。
 そんな子供達に笑顔を浮かべて。
「いや~……君達、マジで危なかったっすね~。情報屋のお姉ちゃんが気に掛けて依頼を出してくれてなかったら、本当に死んでたっすよ~?」
 と、彼等を気負わせない様に声を掛ける。
 ただ、子供達は情報屋、と言われても良く分からない所……その恐怖の前に、えぐ、えぐ……と涙を零し続ける事が精一杯の状態。
 そんな子供達の肩を軽く叩くのはヒィロと美咲。
「大丈夫? ほら……約束通り、助けに来たよ?」
『う……うう……あ、あの時の……お、ねえちゃん……だぁ……』
 あの時助けてくれた人、というのは子供達の記憶に刻まれている様で……泣きじゃくりながらも、どこか嬉しそう。
 でも、そんな子供達にヒィロは笑顔を見せながら。
「さてさてさて……助かったのはいいんだけど、キミ達はなんでまたこんなとこに来たのかな? おねーさん怒らないから、言ってごらん?」
 と声を掛けると、子供達は。
『うう……あ、あの……ね……ぼくたちの、ともだちが……れんらく、とれなく……なっちゃったの……なんども、れんらくしても……つながらなくて……あのとき、たすけてくれた……おねえちゃんたちなら……たすけて、くれるかも……って……』
 泣きじゃくりつつも、自分達の意思を伝えようと頑張る子供達。
 そんな子供達の言葉に、陵鳴が。
「……連絡が、着かない……か。それは何時の頃からだ? 名前とか、教えて貰えるか?』
「う……うん……かけるくん……と……つむぎちゃん……」
「そうか……分かった。すぐにその子達の行方については調べるとしよう」
『う、うん……あり、がとう……』
 頭を下げる子供達……そして美咲からも。
「お友達と突然連絡取れなくなって、探したくなる気持ちは分かるよ。けど……今回みたいのはもうダメよ? またこんな危ない目に遭うのはイヤでしょ?」
『う、うん……ごめん、なさい……』
 ぺこりと頭を下げる子供達にうんうんと頷きながら、美咲は子供達の手を引き、連れていく。
 そこには、ヒィロらが話していた間に創っておいた焚き火が燃えていて。
「これで、暖まろう? そして……もうちょっと詳しい話を聞かせてくれる?」
 と美咲の言葉に雄斗も。
「そうだね。僕でよかったら力になるし。これ……僕の番号だよ?」
 と自分のaPhoneの電話番号をメモに記載して渡す。
『え……えっと……いい、の……?」
 と首を傾る子供達。
 それにジュートが。
「んー……こうして俺達の事を捜しに来て危険な目に遭うなら、なじみちゃんを通じて連絡をよこせる様にできねーのかな? それにさ……行方不明になった子の事、やっぱ俺も諦めらんねーしよ」
 と言うと、チャロロはそれに頷いて。
「そうだね……カフェ・ローレットの電話番号は、お店だからまぁ……大丈夫だと思う。えーっと……これだこれだ」
 とチャロロもaPhoneからカフェ・ローレットの電話番号を検索し、メモに書いて子供達に渡す。
「この電話番号のお店なら、私達も良く居るお店だから、ここに電話してくれてもいいからね?」
 そうチャロロはいいながら、子供達に視線を合わせながら。
「色々な事件が起こって、辛い所があるかもしれないけど……でも、こんな状況の中でもきみたちは生きていけてるんだ。だから……頑張って生きるべきなんじゃないかな?」
 と言うと、それに無黒が。
「そうっすね。現実っていうのはそう都合良く回るものじゃないっすから。色々失敗するのは良いっすけど、こういった失敗を活かしていくっす。そうすれば、長生き出来るっすよ!」
 子供達を励ますように、背中をポンと叩く。
 ……そんなイレギュラーズ達の様々な声と励ましに……子供達は。
『……うん……』
 と、お互いに頷き合うのであった。

成否

成功

MVP

ヒィロ=エヒト(p3p002503)
瑠璃の刃

状態異常

なし

あとがき

再現性東京に参加頂き、ありがとうございました。
今回の少年達に待ち受けているのは、厳しい現実ではありますが……皆様の声もあり、一歩だけでも足を踏み出せたのではないかな、と思います。
本当に、ありがとうございます……!

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