PandoraPartyProject

シナリオ詳細

一回だけ生贄に捧げさせて! 一回だけだから!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 黄野(p3p009183)はローレットに属するイレギュラーズである。
 外の世界より訪れし彼はウォーカーであり、瑞獣・麒麟に近しい性質を持つ存在であった――
 ので。

「ええい、おぬしらなにをする――!! 離せ、離さぬか――!!」

 その幸運の性質を手中に収めんとする勢力が彼の周囲には時折跋扈するものである……!
 某日、天義の国にて突如誘拐されたのは黄野だ。ぐるぐる巻きにされてどこぞへと運ばれている真っ最中(四カ月ぶり二回目)。正に神速の誘拐とも言うべき手際の良さにより馬車へと連れ込まれた黄野。今度はどこへ連れていかれようとしているのか……
 二時間ほどの行程を経て到着。目隠しが外れて見えた光景は――山の中、に聳える。
「な、なんじゃこの古ぼけた館は……!?」
 明らかに『何か』出そうな洋館であった。
 不気味。その言葉が似合う程の雰囲気を携えた洋館はそこいら中が埃塗れであり、相当な年月が放置されている様子が窺える……その中をえんやこらと運ばれていく黄野。あ、タンスにぶつけちゃった。
 抗議する黄野だが、彼を浚った黒衣を身に纏った怪しげな集団は微動だにしない――
 奥へ奥へと進んでいく。階段を上がり書斎の部屋に入って、本棚の右から三番目のやたらデカい本を動かすと仕掛けが働き隠し扉が開くので、そこを通って迷路の様な道を踏破し更に進むと……祭壇の様なモノが見えてきた。
「よし……同志諸君よ。遂に我らが悲願を達するべき時がやってきたのだ――
 今こそ神の獣の心臓を生贄に捧げ、我が崇拝せし神をこの世に降ろす時ッ――!」
「えっ」
 そしてその祭壇に、まるで獲ってきた魚の様に安置される黄野。
 と、同時に始まるのはなにやら理解不能な詠唱だ。只のうめき声にも聞こえるし、ちゃんと意味のある言語として述べてるんだろうか? まぁ、だがその辺りの真偽はどうでもよい――それよりも。
「ちょっと待て、今心臓と言うたか?」
「ああ生贄が動くではない!! 心臓を捧げるのは最終段階だけなのだ!!
 案ぜよ――やる時はスパッと行くからスパッと!!」
「どこに案ずる要素があるのじゃ――!!」
 マジで心臓が捧げられるの!? マジで!!?
 見れば隅っこに安っぽい出刃包丁が存在している――えっガチで? ガチ目にアレで生贄に捧げられるの? 前回はビールとかいうふざけた感じじゃったが、今度は割と真面目にやばいのではコレ!?
「あー神よ! この者を生贄に姿を現したまえー!!」
「待て! これ、本気でシャレにならん類じゃろ!!
 ぬわ――! だ、誰か助けてくれなのじゃ――!!」
 あっ、生贄が逃げたぞー! 追え――!!
 一瞬の隙を突いて(拘束されたままではあるが)その場より逃走を試みる黄野。
 はたして彼は生きて帰れるのか……館の奥にて彼の慟哭が響き渡っていた。


「――あの野郎、またかよ!!」
 同時刻。館の外に到着したのはトキノエ(p3p009181)達であった。
 なぜこんな所にいるのか? それは手際よく誘拐された黄野であったが、それが行われたのが街のど真ん中であった為に目撃情報が山ほどあった為である。手際が良いのか悪いのか……
 ともあれトキノエは思わず叫んでしまう心境であった――何度攫われるのだと。お前は桃の姫かと。
「ったく。まぁ仕方ねぇよな……とりあえずこの館にはいるんだろ? さっさと探し出して……」
 故に。白萩(p3p009280)も吐息を一つ零すものだが。
 さっさと救出してしまえば問題ないと足を踏み入れた――その時。
「――おおっとぉ? こいつは……タライだと!!?」
 直上より降り注ぐは……大量のタライッ!!
 間一髪で躱した白萩であるが、直後にはけたたましい金属音が鳴り響くものである――
 まさか。この館は……
「罠だらけ、と言った所であるじゃろうかの――」
「わわわ、これは、ゆっくりとすすまないと、あぶないかも、なのですね……!
 でもでも、ゆっくりすすんでると、黄野様が……!」
 そう。トラップだらけの洋館なのであろうと藤袴(p3p009289)とニル(p3p009185)は勘付くものである。まぁタライぐらいであれば所詮少し痛いぐらいで済みそうだが……なんとなし、嫌な気配も隅から感じれば恐らく『本気』の罠も混じっているやもしれぬと。
 であれば迂闊に突き進むは危険かもしれない。
 だが時間を掛ければ黄野の状況がどうなる事か――いや簡単に誘拐される黄野にも責任がないとは言えないし、もういっそのこと黄野には少し位怖がってもらうのもいいかもしれないのだが――

 助けてくれなのじゃ――!!

 その声が響いたからには仕方ない。奥へ奥へと――進んでみるとしようか!

GMコメント

 リクエストありがとうございます!
 以下詳細です!! よろしくお願いします!!

●依頼達成条件
 黄野さんを救出せよ!(またかよ!!!!!!!!)

●シチュエーション
 以前『麒麟一番漬けビール製造計画! ~黄野を漬けて~』でも拉致された黄野さんでしたが。なんと、今度は邪神とやらを崇める怪しげな団体に拉致されてしまいました! わーぱちぱち!!
 このままでは黄野さんが生贄に捧げられてしまいます! ぴえー!
 その前になんとか救出してあげてください!

 黄野さんは腕とかを縄でガチガチに拘束されてますが、動く事は出来ます! 脱出を試みてもOKですし、皆さんが合流するまで隠れ潜んだり凌いだりしようとしてもOKです!

●フィールド
 舞台は天義の山中。そこに聳える古ぼけた洋館です――いつから存在していたのか不明ですが、なんでも聞いた話によるとここでは以前邪神が信仰されていた事があったのだとか……
 洋館は結構広めです。書斎や大広間、個人部屋などが複数存在しています。
 マトモに進もうとすると迷路の様な館になっています……なんなんだこの館は……

 黄野さんが連れていかれた空間に行くには『階段を上がり書斎の部屋に入って、本棚の右から三番目のやたらデカい本を動かすと仕掛けが働き隠し扉が開くので、そこを通って迷路の様な道を踏破し更に進む』事なのですが。
 ぶっっっっちゃけ全部無視して壁をぶっ壊しても進む事も可能です。
 なにせめっちゃ古い館なので。壁とかもボロボロで壊しやすいです。
 ただ館にはなんかトラップが盛り沢山です。気を付けましょう!!

●トラップ
 館に設置されてるトラップの数々です。例えば以下の様なのがあります。
・タライ連続降り注ぎ
・タンスやクローゼットの角に足を(小指を)ぶつけてしまいそうになる呪い
・黒板消しが突如上空に発生し落ちてくる神秘の罠
・突如床が壊れてしまう罠(只の老朽化)
・突如床が壊れて、更に壊れて更に下に落ちてしまう罠(只の老朽化2)
・大量の鼠(勝手に住み着いてる鼠達)が出てくる罠
・槍が壁から突き出てくる罠(ガチ罠)
・ピアノ線で首を狩ろうとしてくる罠(ガチ罠)

●邪神信仰者×5
 謎の邪心を崇める信仰者達です。黄野さんを捧げて邪心復活を目論んでいます……! なお本当に邪神が封じられているのかは不明ですし、黄野さん捧げれば何か起きるのかも分かったもんじゃありません。彼らも『とりあえず一回捧げてみよ? ね! 一回だけだから!』ぐらいの感覚で事に及んでいます。
 全員神秘系の魔法を放ってくる魔術師タイプです。一応手に持ってるメイスで殴ってくる事もあるようですが。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 一回だけ生贄に捧げさせて! 一回だけだから!完了
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年02月26日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ハンナ・シャロン(p3p007137)
風のテルメンディル
カナメ(p3p007960)
毒亜竜脅し
トキノエ(p3p009181)
恨み辛みも肴にかえて
※参加確定済み※
黄野(p3p009183)
ダメキリン
※参加確定済み※
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
※参加確定済み※
白萩(p3p009280)
虚構現実
※参加確定済み※
藤袴(p3p009289)
猫とたわむれ
※参加確定済み※
綾辻・愛奈(p3p010320)
綺羅星の守護者

リプレイ


「ぐぬ――!! なんなのじゃ――――!! マジでなんなのじゃ――――!!!!」
 『愉快な麒麟』黄野(p3p009183)は叫ぶ。なんとかかんとか逃げながら。
 『ははは! あれ(※ビール漬け未遂)からだいぶ経ったしもう大丈夫じゃろ~』
 ってヨユーこいてたらこうなったのじゃ。
「いや~俺ってばモテモテ……あーいや、邪神崇拝者にモテてものう……
 流石に生贄は洒落にならんのじゃ……ひぃ、ひぃ……」
「待て~! どこへ行った~~! 一回だけ、一回生贄にするだけだから!!」
 一回生贄にされたら終わりじゃろ――! 後方より迫りつつある気配に何とか気配を潜ませる黄野――しかしこのままでは流石にいつか追いつかれて生贄にされてしまう。
 故に彼は式神を作ろう。囮として館に放ち、其方へと注意を引くのじゃ!
 ふはははは。こうしておれば勝手に違う方で騒ぎになって、そしたら外に救援が来ていたら彼が気付いてくれるやもしれぬ――! 今日のオレは冴えておるでのう。え、本当に冴えてたらそもそも捕まってないって? やかましい!!

「あのバカ今度はどこの謎組織に捕まりやがった!! 次は助けねーって言っただろうが!!」
「黄野様は……むむっ、あっちの方にいるみたいですよ! 探さないと、ですね!!」

 まぁでもそんなこんなでも黄野を助けに来たのは『酒豪』トキノエ(p3p009181)や『おかえりを言う為に』ニル(p3p009185)達であった――前のビール工場も、そりゃもう酷いもんだったが……今回はまだ違う意味で難易度が高いッ!!
「時間はねえが少しでもこの館の情報を調べてから――うおぉ!? 鼠!!?
 うわ、なんだこの量は飲み込まれて、うわああああ!!」
「ト、トキノエ様――!! ああ、ねずみさんが、たくさんー!」
 ぶつくさと文句を言いながらも救助に来たトキノエだが――いきなり鼠の大群に飲み込まれてしまった! ニルは不安であろう黄野の感情の色を探知し、なんとか導かんとしているのだが……こ、これは中々に進みづらい……!
 それでもなんとかするのだと。ニルが飛ばすのはファミリアーである。
 前方がどうなっているのか。隅に妙なモノがないかなど……索敵を走らせて。
「……何があったらそんなにさらわれるんだよ。神獣とかってレベルじゃねーよ最早何か憑いてんだろ助けには行ってやっけどよォ。全部片付いたらお祓いしてもらえよ――」
「『恋は盲目』と言いますが……信仰もまた盲目的なものなのでしょうか。
 ……黄野さんは随分おモテになるのですね。邪神信者の様ではありますが……」
 思わず頭が痛くなる感覚を得た『虚構現実』白萩(p3p009280)は額を抑えながらも、ニルとは違う方向に使い魔を飛ばして探索開始――さすれば綾辻・愛奈(p3p010320)も館内のマッピングを試みるものだ。
 とにかく館の構造を把握しなければ黄野がどこにいるかアタリも付けられない。
 人の出入りがある場所は比較的綺麗か、そうでなくても誰ぞが通った跡がある筈と……
「また、って前にも連れ去られて酷い目に遭ったって事なの? ふぅーん……いいなぁ、何をされたかは分かんないけど、トラブルが向こうからやってくるなんてちょっと羨ましいかも」
 えぇ……? と誰かが呟いた気がするが『二律背反』カナメ(p3p007960)は目を輝かせているものだ――いやそればかりかこのオンボロ洋館、なんでも罠が沢山なんだとか?
「楽しみだなぁ……うぇへへ♥ あ、おっと涎が……♥」
 ちょー-と私欲が口から溢れてしまったが、黄野っちを助ける事は忘れてないよ?
 カナメは集団の先頭を積極的に歩みて、彼女もまたファミリアーによる使い魔を使役するものだ。周辺を偵察させ、特に罠が仕込まれていないかを見据えていく……
 罠にも命に関わるのと関わらないのがあるのだ。
 どれがかかっていいのかダメなのか判別し――いいのにだけ掛かるとしよう。
 …………うん? 今何か変な認識だったような、気のせいかな? ともあれ。
「命は掛け替えのない大事なもの。信じる神のためにご自分の命を懸けるならばともかく、か弱い黄野様を狙うとは卑怯千万……! 必ず黄野様を助けましょう!」
「異はないんじゃけれども、ちょっと攫われすぎなんじゃないかの? あの麒麟、ええいもはやキリンでよいわ! キリンの黄野に何かあっても後味が悪い――まずは取り戻すのじゃ!」
 『風のテルメンディル』ハンナ・シャロン(p3p007137)も黄野を取り戻すべく意気揚々と往くものだ――まぁ『探索上手』藤袴(p3p009289)辺りはもう黄野を麒麟どころかキリン扱いしてるけれども。仕方ないね。二回目だもんね。
 ともあれ一応黄野救出は果たすつもりだ。故に先程トキノエが引っ掛かった様な鼠のトラップがないかとハンナは罠への対処に専念し、藤袴は壁を透過し開かぬ扉の先に黄野や秘められた罠が無いかと偵察するもの。
 うう。猫はおらんのか猫は……このような誇り被った館にはおらなんだか……
 せめて盛り上がる要素があればと肩を落とす藤袴だが――やむなし。
 さっさとあのキリンを助けて帰って猫と戯れるとしようではないか――!


 さて。そんな感じで皆が探しているキリンの黄野さんですが――

「ぐああああ――!! 角が! タンスの角が俺の小指を――ッ!! づぅぅっぅおお~~……いかん、いかんぞこんな声、美少年系神獣にあるまじき声が――ぎゃぼわぼべ!」

 悶えておりました。そう、呪いの被害は黄野さんにも及んでいるのです……!
 通算五回目ぐらいの小指の犠牲。そろそろ精神的にはパンドラぶっ飛びそうな所に、更にタライが降り注いでくる。最早放送出来ないぐらい悲痛なる叫びを挙げ続ける――たすけてたもれ――! もうほんまこれマジヤバ――!!
「なんだ今の悲鳴は! 近いぞ! 皆生贄を探せ――うわあああ鼠がアアア!!」
「ひ、ひぃ、ひぃ……ひどいめにあったわい……今の内離れねば……」
 そんでもって邪神信仰者達も当然罠の被害にあっております。
 もうあちこち阿鼻叫喚。前回のビール工場でも、ある意味こんな感じだったような……

「あ~……この館、次から次へと仕掛けがいっぱい……うぇへへ、最高……♥」

 ――が。その一方でカナメの表情は恍惚としていた。
 『これは大丈夫』と判断したモノにはわざとかかりにいくものである。
 黒板消し? タンスの角? むしろもうちょっと痛みが強くてもいいくらい。
 あ、ここの床抜けるな。高所だったら痛みがあるかな――うぇ、うぇへへへ……♥
「おっと……ここは、書斎でしょうか? ふむ。館の地図や信仰者の方々の手段や目的なんかm……何ですかあの本棚の右から三番目のやたらデカい本は。どう考えてもこの本棚の並びはオカシイでしょう。誰ですかこんな無茶苦茶並びを良しとして整理しないのは。片付けますよ」
「はっ、ちょっとお待ちくださいね……! ここ、この本に触れたら罠が生じるみたいですので……よし! これで大丈夫ですよ!!」
 そして。カナメの積極的な自己犠牲(趣味)により進み続けるイレギュラーズ達であれば――遂に書斎を発見した。さすれば愛奈が手を掛けんとし、しかし直前にハンナが仕込まれていた罠へと対処する――
 ピアノ線を用いたワイヤー式の罠だ。
 タライや黒板消し程度であればまだ『冗談』の範囲で済むが。
「流石に本気の罠は見過ごせませんからね……! シャレになりませんよ……!」
「ありがとうございますハンナさん――それでは、参ります」
 見事な連携である。ハンナが罠を排し万全を期すれば、愛奈の早読が資料を読み込むもの。
「わっ、乱雑な本がどんどん整理されていきますね……すごいです!」
「うむうむ。黄野の悲鳴もどことなく近くなってきよる気がするし……
 こりゃあ、あやつとの合流もそう遠くはないの――んがっ!!」
 しかし。唐突に藤袴の上空に黒板消しやタライが出現するなど、防ぎ辛い罠も存在する。ええい、流石にこれは透過できぬか……! 黒板消しで顔が白く染まれば、頭を吹って藤袴は顔を整え耳を澄ます。
 どこかで『あっー♥』とカナメがまーた嬉し気な表情と声を挙げているが、それはともかくとして――黄野の気配は段々と近づいてきているのだ。『べひょああああんぐあああ!』とかいう黄野らしからぬ悲鳴も聞こえてきた気がするが。
「はぁ、はぁ、よし。ここの鼠共から情報を得たぞ……!
 黄野の奴は隠し扉の先にいるらしい――確実に近づいてはいるぞ!」
 そして。先程襲い掛かってきた鼠達にチーズを渡して意志を疎通させたトキノエ(疲労困憊気味)もまた、奴が近い事を確信出来ていた。鼠達が黄野らしき存在を見た、と言っているのだ――
 後は極力安全そうなルートを選び、近付くのみ。
 ……黄野が無事かは祈るしかないが、しかし余裕があるのかないのかよく分からない悲鳴が轟いている間はまだ大丈夫かと思考して。
「ああクソ! もうちょいで辿り着きそうなのにどっち行きゃあいいんだこいつはよ……!」
「わわ、急がないと、大変な事になってしまうかもしれないです……!」
 そして突き進む白萩にニル。白萩は優れし感覚を用いて音や匂い、そして目視において罠がなさそうな安全地帯を見据えながら往き――ニルもまた、色が不自然に変わっている所やヒビ、妙に軋む場所などがないかを観察し続けるものだ。
 ホコリが凄ければ誰も通っていない証。
 ならばこの先に黄野もいないだろうと――
 しかし。慎重に進めば進むほどに時間がかかるものだ。
 あまりに時が掛かり過ぎれば――はたして黄野の身もどうなるか。
「……しゃあねぇな。こうなったら、もうこの手段しかねぇだろ」
「えっ。白萩様、ちょっとそれは、はわわ」
 故に。
 決断するものだ。
 元から『思って』はいたのである。だから白萩は迷路へと到達すれば白萩は己が猫……百日紅を放ちて……『確認』する。
 何を? 簡単な事だ――屋敷の壁や柱の位置を確認すれば――

 ――そうだ。壁をぶっ壊して進めば早いのではないかと。


「追い詰めたぞー! 生贄ー! 今こそその心臓を一回でいいから捧げよー!」
「ああああああへるぷみーなのじゃああああ!!」
 黄野、ガチピンチ。
 遂に壁際に追い詰められ最早絶体絶命――という時に差し掛かれば。

「黄野様――ご無事ですかッ――!!」

 突如、真横の壁が崩壊ッ――!!
 ぷぴゃああ! というまたもや神獣らしからぬ声が響いた、が。
 直後には邪神信仰者との間に割り込む影があった――ハンナだ!
「なになにそのかっこー。
 信仰者ごっこでもやってるのー? いい大人が集まって、くっだらなーい♪」
「黄野様、もう大丈夫ですよ! 安心してくださいね!
 ニルがきたからには、もう好きにはさせません! えいえいっ!!」
「お、おお――!! 皆の衆――!!」
 更に次いでカナメやニルも至るものである――
 ハンナが即座に黄野の拘束を断ち切りて、カナメは敵らの注目を集める様に舐めた発言を。さすれば注意が逸れた瞬後には、ニルが氷の息吹が如き霧氷魔を奴らへと降り注がせる――直後には目を潰すような光をも。
「ぎゃあああ!! な、なんだこれは――!! イレギュラーズか!!?」
「御名答――ドーモ、邪教信仰者=サン。イレギュラーズデス」
 勿論これで終わりではない。道を切り開いた白萩もまた奴らへと撃を加えるものである。
 ――安心しろや殺しやしねェ。
「暴れず騒がず大人しく黄野を解放したら優しくしてやるよ――な?」
「うそだー! 後で絶対殴るって顔にかいてある――!」
 うるせぇいいから大人しくしろよ、なっ? ハイクを読む暇ぐらいはくれてやるから。
 速度に身を任せた一撃にて奴らを薙ぎ払おう――後で思い知らせるために不殺の意志を込めて。
「やれやれ、結局最終手段を取る事になるとは……館が崩れたりする前に事を片付けるか。
 なーに館の保全は依頼にないのじゃ? そもそも責任者がいるかも分からないのじゃ?」
「あっ……黄野さん。どうやらまだ黄野さんを諦めていない様ですので……デコイを、どうぞ」
「えっ。俺って救出対象なのでは??? 救出対象がデコイとは一体???」
 更に手間を掛けさせてくれたなとばかりに、藤袴は全霊のグーパンを奴らへとぶちこめば。次いで愛奈もまた邪悪を裁く光によって奴らを焼き払おう――あ、もののついでに黄野さんは囮でどうぞ。
「ま、待て待て待て待て!! おーいノエどの! 白萩どの! 何か手違いが発生しておらなんだか!!? ちょ、待て、待つのじゃせめてこの腕の拘束が完全に解けてから……あっ――!!? せめて武器だけは使わせてほしいのじゃが――!!」
「うるせ――!! なんでまた攫われてんだてめ――!!!
 次は助けねえって言っただろうがっ!!! 麒麟っつーか鳥頭か――!!」
 ちったぁ反省しやがれと。黄野と合流できたトキノエはお怒り気味である――故に、最後まで黄野を狙わんとする信仰者共を、これまた怒りを込めた光で振り払うものだ。オラッ! こいつの心臓は諦めるんだなァ!
「く、くそ――!! あと一歩だったのに、どうしてこんな事に――!!」
「人を、勝手に生贄にしようとしたら、だめなのです! めっ!」
「ふぅ……荒事は不得手ですが、この数の差ならばなんとかなりそうですね……」
 そして押されていく信仰者達。
 ニルがニルなりに叱り飛ばす様に彼らを追い詰めていけば、愛奈も半包囲する様に彼らを撃滅。折角の機会だからトライ数を増やして慣れておくのが大事かと――さすれば藤袴は戦闘不能となった者達を次々に縛り上げて。
「いくら邪神信仰者と言えど無駄な殺生は良くないと思うのじゃ。
 こんなんでもキリンじゃし。生命の一つには違いないからの」
「なんか『いんとねーしょん』が妙ではないか? 麒麟と言ってるよな? な?」
「災難でしたね黄野様――ですがこれで信仰者達も捕縛しましたし、もう大丈夫でしょう! 無事で良かったです!」
 ちょっと疑う黄野だが、ハンナも連続的な攻撃の果てに――最後の信者を打ち倒して。
 全て捕らえる。『やめろー!』『離せー!』『麒麟の心臓一個でいいから頂戴よー!』と抗議の声が殺到しているが、全て無視してぐるぐる巻きに包み込むものだ……さすれば。
「……なぁに? もー終わりなの? こーんな子供に負けちゃうなんてぇ、ざ・ぁ・こ♥」
「くそー! こ、このメスガキ――! 今度はお前の心臓を狙ってやるからな――!」
「あは♥ おじさんそーんな恰好してるのに、負け惜しみかな~♥」
 カナメ、最後の挑発。信仰者達が海老みたいに跳ねて抗議抗議~
 まぁ何はともあれこれでなんとか解決だ。
「黄野っちが無事で良かった♪ でもこの館どうするの? 壊した方がいいのかな?」
「まぁ随分と振るそうですし、もう自然と壊れるのではないでしょうか……壁も随分と開けましたし。あ、なら館にある本は1冊ぐらいは持って帰れませんか……? ダメ? そうですか……」
 なんか呪いの本とかありそうだしダメです愛奈さん。
 それに一応今回の目的は黄野の救出であるし――と。
 そういえばその当の黄野は。
「いやー皆助かった助かった! 今回ももうダメかと……ぐあ!!?
 ノエ殿!? 何故拳で俺の頭を!!?」
「うるせぇ! いいか、マジで三度目はねえからな!? 防犯ブザーでもなんでも持っとけ!」
「な、なんと!!? 神獣たる俺が斯様な代物を持てと――!?」
「まーた攫わてぇのか!? あ? 持ってない!? なら買え!!」
 そんな――!!
 めっちゃトキノエに怒られていた。まぁ一度目ならまだしも二度目なら仕方ない、ので。
「ええぃ、そこなキリン! そうじゃ! そこに直れ! 正座!!
 そうそう楽に終われるとは思わぬことなのじゃ! 朝まで指導じゃ――!!」
「なにゆえ――!!?」
「なにゆえも何もそういう事だよなァ。勿論浚った連中が一番悪いが……
 だが、多少は攫われねェ努力もしようなァ? アァ? 怒ってないよ」
「それ、怒ってるじゃろ――!!」
 続けて藤袴と白萩に纏めて教育的指導を受けるものである――
 正座させられて怒られる麒麟……なんという光景なのかと。
「はふ……ビールに漬けられたり、心臓を狙われたり。
 麒麟ってとってもとっても大変なのですね。ニル、また一つ覚えたのです」
 でも。なにはともあれ黄野が無事でよかったと。
 ニルは満足げな顔を浮かべて――帰路の途へと就くのであった。

 ……三度目は無いからな? いいか黄野。三度目は――無いからな!

成否

成功

MVP

ハンナ・シャロン(p3p007137)
風のテルメンディル

状態異常

なし

あとがき

 依頼お疲れさまでしたイレギュラーズ!
 これにて黄野さんは救われました……うう、やりましたね黄野さん! これで尊いキリンの命が救われたのです……間違えた。麒麟。
 MVPは多くの罠を解除し、皆の助けとなった貴方へ。

 ありがとうございました!!

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