シナリオ詳細
タコローションの大罪
オープニング
●次はタコでどうでしょうじゃねえんだよ2年前に通った道だわ
『有限会社やみのそしき』。耀 英司 (p3p009524)の管理下で運営される互助組織(ギルド)のひとつで、名前の通り、といってはなんだがどちらかと言うとダークでニヒルな雰囲気を漂わせている、そんな組織。
「ハァ~~~~飲んだ飲んだ! こんなに飲んだのは久々だわ!」
「いい気分だよー今ならボクもなんでもできそうな気がする!」
……なんてことはビタイチなかった。彼とロロン・ラプス (p3p007992)は完全に酔いが回った様子で肩を組んで歩いている。どこで痛飲すればこうなるんだの典型。
「楽しいですね、こういう機会も! まあ私はアイドルなんで飲んでませんけど! アイドルなので!」
九重 縁 (p3p008706)を組織に抱え込んでる時点で別の方面で闇が垣間見えるやみのそしきとかいうアレ要素。
「……こんな日も、悪くないの」
「お酒ぇ? 飲んでないわよ、シュワシュワして少し気持ちよくなるジュースしかぁ……」
アクア・フィーリス (p3p006784)とジュリエット・ラヴェニュー (p3p009195)は堂々たる未成年なのでお酒は飲んでいません。とはいえ、久々の宴会に巻き込まれる格好で色々楽しんでたのだから酒は飲まずとも雰囲気に中てられるくらいはあるのだろう。でなければ、2人が千鳥足であることに説明が全くつかない。あれだけ酒宴に子供を混ぜちゃダメっていったでしょ!
これに部外者とか部内者とか数名交えた飲み会のメンバー達は、次の得物を探すような獣の視線で周囲に注意を払っていた。……が、船頭多くしてなんとやら、酔っぱらい共の意見が二転三転した結果、彼らはいつのまに森の中にいた。夜の、森のなかに。
「あ~~? そういえばここは何処だ? 森……?」
「あっ(唐突)あそこに湖がありますよ! 顔を洗ってスッキリしましょう!」
前後不覚になった英司は、周囲が森になっていることに今更ながら気がつく。縁は視界の隅にチラリした湖を指差すと、我先にと駆け出し……湖の縁で足を滑らせ、転び、あわや落下というところで「ぷぎゃ」頭から湖……の表面の氷に頭を突っ込み「えっ滑」顔面スライドで湖を駆け抜け「キャアアアアアアア!?」湖の中央に鎮座していたタコの触手に引っかかった。
ここまでの流れが完璧過ぎて状況開始前から完全にMVPじゃねえの? みたいな行動を見せた縁である。
「……湖が、凍ってて、タコからローションが……?」
「なるほどなー! 滑っていく……湖……タコ……ひらめいた」
アクアが辿々しい口調で事態をだいたい認識すると、英司はしてやったりという様子でどや顔だ。
……よもやコイツがあんな事を考えていただなんて。
●「というワケで始まりました第一回ぬるぬるローションカーリング選手権~~~~!!」
そんなどうあっても頭おかしい発想を堂々と宣言できる英司はすごい。普通だったら恥ってもんを優先すると思う。
「なんでいきなり開催してるのよ、ルールどうなってんのよ!!」
「タコの触手にもう少しで届く位置にハウス(円)を描きこみ、自分をストーンとして滑りカーリングを行う。良識の範囲でなんでもあり、しかし暴れるのは停止まで! どうだ!」
どうだ、ではない。
この男には人の心というものがないのだろうか? ジュリエットがぎゃんぎゃん騒いでいるがどこ吹く風だ。いやそもそもそのタコなんとかしろよ。
「動けないから後で倒せば実質ノーリスクなのでは?」
「私の姿を前にそれを言えますか???」
- タコローションの大罪完了
- GM名ふみの
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2022年02月08日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●「もしかしてネタキャラとかバラドルだと思われてます?」「うん(満場一致)」
「…………ですよね!」
「うんうん、すごいぞ縁。アイドルがなんたるかをわかっているんだな!」
『月下美人の花言葉は』九重 縁(p3p008706)はのっけからとても酷い評価を受け、涙目になってしまった。というか、『怪人暗黒騎士』耀 英司(p3p009524)(以下H)がだいたい全部悪いと思うんだけど、タコの所在は偶然だったしローションまみれなら氷から出られんじゃねーかふざけんなって感想を誰ひとり抱かないのマジで大丈夫か? と思わなくもない。どっちにしろ縁は囚われの身(笑)なので早く助けてあげたほうがいい。
「ひょっとしてこれは深く考えたところで全く意味のないどんちゃん騒ぎなのでは?」
「氷の上で、滑って、遊ぶんだね……ちょっと、楽しそうなの」
『STARGAZER』ノア=サス=ネクリム(p3p009625)と『憎悪の澱』アクア・フィーリス(p3p006784)は、もう完全に頭空っぽにして楽しもうという気分でいた。既に縁が色々アレしている状態で細かいことを考えるのもどうか。でも大丈夫? 君達もあわよくばああいう結末に持っていかれるんだよ? 本当に大丈夫? いいの?
「これはいったい、どういう事を……」
「あわわわわ。エルは、大きなタコさんが、見えたので、様子を見に来ただけ、だったのです……」
『料理人』テルル・ウェイレット(p3p008374)と『ふゆのこころ』エル・エ・ルーエ(p3p008216)は完全なる巻き込まれ事故である。こんな事態に首突っ込んでいる時点で事故とかいう権利がない? はい。
「えっとえっと、えーっと……エルは、頑張ります」
「いいぞエル! 自分の役割を確り把握出来ているんだな!」
もう黙っとけよH。しゃべるごとに株を下げてるぞ。
「というワケでじゃないわよあの馬鹿! すっかり気分の良い酔いが醒めちゃったじゃないの!? いえ、決してお酒は飲んでないけど。誓って飲んではいないけど」
そうだね、『紅蓮の魔女』ジュリエット・ラヴェニュー(p3p009195)が飲めるようになるのはあと5ヶ月くらい先の話だね。雰囲気で酔ったなら仕方のない話だね。わかるわかる。雰囲気で酔ったってことにしないと色々危ないからな。
「それよりどーするのよあの化け物、なんで海洋生物らしきものが湖にいるのよ」
「(笑)」
「笑ってんじゃねーですよ! たすけて譛晏?芽!動さーーーーん!!! ROOかえりたいーー!!」
ジュリエットの言葉は尤もで、頭足類は浸透圧を調整できないので基本的には淡水に進出出来ないとか問題があるにはあるんだがここ混沌だし? 一笑に付したHを見れば『チッうっせーな検討してまーす(設定的なものを)』みたいなところかもしれない。ほら異世界には名ばかり湖で海水みたいなとこごまんとあるし。
「あ、縁おねーさん……タコに、絡まれて、楽しそう、だね」
「楽しくないですよ!?」
「おや、お嬢さんローションカーリングは初めてかい? 大丈夫、みんな初めてはあるもんさ。かくいう機長も本日初フライトです」
マニュアルを読んだだけで一発OK出せるのはエースパイロットだって教わらなかったのかH。「美肌効果」なんてふわっとしたもので女子を煽り立てるんじゃない。
「カーリングってなんだったっけかなー。ああそうだ、みんなでやるんだからユカリくんを取り返してこないと。1番ー、ロロン・ラプスー」
『ぷるるん! ずどん!』ロロン・ラプス(p3p007992)が酔っている理由は正直説明がつかない。多分摂取して……排出はしないから総量が……あれぇ……?
まあいいや! こいつが一番手を担ってくれるならどう転んでも面白いことになるので!
●「ちなみに商品もあるんですよね」「酔ってる間に何仕入れてんだオメー」
「触手に狙いを定めてー、第一投ー、身投げしましたー。……ところでローションってグリセリンを水で薄めたものなんだけけど、ボク水なんだよね」
ダイナミック身投げを敢行したロロンは、直後に物理的な事実を口走る。そしてグリセリンもアルコール類なので混ざりやすさも一入であり、何を言いたいのかというと、表面上が緩やかに溶けた氷と相まってロロンは滅茶苦茶に延びているのだ。展延性最強か?
「力及ばずすまない……でも、せめてこれだけは……ぷるるーん、ぶらすたー……」
そしてロロンにはこれがあった。引き伸ばされた肉体をタコの触手に絡めると、見事に葛飾チックな縁を爆破によって解放。だらしなく頭からイッた縁は顔面もみじおろし(摩擦係数0.005)して地上に舞い戻った。
「ローションカーリングってなんですかマジー!!! チキンレースの間違いじゃないんですかぁーー!?」
「ここでみんなに朗報ー。タコローションの美肌効果だけだとこの惨状の報酬としては割に合わないかもしれない」
「聞きたくなかったそんなこと! 私一番乗りした分損じゃないですか!」
「えっと、サメエナガさん。エルが滑るまでの間に縁さんを……」
ロロンの貴重な情報を背景に、縁はべちゃべちゃの格好でべそかきながら歩いてくる。見るに見かねたエルがサメエナガで救助だ。すごいぞ素晴らしいぞ。
「それじゃあ私は二番手……三番手? ですね。後ろを誰かお願いし」
「いい覚悟だテルル。お前にこそ景品はふさわしい」
「それじゃあ、テルルおねーさん、も……がんばって」
いまいち覚悟が決まりきっていなかったテルルは、後ろからの助力を誰かにお願いした。したら、Hとアクアというおよそ最悪の選択肢に行き当たってしまった。
Hはなんかいまいち足を踏み出せないシャイな連中のため(大義名分)。アクアは場酔いしているので前後不覚のままルールを見誤ったがため。何れもおよそまともな人間が下す判断ではないのだが、酔っ払っているなら仕方ない。
「ああああああタコさんお願いですから暴れないように、私は餌ではないのでお願いですか――」
テルルは意思疎通を図ろうとし、抜け目なく魔導甲冑で飛ぼうと画策した。だがダメだった。現実は非情である。だが抜け出せたのでセーフ。
「これがタコ墨の変わりなら、粘度も低そうですしすぐに落ちてくれるはず……」
「ぅぇー……」
「……ですよね?」
縁が色々とアレなので、もしかしたらアレではないかとテルルは思った。
「美肌効果……景品……」
ノアは期待に胸を膨らませ(物理)、湖の縁に歩を進めた。見る間に大きくなる彼女の胸に、女性陣数名の死んだ魚のような眼が突き刺さる。心地いい――優越感を一瞬でも覚えた彼女が愚かであった、などとは口が裂けても言うまい。その感情は摂理であるがゆえに。
「美肌効果……美肌……」
「はっ、!」
「えっ」
この日一番気合の入ったアクアの後押しにより、ノアは手足をつけて四つん這いの姿勢を保ち氷面を滑る。アメンボみてーだな。
「あああああああああ嫌、誰だって嫌よねこんなの、私もです!!!!」
「アクアさん、あそこまでの力で押さなくても……エルは、ちょっと可哀想に思いました」
悲鳴を上げて滑るノアの姿を指の間から覗きつつエルはアクアに抗議するような視線を送る。アクアはしかし、悪気ない眼で返す。
「みんな、縁おねーさんみたいに、なれば、いいんだよ、ね?」
「そうだ!」
Hもその意見に賛成である。敗戦まったなしだぞお前。
「うぅん……ぬるぬる……気持ち……ぃ」
ノアは美肌効果に酔いしれているだけだ。いいね?
「言っておくけどアンタの妙な催しに賛同する訳じゃないわ英司。その上で勝負ごとから逃げるみたいに思われるのが気に食わないだけよ、見てなさい完勝してやるから」
「そういう前フリをちゃんとしてくれるお前のことは嫌いじゃないぜジュリエット」
Hの言葉を借りるわけではないが、ジュリエットの丹念な状況把握(ふらぐたて)は職人芸の域に達していた。仲間達の無駄な(とうとい)犠牲を幾度も見て、後半戦に突入した彼女が負ける道理などあろうはずもないのだ。
「あとは氷の摩擦係数を測れば……えぇ、こっちも目測でいけるでしょう。なによ楽勝じゃない、これで他の連中が私の前で悉く散ってゆく様を優雅に見届ければOKね! さぁ、ぱっぱと終わらせるわよ!」
繰り返して申し訳ないが氷の摩擦係数は0.005、さらにローション補正を忘れてはならない。したがって、
「ぱっぱと……ぱっ――パパァ――――!!!!! あああギリギリせー」
「あなたも私の仲間に入れてあげるってことよっ!」
(悲鳴)(嬌声)(悲鳴)(悲鳴)(特に意味のない卑語)(悲鳴)
「あわわわっ……ジュリエットさん、ノアさんと、タコさんと、とっても、仲良し、です」
はい。
…………はい。
「じゃあ次は……え、エル? マジでやんの?」
「はい。エルは、がんばります」
深酒してるし釣り竿で二人を釣り上げたりでいろいろアレな状況をクリエイトしているHは、さすがにエルを巻き込むのは気が引けたらしい。でも本人はやる気だから仕方ないと思うんだ。何故かサメエナガに乗ってるし。
「それじゃあ……ワン、ツー、クーr」
Hのギリアウトな掛け声とともに、ボブスレーよろしくエルはサメエナガに乗って突っ込んでいく。距離が半分を切ったところで横回転を始めたサメエナガは急激に勢いを弱め、Hが描いたサークルへと飛び込んでいく。
「サメエナガさん、これが終ったら、一緒にお風呂にあわわわわーっ」
エル、途中までは順調だったのだがまさかの一言(フラグ)のせいで触手に足を取られ危うくえらいことになりかけた。が、まあ摩訶不思議な理由により何も見えないうちにサメエナガが仕事して追撃を逃れた。ついでにタコの足が一本とれた。こういうこともあるよね。
「みんな、タコと、仲良し……わたしも、よくわかんない、線を飛び越えて、行く」
アクアは覚悟というものをしていなかった。否、目の前で起きている狂乱の宴そのものが、『ローションカーリング』であると、敗北こそが勝利であると、勘違いしていたのである。
「アクア、お前……やる気十分なんだな……!」
そしてHはアクアの真相について何ら理解できていなかった。必然、背を押すことをためらわない。
アクアは嬉々として滑っていく。美肌効果のため? 勝利のため? 否、多分楽しむためである。もしも賢しらに耐えきっている仲間が目の前にいれば、容赦なく足を引っ張って――否、助けてあげていたことだろう。だが不幸にも彼女ひとり。巻き込まれるままにタコの触手にアレされ、身動きが取れなくなっていく。
「……なんか、違う、の? これ、こういうルール、じゃない?」
「違うんですよ」
「絶対違うと思うわ」
「ちがうよー……」
戸惑うアクアに向けて、全員が口々に否定するのだった。なおHはやれやれみたいに肩をすくめているが全部お前の責任だぞ。
●大惨事のあとしまつ
「タコローションはお肌に合わないかもしれない。でも、ボクのお肌の老廃物を完全に除去した上でローションの保湿効果を重ねればぷるぷる卵肌は間違いなしってすんぽーだよー」
ロロンは己のギフトを駆使し、いい感じにローションを保湿専用のブツに変換して全員に振る舞おうとした。でもその。寒い中でやったら保湿以前に肌が……と思うのはアレだろうか?
「ちょっとまって、俺の服までスッキリなくなってるんだけどこれは」
「あ、えーじだけは服も食べてあげるから真冬だけどパンイチで帰ろうね」
そうだぞパンイチでもなまぬるいぞH。
「あんなにでっかいタコですからね。多分いっぱい食べれますよ。解体はみなさんに手伝ってもらいましょうね」
「え、食べるのこれ……? アンタ達、これを?」
最初に犠牲になってからなめらかに暖を取って調理準備をして準備万端の縁は、仲間達とローションでアレしたタコの解体を始めた。いつの間にやら殺られていたそれは、なるほど全員の腹を満たす程度の物量はありそうだ。ジュリエットがなんか戸惑っているがそんなもんである。
「たこ焼きにたこわさ……お酒がほしくなりますねえ」
テルルは沸かしておいたお茶を一同に配りつつ、手際よく解体して解体した傍から調理を進めていた。
縁もタコザンギなどを作るべく準備万端、凄まじい勢いで調理を進めていくと、おもむろにパンイチのHにエプロンをかけた。油の前に立たせた。
「味付けと火加減はすべて私がやりましたよ嬉しいですねえギルドマスターは揚げるだけでいいんですさあ」
「えっでも俺今裸エプロンだから正直油はねが怖いっていうか」
「やれ」
「はい……ア゛っっっヅッッッ」
水気の多いタコをちょっと粉でアレしたくらいで油はねが起きないわけがないだろ。犠牲になれ。
「サメエナガさん、香草焼きは美味しいですか?」
「おかわり」
エルはサメエナガにも食事を分け与えていた。いたけど、その横でアクアがかなりの量を口に放り込んでは咀嚼して満足気に息を吐いていた。おかわりって言いましたよ今。
「……ふぅ、ちょっと、変な目にあったけど、楽しかった、の。また、みんなで、遊びたい、ね」
「こんな遊びはもう勘弁ですけどね!」
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
>ふみのがわるい
わるくないもん。
GMコメント
リクエストとメンバー見た瞬間全力でぶん投げたくなったんだけど頼まれちゃ仕方ねえので縁さんに最初に犠牲になってもらった。
●成功条件
ぬるぬるローションカーリング選手権の完遂
●ぬるぬるローションカーリング選手権
なんて?
取り敢えずタコの触手のギリ射程圏外がサークルになるんだけどもしかしたらギリ届くのかもしれない。
停止まではせいぜい悪あがきしつつ走行距離を伸ばしましょう。
Q.得物とかで氷を引っ掻いて止めるのは女々か?
A.名案だけど女々よ。
●タコ
なんか凍った湖に嵌ってる。
タコスミの代わりにローションぶちまけてるクソ野郎。
終わった後食う気でいるけど正気か? って思ってる。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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