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シナリオ詳細

骨の背脈を越えて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●骨の背脈を越えて
 陽射し照りつける、亜竜集落フリアノン。
 そこから少し離れた高台には、頭に角を生やした者……亜竜種の者達が、鎌を手に豊かに実った作物の収穫に精を出していた。
「ふぅ……今日も良い天気」
 汗を吹きながら、空を見上げる……燦々と照りつける陽射しは、この地特有の栄養満点な作物を、更に豊かに実らせる。
 そんなかわらぬ日常が、不意に妨げられる。
『……キィィィ……』
 聞こえてきたのは、甲高い鳴き声。
 亜竜の男が、その鳴き声が聞こえた方向へ視線を向けると……。
『ギィィヤァァ……!!』
 大きく翼を震わせながら、一直線に飛んでくる、亜竜の群れ。
 自分達とは違い、対になる翼と、鋭い爪……そして、血走った瞳。
「見慣れない奴……ん……こっちに来るぞ!?」
 正気を失った亜竜の群れは、作物の香りに絆され、それを奪い取ろうと、作物を収穫している亜竜種の者達に襲い掛かる。
「っ……くっ!! 来るな!!」
 抵抗するが、狂気の亜竜達は中々に退かない。
 フリアノンの民達も必死に抵抗し、どうにか敵を退けるものの、こちらもかなりの被害が生じていた。


 人類未到の地と呼ばれていた場所、覇竜領域デザストル。
 今までも様々な方法、様々なルートで挑戦されてきたものの、前人未踏故に足を踏み入れた報告は皆無であり、今迄も、これからも人類未到の地であろう……と思われていた。
 しかし、今君達の目の前に広がるのは、そんな人類未到の地へと続く、竜の骨の様なゴツゴツとした道が続く『竜骨の道』。
 本当に、この道の先にデザストルがあるのか……と疑念を抱いている者も居ただろう……だが、R.O.Oの世界の話が真実だとすれば、この先に隠れ里があるというのはかなり信憑性の高い話であろう。
 そして君達は半信半疑でその道を進んでいくと……姿を表したのは、亜竜種の集落『フリアノン』。
「ようこそ! 険しい旅路、おつかれさま」
 亜竜種『フリアノン』の里長である若き姫君、珱・琉珂は、やってきた貴方達に歓迎の意思を露わにする。
 ただ、彼女の表情には、幾分の陰りが見える。
『……どうしたんだ?』
 と、君達が問い掛けると、琉珂は。
「ええ。ここ、フリアノンは、あなた達を迎え入れる用意はある。でも、周りはまだまだ危険が一杯。凶暴化した亜竜達が暴れてて、私達の生活も脅かされているの」
 と言いながら、フリアノンが指さしたのは、竜骨の道とは逆側……つまり、未踏の地。
「最近凶暴化した亜竜達は、私達の生活の糧を奪っている。この先には、私達の生活の糧である山菜を育てる畑があるの。でも、凶暴した亜竜種達が、その山菜の匂いを嗅ぎ付けて、全てを奪い去ろうとしてきているの」
「このままだと、私達が生きるのもままならなくなるかもしれない。オトモダチ、なら、助けてくれる……よね?」
 視線を見上げるようにして、御願いする琉珂。
 ……勿論彼女らの依頼をこなせば、今後の力になってくれる事だろう。
 そう困っている、彼女、ひいては集落からの依頼に、君達は頷くのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 新たに動き始めたフィールド『覇竜』……皆様のご武運をお祈りしております。

 ●成功条件
  フリアノンの近く、高台に設けられた『フリアノンの畑』にて、仕掛けてくる凶暴化した亜竜達を撃退し、作物を護りきる事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
  亜竜集落フリアノンの周囲は、閑散とした山岳地帯が広がっています。
  そんな山岳地帯の中にある高台は、フリアノンの集落の人達によって作られた畑があります。
  畑には、キャベツやシイタケに似た作物が実っていますが……それらから発せられる匂いに凶暴化した亜竜達は吸い寄せられてきています。

 ●討伐目標
   双翼の亜竜『フライ・ワイバーン』
    その体躯は2mちょいと、竜としてはちょっと小型の竜です。
    ただその爪と牙は研ぎ澄まされており、振り薙ぐことで強力な一撃を叩き込みます。
    又、その一閃を喰らうと癒えにくい傷痕が残り、数刻の間継続的にダメージを喰らう事になって仕舞います。
    また一体一体、かなりタフな体力を持っていますので、しぶとく、攻撃力が高い……とかなりの強敵です。
    
    ワイバーン達は基本的に欲望に忠実で、作物を狩るのを優先します。
    勿論邪魔されれば、邪魔してきた者を殺して力尽くで奪い去ろうとしますので、彼らの挑発を忘れない様にして下さい。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 骨の背脈を越えて完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年01月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
老練老獪
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
蒼穹の魔女
カナメ(p3p007960)
毒亜竜脅し
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
ルビー・アールオース(p3p009378)
正義の味方
エドワード・S・アリゼ(p3p009403)
太陽の少年
囲 飛呂(p3p010030)
きみのために

リプレイ

●フリアノンの実り
「ついにこうやって、現実世界の覇竜依頼と来たか……」
 『黒き狂雷』クロバ・フユツキ(p3p000145)は己が足元を踏みしめながら零す一言。
 人類未踏の地と言われて居た、覇竜領域デザストル。
 今迄に挑戦した者は数知れず……しかし、生きて帰った者の話は聞かなかったこの地域。
 R.O.Oの世界の話が無ければ恐らく、この地に行き着くことも無かったであろう。
 しかし……これは今現実世界での出来事。
 イレギュラーズ達は己が脚で、竜の背骨が如く、ゴツゴツとした道を踏みしめ……辿り着くのは亜竜種達が住まう集落『フリアノン』。
『本当に、申し訳無いと思ってる。でも、貴方達の力が今、必要なの』
 集落の郷長、珱・琉珂が深く頭を下げる。
 そんな彼女の御願いに、『ドキドキの躍動』エドワード・S・アリゼ(p3p009403)は胸を力強く叩きながら。
「ああ! 琉珂……ともだちが困ってるのなら、そりゃほっとくわけにはいかねーよな! 大船に乗った気持ちで、待っててくれよ!!」
 琉珂達を元気付けるように、自信満々の笑みを浮かべると琉珂は。
『うん、ありがとう! 畑だけど……あの丘の上。収穫する人達は、亜竜達に襲われないか戦々恐々している。だから、急いで向かって欲しい!」
 皆を促す琉珂の後押しを受け、イレギュラーズ達は集落から少し離れた小高い丘の上へと急ぐ。
 ……その道すがらに考えるのは、新たなるこの土地と……亜竜の事。
「いやいやいや……畑に害獣はつきものだけど、それが亜竜とかってやべーな」
 と『特異運命座標』囲 飛呂(p3p010030)が空を仰ぎ見ると、それに。
「うーん。亜竜も畑を荒らしたりっていう事をするんだねぇ……まあ、野生生物って言う事を考えたら、それは当たり前なんだけど。ちょっと遠い存在ではあったから、なんだか意外な感じはするけどね?」
 『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)が小首をかしげると、『正義の味方』ルビー・アールオース(p3p009378)と『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)、『二律背反』カナメ(p3p007960)の三人からも。
「まぁ、畑なんて野生生物からしたら、エサ場に思えるもんね。農作業を獣が荒らすのはどこでもある事だけど、小型とは言え亜竜がやってくるとなると、ホントに大変だろうね」
「そうだねー。食べ物の匂いにつられてやってきちゃうのは、獣も竜も変わらないんだねー。そういう所は種族が違うだけで、同じ生き物って感じだよねー」
「うん。飢餓か、それとも外的な要因か。何らかの原因はあるんだろうけど……こっちだってはいそうですか、と食い物にされる訳にも行かないんだよね」
 そんな仲間達の言葉にちょっと考えながらエドワードがでもそれ、ドロボー、だぜ!」。
「畑を荒らす竜……荒れてる様子からすれば、きっとそいつらもお腹が空いてて、食料にも困ってんのかもしれねーよな……」
 新たに訪れた土地故に、亜竜達の生活がどうなっているのか、とか……そういう情報は未だ無きに等しい状況。
 終わる事無く続く岩場は、作物が育つには中々に厳しい環境であるのは間違いなさそうである。
 そういった所で巻き起こる、作物を巡る事件は、今迄に幾度となく経験し、解決してきた。
「まぁこれって、やる事は他の国と大差は無いし、きっと何とかなるよね?」
「ああ、この様な厳しい環境での食料の調達はそれこそ難しい。それを奪うなんざ、返り討ちにしてやらねぇとな?」
 カナメの言葉に、と『帰ってきた放浪者』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)がニヒルに笑うと、それにクロバが。
「ああ。厳しい世界だ。食料の取り合いは仕方の無い事ではあるが……請け負った依頼だ。きっちり畑を守らせて貰うぜ」
 と言うと、カイン、ルビー、バクルドも。
「そうだね。痛い目を見て利口に退いてくれるならそれで良し。そうでないなら、それ相応の対応をするしかないよね!」
「うん。ローレットとして、亜竜種の郷の人達との友好を深める為、そして正義の味方として農家の人が手間暇掛けて作った大事な作物を確り守らなきゃ」
「ああ。獲るってことは、獲られることもあるって事を教えてやらなきゃいかんってもんだ。それに亜竜達に貸しを作れば、後々放浪するのに役立つ知恵とか教えてくれるかもしれねぇしな?」
 それにエドワードが。
「だな。そいつらをこれ以上のドロボーにしねーためにも、ここできちんと止めてやらねーとな。時間があったら、今回の竜たちともともだちになりてーところなんだけど……それはちょっと難しいかもな……」
 琉珂が言うには、彼等は凶暴化しているというから……話を聞いてくれる可能性はかなり低い。
 でも助けられるのなら助けてあげたい……と考えてしまうのは仕方の無い事だろう。
 ともあれこの事件を解決しなければ、覇竜領域を探索する事は難しいだろう……故に。
「よーっし。困っている人がいるのなら助けないとね! みんな、頑張りましょう!」
「そうだな。二度と狙いたくなくなるくらい、やってやろうぜ」
 アレクシアに頷く飛呂。
 そしてイレギュラーズ達は、フリアノンの食を預かる高台へと辿り着くのであった。

●狂声の怒り
『ん……? 誰?』
 高台の上にて、鍬を地面に突き立てる亜竜種の男達。
 彼等からすれば、今迄に見かけたことが無い人達が来た……というのもあり、興味深そう、かつ何故ここに……といった具合。
 そんな彼等にカナメが先ず。
「ここが、フリアノンのお野菜を育ててる畑? あ、琉珂さんから聞いてやって来たんだよ! 最近、ここに亜竜達が来て、困っているんだって?」
 そんなカナメの言葉に強く頷く男達。
『そうなんだ。本当に困ってる。奴ら、この野菜やくだものの匂い、嗅ぎ付けてやってくる。去年も、先月もやられた! やられっぱなしだ!」
 大きく手を広げて憂いを示す男達。
 それにカイン、ルビーからも。
「そうだったんだ……大変だね。でも、僕達が来たからには、簡単には奪わさせないから安心して欲しい」
「うん。そうね……まだ亜竜達が来る気配が感じないから、今の内に罠を仕掛けておきましょう? そうね……例えばなんだけど、割れてしまった作物とか、腐ってしまったのとかの残りは無い? 奴らが匂いに誘われてくるのなら、そういったのを利用するのが一番シンプルなやり方だと思うのよ」
『ん……そうだな。あの納屋の中に、食えなさそうなのは突っ込んでる。それは自由に使って貰っていい」
 指をさした先には納屋……というか、恐らく農耕具を入れるだけ位の用途しかない倉庫の様な場所がある。
 そこにバクルドが行き、農作物の状況を確認……確かに虫が食ってしまっていたりと、食べる分には適さなそうな状態である。
 ……そんな農作物を手にしたバクルドは、持ち込んだ木材とロープを使い、即興でカカシを作り上げる。
 更にその頭には小型の爆弾を詰めて……カカシに襲い掛かれば爆発する様に細工する。
「これで良し……と。爆弾はともかくとして、ここの連中でも作れる代物にすりゃ、次に似たような事があってもある程度対処が出来るだろうしな」
「うんうん、上手く引っかかってくれるといいんだけどねー」
 バクルドに頷くカナメは、そんなカカシの周りに食えない作物を砕いてちらばせて、撒き餌のようにしてみる。
 その一方でクロバは、というと……その作物をしっかりと観察。
「……この匂い……昔どこかで感じた様な気がするんだが……そうだ、鳥避けの罠に使われていたよな。その作り方は……と」
 匂いを元に、幻想等での同じような植物栽培の現場を思い出し、そこで使われている害獣避けをここでも出来るやり方で出来ないかを考える。
 勿論、その罠が亜竜達に効くかは未知数だけれども、一つでも策を講じることで、撃退後にそのやり方を伝授出来るかも知れない。
 ……そうクロバ、カナメ、バクルドの三人が使用出来ない野菜での罠を作る一方。
「それじゃ俺達は、周りの警戒でもするとするかね」
「そうだね。亜竜はきっと敵対心剥き出しでやってくるだろうから、その勘を信じて……見つけたら皆に報せるね」
「頼むぜ」
 飛呂に頷くルビー。
 畑の四方を取り囲むように配置につくと共に、空へ目を向け……亜竜達がくるのをじっと待つ。
 そしてその内側では、せっせと亜竜種の男達が野菜や果物を収穫する。
 ……それが数十分程続いた、その時。
「……!』
 鋭い聴力で耳を澄ませていたアレクシアが、微かに翼をはためかせる音を感知。
 更に、次の瞬間には。
『……キィィ……!』
 遠くから聞こえたのは、甲高い鳴き声。
 耳を欹て、鳴き声のした方向に視線を向ける……すると、遠くの空から翼をはためかせながら、飛来する小竜達の群れ。
「ひ……きた、また来たぞぉ……!!」
 その聞き覚えのある鳴き声に悲鳴を上げる男達だが、イレギュラーズ達は毅然とした態度を貫き。
「大丈夫、絶対に守るから。内側で大人しくしていて下さいね?
 そうアレクシアが優しく声を掛けつつ、カインとルビーは敵の姿を目を凝らし確認。
 翼があり、体躯2m程の竜型の者。
 ただ人語を解さず、己が欲望に忠実に、空を駆け巡る『フライ・ワイバーン』。
「……覇竜領域だからといって、珍しい竜……という訳では無さそうだね」
「ああ。勿論油断は禁物だけどな」
 様々な知識を総動員し、敵の特徴を仲間達に即座に共有するカインとルビー。
 ……そうしている間に、多くのフライ・ワイバーン達が畑へと飛来。
 少し上空から甲高い鳴き声を上げて、イレギュラーズと男達を威嚇してくる。
 無論、それで帰るなんてありえない。
「こっから先は、体をぶつけ合って話し合うしかねーみてーだな!! いいか、お前らもタフでつえーみてーだけど、オレだってタフさと根性さには自信あんだ! 真っ正面から受けて立つぜ!!」
 エドワードの戦線布告にピギャアア、と一際強く鳴いたワイバーン。
 そして空から勢いを伴い急降下し、攻撃態勢へシフト。狙うは当然……エドワード。
 彼一人に攻撃が集中してしまうのはかなり危険なので、更に逆サイドからアレクシアも。
「みんなが頑張って育てたものには手出しはさせないよ! あなた達の相手はこっち!」
 ワイバーン集団の一角に向けて怒りの花を咲き乱れさせて、ターゲットを分割する。
 両面に対しそれぞれ急降下攻撃を始めるが……その進路上にはバクルドの仕掛けておいたカカシが立つ。
 それ諸共に破壊しようとするが、近づいた瞬間に爆発し、ワイバーンの翼に風穴を開く。
「どうだ! 匂いにつられて口にした爆弾入りカカシの味は? ガツンと強烈だったろ!?」
 笑みを浮かべるバクルド、一方ワイバーンは、怒りに更なる叫声を上げて、その鋭い爪で切り裂き攻撃。
 更にかなり敵は素早いもので、その動きは中々見定める事が出来ない……数撃喰らえば、かなりのダメージ。
 ただ、地上近くまで降りてきたという事は、イレギュラーズの攻撃範囲にロックオンされたという事。
「絶対に逃がさないよ!」
 とアレクシアは絶えることなく敵の怒りを惹きつけ、エドワードも堂々たる言葉でワイバーンを挑発。
 減りゆく体力を見据え、余りにも危険な状態になればルビーが英霊の鎧を付与し、回復を行う。
 そう……地上に縛り付けられたワイバーン達に、いざ。
「それじゃ援護射撃は任せたぜ、バクルド」
「ああ、行ってこい!」
 クロバに笑い飛ばしながら背を叩くバクルド。
 彼の鋼の銃弾の雨が戦場を蹂躙する中、クロバが敵陣に突撃。
『ギャウ!!』
 怒りの声を上げる奴らに、クロバは。
「竜殺しの為に武器を調整してきたからな。その自慢の鱗を易々と両断させて貰おう!」
 と渾身の破竜の一撃を叩き込む。
 単体にしか当てられない一撃ではあるが、その破壊力は抜群で……鱗諸共に一刀両断されるワイバーン。
『ピギャァアア!!』
 と、竜の悲鳴が響きわたる戦場。
「ああ……遅れたが名乗らせて貰おう。俺は……”死神”クロバ・フユツキだ! お前達は、全て葬り去る!」
 仲間が一刀両断にされるのを目の当たりにするワイバーン。
 しかし凶暴化してしまっているのもあるのか、怯む事は無い……むしろ増長して、更に攻撃の手を強める。
 一層厳しくなる敵の攻撃、厳しい状況下に陥るエドワードとアレクシア。
「キツくなったらいつでも言ってね、カナが代わるから!」
「ああ、そん時は頼むな!」
 カナメが声を掛けつつも、ワイバーンに集中攻撃。
 敵の爪が己を傷付けても、ニコッと笑いながら。
「これが竜……うぇへへ……いい、中々新鮮っ……♪」
 災厄を帯びた剣で、敵の羽根や胴体に突き立てる。
 更にカインも神の光で敵を纏めて灼き尽くす作戦。
 知能があれば、自分達が不利になれば撤退する筈。
 それをみこした上で、総じて体力を削る事で数を減らしに掛かる。
 そして、仲間達の攻撃の最後には、一人離れた所から飛呂が。
「こいつなら、自慢のその鱗も意味がねぇだろ? これでも喰らえ……!」
 敵の動きを縛り付ける、ピアッシングの一撃。
 逃げ足を塞ぐ事で、仲間達の攻撃を当たり易く、かつ……大ダメージを与えられるように戦場を整えて行く。
 そんなイレギュラーズ達の連携した戦い方に、守られている男達は。
『……凄い』
 と、感嘆の一言を紡ぐので精一杯。
 ともあれ決して動く事は無く、耐え忍ぶ。
 ……そんな男達の協力もあり、ワイバーンを逆包囲網で、一匹ずつ確実に仕留める。
 そして、彼等の襲撃から十数分。
「もう残り少ねぇな。それじゃ、一気に仕掛けるぜ!」
 飛呂とバクルド両者の鋼の雨が戦場に一斉掃射を喰らわせる。
 撃ち抜かれ、次々と羽根に傷を負い、態勢を崩すワイバーン。
 数匹、何とかその攻撃を回避すると……かれらはそのまま空高く飛翔し、脇目も振らずに撤退。
 残された手負いのワイバーン達は、どうにか鉤爪での反撃を行うのだが……。
「害獣の駆除も冒険者のお仕事だからね。そっちもそれなりの知能を見せてくれれば早いんだけどね! 君達は、そこまで賢くない様だ」
 カインの閃光が彼等を包み込むと……残り全てのワイバーン達は、そのまま地に臥すのであった。

●実りの将来
 ……そして、亜竜種達をほぼ倒したイレギュラーズ。
「ふぅ……どーやら諦めて帰ってくれたみてーだな……」
 静かに息を吐くエドワード。
 そんな彼の視線の先には、手負いでフラフラと飛んで逃げる亜竜が数匹。
「おまえら、もう悪いことをするなよーっ!!」
 と大声でエドワードが呼びかけるものの、亜竜達は振り返る事は無い。
 そして彼等の姿が消えていった後、足元には倒した亜竜達。
「さて、と……で、このワイバーンは食えるのか?」
「おいおい……ここで言わない方がいいと思うぜ?」
 バクルドの言葉に飛呂が妨げる。
 種類は違うだろうが……同じ亜竜達である事には変わりはない。
 ともあれ、畑を耕していた仲間達からすればあいつらは敵なのは変わりは無いが……中々難しいところ。
「取りあえず、あいつらがこういうことをしなくても済むようにしてーもんなんだが……何か切っ掛けでも判れば良いんだがな」
「そうだね。取りあえず亡骸を畑から離して……僕がちょっと調べさせて貰うよ」
「難しそうだなー……頼めるか? 俺はともだちに、終わった事を伝えてくるからさ!」
「うん、判った」
 エドワードに頷くカインは、倒した亜竜の亡骸を調査を始める。
 その一方で避難させた人達にエドワードは声を掛け、彼等と共に畑へと戻る。
 一緒になって畑への被害を確認すると共に、無事な作物を取りあえずは収穫。
 更には周りにある材料で出来そうな害獣避けのカカシを、手早く作るバクルド。
『これは……何?』
 ときょとんとしている彼等へバクルドは。
「これからも亜竜種に効くかは分からないが、畑を守ってくれる案内人だ。作り方は……こうやって、こう。急ごしらえでその場しのぎの罠だからな。後でお前さんらでアレンジしてくれればいい」
 とカカシの作り方を教える事で、ちょっとでも安全に住みよく出来る様レクチャー。
 更にアレクシアからも。
「他にも何か困ったことはない? 遠慮無く言ってくれていいからね?」
『おお……感謝。困った時は、頼む、な』
 頭を下げる彼等。
 そして収穫した作物を籠に入れると共に。
「それじゃ帰ろうか。いい仕事をした後のご飯は美食で締める、って定番だし……もし良ければ、この野菜を使った料理を作らせて貰ってもいいかな?」
 そんなクロバの提案に興味津々で、亜竜種達は。
『是非、是非。頼む』
 と、嬉しそうに頷くのであった。

成否

成功

MVP

エドワード・S・アリゼ(p3p009403)
太陽の少年

状態異常

なし

あとがき

覇竜領域での人助け、皆様ありがとうございました!
かなり厳しい環境に過ごしている人々ですので、その食を守れた事は、彼等にとっても重要な事になると思います……!

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