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シナリオ詳細

雷獣バビロットの進撃

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●雷獣、奔る
「なんだ……?」
 鉄帝にある高山を登っていた男が、それに気付いた。
 赤く染まる太陽。バリバリと帯電するように震える大気。
 一体何なのか。何が起こっているのか?
 分からない。
 だが、何かが起こっている。
 近くにいた護衛の男が、警戒するように剣を抜いて。
 ズドン、と。護衛の男に稲妻が落ちた。
「なあっ……!?」
 黒焦げになった護衛の姿に、男は何事かと空を見上げる。
 山の天気は荒れやすいとはいうが、ここまで攻撃的に荒れるものなのか?
 分からない。
 分からないが……此処に居るのがマズイことくらいは理解できていた。
 ズドン、ズドンと。同行していた者達が死んでいく。
 その場を走って、山道を進み……やがて、洞窟のようなものを見つける。
 少なくとも稲妻を回避するには適当だろう。
 ほんの少しだけホッとしたような表情で男は手で汗を拭う。
 この空が元に戻るまではどうしようもない。
 そう考えて……ふと、思う。
 あれはどういう現象だったのか。
 その疑問は、すぐに解決することになる。
「ガルルルルルルルル……」
「ヒッ……ま、まさか!」
 白い毛皮を持つ、虎のような生物。
 2本の尻尾と、輝く金色の目。
 それは、まさにそれは。
「雷獣バビロット……!? なんでこの山に!」
 ズドン、と。
 音が響き、雷獣バビロットが一瞬で男の背後へと移動する。
 そして……男は、真っ黒に炭化してその場に崩れるのだった。

●討伐依頼
「ピルコマ山の頂上の観測所に行った商人が帰ってこないです」
 チーサ・ナコックはそう言うと、集まった面々を見回した。
 ピルコマ山気象観測所。
 山の上から雲の動きや天気などを観測し、天気予報などの予測情報に寄与する研究所だ。
 高い山の上にあるため、定期的に補給物資を運び込む必要があるのだが……その補給部隊と護衛、リーダーの商人が戻らない。
 そして山のふもとに、黒焦げになった遺体……の残骸が落ちているのが発見された。
 何らかの事情で麓に落ちてきたのだと思われるが、その事情がどうであるにせよ黒焦げとは尋常な死に方ではない。
 一体何があったのか。
 その辺りを考え資料を探るに「雷獣」と呼ばれる生き物の可能性が浮上した。
 雷を操り、天をも駆ける凄まじいモンスター。
 確証を得るため調査隊を派遣したところ「雷獣バビロット」と呼ばれる個体であると確認された。
 雷獣バビロット。
 白い虎のような外見と黄金の目、二股に分かれた尻尾の先には黄金の房がついている。
 その瞳のように黄金に輝く稲妻を纏い、空中を高速移動すると言われている。
 それがピルコマ山に住み着いたのは間違いないが……気象観測の邪魔だし、邪魔されてまだ補給物資を届ける事が出来ていない。
 これは鉄帝の様々なところに影響が出る緊急事態でもある。
「そこで雷獣バビロットを退治して、観測所に補給物資を届けてほしいのです」
 大きなリュックが2つ分。
 かなり重たいが……確かに必要だろう。
「皆さんにしか出来ない仕事です。よろしく頼むのです」

GMコメント

ピルコマ山に陣取った雷獣バビロットを撃退し、山頂の気象観測所に補給物資を届けましょう。
以下、必要情報です。

●ピルコマ山
険しい山。山道もまた険しく、途中にある洞窟などで休むのが一般的。
山頂は整備され、広い場所と気象観測所がある。
ただし馬車で通るのは相当に厳しそうです。

●荷物
巨大なリュックが2つ分。食べ物や飲み物、消耗品や研究資材が入っています。

●モンスター
・雷獣バビロット
白い虎のような外見と黄金の目、二股に分かれた尻尾の先には黄金の房がついている。
その瞳のように黄金に輝く稲妻を纏い、空中を高速移動する。
出てくる時には空が赤く染まる前兆があります。
全長は4m。空中戦は相当に得意です。
攻撃方法は上からの電撃「落雷」と任意の方向からの電撃「雷獣撃」、雷を纏った高速突進攻撃「雷獣突」です。
また、電撃を纏うことで自身を強化や回復もします。

・電化獣×30
雷獣の眷属となった鳥です。
常に電撃を纏っており、青白く輝いています。
放電攻撃、雷獣への回復の光といった手段を有しています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 雷獣バビロットの進撃完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年01月20日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レッド(p3p000395)
赤々靴
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
夜砕き
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
エステル(p3p007981)
エドワード・S・アリゼ(p3p009403)
太陽の少年
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
エア(p3p010085)
白虹の少女
シオン・シズリー(p3p010236)
餓狼

リプレイ

●ピルコマ山へ
「雷獣……バビロット……! か、……かっけーー!! 白い大きな虎ってことだよな! 人を襲ってるって状況じゃなきゃ、ともだちにくらいなりたいところだったぜ」
「ふむ、とある所では今年は虎が縁起の良いと聞く。験担ぎも兼ねていざ虎狩りと参ろう」
『ドキドキの躍動』エドワード・S・アリゼ(p3p009403)と『闇討人』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)がそんなことを言うが、確かに虎を今年の獣とする場所もあるという。
 そう、虎、虎。
「雷獣バビロットか……私は本当に虎に縁が深いようだね! しかも雷属性ときた! 同じ虎として負けるわけにはいかない!」
『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)がそう叫び、虎であると主張する。猫ではないらしい。
 外套や軍服は耐寒用の暖かいものに変え厚手の耐寒インナーも着込んだその姿は、実に暖かそうだ。
「んでも、ふつーはこのあたりに出るような奴じゃねーんだよな。なら、なんでこんなとこで人を襲ってんだろ……そいつもなんか、困ってんのかな……」
 悩むエドワードに、『暴走シャークライダー』エア(p3p010085)は彼らしい、と思う。
(依頼内容のイメージに関わらずバビロットの事を真っ先に考えるの、エドワード君らしいですね)
「こんな事になった原因を調べたいならお手伝いしますよ。今回はどうなるか分かりませんが、こういった事件を防ぐきっかけになるかもしれませんしね」
「ああ、ありがとな!」
 エアにエドワードはそう二カッと笑う。
 通常はこんなところには出ない雷獣。確かに何かあったと考えるのが自然ではある。
「雷獣……そんな連中までこっちの世界ではケモノなんだな。そんなことを言っている場合ではないか」
「うん? どういうことだい?」
「いや……」
 マリアに効かれて『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)は言葉を濁すが、どうにもエーレンの世界では雷獣はワイルド系美少女であったらしい。マリアがそれ(ワイルド系雷獣少女)枠ということでいい気もする。
 とにかく、自分の出身世界が特殊なのは頭では分かっていてもどうにも馴染めないようだった。難儀である。
(それよりも補給物資を待つ観測所の職員たちのところに行かなければな。自分より遥かに戦慣れした達人と肩を並べて戦える幸運に与ったことだし、少しでも学ばねば)
 エーレンは、そう気持ちを切り替えて。
「理由は何であるにせよ……雷獣バビロット、気象観測所への道に出現するとは、厄介ですね。冬眠の準備不足でしょうか。熊などは普段より凶暴な状態で迷い出るといいますし……それとも、何かの変化……?」
「確かにね……なんでまたこんな場所に現れたのやら。何かの前触れとかじゃねーといいんだがな。まあ、邪魔なものにはお帰り願うとしようか」
 エステル(p3p007981)に『餓狼』シオン・シズリー(p3p010236)も頷き、しかし今のところは何も分からない。
 そこにいる人に害をなす雷獣バビロットを倒す。
 そんな対処療法が、今のところ最適なのだ。
「とりあえず、バビロットに遭遇するまでは登山だな。足を滑らせて落ちねーように気をつけながら上っていくとしよう」
「そうっすね! 頂上の観測所に勤めてるひとお腹空かして待ってそうっす」
 恐ろしい動物が彷徨いているって報告にあるっすけどみんなと一緒なら怖くないっす、と。
『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)は場を盛り上げながら2つのリュックに触れる。
 各種の物資の入ったこれらを届けるのも、今回の大事な任務の1つだ。
 そのうちの1つはレッドの担当であり、ギフト「赤靴軌跡」で靴を登山靴に変化させて歩き易くする工夫もしている。
「よいしょっ……お、おっ、重いっす!!」
「確かに少々重たいですが、力持ちなフカ太郎に手伝ってもらえばなんとかなるでしょう。よろしくね、フカ太郎♪」
 もう1つはエアの担当だが、こちらはフカ太郎に騎乗することで負担を減らしているようだった。
「一応、荷物を隠せそうな場所にバビロットの現れそうな場所……幾つか目星はつけてござる。これでござるが……」
「これだけ情報があればだいぶ違いますね」
 咲耶の調べた情報にエステルをはじめとした仲間たちも頷く。
 事前の情報は大切だが、咲耶のおかげで大分楽になるのは間違いないだろう。
「とりあえず今はこのリュックの中身を届けてやらねーとな!」
「ふふっ、護衛ありがとうございます。エドワード君が守ってくれるなら安心です。」
 エドワードとエアがそんな会話を交わし、シオンも山の上を見つめる。
「バビロットに遭遇するまでは登山だな。足を滑らせて落ちねーように気をつけながら上っていくとしよう」
「何事もなく観測所まで辿り着ければいいけど……そうもいかないんだろうなぁ……」
 シオンとマリアも頷きあい、山道を登り始める。
 この先にあるのは、確実に戦闘の発生する場所。
 だからこそ、全員が気合を入れ直していた。
「かしこみかしこみ申します、この地の風と雷の精霊よ。この身に降りかかる厄災を報せたまえ……」
 そんなエステルの祈りの言葉が響いて……ピルコマ山の探索は、始まったのだった。

●雷獣バビロット
「ちょ、ちょっと休憩っす……!」
 本日何度目かの休憩をするレッドだが、仕方ないと言えるだろう。
 思いたい荷物を背負いながら険しい山道を行き、その上で散発的に襲ってくるバビロットの眷属、電化獣たちと戦っているのだ。
「この山が居心地良くて住み着いちゃったんっすかね?」
「分からんでござるな。とはいえ、こうも分散して襲ってくるなら対処も容易い」
 レッドに咲耶もそう答えるが、事実電化獣たちは、纏まって行動しているというわけでもないようだった。
「バビロットは迷い出た、で片付きますが……此処を完全に縄張りにしたということでしょうか?」
「獣が縄張りを移動したっていうのは、あんまり良い兆候じゃねえな……」
 そう話し合うエステルとシオンの視界に、リニアドライブで上空から敵の警戒と安全な経路へ味方をナビゲーションしていたマリアの姿が映る。
「どうやらこの近くに追加の電化獣は居ないみたいだ、休憩出来そうだね」
「そっか、ありがとな!」
 エドワードもそう言うと、此処までまだ姿を現していないバビロットに想いを馳せる。
「バビロットたちも、いきなり知らねー場所で出会ったオレ達にびっくりしてるだけなのかもしれねぇ。これ以上人を襲わせたくねーし、ほっとけねーよな!」
 どの道、戦って勝つ必要はあるが……エドワードの優しさは、いつか似て非なる事態が起こった際に悲劇を防ぐカギになるかもしれない。
 無味乾燥であるよりは、余程良いというものだ。
 それがエアにも分かるのだろう。
 あるいはエドワードに近いが故に理解できているのかもしれないが……。
「戦闘が起きたこの付近なら、バビロットが今回の行動に至った理由を見つけられるかもしれません。荷物の警戒は怠らずに少し調べてみましょう」
 もしかしたらバビロットや電化獣が好むような条件があるのかもしれない。
 そういったものを把握できれば今後の対策なども打ちやすいというものだ。
 此処で得られる情報はたかが知れているかもしれないが、各所で情報を統合すれば、あるいは何か手がかりも掴めるかもしれなかった。
「同様の事件が起こらないとも限りませんし、わたしもエドワード君が言うように人を襲った理由が知りたいです」
 エアのそんな言葉にエドワードも力強く頷いて。
「……荷物からつまみ食いしてないっすか?」
 レッドの呟きにファミリアーがプイと視線を逸らしたりと、まあ……色々あったのだが。
 山を進み登っていくと、やがて頂上も近くなってくる。
 そして……その瞬間。空気がバリバリと帯電し始める。
 赤く染まる空は、まさに聞いていた通りの前兆だ。
 電化獣の羽ばたきも聞こえ始め、マリアが仲間たちにも伝わる声で叫ぶ。
「来たね! こちらも仕事でね! 悪いけど通してもらう!」
「来ましたか……雷獣バビロットと愉快な鳥の群れですね」
 エステルの言葉通り、空を駆ける稲妻纏う白い虎の姿がそこにはあった。
 黄金の目、二股に分かれた尻尾の先の黄金の房……どれもが聞いていた通りで、雷獣と呼ばれるに相応しい外見であった。
「ガルルルル……!」
「……どうやら俺達を派手に歓待してくれるらしい」
 冗談交じりにそう言うと、エーレンはサザンクロスを引き抜く。
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。……お前たちに恨みはないが、済まんな」
「よし、まずは取り巻きの鳥どもから倒すぞ!」
 シオンが叫び、プラチナムインベルタが放たれる。
 そして反撃のように電化獣の電撃が、そしてバビロットの雷が放たれる。
 合わせて四方八方から放たれる電撃は凄まじく、被害者たちが成すすべなく殺されたのも理解できる凄まじさだ。
 だが、それでも咲耶は思う。
(……成程、確かに雷獣と言われる事はある。だが)
「人もただ殺られてやれる程柔ではござらぬよ。少なくとも拙者達はな」
 牙も爪も嘴も持たぬが磨いてきた武や技術、知識がある。
「この飢えた捕食者達に我らはただの獲物では無いという事を教えてしんぜよう」
 咲耶の黄泉迦具土が放たれ、電化獣を撃ち落としていく。
 続けて雷装深紅を纏ったマリアの天槌裁華が放たれ、その間にレッドとエアは荷物を被害を受けない場所へと移動させていく。
 それは、事前にしっかりと対策し構築した鉄壁の布陣。
 だからこそ電化獣はその数をどんどんと減らしていき……最後に雷獣バビロットだけが残る。
 この戦いの中で、バビロットも傷ついてはいるが……未だ健在。
「ふふ! 君がバビロット君か! 待たせたね……君と私、どちらの雷撃が上か! 勝負!」
 そうして、2つの雷撃がぶつかり合う。
 落雷の音が響き、突進攻撃と拳打がぶつかり合って。
 そして、何よりもマリアは1人ではない。
 仲間たちの攻撃が次々とバビロットに叩き込まれる中で、ついに決着の時が訪れる。
「おおおおおお!!! これが私の全力だ!!!」
 最後に叩き込まれたマリアの一撃が、バビロットに痛烈な一撃を喰らわせる。
 ズドン、と。岩肌にぶつかったバビロットがそのまま地面へと落ちるが……その瞳には、すでに戦意はない。
 そしてこれもまた、事前に話し合っていたことであった。
「意外っすか? ボクたちは雷獣バビロットを殺すつもりなんてないっすからね」
 そう語り掛けるレッドを、バビロットはじっと見る。
「これに懲りたらもうこの山には近付かないことっす。ほら、行った行ったっす!」
「もう人を襲うなよ! 次会ったら、ともだちになろーな!」
 レッドとエドワード。
 2人の声にバビロットは1度だけ振り向くが、そのまま飛び去って行って。
「弱肉強食はこの世の摂理、されど強者の暴虐もまた淘汰される運命です。ですが……こういう終わりも、良いでしょう」
「ま、そうだな」
 エステルとシオンも頷いて。
「強かった……」
 マリアもまた、雷獣……もとい雷虎勝負に勝ったことに、僅かな余韻を感じていた。
 すでに赤く染まった空は元に戻っているが、仕事はまだ残っている。
「さて、では荷物を届けにまいろうか」
「そうっすね! 観測所の人達が待ってるっす!」
 レッドと咲耶がそう頷きあい、再び全員で山を登っていく。
 そうして到着した頂上の気象観測所では、バビロットとの戦いの音が聞こえていたのだろう……所員たちが心配そうに出てきていた。
「おお、無事でしたか!」
「お荷物、お届けっす!」
 レッドとエアが荷物を降ろすと、所員たちが喜びの声をあげて観測所の中へと荷物を運びこんでいく。
「いやあ、助かりました!」
「ふふ! 役に立てたなら良かった!」
 マリアがそう言って笑う。実際、これで気象観測所が物資に困ることはしばらくはない。
 雷獣バビロットの問題も、これで解決と言えるだろう。
 ひょっとすると、今度は敵ではない状態で出会えるかもしれない。
 これもまた、選択の結果だろう。
 その立役者であるレッドとエドワード……それとエアは、近くの山に向けて「やっほー」と声をあげている。
 返ってくるのは……「やっほー」という声。
「……山彦か」
「ああいうのも、こういった場所ならではでござるなあ」
 エーレンと咲耶が、微笑ましいものを見るような目でそれを見て。
 やがて、全員が楽しげに笑い出す。
 それは、全てが解決したが故の、心からの笑いだった。


成否

成功

MVP

マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
とっても爽やかに終わって素敵だったと思います!

あと「にゃーん」って言えないのが少し寂しかったです。

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