PandoraPartyProject

シナリオ詳細

再現性東京202X:同人誌即売会pants panty project

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●コス売り子だよ、リアちゃん!
 足に謎のリボンを撒いた黒ビキニ清楚シスターことリア・クォーツ (p3p004937)が、『自宅のシスターがエロすぎる件について』というタイトルの同人誌を積み上げた長机を見つめていた。
 その隣では、同じ足リボン黒ビキニ清純派巫女こと炎堂 焔 (p3p004727)が『焔ちゃんをほむほむする本』という同人誌を積み上げている。
 うずたかく積み上げられた同人誌をチラ見したあと、見上げると巨大な横断幕にこう書かれていた。
 ――同人誌全部売るまで帰れま神
「……焔ァ!」
「違うよぉ! ボクのせいじゃないよぉ!」

 希望ヶ浜でよくみる光景になりすぎてうっかり受け入れてしまいがちだが、まずはいきさつを語ることにしよう。

 『夜妖が出た!』という希望ヶ浜地区ではもはや定番となりつつある呼び出しを受け、焔、リア、そしてたまたま希望ヶ浜へ飲みに来ていたコルネリア=フライフォーゲル (p3p009315)、最近がっつり女子っぽくなってしまった雛菊モードのボディ・ダクレ (p3p008384)、更には仲間達が集い、夜妖の潜むという希望ヶ浜晴海埠頭へと向かった。海もないのに埠頭と名乗るこのエリアには、始末屋たちにも倒しきれない強力すぎる夜妖が住み着いてしまっているという。
 もはや戦闘では対処できなくなってしまった夜妖を払うべく特別な儀式が必要となり、シスターや巫女を中心としてメンバーが集められたのねと――。
「話を受けたときには、そう思ってたのよぉ……」
 両手で顔を覆い、『ハッピー乳イヤー』と書かれた同人誌を積み上げた長机前に立つコルネリア。
 その横ではボディが『無知シチュ本』とかいうド直球なタイトルの同人誌を前にコォーっとした顔をしていた。虚無っぽい顔である。
 カッと効果線を出しながら顔アップで振り返る焔。
「皆! 『同人誌全部売るまで帰れま神』は希望ヶ浜晴海埠頭に住み着いた強力な夜妖だよ!
 この夜妖を払うにはコス売り子になって自分をモチーフにした同人誌をいい感じのサービスで来場者たちに提供しきるという神聖な儀式を行う必要があるんだ! 心のうちでは嫌がっていても最大限の笑顔とお子様が見ても大体大丈夫な程度のサービスを全力で打ち出す姿勢が大事なんだよ! 姿勢が!」
 『儀式は姿勢が大事』と要約すればものすごくその通りだが、自分の同人誌を希望ヶ浜民(こっちは普通に来てる参加者たち)に提供しきるという激しいミッションを課せられることになった特待生たち。
 同級生や生徒たちが思いっきり来てるこの会場で(ローレットの身分や夜妖払いの事情を隠しながら)全力で同人誌をさばききることができるのか!?
 いざ、決戦の時!

GMコメント

●同人誌全部売るまで帰れま神さまへの儀式
 強力な夜妖である同人誌全部売るまで帰れま神さまを払うには専用の儀式を行わなければなりません。
 皆さんは自分を題材にした同人誌(謎の妖精さんが用意してくれました)を長机に並べ、コスプレした売り子となって来場参加者たちに売りさばくのです。
 来場者は夜妖とかローレットとか知らないってクチなので『先生……え、自分の同人誌を……売って……?』てなるけど全力で(全力で!)好意的に売るムーブを打ち出して下さいお願いしますどうしても必要なんです神様を払うためには仕方ないんです病気の妹が居るんですいないけどただ見たいだけです。

 皆さんもお察しのことかと思いますが、ここまでの流れは全部フリです。
 PLが、あるいはPCが『こんなこと本当はしたくないのに……!』みたいな心を抑えてフルパワー笑顔でコス売り子してるさまを見れたらめっちゃ楽しいだろうなというフリです。
 なので細かいことは一旦プレの外側においといて全力でお楽しみください。このコメント全力って三回も言いました。

●同人誌
 妖精さんが一瞬(?)で用意してくれた同人誌です。
 どんな内容の同人誌なのかプレに書いてみましょう。書いてみませんか? お願いします書いてください見ないと死んじゃう病気なんです嘘だけど。

●コス売り子
 この同人誌を全力で捌くべくコスプレして売り子をします。
 衣装は2~3種用意しておくとベストです。多すぎても少なすぎてもよくないのですだってねっとりと描写するにはそのくらいの分量が丁度良いって神様がいうんです夜枕元に立って言うんですお願いします全身図かピンになった状態を想像しながら楽しみましょう。

 余談になりあますが、来場者たちは自分達もイベントの一員だと思ってお行儀良く振る舞うので、コス売り子に不埒なマネをしたり他者と喧嘩をしたりとにかくワルイことはせず、賢者みたいな顔をして集まっています。なので『客』という言葉をあえて使っておりません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 再現性東京202X:同人誌即売会pants panty project完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年01月15日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
※参加確定済み※
リア・クォーツ(p3p004937)
願いの先
※参加確定済み※
リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)
叡智の娘
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
わんこ(p3p008288)
雷と焔の猛犬
ボディ・ダクレ(p3p008384)
アイのカタチ
※参加確定済み※
結月 沙耶(p3p009126)
少女融解
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤
※参加確定済み※

リプレイ

●同人誌は滅びんさ、人類の夢だからだ!
「ちくしょう…………!」
 『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)は長机を両手の拳でぶったたいた。
 ズドンという音と共に、両サイドに平積みした冊子が一瞬だけ浮く。
 倒れた値札をちらりと見て、何気なく手に取った。『コルネリアをネリネリする本』と書かれた札を、黙って立てる。こちらは新刊ではない。I❤AKUと書かれたぴちTを着たコルネリアが安アパートの窓際で缶ビールを手に煙草を吸うという、こじれた青年の性癖から生まれ出たような表紙がかかれたものだ。
 新刊はなにかというと、『賭博黙示録 悪ネリア』と書いてあった。顎の尖ったコルネリアが裏表紙だが、表には下から見上げるような角度でボンテージに鞭というこってこてのコスチュームのコルネリアが描かれていた。
 ――『悪の幹部となったコルネリア、任務の為に正義の麻雀大会へ出場し決勝へ、勝てば敵対組織の重役と顔を合わせるチャンス、勝ち上がって暗殺の機会を手に入れろ! しかし負けてしまえば……?』
 気になる煽り文を一通り見てから、それをべしーんとテーブルに叩きつけた。
 なぜなら。
 今まさにコルネリアは悪の幹部衣装(ボンテージ)姿だったからである。
「このためか!!!!!!!!!!!!!!!」
 ン゛ア゛ア゛! とさっき叩きつけたものを持ち上げてもっかい叩きつけると、遮るように鳴り響く開演のベル。
 真顔かつ早歩きで押し寄せる、地響きのごとき足音に顔をあげると、コルネリアは一度前髪を両手でガッとかきあげた。
 覚悟を決めた目、一度つぶり、天をあおいでから……。
「あ〜らっしゃいあせ〜らっしゃい〜」
 完全接客モードで笑顔を作った。
 同人誌を売るためなら魂すら売り渡すとは、なんという悪!(今日一番のAKUポイント)

 『龍成の親友』ボディ・ダクレ(p3p008384)がいた。
 っていうか雛菊changがいた。
 どかんと立ったポールからさがったタペストリー型の広告には、ワンピーススカートをたくし上げ口でなんかをくわえている雛菊が大写しで描かれ、『ボディ無知シチュ本』とポップな書体であおられている。
 ――『とある雑誌のモデルとして写真撮影をすることとなったボディ。カメラマンの指示で様々な衣装やポーズで被写体となるが、撮影は次第にヒートアップする。何も疑わず素直に従う彼女はついに危険な領域へ……』
 などと書かれたテキストを、今まさに無数の紳士達が眼鏡をくいくいしながら見つめていた。
 その視線が、一斉にボディへと向く。
 そこには、同じ格好のボディが胸元ばっくりいったアイドル風の衣装を纏っている。イラストのものと同じだ。
「まったく、私がこんな無知な子供のように騙されるはずがありません」
「「えっ?」」
「えっ?」
 それはツッコミ待ちなのか? という声と顔をうけて、ボディは困惑の表情で首を振った。
「雛菊(ボディ)ちゃん! そろそろ衣装チェンジの時間だよ!」
 『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)がめっちゃ可愛い声で、ぴょんぴょんはねるような足取りでやってきた。
 手には、あろうことかバニースーツ。
「その、やけにハイレグの角度が凄いと言いますか……」
「雛菊(ボディ)ちゃん」
 言わんとするボディの肩に手を置いて、焔はシリアス回で見せるタイプの顔をした。
「注目効果は前衛に必須」
「なるほど……?」
 では早速着替えましょうといって服の裾をぺろっとめくり始めるボディに、焔がウワーといって慌てて着替え用カーテンをひっぱった。

「ふう、ボディちゃんすぐ脱ぐから困っちゃうよね。龍成くんにもいつもああなのかな」
 焔は、都内ワンルームアパートの二階で同居する彼と雛菊ボディを想像した。
 お風呂に入るからとかいってその場で服を脱ぎ捨てるボディと、黙ってシャツやら下着やらを回収して洗濯籠に放り込む龍成を想像する。家はアパートじゃないしそんな暮らししてない筈だが、なぜかありありと想像できた。
「まいっか。ボクもちゃっちゃと売りさばいちゃわないとね」
 焔がそう言って手に取った同人誌『焔ちゃんをほむほむする本』。
 本を開いてみると――『ボクは炎堂焔、昼間は学生だけど夜は怪物退治をしてるんだ!クラスの皆には内緒だよ?
 今度の敵は全身をオイルマッサージされて気持ちよくならずに耐えないと倒せない敵
 何度も声が出そうになったけど耐えきったし反撃!
 え? まだ終わってない? まさか! ダメ! 耳は弱いの! 今ほむほむされちゃったら! んぁぅ!』
 そこから10ページにわたってほむほむされ続ける焔ちゃんが描かれ、焔は静かに本を閉じた。
 ふと、自分の売り場(厳密には配布スペース)を見る。試し読みをしていた人が、無言で焔を見た。
 足リボン黒ビキニの焔をである。
 サッと顔をそらし、さっきの同人誌で目元を隠す焔。そのせいでむしろ強調してしまっているというか唇から下だけ見えてるせいでいかがわしさが1.25倍になった感じがした。バズるタイプの絵面である。
 助けを求めるべく振り向き、そして知った顔を見かけた。
(あっ、あれは同じクラスの……)
「おーい!」
 焔は『〇〇くーん(ここに自分の名前を入れよう)』といって大きく手を振った。

 クラスで目立たない僕が同人誌即売会で出会ったのはコスプレし英智なる同人誌を売るクラスメイトの焔。それから僕らは皆にナイショの――。
 という妄想が膨らみそうになったので次に行こう。2000字くらい余裕で吹き飛ぶだろうから。

「うおーーーーーーーー!」
 ここでクールダウンがてらご想像いただきたい。
 天井から紐でぶら下がった白いアザラシがジェット噴射しながらすげー勢いで回転するさまを。
 アザラシっていうか、『わもきち』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)が回転するさまを。
「オイラの活躍を描いた本やグッズを売る会だってー!?
 すっげー面白そうじゃねーか!こんな楽しいイベントがあるなんて知らなかったぜー」
 うっかり英智方面に注目しがちだが確かにこの手のイベントは同好の士を見つけ趣味を共有し合うもの。
 正義のヒーローとっかり仮面が悪の組織と戦う独特の画風をもつ漫画が並び、ワモンを摸したぬいぐるみ(ガトリング部分もぬいぐるみ)やアクリル板が販売されていた。
 ひもから外れてぽふっとパイプ椅子に着地するワモン。
 今日は学生服(学ラン)と学帽を装着したアザラシスタイルである。
「このあとはコスプレ広場でとっかり仮面になるぜー! AKUのコルネリアと戦うぜー!」
 うおーといって両手(ひれ?)でぺちぺち机を叩くワモン。
 その隣では、『シャウト&クラッシュ』わんこ(p3p008288)が今日一番Hな姿勢でなが机の上に立っていた。
 https://rev1.reversion.jp/illust/illust/42768 ←これだぞ! このURLの先にはものすごくHなピンナップがあるぞ!
「わんこの売る同人誌は――頑なに狼と主張するわんこを甘やかして犬に堕としていく全年齢向けほのぼのコメディ『ぷれいばう』! こうなったら全力でコス売り子になってみせマス!」
 覚悟を決めたHわんこはHの姿勢のままぴょいーんとジャンプすると空中で高速回転してから着地した。(既にピンナップは全人類が認知したはずなので詳細な描写は省くものとする)
「売るには同人誌の内容を端的に現したコスプレをするのが道理デス! くらえわんこのコスプレパワー!」
 ぎゅいーんとその場で回転すると、どういうわけかしらないけど一瞬でコスチュームが替わっていた。
 胸にわんこと書かれたスク水の上からジャージを羽織ったメイドカチューシャとスカートの犬耳少女がHのポーズで立っていた。
「スク水に、Hに、メイド! もう鮪カツ丼くらい鉄板デス!」
 同意を求められた通りすがりのにいちゃんが『お、おぅ』と言って引きかけた。肩を掴み、そっと耳に唇を近づけ。
「……買ってクダサァイ」
 耳に残る謎のなまりをくわえたウィスパーボイスを滑り込ませた。
「例え見知った顔だろうと構わぬ。
 クラスメートとかマイティーチャーだろうと構わぬ!
 引くが良い、戸惑うが良い、笑うが良い!ここに立つ以上、わんこはプロなのデス」
 媚びぬ退かぬ省みぬの精神で文字通り体当たりするわんこであった。

 ――『ノルン荘の大家、リウィルディア。ある日突然住人の男子高校生Aに「趣味に付き合って欲しい」と言われ縛られてしまう。動けないことへの恐怖、自分より力の強い男、縄のもたらす微酔感。段々と緊縛に溺れていく彼女だが、その胸には変わらぬある思いがあって……』
 一通り読んだ『女神の希望』リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)は、しずかに本を閉じた。
 これを書いたヤツを引っ立てて処断してやると考えながら。
 が、それは叶わなかった。なぜならリウィルディアは本と同じ縦セータージーンズ姿で売り場に立っていたからである。
 目の前では純朴そうな男性が本と縦セタルディアを交互に見ている。
「……クッ!」
 唇をかみしめる縦セタ幻想貴族リウィルディア。
 そんな性別をカミングアウトしてからのピンナップがはげしいリウィルディアは式神にスッと両手を出すと、その腕をくるくると縄で縛らせ始めた。
(……っ、こんな姿で恥ずかしいけど、参加者をこちらに集めるためなら仕方ない)
 とかいって目を瞑っていると、今度は式神が後ろからよいしょって段ボールを出してきた。
 既刊、リウィルディア本が詰まった箱であった。あと破れ巫女服も。
「………………」
 本と服と、そして式神を見る。
 そして、ついさっき新刊を買った純朴そうな男性がその本を見た。
 無言の時間が、三秒ほど。
 スッと人差し指をさした男に、リウィルディア巫女本は手渡された。

「とっかりビーーーーーーム!」
 ワモン(人間形態)が謎のポーズで謎のビームを放つ……ふりをしていた。
 広場でどかばきするのはいかんらしいので、カメラを構える人達の中心でポーズをとるのみであるが。
 対面ではAKUネリアがヌワーといいながらやられポーズをとっていた。
 その合わせがだいぶ気に入ったらしく、さっきからシャッター音が鳴り響いていた。
 でもってその隣では。
「見せモンじゃないのよ……ッ!」
 『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)がキッとじぶんとこの生徒をにらみ付けていた。
 すごい今更言うけど、焔のクラスメイトが来るくらいなのでこの回は全年齢回である。
 そしてちゃんと言っておくけど、今のリアはdskbシスター服姿である。
 最近豪奢で瀟洒な露出度ゼロのシスター服を新調したリアに対抗したのか反抗したのか、胸元ばっくりのスリットスリスリの服であった。
 あとスリットの横からは赤い紐が覗いていた。
「ち、ちがうのよ今日はちょっと色々予定があったから……!」
 ひもを履く予定ってなんだろう。そんなことを心の中で呟く男子生徒が取り出したのは、『自宅のシスターがエロすぎる件について』という同人誌だった。
 春夏秋冬あらゆる場面でどうかしちゃってるリアと、その場面場面でずっとキリッとした決め顔をしてるドーレが描かれた漫画である。
「くっ……!」
 胸元と腰の辺りを同人誌で隠しながら(逆効果)、リアはさっさと『買っていけ!』と生徒達をさばいていた。
 が、そんな中。
「あれっ? 本が増えてるぞ!」
 コスプレ撮影会を終えたらしいワモンが戻ってくると、段ボールがピラミッド詰みされているのを発見した。
 側面には『焔×リア合同本(サークル名:HOMULIA EFFECT)』とあった。
「「…………」」
 スゥっとカッターナイフをはしらせ、箱を開き、一冊だけ取り出す焔。そしてリウィルディア。そしてコルネリア。
「音楽室でそんなことを!」
「こっちは一緒にお風呂に入ってこんな!」
「一緒に夜妖に捕まって!?」
「やめろぁ!」
 リアはラリアットをかましたい腕を翳したまま、しかしプルプルと震えて崩れ落ちた。

 では最後にご覧下さい。お待ちかねの『表裏一体、怪盗/報道部』結月 沙耶(p3p009126)。
『私は結月沙耶!またの名を怪盗リンネ! でもこっちのあだ名は秘密だよ!
 でもある日、潜入したお屋敷で突然の罠にはめられてわからされちゃった!?
 しかも敵に正体まで見破られるなんて!
 口封じしてやりたいけど体が全然動かないし、だんだん私の服まで――くうっ…こんなところでそんなことされる位なら、いっそ私を殺せ!
 でも一向に私を殺さないどころか私へのソレはエスカレート! ああ、私どうなってしまうというんだー!』
 両手でパタンと閉じた本を机に戻し、沙耶は己のメイド服を見下ろした。
 着替えの中にあった服の一つ。っていうか、ミニスカメイド服一択であった。
 そして、更衣室のハンガーにはそっと手紙がそえられていた。
 コホンと咳払いして、机越しに相手を見る沙耶。
「お、お帰りなさいだ主、その……食事の準備はもうできているから……」
 右手をご覧下さいの姿勢をとってから、沙耶は『くっ!』とその手で顔を覆った。
「恥ずかしい! 無理だ! 他にはないのか!」
 サッと専用の簡易更衣室(フープ状のレールからカーテンがさがったもの)へ飛び込み、サッと出てくるミニスカ巫女服(ノースリーブ袖つき)の沙耶。
「…………」
 それを目にした男たちは、紳士の顔で黙ーって一眼レフカメラを取り出した。
「ま、待て! なんでこのタイミングで撮影を始め――やめろそんな目でみるな! く、く……!」
 目を背け、天に向かって沙耶は叫んだ。
「くっ殺せ(くっころ)……!」

 天空に沙耶のくっころが響き渡った頃、ようやくにして同人誌ははけた。
 会場にはほたるのアレが流れ、紳士の顔で拍手する男たちの姿。
 なんだかやりきった八人は、パイプ椅子にくてぇっと座り込んでいた。
 押し寄せる欲望と視線。しかし誰一人として手を出したり危険にさらしたりする者はいなかった。
 目は高尚な美術品を眺めるかのように澄んでいて、美術館のように静かに、そして厳かに場は流れていた。
 なんか思っていたよりもクリーンな環境に、『こんな空間もあるんだな』などと沙耶たちは疲れきった身体で考えもした。
「そう。同人誌即売会とは己の想いを具現化し、共有する場。欲望に満ちているがそれは同時に夢でもある。我々はそれを今日、共有したのだ」
 妖精さんがスゥーっと出てきて紳士の顔で言った。
 椅子から立ち上がり、こっくりと二度ずつ頷く沙耶たち。
 そして。
「「死ねぃ!」」
 ほぼ全員のパンチが妖精さんの顔面にめり込んだ。

 夜妖は払われた! めでたしめでたし!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

めでたしめでたし!

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