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シナリオ詳細

君だけにあげる『悪』のささやき

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●修道院に迫る危機(笑)
 幻想・クォーツ修道院。リア・クォーツ (p3p004937)が身を置く修道院として内外から知られるそこでは、今年もシャイネン・ナハトを盛大に祝っていた。
 ……筈だが今日はそれから4日後ほどの話であり、もうあとは年を越すだけという段にきていた。きていた、はずだ。
「黒く輝くこの夜に(メリーバッド・クリスマス)!」
 だが、混沌はそんなに甘くない。年の瀬のこの夜、皆が寝静まったクォーツ修道院に現れたのは『ダークネスサンタ』と呼ばれる悪性の色々アレなサンタであった。
 曰く、良い子にプレゼントを置いていく。それは定番のサンタ仕草だ。
 が、彼が置いていくのは『子供にとって悪のプレゼント』。定義は広いがとにかく悪いもの……例えばコレジャナイおままごと人形とかそういうのだろう。
 そして、悪のプレゼントによって揺さぶられた心に忍び寄り、少年少女を悪い子にするのが彼の所業であり生き甲斐であった。
 現に、幻想内ではちょくちょくシャイネン・ナハト前後を境にそれまで聞き分けが良かった子供が悪に走るケースが散見されているのだ。
 当然一部の修道院でもそういう例はあり、なかには育児ノイローゼめいた症状を呈すシスター達も居たのだとか。仕方ないっちゃ仕方ない。孤児を育てるだけでもかなり労力を要すのに、いきなり悪い子になられたら原因がわからず困り果てるに違いない。原因を追求しても「そう」とは答えない……だが悪のプレゼントだけは残るのである。
「ヒヒヒ、今年のシャイネン・ナハトは出遅れたがその分極上の獲物にありつけたぜ! この修道院のガキ共は揃いも揃って善良、そして名の通った修道院ときた! こいつァ弄り甲斐が――」
「どこの修道院が弄り甲斐があるって?」
 ダークネスサンタの誰向けか分からない独り言に応じるように響いた声は、鈴の鳴るような透明なそれだった。……そう。
「なんか怪しい奴が暗躍してるって聞いたらサンタのパチモンなのなんなの。キレそう」
 『自覚なき破壊神』リア・クォーツ!
「アタシの知り合いの修道院でオイタなんていい度胸だね。覚悟しな」
 『悪のシスター』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)!
「リア様の前に出て悪のサンタだなんて冗談を宣う方もいらっしゃるのですね。それで、達成前に邪魔される気分はどうですか?」
『悪の占い師』ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)!
「ダークネスサンタ、その生体は確認済みですよ! 今日こそ消滅させてあげましょう! 主に拙者以外の7人がね!」
 『汚い宇宙警察忍者』夢見 ルル家(p3p000016)!
 そしてイレギュラーズ生え抜きの『我こそは悪』って感じを漂わせるド悪党共が勢揃いだ! さあダークネスサンタを!
「グワァァァァァーーーーッッ?!」
「……え?(×7)」
 これからなんか熱い戦いが始まるんじゃないかなんて思った一同には大変申し訳ありませんが、ダークネスサンタはリアを見た瞬間に叫び声を上げて全身から黒い霧を吹き出しました。
「ここからは拙者が説明いたしましょう! 悪どい皆様を集めた理由もね!」
 やっぱお前が黒幕なんだな。

●今明かされる真実~君達の『悪』を問う~
「ダークネスサンタを倒すには力づくでは無理なのです! ならばどうするかと言うと、『子供にとってより悪いプレゼントを提案し、悪のパワーを上回ることでダークネスサンタを消滅させること』が必須なのであります!」
「で、それがなんであたしを見ただけで弱ってるのよ。あと――追加で弱体化したみたいだけど」
 リアはちらりとヴァイオレットを見た。思わず見られた彼女がどこかたじろいだのは間違いではなさそうだ。
「多分リア殿を……リア殿を……」
「リアがどうしたのだわ?」
「やめましょうこの話!」
「キレそう」
 説明しかけたルル家、流石にヤバさを感じ取ったのでやめた。賢明な判断だ。

 兎にも角にもダークネスサンタに『悪のプレゼント』とは何かを理解(わか)らせる必要がある! その上で消滅を目指す!
 皆の悪の提案力を貸してくれ――!!

GMコメント

 なおリアさんを見た時点での減少率が本来の8割だそうです。

●成功条件
 ダークネスサンタの消滅

●ダークネスサンタ
 OPにある通りの存在。厳密には悪意が凝り固まって出来た半ば伝承めいた精神エネルギーの集合体に近いですが、ダークネスサンタを増やす習性があるとかないとか。悪人になった子供をさらに利用する気満々である。
 より悪いプレゼントを提案されると見る間に弱体化し、最終的に消滅します。残り2割の存在力となったことで底力的ななにかが発生しており、中途半端なところで消滅することはないでしょう。

●悪いプレゼント
 『これじゃない』感のつよいおもちゃ、将来の育成に悪影響を与えるものetc...とにかく『子供に悪い』と判断されたものは大体悪。
 でも対象年齢や悪いこと強度に応じてかなり変動値が高く、弱ったダークネスサンタでも反撃できてしまうプレゼンになってしまうのはご愛嬌。
 なおなんでリアさんが存在だけで(略)。

●重要な備考
 このシナリオは悪依頼でこそありますが、非常にコメディタッチの強い作品になっております。
 あとダークネスサンタは消滅します。
 なので、ガチ悪人的な振る舞いをすると一周回ってダークネスサンタの強化を赦してしまう可能性がありますので笑いの神に身を委ねましょう。
 その代わりに私のヒビ入った肋骨が死ぬ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合、『幻想』における名声がマイナスされます。
 又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。

  • 君だけにあげる『悪』のささやき完了
  • GM名ふみの
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年01月10日 22時22分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

夢見 ルル家(p3p000016)
夢見大名
※参加確定済み※
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)
願いの先
※参加確定済み※
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)
咲き誇る菫、友に抱かれ
※参加確定済み※
小金井・正純(p3p008000)
ただの女
鏡(p3p008705)
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤
※参加確定済み※

リプレイ

●俺知ってる、『頭の悪いのはどっちかっていうとふ〇〇辺りに投げておけば安牌』(要約)みたいなことがまことしやかに囁かれてるってコト
「危なかった……! リア殿がいなければ危なかったかも知れない……!」
「なんで弱体化してんの? おい、ルル家、言ってみろ」
 『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)がいきなり極端に弱体化したダークネスサンタの姿に胸をなでおろしている傍らで、事態を見守っていた『願いの先』リア・クォーツ(p3p004937)が頬をひくつかせ問いかける。こいつに連れられてきた結果、というかクォーツ院が狙われた結果とはいえ尊厳を激しく損なわれた気がする。なおこちらに話を振られてもちょっと困る。
「リア殿がいたせいで弱った理由についてはあまり考えず、その恩恵だけを受けて頑張りましょう! こっち見ないで下さい!」
「キレそう」
「あ、アローアロー? わたしわたし。そう、ペッてされてる浪人の妹。卑しいっしょダークネスサンタ! 聖なる夜を荒らし回るのもここまでよ!」
「逆非道と呼ばれたアタシの出番ね……ダークネスなプレゼントを渡してサンタに引導を渡してくれるわ。覚悟しなさい!」
「まあ、害がある以上、放っておくわけにも、いかない。悪のプレゼント、披露してやると、しよう」
 『音呂木の巫女見習い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)、『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)、『……私も待っている』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)の3名はめいめいに名乗り上げ、ダークネスサンタの方へと身構える。得物はまだ抜かない。まずはダークネスサンタとの悪プレゼントバトルが待っているのだ。
 3人ともに悪に関しては一家言もつ者達。恐らくかなりの成果を上げるに違いない――。
「帰っていいですか?」
「なんかもうほっといても自然消滅するんじゃね?」
「でもここでアピールしとかないとアタシが悪だって分かってくれないし」
「リアが居れば、そのうち勝手に消滅する、のでは」
「全員正座しろ」
 だったんだけど、『影を歩くもの』ヴァイオレット・ホロウウォーカー(p3p007470)の正直な感想をうけ、3人めいめいに気弱な態度を見せてしまった。リアの目がひかった。
「……、なぜでしょう。このノリ、久しぶりですね。懐かしさすら覚えます」
「まだ早いですよぉ正純ちゃん。まだまだ、これからノリがキツくなってくるんですからぁ」
 目の前で繰り広げられる惨事に文字通り親の顔より見た(かもしれぬ)安心感を覚える『燻る微熱』小金井・正純(p3p008000)であったが、鏡(p3p008705)はそんな彼女を制止する。得てして危機というものは精神が弛緩しているタイミングに訪れるもの。安心しきったタイミングを狙い撃ちにされてはたまらない。あと、リアの存在だけで半壊したダークネスサンタの存在強度に対して舐めプこいたらどうなるかも、直感的に鏡は心得ていた。戦闘がどうとかではなくもうちょっとアレな意味でろくなことにはならぬと。
「悪人の計画を頓挫させる事が出来るって聞いてきてみれば何ですコレ。……ルルがワタクシ好みの依頼を持ってくるような人ではないとは思っておりましたけど……」
 ヴァイオレットはルル家の方をジト目で眺めた。この卑怯な宇宙警察忍者が他人の願いを正しく聞き届け理解するのはS・A(プライバシー保護)きゅんぐらいなもんなんだろう。とんでもねぇ女である。
「ヴァイオレットしかり、コルネリアさんしかり、私の周りには悪を自称する方が沢山いますが。……もしかして2人も幼い時にダークネスサンタの影響を!? ということはこれは幼き日、ダークネスサンタによって苦しめられたものたちの復讐劇でもあるわけですね。……いいでしょう! 私も微力ながら力を貸します!」
(いえそんなことは言ってないんですが)
(アタシは面白いから黙っとくわよ)
 で、正純はといえばそんなヴァイオレットや増してコルネリアあたりが悪人ムーブしている原因はダークネスサンタにあるのではと言い出す。
 そんなことはビタイチないのだが(そもそも片方旅人だし)、正純のこういうところが面白いので2人はひそひそ話程度にしておいた。
「まあ、害がある以上、放っておくわけにも、いかない。悪のプレゼント、披露してやると、しよう」
「拙者これでも清廉潔白なる宇宙警察忍者、いわば体制側の存在でありますからして。うむ……しかしこれは……」
「なんでこっちを見たルル家」
「ひらめきました!」
「答えろルル家」
 エクスマリアは兎も角として、ルル家はなんだかよくわからない「思いつき」に至った様子。それがリアの方を向いたことが切掛だったがために相手の怒りを買った。こういうことするから家が爆破されるんだぞお前。
「ヒヒ、甘いなァ。クォーツ院の連中にとって何が悪の扉を開くのかは分かっている。俺は! 決して! お前達に尻尾を振って命乞いをしたりなどしないッ!」
「「「……あー」」」
 ダークネスサンタはそこまで自慢気に語ってから、しかし(笑)って感じのイレギュラーズ一同を見た。
「そのクォーツ院きっての修道女であるリアちゃんの前でそれを自慢するなんてぇ、面白すぎますよぉ?」
「私ちゃんもちょっと無謀な事言ってるなって感じた」
「勝ち誇っている悪人が無様に陥れられるのを見るのってなんて楽しいんでしょうねぇ……」
 鏡、秋奈、ヴァイオレットを愉悦に巻き込むこのダークネスサンタの言行が、果たして数分後にどうなるのか。それは誰にも……いや、もう分かってるなこの顛末。

●こういうことしてるから嗜虐されても「まあそうね」で終わると思うんだよね
「拙者の悪のプレゼントはこれです! イレギュラーズならみんな大喜び!闇市で最も古くから愛されるもの! 乙女のパンツ!」
 ルル家が取り出したのは、ローレット・イレギュラーズなら誰もがお世話(意味深)になった乙女のぱんつ。これでさらなる散財への道を歩む者、奈落から引き上げられた者、悲喜交交の体で運命を狂わされた者は枚挙に暇がない。
「それにこの依頼に参加する方のブロマイドを1枚ずつつけます! するとどうでしょう! まるでその方が使用していた下着のようではありませんか!」
「ふむ。マリアの写真が入ると、不味い、のか?」
「マリア殿はPPP倫的にやばいのでありません! 拙者? 無いにきまってるじゃありませぬか!」
 続くルル家の余りにド外道畜生ムーブ満載の言葉に、エクスマリアは思わず抗弁する。だが自分が対象外なのでそのコメントも空転していた。
「ルル家? 自分のブロマイドもあるでしょ、後ろ向いてケツ出してるアレがよ」
「ルル、ワタクシまで陥れるのでしたら陥れられても文句は言えませんね? 正面向いてニコッと笑ってください屈託のない笑みで、さあ」
 なおそんなコトしてリアとヴァイオレットの毒牙から逃れられるかっていうとそうは問屋が降ろさねえんだよなあ。
「で、でも! 聞いてください、しかもこれは組み合わせによって無限の可能性を生み出す知的発達を促す玩具にもなります!」
「面白いから最後まで聞いてやるのだわ」
 ルル家を覗き込むコルネリアは、辛うじてその言い分を聞き届けることにした。なお秒で後悔するぞ。
「例えばですよ! この派手目な下着! これをヴィオの写真と組み合わせるとドキドキしませんか! 純ちゃんの写真と組み合わせると、こんな清楚な顔して……みたいなこう、ギャップっていうのですか? そういうのがぐっと来ます! これを受け取った子供は捨てる事も出来ず、当然親にも言えず! 大人の女性の下着を持っているという罪悪感と共に生きるのです!」
「……うわぁ」
 ダークネスサンタの体から少し煙が吹き上がった。
「しかし、貨幣価値の高いぱんつは、子供に与えるには悪いもの、と言えるかもしれない、な」
「なぜ私を巻き込んだかは深く聞きませんが、反省の必要はありそうですね」
 エクスマリアが変な納得の仕方をしているだとか、正純が流れ弾を食らってこれは反撃せねばと身構えているだとかそんな惨状は脇に置くとして、しっかり削っているのは本当にもう。
「私もちゃあんとプレゼント持ってきましたよぉ、よいしょっと。もうね、この大きな袋を見てもらえば私の本気を分かって頂けると思いますぅ」
 色々とアウトなルル家の提案に続き、鏡が背中に隠していた大袋を開封する。手を突っ込んだ鏡はそれをまさぐり。
「ちょおっと待っててくださいねぇ、えーっとぉ……あこれ駄目だ『こんぷらいあんす』に引っかかる。
 んー…これも違いますね、悪いとか悪くないとかじゃなくて公共の場で出すモノじゃない。あれぇー?」
 鏡はしばし袋をまさぐり、一部戻したりしつつ目当てのものを見つけた。だが、『私的に利用するんで』戻されたコルネリアのなんかもあった。当然コルネリアが抗議したが聞いちゃいねえ。
「……もう、これでいっか。はい、「『放送中の人気アニメグッズ』っぽいだけのパチモン財布」」
「あ、再現性東京のプライズゲームに並んでた! 私ちゃんも見たことある!」
「地味に布地とかも安っぽいのがポイントよねぇこれ」
 鏡が取り出したブツに呆然とする者がいる中、秋奈とコルネリアは見事に食いついた。地味にその辺詳しいコルネリアは本当にもう。悪いことしか知らないな。
「色々それっぽいマークとかあるんですけど全く無関係なんですよぉ」
 ところで鏡、その、背後でサンタに煙が集まってる気がしない? 気の所為? そう……。
「はい、これが過疎化して新規が見込めなくなったけど古参勢で食いつないでる練達製オンラインシミュレーターゲーム『コルネリアオンライン~君と創る悪の花~』よ」
 続けざまにコルネリアが取り出したのは練達のゲーム。オンラインなので幻想ではプレイ不可とかそれは置いておく。が、内容が兎に角、対立と承認欲求をガバにするしかけが満載の地獄のゲームだ。情操教育に最悪!
「どの道を歩んでも悪の道を歩ませる闇のゲーム……これこそ子供の教育に悪い最高の悪辣……ふふふ……恐ろしいか?」
「やっぱりコルネリアさんはダークネスサンタにお世話になっているのでは?」
「俺に押し付けないでくれる?」
 コルネリアのキメ顔に思わずサンタを見る正純と否定するサンタであった。
「そしてトドメ……プレゼントはアタシ!!」
 一同がまさかの発言にざわめく。おい誰だ『うわキツ』とか言ったの。
「この悪辣オーラ輝かせるアタシの一日一緒に悪チケットを渡すわ!」
 はい解散。終了。ダークネスサンタの弱体化はなしです。
「先ずは一緒にゴミ拾いボランティアの前日に街のゴミ拾いをして偽の募金団体から取り返したお金を正規の手順で振り込むことによって世に混乱をもたらすのよ! 共に!!」
「悪いこととは……?」
 ヴァイオレットの問いかけが虚しく響いた。

「さて、ダークネンサンタとやら、本当の悪というものをお教えしましょうか。……本当に悪い子なんて居ないんですよ。子どもにが悪に走るのは大抵が、『そこにしか逃げ場がなかった』……そんな状態でしかないのです」
 だからこそ『悪に変える』ことは容赦しない、と。彼女が差し出したのは薄い本。それも、年頃の女性と少年がくんずほぐれつ、少年が主導権を握るという奴だ。
「此処は、リア様の居られる修道院ですよ? 既に幼い性癖が善意のペンチでへし折られかけてるような所です。中には年頃の子も居る……そんな所にこの本を読んでしまったならどうなるか解りますよね?」
「ちょっと? 何を言ってるの?」
「アナタに家庭崩壊の業を背負う覚悟はありますか?」
「ヴァイオレットさん!?」
 ヴァイオレットの謎の詰めっぷりに、リアは思わず肩を掴んで揺さぶった。自分とこの修道院がなんでそんな風評被害(じじつ)を?

●悪しかいねえ
「さて、マリアの番、だな。マリアが用意したのは、人形、なのだが。練達の方で見つけてきた品、だ。なんと、等身大サイズで、人間の体を精巧に模して、ある。
 肌色やピンク色が多く、子供には刺激が強いかもしれない、が……保健体育にもよいかも、しれない」
「マリア殿!? まずいですよ!!」
 エクスマリアは布に覆った『それ』を撫で付け、にやりと笑みを浮かべた。ルル家はその態度にヤバいものを――自分のことは棚に上げて――覚えた。
 流石にやべーのではないかと一同に緊張が走る。
「さあ、受け取るが、いい」
 布を剥いだ後に現れたのは、まさかの人体模型。呆然とする一同、ドヤるエクスマリア!
「む? どうした。人体について学べる、良い教材、だぞ? ……まあ、楽しく遊べるものを想像していたなら、勉強用のものが出てきた、となれば。がっかりするのも仕方ない、だろう。うむ。これこそ、まさに悪のプレゼント、だ」
「なるほど、中々のワルっぷりなのだわ……」
「こうなったら私ちゃんが本当の悪いプレゼント、なくすことのできない知識でもって対抗してやるぜ!」
 感心したようなコルネリアの反応にこれはそろそろ出番が減るな? と焦った秋奈は次を逃すまいと挙手をする。知識? と首を傾げた一同にドヤ顔だ。
「純粋のままでいてほしいにゃんには秘密だけど、ちゃんヴィオとかルルハウスくんあたりにとってはもはや当たり前の用語『タチ』と『ネコ』。語源は諸説あるけどタチは『太刀』というわかりやすい隠喩以外にも、歌舞伎の『立役(男の役)』から来ているとも言われてる。ネコはネコ車を押している姿が受けっぽく見えるからって何言わせんのよバカ」
「誰も、止めてない、が……」
「私ちゃんも以前、なんやかんやでへこんでしょんもりしてたとき希望ヶ浜の公園を徘徊したもんよ……あの日の専攻が忘れられないのぉ、って」
 多分その腐った知識より徘徊してた時の映像記録渡したほうがダメージ大きかったと思うんだよね。ぐんぐん再生してるよあのサンタ。
「一応私、星に祈りを捧げる巫女なので、あんまり教育に悪いものとか思いつかなかったのですが……星の声がやけに鮮明だったからまとめてきたんですよね、はいこれ」
 正純はそう言うと、ダークネスサンタに『駄目な恋人の飼い(横棒で消されている)養い方』という手製の本を差し出してきた。
 「ダメな人間のここが可愛い!」「ダメな人間にかけてはいけない言葉10選!」「もしお金を貸してほしいって言われたら?」などの目次が並ぶ、正直こんなもんで教育されたらとんでもねえ逸品である。ダークネスサンタがたじろいだ。いや駄目な幻想存在をヒかせるとかとんでもねえなアンタ。
「今だぜ、リアさん!」
「子供達にとって教育に悪い物……ね。ちょっとまってて、今思いついたわ」
 リア、修道院のとある部屋を荒らし、手に何かを持ってきた。今は夜、家探しすれば年頃の少年なら起きるはずだ。
「持ってきたわ!」
 うん、本とその持ち主を持ってきちゃってるな。

●おかしいな、EXプレイングはOFFのはずだが
「これこそクォーツ修道院に眠る悪いプレゼント、その名の『さっきドーレの部屋を掃除してたらベッドの下から出てきた本(いっぱい)』よ! いやー吃驚したわよ! まさかこんなのが出てくるなんてね!」
 リアが自慢げに話す部屋の扉の影に人の気配がするのを鏡は感じ取っていた。っていうか気付いてないのリアだけだよな。
「……ふむふむ、ふーん? ねぇ、見てこれ! どれも水着だったり、なんかちょっとこう、アレな感じね! あはは、あいつもお年頃って事なのかしら~♪」
「全員髪が長い……長くない?」
「見てこの本! これも、それとこれも! 写っている女の人……どれも黒髪! それと乳でかいわね! ははぁ~こういうのが好みなのかしら~~ははぁ~~?」
 リアの言葉に、扉の裏の気配と一同の表情が凍りついた。プレゼントとすら言えないものの開陳でここまで『悪い』とは。それ以上はいけないとルル家が止めかけ。
「って事はよ! 秋奈とか、ワンチャン鏡とか、行けるんじゃない? ねえねえ、後で一緒にこの本をあいつに返しに行きましょうよ! 大丈夫、いけるって! あたし、あいつの事ならなーんでも知ってるのよ!」
「ギャアアアアアアア……!!」
「それじゃあダークネスサンタを倒そっ……あれ?」
 リアが振り返った先には、ダークネスサンタは影も形もなくなっていた。
 シャイネン・ナハトが終わってから追撃を受けたドーレ少年の今後が心配だが、依頼は達成されたのだ! やったぞイレギュラーズ!
「ところでこの袋の中身修道院に寄付させていただいてよろしいですか?」
「いいわけねえだろ」

成否

成功

MVP

アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)
願いの先

状態異常

茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)[重傷]
音呂木の蛇巫女

あとがき

 成人おめでとう(意味深)。
 いやあ強敵だったなー! リアさんが弱体化させてなかったらなー! もうこれはなー!
 というわけで死体蹴りを全方位に向けて行ったストンピングクイーンのリアさんが優勝です。
 これはちょっと、うん……ちょっと……可哀想……。

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