PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ウチのポチがいないの! ポチを探して!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●と、とある貴族のマダムは言った
「うちのポチがいなくなってしまったのよ」
 と、あなた達に依頼をした、幻想貴族の女性は言った。
 ポチ、ポチかぁ。なるほど、ペットの捜索依頼だろうか。こちとら、何度も死線をくぐっている歴戦のローレット・イレギュラーズだ。ペット探しとなれば正しい意味での役不足であろうが、しかし依頼は依頼。イレギュラーズ達の活動が、パンドラをためることになるのなら、これも立派な、世界を救うお仕事である。
「ポチはね、寒さに凍えていた所を拾ったのよ」
 と、マダムが言う。執事が、「さぁ、どうぞ、冷めないうちに」などと紅茶をすすめてきたので、あなた達は一口いただいた。いい茶葉を使っているのだろう。美味しい。
「それから、ずっと一緒だったの……そりゃあ、いつも仲良くしていたわけじゃないわ。たまには喧嘩したり、叱ったりね。でも、絆が出来ているつもりだったわ……」
 なるほど、なるほど、そうですか、と、あなた達は相槌を打つ。執事が、「さぁ、どうぞ、おいしいですよ」とケーキをすすめてきたので、あなた達は頂いた。美味しい。多分お高いケーキだ。
「ポチは、茶色い毛でね……結構、筋肉質って言うのかしら? がっしりした子なの。ちょっと生意気でね。私にもよく口答えしたわ……あ、いなくなったのはポチだけじゃなくてね、ベン、タマ、コロも」
 増えた。いなくなったペットは一匹だけじゃなかったのか。そうなると、厄介かもしれない。いや、一匹だけでも充分厄介な仕事なのだが、それがトータルで四匹ともなると。
「そうなると、はやめに捜索に取り掛かった方がいいかもしれませんね」
 と、あなたの仲間のイレギュラーズがそう言う。
「街は広いですし、外に出てしまったかもしれませんね。そうなると、何日かかるかも割りませんから、早速捜索を行いましょう」
 仲間がそう言うのへ、あなたもしっかりと頷いて見せる。ペット探し。平和だが、確かに時間と労力のかかる仕事だ。さっさと初めて、速やかに終わらせてしまうのがいいだろう。それに、ペット探しと言っても、幻想の貴族の依頼。成功させれば、報酬は相応にいただけるはずだ。
「じゃあ、お願いできるかしら……」
 と、マダムがそう言った瞬間――。
 ズドン! と! まるで屋敷の何処かが爆発したような音が聞こえた! 同時、いくつもの足音が、バタバタと聞こえてくる! 貴女はとっさに、武器を手にした。間違いない、襲撃だ! だが、どうして?
「マダム、下がってください!」
 仲間が、マダムを庇うように、後ろにやった。同時、応接室の扉が音を立てて乱雑に開かれる!
「テメェ、ここに居やがったかババア!!」
 と、声を張り上げて入ってきたのは、茶髪の、見るからに山賊か何かと言う感じの男であった! 強盗か!? こんな白昼堂々と!? 貴族の屋敷に!? 些か混乱するあなた達――だが、マダムは「ああっ」と声をあげた!
「ポチ! 帰ってきたのね、ポチ!」
 はぁ? と。
 あなた達は声をあげた。
「テメェ、二度とその名で呼ぶんじゃねぇぞ!」
「ポチ、相変わらず素直じゃないのね! ああ、それにベン、タマ、コロも!」 
 ずだだだだ、と飛び込んできた、見るからにヤバげな風体の男女を指さし、マダムはとんでもない事を言った。
「誰がコロよ! 殺してやるわババア!!」
 コロさんが叫ぶ!
「ちょっと待って」
 仲間が声をあげた。
「事情を説明してくれる?」
「あぁ!? てめぇ、ババアから聞いてねぇのかよ!!」
 ポチが叫んだ。
「俺たちはな、その女に金で飼われてたんだよ!」
「そんな! 確かに、ウチに来ない? お金ならあるわ、とは言ったけれど! でも、あなた達との絆は……」
「ねぇよ!」
「ちょっとまって」
 仲間が声をあげた。
「えーと……ポチを探してほしいというのは」
「そうよ! その子を探してほしかったの!」
「脱走奴隷?」
「違うわ! 最近幻想も物騒でしょう? そこで、山賊とか、死罪になりそうなシリアルキラーとかを、ボディガード代わりに飼う事にしたのよ!」
「今凄いこと言ってるって自覚あります?」
 仲間が頭を抱えた。
「そう言うわけだから、俺たちはその女に飼われてたんだよ! だが、嫌気がさした!」
 そりゃそうだろうな、とあなたは思う。言葉の上ではコミカルだが、やってることは色々とサイコパス過ぎる。
「俺たちは脱走した……だが、この怒りは冷めやらねぇ! そこでお礼参りに来たわけよ!」
「寂しくて帰ってきたんだわ!」
「人の話聞けよババア! そんなんだから嫌なんだよ!!!」
「イレギュラーズさん達!!!」
 ババアが叫んだ。
「ポチたちは、悪い子じゃないの」
 いや、山賊とか死罪になりそうなシリアルキラーじゃなかったのか?
「ただ、ちょっと機嫌が悪いだけ……少しぼこぼこにしてあげれば大人しくなるわ! お願い! 死なない程度にぼこぼこにしてあげて!!」
 えぇ……と、あなたは思ったが、しかしこれも仕事である。受けてしまった以上、やらなければならない。
 何でこれ悪依頼じゃないんだろう、結果として悪人を討伐してるから善依頼なのかな……などと考えつつ。
 あなたはポチたちと戦う羽目となった――。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 最近世の中物騒でしょう? というわけで、ペットを飼ったのです。

●成功条件
 ポチたちを生かしたまま捕らえる。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●状況
 貴族の女性からもたらされた、「ポチ」を探してほしいという依頼――。
 ペットの捜索かと思ったら、逃げた奴隷(?)の捜索でした。
 言われてみれば、確かに犬とは言っていなかった。だからってこんなことある?
 困惑するあなた達。しかしポチたちは、お礼参りに貴族邸を襲撃。襲い掛かってきました。
 降りかかる火の粉は払わねばなりません。
 皆さんは、ポチたちを無力化し、マダムに差し出し、今日の事はもう忘れて、報酬でご飯でも食べに行きましょう。
 作戦決行タイミングは昼。バトルエリアは貴族邸宅内部。エリアは家財などが散乱していますが、充分に広く、戦闘面でのペナルティは存在しないものとします。

●エネミーデータ
 ポチ ×1
  前科37犯の山賊。男性。デカい斧が獲物。見た目通りのパワーファイター。
  物理前衛タイプです。BSとして『出血系列』や、『渾身』を持つ攻撃を行います。

 ベン ×1
  前科21犯の強盗。男性。ちぬられたナイフが獲物。見た感じのスピードファイター。
  回避型前衛タイプです。BSとして『毒系列』や、『スプラッシュ』を持つ攻撃を行います。

 タマ ×1
  前科17犯の放火犯。男性。火炎瓶が好き。遠距離担当。
  神秘型遠距離タイプです。BSとして『火炎系列』や、『背水』を持つ攻撃を行います。

 コロ ×1
  前科13犯のシリアルキラー。女性。弓矢とか使う。遠距離担当。
  遠距離物理射撃型です。『ブレイク』や『溜』を持った攻撃なども行います。


 以上となります。
 それでは、皆様のご参加とプレイングをお待ちしております。

  • ウチのポチがいないの! ポチを探して!!完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年12月31日 22時06分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

キドー(p3p000244)
最期に映した男
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
……私も待っている
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
エルシア・クレンオータ(p3p008209)
自然を想う心
黒水・奈々美(p3p009198)
パープルハート
リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)
( ‘ᾥ’ )の化身
暁 無黒(p3p009772)
No.696
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
航空猟兵

リプレイ

●ポチたちは踊る
 ~今回のあらすじ~
 ペット捜索の依頼だと思ってたら、ヤバい犯罪者どもを探してほしいという依頼だった。

「ど、どうしてこうなるのよぉ……!」
 『パープルハート』黒水・奈々美(p3p009198)がたまらず頭を抱えた。奈々美の目の前には、ヤバい顔をしたヤバい犯罪者集団がヤバい獲物をもってこちらを威嚇している。ペット捜索の依頼だと聞いていた……いや、確かにペット捜索の依頼だった。まさかペットがやべー犯罪者だったとは思わなかっただけで……。
「あ、あれ? これって嘘つかれてないって事……? いや、反則よこれぇ……!」
 涙目で頭をふる奈々美。
「気持ちは分かるっす……」
 と、なんか遠い目をしながら『No.696』暁 無黒(p3p009772)が言った。
「マダムもマダムっすけどこいつ等もこいつ等っす……。なんなんっすかこれ……世紀末っすか? いや、世紀末でももうちょっとモラルと秩序はあるっすよ……?」
 いう通りである。このモラルも秩序も人間性も崩壊したような現場に、今イレギュラーズは叩き込まれていた。
「何ぶつぶつ言ってんだ!!」
 ポチが叫んだ。手にした大ぶりの斧がギラリと輝く。
「ポチ、その斧、私がプレゼントしたのよね。どんなクソ野郎の頭もカチわれるようにって……」
 よよよ、とマダムが泣いた。何言ってんだこいつ、とみんな思った。
「何言ってんすか、この人……」
 無黒は思わず声に出した。
「ひ、ひいっ! まともな人間がどこにもいないわ!? これ失敗したら……あ、あたしもタマとかになっちゃうのかしら……!?」
 首輪をつけられてマダムに使役される自分の姿を想像する奈々美。絵面がヤバい。
「怖すぎるわ……! ぶっちゃけペットたちよりもこのマダムの方がおかしいじゃないの……!?」
 おっしゃる通りである。とはいえ、如何にヤバい人とは言え、今回はクライアント。クライアントの依頼には従わないといけません。
「という事は、まぁ、戦うしかないんじゃろうなぁ」
 『揺蕩う老魚』海音寺 潮(p3p001498)が、むぅ、と腕を組みつつ、いった。
「わしのポチは大人しくてとても良い子じゃよ。
 ペットを飼うのは初めてじゃったんだろうが、 依頼人さんも飼いやすいペットから始めればよかったのにのう。
 飼い主もペットも両方不幸になるだけではないか」
「そういう問題っすか……?」
 無黒が突っ込んだ。
「でも、ポチさんたちに同情しかできないよ……。
 わかるよ、すご〜〜くわかる、ボクも狼なのによく仔犬だとか犬っころだとかわんわんおだとか言われるからね。
 ポチじゃないのに、ポチって言われるの、すごい嫌だよね、ポチさん!」
 にこー、と『狼殺し』リコリス・ウォルハント・ローア(p3p009236)が言う。屈託のない笑顔に、ポチはキレた。
「ポチじゃねぇっつってんだろ!!」
「ん-、じゃあ、ポチさんのお名前なんて言うの?」
 小首をかしげるリコリスに、ポチはこほん、と咳払い。
「いいか、俺の名前はな、」
「ポチよ!!!!」
 ババアがインタラプト! ポチの本名はババアの声にかき消された!
「だ! わかったか!」
「うん、わかったよ、ポチさん!!」
 リコリスがにこー、と笑った。ポチはキレた。
「じゃねぇよ、黙れよババア!!」
「収拾がつきませんですよ!」
 『流れ込んだ悲しみと』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)が、むむむ、と唸った。
「とにかくいったん落ち着くですよ。そしてポチ! ハウスですよ!
 ……あれ? ポチのハウスはここなので、つまりもう目標は達成されていませんか?」
 むー、と両こめかみのあたりに両手の人差し指をつけて、小首をかしげるブランシュ。ポチはキレた。
「ハウスじゃねぇし目標も達成されていないだろうが!? なんなんだお前ら、なんかこう……なんなんだ!?」
 ポチが地団駄を踏む。ブランシュは、むー、と頬を膨らませた。
「わがままなポチなのですよ! ここは一つ、家族仲睦まじく位して終わりにするのですよ!
 それでブランシュたちもお金をもらって、今日のことは全部忘れてご飯食べて寝るのですよ!」
「知るかよそっちの事情なんてよ!」
「ああ、嘆かわしい。これだから短命種は」
 はぁぁぁぁぁ、とめっちゃわかりやすくため息をつく『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)。エルシアはこほん、と咳払い。
「短命種って、どうしてこんなにも愚かしいのでしょう……そこが愛おしさだと言われればそこは否定出来ないのですけれど、取り敢えず痴話喧嘩に私を巻き込むの止めて下さい。
 さて、そんな愚かな短命種の皆さんに、私から提案があります」
「何か、いい策でも、あるのか?」
 『……私も待っている』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)が、む? と小首をかしげた。
「はい。エクスマリアさんは、あちらのバ……マダムを後ろの方に」
「わかった」
 エクスマリアがこくこくと頷くと、とてとてと歩いていって、マダムにちょいちょい、ってやった。
「マダム、戦いが始まると危険だから、後ろに下がって欲しい。
 具体的にいうと、エルシアの声が聞こえないくらいのところに」
「あら、そう? お嬢さん、これくらいかしら?」
 てこてことマダムが移動した。
「うん、それ位が丁度いい。
 エルシア、もういいぞ」
 こくり、とエクスマリアが頷くのへ、エルシアが頷いた。
「あの……皆さん、本当にこれで宜しかったんですか?」
「あぁ!?」
 ポチが威嚇した。周りの犯罪者どもも、武器を構える。エルシアは意に介した様子もなく、続ける。
「この手のマダムみたいな方は、何を言っても都合の悪いところは無視して、都合の良いところだけ曲解して、自分の望む結論に至るんですね。
 ソースは幻介さんを追いかける時の私ですが。
 さておき、心当たりはおありでしょう?」
「それは……」
 ポチが呻く。
「確かに、あのババアは妙にポジティブって言うか、こっちの言う事を何でもいい風に受け取っていたわ……!」
 コロが言うのへ、エルシアは深く頷く。
「そうでしょうそうでしょう。彼女はたとえ嬲り殺されても「可愛いペット達にされる事なら本望!」と喜ぶ事でしょうから、お礼参り自体が悪手だったんです……!」
「マジで……?」
 ベンがトン引きした。
「マジです。保証します」
 適当な事をエルシアが言う。
「うむ……それにペットさんや。
 一度依頼を受けたからには、わしらはそう簡単に負けるつもりはないし、この場を切り抜けたとしても、この依頼人さんなら諦めきれずにさらに追手をけしかけてくると思うんじゃが……」
 潮がうむうむ、と頷いた。『最期に映した男』キドー(p3p000244)が、相槌を打つように、頷いた。
「あー、ああいう人ってさ。ほら、ああいう人だから」
 具体性はなかったが、なにせああいう人なので、それだけでもよくわかる。ポチたちは戦慄した。
「いやー、俺も借金したときにあの手のマダムに売られそうになったことはあるけどよォ……」
 実際に売られた間抜けは初めて見たぜ、という言葉は一応飲み込んだ。とはいえ、若干顔がにやついていたのは否めない。が、ポチたちは、エルシアや潮の話をまともに聞いていたので、その表情は一切に目に入らなかったし、キドーもそれを理解していたのでにやついていた。
「どうすればいいんだ?」
 タマが言うのへ、エルシアは頷く。
「そこでポチさん達に提案です。
 ……改めて別れを演出し直して、マダムに自己完結して貰いませんか?
 具体的にはここで私たち戦って、わざと負けて、「こんな実力では貴女を守れないので修行の旅に出る」と、悔しがるフリをするんです」
「ほう」
 ポチが頷く。
「はっきりと言うが、マリア達も、まともに戦って負けるつもりはない。
 仮に負けたとしても、そちらにも相応にケガするはずだ」
 エクスマリアがそう言うのへ、むぅ、とポチたちは唸った。犯罪者たちとしての直感が、イレギュラーズ達は強い、と告げている。
「これはどちらにとっても有益な物。最近知ったwin-winという奴ですよ。
 一つ賢くなって大人になった気分ですよ」
 うんうん、とブランシュがいう。
「まー、その、なんだ。もし、マダムがどーしても代わりのペットが欲しいってんなら……代わりになってやっても…………いい」
 とキドーが言うので、みんな「えっ?」って言う顔をした。
「不承不承、かつダミーだからな!? テメェらを追わせない為に、時間稼ぎに気を引くだけ!
 俺に変な願望とか趣味はねェ! この中で一番適してそうなメンバーが俺だからだ!」
 言ってて空しくなってきたがさておいて。これはポチたちにも魅力的な提案に思えた。適当に一芝居うって、適当に退散、その後行方をくらました方がいいかもしれない。その後何をするにしても、ここで英雄たるイレギュラーズと正面から戦ってぼこぼこにされたうえでマダムに引き渡されるよりかは、なんぼかマシだ。
「……いいだろう、乗った」
 悪党には悪党の鼻のきき方がある。そう言った意味では、彼らは損得を瞬時に理解できる、出来る悪党であった。
「では、そういう事で」
 エルシアはにこやかに笑うと、仲間達に頷いた。
「マダムには手を出させませんよ~」
 そしていい加減な感じで声をあげる。するとポチもなんかいい加減な感じで、
「おう、舐めやがって、ぶっ殺してやらぁ~!」
 とか言い出した。かなり茶番だが、事情を知らないマダムにとっては、高尚か何かが決裂したようにしか見えない!
「ああ、ポチ! ポチを止めて!」
「えーと、あ、はい。了解っす」
 無黒が我に返って頷いた。
「……な、なんなのよ、この依頼……?」
 奈々美が困惑した顔を見せる。正直洗井落雲にもなんでこうなってるのかよくわからない。
「んー、とりあえず、まずはバトルだね!
 おっけー、( ‘ᾥ’ )ジッ…」
 リコリスが( ‘ᾥ’ )ジッ…ってしてる。
「では、さくっと初めてさくっと終えるですよ! リプレイの文字数もあと三千文字くらいしかありませんですよ!」
 ブランシュがにこにことそう言った。
 まぁ、そういう訳なので。
 茶番劇の始まりである――!

●ポチ、ハウスしない。
 茶番劇といったものの、犯罪者は加減ができるほど器用な達人でもない。バトル事態は極めて普通に進行していた――。
 ポチの一撃は重い。それを無黒は身軽に回避しつつ、その手に携えた光撃をお見舞いしてやる。
「えーっと、いい感じに手加減っすよね!」
 ぽこん、とポチの頭を小突いてやる。小突く、とは言ったが、そのダメージは充分デカい。ぐらり、と意識を失いかけたポチが、何とか踏みとどまる!
「いてぇな、くそが!!」
 これは茶番である。茶番であるが、相手は犯罪者なので理屈は通用しない。殴ればキレる。マジで殺しにかかってくる。そういうものである。
「こ、ここ、これ、結局普通のバトルと変わらないんじゃないの……!?」
 奈々美が悲鳴をあげながら、コロの放つ矢から逃げ惑う。ずざぁ、とソファの裏に隠れて、そこから紫のハートのステッキをぴょんぴょんと振った。そこから放たれる連続魔の魔弾が、コロを撃ち抜く。
「テメェ!!!」
 コロさんがキレた。「ひ、ひぃっ!」と奈々美が怯える。マジの犯罪者が威嚇してくるのは、怖い。普通に怖い。
「あお〜ん! ボク敵意はないよ! でも撃たれたら撃ち返すよ! ばきゅんばきゅん!」
 リコリスが容赦なくぶっ放す。まだまだ相手は元気そうなので、多少無茶してもいいだろう。リコリスの銃弾はあざ笑う死神のそれ。コロさんの手を撃ち、痛みに隙を作らせた!
「よーし、隙ありですよ!」
 ブランシュが戦場をかけた。トップスピードに乗ったブランシュが、己が身を弾丸に見立てて放つ、まさに超新星の一撃! まともに受けたコロさんがフッ飛ばされて、
「こ、これ以上はヤバいわね……まいったわ!」
 と、降参。残る遠距離攻撃手、タマさんは、げらげら笑いながら火炎瓶を投げつけてくる。ヤバい奴だ。
「火の扱いがなってませんね」
 もっとヤバい奴がいた。エルシアだ。エルシアはふぅ、とため息一つ。手を掲げる。その手に描かれる赤の紋様、集う魔力が火炎の砲撃とかし、タマさんを狙った!
「あっちぃ! あち、やべぇ、ストップ! 参ったからストップ!」
 泣き言をいうタマさんがダウン。さて、残りは二人、ポチとベンだ。やはりポチの一撃などは脅威的だが、無黒の動きに翻弄され、ダメージを蓄積された今となっては、その本領を発揮するには遠い。
「くそが! ちょこまかと動きやがって!」
 ポチさんがお怒りのお言葉をあげる、無黒は焦った様子を見せつつ、
「え、ちょっとまって、これって八百長っすよね!?」
 とか声をあげるが、
「ううん、完全に頭に血が上っているな……」
 とエクスマリアがぼやいた。
「単細胞ってやつだね!」
 リコリスが、おお、と感心した声をあげる。
「煽らないでくださいっす!!」
 無黒が悲鳴をあげた。渾身の力を失ったとは言え、ポチの攻撃は重い。無黒は回避を行いつつ、
「おお、傷の手当ならわしに任せるんじゃ!」
 潮から回復術式を受けて、何とか相手をしている。
 さて、残るベンとは、キドーが相対している。ともに種類は違えどナイフ使い、刀身が輝き、打ち合うたびに甲高い音が鳴り響く。
「おーおー、やるじゃねぇか、悪党にしては合格」
 キドーが煽る様にそう言って、ナイフを閃かせた。キドーは余裕の表情だが、ベンのそれに余裕はない。やはりそこは、実力の差と言った所だろうか。
「キドーさん、援護するですよ!」
 ブランシュが、手にした大型メイスを振るった。斬撃が空を跳び、衝撃波と化してベンに迫る! ベンは二つの刃に対応を迫らえることとなった。一対一でようやく均衡、そこにさらに手数が増えられてしまっては、もう抑えることはできない!
 突き出されたキドーの刃を受け止めたまでが限界だった。ブランシュの斬空撃がベンの肉体を捉え、強く吹っ飛ばす。がは、と呼気を吐いたベンが座り込み、
「く、くそ……参った……」
 と声をあげる。
「はい、お疲れ様ですよ!」
 ブランシュが笑う。さて、視点をポチに移すと、無黒の攻撃に、エクスマリアが援護をくわえる。状況はベンと同一。如何に強力な膂力の持ち主といえど、歴戦のイレギュラーズに囲まれては、その本領は発揮できまい。
「これで、終わりとしよう」
 エクスマリアの放つ連続魔撃が、ポチの身体に間断なく突き刺さった。ぐえ、とポチが呻きをあげ、苦痛に膝まづく。
「く、くそ、これまでだ……!」
 悔し気に、ポチは呻いた。
(……た、たぶん、あわよくばこっちをやっちゃおう、って思ってた顔ね、あれ……やっぱり、犯罪者って危ない……!)
 と、奈々美が内心ぼやきつつ、身震いした。実際その通りだろう。が、状況はイレギュラーズ達の予定通りに進んでいた。
「さぁ、今ですよ、皆さん」
 エルシアが促すのへ、ポチは頷いた。
「済まねぇ、マダム……俺たちはまだまだだ……」
 なんか悔し気にそういうポチに、マダムは涙した。
「ああ、そんな……いいのよ、ポチ。まだまだこれからじゃない……」
 何がこれからなのかはさっぱりわからないが、ポチは頭をふる。
「いや、ダメだ、マダム! 俺たちは、マダムを護る力が欲しい!
 俺達は……修行の旅に出る! いつか強くなって……マダムを護るために、帰ってくるよ……。
 それまで、待っててくれるか……!?」
 嗚呼! マダムは声をあげた。そして懐からハンカチを取り出して、にじむ涙を、ゆっくりとふき取った。
「決意は固いのね、ポチ。いいわ、私、待つわ。貴方達の帰りを……!」
「あ、じゃあ、そういう事で……!」
 だだだっ、と小走りで、ポチたちが駆けていく。イレギュラーズ達はぼんやりと、その様子を眺めていた。
「小難しいことはボクよくわかんないけど、ポチさんたちはきっと強くなってマダムのところへ帰ってくるよ!」
 リコリスがなんか適当な事を言った。帰って来るとは言っていない。
「あ、で、今日のお仕事の報酬なんすけど」
 と、無黒が言うので、マダムははっ、と顔をあげた。
「そうね、じゃあ、そっちの執事からもらってちょうだい」
「おう、ありがとう。
 マダムさんや。
 いいペットが欲しいのなら自分がいい飼い主さんになるのがまずは始めの一歩じゃよ。
 お金があるのならまずは飼いやすいペットから始めたり、飼い主の講習を受けてみたりするのも良いかもしれんのう。
 いつか自分がいい飼い主さんになってポチ達を胸を張って迎え入れる日を目指そうではないか」
 潮がそう言うのへ、
「ええ、きっと、そうね……!」
 マダムはなんか納得した。
「え、と、それじゃ、あたしたちはこれで……!」
 奈々美がそそくさと退室する。仲間達もそれに倣って、さっさと退散することにした。
 お屋敷の外は無駄に晴れて良い天気だった。
「お肉食べにいこっかー」
 リコリスが言う。
「いいですね! 労働の後のご飯は最高ですよ!」
 ブランシュがうんうんと頷いた。
「では、全部忘れてお肉を食べに行こう」
 エクスマリアがそう言うので、仲間達は頷いた。

 それからみんなでお肉を食べました。
 美味しかったです。
 おわり。

成否

成功

MVP

エルシア・クレンオータ(p3p008209)
自然を想う心

状態異常

なし

あとがき

 ポチ……いつか私の下に帰っていらっしゃい……!

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