シナリオ詳細
パンドラビルドファイターズ
オープニング
●可能性の身体
≪錬金樹脂性感受稼働式式神素体(プラモデル)≫――練達の設計技術者マツシゲによって開発された特別な式神素体である。
同じく練達の錬金術師サッケンの開発した≪感覚接続式非接触操作台座(ビルドベース)≫の上でのみ、この式神は本来の特異性を発揮する。
「つまりここは、戦いの舞台――!」
オールバックにカイゼル髭をはやした男が、縞模様のシャツに蝶ネクタイを締めてあらわれた。
彼の前にはビルドベース。
ビリヤード台ほどのサイズがある六角形のテーブルだ。
真っ暗な部屋に、ビルドベースは青白い魔術の光をたたえている。
赤いゲートを潜って現われる黒衣の男。
彼の手には、真っ白な人形――プラモデル。合成樹脂でできたその人形は、まるで機械の身体をもつかのように硬く、凜々しく、そして可能性の光に満ちていた。
一方、青いゲートを潜って現われた軍服の男は、真っ赤なプラモデルを手にしている。
縞模様シャツの男は手刀の構えを高くして、ビルドベースを挟んで立つ両者を見た。
「バトル承認ということでよろしいですね? 両者、プラモデルをセットして下さい!」
テーブルの端にあるそれぞれのセット台に、プラモデルが置かれた。
その途端、命なきはずの人形の目に魂の光が宿った。
連動するように、男たちの目にも魂の光が宿る。
プラモデルたちは自らの腕を上げ、感触を確かめるように手を握ったり首を回したりしはじめた。
五感がつながり、まるで自らの手足のように操ることができるのだ。
「ビルドファイト――レディ!」
ぐ、と飛び出す姿勢を取るプラモデルたち。
「ゴーッ!」
縞模様シャツの男が手刀を下ろした途端、プラモデルは走り出し、背や腰の剣魔術光線剣を抜き、それをぶつけ合わせた!!
●
「わーい! オモチャのお仕事! オモチャのお仕事なのです!」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)はスカイブルーとホワイトを中心に色づけされたプラモデルを手に、ぶいーんぶいーんと言いながら飛ばすふりをしていた。
小柄でどこかまるっこいボディ。ちっまりした手足。しかし腕には光線銃が装着され、背中には立派な翼がついていた。
それらは全て合成樹脂で作られ、作った者たちはそれを『プラモデル』と称した。
「これはボク専用機なのです。ユリーカインパクトフリーダムなのです! びしゅーんずばばばばば! どどーん、どかーん!」
プラモデルを手でぐいぐい動かし、なんか脳内で架空の戦争をしているらしい。
「今は手でうごかしてますけど、式神使役みたいに魂を吹き込んで、ファミリアーみたいに五感を共有して、自由自在に動かせるのです! とってもお金がかかるけど、貴族向けのオモチャとして練達のひとがノリで開発したらしいのです! びゅびゅーん!」
今日はそのオモチャを自慢しに呼んだの? とイレギュラーズたちが首をひねったところで、ユリーカはぴたりと止まった。っていうかユリーカインパクトフリーダムがとまった。
「今回は、そのオモチャのベータテストを依頼されたのです。実際に使って、遊んでみて欲しいって言われたのです」
練達のおっさんがノリで作ったというこのプラモデルとベースのセット『ビルドファイトシステム』は、説明の通り自作したプラモデルを自在に動かし、互いにぶつけ合わせて戦うシステムだ。
ベースの上だけという限定ではあるが、能力のない者でもプラモデルと自信をリンクさせ、操作することができる。
そのうえベースの上に形成された幻術空間では光線や爆発やジェット噴射といったエフェクトがかかり、それに伴ってプラモデルもビームに打たれたり爆発にあおられたりジェットで飛び上がったりといった動作が加えられる。
そう、これは架空の戦場を作り出すシステムなのだ。
ブイサインを二つ作るユリーカ。
「終わったら感想が欲しいそうなので、めいっぱい戦って欲しいのです。まずは2人ずつのチームを組んで、2対2で2試合――やってみるのです!」
- パンドラビルドファイターズ完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2018年07月23日 22時15分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●魂あるプラモデル
かつて手にした夢の形を、今でも覚えているだろうか。
かつて夢見た空想の形を、今でも忘れてないだろうか。
それはシャープなフォルムの車だったかもしれない。
人型のロボットだったかもしれない。
カードや、メダルや、ゴム製のフィギュアだったかもしれない。
手のひらにのるような、硬化数枚の価値しかなかったそれに見た、胸の高鳴りを。
「……作りすぎてしまったな」
『赫腕の鉄』PXC-4=ソフィア(p3p000743)は夜迷彩を施したプラモデルを前にほほをかいた。
練達の設計者マツシゲと錬金術師サッケンからものすごい圧でもってプラモデル作りをレクチャーされたソフィアの手にはオリーブ色のニッパー。
指は接着剤や塗料で汚れ、服からは軽くシンナーの香りがしていた。
けれど目には、どこか少年のような輝きがあった。
『不撓』と名付けたプラモデルはきわめてオーソドックスなフォルムとどこか凡庸な顔立ちをもった機体だ。しかし肩や胸、足には重々しい装甲が取り付けられ、その趣は貴族の甲冑とは真逆。きわめてストイックな板であり、防御である。
更に見るべきは、機体の周囲にずらりと並べられた無数の装備である。
機関銃、ミサイルランチャー、レールガンにビームガトリング、グレネードにもスモークフラッシュその他諸々と……。
そう、作りすぎてしまったようだ。このうち半数以上は装備できないだろうに。教える方も作る方も、資材を提供する方も。総勢もはや趣味の領域である。
それは彼に限った話ではない。
『揺曳』セラ・マクブレイン(p3p001082)の作り出したプラモデル『残雪』もまた、かなり趣味にふりきった機体であった。
「公に出来ないとはいえ芸術家の家系に生まれたものとして立体造形物にはとても惹かれるものがあります。このプラモデルというものには遊びのほかにも芸術方面にも可能性を感じるのですよ」
そう言ってデスクに置いたプラモデルはスマートで女性的なフォルム。忍者を思わせる装甲のまるみ。肩口の突起とバイザータイプの頭部が特徴的だ。
しかし配色は大胆にも白ベース。差し色に水色をを加えたのは、セラのイメージカラーであろうか。
目立たず、しかしそこにあれば存在感を放つ絶妙なビルドだ。
それと対を成すかのようにドカンとデスクに置かれたのが『終焉の騎士』ウォリア(p3p001789)のプラモデルR・エンドブレイカーだ。
特定の人物団体世界移動車とは関係ないことをあえて明記しつつ解説するこの機体――。
「reboot・revival・re-creation・reincarnationの4つのRだ。見ろ、この重厚さを」
様相はもはや黒金の城。各所の燃え上がるようなデザインは炎の魔神を思わせ、左手には開口式ドリル(円錐型のやつ)、右手にはパイルバンカー。とにかく強引に近づいて完膚なきまでに破壊しようという意志が前面からあふれていた。
そろそろお気づきであろう。
彼らは自由なプラモデル作りをする一方で、自分らしいプラモデル作りに勤しんだ。それは自分から見た自分の形であり、自己の鏡映しに等しい。
そんな前振りと共に『ダークネス †侍† ブレイド』Masha・Merkulov(p3p002245)が取り出したのがこちら。
「グレートダンザイオー!」
てれってーと鼻歌を歌いながら四つのしもべロボを並べていくと、それぞれを変形・合体。
ロバの足とイヌの右腕、ネコの左腕、胴体にはニワトリ。
四つのしもべがひとつになれば究極合体グレートダンザイオー。である。
「うおーっ、すごいでござる! 変形合体! かっこいいですぞー!」
まわりでは四つのしもべことバルトロメオ、ジネディーヌ、ドレニゴワール、コルネリアがこいつまたやってんなというテンションで見守っていた。
「私だって負けないから。私が作った――このピジョン!」
『たとえ街なか空のなか』ティスル ティル(p3p006151)が翳したプラモデルはシャープなフォルムに巨大な砲。
白いベースカラーに薄紫のアクセントを加えた機体だ。
よく見ると各関節部の可動域が異様に広くとられており、スリムでありながらアクロバティックな動きが想像できた。
大砲も細くて長い、ポールのようなスリムな出来映えだ。
「こういう人形がある旅人さんの世界があるっていうのは聞いていましたけど、これが特別なスキルなどがなくても動かせて遊べるなんて、練達の技術ってすごいですね」
周りの作品を一通り見てから、『特異運命座標』ミシュリー・キュオー(p3p006159)もまた自分の機体をデスクに置いた。
丸みを帯びた鳥のようなフォルム。しかし翼はリアルな白鳥のごとく精巧に作られ、きっちりと四枚二対ついていた。
ぱっと見える武装は光の剣と光線銃だけだが、翼の内側に仕込まれたビットがおそらくは主力武装となるだろう。
真面目に作り続けた結果うっかり名前をつけ忘れていたようで、ベースへの登録名が『無銘』となっていた。それはそれでステキなので放置しているミシュリーである。
一方で、『感嘆の』ビス・カプ(p3p006194)が取り出してきたのはおそろしくずんぐりむっくりな機体だった。
これまで自分を象徴する機体が多かった中で、かなりの異色作である。
「名前はモブ三式、略してモブさん」
単眼カメラ。ガスマスクのような口元。つるっとした丸い頭。
身の丈ほどある巨大な斧と、足の遅そうな太い足。
ぱっと見た限りでは強みがなさそうに見えるが……? そんなやつほど油断できないのがこの世界。周りは隠された力に注意を払っていた。
「最後は私ですねっ」
といってデスクに飛び乗ってきたプラモデル――『CCA005「鎌鼬」改』風迅(p3p006205)がいた。
もうなんか本人がプラモデルという、始まる前から何かが始まっているイレギュラーズなのだが、勿論彼女自身が戦うわけではない。
「私が作ったのはズバリ、私自身です!」
その名も風迅′(ダッシュ)。
まわりがプラスチックに似た樹脂で硬い鉄騎めいたプラモデルを作る中、比較的柔らかい樹脂を使って女性のフィギュアに武装を装着させたようなプラモデルを作り上げていた。銀色の美しい頭髪まで再現する気合いの入れようである。
それぞれのプラモデルを見たマツシゲが拳を振るわせて軽く泣いていた。
「イイ、実にイイ……アレとかアレとか、しまいにゃアレとか……この世界でもやっぱりプラモはこうなんだなあ。よっしゃ、ビルドベースを起動するからついてきなさい!」
カモーンとジェスチャーすると、小太りなおっさんであるはずのマツシゲやサッケンたちが少年のような目で走り出した。
さあ、プラモバトルの始まりだ!
●もうひとつのリアル
幻想王都の町並みを駆け抜けるソフィアの『不撓』。アイシールドがきらりと光った刹那、頭部めがけてきたるロングレンジビーム攻撃。
背部ジェットの加速で飛び退くと、町並みがえぐれるように崩壊。遠い背後で爆発していく。
一方の不撓は肩に装着したミサイルポットを一斉開放、一斉発射。
それぞれが遠い塔の上に陣取っていたティスルの『ピジョン』めがけて殺到した。
何十発というミサイルを前にピジョンは跳躍。回転。ロングレンジビームライフルのトリガーを引き接近する前にミサイルの一部を薙ぎ払った。
爆発。誘爆。それらを抜けて迫るミサイルの中を踊るようにすり抜けるピジョン――のアイシールドに不撓の姿がくっきりと映った。
両手でしっかりとバズーカ砲を構えている不撓の姿である。
ジェット噴射。空中制動。ライフルのトリガーを再び引く。
爆発がたがいを包む。
そのさなかを駆け抜ける『風迅′』。
それを追いかけるはミシュリーの『無銘』……いや無銘の放つ十二個のビットである。
ビットが放つ大量の光線をジグザグ走行で回避し、風迅′は大貴族のもつ城へと飛び込んだ。
城壁を溶かすように破壊していくビーム群。
崩れる壁――の向こうから、風迅′は不思議な球体を放った。
点滅するグリーンライト。その色が赤くなった瞬間、あたり一帯にスモークが広がった。
キュキュンという鋭い音と共に走る青白い光の線。
煙を抜けてブレーキをかける風迅′の手には青白い燐光を放つ超高度透光刀が握られていた。
ばらばらと崩れ落ちるビットたち。
息をつくように肩をおとした風迅′だが、油断などできない。
背後の城。その後ろから飛び出した無銘がビームライフルを乱射しはじめたのだ。
上空からのビーム。無銘を中心とした円周移動で走るも、風迅′の足をビームの光が打ち抜いた。
四つのビットが風迅′の眼前へ迫る。クナイガンを抜いて迎撃姿勢をとる――が、その周囲へ更に展開したのは別のビット。ビームリフレクター群である。
複雑に屈折しつづけるビーム群が風迅′を襲う。
一方で、ピジョンのロングレンジビームライフルは不撓の腕を吹き飛ばしていた。頑強な装甲も傷ついていく。
が、不撓はあろうことかダッシュを開始。ソフィアがあるスイッチを押し込んだその途端、全ての装甲をパージ。急加速した不撓はピジョンの肩に掴みかかり、そして――胸の内側から露出した炉が大爆発を起こした。
王都の中心、メフ・メフィートの王城。
暮れる夕陽を背に歩くは半壊したピジョン。
腕を失い、ライフルはひどく焦げ付いている。
対して、夜のくる方角からやってくるのは肩や膝などの装甲をほとんど喪った風迅′であった。
そのはるか後ろには無銘が倒れ刀が突き立っていた。複雑なビット攻撃は風迅′を翻弄したが、その全てを奪うにはもう一コンマ足りなかったのだろう。
ギリ、と歯を食いしばる風迅′。
ギラリ、とアイシールドを輝かせるピジョン。
互いの背部ジェットを全力噴射。
急加速――と同時に射撃。
交差したピームはそれぞれのずっと後ろで爆発を起こし、同時にそれぞれの武装にエンプティサインが上がった。
クナイガンをナイフのように逆手持ちする風迅′。ライフルを棒術の構えで回すピジョン。
先に踏み込んだのはピジョンの方だ。足を払うがごときスイング。風迅′の片足が負傷していることを見越してのもの。対して風迅′はスイング”よりも”低く駆け、相手の股下をすり抜けた。
逆手にもったナイフがピジョンの内股部分を切り裂く。
爆発によってバランスを崩すピジョン。
振り返るピジョンと風迅′。操縦者の意識がリンクし、それぞれが歯を食いしばって首をひねった。
ライフルのスイング打撃とクナイガンによる斬撃。ほぼ同時に繰り出された。
激しい金属の打撃音。目を瞑り、吹き飛ぶ風迅′。
王城へと突っ込み、ぐったりと瞑目した風迅′の銀髪が豪華なダンスフロアへと広がっていく。
一方。
直立姿勢で振り返ったピジョン胸には深々とクナイガンが突き刺さっていた。
爆発。よろめき。仰向けに倒れるピジョン。
風迅′の目が、僅かに開く。
ゲームエンデッドのシグナルが、天空を占めた。
練達のカオスなビル群。
それらが次々と爆発しドミノ倒しになっていく。
間を抜けるはウォリアの『Rエンドブレイカー』だ。
彼の左腕に装着されたドリルが次々と壁を穿ち柱を折り無数の爆発を後ろ髪のごとく残して突き進む。
その目指す先はセラの『残雪』だ。
ローラーダッシュでビル群をジグザグに走り抜け、迫る怪獣のごとき『Rエンドブレイカー』を振り返った。
前後反転。バック走行をかけながら背部に詰め込んだロングバレルガンとトンファー型の武装を引き抜き素早く組み立て、ライフルへと仕立て上げた。
顔面を狙って狙撃。
直撃――をうけつつもまるで進行速度の衰えないRエンドブレイカー。
強引に距離を詰め、パイルバンカーを振り上げる。
が、それを阻止したのは横からタックルをしかけたビスのモブ三式――いや『モブさん』であった。
サイズも装甲も普通のモブさんによるショルダータックルはRエンドブレイカーの体勢を確実にズラし、パイルバンカーはドーム状の建造物を貫いた。
もつれるように転がり、ドームの側面を破壊しながらも起き上がるモブさん。
Rエンドブレイカーの狙いが変わった。それを、目元が赤く燃えるように発光したことで察したモブさんは斧を掲げて防御姿勢。
その防御をぶち抜くように繰り出したドリルがモブさんの斧と装甲を盛大に破壊した。
しかし攻撃こそが最大の隙。残雪は銃口をぴったりとRエンドブレイカーの脇腹に押し当てると引き金を引きまくった。
つまり、膨らみ、爆発を起こすRエンドブレイカー。
崩壊した二つの機体を前に、残雪はゆっくりと振り向いた。
そう。こちらへ迫る四つのロボたちの存在に気がついたからだ。
「荒野の弾丸――バルトロメオ!」
練達の大地を踏み猛烈に駆け抜けるロバ型ロボ。
「忠剣騎狼――ジネディーヌ!」
その横を走るイヌ型ロボ。
「アルヴィトの瞳――コルネリア!」
反対側の隣を走るネコ型ロボ。
「ルースターキング――ドレニゴワール!」
塔の上から高らかな声と共に飛び立つニワトリ型ロボ。
その全ての間に電磁のラインが現われ、ジェット噴射で各ロボが飛び上がる。
がしゃがしゃと変形するロボたち。
いや、ただのロボではない。
腕だ!
足だ!
胸だ!
翼だ!
そしてせり出すように現われる顔と、装着される武者のような仮面だ!
「完成――グレートダンザイオー!」
作詞作曲した『グレートザンザイオーのうた』を歌いあげ、Merkulovは武装スイッチを押し込んだ。
「ねこにゃーナックル! わんわんバイト!」
腕となったネコロボとイヌロボが掴みかかる。飛び退こうとした残雪を巧みにキャッチすると、その両肩を破壊した。
小爆発。吹き上がる煙。
「文字通り手も足も出ないはず。このまま必殺のロバきっくで――何っ!?」
突如、イヌロボの接続部分が爆発を起こした。
見れば残雪のアイシールドから怪しい光の点滅。
「合体機能をクラックさせたのでござるか!? 卑怯な――だが、むむ!?」
謎の影が飛び、残雪をかっさらっていく。
残雪の女性的なボディを姫の如く抱えるは――。
「貴殿は倒されたはず!」
「そう、モブさんは死んだ。こいつはその内に隠された真の姿――」
茶色い無個性な外装が砕けるようにはがれ落ち、現われたのは迷彩柄のフォルム。
「高機動堅実――『ノーファンブル』!」
斧に接続された機関銃をとり、グレートザンザイオーへと乱射しはじめた。
さらには目から放たれるビーム。
大体の者は十発中一発はその攻撃に失敗するというのに、攻撃に一切のブレがない。それこそがノーファンブルの……いやビス・カプの個性にして強み。
「一撃必殺は起こらない。しかし、一撃たりとも撃ち漏らさないよ!」
「なんと地味かつ堅実な――ならば拙者も最終奥義!」
パキンと外れたこけっこーウィングが変形。剣に装着され、巨大な剣へと変化する。
「超★ダンザイ斬!」
「半月戦斧!」
斬撃交差。爆発。爆発。
膨らむ破壊の光が練達の都市を包み込み、全てを砕いていく。
最後に残ったのは、殆ど壊れたグレートダンザイオーのみであった。
もはや指ひとつ動かぬ。
「見事なプラモデル……見事な戦法でござった」
最後に落ちたこけっこーソードが、クレーターのごとき大地に突き刺さる。
「ブラーボー! ブラーボー! 最高のガッ……プラモバトルだよぉー! イェーイ!」
マツシゲが声をからして泣き叫んでいた。
サッケンに至っては顔を覆ってむせび泣いていた。なにがそんなに感動的なのか分からなかったが、おっさんたちには何かあったらしい。
「今回だけじゃなく、これからももっとプラモデルを作ってくれ! そのためならおじさん、お小遣いあげるから! ブーラボー!」
拍手の限りを尽くすマツシゲ。少ないが最大限の歓声を浴びて、Merkulovたちははにかんだ。
その手に残る、プラモデルの感触を確かめながら。
成否
大成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした。とてもじゃないけど書き切れないくらいアツいバトルが描かれまして、皆さんのビルドにも興奮した次第で――エッ!? ウォリアさんとMerkulovさんに至ってはもう特殊化してきたんですか!? 今回しか使わないのに!? 嘘でしょ!?
ここまでされては大成功判定を差し上げざるをえませんな! おえませんな!
GMコメント
大体説明にあった通りのことなのですが、プレイヤー向けにざっくり説明しなおすとPC専用プラモデルを作ってバトルを楽しむシナリオです。
今回限りとはいえ、PCのイメージにぴったり合ったプラモデルを作成してみましょう。
(ここで言うプラモデルは人型ロボットを模した樹脂キットのことをさします。バベル的な翻訳なのであしからず)
●専用機を決めよう
PCのプラモデルをイチから組み立てます。技術が無くてもそれなりのものができるように練達のオッサンが色々アレしました。
細かいこと抜きで言うと、PCのイメージカラーや戦闘スタイル、もしロボだったらこんな武装だよねという空想をバシバシ盛り込みましょう。
勝つことが依頼条件じゃないので、楽しんで作ってください。
けど細かい仕様を書いてると文字数を使い切るので、『アニメ○○の○○をベースに○○して――』といった具合に書いてもらって大丈夫です。リプレイでは触れませんが、くみ取ることは出来るはずです。
●バトルをしてみよう
2人チームを組んでバトルをしましょう
リプレイの尺的な問題で恐らく1試合ずつ描写されますが、ある程度操作に慣れた状態の試合を描写するはずです。(なので操作に慣れるまでのプレイングは必要ありません。なんかその部分を書いても楽しくない気がするのです)
●プラモデルはお持ち帰り頂けます
ます。が、非アイテムとしてフレーバーで持ち帰るので、装備欄に並べたい時は人形あたりを特殊化してご申請ください(実際ベースの外ではただの人形なので)。
その際にこのシナリオをソースとして指定してもOKです。
では、よいバトルを。
【アドリブ度(高)】
ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
シナリオの性質上かなりアドリブが沢山入ることになると思われます。もしアドリブされるの嫌だなって場合はプレイングに『アドリブ禁止』と書いて頂ければまあなんというか頑張ってどうにかします。
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