シナリオ詳細
【クリスマス繁忙戦線】聞こえるか本部! 此方は売り切れだ!
完了
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オープニング
●名もない世界のあるデパートで
「テンさーーん! お客様が! お客様が対応待ちですぅ!」
「おい! こっちが先だ! テンさん、玩具コーナーでお客様が転倒して怪我されてしまった! 手が空いてないから対応頼む!」
「ぐえぇぇぇ!! 売上計上したら金額が合わないですぅ〜! どうしましょう〜!」
「テンさん聞いて聞いてぇ。クリスマスデートが急に決まって、入れるって言ったシフト急に無理になってぇん。ごめんねぇwww」
––もうやだ!! 家に帰る!!!!
●
「やぁ皆、もうそろそろ此方ではシャイネンかな?」
周りにオモチャが入った買い物袋を置いた境界案内人、カルヴァンは集まった特異運命座標達を眺めながら口を開く。
「僕が今渡り歩いている世界にはクリスマスという文化があってね。そう、此方で言うシャイネンのようなものさ」
大人も子供も聖夜を祝う夜。このイベントには1つの風習があるらしい。
「髭だらけの老人が子供の寝ている間に枕元へプレゼントを置いていく、らしい」
あくまでこれは物語の中の話らしく、実際は親御さんが買ってきてプレゼントを置いているとのこと。
「この一夜の為に全国の子を持つ親達が大型のお店……デパートに集まるんだ。ここからが話の本番、皆に依頼したいのは……」
そう、混雑で人手が足りなくなってしまったデパートにヘルプの店員として入って欲しいというものである。
「どうしても人気のオモチャは直ぐに売り切れてしまう。人気ということは多くの子供達が欲しがるということ。それらを購入するために親御さん達は早め早めに行動してブツを確保したいということだね」
しかし考えることは皆一緒、店内は溢れんばかりの人達で埋め尽くされている。
「金勘定とかは流石に店員達がやってくれるから安心してくれ。お願いしたいのはお客様への対応が主になるみたい。詳しくは店の長であるテン・チョーから説明があるみたいだよ」
数が多ければ様々な人が出てくるだろう。中には普通に買い物に来た人も居るし、当人にプレゼントを選ばせる為に子供連れというのも少なくない。
「イレギュラーズの中にも接客経験ある人は居るのかな? 勿論無くても大丈夫さ! この店にとってはかきいれ時……どうか助けてやって欲しい! もう謝礼も貰ってるからね! お願い! 助けてくれないとこいつら返品しないといけなくなるの!!」
謝礼だったのかそれ。と思いつつも特異運命座標達はそれぞれ世界を跨いでいく。
人混みの中、彼等の接客が始まろうとしていた。
●
「よく来てくれた。今日はよろしく頼むよ……」
開店数分前のバックヤード。そこには既に疲労で真っ白になったテン・チョーが椅子に座っている。
「分からないことは直ぐに私でも店員でも聞いて欲しい。直ぐに駆けつけよう」
テンからの激励を受け、貴方達は売り場への扉を勢いよく開けたのだった。
- 【クリスマス繁忙戦線】聞こえるか本部! 此方は売り切れだ!完了
- NM名胡狼蛙
- 種別ラリー(LN)
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年12月12日 22時21分
- 章数1章
- 総採用数11人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
「よう、どうしたよお姫さん」
屈んで目線を合わせるのは、泣き続けている少女を安心させる為。
見目麗しい松元 聖霊という男の優しい表情と声音は、少女を泣き止ませ気を惹くには充分すぎる要素だ。
「おにいちゃん、だれ……?」
嗚咽で咳き込んでも決して急かさず、少女が口を開くのを待ちながら。
「通りすがりのお医者さんさ。それよりどうしてこんな所で泣いてたんだ?」
「ま、ままとぱぱと、はぐれちゃって……」
店内も人が多くなって混雑が始まろうとしている。まだ背丈も低い彼女が一度はぐれてしまえば人波に流されてしまうこともあるだろう。
「そっか、んじゃ、俺が二人を呼んでやるよ」
「えっ!? そんなこと出来るの?」
驚きを見せる少女の目にはもう恐怖の色は無く、眼前の聖霊が行う事に興味津々だ。
「あぁ出来るぜ、俺はお医者さんでもあり魔法使い……あー、サンタの部下みてぇなもんだからよ。じゃ、パパとママを見つける為に手伝ってくれるか?」
「うん!!」
迷子のお姫様、その小さな手を取って一階の迷子センターへ向かう。
「よし、じゃあ名前を教えてくれるか?」
「えっと、えと、わたしのおなまえは――」
「(戦場で人手が足りてねぇって聞いたからてっきり医療班の事だと思ったが、まさか玩具売り場のこととはな……)」
別れ際、大きく手を振って別れた少女の笑顔を思い出し。
たまにはこういう仕事も悪くないと独りごちて売り場へ戻るのであった。
成否
成功
第1章 第2節
「わかるかい無黒くん……毎日売上数値を詰められる電話がくるんだ……」
テンの憔悴っぷりに思わず声を掛けた暁 無黒はどうにか出来ないかと考えた末に。
「差し入れっす!」
「始業前だけどぉ!?」
叫びが響き渡るバックヤード。対して無黒は笑顔を崩さず。
「俺達が居る時ぐらい少しでも休んでた方が良いっす! 売場のことは任せてもらって、今は体力を回復して下さいっすよ……」
彼の言葉にテンは礼を述べ、お言葉に甘えて休憩を取る事にした。
外へ出ていく無黒を見送り、箱の中身を取り出せばワンホール生クリーム鬼盛りケーキ。
「あまぁぁい……」
テンの身体は糖分に包まれた。
「さぁて、本業の力見せつけてやるっす!」
イレギュラーズとは異なる側面。声優の『696』として彼はその力を発揮する。
「いらっしゃいませ! いらっしゃいませ! 今日も大変安くなってるっす!」
遠くの人にも聴こえるように大きく、それでいて煩いと思わせない心地好い声。高すぎず低すぎないそれは通り過ぎようとする人々の足を止めるには充分な力であった。
「寒いっすよね〜。どうぞこれを」
すかさず渡すのは二口程の温かいドリンクが入った紙コップ。意識を此方に向ければ儲けもの。
「どうっすか。良ければ店内を見て温まって行って下さいっす! セール中っすから何か良い物見つかるかもっすよ!」
満面の笑みを浮かべれば客の足も自然と店内へと向かっていくのだ。
成否
成功
第1章 第3節
「人混み……酔ってしまいそう、です」
営業開始して数時間。人の波が収まる様子も無く、出ては新しい客が入っていくの繰り返しとなっていた。虚弱体質であるネーヴェにとって、この混雑は些か体調によろしくない。
「大丈夫ですか。余り無理はなさらず」
隣に立っていた小金井・正純は彼女の様子にいち早く気づき声を掛ける。大丈夫ですとネーヴェが力こぶを作る動作で気丈に振舞えば、正純も微笑みながら彼女の意思を汲み取り頷きを返す。
「何をやろうかという所ですが。お店のことはあまり素人が手を出していい話では無い気がしますし、お客さんの対応をしましょう」
「はい、一人でも多く、楽しい時間を過ごしてもらうために……頑張りましょう!」
両者は頷き合い、それぞれの持ち場へと向かうのであった。
「迷子、ですか。はい、直ぐに向かいます」
どのくらい従事していた頃だろうか。店員からヘルプの要請を受けた二人は人混みをかき分けながら対象を捜していた。
「あ、あの子達、でしょうか」
ネーヴェの視線の先に居たのは泣きながらも互いに手を繋いで離さない男の子達。
「なるほど、兄弟……迷子は二人でしたか」
混雑の波に飲まれても手だけは離さなかった少年達に微笑みながら二人は近寄っていく。
「ぼく、大丈夫? ママとパパとはぐれちゃったの?」
正純がかがんで視線を合わせれば、少し身体を震わせた少年は逡巡した後に首を縦に振る。
「じゃあ、お姉さんと探しましょうか。大丈夫、弟くんはもう一人のお姉さんが手を繋いでるから。頑張ったね、一緒に行こ?」
右腕に見える鈍い輝きを放つ鉛の義手、ではない左手で手を引いて歩き始める。
「周りに、それらしき人達は、いませんね」
もう一人の男の子と手を繋ぎながら周囲を見渡すネーヴェは中々泣き止まない彼の不安をどう取り除いたものかと思案していた。
「すぐに、お父様やお母様と会わせてあげますからね。大丈夫、大丈夫。すぐに会えますよ」
時折背中をぽんぽんと叩いてあげながら急かさず共に歩いていく。
「あら、あれは……ちょっと待ってね」
迷子センターへの道から少し外れたコーナー、立っていた店員に話をして分けてもらったのは。
「風船ですか」
「ふふ、迷子になったら、貰える……なんて、お友達に言っては、いけませんよ? ナイショ、です」
一つは兄に、もう一つは今手を引いている弟の手に風船の紐を握らせ茶目っ気のある笑顔でそう言うのだ。
迷子センターに到着し、名前を聞いて係員に呼び出しをかけてもらえば、早足で母親が迎えに来る。
手を大きく振って人混みに消える家族を見て正純は目を細める。
「(親子とは本来、ああいうもののことなんでしょうね)」
「どうかしましたか……?」
「大丈夫。次にいきましょう」
左手に残るぬくもりを感じ、僅かな羨望をその手の中に隠して。
ネーヴェの言葉に首を振り、二人は次の業務へと移るのであった。
成否
成功
第1章 第4節
「シャイネンナハト! ですけど此処はなんだか大変なことになってるですよ……」
ブランシュ=エルフレーム=リアルトはバックヤード内から売り場を覗き込む。如何に広い店舗内と言っても、これだけの人が入ればすし詰め状態になってしまうのだろう。
「テンさん! プラモデルコーナーで外道戦士ドスダスが品切れ間近だ! 手伝ってくれぇ!」
内線で叫ばれる店員の悲鳴にテン・チョーはケーキを頬張りながら立つ。
「くっ……思ったより侵攻が早い。いかねばならんか」
口を拭きながら外へ出ようとするテンに、ブランシュが名乗り出る。
「ここはブランシュに任せるですよ! そのプラモデルを並べればいいんですよね? フルメタルバーニアの速力はこういう時の為にあるですよ!」
「いらっしゃいませー! ですよー! どいてどいてー! たくさん商品が通りますですよー!」
バーニアの熱を人に当てないように滑らかな機動で人の波を潜り通る。その手には商品が抱えられており、よくその動作で落とさずにいられると客の視線も集めている。
「いらっしゃいませー! おまたせしましたですよ!」
もう来たのか! と店員を驚かせつつ、商品を積み上げていく。
「お客様は神様ですよ! ガンガン並べて商品を見てもらうですよ!」
見栄え良く、プラモデルの箱を飛行しながら積んでいき、棚に一つの山ができる。
人目を惹く陳列と共に、ブランシュの笑顔も皆を惹きつけていたのであった。
成否
成功
第1章 第5節
「私は宣伝でもしようかしら。目立つのは得意だもの。舞台の幕開けは任せなさいな」
囚われてなお踊る事を諦めなかった少女の立ち姿は、傍らで見ていたテン・チョーに生唾を飲ます程の迫力があった。
「BGMは流れているもので大丈夫か? 必要なものは?」
「大丈夫よ。そうね……衣装か帽子はなにかあるかしら」
上等な物ではないが、と言って取り出された衣服を眺め、満足そうに受け取ると颯爽と更衣室へと向かう。
「(こんな素敵な催しがあるのね! これは自由になった甲斐があるってものよ)」
赤と白を基調としたドレスにファーハット、身を包む衣装を変えたヴィリスが寒空の下に立つ。
「よーし、私も精一杯盛り上げるとしましょうか!」
店頭という踊るに相応しくない。否。彼女にとっては何処であろうが関係無い。どんなBGMであろうが踊れる曲となり、見ている人、観客が居ればそこはもう舞台なのだ。
「さぁ、もうすぐシャイネンナハト! 大事な人へのプレゼントはもう買えたかしら?」
曲調に合わせながら楽しそうに言葉を放つヴィリスに人は惹かれ、その場で足を止める。
「ふふ! 買えてないのなら急ぎましょう! 開演は待ってくれないのだから!」
店に入る客も、出ていく客も皆がヴィリスを見ている。
「(誰も彼もが楽しそう。こんなに楽しそうだと私も張り切っちゃうわ!)」
いつもより多く回ってみようか。そんな事を考えながら、プリマドンナは踊り続けた。
成否
成功
第1章 第6節
玩具コーナーにて親とはぐれた少年が居るのだが、店員が他の対応で向かうのが難しいとのこと。
「(あら、あの子かしら……)」
背も伸び始めてきた頃だろうか、少年が愚図りながら俯いているのがわかる。作業中であった店員と交代し、彼の眼前にしゃがんで目線を合わせれば。
「どうしたのぉぼく、家族とはぐれちゃったの?」
言うなれば優しい姉、包容力のある声音は少年の心を掴むには容易いものである。
髪を梳くようにゆっくりと撫でながら取り出したハンカチで涙と鼻水を拭ってあげる。何時しか少年の頬は淡い紅の色に染め上げられ、視線を合わせないと言いたいかのように泳いでいる。
「親御さんもとっても慌てているでしょうし……おねーさんが一肌脱いであげましょうか! 一緒に探しに行きましょ?」
先程のしっとり姉力とは別、溌剌姉力を放出して少年の手を取り、迷子センターへ向かおうとするも彼は首を振って動かない。
どうしたものかと横を見てみればヒーロー物の玩具、だとすれば。
「君はデパートの平和を守り隊の隊員だ! 君の家族が困っている、一度基地に戻るぞ!」
ぽかんとアーリアの顔を見た少年は直ぐに力強い表情に変わり頷く。
センターに着く頃には自分が親を探すんだと意気込んでいるぐらいに元気になった少年に係員から許可を貰ってアナウンスをかけるのだ。
「ぱぱとままを探しています!」
慌てて来た両親に連れられ、笑顔でお別れとなるのであった。
成否
成功
第1章 第7節
「在庫が薄くなっていますね」
志屍 瑠璃がガラガラになってしまっている棚を見て呟く。一帯は最近発売したばかりの人気商品が並ぶコーナー。
「成程、すでに品出し要員の手配は済んでいるとなれば……」
そう言うと同時に背後にバーニアの音を鳴らしながら商品を運び陳列している気配が感じられる。
「ここは品出しが完了するまで店頭の在庫で場を持たせましょうか」
売場は生き物であり流動的である。客からして見れば在庫が薄く素通りされるだけで売上のチャンスロスをしてしまう。ならば他の商品を見てもらい、留まらせていた方が買ってもらうチャンスになるのではないかという話だ。
「もし、そちらの方々」
呼び止める親子連れは勿論瑠璃が狙って声を掛けたターゲット。
「もしやその玩具の遊び方で何か不明点等あるのでは」
当てられた両親は少し驚きの表情を見せた後、子供が持っているパズル型の玩具を見て恥ずかしそうに頷く。
「もし宜しかったら少し私と遊びませんか?」
見本品を手に微笑むと、子供と共に説明しながら解いていく。同じように動かしていき、良い勝負を演じていけば子供が動かしていたパズルが完成。
「とてもお上手でした。今回は負けてしまいましたが次は勝ちたいものです」
そして完成する売場に頃合かと宣伝しようとすると。
「え……出した方では無く遊んだ方をお買い上げ、ですか?」
目的とは違うがこれも結果オーライなのである。
成否
成功
第1章 第8節
「おおテン・チョー殿……なんと気の毒な! よし、ここは吾輩が一つ盛り上げてしんぜようではないか!」
「ただ今現地から無線にて人員が不足していると連絡が来たであります。至急現場に向かった方がいいであります」
ケーキの食べ過ぎで胃がもたれていたテン・チョーの前に李 黒龍とオリオン級 弐番艦 ベテルギウス……ベティが話しかけて。
「商売人の腕の見せ所である! 任せたまえ!」
二人は颯爽と売場に出る。
「小児用の装備品のマニュアル紹介でありますか、当艦の得意分野でありますね。後……この袋はなんでありますか」
「貸してみたまえ。ここを押すと」
突如袋から大きな笑い声が発せられる。そう、笑い袋だ。ゲラゲラと流れていく声が売り場に響き渡る。
「不思議な装備でありますね」
「人というものはこういうのが必要な時が出てくる生き物である」
何故か神妙な表情で言う顔は何処か大人の哀愁が漂っていた。
売場に到着し、先ずは黒龍から宣伝を始める事に。人通りも多い通路で声をあげれば集客もそう難しいものでは無い。
「寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 楽しい楽しい玩具を紹介するであるぞ!」
なんだなんだと足を止めていく大人や子供。
「今宵の目玉商品はこちらの笑い袋! ギュッと押すとゲラゲラ笑う愉快な袋であるぞ!」
隣に立つベティがポチっと押せばけたたましく鳴る笑い声。
「一発芸が滑った時や愉悦したい時に使えるな! 人前に出る時に一つは持っておきたい! 如何であるか! ひとつひとつ手作り故、温もりがこもっていてまだ生温か……おっと」
危ない、呪物を作っている時の感覚になっていたと冷汗をかきながらも、子供達と忘年会を控えるお父さん達が反応していく。そしてお母さんに要らないでしょと頭を叩かれる。
「掴みは良さそうでありますな。次は当艦から紹介するであります。今回は……この装備品」
ベティが取り出したのはやや小さめの銃の形をした玩具。
「荷電粒子砲であります」
「粒子砲……?」
思わず二度見する黒龍。
「パステルカラーでよく目立ち、置き忘れも安心」
子供達に見えるように掲げて側面を見せるとスイッチがあり。
「押せば音声で連射モードと集束モードの案内ボイスが流れるであります」
「音が出て遊ぶ玩具であるな」
相槌を打つ黒龍に頷き返すと、またもや持つ方向を変えて。
「最大の目玉は銃床下部のカバーの内にある隠しスイッチであります、此方をオンにすると、なんと実際に荷電粒子砲が発射されるであります」
「え?」
最近の玩具はリアルになってであるなぁと感心する男。違う、そうではない。
「いざという時に小児の身を守るのにも安心、親なら子を守る為にも一丁は持ってて損は無いであります」
――ゲラゲラゲラ。
響く笑い袋の声。子供と父親達は玩具を取って籠にいれていく。
荷電粒子砲は大人の事情により、販売したものは一部安全に配慮した造りに変更されていたようです。
成否
成功
第1章 第9節
「なるほど、こんなのもあるのか」
モカ・ビアンキーニが頷き。
「つい先日発売された新作でね。上手く作られているだろう?」
テン・チョーが巨大な箱から中身を取り出してみれば、確かに玩具の質感には感じられない。
「ふむ、面白そうだ。笑い袋と……なんとか砲の紹介も終わったみたいだし、次は私がいこう」
「さぁ皆さん、面白い玩具の次はちょっと大人の玩具の紹介だ」
取り出したのは重量感ある電気コンロのミニチュア。否、電動式のミニキッチンだ。
「玩具と侮るなかれ。スイッチを入れれば……」
ほんのり光るコンロ部は僅かな熱を発して。
「専用のフライパンを使用すれば本当に物が焼けるのだ」
フライパンを載せて少し時間を置いてみれば熱を持った器がチリチリと音を出す。
「火傷の危険を抑える為に人体には影響の少ない熱伝導システムとなっていてお母さんも安心だ。だが良い子の皆は大人の人と一緒に遊ぶのだぞ?」
目がキラキラした子供に注意も忘れず、笑顔を向けながら予め用意していた素材を取り出して。
「弘法筆を選ばず、スーパーシェフは調理道具を選ばず。今回は私が実際に作って皆に振舞おう。ははは、おにーさんじゃなくておねーさんだからなー!」
おねーさんの部分を強調しながら、モカはホットケーキ焼いて皆に配っていく。
玩具故に火力は弱いが、本当に作れるという再現性の高さは子供達のみならず、大人達にも上手く興味を持ってもらえたのであった。
成否
成功
第1章 第10節
「いやぁ、皆助かったよ」
閉店後、テン・チョーが集まった特異運命座標達に頭を下げる。
一日だけの支援ではあったが、この日のお陰でここまで手がつかなかった裏方作業に手を入れることが出来た。クリスマスまで持ちこたえる切り返しにはなっただろう。
「お客様も楽しそうに買い物して頂けた様で、今日の売上もなんと他の日の平均どころか前年より高いくらいだ」
ホクホク顔の彼を眺めてみれば、ここに訪れた当初の白い灰のような気配も無くなっている。余程心に来ていたであろう心労は持ち直したみたいだ。
「また何かあればお願いしたいところだが……一先ずはお疲れ様でした。貴方達の聖夜にも祝福を……」
Merry X'mas。
NMコメント
もうすっかり冬ですね。この前尋ねたら、プレゼントは通販で買うと聞いて時代の流れを感じました。
本シナリオはそんな切なさから出来たお話です。
全一章を予定しています。
下記のミッションから選び、一行目にお題を表記願います。
複数人で行動される場合は御手数ですがグループタグを二行目にお願い致します。
●名も無き世界
この世界には名はありません、皆さんと冒険していく内に何かがわかるかもしれない。
百貨店だってあることがわかってきた。
●会場
五階建ての百貨店。最上階である五階ワンフロアが玩具・ゲームコーナーが今回の戦場です。
●目的
様々なお客様を相手に上手く接客してください。
●ミッション
下記のミッションから選んで頂き、対応するプレイングをお願いします。
【宣伝】
店の入口に立ち、玩具のセールがある事を宣伝しましょう。大声で叫ぶもよし、人目を惹くアクションをして呼びかけるもよし。店を爆発とかしなければヨシ!
【玩具紹介】
オモチャやゲームの紹介。実際に遊んでいる所を見せる等、買いたいと思わせる宣伝をお願いします。どんな玩具かはおまかせします。なんでもあるでしょう。
【品出し】
売れすぎて商品棚がボロボロです。混雑している店内を如何にスマートに、ぶつからず、尚且つ綺麗に商品を陳列させるかをプレイングにお願いします。並べる玩具はおまかせします。
【迷子案内】
親御さんとはぐれてしまっためっちゃ泣いているお子様を宥めながら一階の迷子センターに連れていってください。めっちゃ泣いてるので、皆様の手腕でどうにか泣き止ませて名前を聞いて店内放送で親を呼ぶのです。
【その他】
上記以外で何かそれっぽいことがあればどうぞ。
●サンプルプレイング
【宣伝】
俺は口から炎を出せるから、火吹き芸して人を集める!
【迷子案内】
手を繋ぎながら優しい声で語りかける。迷子センターに着いたら目線を合わせて泣き止むまでお話するよ!
ご縁ありましたらよろしくお願い致します。
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