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シナリオ詳細

<至高の美味を求めて>失われし黄金林檎

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●失われし黄金林檎の伝説
 リンゴ。林檎。りんご。
 青緑、赤、黄色。様々な色と、様々な味。
 シャクッと美味しい林檎は硬さも甘さも様々で、どれ1つとして同じものはない。
 アップルパイにしてもいい。煮込んでもいい。
 しかし、やはりそのまま食べるのが良い。
 シャクッと齧ればジュワッと広がる林檎の果汁。
 その美味しさは他の何かで代用できるものではない。
 そしてどの林檎が一番かなど、決められるはずもない。
 ない……のだが。
 もし、誰もが「これこそ至高にして究極だ」と認める林檎があったとすればどうだろう。
 甘味も酸味も絶妙なバランスで、歯応えも誰もが納得するもの。
 形も色艶も宝石かと誰もが認めるその姿。
 かつて存在し、しかし乱獲や独占しようとする者の手により消えてしまった、そんな林檎がかつて実在した。
 黄金林檎。
 艶やかな輝きは大地の力を充分すぎるほどに吸い込んだのか淡く黄金色の実を光らせ、溢れ出る香りはそれだけで万人を魅惑するという。
 ひとたび包丁を入れればその至高の香りと蜜が四方へと溢れるという。
 だが、その林檎は消えた。消えてしまったのだ。
 最後に確認されたのは海洋の島であったらしいが、愚かな者達が殺到したあげく、黄金林檎の木は燃え落ちたという。
 愚かしい話だ。そうして誰も黄金林檎を食べられなくなってしまったのだから。
 しかし、しかしだ。
 自然の力とは人が考えるよりも偉大だ。
 黄金林檎とて、まだ存在する可能性もある。
 もし、それが存在するとすれば。
 もし、愚かなる者共の手を逃れた黄金林檎が未だ存在するとすれば。
 僅かな伝承などを拾い集め、グルテンリッターが1人、アヴェルはついにその手掛かりを見つけた。
「……此処か」
 深緑に数多存在する、旧時代の遺跡の1つ。
 旧時代の名前は「アード植物研究所」。
 しかし、1人で踏み込むのはあまりにも愚かなことだろう。
 そしてグルテンリッターを招集するのは、深緑との関係が悪くなる可能性がある。
『食の簒奪者』対策である程度の関係を構築できてはいるが、まだ糸のように細いものだ。
 こんなところでそのカードを切りたくはない。
 となると……。

●深緑への誘い
「色々な国で美味を探したが、天義と深緑はまだだな。何かあるかな……」
「ある」
 ヌッと現れた男に、イズマ・トーティスは苦笑する。
『食の簒奪者』を名乗る魔種集団と戦う者たち……グルテンリッターの1人、アヴェル。
 いつも突然現れる彼ではあるが、どうやら今日もそうであるようだった。
「あるのか。どっちだ? まさか天義か?」
「深緑だ。管理の行き届かない場所にこそ、保護すべきものはある」
 そして今回の目標は黄金林檎と呼ばれるものだとアヴェルは語る。
 人の業により滅びた黄金林檎ではあるが、唯一残されている可能性がある場所があるのだという。
 それが深緑に存在する旧時代の遺跡「アード植物研究所」である。
 アード植物研究所は旧時代に様々な植物を研究していた場所だが、ある日にバイオハザードを起こし崩壊したのだという。
 恐らくは何かロクでもない研究をして、しっぺ返しを受けたのだろうが……。
「長年放置されているが、その原因が自然消失したと考えるのはあまりに早計だ」
 つまり、何が起こってもおかしくないという前提で行動しなければならない。
 ならない、が。イズマは1つの疑問を感じ、アヴェルに問いかける。
「そこに黄金林檎があるという保証はあるのか?」
「多角的情報からの検証はしているが……確定に至る情報が1つある」
 かつてグルテンリッターが保護し保管研究していた「黄金林檎の香り」。
 それが僅かであるが検知されているのだ……と。

GMコメント

黄金林檎を探し遺跡探索です。
今回、深緑内の遺跡ですので「火気は最低限」となっております。ご注意ください。
黄金林檎はそのまま齧っても切っても美味しい、超凄い林檎です。
見つけたら食べてOKです。

●アード植物研究所
地下7階まで存在しています。
1階は植物に浸食され、かつての面影を残すのみです。
受付や会議室などがありますが、たいした情報も危険もありません。
地下1階へ降りると、様相が一変します。
外の植物は此処には侵食してきていないようですが、研究用の植物が環境再現用の強化ガラスルームの奥にあります。
この施設はまだ稼働しているようで、植物育成用のシステムが動いています。
しかし枯れてしまっている植物や、何があったのかガラスが内部から叩き壊された部屋もあります。
セキュリティも動いてはいますが、何か強烈な力によってほぼ全てが壊されています。
黄金林檎の木は地下7階に存在しています。

●出てくる障害や敵
・謎の触手
通風孔や天井の穴などから突然植物のツルのようなものが伸びてきます。
棘を持っていて、刺されると毒を受ける可能性があります。

・変異植物(総数不明)
バイオハザードの結果生まれた生命体。人間種、そして似ているからか一部の旅人にも強い敵意を抱くようです。
また、それに同行する者にも強い敵意を抱きます。
蔓で造られた不格好な人型、あるいは獣型をしています。
蔓による鞭攻撃、縛り付け、光の槍を投げつける攻撃をしてきます。

●同行者
グルテンリッターのアヴェルが同行しています。何かあればどうぞ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <至高の美味を求めて>失われし黄金林檎完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年12月10日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

錫蘭 ルフナ(p3p004350)
澱の森の仔
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘夢インテンディトーレ
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
長月・イナリ(p3p008096)
狐です
クロエ・ブランシェット(p3p008486)
奉唱のウィスプ
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女
プラハ・ユズハ・ハッセルバッハ(p3p010206)
想い、花ひらく

リプレイ

●失われし黄金林檎を求めて
 アード植物研究所。植物に浸食されたその場所に、『リチェと一緒』キルシェ=キルシュ(p3p009805)たちは来ていた。
 過去はしっかりとした建物だったのだろうが、今となっては草木に浸食された残骸でしかなかった。
 もはや事前にそうだと聞いていなければ、此処を探索しようなどという者は出る事すらなかっただろう。
 しかし、此処に黄金林檎があることは分かっている。
 だからこそ、キルシェはその残骸を見て「わあ」と声をあげた。
「ここが黄金林檎のある遺跡なのね! 古いし、壊れかけだから途中で壊れたら大変! クロエお姉さん、お願いします!」
「そうですね。早速調べてみましょう」
 キルシェに応えながら、。『雪原に舞う』クロエ・ブランシェット(p3p008486)は元々受付であったらしい場所を見つけ出す。
「海洋で確認された黄金林檎の木は燃え落ちてしまったんですね……海洋出身者としては責任を感じてしまいます。それに研究所でも良くないことが行われたのかもしれない……。黄金林檎があるのかどうかまずは確かめたいです」
 遺跡では様々な情報も頼りに警戒しながら進んだ方がよいだろう。
 受付を調べようと思ったのは、ざっとでも内部構造がわかるものとかあるだろうかと期待したからなのだが……。
 当然、紙の類はもう朽ちている。
 何かの機械らしきものも植物に浸食され、動くことはなさそうだ。
 割れてツタの這っているモニターが、どうにも寂しさを感じさせる。
「地図の類は無さそうだな……」
『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は言いながら、今回の依頼人でもあるアヴェルへと視線を向ける。
「そりゃあ、その格好の集団が深緑に来たら怪しまれるよな……」
 全身鎧で種族も性別も分からないアヴェルだが、大体のグルテンリッターは同様の格好であることも分かっている。
「ところでアヴェルさんって何の種族なんだ? そういえば知らないなと思って。ああ、教えたくなければ答えなくていい」
「……そのうち教えることもあるだろう」
 イズマに塩対応と言われる返答は今回も健在だが、依頼を持ってくるあたり悪い関係ではないとイズマは思っている。
「此処から先は、危険な領域だ。充分に気をつけろ」
 食の簒奪者の撃滅と、絶滅しそうな食材の保護。
 そうしたものが彼等の目的であるがゆえにイズマも頷いて。
「タルトにケーキにコンポート。生のままでも、熱を加えても、何でも美味しい林檎達。その中でも伝説の黄金林檎……まさかまだ残っているとは思わなかった。どれほどの美味なのか今からとても楽しみだ。さあ、謎に満ちた研究所の冒険を始めようか」
「そうだね! 幻の黄金林檎! これは何としてもゲットして最高のアップルパイを作ってみたいね♪ うふふ……パティシエ魂がたぎるねぇ♪」
「黄金の林檎か、食べても美味しいのだろうけど私としては種子をGETして育ててみたいわね。いずれは大規模な黄金林檎の果樹園を……と、想定する前にまずは入手しないとね。さて、どんな困難が待ち受けているのか、楽しみだわ」
『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)に『ミルキィマジック』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)と『狐です』長月・イナリ(p3p008096)も同意して、『澱の森の仔』錫蘭 ルフナ(p3p004350)は匂いを嗅ぎ分けるかのように感覚過敏な鼻で周囲の匂いを嗅ぐ。
「匂い、ね。それほどまでに人を惹きつけてやまないものが眠ってるなら、騒ぎが起きる前にさっさと見つけたいよね」
「そうですね……」
『春を取り戻し者』プラハ・ユズハ・ハッセルバッハ(p3p010206)も周囲の状況を確認するように視線を巡らせるが……少なくとも此処には何もない。
 キルシェが周囲の植物に聞いても何も分からない程度には何もなく。埋もれかけた階段を見つけて、下へと進んでいくのだった。

●黄金林檎
 ドサリ、と。変異植物がツルの塊になって床に落ちる。
 こちらを見るなり襲い掛かってきたソレが何であるのかは分からないが……ミルキィは、ソレがどういう目的を持っているかだけは理解できていた。
「どうやら研究所には人間種やそれにそっくりな人に敵意を持ってる敵がうろついてるみたいだね」
「確かにそうみたいね。私は眼中になかったみたいだし」
 狐の姿に戻っていたイナリは眼中になかったらしい変異植物を見るに、どうやら「人間に見える」者だけを襲ってくるようだ。
 地下2階。進めば進むほど不穏さが増していく研究所地下は、植物たちが世代交代してなお尽きぬ怨嗟に満ちているかのようであった。
 イナリの召喚した狐のファミリアーを何体か先行偵察に出しているが、それがなければ迷ってしまうだろう程度には複雑だった。
 途中の扉などのセキュリティが叩き壊されているのは、恐ろしげだが助かるのも事実だった。
「ねぇ、ここにすっごく美味しい林檎があるって聞いたけど、何か知ってるかしら? ずっと奥にあるのね!有難う! あ、途中で危ない場所とかあったら教えて欲しいわ! お願いね!」
 キルシェやルフナの天地統帥や精霊疎通で教えてもらった情報に関しては、恐らく問題はないだろうと思われた。
「しかし、これは……凄いな」
 ルフナは言いながら周囲を見る。
 古代文明によるものなのだろう、強化ガラスで覆われた温室のような場所と、それぞれの温室をモニターするためと思われる機械群。
 これほどのものは、恐らく練達くらいにしかないだろうと思われた。
 照明を含む機械は稼働しているようだが計器類は何らかのアラートを出しており、しかし音の類はなっていない。
 そのせいだろうか、温室の中の植物には枯れているものや、腐って土に還ったのか、何もないものもあった。
 ……そして、内部から叩き壊されたものも。
 ちらほらと落ちている古い人骨は、それが原因によるものと思われた。
「罠の類は無さそうだけど、この割れたガラスを見るに……何かとんでもない事が起こったのは確かみたいだね。そしてそれは……」
 それは、今も継続している。先程襲ってきた変異植物が、それを雄弁に語っていた。
「荒れた内部に壊されたセキュリティ……それを引き起こした大きな力がアレなのでしょうか?」
 クロエは言いながら、周囲の安全を確認する。
「ここにいるのはバイオハザードが原因で生まれた生命体なのですよね……。私達も憎まれても仕方がないと思いますが、傷付けたくないのが正直なところです」
「此処の機械は、生きてるんですよね?」
 何か植物たちが暴れる原因につながる物がないか、それを調べようとプラハはアヴェルに視線を向ける。
 機械のことは分からないが、アヴェルなら……と思ったのだ。
 プラハの視線を受けて、反対者が居ない事を確認するとアヴェルはエラーを吐いているコンソールの1つを弄り始める。
 そして何度か頷くとアヴェルはコンソールを叩く。
「植物兵器だ。ここの研究員はそれを作ろうとしてソレに殺された。自業自得だな」
 その過程でかなり非人道的な実験も行われた気配がある。
 実験体や素体という言葉が何度も出てくるようだ。
「では……」
「説得は難しい、ということかな?」
「不可能ではないだろう。人間種に翼が生えて空を舞うよりは確率は高い」
 ほぼ不可能と言っているに等しいとウィリアムは思う。
 先程も森羅伝心で話しかけてみようとしたが、伝わってくるのは強い殺意だけだったからだ。
 此処にいた人間を全て殺しても、まだ怒りが収まらないのだろう。
 いや、此処の古さを思えば、もうそういう風に生まれてくるようになっているのかもしれない。
「仔細は分からないけれど、きっとひどい事があったのだと思う。でも仲間を傷つけようとするのを黙って見ているわけにはいかないからね」
「そうだね。ボクたちも殺されてあげるわけにはいかないから……」
 悲しそうに言うウィリアムにミルキィも頷く。
 こればかりはもうどうしようもないことだ。過去には戻れない。
 だから、だろうか。せめてとキルシェは温室の中を見回す。
「……いっぱい植物生えてる所もあれば、全部枯れてる所もあるのね。枯れちゃった子たち、環境合わなかったのかしら」
 それは分からない。分からないが、それでも思うのだ。
「ねぇ、種とか残ってない? 残ってたら、ここじゃない場所で育ててあげたいわ!」
「探せばあるかもしれないね。でも……」
「ああ」
「ええ、そうね。私のファミリアーも見つけたみたい。こっちに来る」
 何かが歩くような軋む音に気付き、ルフナが警告する。
 イズマのエネミーサーチも、此処に来るモノを察知する。
「ああ、すぐそこだ……来るよ!」
 ゆらり、ゆらりとやってくるのはツタを編んで作ったかのような、不格好な人型の変異植物たち。
「ねえ、なんで襲うの? 昔ここにいた人たちに嫌なことされたの? ルシェたちそんなことしないわ! 黄金林檎貰えたら帰るし、植物さんたちの生活壊すつもりないのよ!」
 返ってきたのは「殺す」という強い意思。やはり会話は出来ない。
「強い害意がないと解ってくれればいいのですが……」
 やはり難しいのだろう。その事実にプラハは悲しくなるが、戦うしかないことも分かってしまっていた。
 そうして戦い、奥に進んで。
 黄金林檎の香りのサンプルを頼りに、その香りを追っていく。
 そうして見つけたのは、温室の中に存在する、立派な林檎の木だった。
 特に広く作られたその温室にあるのは、その木だけだ。
 青々とした木々に鳴る黄金の林檎の美しさは比喩が難しい。
「これが黄金林檎なのね」
「ゴクリ………今まで扱ったどの林檎よりも美味しそうだね!」
 イナリとミルキィが、その威容に驚く。
 そう、文字通りに黄金。
 黄金のような、とか黄金みたいな……ではなく、黄金色なのだ。
「ふう、これでひとまずお仕事終了かな?」
 そうウィリアムが呟く程度には、この黄金林檎には神聖にして不可侵な雰囲気があった。
「よし、収穫しようか。枝に指を添えてひねるように傾ければ、傷付けずに収穫できるぞ」
 そんなイズマのアドバイスに従い、全員が黄金林檎を収穫していく。
 アヴェルも黄金林檎を収穫すると、ケースらしきものに仕舞いこむ。
「……黄金林檎は我等グルテンリッターが責任をもって育成する。そこに残った林檎は全部食べても構わんぞ」
「種はとっておいて、可能ならローレットに保管してもらいたいと思います」
「そうか。それもいいだろう」
 クロエにアヴェルは頷いて、そのまま身を翻す。
「助かった。また会おう」
 そう言って去っていくアヴェルを見送ると、ウィリアムは手の中の黄金林檎を見る。
「じゃあ、食べてもいいらしいからちょっと味見してみよう。そのまま齧る伝説の味、とても楽しみだね!」
「そうね、まずは果肉を味わうべきね」
「最初は生で黄金林檎そのものの美味しさを感じたいですよね」
 イナリとクロエも同意して。
「まずはそのまま食べて、次に料理にも使う。どう食べても最高だな……! 実も皮も、味や香りも食感も、余さず味わいたい!」
「ええ、貴重なものなのに食べちゃうの? 種の回収が目的なら実の部分はいいんだろうね。僕はいいよ、匂いを散々嗅いでお腹いっぱい」
 ルフナはそう言って遠慮するが、それもまた1つの選択だろう。
「料理か。此処から出たらになるけど……よーし、それじゃあ腕によりをかけて最高のアップルパイに仕上げてみせるよ! みんなの分もばっちり作るから楽しみにしててね☆」
 そう言って、ミルキィはやる気を見せる。
「これだけ美味しそうな林檎、その魅力をどこまで引き出せるか…ふっふっふ、ボクのパティシエ魂が刺激されまくっちゃうね♪ 生の方が美味しいって言われないようにも気合いれないとだよ!」
 そう、これもまた幻の食材の1つなのだ。
 そうして齧ると、全員が驚愕の表情になる。
 美味しい。じゅわっと口の中に溢れる果汁、甘さと酸味の完璧なバランス。
 分厚過ぎず、薄すぎない皮。
 丸かじりしても美味しいこのリンゴは、あらゆる点で完璧に近かった。
「凄く美味しいわ……! お菓子にしても凄く美味しいのよね! いっぱい作ってみんなで食べようね!」
 勿論、種も大事だ。
(種は集めて、育ててみたいわ! 折角の美味しい林檎だもの。またみんなが食べられるようにしたいの)
 それが出来るのであれば、いつか黄金林檎は「幻」ではなくなるだろう。
 そして……プラハがそっと取り出したもの、それは。
「わたしの生まれた国では「りんご専用ポット」というすばらしい発明品があります。りんご一個分の大きさの食器です。家族もりんごが大好き。もちろんわたしも大好き。今日は近い大きさの食器を持ってきました。素材の良さを一番活かす食べ方は簡単」
 1.りんごに切りこみをいれる
 2.バターとシナモンをそこに差し込む
 3.りんごポットに入れて焼くか蒸す
 たったこれだけだ。
「小さな穴から出てきた蒸気が既に良い香り。皆さんとわけて食べましょう」
 これなら火も最小限。ここでちょっと食べるには良い塩梅だろう。
 そうして食べたら、また皆幸せな顔になって。
 その様子を見ながら、ルフナは思う。
(黄金林檎も、他の植物も、迷宮森林で生きていければ少しは静かに暮らせるだろうけど、ここでしか生きられないのかな。人の業で滅ぼされ、人のエゴで生かされるなんてなんだかね)
 せめて、正しい人の手に収まるよう願っておこう、と。
 グルテンリッターを名乗る彼等がそうであるかは判断はつかないが、ローレットでの保管を含め様々な芽が生まれた。
 その中のどれかはきっと……正しい未来へ繋がっているだろう。

成否

成功

MVP

キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
見事「黄金林檎」を保護しました!

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