PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<ダブルフォルト・エンバーミング>お魚クルセイド!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●邪悪な魚、許すまじ
 ついにはアップデートがなされたR.O.O 4.0。イベントなどと称している暇も無いほどに世界には危機が、終焉が迫っていた。
 それを終焉と称したのは『終焉(ラスト・ラスト)』と呼ぶべき秘地より解き放たれし者達が世界を蹂躙したからだ。
 砂嵐(サンドストーム)に突如出現した終焉の大軍勢――終焉獣(ラグナヴァイス)と終焉の使徒達は、またたく間のうちに砂漠を蹂躙し、伝承へと迫っている。
 国王を始めとする伝承の貴族達は挙国一致の団結を見せ、騎士団を集結させる。
 伝承貴族連合軍は伝承西部バルツァーレク領から砂嵐(サンドストーム)へと続く街道にそびえる城塞都市ビルレストを拠点に、防衛ラインを構築。
 しかし波濤のように押し寄せる終焉の軍勢を相手に、どこまで持ちこたえることができるのか……。
 そして、その決戦の最中。その戦場から離れた伝承の港町にも主力ではないものの、小型の終焉獣が襲い掛かってきていた。
 小型とはいえ相手は終焉獣と終焉の使徒たちだ。とてもではないが、平和な市民生活など送れるはずもない。
 それどころか街の崩壊の危機。小さな街など、それこそあっという間に磨り潰されてもおかしくはない。
 だが、この港町は違った、違ったのだ。
 この街の危機に、漁師と魚が手を取り合ったのだ。
「防げー! 此処を耐えれば増援が来る!」
「捕食者が3秒後に出るぞ! 道開けろー!」
 空を飛ぶ魚たちと、戦車の如く突き進む巨大ヤドカリたち。
 そして閉まった門から投擲される銛の数々。
 小さな戦いではあるかもしれないが、此処でも1つの平和をかけた決戦が行われていたのだ。

●邪悪な魚を打ち砕け
 寿司以外にも魚料理はあるんです。是非味わってほしい。
 そんなことを考えていた九重ツルギだが……港町で行われていたその戦いの報に、驚きの声を上げた。
 まさか、そんなことになっていたとは。
 冬越 弾正を伴い救援要請にやってきたカエル人間と何故意思疎通が出来ているのか、それは一切不明だったが……港町が現在終焉獣たちに押されていることはよく分かってしまった。
「サメの終焉獣……ですか」
 5つの頭を持つサメの終焉獣……そんなものに襲われてよく無事だったと驚くしかないが、それだけ港町が頑張っているということなのだろう。
 今現在、港町は門を閉じ、出撃の時だけ門を開くことでなんとか防衛を出来ている。
 だが、逆に言えばそれ以外で門を開ければ終焉の使徒たちがなだれ込んできてしまうかもしれないということだ。
 なのだが……九重ツルギは知っていた。そしてカエル人間の説明で確信に至った。
「……船、ですね」
 この場所から港町への高速船が出ている。
 それに乗り出発すれば、港町に入れるはずだ。
 無論、何度も使える手ではない。
 九重ツルギを含め8人。それが連れていける限度だ。
 カエル人間たちはなんか勝手に戻るらしいので数に入れなくていい。
「急がなくてはいけませんね……」
 この戦いに負ける事は許されない。
 平穏な明日の為に、終焉獣の蹂躙を何としても止めなければならないのだ。

GMコメント

終焉獣と終焉の使徒たちに襲われている港町の防衛戦です。
味方勢力と敵勢力は以下の通り。
サクラメントは街の中に存在しています。

●味方勢力(初期状態)
・魚屋の少女
海底洞窟の魚たちと手を組みました。
戦闘力はほぼゼロです。
・戦える港町の人々×5人
閉まった門の上から銛を投げています。近接戦闘力はほとんどないです。

・カニモンスター×10
全長1Mのカニ。ハサミで凄く挟んできます。ちょっとタフ。ハサミ攻撃。
・カエル人間×5
全長2Mの二足歩行のカエル。ホーミングバブル攻撃、ビンタ攻撃。ちょっと強い。あとキモい。
・捕食者×2
全長4Mのヤドカリ。ホーミングバブル攻撃、体当たり、ハサミ攻撃。強い。動きは遅め。
●追加の味方勢力
・参加した方の混沌世界での姿を持つNPC(ランダム)
参加した方の混沌世界での姿と名前を持つNPCが応援として駆けつけてくる可能性があります。
戦い方は基本的に「本物」を踏襲しているようです。
・1ターンごとにカニモンスター×3。5ターンごとに捕食者×1。

●敵モンスター
・ファイブヘッドシャーク
5つの頭を持つ空飛ぶ巨大サメ。全長4M。
噛みつき攻撃と高速移動が得意です。噛みつき攻撃は相当の威力があるようです。
また必殺のサメドリル(回転突撃)を使用してくることがあります。

・終焉の使徒(総数50)
終焉に魅入られた邪悪な人間たちです。この区域にいる彼等は黒いローブを纏っており、個人の判別がつきません。
巨大なギザギザの刃物を振るい、死を恐れず襲い掛かってきます。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 R.O.O_4.0においてデスカウントの数は、なんらかの影響の対象になる可能性があります。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • <ダブルフォルト・エンバーミング>お魚クルセイド!完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年12月07日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヴァリフィルド(p3x000072)
悪食竜
リュート(p3x000684)
竜は誓約を違えず
Teth=Steiner(p3x002831)
Lightning-Magus
九重ツルギ(p3x007105)
殉教者
カノン(p3x008357)
仮想世界の冒険者
黒子(p3x008597)
書類作業缶詰用
イズル(p3x008599)
夜告鳥の幻影
ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録

リプレイ

●援軍登場
「間に合ったな」
「何とかってところっすね!」
 高速船に乗り、港町へ到着した面々は、手早く防衛場所へと向かっていく。
 いわゆる岬に位置するこの街は水棲モンスター相手でなければ防衛するに向いており、それが小規模とはいえ終焉獣相手に持ちこたえていた理由の1つであると言えただろう。
『悪食竜』ヴァリフィルド(p3x000072)から離れ 『竜は誓約を違えず』リュート(p3x000684)が門の上にぴょんっと乗り眺めると、そこでは激しい戦いが行われていた。
 カニが使徒を挟み、ファイブヘッドシャークに襲い掛かり、捕食者が壁を作る。人間は門の上から銛を投げているだけな辺り、色々な意味で戦況が海産物頼りであることが伺える。
「敵がいっぱい。おさかないっぱい。つまり今日はごちそうっすね! や、多いのはニンゲン?」
 ショボーン、と顔文字みたいな顔になるリュートだが、サメは高級食品なのを思い出す。
 まあ、頭が5個もあるサメが美味しいかは知らないが。
「海洋生物大戦争、って感じだな。しかも、頭五つのサメってか? 真夏のZ級映画かよ。ツッコミどころあり過ぎてテンション上がるな……!」
「映画……ですか」
『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)の台詞に『アルコ空団“輝翼”』九重ツルギ(p3x007105)が一瞬遠い目になる。
「夏に半ば騙される形でサメ映画の主演をやらされた事はありますが、また空飛ぶ鮫を迎撃する事になるとは」
「ひとまず†終焉の使徒†はなるべく殺さず捕えて事情聴取したいね」
「……イズルさん、痛い人々の名前に†つけて更に痛くするのは止めて差し上げましょう?」
「それにしてもサメにして終焉獣……つまりサメ映画だね? サメは止まると死んでしまうらしいから柵の隙間とかに突っ込ませるのはどうかな」
「今あそこで静止してるっぽいので死なないみたいですね……」
 何やらテンションの上がっている『夜告鳥の幻影』イズル(p3x008599)にツッコミを入れる九重ツルギの背後を、冬越 弾正がスタスタと通り過ぎていく。
「えっちょっとまって弾正さんいるの? どこ行ったの??? ねえツルギさん、あの弾正さんどこから連れてきたの? お持ち帰りしていい? ……ごめんちょっと落ち着こうか、だいじょうぶわたしはしょうきだよ」
「大分正気ではない目なんですが!?」
 イズルにツッコミも入れながら忙しい九重ツルギだが、それはともかく。
「緊急時はご一報を。俺達は外の敵を蹴散らします!」
「はい、分かりました! 皆さんもお気をつけて! ところでこの四角いの何ですか? まな板ですか? あ、これでカルパッチョとかを」
「別に最新型のまな板とかではないので。えーとですね……」
 aPhoneーalterの使い方を魚屋の少女に九重ツルギが教えているが、ボケが多すぎて今日はとても大変そうだ。
「まじか、あいつ鮫族の五個頭タイプかよ!! 頭が六個じゃないだけマシかもしんねーけど、油断してると尻尾が変形して、さらに頭が増えるかもしんねーしな。あのタイプの鮫には要注意だぜ!!」
 いったい今までどんなサメと戦ってきたというのか、『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)はそんなことを真面目な表情で仲間に注意喚起する。
 鮫が空を飛んだり頭が沢山あるのは鮫だから当然の話なので問題は無い。
 むしろ竜巻と共に来る上位種の鮫で無かった事を喜ぶべきだろう、と……そういう思考だ。
 本気で今までどんなサメを相手にしてきたのだろうか?
「やっぱり終焉獣達はモンスターにとっても共通の脅威なんですねっ。街を破壊させる訳には行きません。私も全力で助力させて貰いましょう!」
「ええ、そうですね。まずやるべきことは……」
『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)に『書類作業缶詰用』黒子(p3x008597)が頷き、現状をしっかりと把握していく。
 友軍の攻勢支援を並行しつつ、戦場の優勢確保。具体的には友軍配置の死角となりうる箇所にいる敵の攻勢減退もしくは物理的な排除を重視……と、黒子は頭の中で戦略を組み立てていく。
 その時、九重ツルギは気付いていなかったが……辻峰 道雪も現地に潜りこんでいた。
 どうにも援軍に来ている冬越 弾正と共に武器のエンジニアという名目で潜りこんでいたらしいが……幸か不幸か、九重ツルギと此処で出会う事は、なかったのである。
「終焉に魅入られた邪悪な人間……その心の動きは実に興味深い」
 そう呟く道雪の言葉は、リュートのあげた戦闘開始の合図でかき消されていた。


●突撃大海鮮
 援軍の参戦により、今まで膠着していた戦況には大きな変化が訪れていた。
 具体的には、港町側の優位に推移してきていたのだ。
 それは単純に戦力が大幅に上がったのもあるが、黒子を中心としたしっかりとした戦略を立てられる者の存在も大きかっただろう。
「どーんっ!」
 リュートが色とりどりの光弾ブレスを連射して、終焉の使徒を吹っ飛ばす。
 終焉の使徒はできる限り不殺でいきたいとは考えていた。
 しかし、どうにも連中は話が通じないようだし死も躊躇わない。
 ならば仕方ないとリュートは割り切っていた。無理なら無理でさくっと。竜はためらわない。
 そしてそれは、同じ竜であるヴァリフィルドも同じだった。
 狙いはファイブヘッドシャークであり、使徒はついでに巻き込む程度で考えている。
 だがどうにも邪魔になるようであるならば、其方から先に片付けるとしようと、そういう考えだったのだ。
 必要がなければ躊躇うことなく鮫を狙えばよい……程度が使徒の扱いだが、それが正しいのだろう。
 息吹を放ちデータを侵食していくヴァリフィルドの下を、Teth=Steinerが飛行していく。
「真っ先に狙うのは終焉の使徒どもだ。数だけはめっちゃ多いからな……!」
 放つのはS1:ARC_Colliderだ。ARC(高等放射性呪詛)を電気信号として内包する『呪雷』を放つ魔術であり、高伝導率の呪雷は効果範囲内を縦横無尽に駆け巡り、その電圧を以て対象を破壊しながらセットされた呪詛を敵体内へと伝播させるというそのスキルは、使徒に命中すると一撃で消し去ることに成功する。
「阿鼻叫喚の地獄絵図にしてやらぁ! ……って、ん?」
 ふと視線を向けた先。そこで仙狸厄狩 汰磨羈が妖刀『絹剥ぎ餓慈郎』を振るっているのが見えた。
 どうやら増援の捕食者と共に出てきたらしいが……特に声はかけない。
 かけずとも「彼女」なら上手くやってくれるという信頼があった。
 そして、そんな「もう1人の自分」との関係性もあれば、九重ツルギのように「もう1人の自分」とガッツリ連携している姿も見える。
「行きますよ!」
「ああ」
 弾正のギフト……こちらではアクセスファンタズムとなっている「無響和音」の楔を九重ツルギは刺して貰い、息を合わせて飛行で壁を越え、それぞれ敵の注意を引くべく動き出す。
 弾正の持つ、いと白き太陽の翼IIIはこちらでも再現されているようで、その恩恵を受けている形である。
 そのまま弾正は終焉の使徒、九重ツルギはファイブヘッドシャークを港と逆方向へ誘導できないか試みていた。
「ツルギさんには特に念入りに、げんきになぁれ」
 そんな事を言っているイズルの回復レンジから離れすぎないように意識しながら盾役として立ち回るつもりだったが、同じく盾役を買って出ている捕食者たちのおかげもあって、大分楽に立ち回れていた。
「あの鮫はおれ達がやるから、使徒達の事は頼むな!! 死んであとのパーティで食べる食材なんかにならないでくれよ!!」
 そう叫んで飛行するルージュにカニや捕食者たちがカチカチとハサミを鳴らすが、それだけでなんとなくルージュは意思疎通できた気分で敵陣についっこんでいく。
 愛の力をバラまきながらファイブヘッドシャークと相対するルージュだが、デスペナも辞さない堂々たる戦いぶりだ。
「やっぱ鮫はつえーなー。でもさすがに全部の頭が吹っ飛べば死ぬだろ?」
 いざとなればファイブヘッドシャークの口に突っ込んで差し違えることもためらわないつもりだ。
 実際問題として鮫相手にまともに戦うと被害が大きい&ちょっと面倒そうなので正気の沙汰では無いように見える攻撃が最適解だと信じている……のだが、流石に相手も終焉獣だ。
 そんな雰囲気を感じ取っているのか、中々その隙を見せはしない。
 だが、ヴァリフィルドは遠慮はしない。強靭な顎と犀利な牙でファイブヘッドシャークを食いちぎらんとするヴァリフィルドの攻撃は強烈で、そこにリュートが「どーんっ!」と色とりどりの光弾を放つ。
「こいつは喰える。フカヒレ! サメ頭5個ならサメ頭の煮付けも5個できるっす!」
 そんな食欲に塗れたことを叫ぶリュートだが、仲間の海鮮物たちは今回は食べないと決めていて、少しでも回復しようと奮闘していた。
 今回の全員に共通していることだが、万が一にでも魚肉がドロップしたらすぐに排除しようとも考えていた。
 前回のクエストで知った「捕食者が魚肉を食べると僅かな時間弱体化してしまう」という条件が今回も適用されていないとは思わなかったからだ。
 幸いにも今のところそれらしきものはないが、もし出てきたらヴァリフィルドもリュートも遠慮なく食うつもりだった。
 まぁ、余程のことがない限りは喰らったところで問題はなかろう……とはヴァリフィルドの言葉だ。
「そういや、魚屋の少女ちゃんは最初、ゲームっぽく依頼を出すだけの存在って感じだったけど、今はイレギュラーな事態っすよね……やっぱり、この世界は生きている気がするッス! なら助けないとッス! 港町は(おさかなのためにも)死守スべきところッス」
「その通りだな。容赦なくいくとしようぞ!」
「ああ、いくぜー!」
 リュートにヴァリフィルドとルージュも応え、ファイブヘッドシャークへと襲い掛かっていく。
 そうしてファイブヘッドシャークを抑え、使徒たちをも減らしていけば……自然と増援のない使徒たちは追い詰められていく。
 そんな中、使徒のうちの1人がローブの内から何かを取り出そうとする。
 魚肉。懸念されていたそれだと感じたTeth=Steinerは、即座にS4:E.S.Hammerで使徒ごと粉砕する。
「わっりぃ、ウェルダンどころか灰になったぜ☆」
 そう笑いながらも、Teth=Steinerは少しばかり不安になってしまう。
「……捕食者に恨まれたりしねぇだろうな? 悪かったって、後で魚肉ソーセージ奢ってやっから! な!」
 あるかどうか分かんねえけど、と呟くTeth=Steinerに捕食者がカチカチとハサミを鳴らすが……売っているだろう、たぶん。
「大分使徒の数も減ってきましたね……!」
「ああ、この調子なら全滅も近いと思う」
 カイン・レジストと共闘していたカノンは、門を守りながら使徒たちを攻撃していた。
 最優先すべきは門に攻撃したり門を登ろうとする敵。しかし近づけなければ更にいい。
 海産物モンスターたちが味方となり盾となってくれている現状は、それを実行するには非常に助かる状況であった。
「しかし、杞憂なら良かったんですが……やはり魚肉の話はまだ『生きてた』みたいですね」
 全員にその情報が共有されていたのは、非常に素晴らしいことであったと言えるだろう。
 どんなことにも過去から学びはある。それが今回の戦いでは如実に表れていた。
 そして、黒子の指揮も光っていた。
 今回の味方勢力での最大戦力である捕食者のうちの1体に随伴、方針に沿って攻勢を支援する作戦に出ていたが……その際、検情に依る「攻撃対象の位置の偏重さ(≒意識の向いている方向)」と「攻勢行動の盛衰」を重視。それらを速考を併用して分析、偏重さから死角となりうる方位、盛衰から損耗の大小を判断して自身の行動選択に反映するという戦術をとっていたのだ。
 更には癒霧での仲間の回復、死角への警戒、仲間との情報共有に奇襲警戒と常に状況把握を怠らない。
「奇策は初動を潰してしまえば分散した正攻法でしかない」と言わんばかりの行動をする黒子は、捕食者と行動することでまさに歩く司令部の如きだった。
「五つも頭があるんだから、さぞ視界も広いんだろうな? んなら、その頭――端から順に、雷撃で吹っ飛ばしてやんよ!」
 Teth=Steinerの一撃がファイブヘッドシャークにトドメを刺すと歓声が上がり、カニや捕食者たちがカチカチとハサミを鳴らす。
「ところで。そのフカヒレ、食えたりしねぇ?」
「終わったら喰らおうかと思っていたが……漁師たちがいる手前、独り占めというのも気が引けるか。貴重な商材にもなり得るであろうしな。余りそうであれば頂くとしようぞ」
「問題ありません!」
 門がバアン、と開きTeth=Steinerやヴァリフィルドの視界に何やら凶悪な形の刃物を持った港町の住人たちが現れる。
「その迷惑なサメは解体して、皆でパーティーです! 食べ尽くしましょう!」
 そうして始まったのはサメパーティーだ。
 イズルとアーマデル・アル・アマルが同じ具を取ろうとして見つめあったり、Я・E・Dがスタスタと歩き去っていくのを見て、九重ツルギは苦笑する。
「背に腹は代えられなかったとはいえ、身バレ祭りですよね? 現実の俺はコンプレックスの塊でしたが……ROOの冒険を経て、ほんの少しだけ自分を受け入れられた様な気がします」
「……そうか」
 ヴァリフィルドは頷き、港に視線を向けているエイヴァン=フルブス=グラキオールをチラリと見る。
 全く違う姿の者もいる。ほとんど同じ者もいる。
 けれど、それでいいのだろう。それはそれ、これはこれ。
 此処は、そういう世界なのだから。
「焼きカニとか良いよなイテテテテ」
 余計なことを言ったルージュが両側からカニに挟まれていたが……今日守ったのは、そういう素晴らしき世界なのだ。

成否

成功

MVP

九重ツルギ(p3x007105)
殉教者

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
見事港町を守りました!

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