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シナリオ詳細

<ダブルフォルト・エンバーミング>偽物と本物の円舞曲

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 R.O.O4.0『ダブルフォルト・エンバーミング』。それは、『ネクスト』と『セフィロト』、2つの舞台に幕引きを打とうとする死化粧気取りの宣戦布告である。
 ……大雑把にいってしまえば最終局面。伝承と砂嵐を主舞台とし、風雲急を告げる仮想世界に於いて、終われなかった者達の断末魔が響き渡るが如く。侵食と抵抗とがせめぎ合う。
「……で、その煽りで俺の偽物が現れちまったってのかよ。迷惑きわまりないぜ」
 A級闘士として名を馳せ、その背を追う焦燥感から一度は『シャドーレギオン』へと堕した男、キャプテン・リーゼント。彼がその第一報を――己を模倣した『シャドーレギオン』が、あろうことか機動兵器に乗って現れたと聞いたときの衝撃は察するに余りある。元の鞘に収まってゆっくり生きたいと思う彼の願いは、簡単に叶う筈がないのであった。悲しいことに。
「お前の方はコピーなんだから潰せばいいだろう。我々はな、隊長がシャドーレギオンに侵されたまま帰ってきてないんだぞ。偽物の機体は落としたが、あんなもの隊長の足元にも及ばんだろうな。冗談じゃないというのだ」
「うるせえ、『白兎』のヒヨッコがどうなろうと知ったこっちゃねえが、他人に迷惑かけるなって習わなかったのか?」
「それをお前が言うのか!?」
 キャプテンに難癖をつけ、燃え盛るように煽っていくのは誰かと思えば『白兎』部隊の副隊長、アダムス・バーベナーである。
 彼らは先だっての決戦にて『隊長』であるヴァイス・ブランデホトの偽物を討つことには成功した。成功したのだが、悪趣味なことに本物がまだ帰ってきていないのだ。
 そして、肝心の本物は都市防衛戦でアダムスの敗戦を知って飛び去ってからこっち、姿を見せていない。
「隊長のDARK†WISHは『格好良くありたい』だったか……まあ我々皆ナメられやすい外見だからさもありなんといったところかもしれんが、まあ……」
「鋼鉄の軍人が逃げ回ってるワケもねえ。どうせ今回の戦いで尻尾を出すだろ。……さて」
 問題は、現れる場所がおそらく南方であること。
 世界が終わろうというゴタゴタのさなかに、伝承を狙っているということ。
 それは、『新たな皇帝達』が望まぬということ。
 軍人であり、闘士である彼らには十分過ぎる理由だった。そして、イレギュラーズにとっては十分すぎる戦いの動機でもあった。


「……ってことだ。そこの嬢ちゃんと、あー……そこのお前。名前覚えてないけどなんかこの間暴れまわってたお前な」
 キャプテンはそう言って、ユウキ(p3x006804)とヴラノス・イグナシオ(p3x007840)を指差した。ユウキはともかく、ヴラノスは何故呼び出されたのか分かっていない顔だ。
「私に何の用だ、キャプテン・リーゼント」
「俺じゃねえよ。俺の偽物、あいつが明らかにお前に対して何か含みのあるような能力なんだよ。アイツの構築になにか絡んでるんじゃないかと思ってな」
 キャプテンの指摘に暫し考えてから、なにか思い出した様子のヴラノス。だが、敢えてそれ以上追求されることはなかった。
「我が君と轡を並べることとなろうとは。数奇な運命もあったものだね」
「戦力は多い方がいい。その点、士気高揚に使えそうだったからな」
 アーゲンティエール(p3x007848)はしげしげとアダムスを見て、仮面の奥から低い笑い声を響かせた。アダムスの表情筋が引きつる。
「ともあれ、だ。隊長はおそらく、ステルス爆撃機に可変した状態で戦場に介入してくるだろう。戦局が不利に傾かなければ、降りてこない。逆に言えば、敵を早期に片付けられれば彼を船上に引きずり出せるということだ」
 アダムスはそう説明すると、「多分爆撃状態を狙っても当たらんよ」と言い添えた。面倒な敵、終わりの近づく状況。なにもかもが「待ったなし」なのは間違いなさそうだった。

GMコメント

 そういえばヴァイス君帰ってきてねえやとか、非ぬ疑いを受けてしまったリーゼントの弁明とか、いろいろ考えた結果「まとめよう」となりました。

●成功条件
・敵勢力の一掃
・(オプション)VR-01の爆撃回数の低減(早期戦場介入を促す)

●キャプテン・リーゼント(偽)onリーゼント・カスタム
 ユウキ(p3x006804)さんの関係者、そのシャドーレギオン(偽)です。もっと言うとエクスギアEX搭乗中。
 前回の『グランドウォークライ』での戦いの記録も含めシャドーレギオン化したらしく、その時に脅威を覚えた攻撃に対して対策を整えてきています。
 具体的に言うと、『A級闘士としての実力+CTの大幅増加』および『不吉系列BSの完備』により、「避けられないなら運命を捻じ曲げる」方向へとシフトしています。
 また、『APに対する底力系スキル』とでも言うものを所持、APが減るほど指数関数的(やや過剰表現)に強くなっていきます。APをバカスカ奪うだけの戦術は結構後が苦しいです。
 得意技はリーゼントメガレーザーとリーゼントハイパーミサイル。それ以外にもリーゼントと腰に佩いた剣による『二刀流』をベースにしたかなりオールラウンダーな戦闘が可能です。
 二刀流は変則的すぎて、見たものを混乱させるとも言われています。

●ヴァイス・ブランデホトonVR-01
 拙作『<フルメタルバトルロア>超変形合体! G-Submarine!』にて行方を眩ませた機体(と人物?)です。偽物が出てきたと思ったら、本物は未開放でした。
 戦闘開始当初は戦場にいません。戦闘開始直後、のち3ターンに1回ほどの頻度で戦場を往復し絨毯爆撃(戦場全体に回避半減判定、【火炎】【業炎】中威力)を行っていきます。
 戦場の戦力が半数を切った次のタイミングで地上に降下、戦闘に参加します。
 常時低空飛行をおこない機動力が極めて高く、誘導ミサイルやバルカンなどの射撃兵器を有します。一部【移】スキルを活用した引き撃ちまがいのことをしたりしてきます。
 嫌がらせに関して彼の下に出る者はいないでしょう(とても悪い意味で)。

●ラビット・ラピッド×15
 『白兎』一般隊員の偽物シャドーレギオンです。
 射撃系の装備が充実しており、包囲集中攻撃など連携の取れた攻撃を行ってきます。
 個別性能の高さを数で圧殺する構成。

●キャプテン・リーゼント(本物)
 専用機に乗っての登場です。友軍。
 曲がりなりにもA級闘士、普通に強いです。が、数の暴力には弱いし絨毯爆撃は勘弁な! といったところ。
 士気的な意味としても仲間としても、心強いことに違い有りません。

●『白兎』仕様EWAC機(アダムス搭乗)
 友軍。<グランドウォークライ>に引き続いての搭乗です。
 撃破されない限り、爆撃時の回避判定に上方修正がかかります。攻撃能力は有りません。

●ドムラ・ミンミン
 友軍。
 盾を多数マウントした、見るからにタンク機的なエクスギアEXに搭乗。
 雑魚散らし程度ならなんとかなる程度の実力です。同時2名ブロック可。

●超強襲用高機動ロボット『エクスギア・EX(エクス)』
 エクスギアEXとは大型の人型ロボットです。
 『黒鉄十字柩(エクスギア)』に附随した大型オプションパーツを超複雑変形させそれぞれの戦闘ロボットへと変形します。
 搭乗者の身体特徴や能力をそのまま反映した形状や武装をもち、搭乗者にあわせた操作性を選択し誰しもが意のままに操れる専用機となります。
 能力はキャラクターステータスに依存し、スペックが向上した状態になります。
 武装等はスキル、装備、アクセスファンタズムに依存しています。
 搭乗者のHPがゼロになると破壊され、多くの場合爆発四散します。
 搭乗者が装備する剣と同様の剣で斬りかかったり魔術砲撃をしたりと、搭乗するキャラクターによってその戦闘方法は変わるでしょう。
 もしお望みであれば、普段と違うデザインをオーダーしてみるのもいいでしょう。
 ※すべてが専用にカスタムされているため、別の人物が乗り込んだり敵のエクスギアを鹵獲し即座に使用することはできません。逆もまた然りです。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 R.O.O_4.0においてデスカウントの数は、なんらかの影響の対象になる可能性があります。

●重要な備考
 <ダブルフォルト・エンバーミング>ではログアウト不可能なPCは『デスカウント数』に応じて戦闘力の強化補正を受けます。
 但し『ログアウト不能』なPCは、R.O.O4.0『ダブルフォルト・エンバーミング』が敗北に終わった場合、重篤な結果を受ける可能性があります。
 又、シナリオの結果、或いは中途においてもデスカウントの急激な上昇等何らかの理由により『ログアウト不能』に陥る場合がございます。
 又、<ダブルフォルト・エンバーミング>でMVPを獲得したキャラクターに特殊な判定が生じます。
 MVPを獲得したキャラクターはR.O.O3.0においてログアウト不可能になったキャラクター一名を指定して開放する事が可能です。
 指定は個別にメールを送付しますが、決定は相談の上でも独断でも構いません。(尚、自分でも構いません)
 予めご理解の上、ご参加下さいますようお願いいたします。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <ダブルフォルト・エンバーミング>偽物と本物の円舞曲完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年12月07日 22時26分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ホワイトローズ(p3x000921)
白薔薇
ヴラノス・イグナシオ(p3x007840)
逧 蛻コ蟷サのアバター
アーゲンティエール(p3x007848)
魔剣遣い
きうりん(p3x008356)
雑草魂
黒子(p3x008597)
書類作業缶詰用
アイシス(p3x008820)
アイス・ローズ
ねこ・もふもふ・ぎふと(p3x009413)
しろねこぎふと
霧江詠蓮(p3x009844)
エーレン・キリエのアバター

リプレイ


「見知った顔がこういう風に違った歩みを辿っているのを見るのは違和感なのです……」
 『白薔薇』ホワイトローズ(p3x000921)は『混沌』側でのヴァイスに知己があるらしく、映像越しに渋い顔をする。彼女が遭ったヴァイスがどうだったかはさておき、ネクストでの過去の案件をさかのぼってもちょっとやり方が『らしくない』。【ブラックウィング】を見上げる姿に、僅かばかり哀愁が漂っている。
「……これは100%我の身勝手な私情なんだが。あんな浪漫の塊みたいな兵器を擁しておいてやることがヒットアンドアウェイというのは、その……合理的ではあるんだが、非常に狡っからくないかな???」
「格好いいの反転がなぜそうなってしまうのか。悲しいですね」
 『魔剣遣い』アーゲンティエール(p3x007848)と『アイス・ローズ』アイシス(p3x008820)は、単純に格好良さを追求していたはずのヴァイスが絡め手を使ってきたことに困惑気味だ。アーゲンティエールの愛機『銀魔鋼断』とアイシスの愛機『アイス・ローズ』は、それぞれ自身の特性を最大限に活かし、且つ美学を理解したつくりになっているだけに余計に相手のアレ具合に敏感になるのだろう。仕方のないことだ。
「ウサギにリーゼント、そんな混沌とした戦場に一株のきうりが……! 余計に混沌とした……!!」
「大丈夫ですよ、混沌としたならその勢いのまま周りを混乱させればいいだけです」
「それはフォローになってるのか……?」
 『グリーンガール』きうりん(p3x008356)の飄々とした混沌な会話は今に始まった話ではないが、『書類作業缶詰用』黒子(p3x008597)が大真面目に話を誘導する様子が加わると話の回転が変な方向へと向いてしまう。『エーレン・キリエのアバター』霧江詠蓮(p3x009844)は2人の会話についていけていない。……なお、彼ら3名のエクスギアEXに固有名称はない。ないが、共通点として本人たちに非常に似通った姿であること、何れもなかなかのピーキー具合であることなどが挙げられる。
 詠蓮はそんなやりとりに興じながらも、離れたところで戦う英雄集団『騎兵隊』に思いを馳せていた。戦列に加われぬ口惜しさは、目の前の戦場で晴らすしかない。自分にできることを全力で。それが彼に今課せられた『誠意』にほかならぬ。
「偽物が現れて暴れるの、僕もとてもいやだって痛感したから……偽物も爆撃する奴も、殲滅する。みゃー」
「私達を学んで戦い方を変えるなどと、偽物というものもなかなか面白いものをする。そう思わないか?」
 偽物への敵意が人一倍つよい『しろねこぎふと』ねこ・もふもふ・ぎふと(p3x009413)が『しろねこぎふと・W・m』と一緒に拳を突き上げる様を見つつ、『逧 蛻コ蟷サのアバター』ヴラノス・イグナシオ(p3x007840)は【独我】の完成度に満足げだ。ヴラノスのものに限って、搭乗型ではなく装着型。……正直一番ピーキーな出来といえるだろう。なお、ヴラノスに話を振られたキャプテン・リーゼントは憮然とした様子で自身のカスタム機を見た。彼らしい戦いをベースにした機体で、十二分に強力なそれを。
「『うかうかしてられねえ』とは言ったが、そんなポっと出の強者1人ふたりに戦い方を変えて挑む偽物なんて、『リーゼント』じゃねえのさ」
「『リーゼントじゃねえ』の意味は分からないが、そうだな……自身の主義主張を曲げてまで勝利にこだわる姿勢はいただけない」
「それを君達が言うと、含蓄というか……哀愁を感じてしまうな」
 キャプテンに同調した様子の『白兎』副官・アダムスの姿はアーゲンティエールからしてもなんだか軽々に触れてはいけないもののように感じてしまう。彼らのリーダーが今まさに主義主張をブン投げて勝利の為のシフトへ移行したのが、彼が背を追ってきた上官の不義理でなくてなんだというのか。さっぱりわからない。合理的なことは否定しないが、それが矜持を上回った時点でアウトじゃあないか、と。
「ひとまず、爆撃の脅威は間違いない。総員、十分に警戒のうえでまずは雑魚の掃討か」
「連携してくるなら連携を崩せばいいんだよね! 大体わかった!」
 ドムラの作戦砲身の確認に、きうりんが手を挙げて元気に応じる。いつもどおりの反応でホッとするイレギュラーズ一同。自由過ぎるリアクションにたじろぐキャプテンとアダムス。
 爆撃が迫る戦場へ、彼らは続々と射出されていく。


「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。兎の包囲なにするものぞ、食い破ってくれよう!」
 朗々たる名乗りで戦場に降り立った詠蓮の機体は、自分から、そして仲間から一番遠巻きの敵へと一足で踏み込み、斬撃を放つ。武器が刀一本、戦闘技能も抜刀のみ。ピーキー極まりない戦い方は、しかし乗り手同様、十二分の成果を発揮する実力があった。
「まずは偽物の子達を倒していきましょう」
「さぁ、群れないとイキれない小動物くん達! エサの時間だよ!!」
 ブラックウィングから放たれた閃光が偽兎達を戦列中央から分断するように吹っ飛ばすと、前方に残された者達へときうりん機があろうことかきうりモードで挑発をかける。ロボットなのに……という話はさておき、偽兎にその挑発に抗えるものは残念ながら存在しない。間合いに入った彼らは、我先にと突っ込んでいく。
「やわらかえくすにくきゅうぱーんち。みゃー!」
「アイシスライブwithエクスギア、上げていくわよ」
 しろねこぎふとのマニピュレータに搭載された肉球は、ふっとばされた個体群めがけて振り下ろされる。猫の手のエフェクトがかかったそれは、当たるや否や壮絶な勢いで敵機を叩き伏せる。近づいてきた機体群をドムラが2体受け止めた後ろで、アイス・ローズがアイシスの歌声を反響させ、仲間達を賦活する。上空から振り下ろされる爆撃は、なるほど確かに苛烈なものだ。だが、それだけで倒されるような弱卒は味方には居ない。
「いくら策を弄せども、最後にモノを言うのは正面対決。それこそが鋼鉄の、鉄帝の流儀と知るが良い!」
「イイこと言うじゃねえか! そうだ、俺達は逃げ回ってこすっからい戦いを見せるワケにゃいかねえのさ!」
 銀魔鋼断の『アーゲンティエール』が振るわれ、偽兎機の一体から派手に火花が吹き上がる。キャプテンの機体も右に左にと動き回り、敵機を次々と損壊させていく……爆発はしない。が、やはり熟練の腕前を感じさせる攻勢だ。
「偽リーゼント機は上と見ていましたが、こちらにいました、か……」
『なんだよ、見誤りました、ってか? 俺達に喧嘩売りに来たなら、目ん玉かっぴらいてないと死ぬぜ?』
 黒子は高速で思考を回しつつ、遠巻きの敵へと行動阻害の渦を打ち込んでいた。敵情を確認し、偽キャプテンの存在に一瞬できた思考の穴を、そのまま当人に撃ち抜かれる――損害は許容範囲だ。自分を狙ってくるなんて思っても居なかったが。
「支援機の攻撃など、武人の矜持というものがないのか!」
「闘士にモノを語るなら、勝つって意気込みは大事にしなきゃいけねえよなあ。何をしても勝つ、それが憚られるモンでもな! そうやって『本物』は勝ってきたはずだぜ!」
 銀魔鋼断から響いた悲鳴じみた怒声にしかし、偽キャプテンは冗談めかして応じた。それを突かれた本物が、機体のなかで顔を渋くしているのが容易に読めてしまう。
「そんななっっがいリーゼント振り回して、偽物だからちょっと垂れ下がってない? 大丈夫ぅ?」
 きうりんはそんな偽物に挑発をいれるが、流石に自身のキャパが足りていないのと相手の冷静さがあって効果は控えめのようだ。多分、多少食らっても毛ほどにも痛くはないのだろうが。
「リーゼント・カスタム……APが減れば減るほど強くなる、んだよね」
「何を学んだか知らんが……相手を見るべきだったな。エネルギーをむやみに削るやつは此処には一人もいない」
 しろねこぎふとはすかさず黒子機と偽キャプテンの間に割って入り、にくきゅうぱんちで動きを止めにかかる。偽キャプテンはその攻撃を受け流し、軽微な傷で済ませると詠蓮機へとリーゼントを叩きつけ、ゼロ距離で射撃。腹をブチ抜かれる格好になった詠蓮機の体力残量がごっそり減ったのを見逃さぬ仲間ではなかった。
「何をイキってんのか知らねえが、俺がそこの赤いのだけを見て本物から生まれたと思ってんのか? 本当に? だったら勉強不足だ、剣の腕は認めてやるから出直しな」
 偽キャプテンが魔力(というかエネルギーか?)をへらすほどに底力を魅せるのは間違いない。事実だ。だが、それを抜きにしても『A級闘士』がベースであることの危険性を考えねばならない。いわんや無視など出来はすまい。
「いいのをもらったね。回復していくから油断しないで」
「きうりをお食べ! さっきの爆撃もだけどちょっと攻撃キツすぎない?! ドムラ君もうちょっとしっかり守って!!」
「分かったから君は挑発と回復に専念するんだ、きうりん! 傷が深い遠距離型は私の後ろに回れ! 私が凌ぐ! ……私もちょっとキツいのだがね!」
 アイス・ローズときうりん機が詠蓮機を治療する傍ら、ドムラは動きが鈍くなった白兎機を無視して黒子機の護衛に回る。銀魔鋼断が敵を裂き、ブラックウィングが偽キャプテンを射撃で引き剥がす。
 偽白兎がそこそこに弱卒だったのが不幸中の幸いだろうか? 偽キャプテンにやや押されているが、イレギュラーズは確実に作戦の第一段階を熟しつつあった。
『改良された偽物とやらも、そんなザマで格好がつかねえな。アダムスもそんなモンで日和りやがって。……お前達は俺の隊から『卒業』だな』
 その時、何度か爆撃を繰り返し、アイス・ローズの応射を高高度で避け続けた黒い影から若い男の声が響いた。
 直後、垂直落下の姿勢から姿を――鋭角のみで構成された人型機に変形させ、エクスギアEXが立ちはだかった。
 VR-01。面倒くさい爆撃の主、そしてアダムス達のリーダー、その人の機体である。


「来たか……早速だが手合わせを願おうか!」
「悪いが手合わせだの無骨だのは格好悪いと思っちまうんだよ、俺は」
 独我で機動力を底上げしたヴラノスは、真っ直ぐにVR-01へ突っ込むと2連の斬撃を放つ。振るわれた機動へと放たれた応射は短剣の軌道をわずかに逸らすと、斬撃の傷を最小限で抑えに来た。当たらぬとは言わぬが、深くは当てぬといいたいのか。
「当たるものなら当ててみろという訳か。安心しろ、貴様を葬るまで私は枯れないのでなぁ……っくくく……」
「あれ? なんか安全圏でビビってたかっこ悪い小動物が降ってきたじゃーん! もしかしてハイエナかなんかですかー?」
「ハイエナは自ら狩りにいく。今しがた、狩られるばかりだった連中と一緒にされちゃ困るぜ」
 怪しく笑うヴラノスをよそに、きうりんは煽る煽る。VR-01から漏れ聞こえる音声はどこか呆れ気味だが、感情のボルテージが上がっているのは声音でわかる。
「ドムラさん、引き続き守っていただいても? ひとまず周囲の治療、続いて雑兵の殲滅を行います。本物のリーゼントさんは、ねこさんと詠蓮さんと組んで偽物の対応を。恐らく本物と偽物のタイマンなら相手に分があります。数で押しましょう」
「しすうかんすう? がよくわからないけど、技を使った分だけ強くなるんだよね? 早めに倒さないと」
「ああ、やられっぱなしとはいかないのでな。いっきに片付けさせてもらう……!」
 黒子は思考を止めず、仲間を治療し、作戦を再構築する。遊兵を率先して狙ってくるのが偽キャプテンのやり方なら、本物と随伴する仲間で押しつぶすしかない。
 そして、それに適任なのは治療と引き剥がしに特化したしろねこぎふとと、モチベーション、及び相性が強い詠蓮機。2人はその指示に素早く応じると、3機でもって押し返しにかかる。ドムラは近づいてくる白兎機を抑え込み、黒子の防衛にまわる。
「さぁ、ここからはアンコールの時間、まだまだ私の歌は終わらないよ」
「VR-01、手合わせ願おう。我は……自分が最高に格好いい戦い方で、君に挑む!」
 アイス・ローズの『アンコール』を背景に、ヴラノスに追われたVR-01へと銀魔鋼断が打って出る。アーゲンティエールの巨大な一撃は、逃げて逃げて、それでも狙うVR-01へと触れ、裂き、次第に狙いを定めて切り刻む。
 リーゼント同士の泥仕合は、しかししろねこぎふとと詠蓮機の激しい追撃で精細を欠いていく。……己の矜持を見失ったそれらが落ちるのは、時間の問題だったと言わざるを得ない。

「僕は猫さん好きだけど、もふもふのうさぎさんも……良いなぁ」
「アダムスさん、ヴァイスさん、もふもふさせていただけませんか?」
 アイシスが臆面もなく要求し、その言葉通りに白兎たちをモフっている様子を見て、ねこはどこか羨ましそうな顔でそれを見ていた。先程までの激戦が嘘のような表情を(憮然としているが)みせるヴァイスの姿に、格好いい外見はなんだったのか……などと思うモノもいたとかいないとか。
「あ、さっきハイエナとかいった緑のはいつかしばく」
「事実じゃん?!」

成否

成功

MVP

ねこ・もふもふ・ぎふと(p3x009413)
しろねこぎふと

状態異常

なし

あとがき

 個性豊かなエクスギアEX……いや、装備? 乗るんじゃなくて? マジで?
 そんな感想があったりしましたが、楽しく書かせていただきました。お疲れさまでした。

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